説明

ケーブルの接続構造及びそれを用いたケーブルの敷設方法

【課題】本発明は、ブレーカーからジョイントボックスの間が遠い場合に、ブレーカーに接続される太ケーブルとジョイントボックスへ接続するための細ケーブルを、現地で接続箱を用いて繋ぐ必要がなく、短時間で簡単に施工することができる電力ケーブルの施工方法を提供する。
【解決手段】本発明は、アクセスフロアにおける断面積が5.5mm以上の太導体を絶縁体で被覆した太芯線を複数一括被覆した太ケーブルと断面積が5.5mmより細い細導体を絶縁体で被覆した細芯線を同数一括被覆した細ケーブルの接続構造であって、太芯線の端部から突出させた太導体と前記細芯線の端部から突出させた細導体を筒状の接続端子を介して接続した上で、前記太芯線端部、接続端子、細芯線端部を熱収縮させた熱収縮チューブで被覆し、さらに前記太ケーブル端部から細ケーブル端部までを外装用熱収縮チューブで被覆したことを特徴とするケーブルの接続構造の構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセスフロアにおける電力ケーブルの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクセスフロアにおける電力ケーブルの施工方法は、図4に示すような配線方式が採用されていた。
【0003】
一つは、図4(A)に示すように、分電盤1のブレーカー2からジョイントボックス8を幹線15で接続し、更に前記ジョイントボックス8から分岐線ケーブル10を配して、前記分岐線ケーブル10の先端にアウトレット9を接続する方法である。
【0004】
前記アウトレット9を増やす場合は、前記ジョイントボックス8に別のジョイントボックス8を幹線15で接続し、別のジョイントボックス8からも分岐線ケーブル10を配して、先端にアウトレット9を接続する方法で増やしていた。
【0005】
また、近年のオフィスの面積増大により、ブレーカー2からジョイントボックス8までの距離が伸び、前記幹線15を長くする必要があるが、通常使用されている幹線ケーブルは5.5mm以下であるため、前述のようにブレーカー2からジョイントボックス8の距離が伸びた場合、電圧降下を考慮する必要があった。
【0006】
この電圧降下を抑えるためには、前記幹線ケーブルを8mmまたは14mmの導体サイズにすることで解決できるが、前記ジョイントボックス8には5.5mmを超えるケーブルを直接接続できないため、図2(B)のように、ブレーカー2とジョイントボックス8の間に接続箱14を設け、ブレーカー2と接続箱14を5.5mm以上の太ケーブル13で接続し、前記接続箱14からジョイントボックス8を5.5mm以下の幹線15で接続することで対応していた。
【0007】
しかしながら、図4(A)の配線方法では、近年の面積が大きくなったオフィス等に対応することができないという問題があり、図4(B)の配線方法では接続箱14を使用して繋ぎ替えなければならず手間がかかっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−317408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、ブレーカー2からジョイントボックス8の間が遠い場合に、ブレーカーに接続される太ケーブルとジョイントボックスへ接続するための細ケーブルを、現地で接続箱を用いて繋ぐ必要がなく、短時間で簡単に施工することができる電力ケーブルの施工方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するために、アクセスフロアにおける断面積が5.5mm以上の太導体を絶縁体で被覆した太芯線を複数一括被覆した太ケーブルと断面積が5.5mmより細い細導体を絶縁体で被覆した細芯線を同数一括被覆した細ケーブルの接続構造であって、太芯線の端部から突出させた太導体と前記細芯線の端部から突出させた細導体を筒状の接続端子を介して接続した上で、前記太芯線端部、接続端子、細芯線端部を熱収縮させた熱収縮チューブで被覆し、さらに前記太ケーブル端部から細ケーブル端部までを外装用熱収縮チューブで被覆したことを特徴とするケーブルの接続構造の構成とした。
【0011】
また、前記太芯線と細芯線が、それぞれ3本であることを特徴とするケーブルの接続構造の構成とした。
【0012】
更に、前記接続端子の位置を他の接続端子の位置とズラしたことを特徴とするケーブルの接続構造の構成とした。
【0013】
加えて、ブレーカーからジョイントボックスまでの距離を事前に計測し、その距離に基づいて前記接続構造を用いたケーブルを用意し、前記アクセスフロアに敷設することを特徴とするケーブルの敷設方法の構成とした。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上記のような構成であるため、面積の広いオフィスでの配線において接続箱を使用することなく短時間で配線することができる。
【0015】
また、予めブレーカーからジョイントボックスまでの距離に応じたケーブルを用意するため、ケーブルを無駄にすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明であるケーブルの接続構造及びそれを用いたケーブルの敷設方法の敷設全体図である。
【図2】本発明であるケーブルの接続構造及びそれを用いたケーブルの敷設方法のケーブル接続部分の拡大図である。
【図3】本発明である電力ケーブル施工方法のA−A線断面図及び接続部分の拡大図である。
【図4】従来の電力ケーブル施工方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明であるケーブルの接続構造及びそれを用いたケーブルの敷設方法の敷設全体図、図2はケーブルの接続構造及びそれを用いたケーブルの敷設方法のケーブル接続部分の拡大図、図3は電力ケーブル施工方法のA−A線断面図及び接続部分の拡大図である。
【0019】
図1に示すように、本発明であるケーブルの敷設方法は、ケーブルの接続構造12を使用した敷設方法であり、分電盤1のブレーカー2からジョイントボックス8までを太ケーブル3と細ケーブル4を接続構造12で連結してなるケーブルで接続した敷設方法である。
【0020】
前記ジョイントボックス8には複数の分岐線ケーブル10が接続されており、各分岐線ケーブル10の他端にはアウトレット9が接続されている。前記アウトレット9を増やすには、前記ジョイントボックス8と他のジョイントボックス8をケーブル11で接続し、前記他のジョイントボックス8からも分岐線ケーブル10を介してアウトレット9を接続すればよい。
【0021】
図2及び図3に示すように、前記接続構造12は、アクセスフロアにおける断面積が5.5mm以上の太導体3dを絶縁体で被覆した太芯線3a〜3cを複数一括被覆した太ケーブル3と断面積が5.5mmより細い細導体4dを絶縁体で被覆した細芯線4a〜4cを同数一括被覆した細ケーブル4の接続構造12であって、太芯線3a〜3cの端部から突出させた太導体3dと前記細芯線4a〜4cの端部から突出させた細導体4dを筒状の接続端子6を介して接続した上で、前記太芯線3a〜3c端部、接続端子6、細芯線4a〜4c端部を熱収縮させた熱収縮チューブ5で被覆し、さらに前記太ケーブル3端部から細ケーブル4端部までを外装用熱収縮チューブ7で被覆したことを特徴とする。
【0022】
前記太ケーブル3の各太芯線3a〜3cの断面積は5.5mm以上であることが好ましく、敷設フロアの広さと電圧降下を考慮して、更に断面積の大きい太芯線からなる太ケーブルであってもよい。
【0023】
図3の(B)に示すように、前記接続端子6は、中空6aの筒状をしており、前記中空6aに異なる方向から被覆を剥がした前記太導線3d及び細導線4dを挿入し、接続端子6内で前記太導線3dと細導線4dを接触させた状態で圧着接続する部材である。
【0024】
図3(A)に示すように、太ケーブル3の各太芯線3a〜3cと、細ケーブル4の各細芯線4a〜4cを前記接続端子6を介してそれぞれ接続し、各太芯線3a〜3cの端部から各細芯線4a〜4cの端部にかけて熱収縮チューブ5で被覆されている。
【0025】
前記熱収縮チューブ5は、太芯線の端部、太導線の端部、接続端子、細導線の端部及び細芯線の端部を一括被覆しており、更に、太ケーブル3の端部、各芯線の接続部分(熱収縮チューブ5部分)及び細ケーブル4の端部は外装用熱収縮チューブ7により被覆されている。
【0026】
図3(A)に示すように、各熱収縮チューブ5の位置をずらすことにより、接続構造12部分の外径を細く抑えることができる。
【0027】
尚、前記熱収縮チューブ5及び外装用熱収縮チューブ7は絶縁体である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明であるケーブルの接続構造及びそれを用いたケーブルの敷設方法は、アクセスフロアが広い場合であっても、接続箱を使用せずに簡単に短時間で敷設をすることができるため、近年広大化するオフィス等、ケーブル敷設が必要な多くの領域に多大な貢献をもたらす。
【符号の説明】
【0029】
1 分電盤
2 ブレーカー
3 太ケーブル
3a 太芯線
3b 太芯線
3c 太芯線
3d 太導線
4 細ケーブル
4a 細芯線
4b 細芯線
4c 細芯線
4d 細導線
5 熱収縮チューブ
6 接続端子
6a 中空
7 外装用熱収縮チューブ
8 ジョイントボックス
9 アウトレット
10 分岐線ケーブル
11 ケーブル
12 接続構造
13 太ケーブル
14 接続箱
15 幹線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスフロアにおける断面積が5.5mm以上の太導体を絶縁体で被覆した太芯線を複数一括被覆した太ケーブルと断面積が5.5mmより細い細導体を絶縁体で被覆した細芯線を同数一括被覆した細ケーブルの接続構造であって、太芯線の端部から突出させた太導体と前記細芯線の端部から突出させた細導体を筒状の接続端子を介して接続した上で、前記太芯線端部、接続端子、細芯線端部を熱収縮させた熱収縮チューブで被覆し、さらに前記太ケーブル端部から細ケーブル端部までを外装用熱収縮チューブで被覆したことを特徴とするケーブルの接続構造。
【請求項2】
前記太芯線と細芯線が、それぞれ3本であることを特徴とする請求項1に記載のケーブルの接続構造。
【請求項3】
前記接続端子の位置を他の接続端子の位置とズラしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のケーブルの接続構造。
【請求項4】
ブレーカーからジョイントボックスまでの距離を事前に計測し、その距離に基づいて請求項1から3のいずれか1項に記載の接続構造を用いたケーブルを用意し、前記アクセスフロアに敷設することを特徴とするケーブルの敷設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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