説明

ケーブルクランパ

【課題】複数のケーブルを容易に整列させた状態に束ねて一体化させることが可能なケーブルクランパを提供する。
【解決手段】複数のケーブル2を整列してクランプするケーブルクランパ1であって、複数のケーブル2が配列される固定部3と、前記固定部3に配列された前記複数のケーブル2を一体的にクランプするチューブ4と、を備え、前記固定部3は、前記複数のケーブル2が整列状態に配列されるベース板部11と、前記ベース板部11の側部のうち、整列状態にある前記複数のケーブル2の延在方向を向く両側部から更に当該延在方向に沿って延在し前記チューブ4によって前記複数のケーブル2とともに結束される保持部16と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のケーブルを束ねてクランプするケーブルクランパに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスと酸化ガスとの電気化学反応によって発電する燃料電池は、通常燃料ガスと酸化ガスとの電気化学反応によって発電するセルを所要数積層したセル積層体を含む燃料電池スタックを備えている。この燃料電池スタックには、セルの電圧を検出する複数のセルモニタが積層方向に配列されており、これらセルモニタから引き出されたケーブルは、セルの配設方向に沿って設けられた保持具のスリットに1本ずつ保持されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
なお、複数のケーブルを束ねる技術としては、例えば、面方向に配列させたケーブルをグランドバーによって固定したり(例えば、特許文献2参照)、樹脂によって一体化させるものがあり(例えば、特許文献3参照)、さらには、複数本のケーブルを容器内に収容し、その内部にシリコンゴムなどの樹脂を注入して一体化させるものがある(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2003−223923号公報
【特許文献2】特開平11−297133号公報
【特許文献3】特開平9−115341号公報
【特許文献4】特開平11−115442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ケーブルを単にグランドバーによって固定するだけでは、ケーブルがばらけ易いという問題があり、また、ケーブルを樹脂によって一体化させる技術は、その樹脂による一体化の作業が繁雑であり、いずれもケーブルを容易に整列させることができず、作業に手間を要していた。
【0005】
また、複数のケーブルを一体化したフラットケーブルを用いることも考えられるが、特に、燃料電池スタックのセルモニタのケーブルとして用いた場合は、耐熱性及び環境負荷の観点から制限を受けてしまう。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、複数のケーブルを容易に整列させた状態に束ねて一体化させることが可能なケーブルクランパを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のケーブルクランパは、複数のケーブルを整列してクランプするケーブルクランパであって、複数のケーブルが配列される固定部と、前記固定部に配列された前記複数のケーブルを一体的にクランプするチューブと、を備え、前記固定部は、前記複数のケーブルが整列状態に配列されるベース板部と、前記ベース板部の側部のうち、整列状態にある前記複数のケーブルの延在方向を向く両側部から更に当該延在方向に沿って延在し前記チューブによって前記複数のケーブルとともに結束される保持部と、を有する。
【0008】
この構成によれば、ベース板部に配列させた複数のケーブルとともに保持部をチューブによって結束することにより、手間をかけずに容易に複数のケーブルを面方向に整列させて束ねて一体化させることができる。
【0009】
また、前記ベース板部には、互いに間隔をあけて立設された複数の区画壁が形成され、これら区画壁の間が、前記ケーブルが整列状態に配設される整列スペースとされていても良い。この構成によれば、各区画壁間の整列スペースにケーブルを配設することにより、複数のケーブルを容易に位置決めして整列させることができる。
【0010】
また、前記保持部は、前記チューブの前記延在方向の移動を規制する突起を有していても良い。この構成によれば、ケーブルとともに保持部を結束したチューブの当該保持部からの離脱を抑制することができる。
【0011】
また、前記固定部は、樹脂によって一体成形されていても良い。この構成によれば、固定部を樹脂によって容易に一体成形して得ることができる。
【0012】
また、前記チューブは、熱収縮性の樹脂から形成されていても良い。この構成によれば、保持部に装着してチューブを熱収縮させることにより、容易にケーブルとともに保持部を結束することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のケーブルクランパによれば、複数のケーブルを容易に整列させた状態に束ねて一体化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るケーブルクランパの一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1,2において、符号1は、ケーブル2をクランプするケーブルクランパである。このケーブルクランパ1によってクランプするケーブル2は、例えば、燃料電池のスタックを構成するセルの電圧を検出する複数のセルモニタから引き出されたものである。なお、この燃料電池は、船舶,航空機,電車、歩行ロボット等のあらゆる移動体に用いられる発電システムあるいは建物(住宅、ビル等)用の発電設備として用いられる定置用発電システムに適用可能である。
【0016】
ケーブルクランパ1は、固定板(固定部)3と、チューブ4と、を備えて構成されている。固定板3は、樹脂からなる一体成形品であり、平面視長方形状のベース板部11を有している。このベース板部11には、その両端近傍に、所定の場所にボルト止めするためにボルトが挿通される固定用穴12がそれぞれ形成されている。このベース板部11は、その長手方向(本実施形態では、平面視でケーブル2の延在方向と直交する方向)の中間部が、ケーブル保持部13とされている。
【0017】
このケーブル保持部13は、ベース板部11の上面側に短手方向(本実施形態では、ケーブル2の延在方向)に沿って延在するように形成された複数の区画壁14を有しており、これら区画壁14が、互いに間隔をあけて配置されている。そして、このケーブル保持部13では、区画壁14によって区画された箇所が、複数のケーブル2が所定本数ずつ整列配置可能な整列スペース15とされている。
【0018】
ケーブル保持部13には、ベース板部11の両側部に、整列スペース15に保持させたケーブル2に沿う方向へ延在する保持板部(保持部)16を有しており、これら保持板部16には、その両端に、チューブ4を係止する係止突起17が形成されている。そして、この保持板部16に、チューブ4が巻回され、このチューブ4によって、整列スペース15に整列配置された複数のケーブル2が保持板部16に緊結されて固定されている。
【0019】
チューブ4は、熱収縮性樹脂を環状に形成したもので、保持板部16をケーブル2とともに巻回した状態にて熱が加えられて収縮することにより、複数のケーブル2を保持板部16に締め付けて固定する。なお、この保持板部16に巻回したチューブ4は、保持板部16の係止突起17によって、ケーブル2の延在方向に沿う移動が規制されるように係止され、これにより、当該保持板部16からの離脱が抑制されている。
【0020】
上記ケーブルクランパ1を用いてケーブル2を束ねる場合は、まず、固定板3の区画壁14によって区画された整列スペース15に、ケーブル2を所定本数ずつベース板部11上に整列させて配置させる。この状態にて、チューブ4を保持板部16に巻回させ、このチューブ4に熱を加えて収縮させる。このようにすると、複数のケーブル2がチューブ4によって保持板部16に締め付けられて整列状態に固定される。
【0021】
このように、上記実施形態に係るケーブルクランパ1によれば、ベース板部11に配列した複数のケーブル2とともに保持板部16をチューブ4によって結束することにより、手間をかけずに容易に複数のケーブル2を面方向に整列させて束ねて一体化させることができる。
【0022】
これにより、特に、燃料電池スタックのセルモニタから引き出された複数(あるいは多数)のケーブル2を、その並び順を乱すことなく整列させた状態に束ね、挟ピッチに対応させつつ高い固定強度にて固定することができ、例えば、燃料電池スタックの車両への組み付け性を向上させることができる。
【0023】
また、フラットケーブルのように、耐熱性及び環境負荷の観点から使用環境の制限を受けるような不具合もなく、燃料電池スタックに良好に適用させることができる。
【0024】
また、ベース板部11に、互いに間隔をあけて立設された複数の区画壁14が形成され、これら区画壁14の間が、ケーブル2が配設される整列スペース15とされているので、各区画壁14間の整列スペース15にケーブル2を配設することにより、複数のケーブル2を容易に位置決めして整列させることができる。
【0025】
また、保持板部16の両端に、チューブ4を係止する係止突起17が形成されているので、ケーブル2とともに保持板部16を結束したチューブ4の当該保持板部16からの離脱を抑制することができる。
【0026】
また、固定板3は、樹脂によって容易に一体成形して得ることができ、また、チューブ4は、熱収縮性の樹脂から形成されているので、保持板部16に装着してチューブ4を熱収縮させることにより、容易にケーブル2とともに保持板部16を結束することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係るケーブルクランパを示す斜視図である。
【図2】図1に示すケーブルクランパの使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
2…ケーブル、3…固定板(固定部)、4…チューブ、11…ベース板部、14…区画壁、15…整列スペース、16…保持板部(保持部)、17…係止突起。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のケーブルを整列してクランプするケーブルクランパであって、
複数のケーブルが配列される固定部と、前記固定部に配列された前記複数のケーブルを一体的にクランプするチューブと、を備え、
前記固定部は、前記複数のケーブルが整列状態に配列されるベース板部と、前記ベース板部の側部のうち、整列状態にある前記複数のケーブルの延在方向を向く両側部から更に当該延在方向に沿って延在し前記チューブによって前記複数のケーブルとともに結束される保持部と、を有するケーブルクランパ。
【請求項2】
前記ベース板部には、互いに間隔をあけて立設された複数の区画壁が形成され、これら区画壁の間が、前記ケーブルが整列状態に配設される整列スペースとされている請求項1に記載のケーブルクランパ。
【請求項3】
前記保持部は、前記チューブの前記延在方向の移動を規制する突起を有する請求項1または請求項2に記載のケーブルクランパ。
【請求項4】
前記固定部は、樹脂によって一体成形されている請求項1から3のいずれか1項に記載のケーブルクランパ。
【請求項5】
前記チューブは、熱収縮性の樹脂から形成されている請求項1から4のいずれか1項に記載のケーブルクランパ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−291012(P2009−291012A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141540(P2008−141540)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】