説明

ケーブルヘッド保持機能付ケーブルドラム

【課題】ケーブルヘッドを支持する架台としての機能をケーブルドラムに持たせる。
【解決手段】ケーブルドラム1は、胴体11と、円板体10、10とを備え、円板体10に、ドラム固定部20、22を取り付け、円板体10に、ケーブルヘッド保持部50を着脱自在に取付け、円板体10、10に、ケーブルヘッド保持部50を支持するブラケット支持部24を取付け、胴体11は、ケーブル100を巻付ける回転胴14と、回転胴14を回転可能に支持しかつ回転胴14に対して突出、及び引込自在の固定胴12、12とを有し、ドラム固定部20は、円板体10の外周に対して突出及び引込自在の脚部材20b、22bを有し、ブラケット支持部24は、円板体10の外周に対して突出及び引込自在のスライド部材24bを有し、ケーブルヘッド保持部50は、ボルト52bによって円板体10、10から突出したスライド部材24bに固定され、スライド部材24bを掛け渡す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの移動に用いられ、ケーブルを巻き線するケーブルドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ケーブルは、輸送時にケーブルを損傷させないように専用のケーブルドラムに格納される。ケーブルの敷設の際には、ケーブルが3相分必要であることから、ケーブルが巻き線されているケーブルドラムが3個必要となる。さらに、ケーブルドラムに巻き線されたケーブルの先端にはケーブルヘッドが連結されており、ケーブルの敷設の際には、このケーブルヘッドを保持するためのケーブル架台が必要となる。ここで、ケーブルドラムは3個必要であることから、3台のケーブル架台が必要となる。また、ケーブルの両端にケーブルヘッドが連結されている場合には6台のケーブル架台が必要となる。そして、使用場所にケーブルドラムを輸送する際には、ケーブルドラムは大型であることから、大型トラックにケーブルドラムやケーブル架台の骨組を積載して輸送する。
【0003】
また、現地に到着した後は、次のような作業が行われる。まず、トラックからケーブルドラム及びケーブル架台の骨組を搬出する。次に、ケーブルドラムを車輪止め等で固定し、ケーブルドラムからケーブルを引き出す。次に、ケーブル架台の組み立てを行い、組み立てられたケーブル架台にケーブルヘッドを固定する。最後に、ケーブルが引き出されたケーブルドラムを所定の保管スペースに移動する。
【0004】
また、従来のこの種の技術としては、特許文献1に記載された技術がある。特許文献1には、ケーブルドラムからケーブルを引き出して、ケーブルの両端部にケーブルヘッドを取付ける。そして、ケーブルヘッドが取り付けられたケーブルの両端部近傍をケーブル架台によって支持させる、という技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−201308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来においては、ケーブルドラムに加えてケーブル架台の骨組みをトラックで運搬する必要があるため、搬入、搬出にかかる作業負担が大きくなる。また、使用場所で、ケーブル架台の組立、撤去を行う必要があるため、ケーブル架台の組立、撤去作業に、多くの人手と時間がかかる。さらに、ケーブルを敷設した後は、ケーブルドラムが不要となるため、ケーブルドラムを、使用場所を含む構内の空スペースに移動しておく必要がある。ここで、ケーブルドラムは大型であることから、ケーブルドラムを置いておくためには広い空スペースが必要となる。しかし、構内に空スペースが無い場合には、構外に空スペースを確保して搬出する必要が出てくる。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するため、次に記載する構成を備えている。
【0009】
(1)円筒状の胴体と、当該胴体の両側部に設けられ、前記胴体の径より大きい径の一対の円板体とを備え、ケーブルヘッドが端部に固定されたケーブルを前記胴体に巻き線するケーブルドラムにおいて、前記一対の円板体に複数取り付けられ、前記一対の円板体の転動を規制するドラム固定手段と、前記円板体に着脱自在に取り付けられ、前記ケーブルヘッドを保持するケーブルヘッド保持手段と、前記一対の円板体に取り付けられ、前記円板体から取り外した前記ケーブルヘッド保持手段を支持する支持手段とを有し、前記胴体は、前記ケーブルを巻き線する中央胴体と、一端部が前記円板体に固定され、他端部が前記中央胴体の内部に配置され、前記中央胴体の両側部から前記胴体の幅方向にスライド可能でかつ前記中央胴体を回転可能に軸支する固定胴体とを有し、前記ドラム固定手段は、前記円板体の外周に対して突出及び引き込み自在の脚部材と、当該脚部材を前記円板体の外周から突出させた状態で、及び前記脚部材を前記円板体の外周から引き込んだ状態で前記円板体に固定する固定部材とを有し、前記支持手段は、前記円板体の外周に対して突出及び引き込み自在でかつ先端部に前記ケーブルヘッド保持手段を支持する支持部材と、当該支持部材を前記円板体の外周から突出させた状態で、及び前記脚部材を前記円板体の外周から引き込んだ状態で保持する保持部材とを有し、前記ケーブルヘッド保持手段は、前記一対の円板体からそれぞれ突出した前記支持部材に固定され、前記支持部材の先端部を掛け渡す長尺部材を備えることを特徴とするケーブルヘッド保持機能付ケーブルドラム。
【0010】
(1)によれば、胴体が伸縮自在であるため、ケーブル輸送の際には、ケーブルドラムを、中央胴体から固定胴体を引き出した状態で使用し、また、ケーブルドラムからケーブルを引き出した後は、中央胴体に固定胴体を収納して胴体を縮小する。これにより、ケーブルを引き出した後のケーブルドラムを移動する際に、ケーブルドラムの幅を縮小することにより、ケーブルドラムを置いておくために必要なスペースを縮小することが可能になる。また、ドラム固定手段の脚部材を伸長させて、脚部材の先端をケーブルドラムの載置面(例えば、地面)に当接させることにより、円板体が回転してケーブルドラム1が転がることを防止することが可能になる。また、固定胴体に対して中央胴体が回転自在であることから、ケーブルドラムを載置面に固定した状態で、ケーブルの引き出し作業を行うことが可能になる。また、ケーブルドラムからケーブルを引き出した後は、支持手段の支持部材を突出させ、支持部材にケーブルヘッド保持手段を取り付けることにより、ケーブルドラムを、ケーブルヘッドを保持するためのケーブル架台として使用することが可能になる。これにより、ケーブルヘッドを保持するための架台を別途用意する必要がなくなり、予め用意するケーブル架台の数を減らすことが可能になる。その結果、ケーブル架台の運搬、組立及び撤去にかかる負担を低減することが可能になる。
【0011】
(2) (1)において、前記中央胴体から前記固定胴体を伸長させた際に形成される前記中央胴体の端部と前記円板体との間の空間に、前記中央胴体に巻き線された前記ケーブルに連結された前記ケーブルヘッドを収納することを特徴とするケーブルヘッド保持機能付ケーブルドラム。
【0012】
(2)によれば、ケーブル輸送の際に胴体を伸ばすことにより形成される中央胴体の端部と円板体との間の空間にケーブルヘッドを収納することが可能になる。
【0013】
(3) (1)又は(2)において、前記一対の円板体の間に配置される複数の伸縮自在なローラ体をさらに備え、当該ローラ体は、前記胴体の中心軸に平行な回転軸を有し、前記脚部材の先端をケーブルドラムの載置面に当接させた状態において、前記一対の円板体の最下位置近傍に設置されていることを特徴とするケーブルヘッド保持機能付ケーブルドラム。
【0014】
(3)によれば、ケーブルヘッド保持手段に保持されたケーブルヘッドに連結しているケーブルを、一対の円板体に設けた複数のローラ上に載置することにより、ケーブルが地面を引きずるようなことが防止できる。
【0015】
(4) (1)〜(3)において、前記ケーブルヘッド保持手段の長手方向の長さは、前記中央胴体に前記固定胴体を収納させかつ前記一対の円板体の前記支持手段からそれぞれ前記支持部材を突出させた状態における、一対の前記支持部材の間の長さに設定されていることを特徴とするケーブルヘッド保持機能付ケーブルドラム。
【0016】
(4)によれば、ケーブルドラムの幅を縮小させた状態において、一対の支持手段にケーブルヘッド保持手段に取り付けることが可能となる。これにより、ケーブルドラムをケーブルヘッドの架台として使用する際に、ケーブルドラムをコンパクトにすることが可能になり、省スペース化を図ることが可能になる。
【0017】
(5) (1)〜(4)において、前記一対の円板体の外側面に取っ手を設けたことを特徴とするケーブルヘッド保持機能付ケーブルドラム。
【0018】
(5)によれば、作業者が、取っ手を持って引いたり押したりすることにより、容易にケーブルドラムの幅を変えることが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ケーブルドラムを、ケーブルヘッドを保持するためのケーブル架台として使用することが可能になる。これにより、ケーブルヘッドを保持するための架台を別途用意する必要がなくなり、予め用意するケーブル架台の数を減らすことが可能になる。その結果、ケーブル架台の運搬、組立及び撤去にかかる負担を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態におけるケーブルドラムの構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるケーブルドラムの構成を示す説明図である。
【図3】ケーブルヘッド保持部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1、図2は、本発明の一実施形態におけるケーブルドラムの構成を示す説明図である。特に、図1はケーブル輸送時におけるケーブルドラムの形態を示すものであり、図1(a)は側面図、図1(b)は正面図である。また、図2はケーブル使用時におけるケーブルドラムの形態を示すものであり、図2(a)は側面図、図2(b)は正面図である。
【0022】
図1(a)、図1(b)に示すように、ケーブルドラム1は、円筒状の胴体11と、胴体11の径より大きい外径の円板体10、10とを備えており、円板体10、10の中心が胴体11の中心軸上に位置するように、胴体11の両側部に円板体10、10を配置してなるボビン形状の部材である。円板体10、10の外側の板面には、ドラム固定部20、22、ブラケット支持部24及び取っ手30が設けられている。円板体10、10の間には、ガイドローラが設けられている。また、片方の円板体10の内面には、ケーブルヘッド保持部50が設けられている。
【0023】
円板体10の中心には孔部10aが形成されており、孔部10aの両側部に取っ手30、30が設けられている。孔部10a及び取っ手30、30は同一直線上に配置されており、円板体10を、孔部10a及び取っ手30、30を結ぶ直線によって二分割した場合に、一方の板面にはドラム固定部20、22が配置され、他方の板面にはブラケット支持部24が配置される。また、ガイドローラ32及びガイドローラ34は、円板体10、10の内側における、ドラム固定部20の先端部からドラム固定部22の先端部までの外周側の領域に配置されている。
【0024】
胴体11は、図1(a)に示すように、回転胴14と、固定胴12、12とによって構成されており、回転胴14の両端部から固定胴12、12が、突出、及び引き込み自在に設けられている。回転胴14は、中央胴体に相当し、固定胴12、12は固定胴体に相当する。
【0025】
回転胴14は、回転胴円筒部14aの両端部に円形の回転胴側板14b、14bが固定されてなるボビン形状の部材であり、この回転胴14にケーブル100が巻き線される。回転胴側板14b、14bの中心には円形の開口が形成されており、この開口の口径は回転胴円筒部14aの口径よりも小さく形成されている。
【0026】
固定胴12は、固定胴円筒部12aの一端部に円形の固定胴側板12bが固定されてなるフランジ形状の部材である。固定胴円筒部12aの他端部は円板体10に固定されている。ここで、固定胴円筒部12aの中心軸上に円板体10の中心が位置している。固定胴側板12bの中心には円形の開口が形成されており、固定胴円筒部12aの外径は、回転胴側板14bの中心の開口の径より若干小さく設定されている。固定胴側板12bの径は、回転胴側板14bの中心の開口の径よりも大きく、回転胴円筒部14aの口径よりも小さい範囲の値に設定されている。
【0027】
そして、回転胴円筒部14a内に固定胴円筒部12aが同軸に配置され、さらに固定胴側板12bは、回転胴円筒部14aの内部に配置されることにより、固定胴12は回転胴14に対して突出、及び引き込み自在になる。また、回転胴14に対して固定胴12を最大に伸長させた場合には、固定胴側板12bが回転胴側板14bに当接することによってそれ以上の伸長は規制される。逆に、回転胴14に対して固定胴12を押し込んで、回転胴14内に固定胴12を引き込ませた場合には、円板体10が回転胴側板14bに当接して、回転胴14内に固定胴12が収納される。
【0028】
また、固定胴12に対して回転胴14は回転可能であり、円板体10に固定胴12を固定することにより、固定胴12は、回転胴14を回転可能に軸支するようになる。
【0029】
取っ手30は、ケーブルドラム1の幅を伸長させたり縮小させたりする場合に用いられる。例えば、二人の作業員が、ケーブルドラム1の両側部に立ち、取っ手30を持って互いに押し込むことにより、回転胴14内に固定胴12が収納され、その結果、図2(b)に示すように、ケーブルドラム1の幅が縮小される。逆に、取っ手30を持って互いに引っ張り合うことにより、回転胴14内から固定胴12が突出し、その結果、図1(b)に示すように、ケーブルドラム1の幅が伸長する。
【0030】
ドラム固定部20は、図1(a)に示すように、円板体10、10に取り付けたレール20aと、このレール20aに保持されかつレール20aに沿ってスライドする長尺の脚部材20bと、脚部材20bを円板体10に固定するためのボルト20cとによって構成されている。ボルト20cは固定部材に相当する部材である。脚部材20bは、両端部が斜めに形成された平行四辺形型であり、脚部材20bの一端部側(円板体10の中心側)には、図1(a)に示すように、ボルト穴20d、20dが形成されており、他端部側(円板体10の外周側)には、図2(a)に示すように、ボルト穴20e、20eが形成されている。ボルト穴20d、20d及びボルト穴20e、20eは、いずれもボルト20cが螺合する穴である。
【0031】
また、ドラム固定部22は、図1(a)に示すように、円板体10、10に取り付けたレール22aと、このレール22aに保持されかつレール22aに沿ってスライドする長尺の脚部材22bと、脚部材22bを円板体10に固定するためのボルト22cとによって構成されている。ボルト22cは固定部材に相当する部材である。脚部材22bは、両端部が斜めに形成された平行四辺形型であり、脚部材22bの一端部側(円板体10の中心側)には、図1(a)に示すように、ボルト穴22d、22dが形成されており、他端部側(円板体10の外周側)には、図2(a)に示すように、ボルト穴22e、22eが形成されている。ボルト穴22d、22d及びボルト穴22e、22eは、いずれもボルト22cが螺合する穴である。
【0032】
ドラム固定部20の外観は、ドラム固定部22の鏡像に一致しており、ドラム固定部20及びドラム固定部22は、脚部材20b及び脚部材22bが円板体10の中心に対して略放射方向にスライドするように設置されている。脚部材20bのスライド方向と脚部材22bのスライド方向との角度は略90度である。
【0033】
脚部材20bは、ボルト20cによって円板体10に固定される。脚部材20bを円板体10の外周に対して引き込んだ位置に保持する場合には、例えば、図2(a)に示す状態から、脚部材20bをスライドさせて、ボルト穴20e、20eと、円板体10に形成された図示しないボルト穴とを一致させ、ボルト穴20e、20eを介して円板体10にボルト20cを螺合する。これにより、図1(a)に示すように、脚部材20bが円板体10の中心側に引き込んだ状態で固定される。
【0034】
脚部材20bを円板体10の外周に対して突出した位置に保持する場合には、例えば、図1(a)に示す状態から、脚部材20bをスライドさせて、ボルト穴20d、20dと、円板体10に形成された図示しないボルト穴とを一致させ、ボルト穴20d、20dを介して円板体10にボルト20cを螺合する。これにより、図2(a)に示すように、脚部材20bが円板体10の外周から突出した状態で固定される。
【0035】
ドラム固定部22においてもドラム固定部20と同様であり、脚部材22bは、ボルト22cによって円板体10に固定される。例えば、図2(a)に示す状態から、脚部材22bを円板体10の外周に対して引き込んだ位置に保持する場合には、脚部材22bをスライドさせて、ボルト穴22e、22eと、円板体10に形成された図示しないボルト穴とを一致させ、ボルト穴22e、22eを介して円板体10にボルト22cを螺合する。
【0036】
脚部材22bを円板体10の外周に対して突出した位置に保持する場合には、例えば、図1(a)に示す状態から、脚部材22bをスライドさせて、ボルト穴22d、22dと、円板体10に形成された図示しないボルト穴とを一致させ、ボルト穴22d、22dを介して円板体10にボルト22cを螺合する。
【0037】
これにより、図1(a)に示すように、脚部材20b、22bが円板体10の中心側に引き込んだ状態においては、円板体10、10が回転することによって、ケーブルドラム1が転動可能である。また、図2(a)に示すように、脚部材20b、22bが円板体10の外周から突出した状態においては、円板体10、10の回転が規制されるため、ケーブルドラム1が転がらずに維持される。
【0038】
ガイドローラ32及びガイドローラ34は、図2(a)に示すように、ドラム固定部20、22から、脚部材20b、22bを突出させている場合には、円板体10の最下位置近傍付近に配置されている。具体的には、ガイドローラ32及びガイドローラ34は、円板体10の外周部でかつ脚部材20bから脚部材22bまでの略90度の範囲に設けられている。また、ガイドローラ32及びガイドローラ34の回転軸は、円板体10、10の内側に、胴体11の中心軸方向に対して平行に設置されている。
【0039】
ガイドローラ32は、中央円筒部32aと、中央円筒部32aの一方の側部に挿入され、中央円筒部32aに対して突出、引き込み可能な側方円筒部32bと、中央円筒部32aの他方の側部に挿入され、中央円筒部32aに対して突出、引き込み可能な側方円筒部32cとから構成されている。側方円筒部32bにおける突出側の端部は一方の円板体10に固定されている。また、側方円筒部32cにおける突出側の端部は他方の円板体10に固定されている。
【0040】
同様に、ガイドローラ34は、中央円筒部34aと、中央円筒部34aの一方の側部に挿入され、中央円筒部34aに対して突出、及び引き込み可能な側方円筒部34bと、中央円筒部34aの他方の側部に挿入され、中央円筒部34aに対して突出、引き込み可能な側方円筒部32cとから構成されている。側方円筒部34bにおける突出側の端部は一方の円板体10に固定されている。また、側方円筒部34cにおける突出側の端部は他方の円板体10に固定されている。これにより、ケーブルドラム1の幅を変更させる際に、ガイドローラ32及びガイドローラ34が、胴体11とともに伸縮するようになる。
【0041】
ブラケット支持部24は、円板体10の外側の板面において、孔部10bに対してドラム固定部22の反対側に設置されている。このブラケット支持部24は、角パイプ24aと、スライド部材24bと、ボルト24c、24cとによって構成されている。角パイプ24a及びボルト24cは保持部材に相当し、スライド部材24bは支持部材に相当する。
【0042】
角パイプ24aは、断面形状がC字状の長尺部材であり、円板体10の中心に対して放射方向に延びるように、円板体10の外側の板面に固定されている。スライド部材24bは、断面形状がコ字状であり、角パイプ24a内に設けられ、角パイプ24aの内面に沿ってスライド移動可能な長尺部材である。すなわち、スライド部材24bは、角パイプ24aに対して突出、及び引き込みを行うことが可能である。
【0043】
角パイプ24aにおける円板体10の外周側の端部には、2つのボルト穴が形成されており、スライド部材24bの両端部には、それぞれ2つのボルト穴が形成されている。さらに、円板体10における角パイプ24aの2つのボルト穴との対向部位にもボルト穴が形成されている。また、スライド部材24bにおける突出方向側の端部には、図2(a)に示すように、ボルト穴24dが形成されている。このボルト穴24dは、ケーブルヘッド保持手段に相当するケーブルヘッド保持部50を固定するためのものである。
【0044】
スライド部材24bは、ボルト24c、24cによって円板体10に固定され、突出、又は引き込まれた状態が維持される。スライド部材24bを円板体10の外周に対して引き込んだ位置に保持する場合には、図1(a)に示すように、スライド部材24bを円板体10の中心側に移動させ、角パイプ24aのボルト穴、スライド部材24bにおける円板体10の外周側のボルト穴、及び円板体10のボルト穴をそれぞれ一致させ、角パイプ24a及びスライド部材24bのボルト穴を介して円板体10にボルト24cを螺合する。これにより、スライド部材24bが円板体10の中心側に引き込まれた状態で固定される。
【0045】
また、スライド部材24bを円板体10の外周に対して突出した位置に保持する場合には、図2(a)に示すように、スライド部材24bを円板体10の外周側に移動させ、角パイプ24aのボルト穴、スライド部材24bにおける円板体10の外周側のボルト穴、スライド部材24bの孔部10a側のボルト穴、及び円板体10のボルト穴をそれぞれ一致させ、角パイプ24a及びスライド部材24bのボルト穴を介して円板体10にボルト24cを螺合する。これにより、スライド部材24bが円板体10の外周に対して突出した状態で固定される。
【0046】
図3はケーブルヘッド保持部50の構成を示す図であり、図3(a)は、図1(b)において、ケーブルヘッド保持部50を平面視した図であり、図3(b)は、図2(b)において、ケーブルヘッド保持部50を平面視した図である。
ケーブルヘッド保持部50は、一方の円板体10の内面には取り付けられている。ケーブルヘッド保持部50は、図3(a)に示すように、長尺の金属板材の両端部に曲げ加工が施された、側面視コ字状のアングル52と、中央部が円弧状に形成されたブラケット54と、ブラケット54の両端部をアングル52に螺合して、ブラケット54をアングル52の中央部に固定するボルト56、56とによって構成されている。
【0047】
アングル52におけるブラケット54の両側部に対向する部位には、ボルト穴が形成されており、このボルト穴に対応するボルト穴が円板体10の内面に形成されている。そして、ブラケット54のボルト穴と、このボルト穴に対応する円板体10のボルト穴とを一致させ、ボルト52b、52bを螺合することによってケーブルヘッド保持部50が円板体10に取り付けられる。ここで、アングル52の長手方向の長さは、回転胴14に固定胴12を収納しかつブラケット支持部24、24からそれぞれスライド部材24bを突出させた状態における、ボルト穴24d、24d間の長さに設定されている。このため、ケーブルドラム1の幅を縮小した場合にのみ、ケーブルヘッド保持部50をスライド部材24b、24bに固定することが可能になる。
【0048】
アングル52の長手方向両端部に形成した側面部には、図1(b)に示すように、ボルト穴52aが形成されている。このボルト穴52aは、ボルト52bによってボルト穴24dと連結するためのものである。連結する際には、スライド部材24bのボルト穴24dとボルト穴52aとを一致させ、図3(b)に示すように、ボルト52bにより両者を連結する。具体的には、ケーブルドラム1の幅を縮小させ、胴体11の両側の円板体10、10に設けられているブラケット支持部24、24からスライド部材24b、24bを引き出し、図2(b)に示すように、スライド部材24b、24bの先端部をアングル52によって掛け渡す。この時、ボルト52b、52bを軸としてアングル52を回動させ、アングル52の表面が地面に対して垂直方向を向くように角度を調整してから、アングル52をボルト52b、52bによって強固に締め付けることが望ましい。
【0049】
また、ケーブルヘッド保持部50に、ケーブルヘッド110を保持させる場合には、まず、ボルト56、56を取り外して、アングル52からブラケット54を一担取り外し、アングル52とブラケット54との間にケーブルヘッド110を配置する。そして、再びボルト56、56によってブラケット54をアングル52に固定する。これにより、ケーブルヘッド110が、ケーブルヘッド保持部50に保持される。
【0050】
次に、ケーブルドラム1の使用形態について説明する。ケーブル輸送時においては、図1(b)に示すように、ケーブルドラム1の幅を伸長させた状態とする。さらに、脚部材20b、22b及びスライド部材24bは、それぞれ円板体10の中心側に移動した状態で保持しておく。そして、回転胴14にケーブル100を巻き線する。ケーブル100の先端にはケーブルヘッド110を固定しておき、このケーブルヘッド110は、円板体10と回転胴側板14bとの間に形成された空間に収納する。ここで、ケーブル100の両端にケーブルヘッド110が固定されている場合には、例えば、回転胴14と一方の円板体10との間の空間に一端側のケーブルヘッド110を収納し、ケーブル100を回転胴14に巻き線してから、回転胴14と他方の円板体10との間の空間に他端側のケーブルヘッド110を収納する。
【0051】
そして、ケーブル100が巻き線されたケーブルドラム1を大型トラックに積載して作業現場に運搬する。
【0052】
作業現場に運搬されたケーブルドラム1は、トラックから降ろされ、使用場所に移送される。そして、ドラム固定部20、22から脚部材20b、22bを引き出し、脚部材20b、22bを地面に当接させる。これにより、ケーブルドラム1は、脚部材20b、20b、22b、22bによる4本の脚部材によって使用場所に固定され、円板体10、10が転動することが規制される。ケーブルドラム1の固定作業が終了した後、ケーブル100の引き出し作業を行う。ケーブル100の引き出し作業においては、回転胴14が独立して回転する。
【0053】
ケーブル100を引き出した後のケーブルドラム1は、ケーブルヘッド110の架台として使用することができる。ケーブルドラム1は、ケーブルヘッド110の架台として使用する場合には、まず、円板体10からボルト52b、52bの取り外しを行い、円板体10からケーブルヘッド保持部50を取り外す。次に、円板体10、10を押し込んで、固定胴12、12を回転胴14内に収納させることにより、ケーブルドラム1の幅を縮小させる。次に、ブラケット支持部24のスライド部材24bを引き出す。次に、スライド部材24bの先端部に形成されたボルト穴24dとボルト穴52aとを一致させ、ボルト52bによって両者を連結する。これにより、図2(b)に示すように、円板体10、10から延出したスライド部材24b、24bの先端部に、ケーブルヘッド保持部50が掛け渡される。
【0054】
そして、ボルト56、56を取り外して、アングル52からブラケット54を一担取り外し、アングル52とブラケット54との間にケーブルヘッド110を配置して、再びボルト56、56によってブラケット54をアングル52に固定する。これにより、ケーブルヘッド110がケーブルヘッド保持部50に固定される。ここで、ケーブルヘッド110を固定する前に、ケーブルヘッド110に連結されているケーブル100は、ガイドローラ32、34上に載せておくようにする。
【0055】
なお、ケーブル100を引き出した後のケーブルドラム1を、ケーブルヘッド110の架台として使用しない場合には、図2(b)に示すように、ケーブルドラム1の幅を縮小させてから、所定の保管場所に移動しておく。これにより、ケーブルドラム1の保管スペースを縮小することが可能である。また、ケーブルドラム1に、再度、ケーブル100を巻き線する場合には、例えば、2人の作業員が、ケーブルドラム1の両側部において、取っ手30を持って引っ張り合うことにより、図1(b)に示すように、固定胴12、12を回転胴14から引き出してケーブルドラム1の幅を伸長させてから、巻き線作業を行う。
【0056】
以上説明したように、本実施形態によれば、胴体11が伸縮自在であるため、ケーブル輸送の際には、ケーブルドラム1を、回転胴14から固定胴12を伸ばした状態で使用し、また、ケーブルドラム1からケーブル100を引き出した後は、回転胴14に固定胴12を収納して胴体を縮小することにより、ケーブルドラム1の幅が縮小される。これにより、ケーブルドラム1を保管するために必要なスペースを縮小することが可能になる。また、ドラム固定部20、22の脚部材20b、22bを伸長させて、脚部材20b、22bの先端をケーブルドラム1の載置面(例えば、地面)に当接させることにより、ケーブルドラム1が転がることを防止することが可能になる。また、固定胴12に対して回転胴14が回転自在であることから、ケーブルドラム1を載置面に固定した状態で、ケーブル100の引き出し作業を行うことが可能になる。また、ケーブルドラム1からケーブルを引き出した後は、ブラケット支持部24のスライド部材24bを伸長させ、スライド部材24bにケーブルヘッド保持部50を取り付けることにより、ケーブルドラム1を、ケーブルヘッド110を保持するためのケーブル架台として使用することが可能になる。これにより、ケーブルヘッド110を保持するための架台を別途用意する必要がなくなり、予め用意するケーブル架台の数を減らすことが可能になる。その結果、ケーブル架台の運搬、組立及び撤去にかかる負担を低減することが可能になる。
【0057】
また、本実施形態によれば、回転胴14から固定胴12を伸長させた際に形成される、回転胴14の端部と円板体10との間の空間に、ケーブルヘッド110を収納することが可能になる。
【0058】
また、本実施形態によれば、ケーブルヘッド保持部50に保持されたケーブルヘッド110に連結しているケーブル100を、ガイドローラ32、34上に載置することにより、ケーブル100が地面を引きずるようなことが防止できる。
【0059】
また、本実施形態によれば、ケーブルヘッド保持部50のアングル52の長手方向の長さは、回転胴14に固定胴12を収納させかつスライド部材24b、24bを突出させた状態における、ボルト穴24d、24d間の長さに設定されているため、ケーブルドラム1の幅を縮小させた状態においてのみ、スライド部材24b、24bにケーブルヘッド保持部50を取り付けることが可能となる。これにより、ケーブルドラム1をケーブルヘッド110の架台として使用する際に、ケーブルドラム1をコンパクトにすることが可能になり、ケーブルヘッド110の架台の設置スペースを低減することが可能になる。
【0060】
また、本実施形態によれば、円板体10、10の外側面に取っ手30を設けたことにより、作業者が、取っ手30を持って引いたり押したりすることにより、容易にケーブルドラム1の幅を変えることが可能になる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述したものに限るものではない。例えば、前述した実施形態においては、ケーブルヘッド110をケーブルヘッド保持部50に保持させる場合に、アングル52からブラケット54を一時的に取り外しているが、それに限らず、例えば、ヒンジを用いてアングル52とブラケット54とを一体にしてもよい。また、ケーブルヘッド110の保持構造については、前述したものに限るものではなく、ケーブルヘッド110の大きさや形状に応じて適宜変更可能である。また、前述した実施形態においては、ケーブルヘッド保持部50のアングル52を円板体10に取り付けているが、それに限らず、アングル52をブラケット支持部24の角パイプ24a内に、スライド部材24b、24bとともに折りたたみ収納し、ブラケット54を円板体10に固定するようにしてもよい。また、前述した実施形態においては、アングル52は、一枚の長尺の金属板で形成されているが、それに限らず、複数の部材を連結して長尺に形成したものでもよい。
【0062】
また、ケーブルドラム1を地面に強固に固定するために、脚部材20b、22bを地面に刺して一部を埋設させるようにしてもよい。また、脚部材20b、22bの先端部に、地面に平行な平面部を形成し、この平面部に穴を形成し、この穴にペグを打ち込んで脚部材20b、22bを固定するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 ケーブルドラム
10 円板体
10a 孔部
11 胴体
12 固定胴
12a 固定胴円筒部
12b 固定胴側板
14 回転胴
14a 回転胴円筒部
14b 回転胴側板
20、22 ドラム固定部
20a、22a レール
20b、22b 脚部材
20c、22c、24c、52b ボルト
20d、20e、22d、22e、24d、52a ボルト穴
24 ブラケット支持部
24a 角パイプ
24b スライド部材
30 取っ手
32、34 ガイドローラ
32a 中央円筒部
32b 側方円筒部
32c 側方円筒部
50 ケーブルヘッド保持部
52 アングル
54 ブラケット
56 ボルト
100 ケーブル
110 ケーブルヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の胴体と、
当該胴体の両側部に設けられ、前記胴体の径より大きい径の一対の円板体とを備え、
ケーブルヘッドが端部に固定されたケーブルを前記胴体に巻き線するケーブルドラムにおいて、
前記一対の円板体に複数取り付けられ、前記一対の円板体の転動を規制するドラム固定手段と、
前記円板体に着脱自在に取り付けられ、前記ケーブルヘッドを保持するケーブルヘッド保持手段と、
前記一対の円板体に取り付けられ、前記円板体から取り外した前記ケーブルヘッド保持手段を支持する支持手段とを有し、
前記胴体は、前記ケーブルを巻き線する中央胴体と、一端部が前記円板体に固定され、他端部が前記中央胴体の内部に配置され、前記中央胴体の両側部から前記胴体の幅方向にスライド可能でかつ前記中央胴体を回転可能に軸支する固定胴体とを有し、
前記ドラム固定手段は、前記円板体の外周に対して突出及び引き込み自在の脚部材と、当該脚部材を前記円板体の外周から突出させた状態で、及び前記脚部材を前記円板体の外周から引き込んだ状態で前記円板体に固定する固定部材とを有し、
前記支持手段は、前記円板体の外周に対して突出及び引き込み自在でかつ先端部に前記ケーブルヘッド保持手段を支持する支持部材と、当該支持部材を前記円板体の外周から突出させた状態で、及び前記脚部材を前記円板体の外周から引き込んだ状態で保持する保持部材とを有し、
前記ケーブルヘッド保持手段は、前記一対の円板体からそれぞれ突出した前記支持部材に固定され、前記支持部材の先端部を掛け渡す長尺部材を備えることを特徴とするケーブルヘッド保持機能付ケーブルドラム。
【請求項2】
前記中央胴体から前記固定胴体を伸長させた際に形成される前記中央胴体の端部と前記円板体との間の空間に、前記中央胴体に巻き線された前記ケーブルに連結された前記ケーブルヘッドを収納することを特徴とする請求項1記載のケーブルヘッド保持機能付ケーブルドラム。
【請求項3】
前記一対の円板体の間に配置される複数の伸縮自在なローラ体をさらに備え、
当該ローラ体は、前記胴体の中心軸に平行な回転軸を有し、前記脚部材の先端をケーブルドラムの載置面に当接させた状態において、前記一対の円板体の最下位置近傍に設置されていることを特徴とする請求項1又は2記載のケーブルヘッド保持機能付ケーブルドラム。
【請求項4】
前記ケーブルヘッド保持手段の長手方向の長さは、前記中央胴体に前記固定胴体を収納させかつ前記一対の円板体の前記支持手段からそれぞれ前記支持部材を突出させた状態における、一対の前記支持部材の間の長さに設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のケーブルヘッド保持機能付ケーブルドラム。
【請求項5】
前記一対の円板体の外側面に取っ手を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のケーブルヘッド保持機能付ケーブルドラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−230889(P2011−230889A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102351(P2010−102351)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】