説明

ケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置及びケーブル保護外皮層剥ぎ取り方法

【課題】本発明は、容易に保護外皮層を剥ぎ取ることができるケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置及びケーブル保護外皮層剥ぎ取り方法を提供する。
【解決手段】横断ブレード18及び縦断ブレード42を保護外皮層12の外皮26に食い込ませた状態で、横断ブレード18及び縦断ブレード42をケーブル13の軸方向端末側に移動させる。これにより、縦断ブレード42により形成されたケーブル13の軸方向に沿った縦断スリット46は、ケーブル13の軸方向端末側に開裂しながら延びていく。このとき、環状スリット45の内側の壁面のうちケーブル13の端末側の壁面は横断ブレード18により押圧されているから、保護外皮層12は、縦断スリット46を起点として電線11からめくれあがるようにして剥ぎ取られる。このように、電線11と保護外皮層12との摩擦力が大きい場合であっても、容易に保護外皮層12を剥ぎ取ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置及びケーブル保護外皮層剥ぎ取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車の動力回路用のケーブルには比較的大きな電流が流れるため、通電時にケーブルから発生する熱を効率よく外部に放散させるための工夫が必要となる。
【0003】
そこで、複数の電線を保護外皮層で包囲し、且つ、電線の外周面と保護外皮層の内周面とができるだけ多くの面積で密着するようにその保護外皮層の厚さ寸法を周方向位置によって異ならせたケーブルが考えられている。このケーブルによれば、通電時に電線から発生した熱は、まず電線の外周面に接する保護外皮層に伝達される。この保護外皮層の内周面は電線の外周面と広い面積で密着しているから、電線からの熱はより効率的に保護外皮層に伝達され、保護外皮層の外面から外部に放散される。
【0004】
さて、ケーブルの端末を電子部品と接続する際には、ケーブルの被覆層を剥ぎ取って芯線を露出させる必要がある。通常の電線においては、芯線に被覆された被覆層は略均一の厚さなので、この被覆層に電線の周方向に所定の深さにスリットを形成し、被覆層を電線の端部側に引っ張ることで被覆層を容易に引きちぎることができる。
【0005】
また、一般のキャブタイヤケーブルでは、被覆層内部の充填物と電線とは密着していないため、被覆層にケーブルの周方向に所定の深さにスリットを形成し、被覆層をケーブルの端部側に引っ張ると、被覆層が引きちぎられると共に、充填物が電線の外周面を滑ることで容易に引き抜けるようになっている。
【0006】
被覆層に所定厚さのスリットを形成して被覆層を電線又はケーブルの端部側に引っ張ることで被覆層を剥ぎ取る被覆剥ぎ取り装置としては、例えば特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2003−32825公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、新構造のケーブルでは、放熱性の向上を図るために、保護外皮層が通常のキャブタイヤケーブルよりも薄く形成されることがある。この場合には、スリットに治具を挿入したまま引き抜こうとしても、保護外皮層に治具からの力が十分に蓄えられず、治具が電線の絶縁層の表面を滑ってしまい、電線の絶縁層を傷つけることが懸念される。
【0008】
また、新構造のケーブルでは、上述したように保護外皮層の厚さ寸法が周方向位置によって異なっているから、保護外皮層に所定の深さにスリットを形成しても、保護外皮層の一部はつながったままの状態になっている。このため保護外皮層を容易には引きちぎることができず、無理に引きちぎろうとしても大きな力を必要とする。
【0009】
さらに、保護外皮層に所定の深さのスリットを形成した後、保護外皮層をケーブルの端末側に引っ張って、電線の外周面を滑らせて引き抜くことも考えられるが、上述したように、保護外皮層の内周面は熱伝導性を向上させるために電線の外周面と密着させているから、保護外皮層と電線とは非常に滑りにくくなっている。このため、保護外皮層を端部側に引っ張っても、容易には保護外皮層を引き抜くことができず、無理に引き抜こうとすると、やはり大きな力を必要とする。
【0010】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、容易に保護外皮層を剥ぎ取ることができるケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置及びケーブル保護外皮層剥ぎ取り方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、複数本の電線をその外周面に接する保護外皮層によって包囲してなり、その保護外皮層の厚さ寸法が周方向位置によって異なるようにされているケーブルについて使用され、そのケーブルの前記保護外皮層を剥ぎ取るための装置であって、前記ケーブルが軸方向に移動しないように保持するケーブル保持機構と、前記ケーブルの周方向に沿った刃を有する横断ブレードと、この横断ブレードを前記ケーブルの軸心方向に移動させることで前記横断ブレードの刃を前記保護外皮層に食い込ませる横断ブレード押し込み機構と、前記横断ブレードの刃が前記保護外皮層に食い込んだ状態で前記横断ブレードを前記ケーブルの周囲を旋回させることで前記保護外皮層に所定深さの環状スリットを形成するブレード旋回機構と、前記ケーブルの軸方向に沿った刃を有する縦断ブレードと、この縦断ブレードを前記ケーブルの軸心方向に移動させることで、前記縦断ブレードの刃を、前記保護外皮層のうち前記環状スリットよりも前記ケーブルの端末側の位置に食い込ませて前記ケーブルの軸方向に沿う縦断スリットを形成する縦断ブレード押し込み機構と、前記縦断ブレードの刃が前記縦断スリットに食い込んだ状態で、前記縦断ブレードを前記ケーブルの軸方向端末側に移動させる縦断ブレード移動機構と、板状をなし、その板面が前記ケーブルの軸線方向を向く共にその先端が前記環状スリットに食い込む剥ぎ取り治具と、前記環状スリットのうち前記縦断スリットの延長上に位置する部分に前記剥ぎ取り治具の先端を食い込ませた状態で、前記剥ぎ取り治具を前記ケーブルの軸方向端末側に移動させる剥ぎ取り治具移動機構とを備えてなる。
【0012】
請求項1に係るケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置を用いてケーブルの保護外皮層を剥ぎ取るには例えば以下のようにすればよい。まず、ケーブルが軸方向に移動しないようにケーブル保持機構で固定する。次に、横断ブレードにより保護外皮層に環状スリットを形成する工程、又は、縦断ブレードにより保護外皮層に縦断スリットを形成する工程を行う。両工程はいずれか一方を先に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
【0013】
横断スリットを形成する工程は以下のようである。すなわち、横断ブレード押し込み機構により横断ブレードをケーブルの軸心方向に移動させて保護外皮層に食い込ませ、この横断ブレードの刃が保護被覆層に食い込んだ状態でブレード旋回機構により横断ブレードをケーブルの周囲を旋回させることで保護外皮層に所定の深さの環状スリットを形成する。
【0014】
また、縦断スリットを形成する工程は以下のようである。すなわち、縦断ブレード押し込み機構により縦断ブレードをケーブルの軸心方向に移動させて、保護外皮層のうち環状スリットよりもケーブルの端末側の位置にケーブルの軸方向に沿った縦断スリットを形成する。
【0015】
続いて、環状スリットのうち縦断スリットの延長上に位置する部分に剥ぎ取り治具の先端を食い込ませた状態で、且つ、縦断ブレードの刃を縦断スリットに食い込ませた状態で、剥ぎ取り治具及び縦断ブレードを、それぞれ剥ぎ取り治具移動機構及び縦断ブレード移動機構によりケーブルの軸方向端末側に移動させる。すると、剥ぎ取り治具の板面が環状スリットの内面をケーブルの端末側に押圧することで、縦断スリットがケーブルの軸方向端末側に延びて開裂しながら、保護外皮層が電線からめくれあがるようにして剥ぎ取られる。
【0016】
なお、縦断ブレードの刃を縦断スリットに食い込ませた状態で、縦断ブレードを縦断ブレード移動機構によりケーブルの軸方向端末側に移動させて、予め縦断スリットをケーブルの端末にまで延長させた後に、環状スリットのうち縦断スリットの延長上に位置する部分に剥ぎ取り治具の先端を食い込ませた状態で、剥ぎ取り治具を剥ぎ取り治具移動機構によりケーブルの軸方向端末側に移動させてもよい。
【0017】
このように請求項1に係るケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置によれば、保護外皮層は電線からめくれあがるようにして剥ぎ取られるから、電線と保護外皮層との摩擦力が大きい場合であっても、容易に保護外皮層を剥ぎ取ることができる。
【0018】
請求項2の発明は、複数本の電線をその外周面に接する保護外皮層によって包囲してなり、その保護外皮層の厚さ寸法が周方向位置によって異なるようにされているケーブルについて使用され、そのケーブルの前記保護外皮層を剥ぎ取るための装置であって、前記ケーブルが軸方向に移動しないように保持するケーブル保持機構と、前記ケーブルの周方向に沿った刃を有する横断ブレードと、この横断ブレードを前記ケーブルの軸心方向に移動させることで前記横断ブレードの刃を前記保護外皮層に食い込ませる横断ブレード押し込み機構と、前記横断ブレードの刃が前記保護外皮層に食い込んだ状態で前記横断ブレードを前記ケーブルの周囲を旋回させることで前記保護外皮層に所定深さの環状スリットを形成するブレード旋回機構と、前記ケーブルの軸方向に沿った刃を有する縦断ブレードと、この縦断ブレードを前記ケーブルの軸心方向に移動させることで、前記縦断ブレードの刃を、前記保護外皮層のうち前記環状スリットよりも前記ケーブルの端末側の位置に食い込ませて縦断スリットを形成する縦断ブレード押し込み機構と、板状をなし、その板面が前記ケーブルの軸線方向を向く共にその先端が前記環状スリットに食い込む剥ぎ取り治具と、前記環状スリットのうち前記縦断スリットの延長上に位置する部分に前記剥ぎ取り治具の先端を食い込ませた状態で、且つ、前記縦断ブレードの刃を前記縦断スリットに食い込ませた状態で、前記剥ぎ取り治具及び前記縦断ブレードを前記ケーブルの軸方向端末側に移動させるブレード移動機構とを備えてなる。
【0019】
請求項2に係るケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置によれば、例えば以下のようにして保護外皮層を剥ぎ取ることができる。まず、ケーブルが軸方向に移動しないようにケーブル保持機構で固定する。次に、横断ブレードにより保護外皮層に環状スリットを形成する工程、又は、縦断ブレードにより保護外皮層に縦断スリットを形成する工程を行う。両工程はいずれか一方を先に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
【0020】
横断スリットを形成する工程は以下のようである。すなわち、横断ブレード押し込み機構により横断ブレードをケーブルの軸心方向の所定の位置迄移動させて保護外皮層に食い込ませ、この横断ブレードの刃が保護被覆層に食い込んだ状態でブレード旋回機構により横断ブレードをケーブルの周囲を旋回させることで保護外皮層に所定の深さの環状スリットを形成する。
【0021】
また、縦断スリットを形成する工程は以下のようである。すなわち、縦断ブレード押し込み機構により縦断ブレードをケーブルの軸心方向に移動させて、保護外皮層のうち環状スリットよりもケーブルの端末側の位置にケーブルの軸方向に沿った縦断スリットを形成する。
【0022】
続いて、環状スリットのうち縦断スリットの延長上に位置する部分に剥ぎ取り治具に先端を食い込ませた状態で、且つ、縦断ブレードの刃を縦断スリットに食い込ませた状態で、剥ぎ取り治具及び縦断ブレードを、ブレード移動機構によりケーブルの軸方向端末側に移動させる。すると、剥ぎ取り治具の板面が環状スリットの内面をケーブルの端末側に押圧することで、縦断スリットがケーブルの軸方向端末側に延びて開裂しながら、保護外皮層が電線からめくれあがるようにして剥ぎ取られる。
【0023】
このように請求項2にかかるケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置によれば、剥ぎ取り治具及び縦断ブレードはブレード移動機構により移動させることができるから、剥ぎ取り治具及び縦断ブレードの夫々に対して移動機構を設ける場合に比べて部品点数を削減できる。
【0024】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2記載のものにおいて、前記ブレード旋回機構は、フレームに軸受けを介して支持され中空内部に前記ケーブルを挿通させる環状回転体と、この環状回転体を回転させる環状回転体駆動機構とからなることを特徴とする。
【0025】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記ケーブルの軸線に対して前記横断ブレード及び/又は前記縦断ブレードと対称な位置には、前記横断ブレード及び/又は前記縦断ブレードを前記保護外皮層に食い込ませる際に前記ケーブルに加わる力を受けて前記ケーブルを支持するケーブル支持部が設けられていることを特徴とする。
【0026】
請求項5の発明は、請求項4記載のものにおいて、前記ケーブル支持部を前記ケーブルの軸心方向に移動させるケーブル支持部調整機構が設けられていることを特徴とするケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置。
【0027】
請求項6の発明は、請求項4または請求項5記載のものにおいて、前記ケーブル支持部のうち前記ケーブルと対向する領域は、円弧状受け面となっていることを特徴する。
【0028】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のものにおいて、前記剥ぎ取り治具は、前記横断ブレードであることを特徴とする。
【0029】
請求項8の発明は、複数本の電線をその外周面に接する保護外皮層によって包囲してなり、その保護外皮層の厚さ寸法が周方向によって異なるようにされているケーブルの前記保護外皮層を剥ぎ取るための方法であって、前記ケーブルが軸方向に移動しないように保持するケーブル保持工程と、前記ケーブルの周方向に沿った刃を有する横断ブレードを、前記ケーブルの軸心方向に移動させることで前記横断ブレードの刃を前記保護外皮層に食い込ませる横断ブレード押し込み工程と、この横断ブレードの刃が前記保護外皮層に食い込んだ状態で前記横断ブレードを前記ケーブルの周囲を旋回させることで前記保護外皮層に所定深さの環状スリットを形成するブレード旋回工程と、前記ケーブルの軸方向に沿った刃を有する縦断ブレードを前記ケーブルの軸心方向に移動させることで、前記縦断ブレードの刃を、前記保護外皮層のうち前記環状スリットよりも前記ケーブルの端末側の位置に食い込ませて前記ケーブルの軸方向に沿う縦断スリットを形成する縦断ブレード押し込み工程と、前記縦断ブレードの刃が前記縦断スリットに食い込んだ状態で、前記縦断ブレードを前記ケーブルの軸方向端末側に移動させる縦断ブレード移動工程と、前記環状スリットのうち前記縦断スリットの延長上に位置する部分に前記横断ブレードを食い込ませた状態で、前記横断ブレードを前記ケーブルの軸方向端末側に移動させる横断ブレードを移動させる横断ブレード移動工程とを実行することを特徴とする。
【0030】
請求項9の発明は、複数本の電線をその外周面に接する保護外皮層によって包囲してなり、その保護外皮層の厚さ寸法が周方向によって異なるようにされているケーブルの前記保護外皮層を剥ぎ取るための方法であって、前記ケーブルが軸方向に移動しないように保持するケーブル保持工程と、前記ケーブルの周方向に沿った刃を有する横断ブレードを、前記ケーブルの軸心方向に移動させることで前記横断ブレードの刃を前記保護外皮層に食い込ませる横断ブレード押し込み工程と、この横断ブレードの刃が前記保護外皮層に食い込んだ状態で前記横断ブレードを前記ケーブルの周囲を旋回させることで前記保護外皮層に所定深さの環状スリットを形成するブレード旋回工程と、前記ケーブルの軸方向に沿った刃を有する縦断ブレードを前記ケーブルの軸心方向に移動させることで、前記縦断ブレードの刃を、前記保護外皮層のうち前記環状スリットよりも前記ケーブルの端末側の位置に食い込ませて前記ケーブルの軸方向に沿う縦断スリットを形成する縦断ブレード押し込み工程と、前記環状スリットのうち前記縦断スリットの延長上に位置する部分に前記横断ブレードの刃を食い込ませた状態で、且つ、前記縦断ブレードの刃を前記縦断スリットに食い込ませた状態で、前記横断ブレード及び前記縦断ブレードを前記ケーブルの軸方向端末側に移動させる両ブレード移動工程とを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
<請求項1及び請求項8の発明>
請求項1及び請求項8の発明によれば、保護外皮層は電線からめくれあがるようにして剥ぎ取られるから、電線と保護外皮層との摩擦力が大きい場合であっても、容易に保護外皮層を剥ぎ取ることができる。
【0032】
<請求項2及び請求項9の発明>
請求項2及び請求項9の発明によれば、剥ぎ取り治具及び縦断ブレードはブレード移動機構により移動させることができるから、剥ぎ取り治具及び縦断ブレードの夫々に対して移動機構を設ける場合に比べて部品点数を削減できる。
【0033】
<請求項3の発明>
環状回転体の中空内部にケーブルを挿通し、環状回転体の回動軸に沿うようにしてケーブルを保持する。この状態で保護外皮層に横断ブレードを食い込ませ、環状回転体駆動機構により環状回転体を回動軸を中心にして回動させることで、環状回転体に取り付けられた横断ブレードは環状回転体の回動軸から一定の間隔を保持した状態でケーブルの周囲を旋回するから、保護外皮層に一定の深さの環状スリットを形成できる。このように請求項3の発明によれば、環状回転体を回動させるという簡易な構成により保護外皮層に環状スリットを形成できる。
【0034】
<請求項4の発明>
横断ブレードの刃及び/又は縦断ブレードの刃をケーブルの軸心方向から保護外皮層に食い込ませると、ケーブルが横断ブレード及び/又は縦断ブレードに押圧されて撓み変形し、横断ブレード及び/又は縦断ブレードからの押圧力が逃げることにより、保護外皮層にスリットが形成されにくくなることが懸念される。
【0035】
請求項4の発明によれば、ケーブルは、その軸線に対して横断ブレード及び/又は縦断ブレードと対称に配されたケーブル支持部により支持されることで、横断ブレード及び/又は縦断ブレードがケーブルの軸心方向に押し込まれた場合でも、ケーブルが撓み変形することを防止できる。これにより保護外皮層に確実にスリットを形成できる。
【0036】
<請求項5の発明>
請求項5の発明によれば、ケーブル支持部調整機構を軸心方向に移動させることで、径の異なるケーブルを使用した場合でも、ケーブルを撓ませることなくケーブル支持部により支持できる。これにより第1及び縦断ブレードからの押圧力をケーブル支持部で確実に受けることができる。
【0037】
<請求項6の発明>
請求項6の発明によれば、ケーブルを、ケーブル支持部の円弧状受け面で、しっかりと保持できる。
【0038】
<請求項7の発明>
請求項7の発明によれば、剥ぎ取り治具と、横断ブレードとを別々に設ける場合に比べて部品点数を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図3を参照して説明する。本実施形態にかかるケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置10は、複数本の電線11を保護外皮層12で包囲してなるケーブル13の保護外皮層12を剥ぎ取るためのものであって、ベース14と、このベース14上に取り付けられたフレーム15と、このフレーム15に軸受け16を介して支持された環状回転体17(本発明のブレード旋回機構に該当)と、この環状回転体17に取り付けられると共にケーブル13の保護外皮層12に食い込んで保護外皮層12を剥ぎ取る横断ブレード18(本発明の剥ぎ取り治具に該当)とを備えてなる。
【0040】
ベース14は図1における左右方向に延びた形状をなしている。図1に示すように、ベース14には図1における左右方向に延びるリニアガイド47(本発明のブレード移動機構に該当)が設けられており、フレーム15は、フレーム移動機構19(本発明のブレード移動機構に該当)を介して、このリニアガイド47に対して摺動可能に取り付けられている。詳細には図示しないが、ベース14及びフレーム移動機構19には図示しない駆動機構が設けられており、この駆動機構を駆動することで、フレーム15は図1における左右方向(矢線Aで示す方向)に移動可能になっている。
【0041】
フレーム15はフレーム移動機構19から図1における上方に延びて形成されており、フレーム15の上端部には、ベアリング20及びベアリング固定ナット21からなる軸受け16を介して環状回転体17が支持されている。環状回転体17は円筒状をなしており、軸方向が図1における左右方向(矢線Aで示す方向)を向くように配されている。環状回転体17の左端には環状回転体側ギア22(本発明の環状回転体駆動機構に該当)が設けられている。この環状回転体側ギア22の下方にはサーボモータ側ギア23(本発明の環状回転体駆動機構に該当)が嵌合しており、このサーボモータ側ギア23の左方には環状回転体用サーボモータ24(本発明の環状回転体駆動機構に該当)が取り付けられている。この環状回転体用サーボモータ24を駆動することでサーボモータ側ギア23及び環状回転体側ギア22を介して駆動力が伝達され、環状回転体17が回転するようになっている。
【0042】
環状回転体17の中空内部には、ケーブル13が、図1における左右方向(矢線Aで示す方向)に延びた状態で配されている。図3に示すように、ケーブル13は3本の電線11が保護外皮層12により包囲されてなり、ケーブル13の断面形状は略真円形をなしている。3本の電線11は、保護外皮層12により、概ね俵積み状(電線11の中心を結んだときにほぼ正三角形を描く形態)をなすような位置関係であって、且つ、所定のピッチで撚り合わされた状態で保持されている。
【0043】
保護外皮層12は、電線11の外表面に接する内層25と、この内層25の外周面に密着すると共に内層25を包囲する外皮26とからなる。内層25及び外皮26は合成樹脂からなり、内層25と外皮26とが同じ合成樹脂材で一体又は別々に形成されてもよいし、また、それぞれ異なる合成樹脂材から形成されていてもよい。上記した内層25の厚さ寸法はケーブル13の周方向位置によって異なるようにされており、電線11の外表面と広く接するようになっている。一方、上記した外皮26の厚さ寸法は、ケーブル13の周方向によって略同じに設定されている。
【0044】
電線11は、金属製(例えば、アルミニウム合金や銅合金など)の導体28の外周を合成樹脂製の絶縁被覆27で包囲した形態であり、導体28は複数本の細線(図示せず)を螺旋状に寄り合わせた撚り線からなる。電線11の断面形状は導体28と絶縁被覆27の双方が略真円形とされている。
【0045】
電線11に通電すると熱が発生する。この熱は電線11の絶縁被覆27から保護外皮層12の内層25に伝達される。このとき、電線11の外表面と内層25とは広く接するようになっているから、電線11からの熱が効率よく保護外皮層12に伝達される。内層25に伝達された熱は、外皮26に伝達され、外部に放散される。このように、電線11から発生した熱は、保護外皮層12を介して外部に効率よく放散されるようになっている。
【0046】
図1及び図2に示すように、ケーブル13は金属製(例えばアルミニウム合金、ステンレス、銅合金など)のパイプ29内に挿通されており、このパイプ29によりシールドされている。詳細には図示しないが、このパイプ29の断面形状はケーブル13と同様、略真円形をなしている。ケーブル13の外周面とパイプ29の内周面とは接しており、これにより、ケーブル13が、パイプ29内において、軸方向に相対移動したり、周方向に相対回転したりしないように保持されている。
【0047】
図1におけるパイプ29の右端縁からはケーブル13が右方に延出されており、このケーブル13は、ケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置10に取り付けられた(詳細には図示せず)クランプ30(本発明のケーブル保持機構に該当)により、パイプ29の外周面が挟み付けられた状態でケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置10に保持されている。上述したように、ケーブル13はパイプ29内において軸方向に相対移動したり、周方向に相対回転したりしないように保持されているから、上記クランプ30に保持されることで、ケーブル13は軸方向に移動しないようになっている。
【0048】
図1に示すように、環状回転体17の右端には、横断ブレード18をケーブル13の軸心方向(矢線Bで示す方向)に移動させる横断ブレード押し込み機構31と、ケーブル13の軸線に対して横断ブレード18と対称な位置に配されるケーブル支持部32をケーブル13の軸心方向(矢線Cで示す方向)に移動可能なケーブル支持部調整機構33とが取り付けられている。図1においては、便宜上、上側に横断ブレード押し込み機構31が配され、下側にケーブル支持部調整機構33が配されているが、上述したように環状回転体17は回転可能に配されているので、横断ブレード押し込み機構31及びケーブル支持部調整機構33の位置は図1の配置に限られない。
【0049】
横断ブレード押し込み機構31はロッド35Aを備えてなり、このロッド35Aをケーブル13の軸心方向(矢線Bで示す方向)に駆動可能になっている。ロッド35Aのうちケーブル13の軸心方向内側の端部には、補強板36と押さえ板37との間に横断ブレード18を挟みこんでなる積層体がボルト38によりねじ止めされている。
【0050】
図2及び図3に示すように、横断ブレード18は細長い板状をなしており、板面と垂直な方向がケーブル13の軸方向を向く姿勢で配されている。横断ブレード18のうちケーブル13側の端縁にはケーブル13の周方向に沿った刃44が設けられている。この刃44の刃先は略円弧状をなしている。
【0051】
一方、ケーブル支持部調整機構33はロッド35Bを備えてなり、このロッド35Bをケーブル13の軸心方向(矢線Cで示す方向)に駆動可能になっている。ロッド35Bのうちケーブル13の軸心方向内側の端部には、ケーブル支持部32がボルト38によりねじ止めされている。
【0052】
図1に示すように、ケーブル支持部32のうちケーブル13の軸心方向内側の端縁には、ケーブル13と当接してケーブル13を支持する支持部本体39が左右方向(ケーブル13の軸方向)に延設されており、側方から見て略T字状をなしている。図3に示すように、支持部本体39のうちケーブル13と対向して当接する領域は、円弧面の一部をなしており、ケーブル13を受ける円弧状受け面50とされる。この円弧状受け面50により、ケーブル13はしっかりとケーブル支持部32に支持されるようになっている。支持部本体39のうち、図1における左端部には、ケーブル13の軸心方向外方に引っ込んだ段差部40が形成されており、図1に示すようにこの段差部40にはパイプ29の右端部が支持されるようになっており、パイプ29の右端縁から延出されたケーブル13端末は支持部本体39の右端部に支持されるようになっている。この段差部40の高さ寸法はパイプ29の肉厚寸法とほぼ同じに設定されている。これにより、ケーブル13がパイプ29内に挿通された状態であっても、ケーブル13が支持部本体39の上で傾くことなく、しっかりと保持できるようになっている。
【0053】
さて、図1において、横断ブレード押し込み機構31の加圧シリンダ34の右方(ケーブル13の軸方向端末側)には、左右方向に延びる取付け部材41を介して、後述する縦断ブレード42をケーブル13の軸心方向に移動させることでケーブル13の保護外皮層12に食い込ませる縦断ブレード押し込み機構43が取り付けられている。縦断ブレード押し込み機構43はロッド35Cを備えてなり、このロッド35Cをケーブル13の軸心方向(矢線Dで示す方向)に駆動可能になっている。ロッド35Cのうちケーブル13の軸心方向内側の端部には、縦断ブレード42が、1対の押さえ板37の間に挟みこまれた状態でボルト38によりねじ止めされている。
【0054】
図2及び図3に示すように、縦断ブレード42は細長い板状をなしており、その板面に沿う方向がケーブル13の軸心方向と平行になるような姿勢であって、且つ、図2における右斜め上方に傾いた姿勢で配されている。縦断ブレード42のうちケーブル13側の端縁には、ケーブル13の軸方向に沿った刃44が設けられている。縦断ブレード42の刃44は、横断ブレード18の刃44よりもケーブル13の軸方向端末側(図2における右側)の位置に、横断ブレード18と対向するように配されている。このように縦断ブレード42は横断ブレード18と対向する位置に配されているから、ケーブル支持部32は、ケーブル13の軸線に対して縦断ブレード42と対称な位置に配されるようになっている。
【0055】
続いて、実施形態1に係るケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置10を用いた、ケーブル13保護外皮層12の剥ぎ取り工程について説明する。
【0056】
(ケーブル保持工程)
まず、パイプ29内にケーブル13を挿通した状態で、且つ、ケーブル13の端末を図1における右方に向けた姿勢で、パイプ29の外周面をクランプ30で把持する。上述したようにパイプ29の内周面とケーブル13の外周面とは密着しているので、パイプ29を把持することで、ケーブル13が軸方向に相対移動することを防止できると共に、ケーブル13が周方向に相対回転することを防止できる。
【0057】
(ケーブル支持工程)
続いて、ケーブル支持部調整機構33を駆動してロッド35Bをケーブル13の軸心方向内方に移動させ、このロッド35Bに取り付けられたケーブル支持部32をケーブル13の軸心方向内方に移動させ、ケーブル支持部32のうち支持部本体39がケーブル13の外周面にケーブル13の軸心方向外方から当接すると共に、段差部40がパイプ29の外周面にケーブル13の軸心方向外方から当接する。これにより、ケーブル13を撓ませることなく、ケーブル支持部32に支持させることができる。
【0058】
(横断ブレード押し込み工程)
パイプ29及びケーブル13がケーブル支持部32により支持された状態で、横断ブレード押し込み機構31を駆動してロッド35Aをケーブル13の軸心方向内方に移動させることで、このロッド35Aに取り付けられた横断ブレード18を、ケーブル13の軸心方向内方に移動させる。横断ブレード押し込み機構31は、横断ブレード18の刃44が保護外皮層12の外皮26に食い込み、且つ、横断ブレード18の刃44が保護外皮層12の内層25にまで達しない状態まで作動させる。すると、横断ブレード18の刃44はケーブル13の保護外皮層12の外皮26に食い込んだ状態になる。このときケーブル13は、ケーブル13に対して横断ブレード18と対向する位置に配されたケーブル支持部32により支持されているから、横断ブレード18を保護外皮層12の外皮26に食い込ませた際に、ケーブル13が撓んで横断ブレード18の押圧力が逃げてしまうことを防止できる。
【0059】
(環状回転体回転工程)
続いて、横断ブレード18の刃44がケーブル13の保護外皮層12の外皮26に食い込んだ状態で、環状回転体用サーボモータ24を駆動する。すると、環状回転体用サーボモータ24の駆動力が、サーボモータ側ギア23及び環状回転体側回転ギアを介して環状回転体17に伝達され、環状回転体17が回転する。すると、環状回転体17に取り付けられた横断ブレード押し込み機構31及び横断ブレード18も回転する。環状回転体17をケーブル13の周囲を回転させると、横断ブレード18は、刃44がケーブル13の保護外皮層12の外皮26に食い込んだ状態でケーブル13の周囲を旋回するので、保護外皮層12の外皮26には、ケーブル13の周方向に輪切り状に、環状スリット45(図2において二点鎖線で示す)が形成される。この環状回転体17には、横断ブレード押し込み機構31及びケーブル支持部調整機構33が取り付けられているから、両機構31,33は環状回転体17と共に回転する。このため、環状回転体17が回転している間、保護外皮層12の外皮26には、横断ブレード18からの押圧力がケーブル支持部32に支持された状態で環状スリット45が形成されるようになっている。これにより保護外皮層12の外皮26に確実に環状スリット45を形成できる。
【0060】
(縦断ブレード押し込み工程)
次に、縦断ブレード押し込み機構43を駆動してロッド35Cをケーブル13の軸心方向内方に移動させることで、このロッド35Cに取り付けられた縦断ブレード42を、ケーブル13の軸心方向内方に移動させる。このとき縦断ブレード押し込み機構43は、縦断ブレード42の刃44が保護外皮層12の外皮26に食い込み、且つ、縦断ブレード42の刃44が保護外皮層12の内層25にまで達しない状態まで作動させる。すると、縦断ブレード42の刃44はケーブル13の保護外皮層12の外皮26に食い込んだ状態になる。このときケーブル13は、ケーブル13に対して縦断ブレード42と対向する位置に配されたケーブル支持部32により支持されているから、縦断ブレード42を保護外皮層12の外皮26に食い込ませた際に、ケーブル13が撓んで縦断ブレード42の押圧力が逃げてしまうことを防止できる。これにより、保護外皮層12の外皮26には、ケーブル13の軸方向に延びる縦断スリット46を確実に形成できる。
【0061】
なお、横断ブレード押し込み工程及び環状回転体回転工程と、縦断ブレード押し込み工程とは、上記と逆の順序で実行してもよいし、また、同時に実行してもよい。
【0062】
(ブレード移動工程)
環状スリット45のうち縦断スリット46の延長上の位置する部分に横断ブレード18の刃44を食い込ませた状態で、且つ、縦断スリット46に縦断ブレード42の刃44を食い込ませた状態で、駆動機構(図示せず)を駆動する。すると、フレーム移動機構19に駆動力が伝達され、リニアガイド47に沿って、フレーム15がケーブル13の軸方向端末側(図2における右方)に移動する。これにより、フレーム15に支持された環状回転体17に取り付けられた横断ブレード18の板面により、環状スリット45の内側の壁面のうち、ケーブル13の端末側(図2における右側)の壁面が、左方から押圧される。このとき、保護外皮層12の内層25は、電線11の放熱性を向上させるために、電線11の外表面に接すると共に、内層25の厚さ寸法を周方向によって異ならせる構成としたから、保護外皮層12の内層25と、電線11との間には大きな摩擦力が働く。このため、横断ブレード18により保護外皮層12の外皮26をケーブル13の端末側に押圧しただけでは、保護外皮層12が残存してしまうことが懸念される。
【0063】
上記の点に鑑み、本実施形態では、ケーブル13の軸方向に沿った刃44を有する縦断ブレード42をも保護外皮層12の外皮26に食い込ませた状態で、横断ブレード18をケーブル13軸方向端末側に移動させる構成とした。これにより、縦断ブレード42もケーブル13軸方向端末側に移動するから、縦断ブレード42により形成されたケーブル13の軸方向に沿った縦断スリット46には、縦断ブレード42から、開裂方向の力が加わる。さらに横断ブレード18及び縦断ブレード42を移動させると、縦断スリット46がケーブル13の軸方向端末側に開裂しながら延びていく。この状態で、横断ブレード18により環状スリット45の内側の壁面のうち、ケーブル13の端末側(図2における右側)の壁面は左方から押圧されているから、保護外皮層12は、縦断スリット46を起点として電線11からめくれあがるようにして剥ぎ取られる(図4参照)。
【0064】
以上説明したように、本実施形態によれば、保護外皮層12を電線11からめくれあがるようにして剥ぎ取ることができるから、電線11と保護外皮層12との摩擦力が大きなケーブル13であっても、容易に保護外皮層12を剥ぎ取ることができる。
【0065】
また、横断ブレード18及び縦断ブレード42と、ケーブル13の軸線に対して対称な位置に、ケーブル支持部32を配する構成としたから、横断ブレード18及び縦断ブレード42を保護外皮層12の外皮26に食い込ませる際に、ケーブル13が撓んで、両ブレード18,42からの押圧力が逃げてしまうことを防止できる。これにより、確実に、保護外皮層12の外皮26に環状スリット45及びケーブル13の軸方向に延びる縦断スリット46を形成できる。
【0066】
その上、ケーブル支持部調整機構33によりケーブル支持部32をケーブル13の軸心方向に移動させるようにしたから、径が異なるケーブル13を使用する場合でも、ケーブル13を撓ませることなくケーブル支持部32で確実に支持することができる。そして、ケーブル支持部32の支持部本体39のうちケーブル13と対向して当接する領域は円弧面の一部をなしているから、ケーブル13と支持部本体39とは面接触する。この結果、ケーブル13はしっかりとケーブル支持部32に支持されるようになっている。
【0067】
さらに、横断ブレード18及び縦断ブレード42は、リニアガイド47、フレーム移動機構19等の、ブレード移動機構により、ケーブル13の軸方向端末側に移動するようになっているから、横断ブレード18及び縦断ブレード42を別々の機構で移動させる場合に比べて、部品点数を削減できる。また、本実施形態では、横断ブレード18が剥ぎ取り治具を兼ねるので、部品点数を削減できる。
【0068】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図5を参照して説明する。本実施形態においては、ベース14に設けられたリニアガイド47(本発明の剥ぎ取り治具移動機構及び縦断ブレード移動機構に該当)には、フレーム移動機構19(本発明の剥ぎ取り治具移動機構に該当)の右方(ケーブル13の軸方向端末側)に、縦断ブレード取付フレーム移動機構51(本発明の縦断ブレード移動機構に該当)を介して、縦断ブレード取付フレーム52が、リニアガイド47に対して摺動可能に取り付けられている。ベース14及び縦断ブレード取付フレーム移動機構51には、図示しない駆動機構が設けられており、この駆動機構を駆動することで、縦断ブレード取付フレーム52は図1における左右方向(矢線Aで示す方向)に移動可能になっている。
【0069】
縦断ブレード取付フレーム52は、縦断ブレード取付フレーム移動機構51から図5における上方に延びて形成されており、この縦断ブレード取付フレーム52には左右方向に貫通する図示しない貫通孔に、図示しない回転軸が挿通されている。この回転軸の左端部には、板状をなす回転部材53が取り付けられており、一方、回転軸の右端部には、回転部材側ギア54が取り付けられている。この回転部材側ギア54の下方には、サーボモータ側ギア55が嵌合しており、このサーボモータ側ギア55の右方には、縦断ブレード用サーボモータ56が取り付けられている。この縦断ブレード用サーボモータ56を駆動することでサーボモータ側ギア55及び回転部材側ギア54を介して駆動力が伝達され、回転部材53が回転するようになっている。
【0070】
図5に示すように、回転部材53の左端には、縦断ブレード42をケーブル13の軸心方向(矢線Eで示す方向)に移動させる縦断ブレード押し込み機構43が取り付けられている。図5においては、便宜上、回転部材53の上端部寄りの位置に縦断ブレード押し込み機構43が配されているが、上述したように回転部材53は回転可能に配されているので、縦断ブレード押し込み機構43の位置は図5の配置に限られない。
【0071】
上記以外の構成については、実施形態1の略同様なので、同一の部材については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0072】
続いて、実施形態2に係るケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置10を用いた、ケーブル13保護外皮層12の剥ぎ取り工程について説明する。なお、実施形態1と同一の工程については、重複する説明を省略する。まず、実施形態1と同様にして、ケーブル保持工程、ケーブル支持工程、横断ブレード押し込み工程、環状回転体回転工程及び縦断ブレード押し込み工程を行う。
【0073】
(横断ブレード移動工程及び縦断ブレード移動工程)
環状スリット45のうち縦断スリット46の延長上の位置する部分に横断ブレード18の刃44を食い込ませた状態で、且つ、縦断スリット46に縦断ブレード42の刃44を食い込ませた状態で、駆動機構(図示せず)を駆動する。すると、フレーム移動機構19及び縦断ブレード取付フレーム移動機構51に駆動力が伝達され、リニアガイド47に沿って、フレーム15及び縦断ブレード取付フレーム52がケーブル13の軸方向端末側(図2における右方)に移動する。これにより、縦断スリット46は縦断ブレード42の刃44ケーブル13の軸方向端末側に延長される。一方、フレーム15に支持された環状回転体17に取り付けられた横断ブレード18の板面により、環状スリット45の内側の壁面のうち、ケーブル13の端末側(図2における右側)の壁面が、左方から押圧される。これにより、保護外皮層12は、縦断スリット46を起点として電線11からめくれあがるようにして剥ぎ取られる。
【0074】
このように本実施形態によれば、保護外皮層12を電線11からめくれあがるようにして剥ぎ取ることができるから、電線11と保護外皮層12との摩擦力が大きなケーブル13であっても、容易に保護外皮層12を剥ぎ取ることができる。
【0075】
なお、縦断ブレード移動工程は、横断ブレード移動工程と同時に行わなくてもよい。すなわち、縦断ブレード42の刃44を縦断スリット46に食い込ませた状態で、縦断ブレード43を縦断ブレード移動機構(縦断ブレード取付フレーム移動機構51、リニアガイド47等)によりケーブル13の軸方向端末側に移動させて、予め縦断スリット46をケーブル13の端末にまで延長させた後に、上述したのと同様にして、横断ブレード押し込み工程及び環状回転体回転工程を行って環状スリット45を形成し、その後、横断ブレード移動工程を行ってもよい。
【0076】
上記のように、横断ブレード移動工程に先立って予め縦断スリット46をケーブル13の端部にまで延長する場合、以下のようにして、縦断スリット46を複数条形成しておいてもよい。
【0077】
すなわち、まず、縦断ブレードの刃44を縦断スリット46に食い込ませた状態で、上記と同様にして、縦断ブレードをケーブル13の軸方向端末側に移動させ、縦断スリット46をケーブル13の端末にまで延長する。次に、縦断ブレード押し込み機構43を駆動してロッド35Cを上昇させる。すると、縦断ブレードがケーブル13の軸心方向外方に移動して、縦断スリット46から離間する。
【0078】
この状態で、駆動機構(図示せず)を駆動して、縦断ブレード取付フレーム52を図5における左方であって、縦断スリット46を形成する際の開始位置にまで移動させる。続いて、縦断ブレード用サーボモータ56を駆動する。すると、縦断ブレード用サーボモータ56の駆動力が、サーボモータ側ギア55及び回転部材側ギア54を介して回転部材53に伝達され、回転部材53が回転する。この回転部材53が所定の角度だけ回転したら縦断ブレード用サーボモータ56を停止させる。
【0079】
次に、上述したのと同様にして、縦断ブレード押し込み工程及び縦断ブレード移動工程を行って、保護外皮層12に他の縦断スリット46を形成し、他の縦断スリット46をケーブル13の端部にまで延長させる。この工程を所定の回数繰り返すことで、保護外皮層12に、ケーブル13の端部にまで延長された複数条の縦断スリット46を形成する。
【0080】
その後、環状スリット45のうち、複数条の縦断スリット46のいずれか1つの延長上に位置する部分に横断ブレード18の刃44を食い込ませ、横断ブレード移動工程を行う。このように複数条の縦断スリット46を形成することで、保護外皮層12が横断ブレード18に押圧された際にめくりあがりやすくなるため、一層保護外皮層12を剥ぎ取りやすくなる。
【0081】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0082】
(1)本実施形態では、1本のケーブル13に3本の電線11が配される構成としたが、これに限られず、1本のケーブル13に2本又は4本以上の電線11が配される構成としてもよい。
【0083】
(2)本実施形態では、電線11は保護外皮層12内で俵積み状に配置されるようにしたが、これに限られず、電線11は一列に並ぶように配置されていてもよく、縦横に整列して配置されていてもよい。
【0084】
(3)本実施形態では、1本のケーブル13内に、3本の同じ種類の電線11を挿通する構成としたが、これに限られず、例えば、電力用の電線と、信号用の電線とを1本のケーブル13内に挿通する構成としてもよい。
【0085】
(4)本実施形態では、保護外皮層12は内層25及び外皮26の二種類からなる構成としたが、これに限られず、1種類からなる構成としてもよい。また、三種類以上の複数層からなる構成としてもよい。
【0086】
(5)本実施形態では、横断ブレード18は、1つのケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置10に対して1つ設ける構成であったが、これに限られず、1つのケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置10に対して2つ以上設けてもよい。
例えば、横断ブレード18を2つ設ける場合には、2つの横断ブレード18を互いに対向する位置に配してもよい。これにより、保護外皮層12に横断ブレード18を食い込ませる際にケーブル13に加わる力を横断ブレード18同士が互いに受けることができるから、ケーブル13の撓みを抑制可能となり、保護外皮層12に環状スリット45を形成しやすくなる。
また、例えば、横断ブレード18を3つ以上設ける場合には、横断ブレード18同士をケーブル13の周方向に等間隔に配することで、保護外皮層12に横断ブレード18を食い込ませる際にケーブル13に加わる力を横断ブレード18同士が互いに受けることができる。
上述のように、保護外皮層12に横断ブレード18を食い込ませる際にケーブル13に加わる力を横断ブレード18同士が互いに受けることができる場合には、ケーブル支持部32を省略できる。
【0087】
(6)本実施形態では、縦断ブレード42は、1つのケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置10に対して1つ設ける構成であったが、これに限られず、1つのケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置10に対して2つ以上設けてもよい。
例えば、縦断ブレード42を2つ設ける場合には、2つの縦断ブレード42を互いに対向する位置に配してもよい。これにより、保護外皮層12に縦断ブレード42を食い込ませる際にケーブル13に加わる力を縦断ブレード42同士が互いに受けることができるから、ケーブル13の撓みを抑制可能となり、保護外皮層12に縦断ブレード42を食い込ませやすくなる。
また、例えば、縦断ブレード42を3つ以上設ける場合には、縦断ブレード42同士をケーブル13の周方向に等間隔に配することで、保護外皮層12に縦断ブレード42を食い込ませる際にケーブル13に加わる力を縦断ブレード42同士が互いに受けることができる。
上述のように、保護外皮層12に縦断ブレード42を食い込ませる際にケーブル13に加わる力を縦断ブレード42同士が互いに受けることができる場合には、ケーブル支持部32を省略できる。
【0088】
(7)本実施形態では、横断ブレード18が剥ぎ取り治具を兼ねる構成としたが、横断ブレード18と、剥ぎ取り治具とを別々に配する構成としてもよい。これにより、剥ぎ取り治具の形状等に設計の自由度が増す。例えば、剥ぎ取り治具を幅広に形成することで、保護外皮層12を押圧する際の面積を大きくして押圧力を大きくすることが可能となり、保護外舗装12を剥ぎ取りやすくすることができる。また、剥ぎ取り治具の先端に刃44を設けない構成とすることも可能となり、この場合には電線11の絶縁被覆27を傷つけることを防止できる。
【0089】
(8)本実施形態では、ケーブル支持部32の支持部本体39には、ケーブル13を受ける円弧状受け面50を形成する構成としたが、これに限られず、支持部本体39は平板状であってもよい。
【0090】
(9)実施形態1では、横断ブレード押し込み機構31と、縦断ブレード押し込み機構43とは環状回転体17に取付け部材41を介して取り付けられる構成としたが、これに限られず、縦断ブレード押し込み機構43は、環状回転体17と異なる部材に取り付けられる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】実施形態1に係るケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置の一部切欠側面図
【図2】ケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置の一部拡大図
【図3】ケーブルの保護外皮層に横断ブレード及び縦断ブレードが食い込んだ状態を示す一部拡大断面図
【図4】ケーブルの保護外皮層がめくれ上がりながら剥ぎ取られる状態を示す一部拡大正面図
【図5】実施形態2に係るケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置の一部切欠側面図
【符号の説明】
【0092】
10…ケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置
11…電線
12…保護外皮層
13…ケーブル
15…フレーム
16…軸受け
17…環状回転体(ブレード旋回機構)
18…横断ブレード(剥ぎ取り治具)
19…フレーム移動機構(ブレード移動機構、剥ぎ取り治具移動機構)
22…環状回転体側ギア(環状回転体駆動機構、ブレード旋回機構)
23…サーボモータ側ギア(環状回転体駆動機構、ブレード旋回機構)
24…環状回転体用サーボモータ(環状回転体駆動機構、ブレード旋回機構)
30…クランプ(ケーブル保持機構)
31…横断ブレード押し込み機構
32…ケーブル支持部
33…ケーブル支持部調整機構
42…縦断ブレード
43…縦断ブレード押し込み機構
45…環状スリット
46…縦断スリット
47…リニアガイド(ブレード移動機構、剥ぎ取り治具移動機構、縦断ブレード移動機構)
50…円弧状受け面
52…縦断ブレード取付フレーム移動機構(縦断ブレード移動機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の電線をその外周面に接する保護外皮層によって包囲してなり、その保護外皮層の厚さ寸法が周方向位置によって異なるようにされているケーブルについて使用され、そのケーブルの前記保護外皮層を剥ぎ取るための装置であって、
前記ケーブルが軸方向に移動しないように保持するケーブル保持機構と、
前記ケーブルの周方向に沿った刃を有する横断ブレードと、
この横断ブレードを前記ケーブルの軸心方向に移動させることで前記横断ブレードの刃を前記保護外皮層に食い込ませる横断ブレード押し込み機構と、
前記横断ブレードの刃が前記保護外皮層に食い込んだ状態で前記横断ブレードを前記ケーブルの周囲を旋回させることで前記保護外皮層に所定深さの環状スリットを形成するブレード旋回機構と、
前記ケーブルの軸方向に沿った刃を有する縦断ブレードと、
この縦断ブレードを前記ケーブルの軸心方向に移動させることで、前記縦断ブレードの刃を、前記保護外皮層のうち前記環状スリットよりも前記ケーブルの端末側の位置に食い込ませて前記ケーブルの軸方向に沿う縦断スリットを形成する縦断ブレード押し込み機構と、
前記縦断ブレードの刃が前記縦断スリットに食い込んだ状態で、前記縦断ブレードを前記ケーブルの軸方向端末側に移動させる縦断ブレード移動機構と、
板状をなし、その板面が前記ケーブルの軸線方向を向く共にその先端が前記環状スリットに食い込む剥ぎ取り治具と、
前記環状スリットのうち前記縦断スリットの延長上に位置する部分に前記剥ぎ取り治具の先端を食い込ませた状態で、前記剥ぎ取り治具を前記ケーブルの軸方向端末側に移動させる剥ぎ取り治具移動機構とを備えてなるケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置。
【請求項2】
複数本の電線をその外周面に接する保護外皮層によって包囲してなり、その保護外皮層の厚さ寸法が周方向位置によって異なるようにされているケーブルについて使用され、そのケーブルの前記保護外皮層を剥ぎ取るための装置であって、
前記ケーブルが軸方向に移動しないように保持するケーブル保持機構と、
前記ケーブルの周方向に沿った刃を有する横断ブレードと、
この横断ブレードを前記ケーブルの軸心方向に移動させることで前記横断ブレードの刃を前記保護外皮層に食い込ませる横断ブレード押し込み機構と、
前記横断ブレードの刃が前記保護外皮層に食い込んだ状態で前記横断ブレードを前記ケーブルの周囲を旋回させることで前記保護外皮層に所定深さの環状スリットを形成するブレード旋回機構と、
前記ケーブルの軸方向に沿った刃を有する縦断ブレードと、
この縦断ブレードを前記ケーブルの軸心方向に移動させることで、前記縦断ブレードの刃を、前記保護外皮層のうち前記環状スリットよりも前記ケーブルの端末側の位置に食い込ませて縦断スリットを形成する縦断ブレード押し込み機構と、
板状をなし、その板面が前記ケーブルの軸線方向を向く共にその先端が前記環状スリットに食い込む剥ぎ取り治具と、
前記環状スリットのうち前記縦断スリットの延長上に位置する部分に前記剥ぎ取り治具の先端を食い込ませた状態で、且つ、前記縦断ブレードの刃を前記縦断スリットに食い込ませた状態で、前記剥ぎ取り治具及び前記縦断ブレードを前記ケーブルの軸方向端末側に移動させるブレード移動機構とを備えてなるケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置。
【請求項3】
前記ブレード旋回機構は、フレームに軸受けを介して支持され中空内部に前記ケーブルを挿通させる環状回転体と、この環状回転体を回転させる環状回転体駆動機構とからなることを特徴とする請求項1または請求項2記載のケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置。
【請求項4】
前記ケーブルの軸線に対して前記横断ブレード及び/又は前記縦断ブレードと対称な位置には、前記横断ブレード及び/又は前記縦断ブレードを前記保護外皮層に食い込ませる際に前記ケーブルに加わる力を受けて前記ケーブルを支持するケーブル支持部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置。
【請求項5】
請求項4記載のケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置において、前記ケーブル支持部を前記ケーブルの軸心方向に移動させるケーブル支持部調整機構が設けられていることを特徴とするケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置。
【請求項6】
前記ケーブル支持部のうち前記ケーブルと対向する領域は、円弧状受け面となっていることを特徴する請求項4または請求項5記載のケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置。
【請求項7】
前記剥ぎ取り治具は、前記横断ブレードであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のケーブル保護外皮層剥ぎ取り装置。
【請求項8】
複数本の電線をその外周面に接する保護外皮層によって包囲してなり、その保護外皮層の厚さ寸法が周方向によって異なるようにされているケーブルの前記保護外皮層を剥ぎ取るための方法であって、
前記ケーブルが軸方向に移動しないように保持するケーブル保持工程と、
前記ケーブルの周方向に沿った刃を有する横断ブレードを、前記ケーブルの軸心方向に移動させることで前記横断ブレードの刃を前記保護外皮層に食い込ませる横断ブレード押し込み工程と、
この横断ブレードの刃が前記保護外皮層に食い込んだ状態で前記横断ブレードを前記ケーブルの周囲を旋回させることで前記保護外皮層に所定深さの環状スリットを形成するブレード旋回工程と、
前記ケーブルの軸方向に沿った刃を有する縦断ブレードを前記ケーブルの軸心方向に移動させることで、前記縦断ブレードの刃を、前記保護外皮層のうち前記環状スリットよりも前記ケーブルの端末側の位置に食い込ませて前記ケーブルの軸方向に沿う縦断スリットを形成する縦断ブレード押し込み工程と、
前記縦断ブレードの刃が前記縦断スリットに食い込んだ状態で、前記縦断ブレードを前記ケーブルの軸方向端末側に移動させる縦断ブレード移動工程と、
前記環状スリットのうち前記縦断スリットの延長上に位置する部分に前記横断ブレードを食い込ませた状態で、前記横断ブレードを前記ケーブルの軸方向端末側に移動させる横断ブレードを移動させる横断ブレード移動工程とを実行するケーブル保護外皮層剥ぎ取り方法。
【請求項9】
複数本の電線をその外周面に接する保護外皮層によって包囲してなり、その保護外皮層の厚さ寸法が周方向によって異なるようにされているケーブルの前記保護外皮層を剥ぎ取るための方法であって、
前記ケーブルが軸方向に移動しないように保持するケーブル保持工程と、
前記ケーブルの周方向に沿った刃を有する横断ブレードを、前記ケーブルの軸心方向に移動させることで前記横断ブレードの刃を前記保護外皮層に食い込ませる横断ブレード押し込み工程と、
この横断ブレードの刃が前記保護外皮層に食い込んだ状態で前記横断ブレードを前記ケーブルの周囲を旋回させることで前記保護外皮層に所定深さの環状スリットを形成するブレード旋回工程と、
前記ケーブルの軸方向に沿った刃を有する縦断ブレードを前記ケーブルの軸心方向に移動させることで、前記縦断ブレードの刃を、前記保護外皮層のうち前記環状スリットよりも前記ケーブルの端末側の位置に食い込ませて前記ケーブルの軸方向に沿う縦断スリットを形成する縦断ブレード押し込み工程と、
前記環状スリットのうち前記縦断スリットの延長上に位置する部分に前記横断ブレードの刃を食い込ませた状態で、且つ、前記縦断ブレードの刃を前記縦断スリットに食い込ませた状態で、前記横断ブレード及び前記縦断ブレードを前記ケーブルの軸方向端末側に移動させる両ブレード移動工程とを実行するケーブル保護外皮層剥ぎ取り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−306697(P2007−306697A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−131871(P2006−131871)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】