説明

ケーブル固定装置

【課題】電源コードなどのケーブルを取り付け作業性がよく、確実に固定することができるケーブル固定装置を提供する。
【解決手段】固定部110に一定の間隔を設けて配設された突出部117を備え、突出部117にケーブル108が貫通するスリット118を設け、突出部117の間にスリット118の底面より高くなる位置に配置された固定リブ120を設け、カバー部111に、スリット118に対向してフランジ部122を設け、固定部110の突出部117に重なるように配設されるカバー部111のフランジ部122と固定部110に設けられた固定リブ120によってケーブル108を屈折させて固定するもので、ケーブル108が複数箇所で屈曲され、外部から強い引っ張り力が加わっても十分耐えられる強い固定力を持つことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源コード等のケーブルを固定するケーブル固定装置およびこのケーブル固定装置を備えた電装品保護装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のケーブル固定装置は、筐体に突出した複数のリブを設け、リブに両端が外側に連通した導入孔を設け、筐体に屈曲した溝を形成し、溝に電源コードを収納して取り付けたプリンタの電源コード固定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、固定面に箱型のリブを設け、リブの対向する面に電源コードが貫通するスリットを形成し、電源コードの結び目を箱型のリブに挿入し、蓋の内側に形成したロ字状のリブにより、結び目を押さえつけて電源コードを固定する洗濯機の電源コード固定装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
以下、図面を参照しながら上記従来のケーブル固定装置を説明する。
【0005】
図7は特許文献1に記載された従来のケーブル固定装置の斜視図、図8は同ケーブル固定装置の電源コードを収納した状態の斜視図である。
【0006】
図7および図8において、筐体1は、プリンタ下部に配置され、電源基板2および制御基板3などが設置される。筐体1の内側には、筐体1と一体成形され、屈曲した二つの突起部4a、突起部4bによって構成された溝5を備えている。また、溝5は、三つの屈曲部6a、6b、6cを有している。筐体1に形成された複数のリブには、導入孔8が設けられている。
【0007】
電源コード10は、筐体1に形成された複数のリブの導入孔8を通って筐体1の内部に導入される。さらに電源コード10は、筐体1に設けられ、かつ屈曲した突起部4a、4bによって構成される屈曲した構造を有する溝5の内部に収納される。
【0008】
ここで、溝5は、屈曲部6a、6b、6cを有しているので、溝5に収納される電源コード10は、屈曲部6a〜6cによって屈曲させられ、溝5の屈曲形状に沿って屈曲した形状となって収納されている。電源コード10は、電力を供給するため、電源基板2に接続される。
【0009】
以上の構成により、電源コード10は、筐体1の内部に導入され、外部からの電源を電源基板2に供給することができる。また、電源コード10は、溝5の内部で屈曲され、突起部4a、4bによって挟まれた状態となる。
【0010】
したがって、電源コード10は、突起部4a、4bの内壁との摩擦力によって固定されているため、電源コード10が外部から強く引っ張られても、電源基板2との接続部に力が加わることがなく、安全性の高いケーブル固定装置を提供できる。
【0011】
次に、従来の別の構成のケーブル固定装置を説明する。
【0012】
図9は、特許文献2に記載された従来の別の構成のケーブル固定装置の斜視図、図10は、同ケーブル固定装置の断面図である。
【0013】
図9、図10において、上方が開口し、洗濯機の上部カバー11に電源コード12を内包する箱型リブ13を形成し、電源コード12に団子状の結び目12aをつくり、この結び目12aを箱型リブ13に挿入する。また、箱型リブ13の前後面には、電源コード12が貫通するスリット14a、14bが形成され、さらにこのスリットに、電源コード12を係止する爪15a、15bが設けられている。
【0014】
さらに、上部カバー後部の上方に配設される後部パネル16には、電源コード12の結び目12aを、上部より押さえつけるようなロ字状リブ17が形成されており、後部パネル16を上部カバー11に組み込んだときに、ロ字状リブ17が上部カバー11に形成される箱型リブ13の内側に嵌合する構成となっている。この嵌合により、電源コード12の結び目12aを、上部カバー11とロ字状リブ17にて挟み込み、電源コード12を固定するものである。
【0015】
以上の構成により、電源コード12は、上部カバー11に形成される箱型リブ13と電源コード12が貫通するスリット14a、14bによって前後左右方向に固定され、上部カバー11と後部パネル16に形成されるロ字状リブ17によって上下方向に固定される。
【0016】
したがって、別の固定部品を必要としないので、部品点数を削減できるとともに、取り付け作業性のよいケーブル固定装置を提供できる。
【0017】
また、従来、ケーブルを固定する装置を備えた圧縮機の電装品保護装置には、圧縮機本体に設けたブラケットと電装品を覆う電装品カバーを備え、その電装品カバーを、ブラケットに備えた係止孔と電装品カバーに備えた係止爪で固定し、別体のコードクランプ装置をネジ止めすることにより、電源コード引き出し部を貫通した電源コードを固定する構成が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0018】
以下、図面を参照しながら上記従来の電装品保護装置を説明する。
【0019】
図11は、特許文献3に記載の電装品保護装置の分解斜視図、図12は、同電装品保護装置の取り付け状態の拡大側面図である。
【0020】
図11、図12において、電動要素(図示せず)を収容した圧縮機20には、電動要素に電気を供給するためのガラスターミナル21が取り付けられている。そして、冷間圧延鋼板や熱間圧延鋼板などの鉄板の折曲成形によって形成されたブラケット22が、ガラスターミナル21を囲むように、圧縮機20の外表面に固定されている。
【0021】
電装品23は、始動リレー23aとモータプロテクタ23bから構成されており、電動要素への過電流供給による焼損や、電動要素の異常温度上昇時に、圧縮機が破損するのを防止する目的で用いられている。
【0022】
ガラスターミナル21に電装品23が装着された後、電装品23を覆う電装品カバー24が装着される。電装品カバー24は、内部に形成された爪部25が、ブラケット22に備えられた係止孔26に係止されることで固定される。
【0023】
また電装品カバー24の下部には、電装品23に電気を供給するための電源コード30を外部へ引き出すために、コードクランプ本体31aと別体のコード押さえ部31bから構成されるコードクランプ装置32が配置され、電装品23から電源コード30が外れないように電源コード30を固定している。
【0024】
コードクランプ装置32の導入孔33より、電源コード30が引き出されるが、樹脂製のクランプネジ34の締め付け力によって電源コード30を押さえつける。
【0025】
以上のような構成により、電装品カバー24をブラケット22に容易に装着することができると共に、多様な線径の電源コード30が外れないように確実に固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開2006−54324号公報
【特許文献2】特開平7−308488号公報
【特許文献3】特開2005−307797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
しかしながら、上記従来の構成のうちのひとつは、筐体に一体成形された屈曲した複数の突起部4a、4bによって構成された溝5に電源コード10を収納する構造としているため、電源コード10を溝5に別途押し込む必要があり、取り付け時の作業性がよくない。
【0028】
また、別の上記従来の構成では電源コード12に結び目12aをつくり、上部カバー11に形成した箱型リブ13の中に電源コード12の結び目12aを収容し、後部パネル16の内面に備えられたロ字状リブ17にて結び目12aを押さえる構造としているため、電源コード12の線径が硬い場合や、線径が太い場合には、結び目12aをつくることが困難であり、逆に、電源コード12が柔らかく、細い場合には、ロ字状リブ17が電源コード12を十分に押さえられない可能性があった。
【0029】
また、上記従来の電装品保護装置の構成では、コードクランプ本体31aを別部品としているため、部品点数も多く、電装品保護装置の設置に必要なスペースが大きくなり、小型の圧縮機への取り付けが困難であった。
【0030】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、少ない部品点数で取り付け作業性を向上させるとともに、多様な種類の電源コードを確実に固定することができ、生産性が高く、信頼性の高いケーブル固定装置および、このケーブル固定装置を備えた電装品保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記従来の課題を解決するために、本発明は、固定部とカバー部に分かれる分割構造を持ち、嵌め合わせることでケーブルを固定するケーブル固定装置において、固定部に、一定の間隔を設けて配設された突出部を備え、この突出部に、ケーブルが貫通するスリットを設け、前記突出部の間に、スリットの底面より高くなる位置に配置された固定リブを設け、さらに、前記カバー部に、前記突出部に形成されたスリットと対向する位置にフランジ部を設け、前記固定部の突出部に重なるように配設された前記カバー部のフランジ部と、前記固定部に設けられた固定リブにより、前記ケーブルを屈折させて固定する構成としたものである。
【0032】
かかる構成とすることで、電源コードなどのケーブルを取り付ける際に、突出部に設けられたスリットに前記ケーブルを貫通させ、カバー部を取り付けるだけで電源コードなどのケーブルを固定することができる。したがって、外部から電源コードなどのケーブルが強く引っ張られても、ケーブルが外れることもなく、また、取り付け作業性がよく、信頼
性の高いケーブル固定装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明のケーブル固定装置は、取り付け作業性が向上するとともに、電源コードなどのケーブルを確実に固定することができるので、生産性や信頼性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態1におけるケーブル固定装置を備えた電装品保護装置の分解斜視図
【図2】同実施の形態1におけるケーブル固定装置を備えた電装品カバーの斜視図
【図3】同実施の形態1におけるケーブル固定装置のカバー部の斜視図
【図4】同実施の形態1における電源コードを収納したケーブル固定装置の固定部の側面図
【図5】同実施の形態1におけるケーブル固定装置の取り付け完了後の斜視図
【図6】同実施の形態1における取り付け完了後のケーブル固定装置の要部断面図
【図7】従来のケーブル固定装置の分解斜視図
【図8】同ケーブル固定装置の電源コードを収納した状態の分解斜視図
【図9】従来の別の構成のケーブル固定装置の分解斜視図
【図10】同ケーブル固定装置の断面図
【図11】従来の電装品保護装置の分解斜視図
【図12】同電装品保護装置の取り付け状態の拡大側面図
【発明を実施するための形態】
【0035】
請求項1に記載の発明は、固定部とカバー部に分かれる分割構造を持ち、嵌め合わせることでケーブルを固定するケーブル固定装置において、固定部に、一定の間隔を設けて配設された突出部を備え、前記突出部に、ケーブルが貫通するスリットを設け、前記突出部の間に、スリットの底面より高くなる位置に配置された固定リブを設け、さらに、前記カバー部に、前記突出部に形成されたスリットと対向する位置にフランジ部を設け、前記固定部の突出部に重なるように配設された前記カバー部のフランジ部と、前記固定部に設けられた固定リブより、前記ケーブルを屈折させて固定する構成としたものである。
【0036】
かかる構成とすることにより、前記カバー部のフランジ部の押圧力によって前記ケーブルを複数箇所で屈曲させることができる。したがって、前記固定部に設けられた固定リブと前記カバー部のフランジ部との間の摩擦力により、外部から強い引っ張り力が加わっても十分耐えられる強い固定力を持つことができる。その結果、取り付け作業性がよく信頼性の高いケーブル固定装置を提供することができる。
【0037】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記固定部に設けられたボス部に、取り付けネジによってカバー部を固定するとともに、この締め付け力によって前記カバー部のフランジ部を、ケーブルを押さえつけるようにしたものである。
【0038】
かかることにより、前記カバー部を前記固定部へ取り付けるためのネジを、前記ケーブルを固定するためのネジとして用いるため、部品点数を減らせるとともに、この際に発生する締め付け力により、前記カバー部のフランジ部でケーブルを強く押さえつけることができる。その結果、電源コードなどのケーブルが強く引っ張られても、ケーブルの押さえ力が緩むこともなく、確実に固定することができる、請求項1の発明の効果に加えて、さらにコストが安く、信頼性の高いケーブル固定装置を提供することができる。
【0039】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記固定部に係止爪を設け、前記カバー部に設けられた係止片が弾性変形することで係止する構造と
したものである。
【0040】
かかることにより、ケーブル固定装置にケーブルを固定する際には、前記ケーブルの反発を抑えるために、前記カバー部でケーブルを押さえながら該カバー部を取り付ける必要があるが、係止爪に係止孔を弾性変形させて取り付ける構造としていることにより、取り付け作業時に、前記ケーブルおよびカバー部を仮固定できるので作業性がよい。また、カバー部を固定する取り付けネジが、何らかの要因で緩んだ場合においても、前記ケーブルが固定部より外れることがないので、ケーブルの取り付け部の露出を防ぐことができる。その結果、請求項1または請求項2の発明の効果に加えて、さらに作業性がよく、信頼性の高いケーブル固定装置を提供することができる。
【0041】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記係止片を、前記カバー部が固定部の突出部に沿ってスライドする方向に延長させたものである。
【0042】
かかることにより、前記ケーブルの反発力を抑えるために、前記固定部に設けられた係止爪にカバー部が仮固定された後においても、前記固定部の突出部に沿ってカバー部のフランジ部がスライドさせることができる。そのため、カバー部が固定部に取り付けられる際に発生する締め付け力により、前記カバー部と前記固定部のボス部端面が接するまでの範囲で、カバー部のフランジ部によるケーブルの押さえつけができる。したがって、線径違いや被覆の固さなどが違う多くの種類のケーブルを確実に固定することができる。その結果、請求項3に記載の発明の効果に加えて、さらに作業性がよいケーブル固定装置を提供できる。
【0043】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0044】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるケーブル固定装置を備えた電装品保護装置の分解斜視図、図2は、同実施の形態1におけるケーブル固定装置を備えた電装品カバーの斜視図、図3は、同実施の形態1におけるケーブル固定装置のカバー部の斜視図、図4は、同実施の形態1における電源コードを収納したケーブル固定装置の固定部の側面図、図5は、同実施の形態1におけるケーブル固定装置の取り付け完了後の斜視図、図6は、同実施の形態1における取り付け完了後のケーブル固定装置の要部断面図である。
【0045】
図1、図2に基づいて、ケーブル固定装置を備えた電装品保護装置の構成について説明する。
【0046】
図1、図2において、電動要素(図示せず)を収容した圧縮機本体100には、電動要素に電気を供給するためのガラスターミナル105が取り付けられている。圧縮機本体100の外表面には、冷間圧延鋼板や熱間圧延鋼板などの鉄板の折曲成形によって形成されたブラケット102が、ガラスターミナル105を囲むように固定されている。
【0047】
電装品107は、それぞれのケーブル108に接続されたクラスター107cと、モータプロテクタ107bから構成されており、クラスター107cは、電動要素へ通電する目的で用いられ、またモータプロテクタ107bは、電動要素の異常温度上昇時に、通電を遮断して電動要素を停止制御し、圧縮機が破損するのを防止する目的で用いられている。
【0048】
ブラケット102は、上側に挿入部112が折曲形成され、下側にガラスターミナル105を挟んで対向する位置に、プレスの打ち抜きにより加工された係止孔103を設けた
係止部106を備えている。
【0049】
電装品カバー109は、ガラスターミナル105に電装品107が装着された後、電装品107を覆うように装着される。この電装品カバー109は、ポリプロピレンやポリカーボネート等の合成樹脂材料により射出成形され、内壁面上部で、かつブラケット102の挿入部112に対応する位置に、略U字形状をなす一対の挟持部113を設けている。電装品カバー109の内壁面下部で、かつブラケット102の係止孔部103に対応する位置には、係止孔103に係止するテーパ状の爪部114を形成している。
【0050】
電装品カバー109の側面には、ケーブル固定装置115が備えられている。
【0051】
次に、図2から図5に基づいて、ケーブル固定装置の構成について説明する。
【0052】
ケーブル固定装置115は、電装品カバー109の側面に一体に成型された固定部110とカバー部111に分かれる分割構造で構成されている。
【0053】
固定部110には、一定の間隔を設けて配設された一対の突出部117を備え、突出部117には、ケーブル108が貫通する略円弧状のスリット118を設け、一対の突出部117の間には、円弧状のスリット118の底面より高くなる位置に配置された固定リブ120が形成されている。
【0054】
カバー部111には、固定部110に設けられた一対の突出部117に形成されたスリット118と対向する位置に、一対のフランジ部122が設けられている。
【0055】
固定部110の上下には、テーパ状の係止爪123が設けられ、カバー部111の外周部には、係止爪123と対向する位置に、係止爪123が嵌合するように貫通孔124aを設けた係止片124が相対向して設けられている。さらに、各係止片124の先端部131には、面取り132が施されている。
【0056】
カバー部111の係止片124は、カバー部111が固定部110の突出部117に沿うようにスライドする方向に延長されている。
【0057】
固定部110には、取り付けネジを挿入するためのボス部125が備えられており、固定部110にカバー部111を取り付けネジ126によって固定することで、ケーブル固定装置115を構成している。
【0058】
以上のように構成されたケーブル固定装置およびこのケーブル固定装置を備えた電装品保護装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0059】
まずガラスターミナル105にクラスター107cを挿入固定し、電装品カバー109にモータプロテクタ107bを挿入した後、電装品カバー109をブラケット102に挿入する。
【0060】
この際、まず、電装品カバー109に設けた略U字形状の複数の挟持部113が、ブラケット102に設けた挿入部112を各々挟み込む。この状態で電装品カバー109の挿入を続けることにより、挟持部113が挿入部112に対して水平移動しながら挿入され、やがてブラケット102の係止部106に、電装品カバー109のテーパ状の爪部114が当たる。さらに挿入を続けると、電装品カバー103のテーパ状の爪部114を設けている壁面が、係止部106に対して外側へ歪み、さらに挿入されることで挟持部113が挿入部112を挟み込み、テーパ状の爪部114がブラケット102の係止孔103に
係止される。
【0061】
以上の動作により、電装品カバー109のブラケット102への取り付けが完了する。
【0062】
次に、電装品107に接続されたケーブル108の固定方法について説明する。
【0063】
電装品カバー109に設けられた出口部130から、電装品107に電気を供給するために接続されたケーブル108が引き出される。
【0064】
引き出されたケーブル108は、図4に示すように、電装品カバー103を出て屈曲され、電装品カバー103に設けられたケーブル固定装置115の固定部110に配置される。この固定部110において、ケーブル108は、一対の突出部117に形成されたU字状のスリット118に通される。
【0065】
カバー部111は、固定部110に設けられた突出部117の内壁に沿うようにスライドしながら挿入されるが、この際に、カバー部111の上下に設けられた一対の係止片124の先端部131の面取り部132が、固定部110の上下に設けられたテーパ状の係止爪123に接触する。さらにカバー部111の挿入を続けることにより、係止片124が固定部110の係止爪123を乗り上げ、外側に開くように弾性変形する。さらに、カバー部111がスライド方向に移動することによって、係止爪123が係止片124の貫通孔124aに嵌合し、これにより、カバー部111が固定部110へ係止される。
【0066】
これにより、ケーブル108は、固定部110に設けられた固定リブ120とカバー部111に備えられたフランジ部122との間で押さえられ、仮固定される。
【0067】
電源コードなどのケーブル108は、屈折させられる際に、反発力により反固定部側に逃げようとするが、カバー部111で押えられるとともに、カバー部111の上下に設けられた係止片124が、固定部110に設けられたテーパ状の係止爪123と係止していることにより、カバー部111は、固定部110から外れることがなく、電源コードなどのケーブル108の取り付け作業性がよい。
【0068】
かかる状態において、カバー部111のネジ孔111aより取り付けネジ126を挿入し、固定部110のボス部125に取り付けネジ126を締め付けることにより、カバー部111の固定部110への取り付けが完了する。
【0069】
したがって、フランジ部122を備えたカバー部111は、固定部110に備えられたボス部125に取り付けネジ126で締め付けられることで固定されるとともに、ケーブル108は、固定部110に設けられた固定リブ120とカバー部111のフランジ部122によって屈折させられた状態となっている。その結果、ケーブル108が引っ張られた場合、ケーブル108の屈曲により、固定リブ120およびフランジ部122との間に摩擦力が発生し、外部からの強い引っ張り力が加わっても十分耐えられる強い固定力を持つことができる。
【0070】
また、カバー部111を、取り付けネジ126によって固定部110に取り付けると同時に、取り付けネジ126をさらに締め付けて、スリット118とフランジ部122によるケーブル108の屈曲をさらに小さくすることで、ケーブル108は、さらに強く固定される。
【0071】
かかる構成は、カバー部111を固定部110へ取り付けるための取り付けネジ126を、ケーブル108を固定するための締め付け用のネジと兼用する構成となり、部品点数
を減らせることができる。
【0072】
また、カバー部111の上下に設けられた係止片124は、カバー部111が固定部110に取り付けられるスライド方向に延長されているので、固定部110の係止爪123に係止された後、ケーブル108の線径や固さなどが違う場合においても、取り付けネジ126の締め付け力により、カバー部111と固定部110のボス部125が接するまでの範囲で、カバー部111のフランジ部122がケーブル108をさらに押さえつけることができる。したがって、ケーブル108の種類、線径によらず、ケーブル108を強固に締め付けることができ、利便性を高めることができる。
【0073】
さらに、ケーブル固定装置115を電装品カバー109の側面部に設け、電装品保護装置として構成できるため、小型の圧縮機への取り付けの際にも、省スペースで取り付けることができ、作業性がよく、確実に電源コードなどのケーブル108を固定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上のように、本発明にかかるケーブル固定装置は、少ない部品点数で電源コードなどのケーブルを確実に固定できるので、生産性が高く、信頼性の高いケーブル固定装置とすることができ、冷蔵庫、エアーコンディショナー、冷凍冷蔵装置等のあらゆる圧縮機の電装品保護装置だけでなく、電源コードなどを備えたさまざまな機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
108 ケーブル
110 固定部
111 カバー部
115 ケーブル固定装置
117 突出部
118 スリット
120 固定リブ
122 フランジ部
123 係止爪
124 係止片
125 ボス部
126 取り付けネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部とカバー部に分かれる分割構造を持ち、嵌め合わせることでケーブルを固定するケーブル固定装置において、固定部に、一定の間隔を設けて配設された突出部を備え、前記突出部に、ケーブルが貫通するスリットを設け、前記突出部の間に、スリットの底面より高くなる位置に配置された固定リブを設け、さらに、前記カバー部に、前記突出部に形成されたスリットと対向する位置にフランジ部を設け、前記固定部の突出部に重なるように配設された前記カバー部のフランジ部と、前記固定部に設けられた固定リブより、前記ケーブルを屈折させて固定する構成としたケーブル固定装置。
【請求項2】
前記固定部に設けられたボス部に、取り付けネジによってカバー部を固定するとともに、この締め付け力によって前記カバー部のフランジ部を、ケーブルを押さえつけるようにした請求項1に記載のケーブル固定装置。
【請求項3】
前記固定部に係止爪を設け、前記カバー部に設けられた係止片が弾性変形することで係止する構造とした請求項1または請求項2に記載のケーブル固定装置。
【請求項4】
前記係止片を、前記カバー部が固定部の突出部に沿ってスライドする方向に延長させた請求項3に記載のケーブル固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図11】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−238723(P2012−238723A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106833(P2011−106833)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】