説明

ケーブル

【課題】ケーブル不使用時にはリールを不要として巻き取りを可能とし、ケーブル使用時にはケーブルを延ばした状態に維持できるようにする。
【解決手段】ケーブル本体1に外周の半分以下となるように表面が正極となる磁石5を取り付け、その反対側の外周の半分以下となるように表面が負極となる磁石6を取り付けて、磁石5を覆う位置から、磁石5、6の略半分を覆う位置に回転する磁気シールド部3をケーブル本体1に取り付けることにより、ケーブル使用時には、磁石5を磁気シールド部3が覆うように回転させることで、磁石5の磁気がシールドされ、ケーブルが引き合わなくなり、ケーブルを延ばした状態に維持できるようになる。一方、ケーブル不使用時には、磁石5、6の略半分を磁気シールド部3が覆うように回転させることで、磁石5、6の磁気がともにシールドされなくなり、ケーブルが引き合い、リールを不要としてケーブルの巻き取りが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器などに用いられるケーブルに関し、特に、不使用時にまとめておくことができるケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電子機器に電源を供給したり、通信を行う電子機器が信号のやり取りをしたりする場合に、ケーブルが用いられる。このケーブルの一端に電子機器を取り付け、他端に電源の供給元であるコンセントや、信号のやり取りをする相手の電子機器を取り付けることで、電子機器を使用することが可能となる。ところで、電子機器とコンセントとの距離や、電子機器と相手の電子機器との距離が離れている場合には、ケーブルの長さを長くする必要がある。また、電子機器を様々な場所で使用することを考慮すると、同様にケーブルの長さを長くする必要がある。
【0003】
しかしながら、ケーブルの長さを長くすると、電子機器の不使用時などに、ケーブルがばらばらになり邪魔になってしまうという問題があった。このような問題を解決するために、電子機器やコンセント、相手の電子機器、電子機器とコンセントとの間、電子機器と相手の電子機器との間などに、ケーブルを巻き取るためのリールを設ける技術が知られている(例えば、特許文献1など)。
【0004】
特許文献1に記載の従来技術のように、ケーブルを巻き取るためのリールを設けることで、電子機器の不使用時などにケーブルがリールに巻き取られるので、ケーブルがばらばらになり邪魔になることを防止することができる。しかしながら、リールが必要になるため、電子機器やコンセントが大型化したり、別途リールが必要になったりするため、電子機器や別途設けたリールが邪魔になってしまうという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するために、所定の長さを有するケーブルの一部に正極および負極に磁化させた外皮を形成し、磁石の正極と磁石の負極とを引き合わせてケーブルを巻き取る技術が知られている(例えば、特許文献2など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−45133号公報
【特許文献2】特開2004−75226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献2に記載の従来技術では、リールが不要になるものの、電子機器を使用している際でも、ケーブルの一部に設けた外皮の磁石が近付くと引き合って、外皮同士がくっ付いてしまい、ケーブルを延ばした状態に維持することができなくなってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、ケーブルの不使用時には、リールを不要として巻き取りを可能とし、ケーブルの使用時には、ケーブルを延ばした状態に維持することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明では、ケーブル本体の所定の位置に外周部分の少なくとも半分以下となるように表面が正極となる磁石を取り付け、その反対側の外周部分の少なくとも半分(角度として180度)以下となるように表面が負極となる磁石を取り付けて、表面が正極となる磁石または表面が負極となる磁石の一方を覆う位置から、表面が正極となる磁石および表面が負極となる磁石の略半分を覆う位置に回転し、磁石の磁気をシールドする磁気シールド部をケーブル本体の外周に取り付けるようにしている。
【0010】
また、本発明の他の態様によれば、ケーブル本体の所定の位置に外周部分の少なくとも半分以下となるように磁石を取り付け、その反対側の外周部分の少なくとも半分以下となるように磁性体を取り付けて、磁石を覆う位置から、磁石の略半分を覆う位置に回転し、磁石の磁気をシールドする磁気シールド部をケーブル本体の外周に取り付けるようにしている。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した本発明によれば、磁石の正極および負極がケーブル本体の外周の半分以下となるように反対側に取り付けられており、磁気シールド部がケーブル本体の外周の略半分を覆うようにケーブル本体の外周部分を回転可能であるので、ケーブルを使用する際には、表面が正極となる磁石または表面が負極となる磁石の一方を覆うように磁気シールド部を回転させることで、ケーブル本体に設けた磁石の正極または負極の磁気がシールドされる。これにより、ケーブルが引き合わなくなり、ケーブルを延ばした状態に維持することができるようになる。一方、ケーブルの不使用時には、表面が正極となる磁石および表面が負極となる磁石の略半分を覆うように磁気シールド部を回転させることで、ケーブル本体に設けた磁石の正極および負極がシールドされなくなる。これにより、ケーブルが引き合うようになり、リールを不要としてケーブルの巻き取りが可能となる。
【0012】
また、本発明の他の態様によれば、磁石および磁性体がケーブル本体の外周の半分以下となるように反対側に取り付けられており、磁気シールド部がケーブル本体の外周の略半分を覆うようにケーブル本体の外周部分を回転可能であるので、ケーブルを使用する際には、磁石を覆うように磁気シールド部を回転させることで、ケーブル本体に設けた磁石の磁気がシールドされる。これにより、ケーブルが引き合わなくなり、ケーブルを延ばした状態に維持することができるようになる。一方、ケーブルの不使用時には、磁石の略半分を覆うように磁気シールド部を回転させることで、ケーブル本体に設けた磁石がシールドされなくなる。これにより、ケーブルが引き合うようになり、リールを不要としてケーブルの巻き取りが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態によるケーブルの構成例を示す図である。
【図2】本実施形態によるケーブルの不使用状態を示す図である。
【図3】本実施形態によるケーブルの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるケーブルの構成例を示す図である。また、図1(a)は本実施形態によるケーブルの構成例を示す側面図、図1(b)は本実施形態によるケーブルの不使用時の状態を示すA−A´断面図、図2(c)は本実施形態によるケーブルの使用時の状態を示すA−A´断面図である。図1において、1はケーブル本体1、2は回転部、3は磁気シールド部、4は電源線や信号線などの線状部材、5は表面が正(N)極となる磁石、6は表面が負(S)極となる磁石である。
【0015】
ケーブル本体1は線状であり、例えば、その一端が電子機器に接続されている。また、このケーブル本体1の他端はコンセントや相手の電子機器に接続される。また、このケーブル本体1は所望の長さを有している。ここで、所望の長さは、電子機器とコンセントとの距離や、電子機器と相手の電子機器との距離によって決められる。また、ケーブル本体1の内部には、4本の線状部材4がケーブル本体1の長さ方向に埋め込まれており、この線状部材4によって、電源の供給や信号のやり取りが行われる。
【0016】
ケーブル本体1の所定の位置には、ケーブル本体1の外周部分の少なくとも半分以下の大きさとなるように、表面が正極となる磁石5が取り付けられている。また、その反対側には、ケーブル本体1の外周部分の少なくとも半分以下の大きさとなるように、表面が負極となる磁石6が取り付けられている。ここで、磁石5、6は、ケーブル本体1の複数箇所に取り付けられている。
【0017】
回転部2は、一箇所に設けられた磁石5、6を覆うように取り付けられており、ケーブル本体1の外周部分に対して回転可能である。ここで、回転部2の内部には図示しない溝が略半周に渡って形成されており、ケーブル本体1に設けた凸部を収容する。そのため、回転部2の溝の壁面部分とケーブル本体1の凸部とにより、ストッパーが構成され、回転部2が略半周に渡って回転可能となる。磁気シールド部3は、磁気をシールドするためのものであり、回転部2の周方向に対して略半分の大きさで設けられている。ここで、磁気シールド部3の構成要素については周知技術を用いるため、説明を省略する。
【0018】
このように構成された回転部2がケーブル本体1の外周を回転する場合、回転部2は、表面が正極となる磁石5を磁気シールド部3によって覆う位置(図1(b)を参照)から、表面が正極となる磁石5および表面が負極となる磁石6の略半分を磁気シールド部3によって覆う位置(図1(c)を参照)まで回転する。ここで、一箇所に設けられた回転部2をある方向に回転させた場合には、他の箇所に設けられた回転部2についても同じ方向に回転させる必要がある。
【0019】
このように構成されたケーブルを使用する場合、図1(b)に示すように、磁気シールド部3が、表面が正極となる磁石5を覆う位置に回転部2を回転させる。すると、表面が正極となる磁石5の磁気が、磁気シールド部3によってシールドされるようになる。そのため、ケーブル本体1の複数箇所に設けられた、表面が正極となる磁石5の磁気が無効となり、表面が負極となる磁石6の磁気が有効であるものの、対となる磁石5の磁気が存在しなくなり、ケーブルの所定の位置が引き合うことがなくなる。
【0020】
一方、上述したように構成されたケーブルを不使用とする場合、図1(c)に示すように、磁気シールド部3が、表面が正極となる磁石5を位置(図1(b)を参照)から、表面が正極となる磁石5および表面が負極となる磁石6の略半分を覆う位置まで回転部2を回転させる。すると、表面が正極となる磁石5は略半分だけ磁気シールド部3によって覆われ、表面が負極となる磁石6も略半分だけ磁気シールド部3によって覆われる。そのため、ケーブル本体1の複数箇所に設けられた、表面が正極となる磁石5の磁気および表面が負極となる磁石6の磁気は有効となり、ケーブルの所定の位置が引き合い、図2に示すように巻き取ることが可能となる。
【0021】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、ケーブル本体1の所定の位置に外周部分の少なくとも半分以下となるように表面が正極となる磁石5を取り付け、その反対側の外周部分の少なくとも半分以下となるように表面が負極となる磁石6を取り付けて、表面が正極となる磁石5を覆う位置から、表面が正極となる磁石5および表面が負極となる磁石6の略半分を覆う位置に回転する磁気シールド部3をケーブル本体1の外周に取り付けるようにしている。
【0022】
これにより、表面が正極となる磁石5および表面が負極となる磁石6がケーブル本体1の外周の半分以下となるように反対側に取り付けられており、磁気シールド部3がケーブル本体の外周の略半分を覆うように、回転部2がケーブル本体の外周部分を回転可能である。そのため、ケーブルを使用する際には、表面が正極となる磁石5を磁気シールド部3が覆うように回転部2を回転させることで、表面が正極となる磁石5の磁気がシールドされるので、ケーブルが引き合わなくなり、ケーブルを延ばした状態に維持することができるようになる。一方、ケーブルの不使用時には、表面が正極となる磁石5および表面が負極となる磁石6の略半分を磁気シールド部3が覆うように回転部2を回転させることで、表面が正極となる磁石5および表面が負極となる磁石6の磁気がともにシールドされなくなるので、ケーブルが引き合うようになり、リールを不要としてケーブルの巻き取りが可能となる。
【0023】
なお、本実施形態では、回転部2がケーブル本体1の外周を回転する場合に、回転部2が、表面が正極となる磁石5をシールド部3によって覆う位置(図1(b)を参照)から、表面が正極となる磁石5および表面が負極となる磁石6の略半分をシールド部3によって覆う位置(図1(c)を参照)までを回転するようにしているが、これに限定されない。例えば、回転部2がケーブル本体1の外周を回転する場合に、回転部2が、表面が負極となる磁石6をシールド部3によって覆う位置から、表面が正極となる磁石5および表面が負極となる磁石6の略半分をシールド部3によって覆う位置までを回転するようにしても良い。この場合、回転部2の溝とケーブル本体1の凸部の位置とを調整する必要がある。
【0024】
また、本実施形態では、ケーブル本体1の内部に線状部材4が4本埋め込まれているが、これに限定されない。例えば、ケーブル本体1の内部に線状部材4を1本〜3本埋め込むようにしても良いし、5本以上埋め込むようにしても良い。
【0025】
また、本実施形態では、ケーブル本体1の所定の位置に外周部分の少なくとも半分以下となるように、表面が正極となる磁石5および表面が負極となる磁石6を設けるようにしているが、これに限定されない。例えば、図3に示すように、ケーブル本体1´の所定の位置に外周部分の少なくとも半分以下となるように磁石10を取り付け、その反対側の外周部分の少なくとも半分以下となるように磁性体11を取り付けて、磁石10を覆う位置から、磁石10の略半分を覆う位置に回転し、磁石10の磁気をシールドする磁気シールド部3をケーブル本体1の外周に取り付けるようにしても良い。
【0026】
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 ケーブル本体
2 回転部
3 磁気シールド部
4 線状部材
5 表面が正極となる磁石
6 表面が負極となる磁石
10 磁石
11 磁性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の位置に外周部分の少なくとも半分以下となるように表面が正極となる磁石を取り付け、その反対側の外周部分の少なくとも半分以下となるように表面が負極となる磁石を取り付けたケーブルであって、
前記表面が正極となる磁石または前記表面が負極となる磁石の一方を覆う位置から、前記表面が正極となる磁石および前記表面が負極となる磁石の略半分を覆う位置までを前記外周部分に沿って回転し、前記各磁石の磁気をシールドする磁気シールド部を備えたことを特徴とするケーブル。
【請求項2】
所定の位置に外周部分の少なくとも半分以下となるように磁石を取り付け、その反対側の外周部分の少なくとも半分以下となるように磁性体を取り付けたケーブルであって、
前記磁石を覆う位置から、前記磁石の略半分を覆う位置までを前記外周部分に沿って回転し、前記磁石の磁気をシールドする磁気シールド部を備えたことを特徴とするケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−93218(P2013−93218A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234697(P2011−234697)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】