説明

ゲル化剤を有する硬化性インクを用いた画像形成法

【課題】安価で正確なインクジェット画像形成プロセスを用いて、磁性の、または大きな粒子を経済的にかつ効率的に組み入れるための方法を提供する。
【解決手段】本明細書では、粒子材料のためのレシーバとして使用される、ゲル状態を形成することができるゲル化剤を有するインクを使用する方法を開示する。インクは、噴射された時には液体であるが、直ちに、基材上でインクゲル温度より低い温度まで冷却されると、硬化前に、粘着性/半固体/ゲル状態になる。様々な型の乾燥粉末および固体微粒子物質をその後、噴射させたインクに適用し、インクを硬化させた時に定位置に固定させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、粒子材料のためのレシーバ(receiver)として使用される、ゲル状態を形成することができるゲル化剤を有するインクを開示する。インクは、噴射された時には液体であるが、直ちに、基材上でインクゲル温度より低い温度まで冷却されると、硬化前に、粘着性/半固体/ゲル状態になる。様々な乾燥粉末をインクに適用し、その後、インクを硬化させた時に定位置に固定することができる。
【背景技術】
【0002】
磁気インク文字認識、すなわちMICR、文書およびインクは公知である。そのようなインクは一般にセキュリティ文書、または安全な特徴が必要とされる文書、例えば、小切手の印刷および作成において使用される。
【0003】
現在のMICR技術は、読み手に対してロバスト信号を提供するために、長さがμmの大きな粒子、および高負荷、25〜50質量%(質量%)に頼っている。
【0004】
かなりの粒子を含む物質から基材上で画像を形成するには、別の同様の問題が存在する。高負荷の物質を用いる画像形成はまた、インクジェット技術への変換において同様の困難に直面する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0123606号公報
【特許文献2】米国特許第5,195,430号明細書
【特許文献3】米国特許第5,389,958号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
安価で正確なインクジェット画像形成プロセスを用いて、磁性の、または大きな粒子を経済的にかつ効率的に組み入れるための方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による画像を形成する方法は、ゲル化剤を含む硬化性インクを基材上に噴射することにより、基材上で画像パターンを形成し、噴射時の前記インクは前記インクのゲル温度より高い温度である工程と、前記パターンのインクを前記インクのゲル温度より低い温度まで冷却する工程と、前記冷却工程後、少なくとも1つの微粒子材料を前記形成させたインクパターンに適用する工程と、前記適用工程後、前記インクを硬化する工程と、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0008】
未硬化状態では、基材上のゲル化剤を含むインクは、現在、噴射させることが困難である、磁性粒子または他の大きな粒子、例えば、約250nm以上のサイズを有する粒子のための良好なレセプタクル(receptacle)となることが見出されている。基材上に適用された粒子材料は高濃度のゲル化インクに粘着するが、一方、インクのない基材領域から自由に離れ落ちる。そのようなプロセスに対する利点は、従来の噴射により正確に、かつ迅速に基材上のインクを用いて画像形成することができるが、一方、依然として、粒子材料の受容材料への噴射後適用を用いると噴射不可能な顔料または粒子を含む画像が都合良く形成されることである。
【0009】
本明細書で使用されるように、「インク」はインクジェットにより噴射される任意の材料を示す。インクは、少なくとも1つのゲル化剤を含み、ゲル化剤のみで構成されてもよい。すなわち、インクビヒクルはゲル化剤のみを含み、または本明細書で記載される別のビヒクル成分と混合されたゲル化剤を含んでもよい。
【0010】
実施形態において、粒子材料は、適用後インクを硬化させることにより、インク内に密封される。硬化は、使用するインクビヒクルに対し適当な任意の技術を使用して実施することができ、例えば、UV硬化、他の放射線硬化、e−ビーム硬化、などが挙げられる。
【0011】
本明細書では、硬化は、例えば、化学線への放射による分子量の増加、例えば、架橋、鎖延長、などを受けるインク中の硬化可能な材料を示す。
【0012】
本明細書で使用されるように放射線硬化性は、光源および熱源を含み、開始剤の存在下または非存在下を含む放射線源への暴露による硬化の全ての形態を対象とするものである。放射線硬化の例としては、必要に応じて用いられる光開始剤および/または増感剤の存在下での、例えば、約200から約400nmの波長を有する紫外(UV)光、可視光など、必要に応じて用いられる光開始剤の存在下でのe−ビーム放射線、任意で必要に応じて用いられる高温熱開始剤(相変化インクにおいて使用される場合噴射温度では大体は不活性である可能性がある)の存在下での熱硬化、および適当なそれらの組み合わせが挙げられる。
【0013】
インクの硬化は、インク画像を、任意の所望のまたは有効な波長、1つの実施形態では、少なくとも200nm、および1つの実施形態では約480nm以下の化学線に暴露することにより実施することができるが、波長はこれらの範囲外とすることができる。
【0014】
放射線硬化性相変化インクは一般に、少なくとも1つの硬化性モノマー、少なくとも1つの相変化剤またはゲル化剤、および必要に応じて用いられる着色剤を含む。これらのインクはさらに、硬化性モノマーの重合を開始させる少なくとも1つの光開始剤を含んでもよい。
【0015】
インクビヒクルは少なくとも1つの硬化性モノマーを含んでもよい。適したモノマー材料の例としては、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、カプロラクトンアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ブチルアクリレート、など、ならびにそれらの混合物が挙げられる。さらに、多官能性アクリレートおよびメタクリレートモノマー類およびオリゴマー類を、相変化インクキャリア中に反応性希釈剤として、および硬化させた像の架橋密度を増加させ、これにより硬化させた像の靱性を増強させることができる材料として含有させることができる。適した多官能性アクリレートおよびメタクリレートモノマー類およびオリゴマー類の例としては、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、1,2−エチレングリコールジアクリレート、1,2−エチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,12−ドデカノールジアクリレート、1,12−ドデカノールジメタクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、アミン修飾ポリエーテルアクリレート類、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、エトキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレートなど、ならびにそれらの混合物が挙げられる。反応性希釈剤をインクキャリア材料に添加する場合、反応性希釈剤は、任意の所望のまたは有効な量、1つの実施形態ではキャリアの少なくとも約1から約80質量%の量で、および別の実施形態ではキャリアの少なくとも約35から約70質量%までの量で添加される。
【0016】
ゲル化剤を含む任意の硬化性インクを使用してもよい。ゲル化剤は下記式の化合物を含んでもよい。
【0017】
−O−[CO−R−CO−NH−R−NH]−CO−R2‘−CO−O−R1’
【0018】
式において、RおよびR1’はそれぞれ独立して、以下の通りである。
【0019】
(i)その中に少なくとも1つのエチレン不飽和を有し、1つの実施形態では少なくとも約2つの炭素原子を有し、1つの実施形態では約100以下の炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外とすることができる、アルキル基(直鎖および分枝、環状および非環状、ならびに置換および非置換アルキル基を含み、ここで、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などがアルキル基中に存在してもよく、または存在しなくてもよい)である。
【0020】
(ii)その中に少なくとも1つのエチレン不飽和を有し、1つの実施形態では少なくとも約6つの炭素原子を有し、1つの実施形態では約100以下の炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外とすることができる、アリールアルキル基(置換および非置換アリールアルキル基を含み、ここで、アリールアルキル基のアルキル部分は、直鎖または分枝、環状または非環状、および置換または非置換とすることができ、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などがアリールアルキル基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在してもよく、または存在しなくてもよい)、例えば、ベンジルなどである。
【0021】
または、(iii)その中に少なくとも1つのエチレン不飽和を有し、1つの実施形態では少なくとも約6つの炭素原子を有し、1つの実施形態では約100以下の炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外とすることができる、アルキルアリール基(置換および非置換アルキルアリール基を含み、ここで、アルキルアリール基のアルキル部分は、直鎖または分枝、環状または非環状、および置換または非置換とすることができ、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などがアルキルアリール基のアリールまたはアルキル部分のいずれかに存在してもよく、または存在しなくてもよい)、例えば、トリルなどである。ここで、置換アルキル、アリールアルキル、およびアルキルアリール基上の置換基は、ハロゲン原子、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフェート基、スルホネート基、スルホン酸基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、カルボキシレート基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、それらの混合物、などとすることができ、ここで、2つ以上の置換基を共に連結させて環を形成させることができる。
【0022】
およびR2‘はそれぞれ独立して、以下の通りである。
【0023】
(i)1つの実施形態では少なくとも2つの炭素原子を有し、1つの実施形態では約100以下の炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外とすることができる、アルキレン基(ここで、アルキレン基は二価脂肪族基またはアルキル基として規定され、直鎖および分枝、飽和および不飽和、環状および非環状、ならびに置換および非置換アルキレン基を含み、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などがアルキレン基中に存在してもよく、または存在しなくてもよい)である。
【0024】
(ii)1つの実施形態では少なくとも約5つの炭素原子を有し、1つの実施形態では約100以下の炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外とすることができる、アリーレン基(ここで、アリーレン基は二価芳香族基またはアリール基として規定され、置換および非置換アリーレン基を含み、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などがアリーレン基中に存在してもよく、または存在しなくてもよい)である。
【0025】
(iii)1つの実施形態では少なくとも約6つの炭素原子を有し、1つの実施形態では約100以下の炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外とすることができる、アリールアルキレン基(ここで、アリールアルキレン基は二価アリールアルキル基として規定され、置換および非置換アリールアルキレン基を含み、アリールアルキレン基のアルキル部分は、直鎖または分枝、飽和または不飽和、環状または非環状、および置換または非置換とすることができ、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などがアリールアルキレン基のアリールまたはアルキル部分のいずれか中に存在してもよく、または存在しなくてもよい)である。
【0026】
または、(iv)1つの実施形態では少なくとも約6つの炭素原子を有し、1つの実施形態では約100以下の炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外とすることができる、アルキルアリーレン基(ここで、アルキルアリーレン基は二価アルキルアリール基として規定され、置換および非置換アルキルアリーレン基を含み、アルキルアリーレン基のアルキル部分は、直鎖または分枝、飽和または不飽和、環状または非環状、および置換または非置換とすることができ、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などがアルキルアリーレン基のアリールまたはアルキル部分のいずれか中に存在してもよく、または存在しなくてもよい)、ここで、置換アルキレン、アリーレン、アリールアルキレン、およびアルキルアリーレン基上の置換基は、ピリジン基、ピリジニウム基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフィド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、チオシアナト基、カルボキシレート基、ウレタン基、尿素基、それらの混合物、などとすることができ、ここで、2つ以上の置換基を共に連結させて環を形成させることができる。
【0027】
は以下の通りである。
【0028】
(i)1つの実施形態では少なくとも2つの炭素原子を有し、1つの実施形態では約80以下の炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外とすることができる、アルキレン基(ここで、アルキレン基は二価脂肪族基またはアルキル基として規定され、直鎖および分枝、飽和および不飽和、環状および非環状、ならびに置換および非置換アルキレン基を含み、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などがアルキレン基中に存在してもよく、または存在しなくてもよい)である。
【0029】
(ii)1つの実施形態では少なくとも約5つの炭素原子を有し、1つの実施形態では約50以下の炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外とすることができる、アリーレン基(ここで、アリーレン基は二価芳香族基またはアリール基として規定され、置換および非置換アリーレン基を含み、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などがアリーレン基中に存在してもよく、または存在しなくてもよい)である。
【0030】
(iii)1つの実施形態では少なくとも約6つの炭素原子を有し、1つの実施形態では約50以下の炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外とすることができる、アリールアルキレン基(ここで、アリールアルキレン基は二価アリールアルキル基として規定され、置換および非置換アリールアルキレン基を含み、アリールアルキレン基のアルキル部分は、直鎖または分枝、飽和または不飽和、環状または非環状、および置換または非置換とすることができ、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などがアリールアルキレン基のアリールまたはアルキル部分のいずれか中に存在してもよく、または存在しなくてもよい)である。
【0031】
または、(iv)1つの実施形態では少なくとも約6つの炭素原子を有し、1つの実施形態では約50以下の炭素原子を有するが、炭素原子の数はこれらの範囲外とすることができる、アルキルアリーレン基(ここで、アルキルアリーレン基は二価アルキルアリール基として規定され、置換および非置換アルキルアリーレン基を含み、アルキルアリーレン基のアルキル部分は、直鎖または分枝、飽和または不飽和、環状または非環状、および置換または非置換とすることができ、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、ホウ素などがアルキルアリーレン基のアリールまたはアルキル部分のいずれか中に存在してもよく、または存在しなくてもよい)、ここで、置換アルキレン、アリーレン、アリールアルキレン、およびアルキルアリーレン基上の置換基は、ピリジン基、ピリジニウム基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフィド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、カルボキシレート基、ウレタン基、尿素基、それらの混合物、などとすることができ、ここで、2つ以上の置換基を共に連結させて環を形成させることができる。
【0032】
ならびに、nはアミド繰り返しユニットの数を表す整数であり、1つの実施形態では、少なくとも1であり、および1つの実施形態では約20以下であり、別の実施形態では約15以下であり、さらに別の実施形態では約10以下であるが、nの値はこれらの範囲外とすることができる。
【0033】
1つの特定の実施形態では、RおよびR1’はそれぞれ、式HC=CH−O−(CH−である。
【0034】
別の特定の実施形態では、RおよびR1’はそれぞれ、式HC=CH−O−(CH−O−(CH−である。
【0035】
さらに別の特定の実施形態では、RおよびR1’はそれぞれ、式HC=CH−CO−O−(CH−である。
【0036】
さらに別の特定の実施形態では、RおよびR1’はそれぞれ、式HC=CH−CO−O−(CH−[O−CO−(CH−である。
【0037】
別の特定の実施形態では、RおよびR1’に対する式は、米国特許出願公開第2007/0123606号の段落[0061]−[0062]において記載されている。
【0038】
1つの特定の実施形態では、RおよびR2’はそれぞれ、式−C3456+a−の基であり、不飽和および環状基を含んでもよい分枝アルキレン基であり、ここで、aは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12の整数であり、米国特許出願公開第2007/0123606号の段落[0063]において記載されている式の異性体が挙げられる(が、それらに限定されない)。
【0039】
1つの特定の実施形態では、Rはエチレン(−CHCH−)基である。
【0040】
1つの特定の実施形態では、nは1または2である。
【0041】
特定の実施形態では、化合物は米国特許出願公開第2007/0123606号の段落[0066]において記載されている式を有する。
【0042】
この式の材料の別の特定の例としては、米国特許出願公開第2007/0123606号の段落[0067]において記載されている式のものが挙げられる。
【0043】
必要に応じて用いられる着色剤と、開始剤と、相変化インクビヒクルまたはキャリアと、を含み、キャリアは本明細書で記載されている式の化合物を含んでもよい、相変化インクも本明細書では開示されている。
【0044】
式R−O−[CO−R−CO−NH−R−NH]−CO−R2‘−CO−O−R1’の化合物もまた、相変化インク中に任意の所望の、または有効な量で、1つの実施形態ではインクキャリアの少なくとも約5質量%から約50質量%までの量で、別の実施形態ではインクキャリアの少なくとも約7.5質量%から約40質量%までの量で、さらに別の実施形態ではインクキャリアの少なくとも約10質量%から約30質量%までの量で、存在してもよい。
【0045】
インクビヒクルは相変化インク中に任意の所望の、または有効な量で、1つの実施形態ではインクの少なくとも約0.1質量%、別の実施形態ではインクの少なくとも約50質量%、さらに別の実施形態ではインクの少なくとも約70質量%、およびさらに別の実施形態ではインクの少なくとも約90質量%の量で、ならびに、1つの実施形態ではインクの約97質量%以下、別の実施形態ではインクの約95質量%以下、さらに別の実施形態ではインクの約85質量%以下の量で存在するが、量はこれらの範囲外とすることができる。
【0046】
硬化のためにインク中に含められるフリーラジカル開始剤の例としては、例えば、ベンジルケトン類、モノマーヒドロキシルケトン類、ポリマーヒドロキシルケトン類、α−アミノケトン類、アシルホスフィンオキシド類、メタロセン類、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体類、などが挙げられる。
【0047】
必要に応じて、相変化インクはまた、水素原子を光開始剤に供与し、これにより重合を開始するラジカル種を形成させることができ、かつ、フリーラジカル重合を阻害する溶存酸素を消費し、これにより、重合速度を増加させることもできる共開始剤である、アミン共力剤を含むことができる。適したアミン共力剤の例としては、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート、など、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0048】
本明細書で開示したインクのための開始剤は、任意の所望のまたは有効な波長の、1つの実施形態では少なくとも約200nmおよび1つの実施形態では約560nm以下、および別の実施形態では約420nm以下の波長の放射線を吸収することができるが、波長はこれらの範囲外とすることができる。
【0049】
開始剤はインク中に任意の所望の、または有効な量で、1つの実施形態ではインクの少なくとも約0.5から約15質量%、別の実施形態ではインクの少なくとも約1から約10質量%量で存在することができる。
【0050】
組成物はまた、少なくとも1つの硬化性ワックスを含んでもよい。硬化性ワックスは、他の成分と混和可能であり、硬化性モノマーと共に重合してポリマーを形成する任意のワックス成分としてもよい。ワックスという用語は、例えば、一般にワックスと呼ばれる、様々な天然材料、修飾された天然材料、および合成材料のいずれかを含む。
【0051】
硬化性ワックスの適した例としては、硬化性基を含む、または硬化性基で官能化されたワックスが挙げられる。硬化性基は、例えば、アクリレート、メタクリレート、アルケン、アリルエーテル、エポキシド、オキセタン、などを含んでもよい。これらのワックスは、変換可能な官能基、例えば、カルボン酸またはヒドロキシルが備えられたワックスの反応により合成させることができる。本明細書で記載されている硬化性ワックスは開示したモノマー(類)と共に硬化させることができる。
【0052】
硬化性基により官能化させてもよいヒドロキシル−末端ポリエチレンワックス類の適した例としては、構造CH−(CH−CHOHを有する炭素鎖混合物が挙げられるが、それらに限定されず、この場合、平均鎖長が約16から約50までの範囲とすることができる、鎖長、n、の混合物および同様の平均鎖長の直鎖低分子量ポリエチレンが存在する。
【0053】
硬化性ワックスは、組成物中に、例えば、組成物の約0.1質量%から約30質量%まで、例えば、組成物の約0.5質量%から約20質量%まで、または約0.5質量%から約15質量%までの量で含有させることができる。
【0054】
放射線硬化性相変化インクはまた、必要に応じて、抗酸化剤を含むことができる。必要に応じて用いられる抗酸化剤は、画像を酸化から保護することができ、また、インク調製プロセスの加熱部分中にインク成分を酸化から保護することもできる。必要に応じて用いる抗酸化剤は、存在する場合、インク中に任意の所望の、または有効な量で、1つの実施形態では、インクキャリアの少なくとも約0.01から約20質量%まで、別の実施形態では、インクキャリアの少なくとも約0.1から約5質量%まで、さらに別の実施形態では、インクキャリアの少なくとも約1から約3質量%までの量で存在する。
【0055】
相変化インクはまた、必要に応じて着色剤を含んでもよい。任意の所望の、または有効な着色剤を使用することができ、染料、顔料、それらの混合物などが挙げられるが、ただし、着色剤をインクビヒクル中に溶解または分散させることができることを条件とする。
【0056】
着色剤は相変化インク中に、所望の色または色相を得るために任意の所望の、または有効な量で、1つの実施形態では、インクの少なくとも約0.1から約15質量%まで、別の実施形態では、インクの少なくとも約0.2から約8質量%までの量で存在する。
【0057】
放射線硬化性相変化インクはまた、添加物を含むことができ、そのような添加物に関連する公知の官能性がうまく利用される。そのような添加物としては、例えば、界面活性剤、消泡剤、スリップおよびレベリング剤、顔料分散剤、など、ならびにそれらの混合物が挙げられる。インクはまた、要望通り追加のモノマーまたはポリマー材料を含むことができる。
【0058】
インク組成物は、任意の所望のまたは適した方法により調製することができる。例えば、インク成分は、共に混合された後、ある温度、1つの実施形態では少なくとも約80℃、1つの実施形態では約120℃以下の温度まで加熱され、均一インク組成物が得られるまで撹拌され、その後、インクは周囲温度(典型的には約20から約25℃まで)まで冷却される。インクは周囲温度で固体である。
【0059】
インク組成物は一般に、噴射温度、1つの実施形態では約50℃から約130℃まで、別の実施形態では約60℃から約120℃まで、さらに別の実施形態では約70℃以上、約110℃までの温度で(しかしながら、噴射温度はこれらの範囲外とすることができる)、1つの実施形態では2センチポアズから約30センチポアズ、約5センチポアズから約20センチポアズ、および約7センチポアズから約15センチポアズの溶融粘度を有する。
【0060】
実施形態では、インクは低温、特に約110℃より低い温度で、1つの実施形態では約40℃から約110℃、別の実施形態では約50℃から約110℃、さらに別の実施形態では約60℃から約90℃の温度で噴射されるが、噴射温度はこれらの範囲外とすることができる。このように、ゲル化剤は、基材に噴射されたインクにおいて急激な粘度増加を起こすように使用することができる。
【0061】
実施形態では、インクがゲル状態を形成する温度は、インクの噴射温度より低い任意の温度であり、1つの実施形態ではインクの噴射温度の約5℃以上低い任意の温度である。ゲル状態は、1つの実施形態では少なくとも約25℃の温度で、別の実施形態では少なくとも約30℃の温度で、および、1つの実施形態では約100℃以下の温度で、別の実施形態では約70℃以下の温度で、さらに別の実施形態では約50℃以下の温度で、形成させることができるが、温度はこれらの範囲外とすることができる。インクが液体状態にある噴射温度から、インクがゲル状態にあるゲル温度まで冷却されると、インク粘度の急激で大きな増加が起こる。粘度増加は1つの特定の実施形態では、少なくとも102.5倍の粘度増加である。
【0062】
中間転写部材上に堆積されたインク画像の粘度が、インクの噴射後に、著しく増加した場合に、スミアのない安定で転写可能な画像が得られ、中間転写表面から最終記録シートへの最適転写効率および最適プリント品質を達成することができることが見出されている。インクのための適したゲル化剤は、インクビヒクル中のモノマー類/オリゴマー類を迅速に、かつ可逆的にゲル化させ、例えば、約30℃から約100℃まで、例えば約30℃から約70℃までの温度範囲内の狭い相変化転移を明確に示すが、転移範囲はこれらの温度範囲外とすることができる。1つの特定の実施形態におけるインクのゲル状態は、最低、102.5センチポアズ、別の特定の実施形態では、10センチポアズを示し、転写温度、1つの特定の実施形態では約30から約70℃では、噴射温度での粘度と比較した場合、粘度増加を示す。1つの特定の実施形態は、噴射温度よりも約5℃から約10℃低い範囲で粘度が急激に増加し、最終的に噴射粘度の約10倍、別の実施形態では噴射粘度の約10倍を超える粘度に到達する、ゲル化剤を含むインクに関するが、粘度はこれらの範囲外とすることができる。
【0063】
インクがゲル状態にある場合、インクの粘度は1つの実施形態では少なくとも約1,000センチポアズ、別の実施形態では少なくとも約10,000センチポアズ、さらに別の実施形態では少なくとも約100,000センチポアズであるが、粘度はこれらの範囲外とすることができる。ゲル状態の粘度の値は、1つの実施形態では少なくとも約10センチポアズ、別の実施形態では少なくとも約104.5センチポアズ、および1つの実施形態では約10センチポアズ以下、別の実施形態では約106.5センチポアズ以下であるが、ゲル状態粘度はこれらの範囲外とすることができる。例えば、中間転写技術を使用する場合、またはインクにじみおよびけば立ちの効果を最小に抑えるために多孔性紙に直接噴射する場合、より高い粘度を使用することが好都合である。他方、プラスチックなどの多孔性の低い基材では、ドットゲインおよび個々のインクピクセルの凝集を制御するより低いインク粘度の使用に至る可能性がある。ゲル粘度はインク調合および基材温度により制御することができる。放射線硬化性インクに対するゲル状態の別の利点は、約10から約10センチポアズのより高い粘度により、インク中での酸素拡散を減少させることができ、ひいては、フリーラジカル開始におけるより速い硬化速度に至る可能性があることである。
【0064】
インクが中間転写部材上に印刷され、その後、最終基材に転写される印刷用途では、インクの粘度は、中間転写部材への接着を促進するために中間転写部材温度で約10センチポアズ以上まで増加させてもよく、インクが直接最終基材上に印刷される印刷用途では、インクの粘度は、放射線への暴露により硬化するまで、最終基材中にインクが染みこまないように、および/または最終部材への接着を促進するために最終基材温度で約10センチポアズ以上まで増加させてもよい。実施形態では、インクが印刷され、インク粘度が約10センチポアズ以上まで増加する中間転写部材または最終基材の温度は約50℃以下である。
【0065】
インクは、直接印刷インクジェットプロセスおよび間接(オフセット)印刷インクジェット用途のための装置において使用することができる。別の実施形態は、インクをインクジェット印刷装置に組み入れる工程と、インクを溶融させる工程と、溶融させたインク滴を画像様パターンで記録基材上に噴射させる工程と、を含むプロセスに関する。直接印刷プロセスはまた、例えば、米国特許第5,195,430号において開示されている。本明細書で開示されているさらに別の実施形態は、本明細書で開示したインクをインクジェット印刷装置に組み入れる工程と、インクを溶融させる工程と、溶融させたインク滴を画像様パターンで中間転写部材上に噴射させる工程と、画像様パターンのインクを中間転写部材から最終記録基材上に転写する工程と、を含むプロセスに関する。特定の実施形態では、中間転写部材は、最終記録シートの温度より高く、印刷装置中の溶融インクの温度より低い温度まで加熱される。オフセットまたは間接印刷プロセスもまた、例えば、米国特許第5,389,958号において開示されている。1つの特定の実施形態では、印刷装置は、インク滴が圧電振動要素の振動により画像様パターンで噴射される圧電印刷プロセスを採用する。本明細書で開示されているインクはまた、他のホットメルト型印刷プロセス、例えば、ホットメルト型音響インクジェット印刷、ホットメルト型熱インクジェット印刷、ホットメルト型連続ストリームまたは偏向インクジェット印刷、などにおいて使用することができる。
【0066】
本明細書で開示されているゲル化剤材料の少なくともいくつかの実施形態は、第1の温度で半固体ゲルを形成することができる。例えば、化合物を相変化インク中に組み入れる場合、この温度はインクが噴射される特定の温度より低い。半固体ゲル相は1つまたは複数の固体ゲル化剤分子および液体溶媒を含む動的平衡として存在する物理ゲルである。
【0067】
普通紙、例えば、ゼロックス(XEROX)4024紙、ゼロックスイメージシリーズ紙、コートランド(Courtland)4024DP紙、罫線入りノート紙、ボンド紙、シリカコート紙、例えば、シャープ社(Sharp Company)シリカコート紙、十條(JuJo)紙、ハンマーミル・レーザプリント(HAMMERMILL LASERPRINT)紙、など、光沢コート紙、例えばゼロックスデジタルカラーグロス、サッピウォレン(Sappi Warren)ペーパーラストログロス(LUSTROGLOSS)など、透明材料、布、織物製品、プラスチック、ポリマーフィルム、無機基材、例えば金属および木材、などを含む、任意の適した基材または記録シートを使用することができる。
【0068】
噴射されたインクがゲル状態にある間に、および、硬化する前に、本明細書で開示されているように、粒子材料、例えば磁鉄鉱粉末、金属または他の特殊顔料、白色顔料、または他の大きなサイズの粒子を添加することができる。インクのゲル状態により、粒子材料はインクに粘着し、またはインク内に埋め込まれることになり、一方、過剰の粒子材料が、インクを有していない基材の部分に粘着せず、かつそこから容易に除去できる。
【0069】
本明細書では、基材に適用される粒子として、例えば、約250nm以上、例えば500nm以上、1μm以上、2〜5μm、または5μm以上のサイズを有する粒子が企図される。
【0070】
MICR読み取り可能な粒子は磁性でなければならないが、プロセスは磁性粒子、例えば、磁鉄鉱(しばしば、0.5μm以上、例えば1μm以上、または2〜10μm)に限定されず、非磁性粒子、例えば二酸化チタン顔料および大きいに違いない他の顔料(約300nm、特に250nm以上)、クラリアント(Clariant)オレンジH5G770(PR62)、および金属フレーク顔料、例えばアルミニウムまたは青銅−金(Cu−Zn合金)を使用することができる。
【0071】
粒子材料はインクの約10質量%以上、特に約20質量%以上、より特定的には30質量%以上、特に10〜80質量%、より特定的には20〜70%を占めることができる。
【0072】
所望の画像濃度およびカラーロバスト性を達成するために、ある粒子および顔料は高い負荷パーセンテージ(例えば、20質量%以上、30質量%以上、または50質量%以上、60質量%以上、または70質量%以上)で存在しなければならず、一方、高い負荷パーセンテージは従来のインクジェット装置には適用できないが、本発明のプロセスは容易に従来のインクジェット装置を使用し、依然として、必要とされる高い負荷パーセンテージを達成することができる。
【0073】
粒子材料は、インク中での湿潤性を増加させるために、または硬化工程阻害に対し表面を不動態化するために、処理またはカプセル化させることができる。処理としては、ポリマーシェル、有機分散剤、架橋樹脂、または修飾ゼラチンコーティングが挙げられる。
【0074】
粒子材料で形成された粉末へのシリカまたはステアリン酸塩などの流動補助剤(flow aid)の添加もまた可能である。
【0075】
粒子材料は、ワックスでコートして、液体ビヒクルの使用が望ましくない場合に、爆発条件の発現を阻止してもよい。例えば、金属顔料はUV放射線硬化性インクにおいてすでに使用されているアクリレートワックスでコートすることができる。
【0076】
実施形態では、粒子材料は適用後インクを硬化することによりインク内に密封され、その後、硬化性インクの少なくとも1つの追加の層が粒子材料を含む初期層上に噴射され、その後、さらに、硬化され、基材上のインク内に粒子材料がさらに密封される。硬化性インクの別の層は、第1の層と同じインクを含んでもよいが、必ずしも含んではいない。
【0077】
実施形態では、粒子材料は、画像を従来のMICR読み取り装置により読み取り可能とする磁性材料である。このように、インクの噴射後に磁性材料を添加すると、画像が従来の噴射により正確に、かつ迅速に形成され、そのため、噴射装置の劇的な変化が必要とされず、または噴射装置の機能寿命が大幅に低下することがなく、一方、依然として、MICR画像は、従来のMICR読み取り装置により容易に読み取り可能なように十分な磁荷を保持するのに十分多い磁性粒子を含んで形成される。
【0078】
粒子材料は、インクを基材に適用する前に、貯蔵装置中に保持させてもよい。
【0079】
実施形態では、システムはインクジェット装置を含む、基材上に画像を形成するための装置と、インラインで続く、粒子を適用するための装置と、必要に応じて、インラインで続く、過剰の粒子を除去するための装置と、インラインで続く、インクの硬化を実施する装置と、を含む。実施形態では、システムは、インクジェット装置を含む、基材上に画像を形成するための装置と、インラインで続く、粒子を適用するための装置と、インラインで続く、インクの硬化を実施するための装置と、必要に応じて、インラインで続く、過剰の粒子を除去するための装置と、を含む。
【0080】
二成分磁気電子写真現像システムにおける磁性キャリアのピックアップおよび輸送において一般に使用されているものなどの、磁気送達システムにおいて使用される周知の技術および装置は、粒子材料の配置およびインク中に埋め込まれない粒子材料の除去の両方のために使用することができる。このように、実施形態では、粒子材料は、粒子材料を貯蔵装置からロール上にピックアップし、それをトリミングし、ロール上で必要とされる厚さの粒子化合物層を形成し、その後、それを基材上に堆積させる磁気ロールにより、基材に送達させることができる。後の工程において、インク画像に粘着していない過剰の粒子材料は、第2の磁気ロールにより除去され、貯蔵装置に戻され、その後、再利用のために第1の磁気ロールに戻される。
【0081】
インクはまた、粒子材料を適用した後に加熱して、さらに、粒子材料のインク中への浸透を増強させてもよい。
【0082】
磁場または遠心力の使用を採用して、粒子材料の噴射されたインク中へのより大きな浸透を達成してもよい。磁力は、粒子を力の源から遠ざけ、またはインク中に追い払うために使用してもよく、または、反対側から、粒子を力の源およびインク中に向かって引っ張るように使用してもよい。遠心力は、基材およびインクを円を描くように動かし、基材を回転することにより適用することができ、その遠心力により、粒子はさらにインク中に、基材に向かって引き寄せられる。
【0083】
このように企図されたシステムはさらに、粒子を噴射されたインク中に、硬化前にさらに埋め込むための装置を含んでもよい。粒子を噴射されたインク中にさらに埋め込むための装置は、インクを加熱するための装置、遠心力または磁力などの力を使用する装置、またはこれらの技術の組み合わせを使用する装置を含んでもよい。
【0084】
初期層の硬化前または後に、粒子化合物/インク混合物をインクの1つまたは複数の層でオーバーコートまたはカプセル化して、インク内の粒子材料の安定性をさらに確保することも可能である。
【0085】
インクの1つまたは複数の追加の層は、無色のインクまたは少なくとも1つの着色剤を含むインクを含むことができる。
【0086】
インクの1つまたは複数の層の硬化は、放射線硬化を含む任意の公知の方法により達成してもよい。放射線硬化は、光源および熱源を含み(しかしながら、それらに限定されない)、開始剤の存在または非存在を含む、放射線源への暴露による硬化の全ての型を含む。放射線硬化の例としては、必要に応じて、光開始剤および/または増感剤の存在下での、例えば、約200から約400nmの波長を有する紫外(UV)光、可視光、など、必要に応じて、光開始剤の存在下でのe−ビーム放射線、必要に応じて、高温熱開始剤(相変化インクにおいて使用された場合、噴射温度では概して不活性であってもよい)の存在下での、熱硬化、およびそれらの適当な組み合わせが挙げられる。
【0087】
企図されたシステムは、インクの1つまたは複数の層を硬化するための装置、例えば、インクに放射線を適用し硬化させる放射線源を含む。放射線源は上記で詳述された通りとしてもよい。
【実施例】
【0088】
7.5質量%のアミドゲル化剤(ゲル化剤は米国特許第7,279,587号の実施例2において完全に記載されている)と、5.0質量%のウニリン350−アクリレートと、1.0質量%のイルガキュア(IRGACURE)819と、3.5質量%のイルガキュア127と、0.2質量%のイルガスタブ(IRGASTAB) UV10と、5.0質量%のSR399LVと、77.8質量%のSR9003と、を含む無色UVインク調合物を使用して、K−プローフ(Proof)画像を作成した。
【0089】
使用したK−プルーファー(Proofer)は、それぞれ、約9.4×4.7cmの3つの長方形グラビアパターンを有する。第1の長方形のセル密度(cell density)は名目上、100%であり、第2の長方形では80%、第3の長方形では60%である。実際にはこのK−プルーフプレートにより、厚さ(または高さ)が約5μmのフィルム(またはピクセル)が得られる。マイラー(Mylar)シート(ゼロックスユニバーサルクリアトランスペアレンシーズ(Xerox Universal Clear Transparencies)パート#R4446)をコートした後に堆積させたインクの重量は0.323gであった。UVゲル像にその後、230メッシュスクリーンを通してふるい分けした磁鉄鉱粒子(トダ(TODA)(日本)MTH−009F)を振りかけた。磁鉄鉱の積み重なりを振り落とした。より高いセル密度の長方形が、より低い密度のパターンよりわずかに暗く現れた。ゲル上に堆積させた磁鉄鉱の総重量は0.309gであった。このように、「負荷」は画像を形成するインクの約90質量%であった。
【0090】
硬化は、全出力で動作させたUVヒュージョンライトハマー(Fusion Light Hammer)6を用いて、UV「D」バルブを用いて実施した。試料を、LC−6ベンチトップコンベヤー(Benchtop Conveyor)を用いて32ft/分でランプ下を通過させた。磁鉄鉱で処理したインクは部分硬化を受け、粘度が増加し、ゴム状になった。同じ硬化条件下で、磁鉄鉱を有しない同じUVインクは硬化して固いフィルムとなった。粒子化合物の負荷%を90質量%未満に減少させると、おそらく、より完全な硬化が得られるであろう。また、イルガキュア819(感光性が低いホスフィンオキシド)量を増加させても、粒子材料の受理後、インクの硬化能力が増加する可能性がある。
【0091】
[付記]
(1)前記少なくとも1つの微粒子材料は、磁性材料、サイズが250nmより大きな顔料、または金属フレーク顔料である、請求項1記載の方法。
【0092】
(2)前記微粒子材料は、磁性微粒子材料であり、ゲル化剤と、前記微粒子材料と、を含む前記硬化性インクは、MICR読み取り装置により読み取ることができる画像を形成する、請求項1記載の方法。
【0093】
(3)前記硬化工程の前または後に、前記基材および前記インクから過剰の微粒子材料を除去する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル化剤を含む硬化性インクを基材上に噴射することにより、基材上で画像パターンを形成し、噴射時のインクは前記インクのゲル温度より高い温度である、工程と、
前記パターンのインクを前記インクのゲル温度より低い温度まで冷却する工程と、
前記冷却工程後、少なくとも1つの微粒子材料を前記形成させたインクパターンに適用する工程と、
前記適用工程後、前記インクを硬化する工程と、
を含む、画像を形成する方法。
【請求項2】
ゲル化剤を含む硬化性インクを基材上に噴射することにより、基材上で画像パターンを形成し、噴射時のインクは前記インクのゲル温度より高い温度である、工程と、
前記パターンのインクを前記インクのゲル温度より低い温度まで冷却する工程と、
前記冷却工程後、磁性粒子材料を前記形成させたインクパターンに適用する工程と、
前記適用工程後、前記インクを硬化する工程と、
を含む、プロセスにより形成された画像。
【請求項3】
インクジェット装置と、インラインで続く、粒子を適用するための装置と、必要に応じて、インラインで続く、過剰の粒子を除去するための装置と、インラインで続く、インクの硬化を実施するための装置と、必要に応じて、インラインで続く、過剰の粒子を除去するための装置と、を備える、基材上に画像を形成するためのシステム。

【公開番号】特開2010−201927(P2010−201927A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38077(P2010−38077)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】