説明

ゲル状加工食品及びその製造方法

【課題】痩身効果、美肌効果、ならびに健康増進効果に優れ、コンニャクマンナン(蒟蒻芋の精粉あるいは荒粉)を主原料にしながら味も良いゲル状加工食品を提供する。
【解決手段】水100重量部に対し、ヒアルロン酸0.005〜0.01重量部、複数種の穀物粉末を配合した複合穀粉0.1〜0.2重量部、コラーゲン1.0〜1.9重量部、おから0.35〜0.65重量部、豆乳粉1.0〜2.0重量部、及びこんにゃく粉1.75〜3.25重量部を加えて混練し、その混練物を所定時間放置した後、これにゲル化剤を加えてゲル化前ペーストとし、そのゲル化前ペーストを所定の形態に成形すると共に、その成形物を熱湯に浸してゲル化させることによりゲル状加工食品を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンニャクマンナンを主原料とする低カロリーの加工食品に係わり、特に健康増進効果があり、痩身効果や美肌効果にも優れる美容健康食品として有用なゲル状加工食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、痩身効果のあるダイエット食品として、低カロリーの「こんにゃく」が良く知られている。「こんにゃく」は、蒟蒻芋を原料として作られるゲル状の加工食品であり、製品としては、板こんにゃく、突きこんにゃく、玉こんにゃく、白滝などがある。
【0003】
蒟蒻芋の成分は、水分75〜83%、炭水化物11〜14%、タンパク質2〜4.5%であり、炭水化物の主成分はコンニャクマンナン(グルコマンナン)である。
【0004】
尚、「こんにゃく」は、蒟蒻芋を乾燥粉砕した荒粉から作られる場合もあるが、その多くは荒粉から蒟蒻芋の皮成分などを取り除いた精粉が用いられる。精粉は、コンニャクマンナンのみであり、これに多量の水を加えて混練すると、コンニャクマンナンが水分を吸収して膨潤し、容積が非常に大きい粘稠なこんにゃく糊となり、これにゲル化剤として石灰乳(水酸化カルシウム)を加えて熱湯中で加熱凝固させると、「こんにゃく」が得られる。
【0005】
このように、「こんにゃく」は大部分が水分の低カロリーゲル状食品であるから、これを食してダイエット効果があり、しかもコンニャクマンナンが腸管を刺激してホルモンの分泌を促すことから、コレステロール値の上昇を抑制する作用効果も得られる。
【0006】
ここに、コンニャクマンナンを用いた機能性食品として、こんにゃく粉を主原料とし、これに体内脂肪を燃焼する添加剤と美肌効果を有する添加剤とを混合せしめた「ダイエット食品粉末」なるものが知られる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−330178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献1に開示される「ダイエット食品粉末」によれば、こんにゃく粉を主原料としていることから、これに水を加えて食すれば、コンニャクマンナンの膨潤により満腹感を得られ、ひいては摂取カロリーを低減できるので痩身効果が得られ、しかも体内脂肪を燃焼する添加剤として、トウガラシ、パパイン、生コーヒー豆エキス、カフェイン、及び無臭ニンニクから選ばれる少なくとも1種の超微細粉末が添加されていることから、これを含まない単なる「こんにゃく」に比べ、より一層の痩身効果を期待できる。
【0009】
加えて、上記「ダイエット食品粉末」には、美肌効果を有する添加剤として、皮膚などの結合組織中にタンパク質と結合して存在する多糖類のヒアルロン酸が含まれているために、これを食して美肌効果を得ることができる。
【0010】
しかしながら、係る「ダイエット食品粉末」では、痩身効果や美肌効果を期待することはできても、その粉末中に含まれる栄養素に乏しいので、健康増進効果に関して期待することできず、しかもそれ自体に味が殆ど無いものと思われるところ、継続的に食すること困難である。
【0011】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は痩身効果、美肌効果、ならびに健康増進効果に優れ、コンニャクマンナン(蒟蒻芋の精粉あるいは荒粉)を主原料にしながら味も良いゲル状加工食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係るゲル状加工食品は、コンニャクマンナンを主原料として作られたゲル状加工食品であって、コラーゲン、ヒアルロン酸、及び大豆由来成分を含有していることを特徴とする。
【0013】
好ましくは、水、ヒアルロン酸、複数種の穀物粉末を配合した複合穀粉、コラーゲン、おから、豆乳粉、及びこんにゃく粉の混練物を所定の形態に成形してゲル化させることにより得られるゲル状加工食品である。
【0014】
尚、上記ゲル状加工食品において、そのゲル化物が麺線形あるいは粒形であることが好ましい。
【0015】
更に、本発明は、水100重量部に対し、ヒアルロン酸0.005〜0.01重量部、複数種の穀物粉末を配合した複合穀粉0.1〜0.2重量部、コラーゲン1.0〜1.9重量部、おから0.35〜0.65重量部、豆乳粉1.0〜2.0重量部、及びこんにゃく粉1.75〜3.25重量部を加えて混練し、その混練物を所定時間放置した後、これにゲル化剤を加えてゲル化前ペーストとし、そのゲル化前ペーストを所定の形態に成形すると共に、その成形物を熱湯に浸してゲル化させることを特徴とするゲル状加工食品の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るゲル状加工食品は、コンニャクマンナンを主原料としていることから、低カロリー食品にして痩身効果を期待でき、しかもコンニャクマンナンの働きによりコレステロール値の上昇を抑制することができる。
【0017】
加えて、コラーゲン及びヒアルロン酸を含有していることから、肌荒れを防止して美肌効果を期待でき、しかも大豆由来成分を含有していることから、多くの栄養素を摂取することができ、ひいては健康を害することなくダイエットすることが可能となる。
【0018】
特に、大豆由来成分として、おから及び豆乳粉を含むほか、複数種の穀物粉末を配合した複合穀粉が用いられていることから、ビタミン類、ならびに各種ミネラルをバランスよく豊富に含んで風味もよく、麺線形に成形されたものでは各種たれ、ソースを和えた麺料理として美味しく食することができ、粒形であれば御米と一緒に炊いて美味しく食することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るゲル状加工食品の製造工程を示すフローチャート
【図2】混練工程を示すフローチャート
【図3】ゲル化前ベーストの成形例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るゲル状加工食品について詳しく説明する。先ず、下表1に係るゲル状加工食品の原材料を示す。
【0021】
【表1】

表1から明らかなように、本発明に係るゲル状加工食品は、水100重量部に対し、ヒアルロン酸0.005〜0.01重量部、複数種の穀物粉末を配合した複合穀粉0.1〜0.2重量部、コラーゲン1.0〜1.9重量部、おから0.35〜0.65重量部、豆乳粉1.0〜2.0重量部、こんにゃく粉1.75〜3.25重量部、及び水酸化カルシウム0.2〜0.4重量部が用いられる。
【0022】
ここに、水としては常温水、もしくは40〜50℃程度の微温湯が用いられる。又、ヒアルロン酸は、皮膚などの結合組織中にタンパク質と結合して存在する多糖類であり、本例ではこれに、哺乳動物の臍帯、関節液、眼のガラス体、あるいは鶏のトサカなどから抽出したものが用いられる。
【0023】
上記複合穀粉としては、雑穀類をはじめ種々の穀物粉を用いることができるが、本例において、係る複合穀粉は、発芽青玄米、丸麦、発芽押麦、もち玄米、もち麦、もち黒米、青大豆、もちきび(糯黍)、ハト麦、もち赤米、もちあわ(糯粟)、黄大豆、黒豆、小豆、ひえ、及びトウモロコシからなる16種類の穀物粉を配合したものが用いられる。
【0024】
又、コラーゲンには、牛、豚、あるいは魚類の体タンパク質、骨、皮、腱、軟骨、骨格筋などから得られるもの、好ましくはその種のコラーゲンを加水分解して得られる低分子量のコラーゲンペプチドが用いられる。尚、牛由来のコラーゲンや鳥由来のコラーゲンは、狂牛病、鳥インフルエンザの流行により敬遠される傾向にあるので、本発明に係るコラーゲンとしては、食品安全性の観点から豚または魚類由来のコラーゲン(ペプチド)が好適に用いられる。
【0025】
一方、主原料となるこんにゃく粉(コンニャクマンナン)は、少量のでん粉や繊維質を含む荒粉でも、コンニャクマンナン100%の精粉でもよいが、これに精粉を用いれば白色にして光沢のあるゲル化物を得られるので、視覚的観点からして荒粉を用いるよりも精粉を用いることが好ましい。
【0026】
以上のように、本発明は上記のような原材料が用いられるところ、製品としてのゲル状加工食品には、美肌効果のあるヒアルロン酸とコラーゲンほか、健康増進効果のある栄養素として大豆由来成分(大豆タンパク質、脂質など)、ビタミン類、ならびに各種ミネラルが豊富に含まれる。したがって、係るゲル状加工食品を食すれば、生命活動に必要な栄養素をバランスよく摂取しながら、健康を害することなくダイエットすることが可能となり、肌荒れを防止することもできる。
【0027】
尚、係るゲル状加工食品は、短冊形の塊状にして一口サイズに切り分けて食するようにしてもよいが、麺線形または粒形のゲル化物とすることが好ましい。麺線形であれば、各種たれ、ソースを和えた麺料理として美味しく食することができ、粒形であれば御米と一緒に炊いて美味しく食することができる。
【0028】
次に、係るゲル状加工食品の製造方法について説明すれば、先ず図1示す混練工程として、水100重量部に対し、ヒアルロン酸0.005〜0.01重量部、複数種の穀物粉末を配合した複合穀粉0.1〜0.2重量部、コラーゲン1.0〜1.9重量部、おから0.35〜0.65重量部、豆乳粉1.0〜2.0重量部、及びこんにゃく粉1.75〜3.25重量部を加えて混練することによりペースト状の混練物を得る。
【0029】
特に、混練工程では、図2に示すように、先ず水に対しヒアルロン酸を加えて混合し、次いで複合穀粉、コラーゲン、おから、豆乳粉を順に加えながら混合し、最後にこんにゃく粉を加えて混練することが好ましく、これよれば混合成分が偏在しない均質の混練物を短時間で容易に得ることができる。
【0030】
尚、ヒアルロン酸及びコラーゲンの配合量が上記の範囲以下であると高い美肌効果が得られず、それらの配合量を上記の範囲以上にすればコスト高となる。又、複合穀粉、おから、及び豆乳粉の配合量が上記の範囲以下であると栄養素の含有量が低くなり、それらの配合量を上記の範囲以上にすると、ゲル化が困難となったり型崩れし易くなったりする。
【0031】
しかして、得られた混練物を所定時間(30〜120分程度)放置、養生するのであり、これによりコンニャクマンナンが完全に膨潤し、均質にして粘稠なペーストとなる。
【0032】
そこで、図1に示す成形工程として、養生を経たペースト状混練物に、ゲル化剤として水酸化カルシウム0.2〜0.4重量部、もしくはその他のアルカリを加え、これを混練することにより未凝固のゲル化前ペーストとし、これを直ちに所定の形態(麺線形、米粒大の粒形等)に成形する。尚、図3に示すようにゲル化前ペーストを多孔状の目皿1から押し出すことにより麺線形の成形物3を得ることができ、上記目皿1から押し出されたゲル化前ペーストを往復するスライドカッター2になどより切断すれば、粒形の成形物を得ることができる。
【0033】
そして、その成形物を熱湯に5分程度浸して凝固(ゲル化)させれば、上記のようなゲル状加工食品が得られる。
【符号の説明】
【0034】
1 成形用目皿
2 スライドカッター
3 麺線形成形物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンニャクマンナンを主原料として作られたゲル状加工食品であって、コラーゲン、ヒアルロン酸、及び大豆由来成分を含有していることを特徴とするゲル状加工食品。
【請求項2】
水、ヒアルロン酸、複数種の穀物粉末を配合した複合穀粉、コラーゲン、おから、豆乳粉、及びこんにゃく粉の混練物を所定の形態に成形してゲル化させることにより得られるゲル状加工食品。
【請求項3】
ゲル化物が麺線形あるいは粒形であることを特徴とする請求項2記載のゲル状加工食品。
【請求項4】
水100重量部に対し、ヒアルロン酸0.005〜0.01重量部、複数種の穀物粉末を配合した複合穀粉0.1〜0.2重量部、コラーゲン1.0〜1.9重量部、おから0.35〜0.65重量部、豆乳粉1.0〜2.0重量部、及びこんにゃく粉1.75〜3.25重量部を加えて混練し、その混練物を所定時間放置した後、これにゲル化剤を加えてゲル化前ペーストとし、そのゲル化前ペーストを所定の形態に成形すると共に、その成形物を熱湯に浸してゲル化させることを特徴とするゲル状加工食品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−95577(P2012−95577A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244883(P2010−244883)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(500089192)株式会社丸大オヲツヤ商店 (1)
【Fターム(参考)】