説明

ゲル状組成物およびその製造方法

【課題】 カーボンナノチューブの分散性に優れ、かつ、環境適応性に優れる上、比較的安価に得ることができるゲル状組成物およびその簡便な製造方法を提供すること。
【解決手段】 カーボンナノチューブと、酸および塩基の中和反応によって得られる中和塩型イオン液体とを含んでなることを特徴とするゲル状組成物。特に中和塩型イオン液体を構成する酸として、安息香酸またはその誘導体を用いると、カーボンナノチューブの分散性に優れたゲル状組成物が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル状組成物およびその製造方法に関し、さらに詳述すると、カーボンナノチューブと中和塩型イオン液体とを含んでなるゲル状組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、金属的な性質から半導的な性質までの多様な電気的特性を有するとともに、その機械強度特性などから、材料の物性を向上し得る新たな添加剤として注目を浴びている。
その一方で、カーボンナノチューブは、1本1本のチューブではなく、大きな束状で存在しているため、加工性が悪いという欠点を有し、実用化が難しいことが指摘されている。
【0003】
カーボンナノチューブの加工性の改善法として、(1)カーボンナノチューブを化学処理して分散液を得る方法(特許文献1参照)、(2)カーボンナノチューブを化学修飾せずに親和性液体に分散させる方法(特許文献2参照)、(3)カーボンナノチューブを共役系重合体で被覆し、樹脂中に分散させる方法(特許文献3参照)、(4)カーボンナノチューブを有機溶媒中に分散させる方法(特許文献4参照)、(5)カーボンナノチューブとイオン液体とからなるゲル状組成物を得る方法(特許文献5参照)、(6)重合性基を有するイオン液体を用いてカーボンナノチューブをポリマー中に分散させる方法(特許文献6参照)などが報告されている。
【0004】
しかし、上記(1)の化学処理により親和性を高める方法では、カーボンナノチューブを化学処理する別工程が必要となり工程の煩雑化およびコスト増を招く上、化学修飾により、カーボンナノチューブの特性が損なわれるという問題が指摘されている。
上記(2)の化学処理せずに分散させる方法では、構造が複雑な特殊な分散媒体を使用する必要があり、やはりコスト面で不利である。
上記(3),(4)の超音波照射や撹拌を用いて有機溶媒系や共役系重合体中に分散させる方法では、カーボンナノチューブの分散が不充分となり易く、基板等に塗布する際にカーボンナノチューブが再凝集する可能性がある。
上記(5),(6)のイオン液体を用いてゲル状組成物(カーボンナノチューブがイオン液体中に均等に分散した状態)やポリマーとする方法の場合、使用するイオン液体として純度の高いものを得ることが難しいという問題がある上、イオン液体の多くは構造中にフッ素原子を有しているため高価であり、かつ、環境負荷も懸念される。さらに、ゲル状組成物とする場合、ゲル化に時間がかかるという問題もある。
【0005】
【特許文献1】特開2004−216516号公報
【特許文献2】特開2003−238126号公報
【特許文献3】特開2002−244490号公報
【特許文献4】特開2002−255528号公報
【特許文献5】特開2004−255481号公報
【特許文献6】特開2004−142972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、カーボンナノチューブの分散性に優れ、かつ、環境適応性に優れる上、比較的安価に得ることができるゲル状組成物およびその簡便な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、カーボンナノチューブのゲル化媒体として、酸、好ましくは安息香酸類、および塩基の中和反応によって得られる中和塩型イオン液体を用いることで、カーボンナノチューブが良好に分散されたゲル状組成物が、簡便にかつ速やかに得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1. カーボンナノチューブと、酸および塩基の中和反応によって得られる中和塩型イオン液体とを含んでなることを特徴とするゲル状組成物、
2. 前記中和塩型イオン液体が、安息香酸またはその誘導体をアニオン成分とすることを特徴とする1のゲル状組成物、
3. 前記安息香酸またはその誘導体が、下記式(1)で示されることを特徴とする2のゲル状組成物、
【化1】

{式中、R1〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよい、水素原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基〔このアルキル基は、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、アクリロイル基、メタクリロイル基またはエポキシ基で置換されていてもよい。〕、−(CH2n−O−R′基、−(CH2n−S−R′基、−(CH2n−OCO−R′基、−(CH2n−COO−R′基、−(CH2n−NHCO−R′基、−(CH2n−CONH−R′基、−(CH2n−NHCONH−R′基、−CO−R′基〔式中R′は直鎖または分岐の炭素数1〜6のアルキル基(このアルキル基は、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、アクリロイル基、メタクリロイル基またはエポキシ基で置換されていてもよい。)を示し、nは1〜6の整数を示す。〕、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、またはエポキシ基を示す。}
4. 前記塩基が、アミン類、アミジン類またはグアニジン類であることを特徴とする1〜3のいずれかのイオン液体、
5. 前記中和塩型イオン液体が、カチオン成分およびアニオン成分の少なくとも一方に重合性基を有することを特徴とする1〜4のいずれかのゲル状組成物、
6. 前記中和塩型イオン液体が、アニオン成分に重合性基を有することを特徴とする5のゲル状組成物、
7. 前記カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブであることを特徴とする1〜6のいずれかのゲル状組成物、
8. 5または6のゲル状組成物中の前記中和塩型イオン液体を重合させてなることを特徴とするカーボンナノチューブ含有ポリマー、
9. カーボンナノチューブと、酸および塩基の中和反応によって得られる中和塩型イオン液体とを混合した混合物にせん断力を加えることを特徴とするゲル状組成物の製造方法、
10. 前記混合物が、前記酸および塩基を配合してなる配合物に、直接カーボンナノチューブを添加することで調製される9のゲル状組成物の製造方法、
11. 前記せん断力を加えた後、さらに、遠心分離をして余剰の中和塩を除去する9または10のゲル状組成物の製造方法
を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カーボンナノチューブのゲル化(分散)媒体として、中和塩型のイオン液体を用いているから、従来の方法に比べて安価かつ簡便にゲル状組成物を得ることができる。この場合、当該ゲル状組成物は、酸および塩基、並びにカーボンナノチューブを混合し、せん断力を加えるだけで容易に製造することができる上、4級塩型のイオン液体をゲル化媒体として用いた場合と比べ、ゲル化速度が速い。
また、ハロゲン原子を含まない各種の酸および塩基を用いることもでき、4級塩型のイオン液体と比べ、各種ノンハロゲンのカーボンナノチューブ分散ゲル状組成物を容易に得ることができ、環境負荷対策という点でも優れている。
さらに、イオン液体を構成する酸成分として、安息香酸類を用いることで、カーボンナノチューブの分散性により優れたゲル状組成物を得ることができる。
また、重合性基を有する中和塩型イオン液体を用いることで、カーボンナノチューブ含有ポリマーを容易に得ることができる。このポリマーは、重合性基を有する4級塩型イオン液体を用いて得られたポリマーに比べ、電気伝導度等の電気的特性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係るゲル状組成物は、カーボンナノチューブと、酸および塩基の中和反応によって得られる中和塩型イオン液体とを含んでなるものである。
ここで、カーボンナノチューブとは、グラフェン・シートが筒状に巻いた形状からなる炭素系材料であり、周壁の構成数から単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブに大別でき、本発明のゲル状組成物にはいずれを使用することもできる。本発明においては、特に、単層カーボンナノチューブが好適である。
中和塩型イオン液体とは、酸と塩基との中和反応により得られる液状の塩である。このイオン液体は、100℃以下で液体であれば特に限定されないが、室温付近での取り扱い性を考慮すれば、好ましくは50℃以下、より好ましくは30℃以下で液体であることが好ましい。
【0010】
中和塩型イオン液体を構成する酸としては、例えば、トリフルオロ酢酸、安息香酸、プロピオン酸、ぎ酸などのカルボン酸およびその誘導体、メタンスルホン酸などのスルホン酸およびその誘導体、HCl、H2SO4、HNO3、HBF4、HPF6、(CF3SO22NH等が挙げられる。
これらの中でも、環境負荷の小さいゲル状組成物を得ることを考慮すると、ハロゲン原子を含有しない、安息香酸およびその誘導体、プロピオン酸、ぎ酸、メタンスルホン酸、H2SO4、HNO3等が好適である。
【0011】
特に、安息香酸またはその誘導体が好適であり、これらを用いることで、カーボンナノチューブがより分散した(体積の大きな)ゲル状組成物を得ることができる。
このような安息香酸またはその誘導体としては、特に限定されるものではなく、例えば、下記式(1)で示されるものを好適に用いることができる。
【0012】
【化2】

{式中、R1〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよい、水素原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基〔このアルキル基は、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、アクリロイル基、メタクリロイル基またはエポキシ基で置換されていてもよい。〕、−(CH2n−O−R′基、−(CH2n−S−R′基、−(CH2n−OCO−R′基、−(CH2n−COO−R′基、−(CH2n−NHCO−R′基、−(CH2n−CONH−R′基、−(CH2n−NHCONH−R′基、−CO−R′基〔式中R′は直鎖または分岐の炭素数1〜6のアルキル基(このアルキル基は、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、アクリロイル基、メタクリロイル基またはエポキシ基で置換されていてもよい。)を示し、nは1〜6の整数を示す。〕、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、またはエポキシ基を示す。}
【0013】
ここで、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、1,3−ジメチルブトキシ基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基等が挙げられる。
nは、1〜6であるが、低分子量の方がイオン液体になり易いことから、1〜4であることが好ましく、1〜2がより好ましい。
【0014】
−(CH2n−OR′基の具体例としては、−CH2OCH3、−(CH22OCH3、−(CH23OCH3、−CH2OC25、−(CH22OC25、−(CH23OC25、−CH2OC37、−(CH22OC37、−(CH23OC37、−CH2OC49、−(CH22OC49、−(CH23OC49、−CH2OC511、−(CH22OC511、−(CH23OC511等が挙げられる。
−(CH2n−SR′基の具体例としては、−CH2SCH3、−(CH22SCH3、−(CH23SCH3、−CH2SC25、−(CH22SC25、−(CH23SC25、−CH2SC37、−(CH22SC37、−(CH23SC37、−CH2SC49、−(CH22SC49、−(CH23SC49、−CH2SC511、−(CH22SC511、−(CH23SC511等が挙げられる。
【0015】
−(CH2n−OCOR′基の具体例としては、−CH2OCOCH3、−(CH22OCOCH3、−(CH23OCOCH3、−CH2OCOC25、−(CH22OCOC25、−(CH23OCOC25、−CH2OCOC37、−(CH22OCOC37、−(CH23OCOC37、−CH2OCOC49、−(CH22OCOC49、−(CH23OCOC49、−CH2OCOC511、−(CH22OCOC511、−(CH23OCOC511等が挙げられる。
−(CH2n−COOR′基の具体例としては、−CH2COOCH3、−(CH22COOCH3、−(CH23COOCH3、−CH2COOC25、−(CH22COOC25、−(CH23COOC25、−CH2COOC37、−(CH22COOC37、−(CH23COOC37、−CH2COOC49、−(CH22COOC49、−(CH23COOC49、−CH2COOC511、−(CH22COOC511、−(CH23COOC511等が挙げられる。
【0016】
−(CH2n−NHCOR′基の具体例としては、−CH2NHCOCH3、−(CH22NHCOCH3、−(CH23NHCOCH3、−CH2NHCOC25、−(CH22NHCOC25、−(CH23NHCOC25、−CH2NHCOC37、−(CH22NHCOC37、−(CH23NHCOC37、−CH2NHCOC49、−(CH22NHCOC49、−(CH23NHCOC49、−CH2NHCOC511、−(CH22NHCOC511、−(CH23NHCOC511等が挙げられる。
−(CH2n−CONHR′基の具体例としては、−CH2CONHCH3、−(CH22CONHCH3、−(CH23CONHCH3、−CH2CONHC25、−(CH22CONHC25、−(CH23CONHC25、−CH2CONHC37、−(CH22CONHC37、−(CH23CONHC37、−CH2CONHC49、−(CH22CONHC49、−(CH23CONHC49、−CH2CONHC511、−(CH22CONHC511、−(CH23CONHC511等が挙げられる。
【0017】
−(CH2n−NHCONHR′基の具体例としては、−CH2NHCONHCH3、−(CH22NHCONHCH3、−(CH23NHCONHCH3、−CH2NHCONHC25、−(CH22NHCONHC25、−(CH23NHCONHC25、−CH2NHCONHC37、−(CH22NHCONHC37、−(CH23NHCONHC37、−CH2NHCONHC49、−(CH22NHCONHC49、−(CH23NHCONHC49、−CH2NHCONHC511、−(CH22NHCONHC511、−(CH23NHCONHC511等が挙げられる。
−COR′基の具体例としては、−COCH3、−COC25、−COC37、−COC49、−COC511等が挙げられる。
【0018】
これらの中でも、合成の容易さ、入手の容易さ、および低分子量の方がイオン液体になりやすいという点から、R1〜R5として、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、総炭素数3未満のアルコキシアルキル基が好ましい。本発明の安息香酸類として好適な例は、下記式(2)〜(6)で示されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
【化3】

【0020】
一方、塩基としては、特に限定されるものではないが、アミン類、アミジン類、グアニジン類が好適である。
アミン類としては、1級アミン、2級アミン、3級アミンのいずれでもよく、例えば、アンモニア、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、2−メトキシエチルアミン、ジエチル(2−メトキシエチル)アミン、ピリジン、ピペリジン、ピロリジン、カルバゾール、インドール、シクロヘキシルアミン、アミノヘキサノール、2−(メチルアミノ)エタノール、アニリン、ヘキサメチレンジアミン、ジメチルアリルアミンなどが挙げられる。
【0021】
アミジン類としては、例えば、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール等が挙げられる。
グアニジン類としては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジンなどが挙げられる。
本発明に好適に用いられる塩基の具体例としては、下記式(7)〜(20)で示されるものなどがある。
【0022】
【化4】

【0023】
また、上述した酸成分および/または塩基成分は、その中に重合性基を有していてもよい。重合性基を有する中和塩型イオン液体を用いて得られたゲル状組成物は、その中に存在する重合性基を重合させることで容易にポリマー化することができる。
ここで、重合性基としては、光照射、加熱、重合開始剤、触媒等により活性化されて重合する光重合性官能基、熱重合性官能基、重付加官能基が挙げられ、その具体例としては、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、イソシアネート基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
本発明においては、酸成分に重合性基を有する中和塩型イオン液体を用いると、得られるポリマーの骨格をその酸成分で構成でき、この場合、上述した安息香酸またはその誘導体として重合性基を有するものが好適である。重合性基としては、上述した式(1)のR1〜R5が、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基等の重合性基が好ましく、特に、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。
重合性基を有する酸の具体例としては、下記式(21)〜(24)で示されるものなどがあり、重合性基を有する塩基の具体例としては、下記式(25)〜(30)で示されるものなどがある。
【0025】
【化5】

【0026】
【化6】

【0027】
本発明のゲル状組成物に好適に用いられる中和塩型イオン液体の具体例としては、下記式(31)〜(41)で示されるものなどがある。
【0028】
【化7】

【0029】
以上で説明した中和塩型イオン液体は、公知の酸−塩基中和法により得ることができ、例えば、酸および塩基を、氷冷下等の冷却下でモル比1:1で混合した後、適宜な温度まで昇温して1〜24時間程度撹拌して得ることができる。
【0030】
本発明のゲル状組成物の製造法は、特に限定されるものではないが、カーボンナノチューブと、酸および塩基の中和反応によって得られる中和塩型イオン液体とを混合した混合物にせん断力を加える方法が好適に用いられる。
この際、上記混合物の調製法は、酸および塩基の中和により一旦中和塩型イオン液体を調製し、これを単離後、カーボンナノチューブを加える方法を用いることもでき、酸および塩基を配合してなる配合物に、直接(イオン液体を単離・精製せずに)カーボンナノチューブを加える方法を用いることもできる。さらに、酸または塩基とカーボンナノチューブを混合した後、これに塩基または酸を加える手法によって混合物とすることもできる。
【0031】
せん断力を加える手法としては、公知のせん断力付与手段から適宜選択して用いることができる。具体例としては、手動または自動により乳鉢中で混練する方法、ボールミル、ローラーミル、振動ミル、ニーダタイプの混練機等を用いる方法等が挙げられる。
せん断力を加える時間は特に限定されるものではなく、ゲル状組成物が得られる適宜な時間とすればよいが、本発明においては、通常1〜10分間、場合によっては、1〜5分間程度という短時間でゲル状組成物を得ることができる。
【0032】
以上の工程を経ることにより、黒色のゲル状組成物が得られる。得られた組成物は、そのまま各種用途に使用することもできるが、必要であれば遠心分離をして余剰の中和塩型イオン液体を除去してもよい。なお、遠心分離の具体的手法および条件は任意であるが、通常、1000〜15000rpm、5〜30分間という条件が採用される。
この際、上述した安息香酸またはその誘導体を酸成分とするイオン液体をゲル化媒体として用いると、その他の中和塩型イオン液体を用いた場合に比べ、余剰イオン液体の量が減少する。換言すれば、安息香酸またはその誘導体を構成成分とするイオン液体用いて得られたゲル状組成物は、その他のイオン液体を用いた場合に比べてゲルの体積が大きくなる。したがって、一定量のカーボンナノチューブが、より大きな体積のゲル内に含まれることになり、分散性に優れたゲル状組成物が生成していると言い得る。
【0033】
カーボンナノチューブと、中和塩型イオン液体との配合割合は、特に限定されるものではないが、通常、カーボンナノチューブ:中和塩型イオン液体=1:60〜1:200(質量比)程度である。
なお、安息香酸またはその誘導体を酸成分とする中和塩型イオン液体を用い、カーボンナノチューブ:中和塩型イオン液体=1:100(質量比)でゲル状組成物を作製した場合、遠心分離により生じる余剰のイオン液体は、通常、使用したイオン液体の25質量%以下である。
【0034】
重合性基を有する中和塩型イオン液体を用いて得られたゲル状組成物は、加熱、紫外線照射、電子線照射等の従来公知の手段により、ゲル状組成物中の重合性基を反応させポリマー化することができる。この場合、ポリマー化反応の前にゲル状組成物中に重合開始剤を加えてもよい。その配合は、ゲル状組成物とした後に行ってもよく、カーボンナノチューブとイオン液体との混合物を調製する際に行ってもよい。なお、重合開始剤としては、公知の種々のものから適宜選択して用いればよい。
【0035】
このようにして得られたカーボンナノチューブ含有ポリマーは、体積抵抗率が低く、優れた電気伝導性を示すものが好ましい。具体的には、体積抵抗率が、5.0Ω・m以下が好ましく、2.0Ω・m以下がより好ましい。電気伝導度は、2×10-1S/m以上が好ましく、5×10-1S/m以上がより好ましい。これらの物性値は、印加電圧3V、25℃の条件で、測定装置として、4339B HIGH RESISTANCE METER/16008B RESISTIVITY CELL(HEWLETT PACKARD社製)を用い、2端子法で測定した値である。
本発明のカーボンナノチューブ含有ポリマーは、中和塩型イオン液体をゲル化剤として用いているから、従来公知の4級塩型イオン液体をゲル化剤として用いたポリマーに比べ、電気伝導度等の電気的特性に優れている。
【実施例】
【0036】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
【0037】
[1]ゲル状組成物の製造
[実施例1]
1−メチルイミダゾール(関東化学(株)製)に、安息香酸(関東化学(株)製)をアイスバスで冷却しながら加えた(モル比1:1)。15分後、アイスバスをはずし、室温で一晩攪拌して下式に示される中和塩型イオン液体(31)を得た。目的物は室温(25℃)で液体であった。
1H-NMR(CDCl3) δ: 3.72(s,3H), 6.90(d,1H), 7.16(s,1H), 7.44(t,2H), 7.54(m,1H), 7.78(d,1H), 8.12,(d,2H), 14.31(br,1H).
【0038】
【化8】

【0039】
得られた中和塩型イオン液体(31)(単離・精製していないもの)100質量部と、単層カーボンナノチューブ(HiPco:Carbon Nanotechnologies社製)(以下、SWCNTという)1.0質量部と乳鉢中で混合し、乳棒を用いて手動で5分間ゲル化するまで混練したところ、黒色のペースト状物が得られた(なお、乳棒から混練物が垂れない状態をゲルとした(以下同様))。このペースト状物を遠心分離(12000rpm、30分間)したところ、黒色のゲル状組成物と、中和塩型イオン液体とに分離し、余剰の中和塩型イオン液体を除去することで、ゲル状組成物を得た。なお、余剰のイオン液体は、使用したイオン液体に対して25質量%であった。
【0040】
[実施例2]
1−メチルイミダゾールの代わりにトリエチルアミン(関東化学(株))を用いた以外は、実施例1と同様にして下式の中和塩型イオン液体(33)を得た。目的物は室温(25℃)で液体であった。
1H-NMR(CDCl3) δ: 1.28(t,9H), 3.08(q,6H), 7.34-7.44(m,3H), 8.07(d,2H), 11.95(br,1H).
このイオン液体(33)を用いた以外は、実施例1と同様にしてゲル状組成物を得た。なお、余剰のイオン液体は、使用したイオン液体に対して20質量%であった。
【0041】
【化9】

【0042】
[実施例3]
1−メチルイミダゾールの代わりにピロリジン(和光純薬工業(株)製)を、安息香酸の代わりにm−トルイル酸(関東化学(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして下式に示される中和塩型イオン液体(35)を得た。目的物は室温(25℃)で液体であった。
1H-NMR(CDCl3) δ: 1.94(t,4H), 2.38(s,3H), 3.27(t,4H), 7.20-7.28(m,2H), 7.78(d,1H), 7.82(s,1H), 10.81(s,2H).
このイオン液体(35)を用いた以外は、実施例1と同様にしてゲル状組成物を得た。なお、余剰のイオン液体は、使用したイオン液体に対して10質量%であった。
【0043】
【化10】

【0044】
[実施例4]
ジエチルアミン(関東化学(株)製)100mlと2−メトキシエチルクロライド(関東化学(株)製)85mlとを混合し、得られた混合溶液をオートクレーブ中に入れ、100℃で24時間反応させた。この時、内圧は、1.3kgf/cm2であった。24時間後、析出した結晶と反応液との混合物に水酸化カリウム(片山化学工業(株)製)56gを溶解した水溶液200mlを加え、2層に別れた有機層を分液ロートで分液した。さらに、塩化メチレン(和光純薬工業(株)製)100mlを加えて抽出する操作を2回行った。分液した有機層をまとめ、飽和食塩水で洗浄した後、炭酸カリウム(和光純薬工業(株)製)を加えて乾燥し、減圧濾過した。得られた有機層の溶媒をロータリーエバポレーターにて留去し、残留分について常圧蒸留を行い、沸点135℃付近の留分である2−メトキシエチルジエチルアミンを18.9g得た。
【0045】
1−メチルイミダゾールの代わりに、上記で得られた2−メトキシエチルジエチルアミンを、安息香酸の代わりにp−ビニル安息香酸(和光純薬(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして下式に示される中和塩型イオン液体(39)を得た。目的物は室温(25℃)で液体であった。
1H-NMR(CDCl3) δ: 1.27(t,6H), 3.18(q,4H), 3.25(dd,2H), 3.32(s,3H), 3.78(dd,2H), 5.30(d,1H), 5.82(d,1H), 6.76(dd,1H), 7.45(d,2H), 8.04(d,2H), 13.75(bs,1H).
このイオン液体(39)を用いた以外は、実施例1と同様にしてゲル状組成物を得た。なお、余剰のイオン液体は、使用したイオン液体に対して2質量%であった。
【0046】
【化11】

【0047】
[実施例5]
1−メチルイミダゾールの代わりに2−(メチルアミノ)エタノール(関東化学(株)製)を、安息香酸の代わりにトリフルオロ酢酸(関東化学(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして下式に示される中和塩型イオン液体(32)を得た。目的物は室温(25℃)で液体であった。
1H-NMR(DMSO) δ: 2.57(s,3H), 2.98(br,2H), 3.62(t,2H), 5.32(bs,1H), 8.53(bs,2H).
このイオン液体(32)を用い、乳鉢で10分間混練した以外は、実施例1と同様にしてゲル状組成物を得た。なお、余剰のイオン液体は、使用したイオン液体に対して27質量%であった。
【0048】
【化12】

【0049】
[実施例6]
1−メチルイミダゾールの代わりに6−アミノ−1−ヘキサノール(関東化学(株)製)を、安息香酸の代わりにぎ酸(片山化学工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして化式に示される中和塩型イオン液体(34)を得た。目的物は室温(25℃)で液体であった。
1H-NMR(DMSO) δ: 1.20-1.58(m,9H), 2.72(t,2H), 3.35(t,2H), 6.50(br,3H), 8.42(s,1H).
このイオン液体(34)を用い、乳鉢で10分間混練した以外は、実施例1と同様にしてゲル状組成物を得た。なお、余剰のイオン液体は、使用したイオン液体に対して34質量%であった。
【0050】
【化13】

【0051】
[実施例7]
1−メチルイミダゾールの代わりに2−メトキシエチルジエチルアミンを、安息香酸の代わりにメタンスルホン酸(東京化成工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして下式に示されるイオン液体(36)を得た。目的物は室温(25℃)で液体であった。
1H-NMR(CDCl3) δ: 1.34(t,6H), 2.81(s,3H), 3.22(q,4H), 3.28(dd,2H), 3.38(s,3H), 3.84(dd,2H), 10.52(bs,1H).
このイオン液体(36)を用い、乳鉢で8分間混練した以外は、実施例1と同様にしてゲル状組成物を得た。なお、余剰のイオン液体は、使用したイオン液体に対して33質量%であった。
【0052】
【化14】

【0053】
[実施例8]
1−メチルイミダゾールの代わりにメタクリル酸−2−ジエチルアミノエチル(和光純薬(株)製)を、安息香酸の代わりに1,1,1−トリフルオロ−N−〔(トリフルオロメチル)スルホニル〕メタンスルホンイミド(関東化学(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして下式に示される中和塩型イオン液体(40)を得た。目的物は室温(25℃)で液体であった。
1H-NMR(CDCl3) δ: 1.41(t,6H), 1.96(s,3H), 3.33(q,4H), 3.51(t,2H), 4.54(t,2H) 5.72(s,1H), 6.17(s,1H), 7.72(br,1H).
このイオン液体(40)を用い、乳鉢で8分間混練した以外は、実施例1と同様にしてゲル状組成物を得た。なお、余剰のイオン液体は、使用したイオン液体に対して3質量%であった。
【0054】
【化15】

【0055】
[比較例1]
4級塩型イオン液体である1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIBF4)(関東化学(株))を用い、乳鉢で20分間混練した以外は、実施例1と同様にして、ゲル状組成物を得た。なお、余剰のイオン液体は、使用したイオン液体に対して42質量%であった。
【0056】
[比較例2]
4級塩型イオン液体である1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(BMIPF6)((関東化学(株))を用い、乳鉢で10分間混練した以外は、実施例1と同様にして、ゲル状組成物を得た。なお、余剰のイオン液体は、使用したイオン液体に対して25質量%であった。
【0057】
[比較例3]
4級塩型イオン液体であるN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート(DEMEBF4)(関東化学(株))を用い、乳鉢で15分間混練した以外は、実施例1と同様にして、ゲル状組成物を得た。なお、余剰のイオン液体は、使用したイオン液体に対して30質量%であった。
【0058】
[比較例4]
4級塩型イオン液体であるN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(DEMETFSI)(関東化学(株))を用い、乳鉢で15分間混練した以外は、実施例1と同様にして、ゲル状組成物を得た。なお、余剰のイオン液体は、使用したイオン液体に対して35質量%であった。
【0059】
[比較例5]
メタクリル酸−2−ジエチルアミノエチル(和光純薬(株)製)12.04gをテトラヒドロフラン(和光純薬工業(株))30mlに溶解し、氷冷下、ヨウ化メチル(和光純薬工業(株)製)4.86mlを加えた。30分後、アイスバスを外し、室温にて一晩撹拌した。この反応溶液の溶媒を減圧留去し、得られた固形分をエタノール(和光純薬工業(株)製)−テトラヒドロフラン系で再結晶し、メタクリル酸−2−ジエチルメチルアミノエチルヨウ素塩を17.22g得た。
【0060】
続いてメタクリル酸−2−ジエチルメチルアミノエチルヨウ素塩17.22gをイオン交換水50mLに溶解した。これにトリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム(キシダ化学(株)製)15.42gを加え、これが完全に溶解した後、室温で一晩撹拌した。2層に分離した有機層を分液し、水で3回洗浄し、有機層中の不純物を取り除いた。
洗浄後の有機層を真空ポンプにて減圧にし、水を十分に留去し、下式に示される4級塩型イオン液体(42)を得た。
1H-NMR(CDCl3) δ: 1.40(t,6H), 1.95(s,3H), 3.10(s,3H), 3.45(q,4H), 3.68(dd,2H), 4.58(dd,2H), 5.72(s,1H), 6.12(s,1H).
この4級塩型イオン液体(42)を用い、乳鉢で10分間混練した以外は、実施例1と同様にしてゲル状組成物を得た。なお、余剰のイオン液体は、使用したイオン液体に対して5質量%であった。
【0061】
【化16】

【0062】
[2]カーボンナノチューブ含有ポリマーの作製
[実施例9]
重合性基含中和塩型イオン液体(39)100質量部に、重合開始剤である2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(東京化成工業(株)製)2質量部を溶解し、これにSWCNT3.8質量部を添加した後、実施例1と同様にしてせん断力を加えたところ、黒色のペースト状物が得られた。これをポリエチレンテレフタレートシート(セラピール、東レフィルム(株)製、100μm)で挟み、15分間、UV照射(使用装置:アイグラフィックス(株)製、UV照射装置4Kwグランデージ、メタルハイドライドランプ使用)することで、重合性基含有中和塩型イオン液体/SWCNT複合体フィルムを作製した。
【0063】
[実施例10]
重合性基含有中和塩型イオン液体(40)を用いた以外は、実施例9と同様にして重合性基含有中和塩型イオン/SWCNT複合体フィルムを作製した。
[比較例6]
重合性基含有4級塩型イオン液体(42)を用いた以外は、実施例9と同様にして重合性基含有4級塩型イオン/SWCNT複合体フィルムを作製した。
【0064】
上記実施例9,10および比較例6で得られたフィルムについて、印加電圧3V、25℃の条件で、二端子法にて、体積抵抗率および電気伝導度測定した(測定装置:HEWLETT PACKARD社製 4339B HIGH RESISTANCE METER/16008B RESISTIVITY CELL)。結果を表1に示す。
下記表1に示されるように、重合性基含有中和塩型イオン液体を用いることで、4級塩型イオン液体を用いた場合よりも、電気伝導度の高いフィルムが得られていることがわかる。
【0065】
【表1】

【0066】
以上のように、安価かつ容易に合成できる中和塩型イオン液体をゲル化剤として用いることで、カーボンナノチューブが分散されたゲル状組成物を迅速かつ容易に得ることができた。また、ハロゲン原子を含まない中和塩型イオン液体を用いることで、ノンハロゲンで環境適応性の高いゲル状組成物を得ることができた。さらに、重合性基を有する中和塩型イオン液体を用いることで、カーボンナノチューブ由来の優れた電気的特性を有する高分子複合材料を得ることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブと、酸および塩基の中和反応によって得られる中和塩型イオン液体とを含んでなることを特徴とするゲル状組成物。
【請求項2】
前記中和塩型イオン液体が、安息香酸またはその誘導体をアニオン成分とすることを特徴とする請求項1記載のゲル状組成物。
【請求項3】
前記安息香酸またはその誘導体が、下記式(1)で示されることを特徴とする請求項2記載のゲル状組成物。
【化1】

{式中、R1〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよい、水素原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基〔このアルキル基は、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、アクリロイル基、メタクリロイル基またはエポキシ基で置換されていてもよい。〕、−(CH2n−O−R′基、−(CH2n−S−R′基、−(CH2n−OCO−R′基、−(CH2n−COO−R′基、−(CH2n−NHCO−R′基、−(CH2n−CONH−R′基、−(CH2n−NHCONH−R′基、−CO−R′基〔式中R′は直鎖または分岐の炭素数1〜6のアルキル基(このアルキル基は、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、アクリロイル基、メタクリロイル基またはエポキシ基で置換されていてもよい。)を示し、nは1〜6の整数を示す。〕、ビニル基、アリル基、プロパルギル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、またはエポキシ基を示す。}
【請求項4】
前記塩基が、アミン類、アミジン類またはグアニジン類であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のイオン液体。
【請求項5】
前記中和塩型イオン液体が、カチオン成分およびアニオン成分の少なくとも一方に重合性基を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のゲル状組成物。
【請求項6】
前記中和塩型イオン液体が、アニオン成分に重合性基を有することを特徴とする請求項5記載のゲル状組成物。
【請求項7】
前記カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のゲル状組成物。
【請求項8】
請求項5または6記載のゲル状組成物中の前記中和塩型イオン液体を重合させてなることを特徴とするカーボンナノチューブ含有ポリマー。
【請求項9】
カーボンナノチューブと、酸および塩基の中和反応によって得られる中和塩型イオン液体とを混合した混合物にせん断力を加えることを特徴とするゲル状組成物の製造方法。
【請求項10】
前記混合物が、前記酸および塩基を配合してなる配合物に、直接カーボンナノチューブを添加することで調製される請求項9記載のゲル状組成物の製造方法。
【請求項11】
前記せん断力を加えた後、さらに、遠心分離をして余剰の中和塩を除去する請求項9または10記載のゲル状組成物の製造方法。

【公開番号】特開2006−282418(P2006−282418A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−101582(P2005−101582)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000004374)日清紡績株式会社 (370)
【Fターム(参考)】