説明

ゲル

本発明は、ケイ素含有生体安定性ゲル及びそれらの調製方法に関する。該ゲルは、これらを生体材料及び医療デバイス、用品又はインプラントの製造及び修復、特に豊胸用インプラントといった軟組織インプラントの製造及び脊椎円板といったような整形外科的関節の修復に有用なものにする特性を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケイ素含有生体安定性ゲル及びそれらの調製方法に関する。該ゲルは、これらを生体材料及び医療デバイス、用品又はインプラントの製造及び修復、特に豊胸用インプラントといった軟組織インプラントの製造及び脊椎円板といったような整形外科的関節の修復に有用なものにする特性を有している。
【背景技術】
【0002】
ポリマーゲルは、或る種の状況下で液体様に応答する半固体系であるが、その分子は、互いに独立した動きをもたないためにその他の状況では固体のように挙動する。
【0003】
ゲルは、架橋された網状組織が非反応性液体により膨張させられている物理ゲルとして合成可能である。この膨張媒体が存在しない場合、架橋された網状組織は固体となる。現在豊胸用インプラントにおいて使用されているシリコーンゲルは、非反応性の低分子量PDMSによって架橋ポリジメチルシロキサン(PDMS)系が膨張させられている物理ゲルである。これらのゲルは、本質的に低分子量液体PDMSの漏洩傾向をもち、インビボ状況下でインプラントから外に浸出する可能性のある白金及び錫といった重金属触媒を含有する。
【0004】
ヒドロゲルは、架橋された網状組織内の親水性基が水分子をひきつけ、それらによって膨張させられている、物理ゲルのその他の例である。物理ゲル内では、膨張媒質の重量部分は90%という高いものであり得る。この膨張媒質は、大部分の溶媒及び生体液によってゲルから外に抽出され得る。
【0005】
PDMSベースの物理ゲルの挙動を模倣するものの、物理ゲルの厄介な問題を回避するように化学的に処方されているゲルに対するニーズが存在している。
【発明の開示】
【0006】
要約
本発明に従うと、2〜5、好ましくは2.05〜3.5、より好ましくは2.1〜3.25の範囲内の平均官能性を有する少なくとも1つのケイ素含有生体安定性重合体を含むゲルが提供される。
【0007】
生体安定性重合体は、好ましくはポリウレタン又はポリウレタン尿素である。
【0008】
1つの実施形態においては、ポリウレタン又はポリウレタン尿素は、
(a) 1つ以上の官能基を有する少なくとも1つのケイ素含有ポリオール又はポリアミン;と
(b) ポリイソシアナート
の反応生成物である。
【0009】
もう1つの実施形態においては、以上で定義づけしたポリウレタン又はポリウレタン尿素は同様に、
(c) 1つ以上の官能基を有する少なくとも1つの非ケイ素含有化合物、
の反応生成物でもあり得る。
【0010】
本発明は同様に、
(i) 以上で定義づけした通りの構成要素(a)、(b)及び(c)(存在する場合)を混合する段階を含む、以上で定義づけされたポリウレタン又はポリウレタン尿素の調製プロセスをも提供している。
【0011】
1つの変形実施形態においては、以上で定義づけした通りのポリウレタン又はポリウレタン尿素を調製するためのプロセスは、
(i) 末端反応性ポリイソシアナート基を有するプレポリマーを形成するべく以上で定義づけした通りの構成要素(a)及び(b)を反応させる段階;及び
(ii) 以上で定義づけした通り段階(i)のプレポリマーと構成要素(c)(存在する場合)を混合させる段階、
を含む。
【0012】
さらなる実施形態においては、上述のポリウレタン又はポリウレタン尿素を調製するためのプロセスは、
(i) 以上で定義づけした通りの構成要素(a)及び(b)及び(c)(存在する場合)を光開始剤と混合する段階;及び
(ii) 該混合物をUV放射線に付す段階を含む。
【0013】
以上で定義づけしたケイ素含有ポリオール(a)のいくつかは新規であり、該発明の一部を成す。
【0014】
さらに本発明に従うと、構造式(I)又は(II):
【化1】

のケイ酸含有ポリオール又はポリアミンが提供されており、式中、
− R1及びR2は、OH又はNR’R’’(なお式中R’及びR’’はCO2H及びC1-6アルキルの中から独立して選択されている)で任意に置換されているC1-6アルキレンから独立して選択されており;
− R3〜R8は、Oにより任意に中断されかつOH又はNR’R’’(なお式中R’及びR’’は以上で定義づけされた通りである)で任意に置換され得るC1-6アルキレン及びC1-6アルキルの中から独立して選択されており;
− R9がC1-4アルキルであり;
− R10が任意に置換されたC1-4アルキル又は
【化2】

(なお式中R1及びR9は以上で定義づけした通りである)であり;
− xは5〜30であり;
− yは1〜10であり;かつ
− nは1〜10である。
【0015】
本発明はさらに、
(i)構造式(A)又は(B)
【化3】

の化合物(なお式中R3〜R10及びxは以上で定義づけした通りであり、y’は0〜10である)と
構造式(C)
【化4】

化合物を反応させる段階;及び
(ii) 段階(i)の生成物をヒドロシル化に付す段階、
を含む、以上で定義づけした構造式(I)又は(II)のケイ素含有ポリオールの調製のためのプロセスを提供している
【0016】
本発明のゲルは、粘弾性特性を有し、例えば豊胸用インプラントといったような軟組織インプラントゲルの利用分野に適するような自然な組織の感触を有する。これらのゲルは同様に、ゲルの合計重量に基づいて好ましくは35%未満、より好ましくは30%未満、最も好ましくは21%未満という低レベルの抽出可能物を有している。
【0017】
かくして、本発明は同様に、以上で定義づけされたゲルで全体的に又は部分的に構成されている生体材料、デバイス、用品又はインプラントをも提供している。
【0018】
本発明はさらに、上述のゲルを含む医療用インプラントのための充填材をも提供している。
【0019】
詳細な説明
少なくとも1つのケイ素含有生体安定性重合体を含む本発明のゲルは、化学ゲルである。反応基が完全な均衡状態になるように架橋網状組織が処方される場合、反応中、該網状組織はガラス化し始め、最終的に硬質固体となる。反応基内の不均衡を作り出すことで反応が完了できない場合には、ゲル化可能である非化学量論系が発生する。かくして、1つの反応基は過剰となり、反応が不完全である状態にとどまる。この過剰量は、物理ゲルにおける非反応性膨張媒質と類似の要領で作用する。しかしながら通常は、物理ゲルと類似の効果を達成するために、膨張剤と比べ少ない量の未反応材料を処方でき、そのこと自体、より低い抽出可能種を意味する。本発明のゲルの中の抽出可能物のレベルは、ゲルの合計重量に基づき、好ましくは35%未満、より好ましくは30%未満、最も好ましくは21%未満である。
【0020】
「抽出可能物」という用語は、一般に流体であって38℃の体温で自由にゲルから外に移動できるゲルの未反応部分を意味し、より好ましくは、20℃〜40℃の範囲内の温度で有機溶媒により抽出されるゲルの未反応流体部分を意味する。
【0021】
「生体安定性」という用語は、生きた動物又はヒトの細胞及び/又は体液と接触した時点での重合体の安定性を意味する。
【0022】
重合系の「平均官能性」という用語は、全てのタイプの単量体分子についての単量体あたりの官能基の平均数を意味し、
【化5】

という式により定義づけされ、式中niは官能基fiを伴う単量体iの分子数である。
【0023】
好ましくは、ゲルの平均官能性は2.05〜3.5、より好ましくは2.1〜3.25の範囲内にある。
【0024】
生体安定性重合体は、ポリウレタン、ポリウレタン尿素、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリテトラフルオルエチレン又はポリメタクリラート例えばポリ(メチルメタクリラート)であり得る。
【0025】
好ましくは、生体安定性重合体はポリウレタン又はポリウレタン尿素である。
【0026】
ポリウレタン又はポリウレタン尿素は、1個以上の官能基をもつケイ素含有ポリオール又はポリアミン、ポリイソシアナート(b)及び任意には1個以上の官能基(c)を有する非ケイ素含有化合物で形成され得る。
【0027】
構成要素(a)及び(c)の官能基は、イソシアナートと反応できるあらゆるタイプの基であり得、好ましくは、OH、NR’R’’(なお式中R’及びR’’は同じもの又は異なるものであり、H、CO2H及びC1-6アルキル、好ましくはH及びC1-4アルキルの中から選択される)の中から選択されるか、又は2重又は3重結合といったような遊離ラジカル開始による活性化の能力をもつ基である。
【0028】
ケイ素含有ポリオール又はポリアミン(a)は、生体安定性重合体の平均官能性が1〜5の範囲内にあることを条件として1つ以上の官能基を有し得る。
【0029】
適切なケイ素含有ポリオール又はポリアミン(a)には、以上で定義した構造式(I)又は(II)の化合物、ポリシロキサン又はケイ素含有ポリカルボナートが含まれる。
【0030】
構造式(I)の化合物の代表的例は以下の通りである:
【化6】

【0031】
構造式(I)の化合物の分子量は好ましくは400〜5000である。本書で言及されている分子量の値は「数平均分子量」であるということがわかるだろう。
【0032】
構造式(II)の化合物の代表例は以下の通りである:
【化7】

【0033】
構造式(II)の化合物の分子量は、好ましくは1000〜5000である。
【0034】
ポリシロキサンは、ヒドロキシ又はアミン終結されていてよい。適切なポリシロキサンマクロジオール又はマクロジアミンは、次の構造式(III)で表わされ得る:
【化8】

なお式中、
ポリシロキサンマクロジオール又はマクロジアミンが、
− A及びA’はOH又はNHRであり、ここでRはH又は任意に置換された直鎖、有枝又は環式の飽和又は不飽和炭化水素ラジカル、好ましくはC1-6アルキル、より好ましくはC1-4アルキルであり;
− R11、R12、R13及びR14が、同じもの又は異なるものであり、水素又は任意に置換された直鎖、有枝又は環式の飽和又は不飽和炭化水素ラジカルの中から選択されており;
− R15及びR16は、同じもの又は異なるものであり、任意に置換された直鎖、有枝又は環式アルキレン、アルケニレン、アルキニレン又はヘテロ環式の2価のラジカルであり;かつ、
− Pは1以上の整数である。
【0035】
好ましいポリシロキサンは、A及びA’がヒドロキシであるものとして構造式(III)で重合体であるポリシロキサンマクロジオールである。
【0036】
好ましいポリシロキサンは、A及びA’がヒドロキシルであり、R11〜R14がメチルであり、R15及びR16が以上で定義づけした通りである構造式(III)の化合物である。好ましくは、R15及びR16は、同じもの又は異なるものであり、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、エトキシプロピル(−CH2CH2OCH2CH2CH2−)、プロポキシプロピル及びブトキシプロピルから選択される。
【0037】
構造式(II)のその他のケイ素含有ジオールは、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサン(BHTD)(A及びA’がOHであり、R11、R12、R13及びR14がメチルであり、R15及びR16がブチルであり、R17がOである構造式(III)の化合物)、1,4−ビス(3−ヒドロキシプロピル)テトラメチルジシリルエチレン(A及びA’がOHであり、R1、R12、R13及びR14がメチルであり、R15及びR16がプロピルであり、R17がエチレンである構造式(III)の化合物)及び1−4−ビス(3−ヒドロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、より好ましくはBHTDである。
【0038】
ポリシロキサンは、日本の信越化学工業社製のX−22−160ASといった市販の製品として得ることができ、そうでなければ、既知の手順に従って調製可能である。ポリシロキサンマクロジオールの好ましい分子量範囲は、200〜6000、より好ましくは200〜5000である。
【0039】
その他の好ましいポリシロキサンは、AがNH2例えばアミノ終結PDMSである構造式(III)の重合体であるポリシロキサンマクロジアミンである。
【0040】
適切なケイ素含有ポリカルボナートには、本書にその内容全体が参考として内含されている国際特許公開第WO98/54242号パンフレットに記述されているものが含まれる。
【0041】
好ましいケイ素含有ポリカルボナートは、以下の構造式(IV)を有する:
【化9】

なお式中、
− R11、R12、R13、R14及びR15は、前出の構造式(III)で定義づけした通りであり;
− R16は、任意に置換された直鎖、有枝又は環式アルキレン、アルケニレン、アルキニレン又はヘテロ環式2価ラジカルであり;
− R17は、2価の連結基好ましくはO、S又はNR18であり;
− R18及びR19は、同じもの又は異なるものであり、かつ水素又は任意に置換された直鎖、有枝又は環式の飽和又は不飽和炭化水素2価ラジカルの中から選択されており;
− A及びA’は、前出の構造式(III)で定義づけした通りであり;
− m、y及びzは、0以上の整数であり;かつ
− xは0以上の整数である。
【0042】
好ましくは、zは0〜50の整数であり、xは1〜50の整数である。mについての適当な値としては、0〜20、より好ましくは0〜10が含まれる。yについてこの好ましい値は0〜10、より好ましくは0〜2である。
【0043】
好ましいケイ素含有ポリカルボナートは、A及びA’がヒドロキシルである構造式(IV)の化合物である。
【0044】
特に好ましいポリカルボナートマクロジオールは、A及びA’がヒドロキシルであり、R11、R12、R13及びR14がメチルであり、R18がエチルであり、R19がヘキシルであり、R15及びR16がプロピル又はR14ブチルであり、R17が0又は−CH2−CH2−であり、より好ましくは、R17が0であるときR16はプロピルであり、R17が−CH2−CH2−であるときR16はブチルである、構造式(IV)の化合物である。ケイ素ベースのポリカルボナートマクロジオールの好ましい分子量範囲は、400〜5000、より好ましくは400〜2000である。
【0045】
「ポリイソシアナート」という用語は、重合体4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)といったようなジ以上のイソシアナートを意味する。ポリイソシアナートは、好ましくは、脂肪族又は芳香族ジイソシアナート、例えばMDI、メチレンビシクロヘキシルジイソシアナート(H12MDI)、p−フェニレンジイソシアナート(p−PDI)、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアナート(CHDI)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(DICH)、1,5−ジイソシアナトナフタレン(NDI)、パラ−テトラメチルキシレンジイソシアナート(p−TMXDI)、メタ−テトラメチルキシレンジイソシアナート(m−TMXDI)、2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)単量体又はそれらの混合物或いはイソホロンジイソシアナート(IPDI)であり得るジイソシアナートである。MDIが特に好ましい。
【0046】
1以上の官能基(c)を有する非ケイ素含有化合物は、ポリエーテル、ポリカルボナート、ポリアルキレン又はC1-6アルカンであり得る。
【0047】
ポリエーテル及びポリカルボナートは、ヒドロキシ又はアミン官能基を含有し得る。
【0048】
好ましいポリエーテルマクロジオール及びマクロジアミンとしては、構造式(V)
【化10】

により表わされるものが含まれる。なお式中、
− A及びA’は、以上の構造式(III)で定義づけした通り、OH又はNHR(なおここでRはH又は任意に置換された直鎖、有枝又は環式の飽和又は不飽和炭化水素ラジカル、好ましくはC1-6アルキル、より好ましくはC1-4アルキルである)であり;
− mは、4以上、好ましくは5〜18の整数であり、かつ
− nは、2〜50の整数である。
【0049】
mが5以上である構造式(V)のポリエーテルマクロジオール例えばポリヘキサメチレンオキシド(PHMO)、ポリヘプタメチレンオキシド、ポリオクタメチレンオキシド(POMO)及びポリデカメチレンオキシド(PDMO)などが、従来のポリテトラメチレンオキシド(PTMO)よりも好ましい。より好ましいマクロジオール及びその調製物は、Guratillake et al3及び米国特許第5403912号明細書中に記述されている。これらの参考文献中で記述されているPHMOといったポリエーテルは、PTMOよりもさらに疎水性が高く、ポリシロキサンマクロジオールとの相容性がさらに高いことから、特に有用である。
【0050】
3及び4−官能性ポリエーテルの例としては、それぞれグリセロール及びプロピレンオキシド及びN,N,N’−トリ(2−ヒドロキシプロピル)−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン(PolyQ)の塩基触媒反応の結果得られるポリエーテルトリオールであるVaranolが含まれる。
【0051】
ポリエーテルの好ましい分子量範囲は200〜5000、好ましくは200〜2000である。
【0052】
適切なポリカルボナートマクロジオールとしては、ポリ(アルキレンカルボナート)例えばポリ(ヘキサメチレンカルボナート)及びポリ(デカメチレンカルボナート;例えば1,4−ブタンジオール、1,10−デカンジオール(DD)、1,6−ヘキサンジオール(HD)及び/又は2,2−ジエチル1,3−プロパンジオール(DEPD)といったアルカンジオールとアルキレンカルボナートを反応させることによって調製されるポリカルボナート;及びl,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(BHTD)及び/又はアルカンジオールとアルキレンカルボナートを反応させることによって調製されるケイ素ベースのポリカルボナートが含まれる。
【0053】
ポリエーテル及びポリカルボナートマクロジオールの両方が存在する場合、それらが混合物又は共重合体の形をしていてよいということがわかるだろう。適切な共重合体の一例としては、構造式(VI)
【化11】

によって表わされるコポリ(エーテルカルボナート)マクロジオールがある。
なお式中、
− R1及びR2は同じもの又は異なるものであり、任意に置換された直鎖、有枝又は環式アルキレン、アルケニレン、アルキニレン又はヘテロ環式の2価ラジカルの中から選択されており;
− p及びqは1〜20の整数である。
【0054】
上述の構造式(VI)の化合物はカルボナート及びエーテル基のブロックを表わしているものの、それらを主構造中で無作為に分布させることも可能であることがわかるだろう。
【0055】
1以上の官能基をもつC1-6アルカンの例としては、メタンジオール、ブタンジオール又はヘキサンジオールが含まれる。
【0056】
1つの実施形態においては、構成要素(a)及び(c)は、異なる量の官能基を有するケイ素含有ポリオール及び非ケイ素含有ポリオールの組合せであり得る。例えば、構成要素(c)は、3官能性ポリエーテル及び4官能性ポリエーテルの組合せを含有し得る。
【0057】
構成要素(a)、(b)及び(c)は、好ましくは、適切なレオロジー応答を提供するべくNCO/OH又はNH2比が1未満、好ましくは0.4〜0.7となるように混合される。
【0058】
豊胸インプラントの利用分野に適した特定の好ましい実施形態においては、ゲルは、
(a)2〜4の官能基を有するケイ素含有ポリオール、すなわちPDMS(MW1000)、及び構造式(Id)(MW1210)、(IIa)(MW1150)、(Ic)(MW430)及び(IIb)(MW1520)及び
(b)ジイソシアナート、すなわちMDI、
の反応生成物であるポリウレタン尿素である。
【0059】
「アルキレン」という用語は、「アルキル」という用語の2価ラジカル等価物である。アルキレンを隣接基に連結する2つの結合は、2価ラジカル内の同じ炭素原子又は異なる炭素原子に由来する可能性がある。
【0060】
「炭化水素ラジカル」には、アルカリ、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロサイクリルラジカルが含まれる可能性がある。
【0061】
「アルキル」という用語は、直鎖、有枝又は単環又は多環式アルキル、好ましくはC1-12アルキル又はシクロアルキル、より好ましくはC1-6アルキル、最も好ましくはC1-4アルキルを表わす。直鎖及び有枝アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、アミル、イソアミル、sec−アミル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、4−メチルペンチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、1,2,2−トリメチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、5−メチルヘキシル、1−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチルペンチル、1,2,3−トリメチルブチル、1,1,2−トリメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、オクチル、6−メチルヘプチル、1−メチルヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−又は7−メチルオクチル、1−、2−、3−、4−又は5−エチルヘプチル、1−、2−又は3−プロピルヘキシル、デシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−及び8−メチルノニル、1−、2−、3−、4−、5−又は6−エチルオクチル、1−、2−、3−又は4−プロピルヘプチル、ウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−又は9−メチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−又は7−エチルノニル、1−、2−、3−、4−又は5−プロピルオクチル、1−、2−又は3−ブチルヘプチル、1−ペンチルヘキシル、ドデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−又は10−メチルウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−エチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−又は6−プロピルノニル、1−、2−、3−又は4−ブチルオクチル、1,2−ペンチルヘプチルなどが含まれる。環式アルキルの例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルなどが含まれる。
【0062】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの2重結合を有する直鎖、有枝又は単環式又は多環式炭化水素基、好ましくはC2-12アルケニル、より好ましくはC2-6アルケニルで形成される基を表わす。アルケニル基は、該当する場合E又はZの立体配置を有することができる。アルケニルの例としては、ビニル、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソ−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、シクロオクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、3−デセニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、1、3−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタトリエニル、1,3,5,7−(シクロオクタ−テトラニル)などが含まれる。
【0063】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの3重結合を有する直鎖、有枝又は単環式又は多環式炭化水素基で形成される基を表わす。アルキニルの例としてはエチニル、1−プロピニル、1−及び2−ブチニル、2−メチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、10−ウンデシニル、4−エチル−l−オクチン−3−イル、7−ドデシニル、9−ドデシニル、10−ドデシニル、3−メチル−l−ドデシン−3−イル、2−トリデシニル、11−トリデシニル、3−テトラデシニル、7−ヘキサデシニル、3−オクタデシニルなどが含まれる。
【0064】
「アリール」という用語は、芳香族炭化水素の単核、多核、接合及び融合残基を表わす。アリールの例としてはフェニル、ビフェニル、テルフェニル、カテルフェニル、フェノキシフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンズアントラセニル、ジベンズアントラセニル、フェナントレニルなどが含まれる。
【0065】
「ヘテロシクリル」という用語は、窒素、硫黄及び酸素の中から選択された少なくとも1つのヘテロ原子を含む単環又は多環式ヘテロシクリル基を表わす。適切なヘテロシクリル基としては、N−含有ヘテロ環基、例えばピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル又はテトラゾリルといった1〜4個の窒素原子を含む不飽和3〜6員ヘテロ単環基;ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジノ又はピペラジニルといった1〜4個の窒素原子を含む飽和3〜6員のヘテロ単環基;インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル又はテトラゾロピリダジニルといった1〜5個の窒素原子を含む不飽和縮合ヘテロ環基;ピラニル又はフラニルといった1個の酸素原子を含む不飽和3〜6員ヘテロ単環基;チエニルといった1〜2個の硫黄原子を含む不飽和3〜6員ヘテロ単環基;オキサゾリル、イソアゾリル又はオキサジアゾリルといった1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含む不飽和3〜6員ヘテロ単環基;モルホリニルといった1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含む飽和3〜6員ヘテロ単環基;ベンズオキサゾリル又はベンズオキサジアゾリルといった1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含む不飽和縮合ヘテロ環基;チアゾリル又はチアジアゾリルといった1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含む不飽和3〜6員ヘテロ単環基;チアジアゾリルといった1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含む飽和3〜6員ヘテロ単環基;及びベンゾチアゾリル又はベンゾチアジアゾリルといった1〜2個の硫黄原子を含む及び1〜3個の窒素原子を含む不飽和縮合ヘテロ環基が含まれる。
【0066】
本明細書中、「任意に置換された」というのは、1つの基が酸素、窒素、硫黄、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、カルボキシ、ベンジルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアルキニルオキシ、ハロアリールオキシ、ニトロ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、アジド、アミノ、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、ベンジルアミノ、アシル、アルケニルアシル、アルキニルアシル、アリールアシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルデヒド、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロキシ、ヘテロシクリルアミノ、ハロヘテロシクリル、アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、カルボアルコキシ、カルボアリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオなどの中から選択された単数又は複数の基でさらに置換されてもされなくてもよいということを意味している。
【0067】
本発明のポリウレタンは、ポリウレタンの製造の当業者が精通しているあらゆる技術によって調製可能である。これらには、1段階又は2段階手順が含まれる。重合は、従来の器具の中で、又は反応性射出成形又は混合機の内部で実施可能である。
【0068】
1段階手順においては、適切な量の構成要素(a)、(b)及び(c)(存在する場合)が混合される。該混合物は次にオーブン内で約70℃まで加熱することによって硬化される。
【0069】
代替的な1段階手順においては、構成要素(a)及び(c)(存在する場合)は、構成要素(b)にゆっくりと添加される。又、構成要素(a)及び(c)の添加順がゲルの特性に影響を及ぼし得るということも発見された。
【0070】
ポリウレタンは同様に、末端反応性ポリイソシアナート基を有するプレポリマーが、構成要素(a)及び(b)を反応させることによって調製される2段階手順によっても調製可能である。次に、該プレポリマーは、構成要素(c)が存在する場合それと反応させられる。
【0071】
ポリウレタンはさらに、構成要素(a)、(b)及び(c)に対する光開始剤の添加とそれに続くUV放射線の適用が関与するUV硬化によって調製され得る。
【0072】
望まれる場合、例えばジブチル錫ジラウラート(DBTD)、酸化第一錫(SO)、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデス−7−エン(DABU)、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサン(DTDS)、1,4−ジアザ−(2,2,2)−ビシクロオクタン(DABCO)、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン(TMBD)及びジメチル錫ジラウラート(DMTD)といった触媒;Irganox(登録商標)といった酸化防止剤;例えば亜リン酸トリスノニルフェニル(TNPP)などのラジカル阻害物質;安定剤;例えばIrgawax(登録商標)といった潤滑剤;染料;顔料;無機及び/又は有機充填剤;及び強化材料;及びIragacure 819といった光開始剤などの開始剤といった従来のポリウレタン処理添加剤を、調製中に生体安定性重合体内に取込むことが可能である。かかる添加剤は、好ましくは、ゲルの合計重量に基づいて最高10%、好ましくは最高5%、より好ましくは2%以下で、本発明のプロセスの段階(i)において添加される。
【0073】
本発明のポリウレタンは、生体材料及び医療デバイス、用品又はインプラントを調製する上で特に有用である。
【0074】
「生体材料」という用語は、それが生きた動物又はヒトの細胞及び/又は体液と接触する状況下で用いられる材料を意味する。
【0075】
医療デバイス、用品又はインプラントとしては、乳房組織、精巣組織、軟骨、筋肉及び歯と骨を除くあらゆる結合組織を含む組織を交換し増加させるように設計された軟組織インプラント;脊椎円板及び小さい関節を含めた整形外科用継手又はその部品;骨縫合アンカー;再建的顔面手術;制御型薬物放出デバイス;鍵穴手術における構成要素;バイオセンサー;医療デバイス、輸液及び流量制御デバイスの挿入用工具及び付属備品;そして尿道、神経系又は血管用膨張性薬剤が含まれ得る。
【0076】
該発明の説明においては、言語表現又は必要な言外の意味のために文脈上別の理解が求められる場合を除いて、「含む(comprise)」という用語又は「comprises」又は「comprising」といったその変形形態は、包含的意味、すなわち、本発明のさまざまな実施形態におけるさらなる特長の存在又は付加を排除するためではなく、陳述されている特長の存在を特定するために使用されている。
【実施例】
【0077】
該発明についてここで、以下の制限されない例を参考にして記述する。
【0078】
物理的特性試験
生物学的安定性:ゲルの生物学的安定性は、大量のケイ素を取込むことによって達成される。
【0079】
レオロジー:自然な感触及び形状安定性の両方共、レオロジー因子に関連していると考えることができる。優れたクリープ回復性能が感触又は弾性を描写する。レオメータ上での周波数掃引測定において計測されるような貯蔵剛性率(G’)及び損失剛性率(G’’)というパラメータが、形状安定性を描写する。低周波数(0.00s-1〜1s-1)でのG’>G’’が形状安定性を暗示する。
【0080】
クリープ回復及び周波数掃引分析のための手順
クリープ回復を、Haake Rheo Stress 1レオメータを用いてテストする。圧縮空気雰囲気下での初期化プロセスの後、平行板をゼロ点測定に付す。試料を装填し、ギャップ位置をセットする。過剰の試料をトリミングし、いつでも実験できる状態にする。
【0081】
クリープ回復分析は、37℃で実施される。試料は、温度平衡を確保するため実際の実験が開始する前に300秒間サーモスタットで調温する。実験を、60秒間10Paの力で実施し、Jのプロット(1/Pa、コンプライアンス)からクリープ回復結果を得ることができる。
【0082】
周波数掃引測定のためには、試料をトリミングした後、類似の温度平衡化条件で、実験を37℃で行なった。これは0.01Hz〜10Hzの周波数範囲で実施される。周波数掃引は、試料の構造条件を提供する。G’、G’’(Pa)及びη*(Pas)対f(Hz)曲線の形状のみで、粒子溶液、絡み合い溶液(ペースト)及び3次元網状組織(ゲル)を区別することが可能である。
【0083】
抽出可能物:24時間にわたるソックスレー抽出技術内で測定される通りのヘキサン中の抽出可能物は、シリコーンゲルについて50%前後の平均値を示す。
【0084】
抽出手順
抽出手順には、凝縮器、ソックスレー抽出管、抽出シンブル、250ml入り丸底フラスコ及び加熱マントルといった5点の器具が関与した。手順を以下のように実施した:
・ 250mL入りの丸底(R.B.)フラスコを精確に秤量した。
・ R.B.フラスコ内にヘキサン約160mLを注いだ。
・ シンブル内に既知の量のゲル試料を設置し、ソックスレー抽出管内にシンブルを入れた。
・ R.B.フラスコをソックスレー抽出管の下端部に適合させ、凝縮器を管の上端部に適合させた。
・ ゲル試料を22時間ヘキサン中で還流した。
・ 抽出期間の終りに、ヘキサン中の抽出可能物をR.B.フラスコ内に収集した。
・ 回転蒸発器を用いてヘキサンを除去した。
・ 抽出可能物残渣の入ったR.B.フラスコを正確に秤量した。
・ 抽出可能物残渣の量を、抽出のために用いられるゲルの重量から計算した。
・ 結果を重量%損失として報告した。
【0085】
基本戦略
ゲルの処方に使用されたアプローチには、PDMS分子内に不飽和又は2重結合を内含する反応物質のさまざまな官能性を用いた架橋の開始段階、そして次に、紫外線光源又はその他の技術を用いることで2重結合に反応性を付与する段階が関与する。
【0086】
ゲル合成に用いられる反応物質
ゲルを合成するために使用される反応物質には、1〜4まで変動する官能性をもつ異なるヒドロキシル終結ポリオール及びMDIの形をしたジイソシアナートが含まれる。該反応物質は、下表1に提示されている。
【0087】
【表1】

【0088】
上述の反応物質のいくつかは市販されているが、市販されていないケイ素含有多機能ポリオールは、以下の例A〜Eの中で合成された。
【0089】
例A
この例は、α,ω−ビス(ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(Ia)、α−(ヒドロキシエトキシプロピル)−ω−(6,7−ジヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(Ib)及びα,ω−ビス(6,7−ジヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(Ic)の統計的(1:2:1)混合物の調製を例示している。
【0090】
磁気攪拌棒を収納するガラスびんの中で、276.00gのオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)及び125.00gの1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(TMDS)を混合した。混合物に0.71gのトリフルオロメタンスルホン酸を添加し、びんを気密キャップで封止した。混合物を室温で6時間勢いよく攪拌し、その後20gの炭酸ナトリウムを添加した。びんを再度封止し、一晩攪拌し、その後炭酸ナトリウムをろ過してとり除き、388,58gの水素化物終結したPDMS中間体を得た。
【0091】
シリカゲル乾燥管、250mL入り圧力補償滴下漏斗及び温度計を備えた水冷式凝縮器の備わった1L入りの3頸丸底フラスコの中に、上で得た水素化物終結PDMS中間体310gと乾燥トルエン300mLを入れた。攪拌しながら60℃まで混合物を加熱した。(36.8×10-6モルPt/mLを含有する)カールシュテット触媒のトルエン溶液2mLを混合物に添加した。滴下漏斗から該混合物に対し、76.64gの2−アリルオキシエタノールと95.29gの3−アリルオキシ−1.2−プロパンジオールの混合物を滴下にて添加した。この添加は30分間にわたって行ない、その間混合物の温度は116℃まで上昇し、その後反応混合物を18時間80℃に維持した。赤外分光法によって、シラン水素含有量を検査した。いかなる痕跡も検出できなかった場合、反応は完了したものとみなされた。反応混合物を室温まで冷却させ、攪拌しながら18時間15gの活性炭で処理した。反応混合物をセライトを通してろ過して炭素を除去した。20トールの減圧下で80℃で回転蒸発器により、トルエンを除去した。混合物を、クーゲルロール蒸留装置に移し、1×10-3トールの減圧下で130℃で低分子量種をとり去って、α,ω−ビス(ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(Ia)、α−(ヒドロキシエトキシプロピル)−ω−(6,7−ジヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(Ib)及びα,ω−ビス(6,7−ジヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(Ic)の統計的(1:2:1)混合物338.73gを無色の油(n=4.893、MW767)として得た。
【0092】
例B
この例は、ヒドロキシエトキシプロピル終結された9.09%−(ヒドロキシエトキシプロピルメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体の調製を例示している。
【0093】
磁気攪拌棒を収納するガラスびんの中で、296.64gのD4、30.67gの1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及び67.17gのTMDSを混合した。混合物に0.61gのトリフルオロメタンスルホン酸を添加し、びんを気密キャップで封止した。混合物を室温で18時間勢いよく攪拌し、その後10gの炭酸ナトリウムを添加した。びんを再度封止し、6時間攪拌し、その後炭酸ナトリウムをろ過してとり除き、384.50gの水素化物終結した(メチルヒドロシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体を得た。
【0094】
シリカゲル乾燥管、250mL入り圧力補償滴下漏斗及び温度計を備えた水冷式凝縮器の備わった1L入りの3頸丸底フラスコの中に、上で得た水素化物終結ポリ(メチルヒドロシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体PDMS中間体384.50gと乾燥トルエン200mLを入れた。攪拌しながら60℃まで混合物を加熱した。(36.8×10-6モルPt/mLを含有する)カールシュテット触媒のトルエン溶液0.6mLを混合物に添加した。滴下漏斗から該混合物に対し、203.75gの2−アリルオキシエタノールを滴下にて添加した。この添加は30分間にわたって行ない、その間混合物の温度は114℃まで上昇し、その後反応混合物を1時間70℃に維持した。赤外分光法によって、シラン水素含有量を検査した。いかなる痕跡も検出できなかった場合、反応は完了したものとみなされた。反応混合物を室温まで冷却させ、攪拌しながら18時間20gの活性炭で処理した。反応混合物をセライトを通してろ過して炭素を除去した。20トールの減圧下で80℃で回転蒸発器により、トルエンを除去した。混合物を、クーゲルロール蒸留装置に移し、1×10-1トールの減圧下で100℃で低分子量種をとり去って、ヒドロキシエトキシプロピル終端9.09%−(ヒドロキシエトキシプロピルメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体(Id)の統計的(1:2:1)混合物484.50gを無色の油(x=9.53、y=1.29、MW1189)として得た。
【0095】
例C
この例は、α,α’,α’’−(メチルシリリジン)トリス−[ω[(ヒドロキシエトキシプロピルジメチルシリル)オキシ]ポリ(ジメチルシリエン)]](9Cl)(IIa)の調製を例示している。
【0096】
磁気攪拌棒を収納するガラスびんの中で、282.28gのD4及び170.48gのメチルトリス(ジメチルシロキシ)シランを混合した。混合物に0.59gのトリフルオロメタンスルホン酸を添加し、びんを気密キャップで封止した。混合物を室温で7時間勢いよく攪拌し、その後10gの炭酸ナトリウムを添加した。びんを再度封止し、一晩攪拌し、その後炭酸ナトリウムをろ過してとり除き、431.10gの水素化物終結したα,α’,α’’−(メチルシリリジン)トリス−[ω[(ジメチルヒドロシリル)オキシ]ポリ(ジメチルシリエン)]](9Cl)中間体を得た。
【0097】
シリカゲル乾燥管、250mL入り圧力補償滴下漏斗及び温度計を備えた水冷式凝縮器の備わった1L入りの3頸丸底フラスコの中に、上で得たα,α’,α’’−(メチルシリリジン)トリス−[ω[(ジメチルヒドロシリル)オキシ]ポリ(ジメチルシリエン)]](9Cl)中間体431.10gと乾燥トルエン250mLを入れた。攪拌しながら70℃まで混合物を加熱した。(0.1mmolesPt/mLを含有する)カールシュテット触媒のトルエン溶液0.5mLを混合物に添加した。滴下漏斗から該混合物に対し、210.37gの2−アリルオキシエタノールを滴下にて添加した。この添加は45分間にわたって行ない、その間混合物の温度は95℃まで上昇し、その後反応混合物を1時間70℃に維持した。赤外分光法によって、シラン水素含有量を検査した。いかなる痕跡も検出できなかった場合、反応は完了したものとみなされた。反応混合物を室温まで冷却させ、攪拌しながら18時間20gの活性炭で処理した。反応混合物をセライトを通してろ過して炭素を除去した。20トールの減圧下で80℃で回転蒸発器により、トルエンを除去した。薄黄色の生成物を3日間10gの活性炭で処理して残留物を除去した。セライトを通して油をろ過して炭素を除去し、次にクーゲルロール蒸留装置に移し、1×10-1トールの減圧下で140℃で低分子量種をとり去って、α,α’,a’’−(メチルシリリジン)トリス−[ω[(ヒドロキシエトキシプロピルジメチルシリル)オキシ]ポリ(ジメチルシリエン)]](9Cl)(IIa)526.25gを無色の油(n=1.97、MW1021)として得た。
【0098】
例D
この例は、α,α’,α’’,α’’’−テトラキス−[ω[(ヒドロキシエトキシプロピルジメチルシリル)オキシ]ポリ(ジメチルシリエン)]]シラン(9Cl)(IIb)の調製を例示している。
【0099】
磁気攪拌棒を収納するガラスびんの中で、33.80gのD4及び75.00gのテトラキス(ジメチルシロキシシラン)を混合した。混合物に0.128gのトリフルオロメタンスルホン酸を添加し、びんを気密キャップで封止した。混合物を室温で4日間勢いよく攪拌し、その後10gの炭酸ナトリウムを添加した。びんを再度封止し、6時間攪拌し、その後炭酸ナトリウムをろ過してとり除き、91.92gの水素化物終結したテトラキス(ポリジメチルシロキサン)シラン中間体を得た。
【0100】
シリカゲル乾燥管、250mL入り圧力補償滴下漏斗及び温度計を備えた水冷式凝縮器の備わった1L入りの3頸丸底フラスコの中に、上で得た水素化物終結メチルトリス(ポリジメチルシロキサン)シラン中間体91.92gと乾燥トルエン100mLを入れた。攪拌しながら60℃まで混合物を加熱した。(0.1mmolesPt/mLを含有する)カールシュテット触媒のトルエン溶液0.5mLを混合物に添加した。滴下漏斗から該混合物に対し、98.42gの2−アリルオキシエタノールを滴下にて添加した。この添加は30分間にわたって行ない、その間混合物の温度は104℃まで上昇し、その後反応混合物を1時間80℃に維持した。赤外分光法によって、シラン水素含有量を検査した。いかなる痕跡も検出できなかった場合、反応は完了したものとみなされた。反応混合物を室温まで冷却させ、攪拌しながら18時間10gの活性炭で処理した。反応混合物をセライトを通してろ過して炭素を除去した。20トールの減圧下で80℃で回転蒸発器により、トルエンを除去し、次にクーゲルロール蒸留装置に移し、1×10-1トールの減圧下で120℃で低分子量種をとり去って、α,α’,α’’,α’’’−テトラキス−[ω[(ヒドロキシエトキシプロピルジメチルシリル)オキシ]ポリ(ジメチルシリエン)]]シラン(9Cl)(IIb)133.27gを無色の油(n=1.75、MW986)として得た。
【0101】
例E
この例は、ヒドロキシエトキシプロピル終結3.55%−(メチルメタクリルオキシプロピルメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体(Ie)の調製を例示している。
【0102】
磁気攪拌棒を収納するガラスびんの中で、25.22gの1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及び400.00gのα、ω−ビス(ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(MW954)を混合した。混合物に1.96gのトリフルオロメタンスルホン酸を添加し、びんを気密キャップで封止した。混合物を室温で3.5時間勢いよく攪拌し、その後20gの炭酸ナトリウムを添加した。びんを再度封止し、一晩攪拌し、その後炭酸ナトリウムをろ過してとり除き、417.78gのヒドロキシエトキシプロピル終結した(メチルヒドロシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体を得た。
【0103】
シリカゲル乾燥管、250mL入り圧力補償滴下漏斗及び温度計を備えた水冷式凝縮器の備わった3L入りの3頸丸底フラスコの中に、上で得たヒドロキシエトキシプロピル終結ヒドロキシエトキシプロピル終結(メチルヒドロシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体中間体417.78gと乾燥トルエン300mLを入れた。攪拌しながら60℃まで混合物を加熱した。(66.04×10-6モルPt/mLを含有する)カールシュテット触媒のトルエン溶液0.6mLを混合物に添加した。滴下漏斗から該混合物に対し、70.48gのアリルメタクリラートを滴下にて添加した。この添加は20分間にわたって行ない、その間混合物の温度は72℃まで上昇し、その後反応混合物を18時間70℃に維持した。赤外分光法によって、シラン水素含有量を検査した。いかなる痕跡も検出できなかった場合、反応は完了したものとみなされた。反応混合物を室温まで冷却させ、攪拌しながら18時間20gの活性炭で処理した。反応混合物をセライトを通してろ過して炭素を除去し、その後0.2μmのテフロン(登録商標)フィルタを通してろ過した。トルエン溶液に0.094gのMEHQを添加し、その後20トールの減圧下で60℃で回転蒸発器により、トルエンを除去した。混合物を、クーゲルロール蒸留装置に移し、1×10-1トールの減圧下で20分間50℃で低分子量種をとり去り、このプロセスを3回繰り返して、ヒドロキシエトキシプロピル終結3.55%−(メチルメタクリルオキシプロピルメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体(Ie)403.70gを薄黄色の油(x=9.56、y=0.352、MW1039)として得た。
【0104】
例A〜Eについての合成経路は以下のスキーム1に示されている。
【0105】
【化12】

【化13】

【化14】

【0106】
ゲル合成
次のような異なるプロセスを用いてゲルを合成した:
ワンショットプロセス− ゲルの全ての反応物質を添加し、一緒に混合した。
2段階プロセス− このプロセスにおけるゲル合成は、第1段階での2官能性イソシアナート終結されたプレポリマーの形成とそれに続くヒドロキシ終結された多官能性ポリオールの添加により発生した。
低速添加プロセス− ゲルの全ての反応物質を中で一緒に混合したが、ポリオールは滴下によりジイソシカナートに添加した。
逐次低速添加− これは、他のものの前に一部のポリオールを添加するという点を除いて、低速添加プロセスと類似である。
UV硬化− 紫外光での硬化プロセスのためには、ポリオールセグメント内に不飽和を含有する処方物が調製された。混合物に光開始剤が添加され、これは、外部供給された長波紫外線の存在下で架橋ゲルの形成を結果としてもたらした。
【0107】
例1:ワンショットプロセス
紙コップ内で4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)を正確に秤量した。Schottびんの中で、ばらのMDIに対し、ポリオールアダクツの混合物すなわちポリエチレンモノアルコール、ポリジメチルシロキサン(MW1000&2000)、Volanol2070及びN、N、N’−トリ(2−ヒドロキシプロピル)−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン(Poly Q 40-800)を添加し、4分間攪拌し、一晩70℃のオーブン内に入れて硬化させた。
【0108】
全ての反応物質の重量部分(PBW)、化学量論、平均官能性及び抽出可能物の結果と併せて、処方が下表2に記されている。
【0109】
【表2】

【0110】
例2:2段階プロセス
所望のNCO指数(NCO/OH)を得るための2官能性ポリオールを用いたプレポリマーの調製とそれに続く所望の化学量論的不均衡「r」を得るための多官能性ポリオールとプレポリマーの反応という2段階でゲルを調製した。
【0111】
反応物質の比「r」は、OH基に対する化学量論NCOに比較することができる:
r=Σf・nAf/Σg・nBg
なお式中f及びnAfはNCOの官能性及びモル数であり、g及びnBgはポリジメチルシロキサン(MW2000)、1,4−ブタンジオール、Volanol2070及びN,N,N’−トリ(2−ヒドロキシプロピル)−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン(Poly Q 40-800)といったようなOH基材料の合計モル数である。
【0112】
プレポリマーの調製
合成に先立ち真空下70℃でPDMS(MW2000)をガス抜きした。機械式攪拌器及び窒素入口が付いた3頸丸底フラスコの中に、融解MDIを入れた。70℃に設定した油浴内にフラスコを入れた。ガス抜きしたPDMSをMDIに加え、2時間、窒素雰囲気下で機械式攪拌器により攪拌した。
【0113】
PDMS添加の完了後、油浴の温度を80℃まで上昇させた。プレポリマーを2時間窒素雰囲気下で100rpmで攪拌した。真空下で1時間プレポリマーをガス抜きした。2%及び4%の遊離NCO含有量を伴うプレポリマーを作った。遊離NCO%は、重量百分率で表わしたプレポリマー量による余剰のNCO官能基の比率に基づいている。余剰のNCO 官能基は33.6重量%のNCO基を含有する余剰MDIの量によって決定される。余剰MDIは、ヒドロキシル終結PDMSとの反応後に残っている量である。
【0114】
多官能性ポリオールとの反応
70℃で攪拌した、ポリオールアダクツすなわち1,4−ブタンジオール(BDO)/ビス−ヒドロキシブチルテトラメチルジシロキサン(BHTD)、Volanol2070及びN,N,N’−トリ(2−ヒドロキシプロピル)−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン(PolyQ40−800)の混合。次にアダクツをプレポリマーに添加し、5000rpmで4分間高せん断機械式攪拌器を用いて混合した。該重合体をオーブン内に移し、70℃で一晩窒素ブランケット下のオーブン内で硬化させた。
【0115】
処方物中の反応物質の重量部分(PBW)、化学量論、平均官能性及び抽出可能物(%)が、下表3、4、5に示されている。多官能性ポリオールの量はプレポリマー100gに基づくものである。
【0116】
【表3】

【0117】
【表4】

【0118】
【表5】

【0119】
例3:低速添加プロセス
磁気攪拌器の備わったSchottびんの中で4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)を正確に秤量し、80℃の油浴の中に置いた。ポリオールアダクツすなわちポリジメチルシロキサン(Mw1000−1300)、ヒドロキシエトキシプロピル終結9.09%−(ヒドロキシエトキシプロピルメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体(Mw1210)/α,α’,α’’−(メチルシリリジン)トリス−[ω[(ヒドロキシエトキシプロピルジメチルシリル)オキシ]ポリ(ジメチルシリエン)]](Mw1000−5000)及びα,ω−ビス(6,7−ジヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(Mw400−500)/α,α’,α’’,α’’’−テトラキス−[ω[(ヒドロキシエトキシプロピルジメチルシリル)オキシ]ポリ(ジメチルシリエン)]]シラン(Mw1400−1600)の混合物をもう1つのSchottびんに入れて、80℃の油浴中に置いた。粘度が増すまで、窒素雰囲気下で恒常的に攪拌しながら1ml/分の速度でアダクツをMDIに添加した。粘度が上昇するにつれて、粘度が再度増大するまで、アダクツの添加を2ml/分まで増加させた。その後、粘度のきわめて高い溶液を紙カップに移し、一晩70℃のオーブン内に入れて硬化させた。
【0120】
処方物中の反応物質の重量部分(PBW)、化学量論、平均官能性及び抽出可能物(%)は、下表6に示されている:
【0121】
【表6】

【0122】
例4:逐次低速添加プロセス
磁気攪拌器を備えたSchottびんの中で、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)を正確に秤量し、70℃の油浴中に置いた。ポリオールすなわち、ポリジメチルシロキサン(MW1000/2000)とVolanol2070の混合物をもう1本のSchottびんに入れて70℃の油浴中に置いた。5分の間隔(1ml/5分)で磁気攪拌器により恒常的に攪拌しながら、ポリオールの混合物をMDIに添加した。最終的にN,N,N’−トリ(2−ヒドロキシプロピル)−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン(PolyQ40−800)を添加し、粘度が増大するまで、攪拌を続行した。その後、紙カップに粘度の高い溶液を移し、一晩70℃のオーブン内に置いて硬化させた。結果は、下表7に示されている。
【0123】
【表7】

【0124】
磁気撹拌器を備えたSchottびんの中で、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)を正確に秤量し、70℃の油浴中に置いた。ポリオール混合物の添加を、以下の要領で行なった。すなわち、i)まず最初にポリジメチルシロキサン(Mw1000)を添加し;ii)ポリエチレンモノアルコール及びVolanol2070の混合物を最後に添加した。5分間隔で磁気攪拌器で攪拌しながら(1ml/5分)MDIにポリオールを添加した。粘度が増大するまで、結果として得た反応混合物を攪拌させた。その後、粘度の高い溶液を紙カップに移し、一晩70℃のオーブン内に置いて硬化させた。結果は、下表8に示されている。
【0125】
【表8】

【0126】
磁気撹拌器を備えたSchottびんの中で、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)を正確に秤量し、70℃の油浴中に置いた。ポリオール混合物の添加を、以下の要領で行なった。すなわち、i)まず最初に、ポリジメチルシロキサン(Mw1000)を添加し;ii)Volanol2070を添加し、そしてiii)ポリエチレンモノアルコールを最後に添加した。5分間隔で磁気攪拌器で攪拌しながら(1ml/5分)MDIにポリオールを添加した。粘度が増大するまで、結果として得た反応混合物を攪拌させた。その後、粘度の高い溶液を紙カップに移し、一晩70℃のオーブン内に置いて硬化させた。結果は、下表9に示されている。
【0127】
【表9】

【0128】
磁気撹拌器を備えたSchottびんの中で、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)を正確に秤量し、70℃の油浴中に置いた。ポリオール混合物の添加を、以下の要領で行なった。すなわち、i)まず最初に50%のポリジメチルシロキサン(Mw1000)を添加し;ii)50%のポリジメチルシロキサン(Mw1000)及び50%のVolanol2070の混合物を次に添加し;iii)100%のポリエチレンモノアルコール最後に添加した。5分間隔で磁石攪拌器で攪拌しながら(1ml/5分)MDIにポリオールを添加した。粘度が増大するまで、結果として得た反応混合物を攪拌させた。その後、粘度の高い溶液を紙カップに移し、一晩70℃のオーブン内に置いて硬化させた。結果は、下表10に示されている。
【0129】
【表10】

【0130】
例5:UV硬化
UV硬化システムは、材料内に遊離ラジカルを生成するために、外部供給された長波紫外線を用いている。UV光は、通常、分子の反応基と相互作用し遊離ラジカルを生成するのに充分なエネルギーレベルを有していない。光開始剤が処方物に添加された時点で、これは特定の波長のUVに曝露された場合にそのUV光を吸収し、架橋連結プロセスを開始する遊離ラジカルを生成し、結果として事実上瞬時の重合をもたらす。遊離ラジカル処方物の中では、反応は、処方物がUV光に付されているかぎり続行することになる。
【0131】
Mw1039の合成ヒドロキシエトキシプロピル終結3.55%−(メチルメタクリルオキプロピルメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体を適量、ペトリ皿内で正確に秤量し、最高1mlのトルエン内で所要重量百分率(w/w)の光開始剤(Irgacure 819)(0.25%〜2%w/wの変動する百分率)とスパチュラを用いて撤底的に混合し、48時間UVチャンバ(UV灯5mW、366nm)内に置いて硬化させた。
【0132】
UV硬化を用いたもう1つの例では、機械式攪拌器及び窒素入口のついた3頸丸底フラスコの中に融解MDIを置いた。フラスコを、60℃に設定した油浴の中に置いた。MDIに対しMw1039の合成ヒドロキシエトキシプロピル終結3.55%−(メチルメタクリルオキシプロピルメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体を加え、2時間窒素雰囲気下で機械式撹拌器により攪拌し、真空下で1時間ガス抜きした。鎖延長された重合体をペトリ皿内で正確に秤量し、最高1mlのトルエン中の所要重量百分率(w/w)の光開始剤(Irgacure 819)(0.25%〜2%w/wの変動する百分率)と共にスパチュラを用いて撤底的に混合し、48時間UVチャンバ(自家製)(UV灯5mW、366nm)の中に置いて硬化させた。結果は下表11に示されている。
【0133】
【表11】

【0134】
UV硬化を用いたもう1つの例では、機械式攪拌器及び窒素入口のついた3頸丸底フラスコの中に融解MDIを置いた。フラスコを、60℃に設定した油浴の中に置いた。MDIに対しMw1039の合成ヒドロキシエトキシプロピル終結3.55%−(メチルメタクリルオキシプロピルメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体を加え、2時間窒素雰囲気下で機械式撹拌器により攪拌し、真空下で1時間ガス抜きした。次にPDMS1000/2000をプレポリマーに添加し、5000rpmで4分間せん断機械式撹拌器を用いて混合させた。次に異なる処方について重合体をペトリ皿内で正確に秤量し、最高1mlのトルエン中の所要重量百分率(w/w)の光開始剤(Irgacure 819)(0.25%〜2%w/wの変動する百分率)と共にスパチュラを用いて撤底的に混合し、48時間UVチャンバ(自家製)(UV灯5mW、366nm)の中に置いて硬化させた。結果は下表12に示されている。
【0135】
【表12】

【0136】
例6:ISO溶離方法を用いた細胞毒性研究
目的
インビトロ哺乳動物細胞培養試験を用いてテスト製品抽出物の生体適合性を評価すること。この研究は、国際標準化機構10993;医療デバイスの生物学的評価、第5部:細胞毒性についての試験:インビトロ方法の規定要件に基づいている。
【0137】
テスト材料対抽出ビヒクル比:0.5mm未満の材料厚み−60cm2:10mlの比(USP比120cm2:20mlに基づく)
【0138】
抽出ビヒクル:
5%の血清及び2%の抗生物質で補足された単一強度の最小必須培地(1×MEM)。
【0139】
抽出条件:
抽出条件は、潜在的な毒性学的危険を定義づけするべく臨床使用条件を誇張することを試みるものとする。ただし、これらの条件は、いかなる場合においても、利用可能な表面積を減少させる結果となる融合又は融解といったような物理的変化をひき起こすべきではない。部分品のわずかな付着は許容可能である。
【0140】
対照製品:
負の対照;60cm2対20ml抽出ビヒクルの比に基づいて高密度ポリエチレンが調製されることになる。材料の単一の調製物が作られ、テスト製品について上述したものと同じ条件を用いて抽出されることになる。
【0141】
試薬対照:テスト材料を伴わない抽出ビヒクルの単一アリコートが、テスト製品について上述したものと同じ条件を用いて調製されることになる。
【0142】
正の対照:ポリビニルクロリドにおいて錫で安定化された現行の正の対照材料*は、60cm2:20mlの抽出ビヒクルの比に基づいて調製される。材料の単一の調製物が作られ、24時間37℃で抽出される。終点滴定手順のためには、連続希釈物が調製されることになる。
【0143】
*註:現行の正の対照材料は、USP推奨対照材料に対する受容可能な代用品として資格付与されている。
【0144】
テスト系及び裏付け
哺乳動物細胞培養単層、L−929、マウス線維芽細胞(ATCC CCL 1、NCTCクローン929、菌株L、又は同等の供給源)が使用されることになる。生体材料及び医療デバイスの細胞毒性を評価するために歴史的にインビトロ哺乳動物細胞培養研究が使用されてきた(Wilsnack, et al., 1973)。
【0145】
テスト系の管理
L−929マウス繊維芽細胞(ATCC CCL1、NCTCクローン929、菌株L、又は同等の供給源)を増殖させ、5%の二酸化炭素(CO2)の気体環境内で5%の血清及び2%の抗生物質で補足された単一強度の最小必須培地(1×MEM)の入った開放ウェル内に維持されることになる。この研究のためには、10cm2のウェルに播種し、継代数及び日付がラベル付けされ、使用前に細胞のコンフルエントな単層を得るべく5%のCO中で37℃でインキュベートされる。承認済みの標準作業手順書に従って、細胞培養の取扱いに際しては無菌手順が用いられることになる。
【0146】
投与の方法及び経路
コンフルエントな細胞単層を含有する各培養ウェルが選択されることになる。トリプリケート培養内の成長培地は、2mlのテスト抽出物で交換する。同様にして、トリプリケート培養を、試薬対照、負の対照抽出物及び未希釈で各力価の正の対照2mlで交換する。各ウェルを48時間5%のCO2中で37℃でインキュベートする。
【0147】
インキュベーションの後、培養を顕微鏡(100倍)で検査して細胞の特徴及び溶解百分率を評価することになる。
【0148】
評価基準及び統計:
単層のコンフルエンシーは、存在する場合(+)、存在しない場合(−)と記録される。さらに、テスト培地の色が観察され、負の対照培地に比較される。各々の培養ウェルは、以下の基準を用いて溶解百分率及び細胞特性について評価されることになる。
【0149】
【表13】

【0150】
試験が有効となるためには、試薬対照及び負の対照が、ゼロの反応性(等級0)を有していなくてはならず、正の対照は等級3又は4でなくてはならない。テスト試料は、生物学的応答が等級2(軽度)以下である場合に該試験の必要条件を満たす。試験は、対照が予期通りの性能を示さない場合及び/又は3つのテストウェル全てが同じ結論を生成しない場合、反復されることになる。
【0151】
例6のための参考文献:
21CFR58(GLP規則)
【0152】
国際標準化機構10993:
医療デバイスの生物学的評価、第5部;細胞毒性試験;インビトロ方法。
【0153】
米国薬局方(USP)、現行版
【0154】
Wilsnack, R. E. 「医療デバイスの定量的細胞培養生体適合性試験及び動物試験に対する相関」Rio materials, Medical Devices and Art/Icfal Organs 4 (1976); 235-261。
【0155】
Wilsnack R. B., P, S. Meyer及び3.0, Smith, 「医療デバイスのヒト細胞培養毒性試験及び動物試験に対する相関」Biomaterials, Medical Devices and Artficial Organs 1 (1973); 543-562。
【0156】
例7:モルモットにおける感作研究(最大化方法)
研究の目的:
モルモットにおける最大化試験の目的は、皮膚感作の潜在力を同定することにある。Magnusson及びKligman方法は、さまざまなアレルギーを同定する上で有効であった。この研究は、国際標準化機構10993;医療デバイスの生物学的評価、第10部;刺激及び感作についての試験。
【0157】
テスト製品:
試料は以下の通りに調製されることになる:
1. テスト製品抽出ビヒクルの比率;0.5mm未満の材料厚み−120cm220mlの比率。
2. 抽出ビヒクル;
0.9%の塩化ナトリウムUSP溶液(SC)綿実油、NF(CSO)。
3. 抽出条件;
37℃、72時間(±2時間)
【0158】
対照製品:
抽出物を調製するために使用されるビヒクルは、対照尺度として役立つよう、抽出物と同じ要領で(ただしテスト製品無しで)調製されることになる。未処置の皮膚は、抗原投与段階の間の皮膚反応を評定するための付加的対照基準として役立つことになる。
【0159】
テスト系:
種:モルモット(Cavia porcellus)
血統:Crl:(HA)BR
供給源:Charles River Laboratories
性別:この試験には特定の性別規定無し。雌が用いられる場合、それらは、未経験で妊娠していないものとする。
体重範囲:識別時に300〜500グラム
年令:若い成体
順応期間:最低5日間
動物の数:15(1抽出物あたり)
識別方法:耳パンチ
【0160】
テスト系の裏づけ:
感作研究のためには、歴史的にHartleyアルビノモルモットが使用されてきた(Magnusson及びKilgman, 1970)。モルモットは、このタイプの研究にとって最も感応性の高い動物モデルであると考えられている。Hartley血統の既知の感作物質1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン(DNCB)に対する感受性は、この方法で実証されてきた。
【0161】
テスト及び対照製品の調製:
以上で指示した通り(「テスト製品」参照)、研究の各段階において新鮮な抽出物が調製されることになる。テスト材料がパッチングのために適切である場合、テスト試料(2cm×2cmのパッチ)の局所施用が抗原投与において使用される。抽出物を調製するために用いられるビヒクルは、対照尺度として役立つよう抽出物と同じ要領で(ただしテスト製品無しで)調製されることになる。
【0162】
投与の方法と経路:
処置の前日に、1抽出物あたり15匹のモルモット(10試験、10対照)の体重を測定し、識別する。動物の背側肩甲部からの毛衣は、電動クリッパで除去することになる。
【0163】
誘発I:
皮内注射を3対、背側肩甲部の約2cm×4cmの部域内で動物に投与する。
【0164】
対照動物:
a. フロインド完全アシュバント(FCA)と選択されたビヒクルの50:50(v/v)混合物0.1ml
b. ビヒクル0.1ml、
c. 50:50(v/v)のFCA及びビヒクルの1:1混合物0.1ml。
【0165】
テスト動物:
a. FCAと選択されたビヒクルの50:50(v/v)混合物0.1ml、
b. テスト抽出物0.1ml、
c. 50:50(v/v)FCA及びテスト抽出物の1.1混合物0.1ml。
【0166】
組織の脱落を最小限におさえるため、「a」及び「c」注射は「b」よりもわずかに深く行う。部位「c」は部位「b」よりもわずかに尾側で注射されることになる。
【0167】
誘発II:
6日後に、注射部位の毛衣を再び刈り取り、粉末SLSをペトロラクタムと混合することによって調製された10%(w/w)のラウリル硫酸ナトリウム(SLS)懸濁液0.1〜1gでこの部位を処置することになる。SLS処置の翌日に、SLS残渣が残っていればそれをその部域からガーゼで優しく拭い取る。
【0168】
0.3mlの抽出物調製物又はビヒクルで飽和させた2cm×4cmのろ紙パッチ(3MM、Whatman)を、同じ注射部位の上に適用し、非反応性テープでしっかり固定する。次に各動物の胴体を48時間(±2時間)ゴムバンドでぴったりとラッピングする。
【0169】
抗原投与:
誘発IIのラップを取り外してから13日目に、全てのモルモットの横腹及び脇腹から毛衣を刈り取る。翌日に、可とう性チャンバ(例えばHill Top Chamber)及び半閉塞性低刺激性テープにより裏当てされた不織綿ディスクに0.3mlの調製したばかりのテスト材料抽出物を飽和させ、これを各動物の右脇腹又は背に適用する。さらに、ビヒクル対照を各動物の左脇腹又は背にパッチする。右脇腹には、テスト材料自体(該当する場合)の約2cm×2cmの切片を適用する。
【0170】
各動物の胴体を24時間(±2時間)ラッピングする。パッチを除去した時点で、部位をガーゼで拭い取る。パッチ除去から24時間(±2時間)後に、抗原投与された部位とその周辺部域を剃る。剃毛から最低2時間、最大4時間後、及び包帯剤の除去から48(±2)時間及び72(±2)時間後に、紅斑及び浮腫により示される通り、あらゆる刺激又は感作反応の症候について検査されることになる。評定に先立ち各々の部位を35%のイソプロピルアルコールガーゼスポンジで優しく拭う。
【0171】
当初の抗原投与結果が疑わしいことが判明した場合、動物を新鮮なテスト抽出物及びビヒクル対照で、最初の抗原投与パッチ適用から約7日目に再度抗原投与することができる。再抗原投与は、抗原投与と同じ要領で、ただし反対側の脇腹の上の未処置部位において行なわれることになる。試験が完了した時点で、全ての動物は、承認済み手順に従って取り扱われることになる。
【0172】
評価と統計:
反応についての日々の抗原投与評点を、下表に従ってパッチ除去から24、48及び72時間後に記録する。
【0173】
【表14】

【0174】
部位に関するその他のあらゆる観察事実が脚注として記されることになる。
【0175】
応答は、テスト動物グループ内及びテスト及び対照条件間で比較されることになる。対照条件は、(1)テスト動物に対するビヒクル対照溶液及び(2)対照動物に対するテスト抽出物、対照溶液及び生体材料(適用される場合)である。
【0176】
データの最終的分析においては、対照条件に比べたテスト条件の反応の全体的パターン、強度、持続時間及び特徴が考慮されることになる。データの統計学的操作は、この研究には適用不可能である。「刺激」として解釈される効果は一般に24時間で観察されるが、その後減少し、同様に対照動物においても過渡的応答として同時に存在する。閉じたパッチは標準的に、テスト条件下でパッチ除去から48〜72時間後に最大感作読取り値を示すが、対照条件下では示さない。テストグループ内での1以上の等級は一般に、対照動物について1未満の等級が観察されることを条件として、感作を標示する。1以上の等級が対照動物について指摘される場合には、最も重度の対照反応を超えるテスト動物の反応は感作に起因するものであるとみなされる。
【0177】
背景又は人為的反応(例えば毛衣刈り取り、パッチチャンバエッジ、非特異的FCA効果に由来するもの)は、感作応答の証拠とはみなされない。FCA及び閉塞性包帯での処置は、皮膚刺激の閾値レベルを低下させる可能性がある。
【0178】
対照動物より低い応答を示す動物がテストグループ内により多くいる場合、再抗原投与が行なわれる可能性がある。この再抗原投与は、動物の反対側の脇腹上の未処置部位で第1の抗原投与から約7日後に行なわれることになる。再抗原投与において皮膚応答が無い場合、それ以前の発見事実は無効となり得る。同じ動物のうちの少なくとも一匹において観察事実が再現される場合、それ以前の発見事実が確認される。
【0179】
例7についての参考文献:
21CFR58(GLP規則)
【0180】
実験動物の世話及び使用に関する指針、全米科学アカデミー、実験動物研究所(Washington: National Academy Press, 1996年)
【0181】
国際標準化機構10993;医療デバイスの生物学的評価、第10部:刺激及び感作試験
【0182】
Magnusson, B及びA. Kligman、モルモットにおけるアレルギー性接触皮膚炎(Springfield: C. H. Thomas, 192Q)
【0183】
OLAW、実験動物の人間による世話及び使用に関する公衆衛生サービス規定(NIHPublication)
【0184】
米国連邦規制基準(CFR)9:動物保護法令。
【0185】
例8:ウサギにおける急性皮内反応性研究
目的:
本研究の目的は、ウサギにおける皮内注射後のテスト製品から抽出された浸出可能物の局所的皮膚刺激効果を評価することにある。本研究は、国際標準化機構10993;医療デバイスの生物学的評価、第30部:刺激及び感作試験の規定要件に基づくことになる。
【0186】
本研究は、FDA医薬品安全性試験実施基準(GLP)規則21CFR58の詳細な情報に従って実施されることになる。
【0187】
テスト製品:
試料は以下の通りに調製される:
1. テスト製品対抽出ビヒクル比:0.5mm未満の材料厚み−120cm;20mlの比率
3. 抽出ビヒクル:0.9%の塩化ナトリウムUSP溶液(SC)
4. 抽出条件:37℃、72時間(±2時間)
【0188】
対照製品:
試薬対照(テスト材料無しの抽出ビヒクル)は、テスト抽出物と同じ要領及び同時に調製される。
【0189】
テスト系:
種:ウサギ(Oryctolagus cuniculus)
血統:ニュージーランドホワイト
供給源:単一のUSDA認可供給業者
性別:この試験では特定の性別規定無し
体重範囲:選別時点で2.0kg以上
年令:若い成体
順応期間:最低5日間
動物の数:抽出物1対あたり3匹
識別方法:耳パンチ
【0190】
テスト系の裏づけ:
ウサギにおける皮内注射試験は現行のISO試験規格内で規定されており、歴史的に生体材料抽出物を評価するために使用されてきた。
【0191】
投与の方法と経路
処置の前日に、各々のウサギの体重を測定し、背中及び背柱両側から毛衣を刈り取って、充分な注射部域を生成する。背中の刈り取った部域を、注射直前に70%アルコールを浸したガーゼパッドで拭い、乾燥させる。注射部位の過密化及びその後の不透明化の懸念から、テスト及び対照部位は、ISO規格で定義されているように背中の同じ側の尾側及び頭部にはしない。各々のテスト抽出物は、各ウサギの背中の右側で各々0.2mlの5回の皮内注射で投与されることになる。5回の試薬対照注射は、背中の左側で類似の要領で注射される。各動物には2つ未満のテスト抽出物及び対応する試薬対照が注射される。注射は約2cm離隔されることになる。注射部位の外観を、注射直後に書き留める。
【0192】
紅斑及び浮腫についての観察事実を、注射から24(±2)時間、48(±2)時間及び72(±2)時間後に各注射部位について書き留める。反応は0〜4基準で評定される。注射部位におけるその他の不利な変化も同様に書き留める。試験の完了後、全動物を承認済み手順に従って取扱う。以下に示した通りの主観的評点付けスケールに従って、反応を評価することになる。
【0193】
【表15】

【0194】
評価と統計
データの統計学的分析は全く実施されない。各動物について、各々の時間的間隔で得られた紅斑及び浮腫評点は加算され、合計観察回数で除される。この計算は各テスト抽出物及び試薬対照について別々に実施される。試薬対照のための評点は、一次刺激評点を得るため、テスト抽出物についての評点から差引かれる。各動物の一次刺激評点は、加算され合計動物数で除される。得られた値は、一次刺激指数(PII)である。一次刺激指数は、以下のような数字と記述により特徴づけされる:0〜0.4(無視可能)、0.5−1.9(軽度)、2.0−4.9(中度)、5.0−8.0(重度)。初期試験における応答が疑わしい場合、付加的な試験が必要であるかもしれない。テスト抽出物内で指摘されたあらゆる不利な反応は、対応する試薬対照に比較されることになる。
【0195】
報告書:
最終報告書には、利用した方法、各々のテスト及び対照注射部位についての個々の皮膚評点及び結果の査定(一次刺激評点及び一次刺激指数)が含まれることになる。
【0196】
記録:
テスト製品及び試薬対照調製物のデータ、関連する活動(例えば研究開始及び完了)の日付、注射直後の各注射部位の外観、24、48及び72時間後の個々の皮膚評点、一次刺激評点及び一次刺激指標が記録されることになる。
【0197】
例8についての参考文献:
21CFR58(GLP規則)
【0198】
実験動物の世話及び使用に関する指針、全米科学アカデミー、実験動物研究所(Washington: National Academy Press, 1996年)
【0199】
第10部:刺激及び感作試験
【0200】
OLAW、実験動物の人間による世話及び使用に関する公衆衛生サービス規定
【0201】
米国連邦規制基準(CFR)9:動物保護法令。
【0202】
米国薬局方(USP)、現行版。
【0203】
例9:USP及びISO全身毒性研究抜粋
目的
本研究の目的は、マウスにおける単一の静脈内又は腹腔内注射の後テスト製品から抽出された浸出可能物の急性全身毒性を評価することにある。本研究は国際標準化機構10993;医療デバイスの生物学的評価、第II部;全身毒性についての試験、により推奨される方法に従って実施されることになる。
【0204】
テスト製品
試料は、以下の通りに調製される:
1. テスト製品対抽出ビヒクル比:
− 0.5mm未満の材料厚み−120cm2:20mlの比率
− 0.5mm以上の材料厚み 60cm2:20mlの比率
− 不規則形状の物体及び/又はスポンサのオプション−4g:20mlの比率
2. 抽出ビヒクル:
− 0.9%の塩化ナトリウムUSP溶液(SC)
− 生理食塩水中のアルコール1:20の溶液(AS)
− ポリエチレングリコール400(PEG)*
− 植物油
註:これらのビヒクルのpHが既知であるため、テスト製品抽出物のpHは判定されない。
* PEGが使用される場合、PEGテスト抽出物及び試薬対照は、200mgのPEG/mLを得るべく生理食塩水で希釈されることになる。
3. 抽出条件:
− 121℃、1時間、
− 70℃、24時間
− 50℃、72時間
− 37℃、72時間
【0205】
対照製品:
ブランク対照(テスト材料無しの抽出ビヒクル)は、テスト抽出物と同じ要領で同時に調製されることになる。
【0206】
テスト系
種:マウス(Mus musculus)
血統:非近交系アルビノ
供給源:認定供給業者
性別:この試験については特定の性別規定無し
体重範囲:注射時点で17〜23グラム
年令:この試験については特定の年令規定無し。
順応期間:最低1日
動物の数:1抽出物及び1対照あたり5匹
識別方法:耳パンチ
【0207】
テスト系の裏づけ:
生体材料抽出物を評価するためには、歴史的にマウスが使用されてきた。テスト製品抽出物又は対照ブランクの単一静脈内(iV)又は腹腔内(IP)用量の注射を受けたアルビノマウスの使用は、医療用プラスチックスの評価についての現行のUSP及びISOにより示唆されてきた。
【0208】
投与の方法及び経路
投薬に先立って、マウスを識別し体重測定する。5匹の動物は各々、50ml/kg(SC、AS、植物油)又は10g/kg(PEG)の用量で適切なテスト抽出物の注射を受けることになる。5匹のマウスは、対応する抽出ビヒクルの注射を類似の要領で受ける。SC及びASは、外側尾静脈を介して静脈内に注射され、一方PEG及び植物油は、腹腔内に注射される。
【0209】
投薬直後及び注射から4、24、48及び72時間後に不利な反応についてマウスを観察する。72時間の観察後、動物の体重を測定する。死亡した状態で発見された動物は全て、内臓の肉眼的剖検に付されることになる。試験の完了後、全ての動物は、承認された手順に従って取扱われる。
【0210】
評価と統計:
データの統計学的分析は全く実施されない。観察期間中に、テスト抽出物で処置されたマウスのいずれも、対応する対照マウスより著しく大きい反応を示さない場合には、テスト試料はテスト必要条件を満たしている。2匹以上のマウスが死亡した場合、又はけいれん又は疲労といった異常行動が2匹以上のマウスに発生した場合、又は3匹以上のマウスに2グラム超の体重低下が発生した場合、そのテスト試料はテスト必要条件を満たさない。
【0211】
テスト抽出物で処置されたいずれかのマウスが軽度の毒性兆候しか示さず、肉眼的毒性兆候を示す又は死亡したマウスが一匹以下である場合、10匹マウス再試験が必要となるかもしれない。反復試験でテスト抽出物で処置された10匹のマウス全てが、対照マウスより大きい有意な反応を示す場合には、テスト試料は、現行のテスト必要条件を満たしている。
【0212】
報告書:
最終報告書には、利用された方法の記述、個々の体重、及びあらゆる観察事実が含まれることになる。
【0213】
記録:
テスト製品調製物、関連する活動(例えば研究の開始及び完了)の日付、初期及び最終体重及び観察事実が記録される。
【0214】
例9についての参考文献:
21CFR58(GLP規則)
【0215】
実験動物の世話及び使用に関する指針、全米科学アカデミー、実験動物研究所(Washington: National Academy Press, 1996年)
【0216】
国際標準化機構10993;医療デバイスの生物学的評価、第11部:全身毒性についての試験
【0217】
OLAW、実験動物の人間による世話及び使用に関する公衆衛生サービス規定
【0218】
米国薬局方(USP)、現行版。
【0219】
例10:ラットの亜慢性静脈内毒性研究
目的
本研究の目的は、連続14日間にわたるラットの体内での反復的静脈内注射の後テスト製品から抽出された浸出可能分の亜慢性全身毒性を評価することにある。
【0220】
テスト製品
1. テスト製品対抽出ビヒクル比:
− 0.5mm未満の材料厚み−120cm2:20mlの比率
− 0.5mm以上の材料厚み−60cm2:20mlの比率
− 不規則形状の物体及び/又はスポンサのオプション−4g:20mlの比率
2. 抽出条件:
− 121℃、1時間、
− 70℃、24時間
− 50℃、72時間
【0221】
抽出物は、抽出プロセスの完了から24時間以内に、或いはスポンサが指示するように使用される。
【0222】
対照製品:
ビヒクル対照(テスト製品無しのSC)をテスト抽出物と同じ要領で同時に調製する。多数のテスト製品が同時に評価される場合、共通の対照動物の単一グループに投薬することができる。
【0223】
テスト系:
種:ラット(Rat us norvigicus)
血統:Hla(登録商標):(SD)CVF(登録商標)
供給源:Hilltop Lab Animals, Inc.
性別:雄10匹、雌10匹。
体重範囲:本研究については特定の体重範囲規定無し、ただし個々の処置前体重は、各性別についてグループ平均の20%以内となる。
年令:最初の処置において生後約6〜8週。
順応期間:最低5日間
動物数:20
識別方法:耳パンチ又はタグ
【0224】
投与の方法及び経路:
第1回用量に先立つ1日以内に、ラットの体重を測定し、各処置グループに無作為に割当てる。10匹のラット(雄5匹、雌5匹)は、連続14日間毎日一回、テスト製品抽出物の注射を受ける。テスト抽出物は、10.1ml/kgの用量で、外側尾静脈を介して注射される。個々の日用量は、各週の最初の投薬日における各動物の体重に基づくものである。適切な用量体積は、0.1ml未満は切り捨てて計算される。注射の送達のためには、使い捨て注射器に取付けられた適切な径の針が使用される。注射速度はおよそ1.0ml/10秒となる。動物は毎日ほぼ同時刻に投薬を受ける。10匹のラット(雄5匹、雌5匹)が対照ブランクの注射を類似の要領で受けることになる。投薬の最初の日は、1日目(day1)と呼ばれる。
【0225】
実験室観察:
1. 動物は毎日全身の健康状態について観察される。ラットは、注射直後のあらゆる不利な反応についても観察されることになる。
2. 疾病又は異常の臨床的兆候についての詳細な検査が、無作為化において、及び8日目と15日目に行なわれる。
3. 体重は、第1回用量前、8日目、14日目(絶食前体重)及び15日目(絶食体重)に、小数点以下を切り捨てて整数グラム数で記録される。
4. 死亡の場合、以下の偶発対策が適用されることになる:
a. 万一、研究中にいずれかの動物が死亡した場合、内臓の肉眼検査が実施される。小型ゲッ歯類では死後組織変化が急速であることから、いかなる最終的体重又は血液の収集も試みられない。このプロトコルの終末手順部分において指定されている臓器及び組織が収集され、組織病理学的評価のために固定される。動物が試験対象となっていた日数が最終評価の考慮に入れられることになる。
b. 万一、いずれかの動物が不利な臨床的兆候を示すか又は、人道的理由から安楽死が必要となるケージ負傷を受けた場合、それは「終末手順」に付されることになる。動物が試験の対象となっていた日数が最終評価の考慮に入れられることになる。
【0226】
終末手順:
14日目の就業日の終りに、動物の体重を測定し、最高20時間にわたり食物を控える。15日目に、動物の体重を測定し、次に、3.0ml/kgで投薬される塩酸ケタミン及びキシラジン(88mg/kg+12mg/kg)の腹腔内注射により麻酔する。腹部を開き、後部大静脈から血液検体を収集する。血液検体を、示差及び臨床化学分析を伴う全血球計算のため契約実験所に送る。ラットは、麻酔中に放血により安楽死させる。
【0227】
放血の後、内臓の肉眼的観察を実施する。以下の臓器をとり出す;心臓、肺、肝臓、脾臓、胸腺、腎臓(2)、副腎(2)、腸間膜リンパ節、頸下リンパ節、性腺(2)及び可視的肉眼的病変をもつあらゆる組織。肝臓、胸腺、腎臓、副腎及び性腺を計量する。対器官は一緒に計量する。組織は、さらなる処理まで10%の中性緩衝ホルマリン(NBF)中に保存する。死がいは廃棄する。
【0228】
固定の後、組織を、有資格病理学者による肉眼的評価のため組織学的に処理(ヘマトキシリン及びエオシンの中での包埋、切断及び染色)する。
【0229】
評価と統計:
体重データ、臓器重量データ、臓器/体重比、血液学及び臨床化学データを統計学的に評価する。絶食前体重を用いて、体重増加を判定し、絶食体重を用いて、終末時の麻酔薬投薬量及び臓器/体重比を判定する。有効な統計ソフトウェアパッケージを用いて、記述統計学及びデータグループ比較を遂行する。正規性及び等分散についてデータをスクリーニングした後、適切なパラメータ又は非パラメータ試験が実施される。等分散をもつ正規分布データはパラメータ系とみなされ、2つのグループの比較のため「対応のないt−検定」を用いて評価される。Jfデータは非パラメータ系であり、2グループの比較には「マンホイットニー順位和検定」が用いられる。分析すべきデータには、体重、臓器重量及び血液学的パラメータが含まれる。処置グループは変数として用いられる。0.05未満の確率(p)値を結果としてもたらす計算は、統計学的に有意なものとみなされる。評価する病理学者により指示された場合、病理学的発見事実の統計学的評価が実施されるかもしれない。
【0230】
全身的疾病の臨床的徴候は、かかる分析の論理的根拠(例えば頻繁に観察される臨床的徴候又は1つのパターンの出現)がこれらのデータから明らかである場合を除いて、統計学的に分析されない。いずれかの単数又は複数の観察事実の発生率が分析を正当化するのに充分なものである場合、カイ2乗試験が用いられることになる。
【0231】
雄及び雌のラットからの体重に関するデータは、性別を組合せる論理的根拠が存在するまで及びそれが存在するのでないかぎり、別々に分析される。体重データは、絶対値として表現される。血液学パラメータについての雄及び雌ラットからのデータは、性別を組合わせる論理的根拠が存在しないかぎり、別々に分析される。任意の血液学的パラメータについての統計学的有意性がみられる場合、結果は、生物学的意義を判定する上で一助となるように基準範囲に比較されることになる。
【0232】
報告書:
最終報告書には、利用された方法の記述、臨床観察事実、体重データ、血液学及び臨床化学データ、臓器重量データ、臓器/体重比、剖検発見事実、組織病理学的報告書中の肉眼的評価、統計学的分析及び結論が含まれる。
【0233】
例10についての参考文献:
21CFR58(GLP規則)
【0234】
実験動物の世話及び使用に関する指針、全米科学アカデミー、実験動物研究所(Washington: National Academy Press, 1996年)
【0235】
ISO10993−11。医療デバイスの生物学的評価、第11部;全身毒性についての試験。
【0236】
化学物質の試験、反復投与毒性−ゲッ歯類;28日又は14日研究に関するOECD指針、文書番号407。
【0237】
OLAW、実験動物の人間による世話及び使用に関する公衆衛生サービス規定(NIHPublication)
【0238】
例11:遺伝毒性:細菌復帰突然変異研究
研究の目的
研究の目的は、テスト材料の抽出物又は可溶化された材料が、59代謝活性化の存在下又は不在下でヒスチジン依存性ネズミチフス菌の単数又は複数の菌株内又は大腸菌のトリプトファン依存性菌株内の突然変異原性変化をひき起こすか否かを評価することにある。非突然変異原性及び潜在的発ガン性危険因子の決定のための迅速なスクリーニング手順として、細菌復帰突然変異研究を使用し、これは、潜在的遺伝毒性特性を特徴づけるその他の試験と併用されるべきである。本研究は、OECD指針及び国際標準化機構10993;医療デバイスの生物学的評価、−第3部:遺伝毒性、発ガン性及び生殖毒性についての試験、の規定要件に基づくものとなる。
【0239】
テスト製品
試料は以下の通りに調製される:
テスト製品形態;
− 可溶性材料(固体又は液体)−完全な「可溶性材料の調製」
− 不溶性材料−完全な「抽出物の調製」
【0240】
抽出物の調製(不溶性材料について):
1. テスト製品対抽出ビヒクル比:
− 0.5mm未満の材料厚み−120cm2:20mlの比率を使用のこと。
− 0.5mm以上の材料厚み 60cm2:20mlの比率を使用のこと。
− 不規則形状の物体及び/又はスポンサのオプション−4g:20mlの比率を使用のこと。
2. ビヒクル:
− 注射用の0.9%の塩化ナトリウム、USP、
− ジメチルスルホキシド(DMSO)*
− 95%のエタノール(EtOH)**
* ジメチルスルホキシドは、72時間37℃、24時間70℃、又は72時間50℃で抽出可能である。
** 95%エタノールは室温でのみ抽出可能である(さまざまな時間を用いることができる)。
3. 条件(材料を劣化させない最高温度を用いること);
− 121℃、1時間、
− 70℃、24時間
− 50℃、72時間
− 37℃、24時間
− 室温、72時間。
【0241】
可溶性材料の調製
1. − 固体:
1グラムの試料を10ml入り容量フラスコに移す。100mg/ml又は10%w/vを用いるテスト材料の性質に対応するためにさまざまなサイズのフラスコを使用することができる。材料の100mg/ml又は10%(w/v)溶液を達成するため、10ml(又は該当する)境界まで適切なビヒクル(以下で特定)を添加する(q.s.)。
2. − 液体:
1ミリリットルの試料を10ml入りの容量フラスコに移す。
1グラムの試料を10ml入り容量フラスコに移す。100mg/ml又は10%w/vを用いるテスト材料の性質に対応するためにさまざまなサイズのフラスコを使用することができる。材料の100mg/ml又は10%(w/v)溶液を達成するため、10ml(又は該当する)境界まで適切なビヒクル(以下で特定)を添加する(q.s.)。
【0242】
註;GLP規則21CFR58.113は、担体を伴う混合物についての濃度分析及び安定性判定を要求している。
【0243】
ビヒクル;
− 注射用の0.9%塩化ナトリウム、USP。
− ジメチルスルホキシド(DMSO)
− 95%エタノール(EtOH)
【0244】
可溶性材料の全ての調製は、試験当日に行なわれる。材料がこれらの濃度で完全に溶解しない場合、連続希釈物を調製する。材料の完全な溶解を達成すると考えられる最高の濃度を試験目的に使用する。
【0245】
テスト系:
各々のS. typhimuriumテスター試験株が、ヒスチジンオペロン内の特異的突然変異そして突然変異原を検出するそれらの能力を増大させるその他の突然変異を含んでいる。E.coli菌株は、トリプトファンオペロン内に1つの突然変異を又uvrA遺伝子内に1つの欠失を含んでいる。これらの遺伝的に改変されたS. typhimurium菌株(TA9S、TA100、TA1535及びTA1537)及びE.coli菌株(WP2uvrA)は、それぞれヒスチジン又はトリプトファンの不在下では成長できない。(S. typhimuriumについては)ヒスチジンを含まないか又は(E.coliについては)トリプトファンを含まない培地の中に置かれた場合、その野生型状態に戻るよう(独自のヒスチジンを製造することによってヒスチジン非依存型になるか又は独自のトリプトファンを製造することによってトリプトファン非依存性となる)自然突然変異するような細胞のみがコロニーを形成できる。任意の1つの菌株についての自然突然変異速度(又は復帰速度)は比較的一定であるが、突然変異原をテスト系に添加した場合、突然変異速度は著しく増大する。
【0246】
試験株 突然変異/遺伝子型関連性
S. typhimurium TA98 hisD3052, rfa, uvrB, フレームシフト、pKM101
S. typhimurium TA100 hisG46, rfa, uvrB, ミスセンス、pKM101
S. typhimurium TA1535 hisG46, rfa, uvrB, ミスセンス、
S. typhimurium TA1537 hisC3076, rfa, uvrB, フレームシフト
E.coli WP2uvrA trpE65, uvrA, ミスセンス
rfa=大型分子に対する細胞の透過性を増大させるリポ多糖類の部分的喪失をひき起こす(すなわちクリスタルバイオレット阻害)
uvrB又はuvrA=不十分なDNA切除−修復系(すなわち紫外線感応性)
フレームシフト=塩基対付加/欠失
ミスセンス=塩基対置換
pKM101=プラスミドがアンピシリン耐性(R因子)を付与し、突然変異原に対する感応性を増強させる。
【0247】
代謝活性化:
Aroclor1254で誘発されたラットの肝臓(S9ホモジネート)が代謝活性化として用いられる。該材料は、雄のSprague Dawleyラットから調製される。ラットは、屠殺の5日前にAroclor1254(500mg/ml)の1回の腹腔内注射により誘発される。S9ホモジネートは、Organon Teknika Corporation, Box15969, Durham, NC 27704-0969から購入される。使用直前に、S9ホモジネートを、0.4MのMgCl2/65MのKCl、1.0Mのグルコース−6−ホスファート、0.1MのNADP、0.2Mのリン酸ナトリウム緩衝液及び無菌水を含む緩衝液と混合させる。
【0248】
試験株の調製:
ネズミチフス菌TA98、TA100、TA1535及びTA1537及び大腸菌WP2uvrAの培養を、オキソイド培養液の入った個々の三角フラスコに接種する。接種したブロス培養を10〜12時間、115〜125rpmで作動するインキュベータ振とう機の中で37±2℃でインキュベートさせる。
【0249】
負の対照の調製
S9の活性化を伴って及び伴わずに、各試験株について、負の対照(テスト材料無しのビヒクル)を利用する。
【0250】
正の対照の調製
試験株TA98、TA100及びTA1537が野生型状態への突然変異に対し感応性を有することを実証するために、正の対照として、既知の突然変異原Dexon(パラジメチルアミノベンゼンジアゾスルホン酸ナトリウム塩)を使用する。試験株TA1535については、アジ化ナトリウムが正の対照として使用される。試験株TA100については、2−アミノフルオレンが正の対照として使用される。試験株WP2uvrAについては、2−アミノアントラセン及びメチルメタン−スルホナートが正の対照として使用される。突然変異誘発結果を誘発するためには、2アミノフルオレン及び2−アミノアントラセンでの代謝活性化のみが必要とされるが、全ての正の対照は、S9ホモジナートを伴って及び伴わずにテストされる。
【0251】
菌株の特徴及び菌株標準平板計数:
菌株の特徴が確認され、生菌数が決定される。
【0252】
スポット平板阻害スクリーン
抽出物(単複)又は可溶化された材料(単複)及び負の対照(単複)は、阻害試験の抗菌ゾーンをモデルにしたスポット平板技術により評価される。このスクリーンは、サルモネラ菌株及び大腸菌株にとって非阻害性である抽出物及び溶液の毒性濃度を評価する。
【0253】
ヒスチジン−ビオチン(S. typhimuriumについて)又はトリプトファン(E. coliについて)で補足された2mlの上面融解寒天の入った別々の管に、5つの試験株各々について0.1mlの培養を用いて接種する。混合の後、寒天を、研究室番号、該当する試験株及び用量レベル(必要な場合)のラベルが付けられた別々の最小E平板の表面を横断して注ぎ込む。寒天がひとたび凝固すると、無菌フィルタディスクを平板の中心に置く。抽出物又は可溶化材料の0.1mlアリコートを、ラベル付けされた平板の各々の上のフィルタディスクに添加する。負の対照で、並行試験を行なう。正の阻害ゾーンを実証するためには、Dexon10倍原液を用いることになる。
【0254】
平板を2〜3日間37±2℃でインキュベートする。インキュベーション期間の後、成長阻害ゾーンを記録する。背景芝(background lawn)の有意な阻害が発生したならば、単数又は複数の希釈物を調製し阻害スクリーンを反復して非毒性レベルを見い出すことにより、抽出物又は可溶化材料の濃度を調整する。
【0255】
標準平板取込み検定:
ヒスチジン−ビオチン(S. typhimuriumについて)又はトリプトファン(E. coliについて)で補足された2mlの上面融解寒天の入った別々の管に、5つの試験株各々について0.1mlの培養及び0.1mlのテスト材料を用いて接種する。代謝活性化をシミュレートするSWI又はS9ホモジネートの0.5mlのアリコートを必要な時に添加する。研究室番号、該当する試験株及びS9代謝活性化(該当する場合)のラベルが付いたトリプリケートの最小B平板を横断して混合物を注ぎ込む。並行試験を負の対照及び5つの正の対照について実施する。
【0256】
以下の通り、トリプリケートで、ヒスチジンを含まない培地平板(S. typhimuriumについて)及びトリプトファンを含まない培地平板(E. coliについて)を調製する:
1. S9活性化を伴う及び伴わない抽出物又は可溶化材料
2. S9活性化を伴う及び伴わない負の対照
3. 菌株TA9S、TA100、及びTA1537でのS9活性化を伴う及び伴わない1倍Dexon(既知の突然変異原)。
4. 菌株TA100でのS9活性化を伴う及び伴わない1倍2−アミノフルオレン(既知の突然変異原)、
5. 菌株TA1535でのS9活性化を伴う及び伴わない1倍2−アミノフルオレン(既知の突然変異原)、
6. 菌株WP2uvrAでのS9活性化を伴う及び伴わない1倍2−アミノアントラセン(既知の突然変異原)
7. 菌株WP2uvrAでのS9活性化を伴う及び伴わない1倍メチルメタン−フルホナート(既知の突然変異原)。
【0257】
平板を、2〜3日間37±0℃でインキュベートする。インキュベーション期間の後、各平板(テスト、負及び正)上の復帰突然変異体コロニーを計数し記録する。復帰突然変異体の平均数を計算する。
【0258】
テスト結果の評価
スリプリケート試験平板の復帰突然変異体の平均数を、利用した5つの試験株の各々についてのトリプリケートの負の対照平板の復帰突然変異体の平均数に比較する。正の対照について得た平均を、基準点として使用する。テストの失敗又は「潜在的突然変異原」として同定されるべきテスト材料については、5つの試験株のいずれか又は全てについて、負の対照から得られた平均に比べ平均復帰突然変異体数の2倍以上の増加がなくてはならない。2倍の増大が全く存在しない場合には、テスト材料は非突然変異誘発性とみなされる。
【0259】
テスト材料の3つの非毒性用量レベルを用いて用量応答関係を実証することにより、あらゆる見かけの「正の応答」が確認されることになる。線形用量応答を生成する−濃度範囲が存在するはずである。線形性を立証できない場合には、検定を、用量レベルを適切に変更しながら反復する。テスト材料は、それか、最低2つの漸増用量濃度に比べて復帰突然変異体の数の用量関連性の増加をひき起こす場合に、突然変異原性とみなされることになる。
【0260】
試験の有効性:
いずれかの検定が有効とみなされるためには、その検定は、以下の基準を満たさなくてはならない:
1. 菌株の特徴;全てのS. typhimurium試験株(TA98、TA100、TA1535及びTA1537)はクリスタルバイオレット(rfa 突然変異)及び紫外光(uvrB)に対する感応性を示さなくてはならず、又ビオチン平板上では成長を全く示さずヒスチジン−ビオチン平板上では成長を示さなくてはならない。試験株TA98及びTA100は、アンピシリン(R−因子)に対する耐性を示さなくてはならない。試験株TA1535及びTA1537はアンピシリンに対する感応性を示さなくてはならない。試験株WP2uvrAは、紫外光に対する感応性を示し、トリプトファン欠損平板上では全く成長を示さず、トリプトファン補足培地上で成長を示し、アンピシリン感応性を示さなくてはならない。
2. 菌株標準平板計数:各々の試験株(TA98、TA100、TA1535、TA1537及びWP2uvrA)についての作業培養懸濁液上の生菌数は、1×10CFU/ml未満であってはならない。
3. スポット平板阻害スクリーン;細胞に対する毒性又は阻害について、調製された各々の抽出物又は可溶化材料を評価する。試験株に対し非阻害性乃至中度の非阻害性を示す試験株テスト試料を、標準平板取込み方法によりテストする。テスト材料が阻害性を示す場合、希釈物の非毒性レベルを見出すことが必要である。
4. 標準平板取込み検定:各々の正の対照平均は、利用されたサルモネラ試験株のそれぞれの負の対照平均に比べて少なくとも3倍の増加、そして大腸菌試験株のそれぞれの負の対照平均に比べ少なくとも2倍の増加を示さなくてはならない。例外としては、突然変異原性応答を誘発するように意図されていない条件が含まれる(例えば、代謝活性化の無い2−アミノアントラセン及び2−アミノフルオレン)。各々の試験株の負の対照の結果は、特徴的な数の自然復帰突然変異体を示すことになる。自然復帰突然変異速度は変動し得るが、特定された範囲(下表参照)と一貫性をもつべきである。該表は、単なる指針として意図されているにすぎない。試験株のための負の対照結果は、列挙された範囲の外になるかもしれない。そのような場合には、結果を慎重に評価すべきである。
【0261】
【表16】

【0262】
例11についての参考文献:
Ames, B. N., McCann, 3.,及びヤマザキ、E.,「サルモネラ/哺乳動物−ミクロソーム突然変異原性試験での発ガン性物質及び突然変異原の検出方法」、Mutation Research 31, (1975); 347~364。
【0263】
Brusick, D. J., V. F. Simmon, H, S. Rosenlcranz, V. A. Ray, 及びKS. Stafford, 「大腸菌WP2及びWP2uvrA復帰突然変異検定の評価」、Mutation Research 76, (1980); 169-190。
【0264】
Maron, Dorothy M., Ames, Bruce N., 「改正版サルモネラ突然変異原性試験方法」、Mutation Research, 113 (1983); 175-215。
【0265】
ISO10993−3。医療デバイスの生物学的評価、第3部:遺伝毒性、発ガン性及び生殖毒性についての試験。
【0266】
化学物質の試験に関するOECD指針、指針471細菌復帰突然変異試験の差し替え提案、文書番号471
【0267】
Ortiz, A. J., M. T. Pollastrini, M. Barea, 及びD. OrdOhez, 「ネズミチフス菌ヒスチジン及び大腸菌トリプトファン復帰試験を用いた、新規広域スペクトラムの駆虫薬であるリュクサベンダゾールの細菌突然変異原性評価」、Mutagenesis 11 (1996); 27-31。
【0268】
試験の有効性、細菌突然変異原性試験;NAMSA 研究室番号98T−00785−00
【0269】
当業者であれば、広範に記述した通りの該発明の精神又は範囲から逸脱することなく、特定の実施形態の中で示されている通りの該発明に対し数多くの変更及び/又は修正を加えることが可能である、ということがわかるだろう。従って、当該実施形態は、全ての点において制限的なものではなく例示的なものとしてみなされるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2〜5の範囲内の平均官能性を有する少なくとも1つのケイ素含有生体安定性重合体を含むゲル。
【請求項2】
平均官能性が2.05〜3.5である、請求項1に記載のゲル。
【請求項3】
平均官能性が2.1〜3.25である、請求項2に記載のゲル。
【請求項4】
生体安定性重合体がポリウレタン、ポリウレタン尿素、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、又はポリメタクリラートである、請求項1に記載のゲル。
【請求項5】
ポリウレタン又はポリウレタン尿素が、
(a) 1つ以上の官能基を有する少なくとも1つのケイ素含有ポリオール又はポリアミン;と
(b) ポリイソシアナート、
の反応生成物である、請求項4に記載のゲル。
【請求項6】
ポリウレタン又はポリウレタン尿素が、
(c) 1つ以上の官能基を有する少なくとも1つの非ケイ素含有化合物、
の反応生成物でもある、請求項5に記載のゲル。
【請求項7】
構成要素(a)及び(c)の官能基が、イソシアナートと反応する基又は遊離ラジカル開始による活性化の能力をもつ基(単複)である、請求項6に記載のゲル。
【請求項8】
官能基がOH、NR’R(なおここでR’及びR’’は同じであるか又は異なるものであり、H、CO2H及びC1-6アルキルの中から選択されている)の中から選択されている、請求項7に記載のゲル。
【請求項9】
ケイ素含有ポリオール又はポリアミン(a)が、構造式(I)又は(II)
【化1】

の化合物であり、
− 式中、R1及びR2は、OH又はNR’R’’(なお式中R’及びR’’はCO2H及びC1-6アルキルの中から独立して選択されている)で任意に置換されているC1-6アルキレンから独立して選択されており;
− R3〜R8は、Oにより任意に中断されかつOH又はNR’R’’(なお式中R’及びR’’は以上で定義づけされた通りである)で任意に置換され得るC1-6アルキレン及びC1-6アルキルの中から独立して選択されており;
− R9がC1-4アルキルであり;
− R10が任意に置換されたC1-4アルキル又は
【化2】

(なお式中R1及びR9は以上で定義づけした通りである)であり;
− xは5〜30であり;
− yは1〜10であり;かつ
− nは1〜10である、
請求項5に記載のゲル。
【請求項10】
構造式(I)の化合物が、
【化3】

といったものであり、式中n、x及びyは請求項9で定義づけした通りである、
請求項9に記載のゲル。
【請求項11】
構造式(I)の化合物の分子量が400〜5000である、請求項10に記載のゲル。
【請求項12】
構造式(II)の化合物が
【化4】

といったものであり、式中nは請求項9で定義づけした通りである、請求項9に記載のゲル。
【請求項13】
構造式(II)の化合物の分子量が1000〜5000である、請求項12に記載のゲル。
【請求項14】
ポリシロキサンがポリシロキサンマクロジオール又はマクロジアミンである、請求項9に記載のゲル。
【請求項15】
ポリシロキサンマクロジオール又はマクロジアミンが、構造式(III)
【化5】

のものであり、式中
− A及びA’はOH又はNHRであり、ここでRはH又は任意に置換された直鎖、有枝又は環式の飽和又は不飽和炭化水素ラジカルであり;
− R11、R12、R13及びR14が、同じもの又は異なるものであり、水素又は任意に置換された直鎖、有枝又は環式の飽和又は不飽和炭化水素ラジカルの中から選択されており;
− R15及びR16は、同じもの又は異なるものであり、任意に置換された直鎖、有枝又は環式アルキレン、アルケニレン、アルキニレン又はヘテロ環式の2価のラジカルであり;かつ、
− Pが1以上の整数である、
請求項14に記載のゲル。
【請求項16】
ポリシロキサンは、A及びA’がヒドロキシルであり、R11〜R14がメチルであり、R15及びR16が請求項15で定義づけした通りである構造式(III)の化合物であるポリメチルシロキサン(PDMS)である、請求項15に記載のゲル。
【請求項17】
構造式(III)の化合物は、A及びA’がOHであり、R1、R2、R3及びR4がメチルであり、R15及びR16がブチルであり、R17がOである1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサン(BHTD)である、請求項15に記載のゲル。
【請求項18】
ケイ素含有ポリカルボナートが、構造式(IV)
【化6】

のものであり、式中、
− R11、R12、R13、R14及びR15が請求項15で定義づけした通りであり;
− R16が、任意に置換された直鎖、有枝又は環式アルキレン、アルケニレン、アルキニレン又はヘテロ環式2価ラジカルであり;
− R17が、2価の連結基であり;
− R18及びR19が同じもの又は異なるものであり、かつ水素又は任意に置換された直鎖、有枝又は環式の飽和又は不飽和炭化水素2価ラジカルの中から選択されており;
− A及びA’が請求項15で定義づけした通りであり;
− m、y及びzが、0以上の整数であり;かつ
− xが0以上の整数である、
請求項9に記載のゲル。
【請求項19】
ポリイソシアナート(b)が重合体4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、メチレンビシクロヘキシルジイソシアナート(H12MDI)、p−フェニレンジイソシアナート(p−PDI)、トランス−シクロヘキサン−l,4−ジイソシアナート(CHDI)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(DICH)、1,5−ジイソシアナトナフタレン(NDI)、パラ−テトラメチルキシレンジイソシアナート(p−TMXDI)、メタ−テトラメチルキシレンジイソシアナート(m−TMXDI)、2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)単量体又はそれらの混合物或いはイソホロンジイソシアナート(IPDI)である、請求項5に記載のゲル。
【請求項20】
1個以上の官能基(c)を有する非ケイ素含有化合物が、ポリエーテル、ポリカルボナート又はC1-6アルカンである、請求項6に記載のゲル。
【請求項21】
ポリエーテルが、構造式(V)
【化7】

のものであり、式中、
A及びA’が、請求項15で定義づけした通りであり;
mが4以上であり、
nが2〜50である、
請求項20に記載のゲル。
【請求項22】
ポリエーテルが、N,N,N’−トリ(2−ヒドロキシプロピル)−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミン(PolyQ)又は酸化プロピレンとグリセロールの塩基を触媒とした反応の結果としてもたらされたポリエーテルトリオールであるVoranolである、請求項20に記載のゲル。
【請求項23】
ポリエーテルの分子量範囲が200〜5000である、請求項21又は22に記載のゲル。
【請求項24】
ポリカルボナートが、アルキレンカルボナートとアルカンジオールを反応させることによって調製されるポリカルボナート又はアルキレンカルボナートと1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(BHTD)及び/又はアルカンジオールを反応させることによって調製されるケイ素ベースのポリカルボナートであるポリ(アルキレンカルボナート)である、請求項20に記載のゲル。
【請求項25】
1つ以上の官能基を有するC1-6アルカンがメタンジオール、ブタンジオール又はヘキサンジオールである、請求項20に記載のゲル。
【請求項26】
1未満のNCO/OH又はNH2比を有する、請求項1に記載のゲル。
【請求項27】
NCO/OH又はNH2比が0.4〜0.7である、請求項26に記載のゲル。
【請求項28】
35%未満の抽出可能物を有する、請求項1に記載のゲル。
【請求項29】
(i) 構成要素(a)、(b)及び(c)(存在する場合)を混合する段階を含む、請求項5又は6に記載のゲルの調製方法。
【請求項30】
(i) 末端反応性ポリイソシアナート基を有するプレポリマーを形成するべく構成要素(a)及び(b)を反応させる段階;及び
(ii) 段階(i)のプレポリマーと構成要素(c)(存在する場合)を混合させる段階、
を含む、請求項5又は6に記載のゲルの調製方法。
【請求項31】
段階(i)で、触媒、酸化防止剤、ラジカル阻害物質、安定剤、潤滑剤、染料、顔料、無機及び/又は有機充填剤、強化剤及び開始剤の中から選択された単数又は複数の添加剤が添加される、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
(i) 構成要素(a)及び(b)及び(c)(存在する場合)を光開始剤と混合する段階;及び
(ii) 段階(i)の混合物をUV放射線に付す段階を含む、請求項5又は6に記載のゲルを調製するための方法。
【請求項33】
請求項1〜28のいずれか1項に記載のゲルで全体的又は部分的に構成されている、生体材料、デバイス、用品又はインプラント。
【請求項34】
軟組織インプラント;整形外科用関節又はその部品;骨縫合アンカー;再建的顔面手術;制御型薬物放出デバイス;鍵穴手術における構成要素;バイオセンサー;医療デバイス、輸液及び流量制御デバイスの挿入用工具及び付属備品;及び尿道、神経学的、又は血管膨張性薬剤の中から選択された、請求項33に記載の生体材料、デバイス、用品又はインプラント。
【請求項35】
請求項1〜28のいずれか1項に記載のゲルで全体的に又は部分的に構成されている豊胸用インプラント。
【請求項36】
請求項1〜28のいずれか1項に記載のゲルを含む医療用インプラント用の充填材料。
【請求項37】
請求項9に記載の構造式(I)又は(II)の化合物。
【請求項38】
(i)構造式(A)又は(B)
【化8】

の化合物(なお式中R3〜R10及びxは以上で定義づけした通りであり、y’は0〜10である)と、構造式(C)
【化9】

の化合物を反応させる段階;及び
(ii) 段階(i)の生成物をヒドロシル化に付す段階、
を含む、請求項9に記載の構造式(I)又は(II)の化合物の調製のための方法。

【公表番号】特表2008−514314(P2008−514314A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533824(P2007−533824)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【国際出願番号】PCT/AU2005/001491
【国際公開番号】WO2006/034547
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(501030898)エイオーテク バイオマテリアルズ プロプライアタリー リミティド (6)
【Fターム(参考)】