説明

ゲームシステム及びそのコンピュータプログラム

【課題】プレイ料金の支払い方法に応じた差別化を実現可能なゲームシステムを提供する。
【解決手段】複数の支払い方法から一つの支払い方法を選択してゲームのプレイ料金を支払うことが可能とされたゲームシステムにおいて、プレイ料金がいずれの支払い方法にて支払われたかを判別し(S1)、その判別結果に基づいて、支払い方法に応じた変化が生じるようにゲームを制御する(S2〜S13)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の支払い方法から一つの支払い方法を選択してプレイ料金を支払うことが可能なゲームシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
所定額のプレイ料金の支払いと引き換えにユーザにゲームをプレイさせる業務用ゲーム機を備えたゲームシステムでは、従来より現金(特には硬貨)によるプレイ料金の支払いのみが可能とされていた。しかしながら、近年は、現金によるプレイ料金の支払いに加えて、電子通貨、プリペイドカード、あるいはクレジットカードといった現金以外の手段によるプレイ料金の支払いを可能としたゲームシステムが提案され(例えば特許文献1参照)、その実用化が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−257518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のゲームシステムでは、複数の支払い方法を利用可能とした場合でも、プレイ料金が支払われたか否かのみを判別するだけで、いずれの支払い方法が利用されたかは識別していない。そして、プレイ料金が支払われた後のゲームの制御は、支払い方法に関わりなく同一であった。
【0005】
そこで、本発明はプレイ料金の支払い方法に応じた差別化を実現可能なゲームシステム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゲームシステム(1)は、複数の支払い方法から一つの支払い方法を選択してゲームのプレイ料金を支払うことが可能とされたゲームシステムであって、前記プレイ料金がいずれの支払い方法にて支払われたかを判別する判別手段(10)と、前記判別手段の判別結果に基づいて、前記支払い方法に応じた変化が生じるように前記ゲームを制御するゲーム制御手段(10)とを備えるものである。
【0007】
本発明によれば、プレイ料金がいずれの支払い方法にて支払われたかを判別しているので、その判別結果をゲームの制御に反映して、支払い方法に応じた変化をゲームに生じさせることができる。これにより、支払い方法の特性に応じた最適なゲーム制御を実行し、あるいは、特定の支払い方法を利用する動機付けをユーザに与えるなど、支払い方法に応じた差別化をゲーム上で実現することができる。
【0008】
本発明の一形態において、前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が特定の支払い方法にて支払われた場合、他の支払い方法で支払われたときにはプレイ不可能な範囲でゲームがプレイ可能となるように前記ゲームを制御してもよい。これにより、特定の支払い方法にてプレイ料金を支払わなければプレイ不可能な範囲をゲームに生じさせ、特定の支払い方法を利用する動機付けをユーザに与えることができる。さらに、前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が特定の支払い方法で支払われたか否かにより、前記プレイ料金の支払いの対価として提供される所定範囲にてゲームを進行させるための制御の手順を前記他の支払い方法で支払われたときの制御の手順から変更することにより、前記プレイ不可能な範囲における前記ゲームのプレイを可能としてもよい。これによれば、プレイ料金を支払った対価として提供される所定範囲内のゲームにて、特定の支払い方法で支払った場合に他の支払い方法を選択したときはプレイ不可能な範囲を生じさせることができる。そのため、プレイ料金を支払い方法に関わりなく同一に設定しても、特定の支払い方法でプレイ料金が支払われたか否かでゲームの内容を差別化し、特定の支払い方法を選択する動機付けをユーザに与えることができる。
【0009】
本発明の一形態においては、前記特定の支払い方法が、電子通貨による前記プレイ料金の支払い方法であってもよい。これによれば、少額の支払いを処理し易いといった電子通貨による支払いの特徴を反映させたゲームの制御が可能となる。
【0010】
例えば、通常と異なる支払い方法として、電子通貨によるプレイ料金の支払いを可能とした場合、前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が前記特定の支払い方法にて支払われた場合には、前記プレイ料金の支払いの対価として提供される所定範囲のゲームの終了後に、前記特定の支払い方法にて追加のプレイ料金を支払うことと引き換えに、前記プレイ不可能な範囲としての追加の範囲でゲームを継続してプレイすることを許可し、前記プレイ料金が前記他の支払い方法で支払われた場合には、前記所定範囲のゲームの終了後における前記追加の範囲でのゲームの継続を禁止するものとしてもよい。これによれば、追加の範囲のゲームを希望するユーザには電子通貨による支払いが必須となり、その追加の範囲を、電子通貨による支払い方法選択の動機付け手段として利用することができる。
【0011】
さらに、ゲームのプレイに要する時間を尺度として前記所定範囲と前記追加の範囲との広狭を比較したときに、前記追加の範囲が前記所定範囲よりも狭く設定されてもよい。電子通貨による支払いでは、少額での支払いでも小銭や釣り銭を用意する必要がない利点があり、紙幣、硬貨といった単位の制限を受ける現金支払いと比較してより狭い範囲に区切ってゲームを提供することができる。さらに、前記追加のプレイ料金の額が前記所定範囲のゲームをプレイするための対価としてのプレイ料金の額よりも少額に設定されることにより、ゲームの継続と、プレイ料金の追加支払いとをきめ細かく制御することができる。
【0012】
本発明のコンピュータプログラムは、複数の支払い方法から一つの支払い方法を選択してゲームのプレイ料金を支払うことが可能とされたゲームシステム(1)のコンピュータ(10)を、前記プレイ料金がいずれの支払い方法にて支払われたかを判別する判別手段、及び前記判別手段の判別結果に基づいて、前記支払い方法に応じた変化が生じるように前記ゲームを制御するゲーム制御手段、として機能させるように構成されたものである。本発明のコンピュータプログラムをゲームシステムのコンピュータにて実行することにより、本発明のゲームシステムを実現することができる。
【0013】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
以上に説明したように、本発明によれば、プレイ料金がいずれの支払い方法にて支払われたかを判別する判別手段を設けたことにより、その判別結果をゲームの制御に反映して、支払い方法に応じた変化をゲームに生じさせることができる。これにより、支払い方法に応じた差別化をゲーム上で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一形態に係るゲームシステムの全体構成を示す図。
【図2】図1のゲームシステムの機能ブロック図。
【図3】プレイ料金を徴収する際の処理を示すフローチャート。
【図4】支払い方法によってゲームの制御を変更する一例を示すフローチャート。
【図5】ゲームの継続の可否を支払い方法によって差別化する例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一形態に係るゲームシステムを図1に示す。そのゲームシステム1においては、複数のゲーム機2と、センターサーバ3とがルータ4を介してネットワーク5にそれぞれ接続されている。ゲーム機2は本発明における端末装置に、センターサーバ3は本発明におけるサーバ装置にそれぞれ相当する。センターサーバ3は一台の物理的装置によって構成される例に限らず、複数の物理的装置としてのサーバ群によって一台の論理的なセンターサーバ3が構成されてもよい。さらには、一台のゲーム機2がセンターサーバ3として兼用されてもよい。ネットワーク5は、TCP/IPプロトコルを利用してネットワーク通信を実現するもので、典型的にはインターネットがネットワーク5として使用される。各ゲーム機2は、ゲームの対価としてプレイ料金を徴収する業務用又は商用のゲーム機として構成されている。ゲーム機2は、店舗6等の商業施設に適当な台数ずつ設置される。ルータ4は各店舗6及びセンターサーバ3に対応付けて設置され、同一店舗のゲーム機2は共通のルータ4を介してネットワーク5に接続されている。ゲーム機2と店舗6のルータ4との間にローカルサーバが設置され、そのローカルサーバを介してゲーム機2がセンターサーバ3と通信可能に接続されてもよい。
【0017】
センターサーバ3は、ゲームシステム1の運営者によって設置され、ネットワーク5を介した各種のサービスを、ゲーム機2又はそのゲーム機2のユーザ(プレイヤ)に対して提供する。一例として、センターサーバ3は、ゲーム機2を介したゲームプログラムあるいはデータの更新サービス、ゲーム機2のユーザを認証し、そのユーザのプレイ履歴、セーブデータ等を含んだプレイデータをセンターサーバ3上に保管するサービス、ネットワーク5を介してユーザ同士が対戦し、あるいは協力してゲームを進める際のユーザ間のマッチングサービス等を提供する。
【0018】
ゲーム機2及びセンターサーバ3には、ネットワーク5上でそれぞれを識別するためのユニークなIPアドレスが付されている。ゲーム機2同士あるいはゲーム機2とセンターサーバ3との間の通信では、そのIPアドレスを利用して通信相手が特定される。ネットワーク5がインターネットのように公開性のあるネットワークの場合には、各ルータ4にネットワーク5上でユニークな固定アドレスが設定される。ゲーム機2には、その固定アドレスとの組み合わせによってネットワーク5上でゲーム機2を一意に識別するためのプライベートアドレスがIPアドレスとして設定される。この場合、ゲーム機2とセンターサーバ3との間、あるいはゲーム機2同士の間には仮想プライベートネットワーク(VPN)が構築され、そのVPN上で各ゲーム機2がプライベートアドレスを用いて一意に特定される。
【0019】
図2を参照して、ゲーム機2及びセンターサーバ3の構成をさらに説明する。ゲーム機2には、制御ユニット10が設けられている。制御ユニット10は、マイクロプロセッサと、そのマイクロプロセッサにて実行されるべきオペレーティングシステム等のプログラムが記録されたROM、及びマイクロプロセッサに対する作業領域を提供するRAM等の内部記憶装置(不図示)とを備えたコンピュータユニットである。制御ユニット10には、入力装置11、出力装置12、カードリーダ13、金銭収受装置14及び外部記憶装置15が接続されている。入力装置11は、ユーザの操作を受け付け、その操作内容に応じた信号を制御ユニット10に出力する。出力装置12は、ゲーム画面等を表示するモニタ及び音声を出力するスピーカ等を含む。カードリーダ13は、ユーザが所持するカード30の情報を読み取ってその情報に対応した信号を制御ユニット10に出力する。カード30には、ICチップ、磁気ストライプといった不揮発性記憶媒体(不図示)が設けられており、その媒体にはカード30毎にユニークなID(以下、カードIDと呼ぶことがある。)等が記録されている。なお、カードIDは、カード30にバーコード等の形態で記録されていてもよい。金銭収受装置14は、ユーザが投入した金銭(硬貨あるいは紙幣)の額を検出し、投入額に応じた信号を制御ユニット10に出力する。外部記憶装置15は、例えばハードディスク記憶装置等、記憶保持が可能な記憶装置である。外部記憶装置15は、制御ユニット10にて実行されるべきゲーム用プログラム101及びそのプログラム101が参照するゲームデータ102といった各種のデータを記憶する。
【0020】
外部記憶装置15のゲーム用プログラム101を制御ユニット10が読み取って実行することにより、制御ユニット10の内部には、論理的装置としてのゲーム制御部16、マッチング処理部17、及び課金管理部18が設けられる。ゲーム制御部16は、ゲーム機2にてユーザに提供されるゲームの開始、進行、及び終了の管理といったゲームのプレイに必要な各種の処理を実行する。マッチング処理部17は、同一店舗6内の他のゲーム機2、又は他の店舗6のゲーム機2と通信を利用したゲームを実行する際に必要なユーザ間のマッチングをセンターサーバ3と連携して処理する。課金管理部18は、ユーザに対してプレイ料金の支払いを要求し、要求した額のプレイ料金が支払われたか否かを判別するといったプレイ料金の支払いに関連する処理を実行する。なお、本形態では、プレイ料金の支払い手段(支払い方法)として、金銭収受装置14を利用した現金による支払い方法と、センターサーバ3にて管理されている口座から電子通貨を引き落とすことにより支払う方法とが選択可能とされている。プレイ料金の支払いの詳細は後述する。
【0021】
センターサーバ3には、制御ユニット20と、外部記憶装置21とが設けられている。制御ユニット20は、マイクロプロセッサと、そのマイクロプロセッサにて実行されるべきオペレーティングシステム等のプログラムが記録されたROM、及びマイクロプロセッサに対する作業領域を提供するRAM等の内部記憶装置(不図示)とを備えたコンピュータユニットである。制御ユニット20には、キーボード等の入力装置と、モニタ等の出力装置とが接続されるが、それらの図示は省略した。外部記憶装置21は、制御ユニット20にて実行されるべきサーバ用プログラム201及びそのプログラム201が参照する各種のデータを記憶する。外部記憶装置21には、制御ユニット20が参照すべきデータの一種として、プレイデータ202及び口座データ203が記録されている。
【0022】
プレイデータ202は、ユーザのプレイ履歴、成績といったゲームのプレイ内容に関連した情報をそのユーザが所持するカード30のカードIDと関連付けて記録したレコードの集合である。口座データ203は、ユーザが保持する電子通貨の額をそのユーザに固有のID(以下、ユーザIDと呼ぶ。)と関連付けて記録したレコードの集合である。カードIDとユーザIDとは1対1又は多対1で対応付けられており、センターサーバ3の外部記憶装置21には、そのIDの対応関係を判別するためのデータも記録されている。口座データ203に保持される電子通貨の額は、システム運営者等が運営するウェブサイト等を介してユーザが増額(預入)することが可能とされている。電子通貨の預入に対応したユーザへの課金は、例えばクレジットカード等による決済手段を通じて別途行われる。あるいは、電子通貨の預入専用端末等を利用して現金と引き換えに電子通貨が預け入れられるようにしてもよい。口座データ203に対する電子通貨の預入及びその決済は、プリペイド型の電子通貨システムのそれと同様でよく、その詳細は説明を省略する。
【0023】
外部記憶装置21のサーバ用プログラム201を制御ユニット20が読み取って実行することにより、制御ユニット20の内部には、論理的装置としてのマッチング処理部22及び口座管理部23が設けられる。マッチング処理部22は、ゲーム機2からのマッチング要求に応じて複数のゲーム機2のユーザ同士をマッチングする。口座管理部23は、ゲーム機2からのプレイ料金の引き落とし要求に応答して、口座データ203の対応するレコードから指定された額の電子通貨を引き落とすといった電子通貨の管理に関する処理を担当する。図示した論理的装置の他にも、ゲーム機2の制御ユニット10及びセンターサーバ3の制御ユニット20には、必要に応じて各種の論理的装置が設けられてよい。
【0024】
次に、ユーザがゲーム機2にてゲームをプレイする場合にゲーム機2の制御ユニット10等が実行する処理を説明する。図3は、ゲームのプレイ料金をユーザから徴収する際のゲーム機2及びセンターサーバ3のそれぞれの処理を示している。なお、図3の処理は、ゲームの開始前であってかつユーザがゲーム機2のカードリーダ13にカード30を読み取らせることにより、制御ユニット10がカード30のカードIDを識別した後に行われるものとする。プレイ料金を徴収する場合、ゲーム機2の制御ユニット10は、その課金管理部18を利用して、図3のプレイ料金課金ルーチンを実行する。プレイ料金課金ルーチンの最初のステップS101にて、制御ユニット10は、ユーザにプレイ料金の支払い方法(支払い手段)の選択を要求する。この場合、ユーザは、金銭収受装置14を介して現金でプレイ料金を支払う方法(以下、現金支払いと呼ぶ。)と、自己の口座に預けられている電子通貨にてプレイ料金を支払う方法(以下、電子通貨支払いと呼ぶ。)のいずれかを選択することができる。
【0025】
続くステップS102にて、制御ユニット10はユーザが電子通貨支払いを選択したか否か判断する。電子通貨支払いではない、すなわち現金支払いが選択されている場合、制御ユニット10はステップS103に進み、金銭収受装置14に対して所定のプレイ料金を投入するように要求する。続くステップS104にて、制御ユニット10は金銭収受装置14からの出力を参照して、プレイ料金の支払いが所定期間内に完了したか否か判別する。完了している場合、制御ユニット10はステップS108に進み、支払い結果として、プレイ料金が現金で支払われたことを記憶する。続くステップS109にて制御ユニット10はゲームの進行を許可して今回のプレイ料金課金ルーチンを終える。一方、支払いが完了しなかった場合、制御ユニット10はステップS15に進み、ゲームの進行を禁止して今回のプレイ料金課金ルーチンを終える。
【0026】
ステップS102にて電子通貨支払いが選択されていると判断された場合、制御ユニット10はステップS106に進み、センターサーバ3に対して口座からのプレイ料金の引き落としを要求する。この場合、ユーザの口座を特定して正しい額のプレイ料金を引き落とすため、ステップS106で生成される要求には、引き落とされるべきプレイ料金の額、及び口座を特定するためのカードIDが含まれる。その後、制御ユニット10はステップS107に進み、センターサーバ3からの引き落とし結果の送信を待って、引き落としが成功したか否か判別する。
【0027】
一方、センターサーバ3の制御ユニット20は、ゲーム機2から引き落とし要求を受けると、その口座管理部23を利用して、図3の引き落としルーチンを開始する。引き落としルーチンにおいて、制御ユニット20はステップS201でゲーム機2から送られたカードIDを利用して、ユーザの口座のレコードを口座データ203から特定する。続くステップS202において、制御ユニット20はユーザの口座にプレイ料金の額以上の残高(預けられている電子通貨の額)が存在するか否か判別する。残高があれば制御ユニット20はステップS203に進み、ユーザの口座からプレイ料金を引き落とす。つまり、ユーザの口座からプレイ料金に相当する額の電子通貨が減額されるように口座データ203を更新する。一方、ステップS202にて残高が不足する場合、制御ユニット20はステップS203をスキップする。続くステップS204にて、制御ユニット20はゲーム機2に対して引き落としの結果、すなわち引き落としが成功したか否かを判別する情報を送信し、これにより引き落としルーチンを終える。
【0028】
引き落とし結果を受信したゲーム機2の制御ユニット10は、その情報に従って引き落としが成功したか否かを判別する。そして、成功していれば制御ユニット10はステップS108に進み、支払い結果として、プレイ料金が電子通貨で支払われたことを記憶し、続いてステップS109でゲームの進行を許可する。一方、引き落としに失敗、つまり残高不足でプレイ料金を引き落とすことができなかった場合、制御ユニット10はステップS105へ進んでゲームの進行を禁止する。ステップS105又はS109の処理後は上述した通り今回のプレイ料金課金ルーチンを終了する。なお、ステップS105にてゲームの進行が禁止された場合、ユーザはゲームを開始することができない。一方、ステップS109にてゲームの進行が許可された場合、ユーザはゲーム機2が提供するゲームをプレイすることが可能となる。
【0029】
図4は、ユーザが協力プレイを選択したときにゲーム機2の制御ユニット10が実行する協力プレイモードルーチンを示している。なお、協力プレイとは、例えば複数のユーザが互いに協力して同一のクイズに回答するといった、ユーザ間の協力がゲームを進める要素に取り込まれているプレイ形態である。協力プレイが選択されると、制御ユニット10はまずステップS1でプレイ料金が電子通貨で支払われたか否か判別する。その判別は、上述した図3のステップS108の記憶内容に基づいて行われる。プレイ料金が電子通貨で支払われていた場合、制御ユニット10はステップS2に進み、ユーザに対してオンライン又は店舗内のマッチングのいずれかの選択を要求する。オンラインマッチングは他の店舗6に配置されたゲーム機2のユーザとのマッチングである。一方、店舗内マッチングは、同一店舗6内の他のゲーム機2のユーザとのマッチングである。
【0030】
続くステップS3にて、制御ユニット10はユーザがオンラインマッチングを選択したか否か判別する。オンラインマッチングが選択された場合、制御ユニット10はステップS4に進み、センターサーバ3に対してマッチングを要求し、そのマッチング結果に従って、他店舗6のゲーム機2との間でデータ通信を行うための環境を整備する。その処理は制御ユニット10のマッチング処理部17とセンターサーバ3のマッチング処理部22とが連携して実行される。センターサーバ3に対するマッチング要求、センターサーバ3におけるマッチングの処理は、ネットワークを介した対戦、あるいは協力プレイを実現する公知のゲームシステムと同様でよく、その詳細は省略する。
【0031】
オンラインマッチングが完了すると、制御ユニット10はステップS5に進み、マッチングされたゲーム機2との間でデータを交換しつつ所定範囲のゲームを実行する。この場合のゲームのプレイ範囲は、支払われたプレイ料金に見合った時間長の範囲に設定される。ステップS5にて所定範囲のゲームが終了すると、制御ユニット10はステップS6に進み、それまでのゲームの結果を中間結果としてユーザに提示する。続くステップS7にて、制御ユニット10は、ユーザのプレイ成績が所定のクリア条件を満たしているか否かを判別する。クリア条件を満たしている場合、制御ユニット10はッステップS8に進み、ゲームを続けるか否か(コンティニューするか否か)の選択をユーザに要求する。
【0032】
続くステップS9において、制御ユニット10はユーザがコンティニューを選択したか否か判別する。コンティニューが選択されていた場合、制御ユニット10はステップS10に進み、コンティニューに必要なプレイ料金をユーザに対して課金し、その後ステップS5に戻ってゲームを続きから再開させる。ステップS10の課金は、ゲームを継続するために必要なプレイ料金を口座データ203から引き落とす処理である。ステップS10の課金後にステップS5で実行されるゲームのプレイ範囲は、ステップS4からステップS5へと処理が進んだときのゲーム(これを初回のゲームと呼ぶことがある。)の範囲よりも狭く設定される。この場合の範囲の広狭は、その範囲をプレイするために必要なプレイ時間を尺度として比較される。すなわち、初回のゲームのプレイ時間よりもコンティニュー選択後のゲームのプレイ時間が短い場合、コンティニュー後のプレイ範囲が初回のゲームのプレイ範囲よりも狭いことになる。ゲームのプレイ内容によってプレイ時間にばらつきが生じる場合には、平均的なプレイ時間の長短によりプレイ範囲の広狭を評価すればよい。
【0033】
そして、ステップS10で要求されるプレイ料金の額は、初回のゲームをプレイするために要求されるプレイ料金の額よりも少額に設定される。なお、ステップS10の課金は、制御ユニット10の課金管理部18と、センターサーバ3の制御ユニット20における口座管理部23とが連携して、図3の場合と同様に処理される。ただし、ステップS10において、電子通貨以外のプレイ料金(この場合はコンティニュー料金)の支払いは不可能とされる。また、コンティニュー料金に相当する額の残高が口座に残っていない場合には課金が不可能なため、ステップS7にてクリア条件を満たさないと判断された場合と同様の処理が行われる。ステップS7にてクリア条件が満たされていない場合、又はステップS9でコンティニューが選択されなかった場合、制御ユニット10はステップS11に進み、その時点でのゲームの成績を最終結果としてユーザに提示し、その後、今回のルーチンを終了する。
【0034】
ステップS1にてプレイ料金が電子通貨で支払われていない場合、又はステップS3でユーザが店舗内マッチングを選択した場合、制御ユニット10はステップS12に進み、自らのマッチング処理部17を利用して同一店舗6内の他のゲーム機2のユーザ同士をマッチングする。続くステップS13にて、制御ユニット10はマッチングされたゲーム機2間でデータを交換しつつ所定範囲のゲームを実行する。その場合、ゲームのプレイ範囲は、ステップS4からステップS5へと処理が進んだときのゲームのプレイ範囲と同様である。つまり、ゲームが開始されて一度もコンティニューが行われていないときのゲーム(これを初回のゲームと呼ぶことがある。)の範囲と同様である。これは、現金支払い時に初回のゲームで課金されるプレイ料金の額が、初回のゲームを電子通貨支払いでプレイする場合に要求される電子通貨の額と等価であることによる。
【0035】
ステップS13で所定範囲のゲームが行われると、制御ユニット10はステップS11に進み、その時点でのゲームの成績を最終結果としてユーザに提示し、その後、今回のルーチンを終了する。つまり、現金にてプレイ料金が支払われた場合、あるいは電子通貨にてプレイ料金が支払われてもユーザが店舗内マッチングを選択した場合には、初回のゲームのみで終了し、コンティニューは不可能とされる。
【0036】
図5は、ゲーム機2における初回のゲームと、コンティニューが選択された場合に提供されるゲームとの関係の一例を示している。図5に示したように、初回のゲームのプレイ範囲(初回プレイ範囲)は、電子通貨支払いの場合と現金支払いの場合とで互いに等しい。例えば、ゲーム機2で提供されるゲームが、問題を出題し、ユーザが回答するといった型式のクイズゲームとして構成されている場合、初回のゲームでは、支払い方法によらずに所定数(一例として30問)の問題が出題される。そして、クイズの成績(得点や正解率)が所定レベル以上であれば初回のゲームがクリアとなる。電子通貨支払いの場合、初回のゲームをクリアすれば、コンティニュー料金の電子通貨による支払いを条件として、2回目のゲームへと進むことができる。そして、2回目のゲームのプレイ範囲は初回のゲームのそれと比して狭い。例えば、クイズの問題数が15問といったように減少する。それに合わせて、2回目のゲームをプレイするために必要なプレイ料金(コンティニュー料金)は、初回のゲームのそれと比して少ない額(例えば半額)に設定される。以降、同様にして、初回のゲームのプレイ範囲よりも狭い範囲で、プレイ料金の課金及びゲームの実行が繰り返される。一方、初回のゲームのプレイ料金を現金で支払った場合には、その初回のゲームをクリアしたか否かに関わりなく、2回目のゲームには進むことができない。
【0037】
以上に説明したように、本形態のゲームシステム1では、電子通貨によってプレイ料金が支払われない限り、ユーザは2回目以降のゲームを継続してプレイすることができない。これにより、電子通貨による支払い形態を選択する動機付けをユーザに対して与えることができる。しかも、2回目以降のゲーム(つまり、コンティニュー後のゲーム)の範囲が、初回のゲームの範囲よりも狭く、かつ2回目以降のゲームのプレイ料金が初回のゲームのプレイ料金よりも少額に設定されているので、初回のゲーム料金を例えば1又は数枚の硬貨に対応する額とし、2回目以降のゲームのプレイ料金を1枚の硬貨の額よりも少額に設定すれば、金銭収受装置14にて受入可能な硬貨の種類を増加させることなく、2回目以降のゲームの継続に必要なプレイ料金を少額に設定することができる。それにより、ゲーム機2に対する設備投資の負担が軽減されるとともに、ゲームの継続の区切りとプレイ料金の単位とを細かく設定して、ゲームを継続する範囲を、ユーザの希望に対して柔軟に対応させることが可能となる。
【0038】
以上の形態においては、ゲーム機2の制御ユニット10が図3のステップS108及び図4のステップS1を実行することにより判別手段として機能し、図4のステップS2以下を実行することによりゲーム制御手段として機能する。また、初回のゲームが所定範囲のゲームに相当し、ステップS7〜ステップS10を順次経てステップS5へと戻されたときに実行されるゲームが追加の範囲のゲームに相当する。
【0039】
本発明は上述した形態に限定されることなく、適宜の変形が可能である。例えば、上記の形態では、電子通貨にてプレイ料金が支払われた場合のみ、オンラインマッチング及びゲームの継続を許容し、現金でプレイ料金が支払われた場合には両者を不可能とすることにより、ゲームの制御を支払い方法によって差別化しているが、その差別化の内容は適宜に変更することができる。現金で支払われた場合でもオンラインマッチングを許容してもよいし、現金で支払われた場合でもゲームの継続を許容しつつ、継続の範囲を、電子通貨支払いの場合には現金支払いの場合との間で差別化し、かつ一回の継続に必要なプレイ料金も継続の範囲に応じて差別化してもよい。
【0040】
ゲームの継続に関して差別化をする例に限らず、例えば、電子通貨支払いの場合には、現金その他の支払い方法の場合ではプレイできない特別のステージをプレイ可能とし、あるいは電子通貨支払いの場合には他の支払い方法の場合では出現しないキャラクタ等をゲームに登場させてゲームをプレイできるといった差別化を生じさせてもよい。支払い方法も電子通貨支払いと現金支払いとが選択可能な形態に限らず、現金支払いとクレジットカードあるいはプリペイドカードによる支払いとが選択可能としてもよいし、その他、各種の支払い方法を選択可能として、支払い方法に応じた変化をゲームの制御に生じさせてもよい。
【0041】
上記の形態では、電子通貨の口座をセンターサーバ上に構築し、ネットワークを介しててプレイ料金相当額の電子通貨を引き落とすことによりプレイ料金を支払うものとしたが、例えばカード30、あるいは携帯電話等に装備されたICチップ等の記憶媒体に電子通貨をチャージし、プレイ料金の支払いに応じてカード30上の電子通貨の残高を減少させる、いわゆるプリペイド型の電子通貨システムによりプレイ料金を支払い可能としてもよい。このような場合には、電子通貨によるプレイ料金の引き落としをゲーム機2とカード30との間で完結させることができる。よって、本発明のゲームシステムは、ゲーム機とセンターサーバとがネットワークを介して接続されたネットワーク型のゲームシステムとして構成された例に限らず、ゲーム機がネットワークに接続されていない、いわゆるスタンドアローン型のゲーム機のみで構成されたゲームシステムとして構築されてもよい。また、ゲーム機は店舗内に設置される例に限らず、例えば家庭用のゲーム機を含むゲームシステムであっても、ネットワークを介して有料でゲームをプレイすることが可能であれば、本発明のゲームシステムとして構築することが可能である。
【0042】
電子通貨の口座は、ゲームを実現するためのセンタサーバとは異なるサーバ上にて管理されてもよく、外部業者が提供する電子通貨の決済システムを利用してプレイ料金を支払えるようにしてもよい。さらに、プレイ料金の支払い方法は、現金及び電子通貨による支払いに限定されることなく、クレジットカード、商品券など、様々な支払い方法が選択的に使用可能とされてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 ゲームシステム
2 ゲーム機
3 センターサーバ
5 ネットワーク
6 店舗
10 制御ユニット(判別手段、ゲーム制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支払い方法から一つの支払い方法を選択してゲームのプレイ料金を支払うことが可能とされたゲームシステムにおいて、
前記プレイ料金がいずれの支払い方法にて支払われたかを判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果に基づいて、前記支払い方法に応じた変化が生じるように前記ゲームを制御するゲーム制御手段と、
を備えたゲームシステム。
【請求項2】
前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が特定の支払い方法にて支払われた場合、他の支払い方法で支払われたときにはプレイ不可能な範囲でゲームがプレイ可能となるように前記ゲームを制御する請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金が特定の支払い方法で支払われたか否かにより、前記プレイ料金の支払いの対価として提供される所定範囲にてゲームを進行させるための制御の手順を前記他の支払い方法で支払われたときの制御の手順から変更することにより、前記プレイ不可能な範囲における前記ゲームのプレイを可能とする請求項2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記特定の支払い方法が、電子通貨による前記プレイ料金の支払い方法である請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項5】
前記ゲーム制御手段は、前記プレイ料金の支払いの対価として提供される所定範囲のゲームの終了後に、前記特定の支払い方法にて追加のプレイ料金を支払うことと引き換えに、前記プレイ不可能な範囲としての追加の範囲でゲームを継続してプレイすることを許可し、前記プレイ料金が前記他の支払い方法で支払われた場合には、前記所定範囲のゲームの終了後における前記追加の範囲でのゲームの継続を禁止する請求項4に記載のゲームシステム。
【請求項6】
ゲームのプレイに要する時間を尺度として前記所定範囲と前記追加の範囲との広狭を比較したときに、前記追加の範囲が前記所定範囲よりも狭く設定されている請求項5に記載のゲームシステム。
【請求項7】
前記追加のプレイ料金の額が前記所定範囲のゲームをプレイするための対価としてのプレイ料金の額よりも少額に設定されている請求項6に記載のゲームシステム。
【請求項8】
複数の支払い方法から一つの支払い方法を選択してゲームのプレイ料金を支払うことが可能とされたゲームシステムのコンピュータを、
前記プレイ料金がいずれの支払い方法にて支払われたかを判別する判別手段、及び
前記判別手段の判別結果に基づいて、前記支払い方法に応じた変化が生じるように前記ゲームを制御するゲーム制御手段、として機能させるように構成されたゲームシステム用のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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