説明

ゲームプログラムおよびゲーム装置

【課題】通常表示されるゲーム画像の色情報を変化させた画像を用いた画面表現において、プレイヤオブジェクトの位置を把握しやすい画面表現を行うゲームプログラムおよびゲーム装置を提供すること。
【解決手段】仮想カメラから見たカラー画像を生成する。次に、仮想ゲーム空間内のプレイヤオブジェクトのZ値を基準とし、仮想ゲーム空間内の各オブジェクトとの距離に応じて、当該各オブジェクトに所定のフォグ色を加色することでフォグ画像を生成する。更に、当該フォグ画像に、所定の画素を基準として、当該フォグ画像の縦横方向の画素の距離に応じて更に所定のフォグ色を加色するためのマスク処理を施す。そして、当該フォグ画像とカラー画像とを合成した画像をゲーム画像として表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームプログラムおよびゲーム装置に関し、より特定的には、仮想ゲーム空間における画像の描画処理に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゲームシステムに含まれるコンピュータの高性能化に伴い、3次元コンピュータグラフィックス技術を利用した3次元ゲームが増えている。3次元ゲームでは、プレイヤオブジェクトや地形オブジェクト等のポリゴンによって構成されるオブジェクトを3次元のゲーム空間に配置し、所定の視点によってそのゲーム空間内の様子を3次元ゲーム画面として表示している。
【0003】
ここで、従来からある画面表現方法のひとつとして、モノクロ画像等の、通常表示されるゲーム画面の色情報を変化させた画像を用いるという方法がある。例えば、仮想ゲーム空間内において、そのゲームの舞台となる世界(以下、ワールドと呼ぶ)が複数あるとする。その「ワールド」のうちの1つに「モノクロワールド」という白黒の画素しか存在しないという設定があるとする。この場合、「モノクロワールド」以外ではカラーの画像で表示し、「モノクロワールド」においては、当該ワールド内のオブジェクト全てをモノクロ画像で表示することで他のワールドとの違いを表現していた。
【非特許文献1】週刊ファミ通9月9日号、株式会社エンターブレイン、274〜275ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような画面表現方法においては、従来から以下に示す問題点があった。すなわち、上記「モノクロワールド」では、単純にモノクロ画像を表示し、プレイヤオブジェクトだけ色がついていたため、単調な表現となっていた。更に、背景がモノクロ画像であることから遠近感が掴みにくく、プレイヤにとって、自分の操作しているプレイヤオブジェクトの仮想ゲーム空間内での位置が把握しにくいという問題があった。
【0005】
それ故に、本発明の目的は、通常表示されるゲーム画像の色情報を変化させた画像を用いた画面表現において、プレイヤオブジェクトの位置を把握しやすい画面表現を行うゲームプログラムおよびゲーム装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、本発明の理解を助けるために後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0007】
第1の発明は、仮想ゲーム空間を仮想カメラで撮影した画像を単位時間毎に更新して表示するゲーム装置のコンピュータに実行させるゲームプログラムであって、画像生成ステップ(S32)と、第1混色ステップ(S32)と、第2混色ステップ(S33)と、出力ステップ(S6)とを有する。画像生成ステップは、仮想カメラで撮影される仮想ゲーム空間の画像を生成する。第1混色ステップは、仮想ゲーム空間内に決められた基準位置から当該ゲーム空間内の他の位置までの、仮想カメラの撮影方向に沿った方向の距離の差に応じた割合で、画像生成ステップで生成された画像内の他の位置に対して第1色を混色する。第2混色ステップは、第1混色ステップによって混色された画像内の所定の画素を基準画素とし、当該基準画素から当該混色された画像における各画素までの当該画像上の距離に応じた割合で当該各画素に第2色を混色する。出力ステップは、第2混色ステップによって処理された画像を出力する。
【0008】
第2の発明は、仮想ゲーム空間を仮想カメラで撮影した画像を単位時間毎に更新して表示するゲーム装置のコンピュータに実行させるゲームプログラムであって、画像生成ステップ(S32)と、第3混色ステップ(S33)と、第4混色ステップ(S32)と、出力ステップ(S6)とを有する。画像生成ステップは、仮想カメラで撮影される仮想ゲーム空間の画像を生成する。第3混色ステップは、画像生成ステップで生成された画像内の所定画素を基準画素とし、当該基準画素から当該生成された画像の各画素までの当該画像上の距離に応じた割合で当該各画素に第3色を混色する。第4混色ステップは、仮想ゲーム空間内に決められた基準位置から当該ゲーム空間内の他の位置までの、仮想カメラの撮影方向に沿った方向の距離の差に応じた割合で第3混色ステップによって混色された画像内の他の位置に対して第4色を混色する。出力ステップは、第4混色ステップによって処理された画像を出力する。
【0009】
第3の発明は、第1または第2の発明において、ゲーム空間内の基準位置から前記他の位置までの、仮想カメラの撮影方向に沿った方向の距離の差が小さいほど、各画素に対して混色する色の混色割合が低くされる。
【0010】
第4の発明は、第1または第2の発明において、基準画素は、基準位置に対応する画素である。
【0011】
第5の発明は、第4の発明において、基準位置は、仮想ゲーム空間内に存在するプレイヤオブジェクトの位置である。
【0012】
第6の発明は、仮想ゲーム空間の仮想カメラによって撮影して得られたゲーム画像をフレームバッファに記憶するとともに当該ゲーム画像の各画素の奥行き値をZバッファに記憶する処理を行うためのゲーム装置のコンピュータに実行させるゲームプログラムであって、第1混色ステップ(S52)と、第2混色ステップ(S53)と、出力ステップ(S6)とを有する。第1混色ステップは、ゲーム画像内の所定画素の奥行き値を基準値とし、当該基準値と他の画素の奥行き値との差に応じた割合で、ゲーム画像の各画素に対して第1色を混色する。第2混色ステップは、第1混色ステップによって混色されたゲーム画像内の所定画素を基準画素として、当該基準画素から当該混色されたゲーム画像の各画素までの距離に応じた割合で当該各画素に第2色を混色する。出力ステップは、第2混色ステップによって処理された画像を出力する。
【0013】
第7の発明は、仮想ゲーム空間の仮想カメラによって撮影して得られたゲーム画像をフレームバッファに記憶するとともに当該ゲーム画像の各画素の奥行き値をZバッファに記憶する処理を行うためのゲーム装置のコンピュータに実行させるゲームプログラムであって、第3混色ステップ(S53)と、第4混色ステップ(S52)と、出力ステップ(S6)とを有する。第3混色ステップは、ゲーム画像内の所定画素を基準画素として、当該基準画素から当該混色されたゲーム画像の各画素までの距離に応じた割合で当該各画素に第3色を混色する。第4混色ステップは、第3混色ステップによって混色されたゲーム画像内の所定画素の奥行き値を基準値とし、当該基準値と他の画素の奥行き値との差に応じた割合で、第3混色ステップによって混色されたゲーム画像の各画素に対して第4色を混色する。出力ステップは、第4混色ステップによって処理された画像を出力する。
【0014】
第8の発明は、上記第6または第7の発明において、基準値と他の画素の奥行き値との差が小さいほど、各画素に対して混色する色の混色割合が低くされる。
【0015】
第9の発明は、上記第6または第7の発明において、基準画素は、基準値とする画素である。
【0016】
第10の発明は、上記第9の発明において、基準置とする画素は、仮想ゲーム空間内に存在するプレイヤオブジェクトの位置に対応した画素である。
【0017】
第11の発明は、上記第1または第2または第6または第7の発明において、基準画素から各画素までの距離が小さいほど、各画素に対して混色する色の混色割合が低くされる。
【0018】
第12の発明は、仮想ゲーム空間を仮想カメラで撮影した画像を単位時間毎に更新して表示するゲーム装置であって、画像生成部(22、24)と、第1混色部(22、24)と、第2混色部(22、24)と、出力部(22、44)とを有する。画像生成部は、仮想カメラで撮影される仮想ゲーム空間の画像を生成する。第1混色部は、仮想ゲーム空間内に決められた基準位置から当該ゲーム空間内の他の位置までの、仮想カメラの撮影方向に沿った方向の距離の差に応じた割合で、画像生成部で生成された画像内の他の位置に対して第1色を混色する。第2混色部は、第1混色部によって混色された画像内の所定の画素を基準画素とし、当該基準画素から当該混色された画像における各画素までの当該画像上の距離に応じた割合で当該各画素に第2色を混色する。出力部は、第2混色部によって処理された画像を出力する。
【0019】
第13の発明は、仮想ゲーム空間を仮想カメラで撮影した画像を単位時間毎に更新して表示するゲーム装置であって、画像生成部(22、24)と、第3混色部(22、24)と、第4混色部(22、24)と、出力部(22、44)とを備える。画像生成部は、仮想カメラで撮影される仮想ゲーム空間の画像を生成する。第3混色部は、画像生成部で生成された画像内の所定画素を基準画素とし、当該基準画素から当該生成された画像の各画素までの当該画像上の距離に応じた割合で当該各画素に第3色を混色する。第4混色部は、仮想ゲーム空間内に決められた基準位置から当該ゲーム空間内の他の位置までの、仮想カメラの撮影方向に沿った方向の距離の差に応じた割合で第3混色部によって混色された画像内の他の位置に対して第4色を混色する。出力部は、第4混色部によって処理された画像を画面に出力する。
【0020】
第14の発明は、仮想ゲーム空間の仮想カメラによって撮影して得られたゲーム画像をフレームバッファに記憶するとともに当該ゲーム画像の各画素の奥行き値をZバッファに記憶する処理を行うためのゲーム装置であって、第1混色部(22、24)と、第2混色部(22、24)と、出力部(22、44)とを備える。第1混色部は、ゲーム画像内の所定画素の奥行き値を基準値とし、当該基準値と他の画素の奥行き値との差に応じた割合で、ゲーム画像の各画素に対して第1色を混色する。第2混色部は、第1混色部によって混色されたゲーム画像内の所定画素を基準画素として、当該基準画素から当該混色されたゲーム画像の各画素までの距離に応じた割合で当該各画素に第2色を混色する。出力部は、第2混色部によって処理された画像を画面に出力する。
【0021】
第15の発明は、仮想ゲーム空間の仮想カメラによって撮影して得られたゲーム画像をフレームバッファに記憶するとともに当該ゲーム画像の各画素の奥行き値をZバッファに記憶する処理を行うためのゲーム装置であって、第3混色部(22、24)と、第4混色部(22、24)と、出力部(22、44)とを備える。第3混色部は、ゲーム画像内の所定画素を基準画素として、当該基準画素から当該混色されたゲーム画像の各画素までの距離に応じた割合で当該各画素に第3色を混色する。第4混色部は、第3混色部によって混色されたゲーム画像内の所定画素の奥行き値を基準値とし、当該基準値と他の画素の奥行き値との差に応じた割合で、第3混色部によって混色されたゲーム画像の各画素に対して第4色を混色する。出力部は、第4混色部によって処理された画像を画面に出力する。
【発明の効果】
【0022】
上記第1の発明によれば、仮想ゲーム空間内の所定の位置を基準とし、当該位置からの距離に応じて、所定の色が加わっているゲーム画像を表示することができる。これにより、上記仮想ゲーム空間内における上記基準とする位置をわかりやすく表示することができる。
【0023】
上記第2の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果を得ることができる。
【0024】
上記第3の発明によれば、当該位置から徐々に距離が遠のくにつれて、所定の色が段々と加わったゲーム画像を表示することができる。これにより、上記仮想ゲーム空間内における上記基準とする位置をわかりやすく表示することができる。
【0025】
上記第4の発明によれば、仮想ゲーム空間内の基準位置に対応する画素を基準画素とするため、第1色の混色と第2色の混色とにおける混色の基点を同じものとすることができる。そのため、全体としてバランスの取れた混色を行うことができる。また、仮想ゲーム空間内の基準位置がどこであるのかをプレイヤにわかりやすく表示することができる。
【0026】
上記第5の発明によれば、仮想ゲーム空間内におけるプレイヤオブジェクトの位置をプレイヤにわかりやすく表示することができる。これにより、プレイヤは、プレイヤオブジェクトを操作しやすくなる。
【0027】
上記第6および第7の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果を得ることができる。
【0028】
上記第8乃至10の発明によれば、上記第3乃至第5の発明と同様の効果を得ることができる。
【0029】
上記第11の発明によれば、仮想ゲーム空間内における遠近感をわかりやすくプレイヤに伝えることができる。また、仮想ゲーム空間内の基準位置をわかりやすく表示することができる。
【0030】
上記第12乃至15の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1は本発明の一実施形態に係るゲームシステムの構成を示す外観図であり、図2はそのブロック図である。図1および図2に示すように、ゲームシステムは、ゲーム装置14、光ディスク16、メモリカード18、コントローラ20およびモニタ12(図2に示すスピーカ50を含む)を備える。光ディスク16およびメモリカード18は、ゲーム装置14に着脱自在に装着される。コントローラ20は、ゲーム装置14に設けられる複数(図1では、4つ)のコントローラポート用コネクタのいずれかに接続される。コントローラ20は複数の操作部を有し、具体的には、ジョイスティック20a、Aボタン20b、Rボタン20c、Bボタン20e、図示しないZボタン等を含む。なお、他の実施形態においては、ゲーム装置14とコントローラ20との通信は、通信ケーブルを用いずに無線通信によって行われてもよい。また、モニタ12およびスピーカ50は、AVケーブル等によってゲーム装置14に接続される。なお、本発明は図1に示すような据え置き型のゲーム装置に限らず、携帯型のゲーム装置であってもよいし、業務用のゲーム装置であってもよいし、携帯電話やパソコン等のゲームを実行できる装置であってもよいことはもちろんである。以下、図2を参照しながら、本発明に係るゲームシステムにおける各部を詳細に説明するとともに、ゲームシステムにおける一般的な動作を説明する。
【0032】
外部記憶媒体の一例である光ディスク16は、例えばDVD−ROMであり、ゲームプログラムやキャラクタデータ等のゲームに関するデータを固定的に記憶している。プレイヤがゲームを行う場合、光ディスク16はゲーム装置14に装着される。なお、ゲームプログラム等を記憶する手段は、DVD−ROMに限らず、例えばCD−ROM、MO、メモリカード、ROMカートリッジ等の記憶媒体であってもよく、また、ゲーム装置本体内のメモリやハードディスク等の記憶手段に記憶されるようにしてもよく、この場合、通信によりゲームプログラムをダウンロードするようにしてもよい。メモリカード18は、例えばフラッシュメモリ等の書き換え可能な記憶媒体によって構成され、例えばゲームにおけるセーブデータ等のデータを記憶する。
【0033】
ゲーム装置14は、光ディスク16に記録されているゲームプログラムを読み出し、ゲーム処理を行う。コントローラ20は、プレイヤがゲーム操作に関する入力を行うための入力装置であり、前述の通りジョイスティックや複数の操作スイッチを有する。コントローラ20は、プレイヤによるジョイスティックの操作や操作スイッチの押圧等に応じて操作データをゲーム装置14に出力する。モニタ12は、ゲーム装置14から出力された画像データを画面に表示する。また、スピーカ50は、典型的にはモニタ12に内蔵されており、ゲーム装置14から出力されたゲームの音声を出力する。複数のプレイヤによってゲームを行う場合、コントローラ20はプレイヤの数だけ設けられる。
【0034】
次に、ゲーム装置14の構成について説明する。図2において、ゲーム装置14内には、CPU22およびそれに接続されるメモリコントローラ40が設けられる。さらに、ゲーム装置14内において、メモリコントローラ40は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)24と、メインメモリ34と、デジタル信号処理回路(DSP)36と、各種インターフェース(I/F)42〜52とに接続される。また、メモリコントローラ40は、DSP36を介してサブメモリ38と接続される。メモリコントローラ40は、これら各構成要素間のデータ転送を制御する。
【0035】
ゲーム開始の際、まず、ディスクドライブ54は、ゲーム装置14に装着された光ディスク16を駆動する。光ディスク16に記憶されているゲームプログラムは、ディスクI/F52およびメモリコントローラ40を介して、メインメモリ34に読み込まれる。メインメモリ34上のプログラムをCPU22が実行することによって、ゲームが開始される。ゲーム開始後、プレイヤは、ジョイスティックや操作スイッチを用いてコントローラ20に対してゲーム操作等の入力を行う。プレイヤによる入力に従い、コントローラ20は、操作データをゲーム装置14に出力する。コントローラ20から出力される操作データは、コントローラI/F42およびメモリコントローラ40を介してCPU22に入力される。CPU22は、入力された操作データに応じてゲーム処理を行う。ゲーム処理における画像データ生成等に際して、GPU24やDSP36が用いられる。また、サブメモリ38は、DSP36が所定の処理を行う際に用いられる。
【0036】
GPU24は、ジオメトリユニット26およびレンダリングユニット28を含み、画像処理専用のメモリに接続されている。この画像処理専用メモリは、例えばカラーバッファ30およびZバッファ32として利用される。ジオメトリユニット26は、仮想3次元空間であるゲーム空間に置かれた物体や図形に関する立体モデル(例えばポリゴンで構成されるオブジェクト)の座標についての演算処理を行うものであり、例えば立体モデルの回転・拡大縮小・変形や、ワールド座標系の座標から視点座標系やスクリーン座標系の座標への変換を行うものである。レンダリングユニット28は、所定のテクスチャに基づいて、スクリーン座標に投影された立体モデルについてピクセルごとのカラーデータ(RGBデータ)をカラーバッファ30に書き込むことによって、ゲーム画像を生成する。また、カラーバッファ30は、レンダリングユニット28によって生成されたゲーム画像データ(RGBデータ)を保持するために確保されたメモリ領域である。Zバッファ32は、3次元の視点座標から2次元のスクリーン座標に変換する際に視点からの奥行情報を保持するために確保されたメモリ領域である。GPU24は、これらを用いてモニタ12に表示すべき画像データを生成し、適宜メモリコントローラ40およびビデオI/F44を介してモニタ12に出力する。なお、ゲームプログラム実行時にCPU22において生成される音声データは、メモリコントローラ40からオーディオI/F48を介して、スピーカ50に出力される。なお、本実施形態では、画像処理専用のメモリを別途設けたハードウェア構成としたが、これに限らず例えばメインメモリ34の一部を画像処理用のメモリとして利用する方式(UMA:Unified Memory Architecture)を使うようにしてもよい。ゲーム装置14は、ゲームプログラムを実行することにより生成したゲームデータをメモリコントローラ40およびメモリI/F46を介してメモリカード18に転送する。また、ゲーム装置14は、ゲーム開始に先立って、メモリカード18に記憶されたゲームデータを、メモリコントローラ40およびメモリI/F46を介してメインメモリ34に読み込む。
【0037】
次に、本実施形態で想定するゲームの概要について説明する。本実施形態のゲームは、仮想的な3Dゲーム空間内で、プレイヤオブジェクトがリアルタイムに動き回りながら冒険するアクションアドベンチャーゲームである。仮想ゲーム空間には、プレイヤオブジェクトや敵オブジェクト、その他背景オブジェクトが存在し、これらが仮想カメラで撮影されることにより、ゲーム画像としてモニタ12に表示される。
【0038】
ここで、本実施形態における仮想ゲーム空間には、「ノーマル世界」と「トワイライト世界」と呼ばれる2種類の世界が存在する。「ノーマル世界」は、普段プレイヤオブジェクトが活躍する世界であり、「トワイライト世界」は、所定の条件を満たしたときのみ行くことができる世界である。「ノーマル世界」および「トワイライト世界」は、共に、仮想カメラから見た画像がゲーム画像として表示されるが、「ノーマル世界」の画像(以下、通常画像)と異なり、「トワイライト世界」では、特殊効果が施された画像(以下、特殊効果画像と呼ぶ)がゲーム画像として表示される。具体的には、「トワイライト世界」は、「ノーマル世界」に比べ、全体的にモノクロ調の、カラフルではない画像で表現される。但し、「トワイライト世界」においても、プレイヤオブジェクトについては、「ノーマル世界」における画像と同様の、色のついた状態で表示される。このとき、「トワイライト世界」におけるプレイヤオブジェクトの位置をより分かりやすくするため、プレイヤオブジェクトの周囲については「ノーマル世界」における画像と同様の、色がついた画像が表示され、プレイヤオブジェクトから距離が離れていくにつれ、徐々に色が薄くなっていくような表現を行う。換言すれば、暗闇の中でつけられた蝋燭のごとく、蝋燭(プレイヤオブジェクト)の周囲だけ明るくし(カラー画像とし)、蝋燭から離れるに連れ、段々暗くなっていく(カラーが薄れていく)ような画面効果を施した特殊効果画像をゲーム画像として表示する。
【0039】
次に、ゲーム装置1によって実行されるゲーム処理の詳細を説明する。まず、ゲーム処理の際にメインメモリ34に記憶されるデータについて説明する。図3は、ゲーム装置1のメインメモリ34のメモリマップを示す図である。ゲーム処理の際、メインメモリ34には、光ディスク16から読み込まれたゲームプログラム341、画像データ342、特殊表示フラグ343、準備フラグ344、横方向マスクテーブル345、縦方向マスクテーブル346等が記憶される。
【0040】
ゲームプログラム341は、CPU22の動作プログラム(後述の図4に示すフローチャートに対応する動作を実行させるためのプログラム)である。
【0041】
画像データ342は、ゲーム画像(プレイヤオブジェクト、敵オブジェクト、背景オブジェクト、所定のキャラクタ)を生成するためのデータ(ポリゴンデータやテクスチャデータなど)である。
【0042】
特殊表示フラグ343は、モニタ12に表示すべきゲーム画像として、上記通常画像を表示するか特殊効果画像を表示するかを示すためのフラグである。プレイヤオブジェクトが上述した「トワイライト世界」にいるときはオンに設定され、「ノーマル世界」にいるときはオフに設定される。また、準備フラグ344は、特殊画像生成準備処理(詳細は後述)を実行するか否かを判定するのに用いるフラグである。
【0043】
横方向マスクテーブル345および縦方向マスクテーブル346は、マスク処理(詳細は後述)において用いられるテーブルである。
【0044】
なお、メインメモリ34には、上記データの他、プレイヤオブジェクトの状態(HPや装備武器等)を示すデータも記憶されている。さらに、メインメモリ34には、ゲーム処理において用いられる種々のデータが記憶される。
【0045】
次に、図4を参照して、ゲーム装置10によって実行されるゲーム処理について説明する。図4はゲーム装置10によって実行されるゲーム処理の全体処理を示すフローチャートである。図4において、まず、CPU22によって、特殊表示フラグ343等の初期化処理が行われる(ステップS1)。次に、特殊表示フラグ343がオンか否かが判定される(ステップS2)。すなわち、特殊効果画像を生成するか通常画像を生成するか(プレイヤオブジェクトがトワイライト世界にいるかいないか)が判定される。その結果、特殊表示フラグ343がオフであれば(ステップS2でNO)、続いて、特殊表示の準備処理が処理済みか否かを示す準備フラグ344がオフか否かが判定される(ステップS8)。その結果、準備フラグ344がオンであれば(ステップS8でYES)、準備フラグをオフにして(ステップS9)、ステップS10の処理に進む。一方、準備フラグがオフであれば(ステップS8でNO)、そのままステップS10の処理に進む。ステップS10では、通常画像を生成する処理が行われる(ステップS10)。より具体的には、ゲーム空間内の各オブジェクトを構成するポリゴンの座標データであるモデリング座標系を、仮想カメラを原点にした視点座標系に変換する。そして、遠近法などの効果や前面の物体に隠れる部分などを計算し、投影変換を行う。最後に、表示される画面に合わせたスクリーン座標系に変換することで、仮想カメラからみた画像が生成され、フレームバッファに格納される(以下、この一連の処理をレンダリング処理と呼ぶ)。その後、処理がステップS6に進む。
【0046】
一方、ステップS2において、特殊表示フラグ343がオンのときは(ステップS2でYES)、続いて準備フラグ344がオンか否かが判定される(ステップS3)。その結果、準備フラグ344がオンなら(ステップS3でYES)、後述のステップS5の処理に進む。一方、準備フラグ344がオフなら(ステップS3でNO)、以下に述べる特殊画像準備処理が行われる(ステップS4)
【0047】
ここで、特殊画像生成準備処理(ステップS4)および特殊画像生成処理(ステップS5)の処理概要について説明する。まず、ステップS5の特殊画像生成処理では、2つの画像がフレームバッファ内に生成される。1つ目は、上記ステップS10と同様にレンダリングすることで得られる第1の画像(以下、カラー画像)である。もう1つは、フォグの効果(以下、フォグ処理)を加えてレンダリングすることで生成される第2の画像(以下、フォグ画像と呼ぶ)である。そして、当該フォグ画像にマスク処理(詳細は後述)を施してから、カラー画像を背景にし、フォグ画像を前景として合成することで、最終的にゲーム画像として画面に表示する特殊効果画像を生成する。このフォグ処理を行う際に必要となる各種パラメータの設定を、ステップS4の特殊画像生成準備処理で行う。
【0048】
次に、本実施形態におけるフォグ処理の概要について説明する。本実施形態におけるフォグ処理とは、レンダリングをする際に行われる処理である。具体的には、一旦上記カラー画像を生成し、当該画像に対してフォグ効果を加えることで、上記仮想カメラからみた画像を生成する処理である。このフォグ効果を加えるということは、各オブジェクト(背景オブジェクトも含む)のZ値に応じて、当該各オブジェクトのピクセルの色情報(RGB値)に、フォグカラーとして指定された色(以下、単にフォグカラーと呼ぶ)を加えることをいう。例えば、まず、フォグカラーとして白(RGB値=255,255,255)を指定する。次に、フォグの終了距離を、例えば100と指定する。この終了距離とは、ピクセルの色が全てフォグカラーとなる、開始点(フォグ処理を開始するZ値)からの奥行き方向の距離をいう。例えば、赤色(RGB値=255,0,0)のポリゴンが、Z値が10の位置(これが開始点になる)にあるとする。そして、当該ポリゴンが、カメラ座標系において奥行き方向に向けて移動するに連れて段々と白くなっていき、最終的に100の位置にくると、当該ポリゴンが完全に白で表示されるように、Z値に応じて徐々にフォグカラーをRGB値に加えていく処理である。
【0049】
また、このフォグカラーを加えるのに合わせて、透明度を示すアルファ値も設定する。換言すれば、フォグ画像の各ピクセルには、上記RGB値に加えてアルファ値というパラメータを持たせることとなる。これは、特殊画像生成処理においてカラー画像とフォグ画像を合成した際に、前景となるフォグ画像の所定の画素については透過して背景となるカラー画像が見えるようにするためである。より具体的には、本実施形態における特殊画像生成処理によって生成された特殊効果画像は、プレイヤオブジェクトおよびその周辺についてはカラー画像が透過して見えており、プレイヤオブジェクトから遠く離れるほどフォグ画像の透過度が下がり、カラー画像が見えなくなってくるという画像になる。
【0050】
次に、上記特殊画像生成準備処理の詳細について説明する。図5は、上記ステップS4で示した特殊画像生成準備処理の詳細を示すフローチャートである。図5において、まず、プレイヤオブジェクトのZ値が取得される(ステップS21)。これが、本処理におけるフォグ処理の開始点となる。次に、フォグカラーが決定される(ステップS22)。これは、プレイヤオブジェクトのいるエリアやプレイヤオブジェクトの状態に応じて決定される。例えば、プレイヤオブジェクトが人間状態であるときは白(RGB値=を255,255,255)を、プレイヤオブジェクトがオオカミに変身しているときは青(RGB値=0,0,255)をフォグカラーに指定する。ここでは、フォグカラーに白を指定するとして、以下説明を続ける。
【0051】
次に、フォグの終了距離を決定する(ステップS23)。具体的には、仮想カメラの注目点のZ値をフォグの終了距離の値とする。次に、フォグカラーの変化率(フォグカラーを加える割合)を算出する式を生成する(ステップS24)。これは、例えば、フォグカラーの変化率とZ値との関係が図6に示すようなグラフになるような式を生成する。すなわち、図6に示すように、上記開始点(プレイヤオブジェクトの位置)を基準とするZ値の+方向(仮想カメラから遠ざかる方向)、−方向(仮想カメラに近づく方向)のそれぞれに向けて、開始点と目標値とZ値の差に応じて加えられる上記フォグカラーの割合が算出されるような式を生成する。
【0052】
次に、アルファ値の設定式を生成する(ステップS25)。当該アルファ値については、例えば、図7のグラフのようにアルファ値が算出される式が生成される。つまり、図7に示すように、上記開始点を基準とするZ値の+方向、−方向のそれぞれに向けて、開始点と目標値とZ値の差に応じて設定するアルファ値が算出されるような式を生成する。なお、ここでは算出されるアルファ値は、0〜100%の範囲であるとし、0%の時が完全に透過することを示すものとする。最後に、準備処理が済んだことを示すため、上記準備フラグ344をオンにする(ステップS26)。以上で、ステップS4にかかる特殊画像生成準備処理は終了する。
【0053】
図4に戻り、上記準備処理が終われば、特殊画像生成処理が行われる(ステップS5)。ここで、ステップS5の処理の詳細を説明する前に、当該処理で行われるマスク処理の概要について説明する。上述したように、ステップS5にかかる特殊画像生成処理においては、第1のレンダリング処理によってカラー画像が生成され、第2のレンダリング処理によって、上記準備処理で設定されたパラメータに基づいたフォグのエフェクトが施されたフォグ画像が生成される。そして、これら2つの画像を、カラー画像を背景に、フォグ画像を前景にして画像合成するが、この合成の前に、上記フォグ画像に対して、当該フォグ画像の縦横方向についてのマスク処理が行われる。当該マスク処理は、上記フォグ処理だけでは、図8(A)に示すように、上記開始点、すなわちプレイヤオブジェクトの位置と同じ横方向および縦方向上のオブジェクトについては、一律に同じフォグカラーおよびアルファ値が設定されることになる。そのため、図8(B)に示すように、プレイヤオブジェクトの周辺についてはフォグカラーおよびアルファ値が低くなるようにし、横方向および縦方向が離れるにつれ、フォグカラーおよびアルファ値を高まるように上記フォグ画像の所定のピクセルの色情報(RGBα)を補正する処理である。本処理の概要を説明すると、上記フォグ画像の所定の点(プレイヤオブジェクトの足元とする;以下、マスク基準点と呼ぶ)を基準として、横方向および縦方向の一定の範囲内における所定のピクセル(具体的には、アルファ値が所定値以下のピクセル)について、横方向のマスクテーブルおよび縦方向のマスクテーブルに基づいたフォグ色の補正およびアルファ値の補正を行う。このマスクテーブルは、プレイヤの状態に応じた、異なるパターンの複数のマスクテーブルがあらかじめ用意される。例えば、プレイヤオブジェクトが変身することによって、人間の状態と狼の状態とを切り替えることができるとする。そして、プレイヤオブジェクトが人間状態であるときは、図9および図10に示すような、人間状態用のマスクテーブル3451および3461が用いられる。また、プレイヤオブジェクトが狼に変身しているときは、図11および図12に示すような、狼状態用のマスクテーブル3452および3462が用いられる。ここでは、人間状態用のマスクテーブルが使用されるものとして、説明を続ける。
【0054】
図9は、横方向のマスクテーブル3451の一例である。また、図10は、縦方向のマスクテーブル3461の一例である。図9において、上記マスク基準点を基準とする横方向(x)へのピクセルの差分値81に、アルファ調整値82およびフォグカラー調整値83が対応付けられている。また、図10においては、縦方向(y)ピクセルとの差分値91に、アルファ調整値92およびフォグカラー調整値93が対応付けられている。図9のマスクテーブルを適用してマスク処理を行う場合、マスク基準点となるピクセル(差分値81が0のピクセル)については色情報・アルファ値は補正しない。そして、マスク基準点から右方向(+方向)に向けて10ピクセルまでは、アルファ値を10%加算する。また、フォグカラーが5%強まるように色情報を補正する。同様に、マスク基準点から左方向(−方向)に向けて10ピクセルまでもアルファ値を10%加算し、フォグカラーを5%強める。以降、マスク基準点から離れたピクセルほど、加算されるアルファ値が高まり、かつフォグカラーも強まっていく。このように、横方向については、マスク基準点からの左右方向の距離の差に応じて、アルファ値及びフォグカラーの割合を補正する。縦方向についても、横方向と同様に、フォグ画像のマスク基準点からの距離に応じてアルファ値及びフォグカラーの割合が補正される。但し、図10に示すように、横方向のときと比べ、マスク基準点から一定の範囲までは、補正が行われない。これは、本実施形態においてはフォグ画像のマスク基準点が、上述のようにプレイヤオブジェクトの足元とするために仮想カメラの位置や画角を設定しており、足元(マスク基準点)からプレイヤオブジェクトの身長の高さ分までについては、補正を行わないようにするためである。
【0055】
図13は、上記ステップS5で示した特殊画像生成処理の詳細を示すフローチャートである。図13において、まず、第1のレンダリング処理が行われる(ステップS31)。これによって、3Dゲーム空間をレンダリングしたカラー画像がフレームバッファ内に生成される。次に、第2のレンダリング処理が行われる(ステップS32)。すなわち、上記と同じ3Dゲーム空間からフォグ効果のベースになるカラー画像を生成する。これに対して、上述の特殊画像生成準備処理で設定したフォグの効果を加えることでフォグ画像を生成する。そして、当該フォグ画像をフレームバッファに格納する処理が行われる。
【0056】
次に、ステップS32で生成したフォグ画像に対して、マスク処理が行われる(ステップS33)。図14は、上記ステップS33で示したマスク処理の詳細を示すフローチャートである。図14において、まず、上述したような人間状態用の横方向マスクテーブル3451、および縦方向のマスクテーブル3461が読み込まれる(ステップS41)。次に、上記フォグ画像のマスク基準点となるピクセルの座標値を取得する(ステップS42)。続いて、当該フォグ画像のピクセルのうち、アルファ値が所定値以下、例えば、10%以下のピクセルを抽出する(ステップS43)。これは、処理負荷の軽減の観点から、上記3次元ゲーム空間内におけるプレイヤオブジェクトの周辺の範囲だけをマスク処理の対象とするためである。
【0057】
次に、横方向のマスク処理が行われる(ステップS44)。このステップS44の処理をより具体的に説明すると、上記ステップS43で抽出したピクセルのx座標(横方向の座標)と上記ステップS42で取得したマスク基準点との距離(ピクセル数)を算出する。そして、上記横方向マスクテーブル3451を参照し、当該距離に応じたアルファ調整値82を当該ピクセルのアルファ値に加算する。併せて、横方向マスクテーブルのフォグカラー調整値83の示す値だけ上記フォグ色が強まるように当該ピクセルのRGB値を調整する。すなわち、フォグカラー調整値83に示される割合だけフォグカラーを強める。
【0058】
次に、縦方向のマスク処理が行われる(ステップS45)。このステップS45の処理も、ステップS44の処理と同様に、上記ステップS43で抽出したピクセルのy座標(縦方向の座標)と上記マスク基準点との間の距離を算出する。そして、上記縦方向マスクテーブル3461を参照し、当該距離に応じたアルファ調整値92を当該ピクセルのアルファ値に加算する。併せて、縦方向マスクテーブルのフォグカラー調整値93の示す割合だけフォグが強まるように当該ピクセルのRGB値を調整する。以上で、ステップS33にかかるマスク処理が終了する。
【0059】
図13に戻り、ステップS33のマスク処理が終われば、続いて、カラー画像を背景にし、フォグ画像を前景にして画像合成を行う。そして、当該合成した画像を特殊効果画像としてフレームバッファに格納する(ステップS34)。具体的には、以下の式で、画素値Rが算出され、画像が合成されることで特殊効果画像が生成されることになる。
R= R1×(1.0−α) + R2×α
(R1はカラー画像(背景)のRGB、R2はフォグ画像(前景)のRGB、αはフォグ画像に設定されているアルファ値で0≦α≦1、1=100%)
このように、カラー画像とフォグ画像を合成することで、上述のようなフォグ画像の色の境界の部分をぼやかすことができる。すなわち、フォグカラーをZ値等に応じて加えた結果、加えたフォグカラーの境界部分がはっきりと見えて不自然な画像になることを抑止することができる。これにより、プレイヤオブジェクトの周囲についてはカラー画像が透過してみえているような特殊効果画像が生成されることになる。以上で、図4のステップS5にかかる特殊画像生成処理は終了する。
【0060】
図4に戻り、次に、ステップS5の処理の次に、表示処理が行われる(ステップS6)。すなわち、フレームバッファに格納されている、ステップS5で生成された特殊効果画像またはステップS10で生成された通常画像をゲーム画像としてモニタ12に表示する処理が行われる。ステップS6の後、ゲーム終了か否かが判断される(ステップS7)。その結果、YESの場合、ゲーム処理を終了し、NOの場合、ステップS2に戻って、ゲーム処理が繰り返される。
【0061】
このように、本実施形態では、「トワイライト世界」のように、特殊効果画像で表現されるべき世界において、プレイヤオブジェクトに近いところについてはカラーをはっきりと表示し、プレイヤオブジェクトから遠いところはカラーを弱めて表示する。これによって、プレイヤオブジェクトが活躍する舞台となる世界を特殊効果画像を用いて表現することでゲーム内容を多彩なものとしつつも、当該特殊効果画像で表示される世界におけるプレイヤオブジェクトの位置をプレイヤに把握させやすくして、操作しやすくすることができる。
【0062】
なお、上述の実施形態においては、フォグ画像に対してアルファ値を設定していた。これに限らず、カラー画像に対してアルファ値を設定するようにしてもよい。すなわち、上記第1のレンダリング処理時に、アルファ値を加えてレンダリング処理を行い、第2のレンダリング処理ではアルファ値を設定しないようにしてもよい。この場合は、アルファ値については、図7とは逆に、プレイヤオブジェクトの位置においてアルファ値が一番高く(つまり、透過度が低い)、プレイヤオブジェクトから離れていくにつれ、アルファ値が低くなる(つまり、透過度が高い)ように設定すればよい(図15参照)。
【0063】
また、仮想ゲーム空間内における時間帯やプレイヤオブジェクトのいる場所、プレイヤオブジェクトの移動速度や種類等に応じて、図16に示すように、アルファ値を全体的に高め、あるいは低めにずらすような調整をしてもよい。具体的には、上記ステップS25において算出したアルファ値の式(図16のグラフ101)に対して、プレイヤオブジェクトの状態に応じた所定の値を加算・減算し、あるいは、所定の倍率をかけることで、全体的にフォグ画像寄り(図16のグラフ102)あるいはカラー画像寄り(図16のグラフ103)になるよう調整する。アルファ値について、図16のグラフ102のような値に調整した場合は、プレイヤオブジェクト周辺と遠景との間において、カラー画像とフォグ画像との色の変化の度合い(コントラスト)はあまり大きくなく、その結果、プレイヤオブジェクトの周辺のカラーが強調された画像とはならない。一方、図16のグラフ103のような値への調整を行った場合は、逆にカラー画像とフォグ画像との色の変化の度合いが大きくなり、プレイヤオブジェクトの周辺のカラーがより強調された画像となる。その結果、よりプレイヤオブジェクトの位置がわかりやすい画像となる。
【0064】
例えば、時間帯に応じて上述のような調整をするときは、仮想ゲーム空間が夜のときは、アルファ値が図16のグラフ102になるような調整を行う。すなわち、全体的にフォグ画像寄りの画像とする。一方、昼のときは、アルファ値が図16のグラフ103になるような調整を行って、全体的にカラー画像寄りの画像とする。また、場所に応じて調整させるときは、例えば、上述した「トワイライト世界」では、算出したアルファ値をそのまま用いて(つまり、図16のグラフ101の値)、「トワイライト世界」から「ノーマル世界」への出口に近づいたときに、徐々に図16のグラフ103になるようにアルファ値を調整していくようにすることが考えられる。また、プレイヤオブジェクトの移動速度に応じて調整するときは、例えば、移動速度が速いときは、アルファ値が図16のグラフ103になるような調整、すなわちフォグ画像寄りの画像になるよう調整し、停止しているときは、アルファ値が図16のグラフ103になるような調整を行って、カラー画像寄りの画像にすることが考えられる。これは、プレイヤオブジェクトが移動しているときは、上述したような特殊効果画像を使わなくとも、その動きがあるが故にプレイヤオブジェクトの位置はプレイヤにとって把握しやすい。しかし、プレイヤオブジェクトの移動が停止してしまうと、上記特殊効果画像を使っていない場合、当該プレイヤオブジェクトの位置が分かりにくくなってしまうことから、プレイヤオブジェクトの周囲のカラーを強め、その位置をプレイヤに分かりやすくさせるためである。また、プレイヤオブジェクトの種類に応じて調整させるときは、次のようなことが考えられる。例えば、プレイヤオブジェクトが人間の状態のときは、算出したアルファ値をそのまま用い、狼の状態のときは、アルファ値が図16のグラフ102になるような調整を行って、全体的にフォグ画像寄りの画像にすることが考えられる。このように、ゲームの展開や自然環境の変化等に応じて、アルファ値の特性を調整させることで、ゲームの内容に応じた、より臨場感のあるゲームを提供できる。
【0065】
また、上述した第2のレンダリング処理(図4のステップS5)を行う代わりに、カラー画像を生成する際にZバッファに格納された奥行き値を利用するようにしてもよい。つまり、第1のレンダリング処理で生成したカラー画像に対して、Zバッファの値に応じた所定のフォグ色を当該カラー画像の各画素に加えるようにしてもよい。図17は、第2のレンダリング処理を行わない場合の特殊効果画像生成処理(図4のステップS5の代わりに行われる)の詳細を示すフローチャートである。図17においては、上述のステップS31と同様の処理で第1のレンダリング処理でカラー画像を生成する(ステップS51)。このとき、レンダリングした結果のピクセルの値がフレームバッファに書き込まれるのに加え、ピクセルのZ値(奥行き値)がZバッファに書き込まれる。次に、当該カラー画像の所定の画素(例えば、プレイヤオブジェクトが表示される画素)のZ値を基準値とし、当該基準値と他の画素のZ値との差に応じて、上記図6で示したグラフになるようにフォグ色を加える(ステップS52)。そして、当該フォグ色を加えたカラー画像に上記ステップS33と同様のマスク処理を行う(ステップS53)。このように加工したカラー画像を特殊効果画像とする。これにより、レンダリング処理を2度行う必要がなくなり、処理負荷を軽減することができる。また、このようにフォグ色を加えた画像を、上述の実施形態と同様にフォグ色を加える前のカラー画像と合成することで、フォグ色の境界をぼやかすようにしてもよい。この場合、上述のようにZバッファの値に応じてフォグ色を加える際に、同じくZバッファの値に応じてアルファ値も設定することはいうまでもない。
【0066】
更に、先にステップS52とS53の処理の順番を逆にしてもよい。つまり、上記第1のレンダリング処理でフレームバッファに格納されたカラー画像に対して、上述したステップS53にかかるマスク処理を行う。そして、当該マスク処理後の画像に対して、ステップS52にかかる処理、すなわちZ値に応じたフォグ色を加える処理を行うようにしてもよい。
【0067】
また、上述した実施形態では、フォグ色として同一色を用いていたが、これに限らず、フォグ色として複数の色を用いるようにしてもよい。例えば、上記ステップS32やS52における処理でZ値に応じて加えられるフォグ色を白色にする。一方、上記ステップS33やS53におけるマスク処理で加えられるフォグ色は灰色にする等が考えられる。これにより、仮想ゲーム空間の奥行きと上下左右とのフォグ色のバランスを取ることが可能となり、違和感の少ないゲーム画像を生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態に係るゲームシステムの構成を示す外観図
【図2】図1に示すゲームシステムのブロック図
【図3】メインメモリのメモリマップを示す図
【図4】ゲーム処理のフローチャート
【図5】図4のステップS4にかかる特殊画像生成準備処理の詳細を示すフローチャート
【図6】フォグカラー変化率算出の一例を示すグラフ
【図7】アルファ値設定の一例を示すグラフ
【図8】マスク処理の概要を説明するための図
【図9】プレイヤオブジェクトが人間状態のときのX方向のマスクテーブルの一例
【図10】プレイヤオブジェクトが人間状態のときのY方向のマスクテーブルの一例
【図11】プレイヤオブジェクトが狼状態のときのX方向のマスクテーブルの一例
【図12】プレイヤオブジェクトが狼状態のときのY方向のマスクテーブルの一例
【図13】図4のステップS5にかかる特殊画像生成処理の詳細を示すフローチャート
【図14】図12のステップS33にかかるXYマスク処理の詳細を示すフローチャート
【図15】アルファ値の設定の一例を示すグラフ
【図16】プレイヤオブジェクトの状態等に応じたアルファ値の設定の一例を示すグラフ
【図17】第2のレンダリング処理を行わない場合の特殊画像生成処理の詳細を示すフローチャート
【符号の説明】
【0069】
12 モニタ
14 ゲーム装置
16 光ディスク
18 メモリカード
20 コントローラ
22 CPU
24 GPU
34 メインメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想ゲーム空間を仮想カメラで撮影した画像を単位時間毎に更新して表示するゲーム装置のコンピュータに実行させるゲームプログラムであって、
前記仮想カメラで撮影される仮想ゲーム空間の画像を生成する画像生成ステップと、
前記仮想ゲーム空間内に決められた基準位置から当該ゲーム空間内の他の位置までの、前記仮想カメラの撮影方向に沿った方向の距離の差に応じた割合で、前記画像生成ステップで生成された画像内の前記他の位置に対して第1色を混色する第1混色ステップと、
前記第1混色ステップによって混色された画像内の所定の画素を基準画素とし、当該基準画素から当該混色された画像における各画素までの当該画像上の距離に応じた割合で当該各画素に第2色を混色する第2混色ステップと、
前記第2混色ステップによって処理された画像を出力する出力ステップとを、前記コンピュータに実行させるゲームプログラム。
【請求項2】
仮想ゲーム空間を仮想カメラで撮影した画像を単位時間毎に更新して表示するゲーム装置のコンピュータに実行させるゲームプログラムであって、
前記仮想カメラで撮影される仮想ゲーム空間の画像を生成する画像生成ステップと、
前記画像生成ステップで生成された画像内の所定画素を基準画素とし、当該基準画素から当該生成された画像の各画素までの当該画像上の距離に応じた割合で当該各画素に第3色を混色する第3混色ステップと、
前記仮想ゲーム空間内に決められた基準位置から当該ゲーム空間内の他の位置までの、前記仮想カメラの撮影方向に沿った方向の距離の差に応じた割合で前記第3混色ステップによって混色された画像内の前記他の位置に対して第4色を混色する第4混色ステップと、
前記第4混色ステップによって処理された画像を出力する出力ステップとを、前記コンピュータに実行させるゲームプログラム。
【請求項3】
前記ゲーム空間内の基準位置から前記他の位置までの、仮想カメラの撮影方向に沿った方向の距離の差が小さいほど、各画素に対して混色する色の混色割合が低くされる、請求項1または2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記基準画素は、前記基準位置に対応する画素である、請求項1または2に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記基準位置は、前記仮想ゲーム空間内に存在するプレイヤオブジェクトの位置である、請求項4に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
仮想ゲーム空間の仮想カメラによって撮影して得られたゲーム画像をフレームバッファに記憶するとともに当該ゲーム画像の各画素の奥行き値をZバッファに記憶する処理を行うためのゲーム装置のコンピュータに実行させるゲームプログラムであって、
前記ゲーム画像内の所定画素の奥行き値を基準値とし、当該基準値と他の画素の奥行き値との差に応じた割合で、前記ゲーム画像の各画素に対して第1色を混色する第1混色ステップと、
前記第1混色ステップによって混色されたゲーム画像内の所定画素を基準画素として、当該基準画素から当該混色されたゲーム画像の各画素までの距離に応じた割合で当該各画素に第2色を混色する第2混色ステップと、
前記第2混色ステップによって処理された画像を出力する出力ステップとを、前記コンピュータに実行させるゲームプログラム。
【請求項7】
仮想ゲーム空間の仮想カメラによって撮影して得られたゲーム画像をフレームバッファに記憶するとともに当該ゲーム画像の各画素の奥行き値をZバッファに記憶する処理を行うためのゲーム装置のコンピュータに実行させるゲームプログラムであって、
前記ゲーム画像内の所定画素を基準画素として、当該基準画素から当該混色されたゲーム画像の各画素までの距離に応じた割合で当該各画素に第3色を混色する第3混色ステップと、
前記第3混色ステップによって混色されたゲーム画像内の所定画素の奥行き値を基準値とし、当該基準値と他の画素の奥行き値との差に応じた割合で、前記第3混色ステップによって混色されたゲーム画像の各画素に対して第4色を混色する第4混色ステップと、
前記第4混色ステップによって処理された画像を出力する出力ステップとを、前記コンピュータに実行させるゲームプログラム。
【請求項8】
前記基準値と前記他の画素の奥行き値との差が小さいほど、各画素に対して混色する色の混色割合が低くされる、請求項6または7に記載のゲームプログラム。
【請求項9】
前記基準画素は、前記基準値とする画素である、請求項6または7に記載のゲームプログラム。
【請求項10】
前記基準値とする画素は、前記仮想ゲーム空間内に存在するプレイヤオブジェクトの位置に対応した画素である、請求項9に記載のゲームプログラム。
【請求項11】
前記基準画素から前記各画素までの距離が小さいほど、各画素に対して混色する色の混色割合が低くされる、請求項1または2または6または7に記載のゲームプログラム。
【請求項12】
仮想ゲーム空間を仮想カメラで撮影した画像を単位時間毎に更新して表示するゲーム装置であって、
前記仮想カメラで撮影される仮想ゲーム空間の画像を生成する画像生成部と、
前記仮想ゲーム空間内に決められた基準位置から当該ゲーム空間内の他の位置までの、前記仮想カメラの撮影方向に沿った方向の距離の差に応じた割合で、前記画像生成部で生成された画像内の前記他の位置に対して第1色を混色する第1混色部と、
前記第1混色部によって混色された画像内の所定の画素を基準画素とし、当該基準画素から当該混色された画像における各画素までの当該画像上の距離に応じた割合で当該各画素に第2色を混色する第2混色部と、
前記第2混色部によって処理された画像を画面に出力する出力部を備える、ゲーム装置。
【請求項13】
仮想ゲーム空間を仮想カメラで撮影した画像を単位時間毎に更新して表示するゲーム装置であって、
前記仮想カメラで撮影される仮想ゲーム空間の画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部で生成された画像内の所定画素を基準画素とし、当該基準画素から当該生成された画像の各画素までの当該画像上の距離に応じた割合で当該各画素に第3色を混色する第3混色部と、
前記仮想ゲーム空間内に決められた基準位置から当該ゲーム空間内の他の位置までの、前記仮想カメラの撮影方向に沿った方向の距離の差に応じた割合で前記第3混色部によって混色された画像内の前記他の位置に対して第4色を混色する第4混色部と、
前記第4混色部によって処理された画像を画面に出力する出力部とを備える、ゲーム装置。
【請求項14】
仮想ゲーム空間の仮想カメラによって撮影して得られたゲーム画像をフレームバッファに記憶するとともに当該ゲーム画像の各画素の奥行き値をZバッファに記憶する処理を行うためのゲーム装置であって、
前記ゲーム画像内の所定画素の奥行き値を基準値とし、当該基準値と他の画素の奥行き値との差に応じた割合で、前記ゲーム画像の各画素に対して第1色を混色する第1混色部と、
前記第1混色部によって混色されたゲーム画像内の所定画素を基準画素として、当該基準画素から当該混色されたゲーム画像の各画素までの距離に応じた割合で当該各画素に第2色を混色する第2混色部と、
前記第2混色部によって処理された画像を画面に出力する出力部とを備える、ゲーム装置。
【請求項15】
仮想ゲーム空間の仮想カメラによって撮影して得られたゲーム画像をフレームバッファに記憶するとともに当該ゲーム画像の各画素の奥行き値をZバッファに記憶する処理を行うためのゲーム装置であって、
前記ゲーム画像内の所定画素を基準画素として、当該基準画素から当該混色されたゲーム画像の各画素までの距離に応じた割合で当該各画素に第3色を混色する第3混色部と、
前記第3混色部によって混色されたゲーム画像内の所定画素の奥行き値を基準値とし、当該基準値と他の画素の奥行き値との差に応じた割合で、前記第3混色部によって混色されたゲーム画像の各画素に対して第4色を混色する第4混色部と、
前記第4混色部によって処理された画像を画面に出力する出力部とを備える、ゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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