説明

ゲーム機の施錠装置

【課題】施錠・解錠の優れた機能を維持しつつ、部品点数を削減し、構造を簡単化し、安価に製造することが可能なゲーム機の施錠装置を提供する。
【解決手段】基枠体1の支持板3の上下に1対のラッチ部材5,6が回動可能に枢支される。上下のラッチ部材5,6は、連結杆4により連結される。基枠体1の取付板2にシリンダ錠7がその錠軸を内側に挿入して取り付けられ、錠軸に固定されたカム部材8の近傍の中間支持板30に、係止孔37付き長孔36が長手方向に沿って形成される。カム部材8の近傍の連結杆4に回動係止部材9が回動可能に軸支される。回動係止部材9には係合軸部9bが設けられる一方、係合軸部9bが係止孔37付き長孔36内に移動可能に係合される。中間支持板30と回動係止部材9間にコイルばね11が回動係止部材と連結杆を解錠側に付勢して掛け渡される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンなどのゲーム機の前扉をキャビネットに対し施錠するゲーム機の施錠装置に関し、特に施錠・解錠の優れた機能を維持しつつ、部品点数を少なくし且つ構造を簡単化することができるゲーム機の施錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スロットマシンなどゲーム機の施錠装置として、基枠体の内側に作動杆が摺動可能に配設され、基枠体の支持板の上部と下部に鉤部材が、作動杆に連結されて傾動可能に枢支され、基枠体の取付板の中間部に、シリンダ錠がその錠軸を取付板に設けた孔から内側に差し込むように固定され、錠軸の先端に作動杆と係合するカム部材が取り付けられた構成の施錠装置が使用されている。
【0003】
この種のゲーム機用施錠装置は、構造が強固で、施錠・解錠動作も確実に行うことができるものの、構造上、前面枠の内側に取付けられた施錠装置の鉤部材が前面枠の内側から突出する。このため、前面枠のアッセンブリーを梱包して搬送する場合、その梱包が難しく、突出した鉤部材が搬送中に他の部分に当たって傷つく等の問題があった。
【0004】
そこで、本発明者らは、従来、前面枠の内側から突出する部分がなく、前面枠を本体枠に対し、円滑且つ確実に施錠・解錠することができるゲーム機の施錠装置を提案した(下記の特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−105417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この施錠装置は、取付板と支持板とを有する基枠体の内側に長尺の作動杆が摺動可能に配設され、取付板の中間部にシリンダ錠が固定され、シリンダ錠の錠軸にカム部材が作動杆に係合可能に取り付けられ、基枠体の取付板が前面枠の内側に取り付けられ、本体枠の内側に受け具が取り付けられる。基枠体の支持板の上部と下部に受け具の進入を許容する開口凹部が形成され、開口凹部内の受け具を拘束する溝状のラッチ凹部を有する略半円形状のラッチ部材が上部と下部の開口凹部の近傍に各々回動可能に枢支される。
【0007】
ラッチ部材には係止ピンが移動可能に取り付けられ、支持板に係止ピンの先端が係合しガイドされるガイド係止孔がロック部を有して形成され、作動杆にはその移動時にラッチ部材の係止ピンに係合してロック部によるロックを外すように動作する作動係合部が設けられ、ラッチ部材を解錠側に付勢するばね部材が内蔵される。
【0008】
この施錠装置は、前面枠を閉じて施錠操作を行なったとき、上部と下部のラッチ部材のラッチ凹部に受け具の係止部が嵌入し、その係止部に押されてラッチ部材がラッチ位置に回動した時、ラッチ部材の係止ピンがガイド係止孔からロック部に移動し、ラッチ部材をラッチ位置にロックして施錠する。一方、解錠時にはシリンダ錠の操作によりカム部材を介して作動杆が移動すると、作動杆の作動係合部がロック部によるラッチ部材のロックを外すように動作し、ラッチ部材がばね部材の付勢力により解錠側に回動し、解錠する。
【0009】
しかし、この種の溝状のラッチ凹部を有し、受け具の係止部をラッチ凹部に受け入れながら回動して施錠するラッチ部材を備えた施錠装置は、前面枠の施錠と解錠をスムーズに且つ確実に行なうことができるものの、部品点数が比較的多く、加工工数や組み付け時の組付工数が多くなり、製造コストも高くなる。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑み、施錠・解錠の優れた機能を維持しつつ、部品点数を削減し、構造を簡単化し、安価に製造することが可能なゲーム機の施錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の第1発明の施錠装置は、
略L字状に形成された取付板と支持板とを有する縦長の基枠体の該支持板に沿って、長尺の連結杆が摺動可能に配設され、該取付板にシリンダ錠がその錠軸を該基枠体内に挿入するように取り付けられ、該シリンダ錠の錠軸にカム部材が固定され、溝状のロック凹部を有する1対のラッチ部材が該支持板の上下に受け具の係止部を受け入れて拘束するように回動可能に軸支され、該基枠体の取付板がゲーム機の前扉の内側に取り付けられ、ゲーム機の筐体の内側に該受け具が取り付けられるゲーム機の施錠装置において、
該1対のラッチ部材が連結軸を介して連結杆により連結され、
該カム部材の近傍の該支持板に、係止孔付き長孔が長手方向に沿って形成され、
該カム部材の近傍の該連結杆に回動係止部材が回動可能に軸支され、
該回動係止部材には係合軸部が設けられる一方、該係合軸部が該係止孔付き長孔内に移動可能に係合され、
該支持板と該回動係止部材間にコイルばねが、該回動係止部材と該連結杆を解錠側に付勢して掛け渡され、
該ラッチ部材は該前扉を閉じた際、該受け具の係止部により押し付けられて施錠側に回動し、該連結杆は該回動係止部材と共に施錠側に摺動する一方、該回動係止部材は該係合軸部が該係止孔付き長孔を移動して該係止孔に達したとき該係止孔に係止され、該係合軸部の係止孔への係止によって該回動係止部材と該連結杆が施錠位置にロックされて上下の該ラッチ部材が施錠状態でロックされ、
該シリンダ錠による解錠操作時、該カム部材により該回動係止部材が該コイルばねの付勢力に抗して解錠側に回動させたとき、該係合軸部が該係止孔付き長孔の該係止孔から外れて該長孔に移動し、該コイルばねの付勢力により該連結杆を介して該ラッチ部材が解錠側に回動することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、前扉を閉じて行なう施錠時、ラッチ部材が回動しながらそのロック凹部に受け具を嵌め入れてロックし、解錠時には、回動係止部材の係止を解除し連結杆を介してラッチ部材を開放側に回動させて解錠するという、施錠・解錠の優れた機能を維持しつつ、基枠体、上下のラッチ部材、連結杆、回動係止部材、及び連結杆と回動係止部材を付勢する1本のコイルばねという、少ない部品点数で簡単に施錠装置を構成することができ、製品を安価に製造することができる。
【0013】
請求項2の発明は、上記請求項1の施錠装置において、カム部材近傍の支持板が、中間支持板として他の支持板部分とは切り離し且つ側方にずらして形成され、該中間支持板に前記係止孔付き長孔が長手方向に沿って形成され、前記連結杆及び上下のラッチ部材は該支持板の外側に配置される一方、該連結杆における該回動係止部材が軸支される部分は該中間支持板の内側に配置されたことを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、ラッチ部材の位置を支持板の外側とすることで、前扉の自由端側の隙間から挿入される針金などの不正器具がラッチ部材に到達しにくくすることができる。
【0015】
また、請求項3の発明は、上記請求項2の施錠装置において、シリンダ錠近傍の基枠体の背面側を覆ってカバー体が取り付けられ、中間支持板、回動係止部材、コイルばね、及びカム部材が該カバー体により覆われたことを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、中間支持板、回動係止部材、コイルばね、及びカム部材がカバー体により覆われるので、前扉の自由端側の隙間から挿入される針金などの不正器具による不正解錠を防止することができる。
【0017】
また、請求項4の発明は、上記請求項1の施錠装置において、スイッチ作動杆が基枠体の支持板に沿って配設され、連結杆及びスイッチ作動杆に各々スイッチ作動片が設けられ、スイッチ作動片の移動に応じてオンオフする非接触スイッチが、基枠体に固定されたスイッチ箱内に取り付けられたことを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、スイッチ作動片及び非接触スイッチがスイッチ箱内に収容されるので、施錠装置の輸送途中などに非接触スイッチが他の部材との干渉によって傷つく虞がなく、また不正に非接触スイッチが動作する虞も解消できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のゲーム機の施錠装置によれば、施錠・解錠の優れた機能を維持しつつ、部品点数を削減し、構造を簡単化し、安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例を示す施錠装置の正面図である。
【図2】同施錠装置の斜視図である。
【図3】同施錠装置のカバー体を外した状態の斜視図である。
【図4】同施錠状態の左側面図である。
【図5】同施錠状態の斜視図である。
【図6】同施錠状態の右側面図である。
【図7】同カバー体を外した状態の背面図である。
【図8】施錠装置の分解斜視図である。
【図9】連結杆に回動係止部材を取り付けた状態の斜視図である。
【図10】基枠体に対し連結杆及び回動係止部材を組み付けた状態の斜視図である。
【図11】カバー体を外した状態の、施錠状態の部分拡大右側面図である。
【図12】同施錠状態の部分拡大左側面図である。
【図13】カム部材により回動係止部材が回動し、係合軸部が係止孔から外れた状態の部分拡大左側面図である。
【図14】回動係止部材の回動により係止が外れて回動係止部材と共に連結杆が解錠位置まで移動した状態の部分拡大左側面図である。
【図15】前扉を閉鎖して施錠した状態の左側面図である。
【図16】解錠操作時のカム部材、回動係止部材、及び連結杆の動作を示す説明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1はスロットマシンなどのゲーム機の前扉を筐体に対し施錠する際に使用される施錠装置の正面図を示し、図2は同施錠装置の斜視図を、図3はカバー体14を外した状態の斜視図を示し、図8はその分解斜視図を示している。この施錠装置は、縦長の基枠体1を基本フレームとして構成され、長尺フレーム状の基枠体1は、横断面を略L字状に形成された取付板2と支持板3とから構成される。
【0022】
基枠体1の取付板2は、施錠装置をゲーム機の前扉の内側に取り付けるために縦長の板状に形成され、複数の取付孔が設けられ、取付板2の略中央に幅広部が設けられ、幅広部には、図8に示すように、シリンダ錠7を取り付けるための挿入孔2aが設けられている。シリンダ錠7は、円筒の基部にフランジ7bを有し、そのフランジ7bから背面側に錠軸7aを突設して構成され、シリンダ錠7は、その錠軸7aを基枠体1の内側に入れるように、つまり、円筒を基枠体1の内側から挿入孔2aに挿入し、フランジ7bを取付板2の内側に当ててねじで固定し、取り付けられる。なお、シリンダ錠7はこの例では長尺のものを使用しているが、通常の長さのものを使用することもできる。シリンダ錠7の錠軸7aには、図7、8に示すようにカム部材8が取り付けられ、カム部材8には回動係止部材9の係合部9cに係合可能な第1係合凸部8a、及びスイッチ作動杆10に係合可能な第2係合凸部8bが設けられている。
【0023】
支持板3の中間部の中間支持板30は、図8に示すように、他の支持板3の部分とは切り離され且つ左側に偏倚して形成され、支持板3の外側(正面から見て左側)に沿って連結杆4が摺動可能に配され、連結杆4は中間支持板30の内側(正面から見て右側)を通って配されている。支持板3の上部に背面側に突き出すように突出部3aが形成され、その突出部3aの外側に、上側のラッチ部材5が枢軸5aにより回動可能に枢支される。同様に、支持板3の下部に背面側に突き出すように突出部3bが形成され、その突出部3bの外側に、下側のラッチ部材6が枢軸6aにより回動可能に枢支される。支持板3の突出部3a,3bの上側は、受け具の係止部を進入させるための開口凹部31,32が形成されている(図8、図10)。
【0024】
図8、図13などに示すように、上下に配した1対のラッチ部材5,6は、各々、略半円形状に鋼板を裁断して形成され、ラッチ部材5,6には、各々、受け具の係止部を受け入れて拘束しロックするために、溝状のロック凹部5c、6cが略U字状に形成されている。このようなラッチ部材5,6は、枢軸5a,6aを中心に所定の角度範囲(施錠と解錠の角度範囲)内で回動するように、支持板3の突出部3a,3bの外側に、軸支されている。
【0025】
さらに、ラッチ部材5,6には、各々、係止部5d、6d及び係止部5e,6eが形成される。つまり、図14のように、解錠時にラッチ部材5,6が制限端まで回動したとき、支持板3のストッパ33,34に当接して停止するように、係止部5d、6dがラッチ部材5,6の一部に各々設けられる。また、図13のように、施錠時にラッチ部材5,6が制限端部まで回動したとき、支持板3のストッパ33,34に当接して停止するように、係止部5e、6eがラッチ部材5,6の一部に各々設けられる。
【0026】
ストッパ33,34は、支持板3の上部と下部におけるラッチ部材5,6の近傍に、ラッチ部材5,6の係止部5d、6d及び係止部5e,6eが解錠時または施錠時に当接して停止するように支持板3の外側に突設される。施錠時におけるラッチ部材5,6の停止位置は、図13などに示すように、そのロック凹部5c、6cを真上位置とする状態であり、解錠時におけるラッチ部材5,6の停止位置は、図14に示すように、ロック凹部5c、6cを真上位置(垂直方向)から約50°背面側に回動した状態である。なお、支持板3における上側の突出部3aの下側には、支持ローラ15が回動可能に軸支され、前扉を閉じる際、筐体側に固定される受け具42の滑り板45上に乗り上げ、転動するようになっている。
【0027】
一方、解錠時におけるラッチ部材5,6は、図14に示す如く、それらが連結される連結杆4の上昇により、背面側に回動することにより、受け具42の係止部43,44を保持していたロック凹部5c、6cが背面側を向き、そこから係止部43,44が離脱することで、解錠動作がなされるようになっている。
【0028】
図13などに示すように、上下のラッチ部材5,6は、その略中心部を枢軸5a,6aにより支持板3に対し回動可能に枢支されているが、ラッチ部材5の偏心位置に連結杆4の上端部が連結軸5bにより連結され、ラッチ部材6の偏心位置に連結杆4の下端部が連結軸6bにより連結され、連結杆4の上昇により、ラッチ部材5,6は図14の如く回動して解錠動作し、前扉を閉じて受け具42の係止部43,44がラッチ部材5,6の上部を前方に押し込むことにより、図14の時計方向にラッチ部材5,6が回動し、図15のように施錠状態となる。
【0029】
上下のラッチ部材5,6を連結する連結杆4は、図8、9に示すように、縦長の板状に形成された略中央部を、中間支持板30の内側に沿わせるように、略コ字状に曲げて幅広部4cを形成している。その幅広部4cに、上記カム部材8の第1係合凸部8aが進入する開口部4aが設けられ、その開口部4aの左側つまり中間支持板30側に、回動係止部材9が連結杆4の幅広部4cに、枢軸9aを介して回動可能に枢支される。なお、連結杆4の下部寄りには、図8のように、スイッチ作動片4dが突設され、連結杆4を上昇させて解錠動作させたとき、非接触スイッチ20から解錠信号が出力されるようになっている。
【0030】
回動係止部材9は、図8などに示すように、略L字状に形成され、その略中央部を枢軸9aにより連結杆4の幅広部4cの左側に回動可能に枢支される。回動係止部材9の前部にはカム部材8の第1係合凸部8aが係合するレバー状の係合部9cが形成され、回動係止部材9の下部には係合軸部9bが取り付けられる。
【0031】
回動係止部材9の係合軸部9bは、中間支持板30に設けた係止孔36付き長孔37に、移動可能に係合し、図13に示すように、解錠時に、カム部材8により回動係止部材9が図13の反時計方向に回動したとき、係止孔36から外れて長孔37に入り、その後、コイルばね11のばね力によって連結杆4と共に回動係止部材9が、図14に示すように上昇移動するようになっている。
【0032】
また、前扉を閉じて施錠する施錠時には、1対のラッチ部材5,6が受け具42の係止部43,4に押されて図15の時計方向に回動し、連結杆4がコイルばね11の付勢力に抗して下降したとき、係合軸部9bが(コイルばね11のばね力により回動係止部材9が図13の時計方向に回動して)長孔36から係止孔37に入り、そこに係止され、図12に示すように、連結杆4及びラッチ部材5,6をロックして施錠するようになっている。
【0033】
上述の如く、連結杆4は、基枠体1の内側に上下に摺動可能に配設され、その上端部が連結軸5bを介して上側のラッチ部材5の偏心位置に連結され、連結杆4の下端部は連結軸6bを介して下側のラッチ部材6の偏心位置に連結される。また、連結杆4の中間位置つまりカム部材8に対向した位置に、幅広部4cが略コ字状に曲折して形成され、その幅広部4cの左側に回動係止部材9が枢軸9aを介して回動可能に枢支される。
【0034】
回動係止部材9は、図8などに示すように、略L字状に形成されるが、その背面側にばね掛け部9dが設けられ、ばね掛け部9dと中間支持板30間に、コイルばね11が、回動係止部材9を介して連結杆4を上昇させる(上に引き上げる)ように、掛け渡されている。コイルばね11の付勢力により、施錠していない前扉の開放時には、図14のように、連結杆4が回動係止部材9を介して引き上げられて上昇し、上下のラッチ部材5,6が解錠位置まで回動させた状態とされる。
【0035】
また上記の如く、ゲーム機の前扉41が閉じられ、ゲーム機の筐体40側に取り付けた受け具42の係止部43,44が上下のラッチ部材5,6の上部(ロック凹部の縁部)を押すと、各ラッチ部材5,6は、図14の状態から枢軸5a,6aを軸に時計方向に回動し、図13に示す施錠位置までラッチ部材5,6が回動したとき、回動係止部材9が図13の状態から図12の状態、つまり回動係止部材9の係合軸部9bが中間支持板30の長孔36から係止孔37に進入して係止され、連結杆4及び上下のラッチ部材5,6がロックされ、施錠されるようになっている。
【0036】
図8などに示す如く、連結杆4の幅広部4cの外側(中間支持板30との間)にスイッチ作動杆10が摺動可能に配設される。スイッチ作動杆10は、シリンダ錠7をキーにより反解錠方向に回し、カム部材8を同方向に回したとき、下降動作して、スイッチ箱13内に設けた非接触スイッチ21をオンオフ動作させるようになっている。このために、図8のように、スイッチ作動杆10の下部には、スイッチ作動片10bが突設され、スイッチ作動杆10のカム部材8との対向位置には、係合部10aが設けられ、シリンダ錠7の操作によりカム部材8を反解錠方向に回したとき、カム部材8の第2係合凸部8bがその係合部10aに係合し、スイッチ作動杆10を下降させる構造となっている。
【0037】
また、図8に示す如く、スイッチ作動杆10の上部と下部にはガイド部10cが連結杆4側に突設され、そのガイド部10cが係合するガイド孔4bが連結杆4に設けられ、スイッチ作動杆10はそのガイド部10cを連結杆4のガイド孔4bに係合させ、上下に摺動可能に取り付けられる。また、スイッチ作動杆10にはばね掛け部10dが設けられ、そのばね掛け部10dと中間支持板30との間に、コイルばね12が掛け渡され、スイッチ作動杆10はコイルばね12により上方に付勢される。
【0038】
非接触スイッチ20,21は、基枠体1の略中央部の左側に固定されたスイッチ箱13内に取り付けられ、スイッチ作動杆10及び連結杆4のスイッチ作動片4d、10bもスイッチ箱13内に挿入される。一方の非接触スイッチ20は、連結杆4のスイッチ作動片4dの移動に応じてスイッチングし、解錠時に信号を出力し、他方の非接触スイッチ21は、シリンダ錠7を反解錠側に回し、カム部材8を介してスイッチ作動杆10が下降したとき、リセット信号などを出力するようになっている。このように、スイッチ作動片4d、10b及び非接触スイッチ20,21がスイッチ箱13内に収容されるので、施錠装置の輸送途中などに非接触スイッチ20,21が他の部材との干渉によって傷つく虞がなく、また不正に非接触スイッチ20,21が動作する虞も解消できる。
【0039】
さらに、図2、図8などに示すように、シリンダ錠7近傍の基枠体1の背面側を覆ってカバー体14が取り付けられる。このカバー体14は、中間支持板30、回動係止部材9、コイルばね11,12、及びカム部材8を完全に覆うように、取り付けられ、これにより、前扉41の自由端側の隙間から針金などの不正器具が挿入された場合でも、中間支持板30、回動係止部材9、コイルばね11,12、及びカム部材8に、その不正器具が触れないようにし、不正解錠を防止するようになっている。
【0040】
次に、上記構成の施錠装置の動作を説明する。施錠装置は、図15に示すように、ゲーム機の前扉41の内側の自由端側(向かって右側)に、取付板2を介して縦に固定され、筐体40内の対向位置(右側壁部内面)に縦長の受け具42が取り付けられる。
【0041】
図14,15に示す如く、受け具42は帯板状の取付板の上部寄りと下部寄りに、軸ピン状の係止部43,44を水平横方向に突設し、さらに、係止部43の下方の上記支持ローラ15に対応する位置に、滑り板45を取り付けて形成され、このような受け具42は筐体40の内壁面に縦に固定される。施錠装置は、前扉41の内側に縦に取り付けられ、且つシリンダ錠7の鍵口が前扉41の前面に露出するように取り付けられる。
【0042】
解錠した状態の施錠装置は、図14のように、回動係止部材9の係合軸部9bが係止孔付き長孔63の上端にあり、連結杆4がコイルばね11の付勢力により上方に移動した状態であって、上下のラッチ部材5,6はそのロック凹部5c、6cを垂直方向に対し約50°背面側に傾斜させ、開放した状態となる。
【0043】
この状態で、前扉41を筐体40に対し閉じると、受け具42の上下の係止部43,44が、ラッチ部材5,6のロック凹部5c、6cの縁部を押し込むように作用し、図15の時計方向にラッチ部材5,6が回動する。これに伴い、各ラッチ部材5,6は、枢軸5a,6aを中心に図13,14の時計方向に回動し、連結杆4がコイルばね11の付勢力に抗して下降する。このとき、図13に示す施錠位置までラッチ部材5,6が回動し、連結杆4が下降すると、回動係止部材9が図13の状態から図12の状態、つまり回動係止部材9の係合軸部9bがコイルばね11のばね力によって、中間支持板30の長孔36から係止孔37の入口まで進み、このとき、回動係止部材9がばね力によって図13の時計方向に僅かに回動して、図12の状態となり、連結杆4及び上下のラッチ部材5,6が施錠位置でロックされ、受け具42の係止部43,44がラッチ部材5,6のロック凹部5c、6c内に拘束され、図15に示すような施錠状態となる。
【0044】
一方、前扉41を解錠する場合、シリンダ錠7に鍵を挿入しその鍵を右に回すと、カム部材8が同方向に回動し、カム部材8の第1係合凸部8aが図16に示すように、回動係止部材9の係合部9cに係合し、このとき、回動係止部材9はカム部材8の第1係合凸部8aに押されて、その枢軸9aを中心に図13の反時計方向に僅かに回動し、図13に示す位置まで回動係止部材9の係合軸部9bが移動する。このとき、係止孔37の係止されていた係合軸部9bはその係止を外され、回動係止部材9はコイルばね11の付勢力により連結杆4と共に上昇し、連結杆4の上昇に伴い、上下のラッチ部材5,6は、図14に示すように、反時計方向に回動し、そのロック凹部5c、6cが背面側に開放され、これにより、受け具42の係止部43,44が拘束を解除され、解錠状態となる。
【0045】
このように、解錠操作する際、シリンダ錠7を回動操作してカム部材8を回すと、回動係止部材9の係合軸部9bの係止が解除され、その後、コイルばね11の付勢力により連結杆4が上昇してラッチ部材5,6が解錠方向に回動するため、シリンダ錠7の僅かな回動操作のみで、回動係止部材9を回動させて解錠操作を簡単に且つスムーズに行なうことができる。また、前扉41を閉じて施錠する際には、1本のコイルばね11の付勢力に抗して上下のラッチ部材5,6を回動させればよく、コイルばね11のばね力は比較的小さくすることができるため、前扉41を閉じる際も、容易に施錠することができる。
【0046】
なお、上記実施形態では、ラッチ部材5,6を支持板3の外側に取り付けたが、上下のラッチ部材を支持板3の内側(基枠体1の内側)に枢軸を介して枢支し、中間支持板とその上下の支持板は一体とし、連結杆をその支持板の内側に摺動可能に配設する構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0047】
1 基枠体
2 取付板
3 支持板
4 連結杆
5 ラッチ部材
5a 枢軸
5b 連結軸
5c ロック凹部
5d 係止部
5e 係止部
6 ラッチ部材
6a 枢軸
6b 連結軸
6c ロック凹部
7 シリンダ錠
7a 錠軸
8 カム部材
9 回動係止部材
9a 枢軸
9b 係合軸部
9c 係合部
30 中間支持板
31 開口凹部
33 ストッパ
34 ストッパ
36 長孔
37 係止孔
40 筐体
41 前扉
42 受け具
43 係止部
44 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略L字状に形成された取付板と支持板とを有する縦長の基枠体の該支持板に沿って、長尺の連結杆が摺動可能に配設され、該取付板にシリンダ錠がその錠軸を該基枠体内に挿入するように取り付けられ、該シリンダ錠の錠軸にカム部材が固定され、溝状のロック凹部を有する1対のラッチ部材が該支持板の上下に受け具の係止部を受け入れて拘束するように回動可能に軸支され、該基枠体の取付板がゲーム機の前扉の内側に取り付けられ、ゲーム機の筐体の内側に該受け具が取り付けられるゲーム機の施錠装置において、
該1対のラッチ部材が連結軸を介して連結杆により連結され、
該カム部材の近傍の該支持板に、係止孔付き長孔が長手方向に沿って形成され、
該カム部材の近傍の該連結杆に回動係止部材が回動可能に軸支され、
該回動係止部材には係合軸部が設けられる一方、該係合軸部が該係止孔付き長孔内に移動可能に係合され、
該支持板と該回動係止部材間にコイルばねが、該回動係止部材と該連結杆を解錠側に付勢して掛け渡され、
該ラッチ部材は該前扉を閉じた際、該受け具の係止部により押し付けられて施錠側に回動し、該連結杆は該回動係止部材と共に施錠側に摺動する一方、該回動係止部材は該係合軸部が該係止孔付き長孔を移動して該係止孔に達したとき該係止孔に係止され、該係合軸部の係止孔への係止によって該回動係止部材と該連結杆が施錠位置にロックされて上下の該ラッチ部材が施錠状態でロックされ、
該シリンダ錠による解錠操作時、該カム部材により該回動係止部材が該コイルばねの付勢力に抗して解錠側に回動させたとき、該係合軸部が該係止孔付き長孔の該係止孔から外れて該長孔に移動し、該コイルばねの付勢力により該連結杆を介して該ラッチ部材が解錠側に回動することを特徴とするゲーム機の施錠装置。
【請求項2】
前記カム部材近傍の支持板は、中間支持板として他の支持板部分とは切り離し且つ側方にずらして形成され、該中間支持板に前記係止孔付き長孔が長手方向に沿って形成され、前記連結杆及び上下のラッチ部材は該支持板の外側に配置される一方、該連結杆における該回動係止部材が軸支される部分は該中間支持板の内側に配置されたことを特徴とする請求項1記載のゲーム機の施錠装置。
【請求項3】
前記シリンダ錠近傍の前記基枠体の背面側を覆ってカバー体が取り付けられ、前記中間支持板、前記回動係止部材、前記コイルばね、及びカム部材が該カバー体により覆われたことを特徴とする請求項2記載のゲーム機の施錠装置。
【請求項4】
スイッチ作動杆が前記基枠体の支持板に沿って配設され、前記連結杆及び該スイッチ作動杆に各々スイッチ作動片が設けられ、該スイッチ作動片の移動に応じてオンオフする非接触スイッチが、該基枠体に固定されたスイッチ箱内に取り付けられたことを特徴とする請求項1記載のゲーム機の施錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−254851(P2011−254851A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129136(P2010−129136)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(591016138)中東産業株式会社 (47)
【Fターム(参考)】