説明

ゲーム機用外筐

【課題】樹脂材料を使用し、製品強度を本外枠にかかる保管・運搬および設置時の総荷重に十分耐え得る程度に設定しつつ、組み付け工数の削減および軽量化を実現でき、しかも極めて容易なリサイクル使用を可能とすることにより、省資源化を推進する環境に優しいゲーム機用外筐を提供する。
【解決手段】正面開口を囲む上面板14、左右の側面板12,13、背面板11、それに底面板15を、それぞれ基板21の外壁面側に複数のリブ22を互いに交叉する方向に並べて間をすかして設け、該リブ22で仕切られた各区画が凹部23となる樹脂製面板20によって構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンやパチンコ機等のゲーム機を組み込むために正面が開口し、この正面開口を囲むように左右、上下、および背面に配置される複数の面板より成る実質的に箱型のゲーム機用外筐に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のゲーム機用外筐としては、例えば、スロットマシンでは、その外筐は合板材を用いた木工製品を使用していた。しかしながら、森林資源の保護が求められていること、および木工製品である従来の外筐では保管や運搬に大きなスペースを必要とするため、流通経費が高くつくこと等の問題が指摘されていた。これらの課題への対応として、特許第2935702号公報に開示された技術等が既に提案されている。
【0003】
かかる技術は、ゲーム機を組み込む正面が開放された実質的に箱型の外筐であって、ゲーム機を組み込む正面を囲むように配置される複数の樹脂製の面板と、正面に相対する背面板とを有し、各面板のうち少なくとも一部のものは凹部を内面に有しており、複数の面板は背面板の左右および上下に折り畳み可能に軸支され、かつ複数の面板は互いに嵌り合う嵌合構造を持っており、組み立て時に、複数の面板と背面板とを結合子を用いて分解可能に結合したことを特徴とするゲーム機用組み立て外筐に関するものである。
【0004】
【特許文献1】特許第2935702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、最近では、部品メーカーにおいて組み立てに関わる部品点数の削減や、組み付け工数の削減による更なる低コスト化が求められている。また、製品メーカーにおいては、製品の組み付け工数の削減のため、部品メーカーに対してモジュール化等が要請されていた。
【0006】
ここで前述した特許公報に開示された技術では、本外筐を製品メーカーであるパチスロメーカーにおいて組み立てた上で、更に関連部品を組み付けるものであるが、本外筐だけに関しても、各面板同士の結合に金属製の補強枠や結合子として止めねじを用いるなど部品点数が多く、組み付け工数も過大となり、コストアップを招くという問題があった。
【0007】
また、木工製品から樹脂製品に変更することによって、森林の伐採による自然環境の保全、安定供給は解決され、また、リサイクル可能な材料となるが、リサイクル利用の際に、各面板同士を結合している金属製の補強枠や止めねじを逐一取り除く作業が非常に面倒であるため、かかるリサイクル利用に際しても、コストアップを招くという問題があった。
【0008】
しかも、更なる樹脂材料の効率的使用による省資源化、軽量化には十分対応できないという問題もあった。すなわち、前記特許公報に開示された技術では、外筐に関して十分な製品強度を達成するために各面板の肉厚を厚くするなど多くの材料の使用が必要であった。また、組み立て後における各面板同士の結合強度を高める上での特別な工夫も必要であった。
【0009】
本発明は、以上のような従来技術が有する問題点に着目してなされたもので、その課題は、樹脂材料を使用し、製品強度を本外枠にかかる保管・運搬および設置時の総荷重に十分耐え得る程度に設定しつつ、組み付け工数の削減および軽量化を実現でき、しかも極めて容易なリサイクル使用を可能とすることにより、省資源化を推進する環境に優しいゲーム機用外筐を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]ゲーム機(1)を組み込むために正面が開口し、正面開口を囲むように左右、上下、および背面に配置される樹脂製の複数の面板(11〜15)より成る実質的に箱型のゲーム機用外筐(10)において、
前記複数の面板(11〜15)のうち、少なくとも上面板(14)、左右の側面板(12,13)、および背面板(11)を、それぞれ基板(21)の外壁面側に複数のリブ(22)を互いに交叉する方向に並べて間をすかして設け、該リブ(22)で仕切られた各区画が凹部(23)となる面板(20)によって構成すると共に、各面板(11〜15)を互いに箱形に結合した状態に一体成形し、
前記左右の側面板(12,13)は、それぞれ縦方向に延びる長方形状の主要部(121)と、該主要部(121)の一端側に連なり正面開口に沿って延びる前端縁部(122)とに区画され、
前記前端縁部(122)の外壁面は、前記リブ(22)が露出しない滑面として形成し、かつ前記前端縁部(122)は、当該部位のみ基板(21)の内壁面側にリブ(22)を一体成形した構造とし、
前記主要部(121)と前記前端縁部(122)との境目を、主要部(121)の基板(21)が前端縁部(122)の基板(21)より内側となる段部(125)として形成し、主要部(121)と前端縁部(122)とで、表裏の基準面となる基板(21)の滑面およびリブ(22)の上端面が同一平面上に連なるように設定し、
前記左右の側面板(12,13)におけるリブ(22)の厚さを、前記背面板(11)におけるリブ(22)の厚さよりも2倍以上に大きく設定したことを特徴とするゲーム機用外筐。
【0011】
[2]前記複数の面板(11〜15)のうち底面板(15)も、基板(21)の外壁面側に複数のリブ(22)を互いに交叉する方向に並べて間をすかして設け、かつ底面板(15)の対角線上に沿って前記リブ(22)とは別に一対の特別リブ(140)を互いに中央で交叉させて設け、リブ(22)および特別リブ(140)で仕切られた各区画が凹部(23)となる面板(20)によって構成し、特別リブ(140)の厚さはリブ(22)と同一とし、特別リブ(140)の幅はリブ(22)よりも大きく設定したことを特徴とする[1]記載のゲーム機用外筐(10)。
【0012】
[3]前記左右の側面板(12,13)および背面板(11)の各内側に、所望の高さ位置で棚板(16)を略水平な状態に保持するための嵌合構造を有し、該嵌合構造を少なくとも前記左右の側面板(12,13)に孔部(124)を開設しない構造とし、
前記左右の側面板(12,13)および背面板(11)の各内側に、前記棚板(16)の両側端縁および後端縁を受けるように前記各内側に亘り所定幅で連なるように延出する支持リブ(25)を前記リブ(22)とは別に設け、該支持リブ(25)上に嵌合凸部(26)と被嵌合凹部(27)とを交互に並設して、前記嵌合構造を形成し、
前記棚板(16)の両側端縁および後端縁に、前記支持リブ(25)上で前記嵌合凸部(26)および前記被嵌合凹部(27)に対して互いに端面同士が密着して嵌り合う同様の嵌合凸部(28)と被嵌合凹部(29)とを交互に並設したことを特徴とする[1]または[2]記載のゲーム機用外筐(10)。
【0013】
[4]前記棚板(16)は、基板(21)の下面側に複数のリブ(22)を縦方向および横方向に平行に並ぶ格子状に設けて成り、前記各側面板(12,13)と同様にリブ(22)で仕切られた各区画が凹部(23)となり、
前記棚板(16)は、その基板(21)の厚さよりも、リブ(22)の厚さおよび幅を大きく設定すると共に、該棚板(16)に、部品配置用の孔部(124c,124d)を開設し、該孔部(124c,124d)の周囲に、孔部(124c,124d)内縁をフランジ状に囲むリブ(24)を設けたことを特徴とする[3]に記載のゲーム機用外筐(10)。
【0014】
次に前述した解決手段に基づく作用を説明する。
ゲーム機用外筐(10)を一般のスロットマシン(1)に用いた場合、関連部品を組み込んだゲーム機(1)全体の重量が1台当たり約50kg程度になるが、ゲーム機(1)の保管や運搬時に、例えば6個単位で上下にパレットを介して積み重ねると、載置状態や高さのバラツキにより、最大6個分の総荷重(300kg)が1台のゲーム機(1)にかかるおそれがある。
【0015】
そこで、ゲーム機用外筐(10)の主要部を成す上面板(14)、左右の側面板(12,13)、および背面板(11)を、それぞれ基板(21)の外壁面側に複数のリブ(22)を互いに交叉する方向に並べて間をすかして設け、該リブ(22)で仕切られた各区画が凹部(23)となる面板(20)によって構成し、各面板(11〜15)における基板(21)の厚さやリブ(22)の本数や配置、それに個々のリブ(22)の厚さや幅等を、前述した総荷重に耐え得るように設定する。
【0016】
このように、基板(21)の外壁面側に複数のリブ(22)と凹部(23)を有する面板(20)を用いることにより、従来の外筐のように各面板(11〜15)の内面に凹部(23)を有するものに比較して、さらに十分な強度および剛性を確保しつつ、十分に軽量化することも可能となる。それにより、樹脂材料をより効率的に使用することが可能となり、省資源化の要請にもより十分に応じることができる。
【0017】
前記面板(20)における基板(21)および複数のリブ(22)を樹脂材料より一体成形すれば、基板(21)の厚さやリブ(22)の配置や本数、それに個々のリブ(22)の厚さや幅等を任意に設定したものを容易に製造することができる。さらに、複数の面板(11〜15)を互いに箱形に結合した状態に一体成形することにより、各面板(11〜15)を後から補強枠や結合子等で組み合わせる手間が省けて、部品点数や組み付け工数も削減され、しかもリサイクル時における樹脂と金属との分別作業も不要となる。
【0018】
また、前記面板(20)における基板(21)上のリブ(22)の配置であるが、具体的には例えば、基板(21)の縦方向および横方向に平行に並ぶ略格子状にリブ(22)を配置したり、あるいは基板(21)の縦方向および横方向に対して斜めに交わる方向に並ぶ略格子状にリブ(22)を配置してもよい。後者の方が、段積み強度およびねじれ強度ともに高いことが実験データにより明らかになっている。
【0019】
また、前記左右の側面板(12,13)を、それぞれ縦方向に延びる長方形状の主要部(121)と、該主要部(121)の一端側に連なり正面開口に沿って延びる前端縁部(122)とに区画して、前端縁側(122)の外壁面を、前記リブ(22)が露出しない滑面として形成すれば、スロットマシン(1)として遊技場に設置した際に、外部に露出する部位の外観品質を向上させることができ、露出したリブ(22)を隠蔽するようにカバーを別途設ける必要はない。
【0020】
ここで具体的な構成として、左右の側面板(12,13)のうち正面開口に沿って延びる前端縁側(122)を、当該部位のみ基板(21)の内壁面側にリブ(22)を一体成形する構造とすることにより、かかる前端縁側(122)の外面を滑らかな平面とすることができ、重量増加を招くことなく必要な強度も確保することができる。
【0021】
また、前記主要部(121)と前記前端縁部(122)との境目を、主要部(121)の基板(21)が前端縁部(122)の基板(21)より内側となる段部(125)として形成し、主要部(121)と前端縁部(122)とで、表裏の基準面となる基板(21)の滑面およびリブ(22)の上端面が同一平面上に連なるように設定する。
【0022】
また、荷重のかかる度合いに応じて、複数の面板(11〜15)における基板(21)の厚さやリブ(22)の配置や本数、それに個々のリブ(22)の厚さや幅等を異なるように設定してもよい。具体的には、特に荷重の集中する左右の側面板(12,13)における基板(21)上のリブ(22)の厚さを、背面板(11)における基板(21)上のリブ(22)の厚さよりも2倍以上に大きく設定することで、なるべく重量を抑えつつ全体的な強度を高めること等が考えられる。
【0023】
更に、複数の面板(11〜15)のうち底面板(15)も、基板(21)の外壁面側に複数のリブ(22)を互いに交叉する方向に並べて間をすかして設け、かつ底面板(15)の対角線上に沿って前記リブ(22)とは別に特別リブ(140)を互いに中央で交叉させて設け、リブ(22)および特別リブ(140)で仕切られた各区画が凹部(23)となる面板(20)によって構成すると、特別リブ(140)によっていっそうとねじれ強度が高められる。ここで、特別リブ(140)の厚さはリブ(22)と同一とし、特別リブ(140)の幅はリブ(22)よりも大きく設定することで、なおさら強度を高めることができる。
【0024】
更にまた、左右の側面板(12,13)および背面板(11)の各内側に、所望の高さ位置で棚板(16)を略水平な状態に保持するための嵌合構造を設けることにより、棚板(16)を位置ずれしないように強固に取り付けることができる。しかも、棚板(16)は箱状内部空間を実質的に上下2空間に区画する隔壁を成すので、外筐全体のねじれ強度を格段に高めることができる。かかる嵌合構造は、少なくとも左右の側面板(12,13)に孔部(124)を開設しない構造であるため、余計な孔部(124)の開設による強度の低下を防止することができる。
【0025】
前記嵌合構造は、具体的には、左右の側面板(12,13)および背面板(11)の各内側に、前記棚板(16)の両側端縁および後端縁を受けるように前記各内側に亘り所定幅で連なるように延出する支持リブ(25)を前記リブ(22)とは別に設け、該支持リブ(25)上に嵌合凸部(26)と被嵌合凹部(27)とを交互に並設して形成する。
【0026】
一方、保持される側の棚板(16)の両側端縁および後端縁にも、前記支持リブ(25)上で前記嵌合凸部(26)および前記被嵌合凹部(27)に対して嵌り合う同様の嵌合凸部(28)と被嵌合凹部(29)とを交互に並設する。これにより、それぞれナックル状に組み合わされる嵌合凸部(26,28)および被嵌合凹部(27,29)の嵌合により、棚板(16)を簡易かつ強固に結合させることが可能となる。特に、嵌合凸部(26,28)および被嵌合凹部(27,29)の端面同士が密着して嵌り合うことで、相当な荷重に耐え得る十分な強度を確保することができる。
【0027】
また、棚板(16)も、基板(21)の下面側に複数のリブ(22)を縦方向および横方向に平行に並ぶ格子状に設けて成り、前記各側面板と同様にリブ(22)で仕切られた各区画が凹部(23)となる面板(20)によって構成することにより、十分な強度および剛性を確保しつつ、十分に軽量化することも可能となる。
【0028】
ここで棚板(16)は、その基板(21)の厚さよりも、リブ(22)の厚さおよび幅を大きく設定することにより、棚板(16)上に配設する関連部品により受け得る垂直荷重を十分に支えられると共に、ゲーム機用外筐(10)全体にかかるねじれ荷重に十分に耐え得る強度を得ることが可能となり、棚板(16)自体の最大変形量や最大応力を極力抑えることができる。
【0029】
更にまた、棚板(16)に、部品配置用の孔部(124c,124d)を開設することにより、スロットマシン(1)を構成する関連部品(6a,6b,6c)を棚板(16)上に容易に位置決めして配設することができる。ここで孔部(124c,124d)の周囲に、孔部(124c,124d)内縁をフランジ状に囲むリブ(24)を設けるから、孔部(124)周囲における局所的な強度の低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るゲーム機用外筐によれば、正面開口を囲む複数の面板のうち、少なくとも上面板、左右の側面板、および背面板を、それぞれ基板の外壁面側に複数のリブを互いに交叉する方向に並べて間をすかして設け、該リブで仕切られた各区画が凹部となる面板によって構成することにより、製品強度を本外枠にかかる総荷重に十分耐え得る程度に設定しつつ、組み付け工数の削減および軽量化を実現でき、しかも極めて容易なリサイクル使用を可能とすることにより、省資源化を推進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面に基づき本発明を代表する各種実施の形態を説明する。
図1〜図9は本発明の第1実施の形態を示している。
本実施の形態に係るゲーム機用外筐10は、ゲーム機を組み込むために正面が開口し、正面開口を囲むように左右、上下、および背面に配置される樹脂製の複数の面板11〜15より成る実質的に箱型のものである。以下、ゲーム機として、図6および図7に示すスロットマシン1を構成する場合を例に説明する。
【0032】
図1および図2に示すように、ゲーム機用外筐10は6面体であり、開口した正面を囲む複数の面板11〜15として、正面に相対向する背面板11と、右側面板12と、左側面板13と、上面板14と、底面板15とを有し、これら5枚の面板11〜15から基本的な枠組が構成されている。
【0033】
各面板11〜15は、スロットマシン1の組み付け上、通常予想される負荷荷重に十分に耐えられる剛性を備える合成樹脂材によって形成される。各面板11〜15は、それぞれ基板21の外壁面側に複数のリブ22を互いに交叉する方向に並べて設けた樹脂製面板20によって構成される。
【0034】
樹脂製面板20は、樹脂材料からパネル状に成形されたものであり、図4に一部断面を示すように、所定の厚さの基板21の外壁面側に複数のリブ22を互いに交叉する方向、詳しくは基板21の縦方向および横方向に平行に並べて間をすかして設けて成り、リブ22で仕切られた各区画が凹部23となるものである。
【0035】
樹脂製面板20における基板21および複数のリブ22は樹脂材料より一体成形されており、さらに各面板11〜15は、最初から互いに箱形に結合した状態に一体成形される。このようなゲーム機用外筐10の各面板11〜15は、具体的にはガスアシスト成形または発泡成形によって形成される。なお、樹脂材料にはポリスチレン等を用いるとよい。
【0036】
図1に示すように、右側面板12と左側面板13は互いに対称形であり、それぞれ縦方向に延びる長方形状の主要部121と、該主要部121の一端側に連なり正面開口に沿って縦長台形状に延びる前端縁部122とに区画されている。主要部121の略中央には、上半部と下半部とを略二分する中央帯部123があり、該中央帯部123を除く主要部121の上半部と下半部には、基板21の外壁面側に複数のリブ22が縦方向および横方向に平行に並ぶ格子状に配置されている。
【0037】
各側面板12,13の主要部121における基板21の厚さやリブ22の本数や配置、それに個々のリブ22の厚さや幅等は、ゲーム機用外筐10全体にかかる総荷重に耐え得るように設定されている。ここで総荷重とは、ゲーム機用外筐10の底面板15を拘束した状態において、上面板14に垂直方向にかかる段積み荷重のうち予め想定した予想最大値、あるいはゲーム機用外筐10の正面開口の上端一端側に正面からかかるねじれ荷重のうち予め想定した予想最大値が相当する。
【0038】
前記総荷重のうち段積み荷重の予想最大値は2940N(300kgf)、ねじれ荷重の予想最大値は294N(30kgf)にそれぞれ想定される。かかる総荷重に耐え得るように、具体的には例えば、各側面板12,13の主要部121における基板21の厚さは4.0mmで、リブ22の本数や配置は図1に示すような態様とし、図4に示すように個々のリブ22の厚さは11.0mmで幅は4.0mmに設定するとよい。
【0039】
ここでリブ22の厚さとは、基板21の外壁面上に略垂直に突出するリブ22の高さと同義であり、リブ22の幅とは、リブ22の長手方向に対して垂直に交叉する方向における肉厚と同義である。各側面板12,13全体の寸法は、例えば、厚さ(基板21の厚さ+リブ22の厚さ)が15.0mmで、上辺の長さが202mm、下辺の長さが300mm、縦方向の長さが810mmとする。
【0040】
主要部121の上半部には、放熱用あるいは取手用として孔部124aが開設されており、該孔部124aの周囲に沿って、その内縁をフランジ状に囲むようにリブ24が設けられている。また、主要部121の下半部にも、同様に孔部124bが開設されており、該孔部124bの周囲にもリブ24が設けられている。
【0041】
各側面板12,13における前端縁部122の外壁面は、前記リブ22が基板21の外壁面側に露出しない滑面として形成されている。すなわち、前端縁部122は、当該部位のみ前記主要部121とは異なり、基板21の内壁面側に横方向に延びるリブ22が上下に並ぶよう一体成形されている。ここで主要部121と前端縁部122との境目は、図4に示すように段部125として形成されており、主要部121と前端縁部122とで、表裏の基準面(基板21の滑面またはリブ22の上端面)が同一平面上に連なるように設定されている。
【0042】
また、図2に示すように、各側面板12,13の内側における略中央の高さ付近(前記中央帯部123の内壁面側)には、当該位置に棚板16を略水平な状態に保持するための嵌合構造が設けられている。かかる嵌合構造は、各側面板12,13に孔部を開設しない構造となっている。なお、中央帯部123の外壁面側に見える左右一対の窪み26aは、次述する嵌合凸部26を突出させるための金型キャビティ(入れ子)の挿入跡であり、樹脂製面板20の表裏面に貫通する孔部ではない。
【0043】
詳しく言えば嵌合構造は、左右の側面板12,13および後述する背面板11の各内側に、棚板16の両側端縁および後端縁を受けるように前記各内側に亘り所定幅で延出する支持リブ25を設け、該支持リブ25上に嵌合凸部26と被嵌合凹部27とを交互に並設して成る。棚板16の両側端縁および後端縁には、前記支持リブ25上で前記嵌合凸部26および前記被嵌合凹部27に対して互いに端面同士が密着して嵌り合う同様の嵌合凸部28と被嵌合凹部29とが交互に並設されている。
【0044】
図5に示すように棚板16は、所定の厚さの基板21の下面側に複数のリブ22を縦方向および横方向に平行に並ぶ格子状に設けて成り、前記各側面板12,13と同様に、リブ22で仕切られた各区画が凹部23となっている。棚板16における基板21の厚さやリブ22の本数や配置、それに個々のリブ22の厚さや幅等は、該棚板16上に配設する関連部品により受け得る垂直荷重(例えば49N(5kgf))を十分に支えられる強度を持ち、しかもゲーム機用外筐10全体にかかるねじれ荷重に十分に耐え得る程度に設定するとよい。
【0045】
具体的には例えば、棚板16における基板21の厚さは2.0mmで、リブ22の本数や配置は図5に示すような態様とし、個々のリブ22の厚さ(高さ)は16.0mmで幅は6.0mmに設定するとよい。概して棚板16では、基板21の厚さよりも、リブ22の厚さや幅を大きく設定すれば、棚板16自体の最大変形量や最大応力を極力抑えることが可能となる。棚板16全体の寸法は、例えば、厚さ(基板21の厚さ+リブ22の厚さ)が18.0mmで、長辺の長さが440mm、短辺の長さが152mmとする。
【0046】
棚板16上には、後述するがスロットマシン1を構成する関連部品としてドラム6a,6b,6c(図7参照)等が配設されるが、その適所には部品配置用の孔部124c,124dが開設されている。かかる各孔部124c,124dの周囲にも、前記孔部124a,124bの場合と同様に孔部内縁をフランジ状に囲むリブ24が設けられている。なお、前述したが棚板16の両側端縁と後端縁には、それぞれ前記嵌合構造に対して嵌り合う嵌合凸部28と被嵌合凹部29とが交互に並設されている。
【0047】
ゲーム機用外筐10内において前記棚板16を保持する高さ位置は、各スロットマシンメーカーにより微妙に異なるものである。従って、棚板16を保持する前記嵌合構造の位置を変更可能とするために、ゲーム機用外筐10全体を一体成形するにあたり、例えば、前記嵌合構造の支持リブ25、嵌合凸部26および被嵌合凹部27に対応する部位を含む一定面積部分の金型キャビティ(入れ子)を入れ替え可能な金型を用いるとよい。
【0048】
図4に一部断面を示すように背面板11は、前記各側面板12,13と同様に、所定の厚さの基板21の外壁面側に複数のリブ22を縦方向および横方向に平行に並ぶ格子状に設けた樹脂製面板20によって構成されている。背面板11における基板21の厚さやリブ22の本数や配置、それに個々のリブ22の厚さや幅等は、ゲーム機用外筐10全体にかかる前述した総荷重に耐え得るように設定されている。
【0049】
具体的には例えば、背面板11における基板21の厚さは4.0mmで、リブ22の本数や配置は図4に示すような間隔で縦横に並ぶ格子状となる態様とし、個々のリブ22の厚さ(高さ)は5.0mmで幅も5.0mmに設定するとよい。ここで前記左右の側面板12,13におけるリブ22の厚さ(11.0mm)の方が、背面板11におけるリブの厚さ(5.0mm)よりも2倍以上に大きく設定されている。背面板11全体の寸法は、厚さ(基板21の厚さ+リブ22の厚さ)が9.0mmで、縦方向の長さが810mm、横方向の長さが475mmとする。
【0050】
図3に示すように、背面板11の随所には、必要に応じて各孔部124e〜124hが開設されているが、これらの孔部124e〜124hの周囲にも、前記各孔部124a〜124dと同様に孔部内縁をフランジ状に囲むリブ24が図示省略したが設けられている。なお、前述したが背面板11の内側における略中央の高さ付近には、前述した嵌合構造を構成する支持リブ25や嵌合凸部26および被嵌合凹部27が、前記各側面板12,13のそれらと連なるように設けられている。
【0051】
図1に示すように上面板14も、前記各面板11〜13と同様に、所定の厚さの基板21の外壁面側に複数のリブ22を縦方向および横方向に平行に並ぶ格子状に設けた樹脂製面板20によって構成されている。上面板14における基板21の厚さやリブ22の本数や配置、それに個々のリブ22の厚さや幅等は、ゲーム機用外筐10全体にかかる前述した総荷重に耐え得るように設定されている。
【0052】
具体的には例えば、上面板14における基板21の厚さは4.0mmで、リブ22の本数や配置は図1に示すような間隔で縦横に並ぶ格子状となる態様とし、個々のリブ22の厚さ(高さ)は14.0mmで幅は4.0mmに設定するとよい。上面板14全体の寸法は、厚さ(基板21の厚さ+リブ22の厚さ)が18.0mmで、奥行方向の長さが202mm、横方向の長さが475mmとする。
【0053】
また、上面板14の随所にも、必要に応じて複数の孔部124i〜124mが前後に一対ずつ並ぶように開設されているが、これらの孔部124i〜124mの周囲にも、前記各孔部124a〜124hの場合と同様に孔部内縁をフランジ状に囲むリブ24が設けられている。
【0054】
図1に示す底面板15も、前記各面板11〜14と同様に樹脂製面板20によって構成されている。底面板15における基板21の厚さやリブ22(図示せず)の本数や配置、それに個々のリブ22の厚さや幅等は、スロットマシン1の関連部品であるメダルホッパ7等の重量物を設置するのに必要な強度を持ち、ゲーム機用外筐10全体にかかる前述した総荷重に耐え得るように設定されている。
【0055】
具体的には例えば、底面板15における基板21の厚さは4.0mmで、リブ22の本数や配置は図示省略したが前記上面板14とほぼ同様な格子状の態様とし、個々のリブ22の厚さ(高さ)は14.0mmで幅は4.0mmに設定するとよい。底面板15全体の寸法は、厚さ(基板21の厚さ+リブ22の厚さ)が18.0mmで、奥行方向の長さが300mm、横方向の長さが475mmとする。
【0056】
底面板15の内側には、所望の位置に関連部品であるメダルホッパ7を保持するための係止部126が設けられている。かかる係止部126は、互いに平行に所定距離だけ離れて対向するように一対設けられており、互いに内側向きに対向するアングル形状に形成されている。
【0057】
各係止部126の間に、メダルホッパ7の下端側をスライドさせるようにして、はめ込み配設できるようになっているが、底面板15上における係止部126の配置位置は、各スロットマシンメーカーにより微妙に異なるものである。この係止部126の位置を変更可能とするために、底面板15を成す樹脂製面板20を成形するにあたり、例えば、前記係止部126に対応する部位を含む一定面積部分の金型キャビティ(入れ子)を入れ替え可能な金型を用いるとよい。
【0058】
次に作用を説明する。
ゲーム機用外筐10を製造するには、正面開口を囲む複数の面板11〜15を互いに箱形に結合した状態に一体成形する。具体的にはガスアシスト成形または発泡成形を採用するとよい。このような一体成形によれば、各面板11〜15を後から補強枠や結合子等で互いに組み合わせる作業が不要となり、また、部品点数や組み付け工数が削減される。しかも、ゲーム機用外筐10のリサイクル時において、樹脂と金属との分別作業も不要となる。もちろん樹脂材料の使用により、木材資源を保護することになり、省資源化およびリサイクル使用の要請にも応じることができる。
【0059】
各面板11〜15は、それぞれ所定の厚さの基板21の外壁面側に複数のリブ22を格子状に設けた樹脂製面板20によって構成する。かかる樹脂製面板20において、リブ22で仕切られた各区画が凹部23となる。このように、基板21の外壁面側に複数のリブ22と凹部23を有する面板11〜15を用いることにより、従来の外筐のように各面板11〜15の内面に凹部23を有するものに比較して、より十分な強度および剛性を確保しつつ、さらに軽量化することも可能となる。
【0060】
ゲーム機用外筐10を一般のスロットマシン1に用いた場合、関連部品を組み込んだゲーム機1全体の重量が1台当たり約50kg程度となるが、スロットマシン1の保管や運搬時に、例えば6個単位で上下にパレットを介して積み重ねた場合、載置状態や高さのバラツキにより、最大6個分の総荷重300kgが1台のスロットマシン1にかかるおそれがある。
【0061】
従って、ゲーム機用外筐10の底面板15を拘束した状態において、上面板14に垂直方向にかかる段積み荷重に関しては予想最大値を2940N(300kgf)とし、この他、ゲーム機用外筐10の正面開口の上端一端側に正面からかかるねじれ荷重も考慮し、ねじれ荷重の予想最大値を仮に294N(30kgf)として、かかる総荷重にも十分耐え得る程度に、前記各面板11〜15を成す樹脂製面板20における基板21の厚さ、リブ22の本数や配置、それに個々のリブ22の厚さや幅等を任意に設定する。
【0062】
次に前記総荷重に対する応力解析の実験データの一部を説明する。
解析条件としては、ゲーム機用外筐10を構成する各面板11〜15の具体的な全体寸法は前述した通りとし、樹脂材質は、曲げ弾性率2600N/mm2、引張り強度33N/mm2、比重1.05のポリスチレンとする。また、荷重・拘束条件としては、図8に示すように、段積み荷重に関するNo.1と、ねじれ荷重に関するNo.2との2通りとする。
【0063】
図9は、前記荷重・拘束条件において、従来技術に係る外筐と本第1実施の形態に係るゲーム機用外筐10との解析結果を示している。図9の図表中で、「安全率」とは、引張り強度/最大応力、で求められる数値であり、この数値が高いほど強度や剛性は向上することを示す。
【0064】
図9の図表に示した実験データからも明らかなように、従来の外筐と本ゲーム機用外筐10とが、全体の外形寸法や板厚それに重量が同等の場合にあっては、各面板11〜15の内面にリブ22や凹部23がある従来の外筐に比べて、各面板11〜15の外面にリブ22や凹部23がある本ゲーム機用外筐10の方が、ねじれ強度に対する最大応力および安全率のみ除いて、総合的に見ればより十分な強度および剛性を確保することができる。
【0065】
また、各面板11〜15に、必要に応じて放熱用あるいは取手用として孔部124a〜124mを開設した場合には、各孔部124a〜124mの周囲に沿ってリブ24を設けることにより、孔部124周囲における局所的な強度の低下を防止することができる。かかる事実も、詳細な実験データの説明は省略するが、応力解析の実験結果より明らかである。
【0066】
更に、左右の側面板12,13および背面板11の各内側に、所望の高さ位置で棚板16を略水平な状態に保持するための前記嵌合構造を設けたから、棚板16を位置ずれしないように強固に取り付けることができると共に、棚板16は箱型の内部空間を実質的に上下2空間に区画する隔壁を成すので、外筐全体のねじれ強度を格段に高めることができる。かかる嵌合構造に関しては、前述したように各側面板12,13に孔部124を全く開設しない構造であるため、余計な孔部124の開設による強度の低下を防止することができる。
【0067】
詳しくは、左右の側面板12,13および背面板11の各内側に、棚板16の両側端縁および後端縁を受けるように前記各内側に亘り所定幅で延出する支持リブ25を設け、該支持リブ25上に嵌合凸部26と被嵌合凹部27とを交互に並設して形成する。一方、棚板16の両側端縁および後端縁にも、前記支持リブ25上で前記嵌合凸部26および前記被嵌合凹部27に対して嵌り合う同様の嵌合凸部28と被嵌合凹部29とを交互に並設する。
【0068】
それにより、左右の側面板12,13および背面板11の各内側の所定の高さ位置に対して、棚板16の両側端縁および後端縁を、それぞれナックル状に組み合わされる嵌合凸部26,28および被嵌合凹部27,29の嵌合関係により、簡易かつ強固に結合させることができる。特に、嵌合凸部26,28および被嵌合凹部27,29の端面同士は互いに密着して嵌り合うので、相当なねじれ荷重にも耐え得る十分な強度を確保することができる。
【0069】
図6および図7に示すように、実際に成形されたゲーム機用外筐10には、スロットマシン1の前面盤2を装着すると共に、スロットマシン1を構成する各種関連部品を組み込むことで、ゲーム機用外筐10をケースとする1台のスロットマシン1が完成する。ここでゲーム機用外筐10自体は完成品として製造メーカーに提供されるものであるため、製造メーカーにおける現場での組み付け工数を最小限に抑えることができ、コストの大幅な低減も可能となる。
【0070】
また、ゲーム機用外筐10の左右の側面板12,13のうち、正面開口に沿った所定幅の前端縁部122の外壁面側は、前記リブ22が露出しない滑面として形成したから、スロットマシン1として組み立てた後で遊技場に設置した際に、外部に露出する部位の外観品質を向上させることができる。すなわち、リブ22が外部に露出して見栄えを損なう虞はなく、また、外壁面上のリブ22を隠蔽するために、特別なカバーを別途設ける必要もない。
【0071】
スロットマシン1において、前面盤2の中央部には、ガラス板で覆われた観察窓2aが開設されており、その下方には、第1〜第3のストップボタン3a,3b,3cが配設されている。また向かって左端寄りには、レバー型のスタートスイッチ4が配置され、向かって右端寄りにはメダル投入口5が設けられている。
【0072】
観察窓2aの裏面には、円筒形状を成した第1〜第3のドラム6a,6b,6cが同軸状に隣接して横方向に配置され、回動可能に支持されている。これらのドラム6a,6b,6cは前記棚板16上に組み付けられている。また、メダル投入口5に投入されたメダルを貯留するメダルホッパ7は、前記底面板15上の係止部126により位置決めされて配設されている。なお、スロットマシン1を構成するその他の関連部品については、何れも周知な構成であり個別の説明は省略する。
【0073】
また、スロットマシン1においては、そのゲーム機用外筐10の各面板11〜15ごとに上方から受ける荷重は異なるため、荷重のかかる度合いに応じて、複数の面板11〜15における基板21の厚さやリブ22の配置、それに個々のリブ22の厚さや幅等を異なるように設定してもよい。
【0074】
図10および図11は本発明の第2実施の形態を示している。
本実施の形態では、ゲーム機用外筐10A全体のうち特に荷重の集中する左右の側面板12,13における基板21上のリブ22の厚さを、背面板11における基板21上のリブ22の厚さよりも大きく設定している。それにより、重量増加を極力抑えつつ、全体的な強度や剛性をよりいっそうと高めることができる。
【0075】
具体的には図11に示すように、各側面板12,13(の主要部121)における基板21の厚さは4.0mmで、リブ22の本数や配置も図1に示す態様となり第1実施の形態と共通するが、個々のリブ22の厚さは16.0mmとして、前記第1実施の形態よりも5.0mmほど大きく設定している。なお、リブ22の幅は4.0mmで第1実施の形態と共通する。
【0076】
なお、各側板12,13以外の背面板11、上面板14、底面板15、それに棚板16に関しては、それぞれ基板21の厚さやリブ22の本数や配置、個々のリブ22の厚さや幅、それに全体的な寸法は、前記第1実施の形態と共通している。
【0077】
図12〜図16は本発明の第3実施の形態を示している。
本実施の形態では、複数の面板11〜15の各端縁同士が略直角に合わさる隅に沿って、該隅を埋めるように肉厚となって延びる補強リブ130を設けている。かかる補強リブ130によって、各面板11〜15同士がさらに強固に結合されるため、外筐全体の強度および剛性をよりいっそうと高めることができる。
【0078】
具体的には、各図に示したように、上面板14の後端縁と背面板11の上端縁とが略直角に合わさる隅、上面板14の両側端縁と左右の側面板12,13の各上辺とが略直角に合わさる隅、背面板11の両側端縁と左右の側面板12,13の各後端縁とが略直角に合わさる隅、それに底面板15の両側端縁と左右の側面板12,13の各下辺とが略直角に合わさる隅に、それぞれ補強リブ130が設けられている。
【0079】
なお、背面板11の下端縁と底面板15の後端縁とが略直角に合わさる隅(図15中のF部位)に関してだけ、ゲーム機用外筐10Bの内部に固定する関連部品(図7中のメダルホッパ7等)に干渉しないように補強リブ130は設けられていない。
【0080】
図17および図18は本発明の第4実施の形態を示している。
本実施の形態では、前記各面板11〜15における複数のリブ22を、図17中で右側面板12および上面板14に関して見て取れるように、それぞれの基板21の縦方向および横方向に対して斜めに交わる方向に並ぶ略格子状に配置したものである。
【0081】
図18の図表に示した実験データからも明らかなように、このような第4実施の形態に係るゲーム機用外筐10Cでは、前記第1実施の形態に係るゲーム機用外筐10と全体の外形寸法や板厚、それに重量が同等の場合にあっては、該ゲーム機用外筐10に比べて、段積み強度に対する最大変形量のみ除いて、段積み強度とねじれ強度の双方ともにより十分な安全率を確保することができる。
【0082】
図19は本発明の第5実施の形態を示している。
本実施の形態では、前記第1実施の形態で説明した底面板15の外壁面側に、前記複数のリブ22とは別に更に加えて、底面板15の対角線上に沿って延びる特別リブ140を設けたものである。底面板15は長方形であるため対角線は2本となるが、この2本の対角線上に沿うように、一対の特別リブ140が互いに中央で交叉するように設けられている。
【0083】
このように特に底面板15を、基板21の外壁面側に複数のリブ22を互いに交叉する方向に並べて間をすかして設け、かつ対角線上に沿って前記リブ22とは別に特別リブ140を設け、前記リブ22および特別リブ140で仕切られた各区画が凹部23となる樹脂製面板20によって構成すれば、特別リブ140によっていっそうとねじれ強度が高められる。なお、特別リブ140の厚さはリブ22と同一であるが、特別リブ140の幅はリブ22よりも多少大きく設定されている。
【0084】
以上、本発明の各種実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。もちろん、ゲーム機もスロットマシン1に限定されるものではない。
【0085】
特に、各面板11〜15を構成する樹脂製面板20における基板21の厚さ、リブ22の本数や配置、個々のリブ22の厚さや幅、それに各面板11〜15の外形寸法等は、前述した具体的な値や図示した態様に何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の第1実施の形態に係るゲーム機用外筐を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係るゲーム機用外筐に対して棚板を取り付ける状態を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係るゲーム機用外筐を示す正面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】本発明の第1実施の形態に係るゲーム機用外筐を構成する棚板を示す底面図である。
【図6】本発明の第1実施の形態に係るゲーム機用外筐を用いて構成したスロットマシンを示す斜視図である。
【図7】本発明の第1実施の形態に係るゲーム機用外筐を用いて構成したスロットマシンの前面盤を開いた状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の第1実施の形態に係るゲーム機用外筐にかかる総荷重に対する応力解析の実験方法を示す説明図である。
【図9】本発明の第1実施の形態に係るゲーム機用外筐にかかる総荷重に対する応力解析の実験結果を示す説明図である。
【図10】本発明の第2実施の形態に係るゲーム機用外筐を示す正面図である。
【図11】図10のB−B線断面図である。
【図12】本発明の第3実施の形態に係るゲーム機用外筐を示す斜視図である。
【図13】本発明の第3実施の形態に係るゲーム機用外筐を示す正面図である。
【図14】図13のC−C線断面図である。
【図15】図13のD−D線断面図である。
【図16】図15のE部位拡大図である。
【図17】本発明の第4実施の形態に係るゲーム機用外筐を示す斜視図である。
【図18】本発明の第4実施の形態に係るゲーム機用外筐にかかる総荷重に対する応力解析の実験結果を示す説明図である。
【図19】本発明の第5実施の形態に係るゲーム機用外筐を構成する底面板を示す底面図である。
【符号の説明】
【0087】
1…スロットマシン
2…前面盤
10,10A,10B,10C…ゲーム機用外筐
11…背面板
12…右側面板
13…左側面板
14…上面板
15…底面板
16…棚板
20…樹脂製面板
21…基板
22…リブ
23…凹部
24…リブ
25…支持リブ
26…嵌合凸部
27…被嵌合凹部
28…嵌合凸部
29…被嵌合凹部
121…主要部
122…前端縁部
123…中央帯部
124a…孔部
125…段部
126…係止部
130…補強リブ
140…特別リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム機を組み込むために正面が開口し、正面開口を囲むように左右、上下、および背面に配置される樹脂製の複数の面板より成る実質的に箱型のゲーム機用外筐において、
前記複数の面板のうち、少なくとも上面板、左右の側面板、および背面板を、それぞれ基板の外壁面側に複数のリブを互いに交叉する方向に並べて間をすかして設け、該リブで仕切られた各区画が凹部となる面板によって構成すると共に、各面板を互いに箱形に結合した状態に一体成形し、
前記左右の側面板は、それぞれ縦方向に延びる長方形状の主要部と、該主要部の一端側に連なり正面開口に沿って延びる前端縁部とに区画され、
前記前端縁部の外壁面は、前記リブが露出しない滑面として形成し、かつ前記前端縁部は、当該部位のみ基板の内壁面側にリブを一体成形した構造とし、
前記主要部と前記前端縁部との境目を、主要部の基板が前端縁部の基板より内側となる段部として形成し、主要部と前端縁部とで、表裏の基準面となる基板の滑面およびリブの上端面が同一平面上に連なるように設定し、
前記左右の側面板におけるリブの厚さを、前記背面板におけるリブの厚さよりも2倍以上に大きく設定したことを特徴とするゲーム機用外筐。
【請求項2】
前記複数の面板のうち底面板も、基板の外壁面側に複数のリブを互いに交叉する方向に並べて間をすかして設け、かつ底面板の対角線上に沿って前記リブとは別に一対の特別リブを互いに中央で交叉させて設け、リブおよび特別リブで仕切られた各区画が凹部となる面板によって構成し、特別リブの厚さはリブと同一とし、特別リブの幅はリブよりも大きく設定したことを特徴とする請求項1に記載のゲーム機用外筐。
【請求項3】
前記左右の側面板および背面板の各内側に、所望の高さ位置で棚板を略水平な状態に保持するための嵌合構造を有し、該嵌合構造を少なくとも前記左右の側面板に孔部を開設しない構造とし、
前記左右の側面板および背面板の各内側に、前記棚板の両側端縁および後端縁を受けるように前記各内側に亘り所定幅で連なるように延出する支持リブを前記リブとは別に設け、該支持リブ上に嵌合凸部と被嵌合凹部とを交互に並設して、前記嵌合構造を形成し、
前記棚板の両側端縁および後端縁に、前記支持リブ上で前記嵌合凸部および前記被嵌合凹部に対して互いに端面同士が密着して嵌り合う同様の嵌合凸部と被嵌合凹部とを交互に並設したことを特徴とする請求項1または2に記載のゲーム機用外筐。
【請求項4】
前記棚板は、基板の下面側に複数のリブを縦方向および横方向に平行に並ぶ格子状に設けて成り、前記各側面板と同様にリブで仕切られた各区画が凹部となり、
前記棚板は、その基板の厚さよりも、リブの厚さおよび幅を大きく設定すると共に、該棚板に、部品配置用の孔部を開設し、該孔部の周囲に、孔部内縁をフランジ状に囲むリブを設けたことを特徴とする請求項3に記載のゲーム機用外筐。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−80177(P2008−80177A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331372(P2007−331372)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【分割の表示】特願2002−107064(P2002−107064)の分割
【原出願日】平成14年4月9日(2002.4.9)
【出願人】(000100595)アァルピィ東プラ株式会社 (27)
【Fターム(参考)】