説明

ゲーム装置、ゲーム装置の制御方法及びプログラム

【課題】ユーザの操作にしたがってボールオブジェクト等の移動体オブジェクトを仮想空間内で移動させるゲームにおいて、移動距離等の移動の態様を指示する操作の仮想現実感を向上させる。
【解決手段】 ユーザにより第1操作がされる場合に、ユーザの操作対象選手を示す操作対象選手オブジェクト54a’と、前記操作対象選手に対する敵選手をそれぞれ示す1又は複数の選手オブジェクト54bと、前記操作対象選手により保持されるボールを示すボールオブジェクト56と、がフィールドを示すフィールオブジェクト上に配置された仮想3次元空間において、前記操作対象選手オブジェクト54a’に従動する所定の近傍範囲60内に前記1又は複数の選手オブジェクト54bのうちいずれか少なくとも1つが配置されているか否かを判断し、その判断結果に応じた速度で長さが変化するゲージを、ボールオブジェクト56の飛距離を案内するために表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲーム装置、ゲーム装置の制御方法及びプログラムに関し、特にゲージ等の画像を用いたゲームの操作入力に関する。
【背景技術】
【0002】
仮想3次元空間にサッカーフィールドを示すフィールドオブジェクトを配置するとともに、このフィールドオブジェクト上にサッカー選手をそれぞれ示す複数のサッカー選手オブジェクト及びボールを示すボールオブジェクトを配置して、サッカー選手オブジェクトに仮想的にサッカーを行わせるコンピュータサッカーゲームが知られている。
【0003】
こうしたコンピュータサッカーゲームでは、サッカー選手オブジェクトのうち1つをユーザが操作できるようになっており、操作対象であるサッカー選手オブジェクト(操作対象選手オブジェクト)がボールオブジェクトを保持している場合に、ユーザが所定ボタンを押下する操作(キック準備操作)を行うと、ゲーム画面にゲージが表示される。このゲージは時間経過とともに表示内容(ゲージの長さ)が変化しており、ボタンの押下を解除する操作(キック操作)を行った際の表示内容に応じた距離だけ、ボールオブジェクトが仮想3次元空間内を移動するようになっている。
【特許文献1】特開2000−237448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、従来のコンピュータサッカーゲームでは、操作対象選手オブジェクトにボールを蹴る動作を行わせる際に、表示内容が時間経過とともに変化するゲージが表示される。しかし、ゲージの表示内容が変化する速度はゲームの状況に応じたものになっていない。このため、緊迫したゲームの状況でも、それ程緊迫していないゲームの状況でも、ユーザにとってボールの移動距離を指示する操作の難易度は変わらず、仮想現実感に乏しいという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ユーザの操作にしたがって移動体オブジェクトを仮想空間内で移動させるゲームにおいて、移動距離等の移動の態様を指示する操作の仮想現実感を向上させることができるゲーム装置、ゲーム装置の制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るゲーム装置は、ユーザにより第1操作がされるか否かを監視する第1操作監視手段と、前記ユーザにより前記第1操作がされる場合に、前記ユーザの操作対象であって所定の移動体を保持するものを示す操作対象オブジェクトと、前記操作対象に対する敵をそれぞれ示す1又は複数の敵オブジェクトと、が配置された仮想空間において、前記操作対象オブジェクトに従動する所定範囲内に前記1又は複数の敵オブジェクトのうちいずれか少なくとも1つが配置されているか否かを判断する敵オブジェクト配置判断手段と、前記敵オブジェクト配置判断手段による判断結果に応じた速度で変化する画像を表示する変化画像表示手段と、前記ユーザにより第2操作がされるか否かを監視する第2操作監視手段と、前記ユーザにより前記第2操作がされる場合に、前記変化画像表示手段により表示されている前記画像の表示内容に応じた態様で、前記仮想空間において前記所定の移動体を示す移動体オブジェクトを移動させる移動体オブジェクト移動手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るゲーム装置の制御方法は、ユーザにより第1操作がされるか否かを監視する第1操作監視ステップと、前記ユーザにより前記第1操作がされる場合に、前記ユーザの操作対象であって所定の移動体を保持するものを示す操作対象オブジェクトと、前記操作対象に対する敵をそれぞれ示す1又は複数の敵オブジェクトと、が配置された仮想空間において、前記操作対象オブジェクトに従動する所定範囲内に前記1又は複数の敵オブジェクトのうちいずれか少なくとも1つが配置されているか否かを判断する敵オブジェクト配置判断ステップと、前記敵オブジェクト配置判断ステップでの判断結果に応じた速度で変化する画像を表示する変化画像表示ステップと、前記ユーザにより第2操作がされるか否かを監視する第2操作監視ステップと、前記ユーザにより前記第2操作がされる場合に、前記変化画像表示ステップで表示されている前記画像の表示内容に応じた態様で、前記仮想空間において前記所定の移動体を示す移動体オブジェクトを移動させる移動体オブジェクト移動ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るプログラムは、ユーザにより第1操作がされるか否かを監視する第1操作監視手段、前記ユーザにより前記第1操作がされる場合に、前記ユーザの操作対象であって所定の移動体を保持するものを示す操作対象オブジェクトと、前記操作対象に対する敵をそれぞれ示す1又は複数の敵オブジェクトと、が配置された仮想空間において、前記操作対象オブジェクトに従動する所定範囲内に前記1又は複数の敵オブジェクトのうちいずれか少なくとも1つが配置されているか否かを判断する敵オブジェクト配置判断手段、前記敵オブジェクト配置判断手段による判断結果に応じた速度で変化する画像を表示する変化画像表示手段、前記ユーザにより第2操作がされるか否かを監視する第2操作監視手段、及び前記ユーザにより前記第2操作がされる場合に、前記変化画像表示手段により表示されている前記画像の表示内容に応じた態様で、前記仮想空間において前記所定の移動体を示す移動体オブジェクトを移動させる移動体オブジェクト移動手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。コンピュータは、例えば家庭用ゲーム機、業務用ゲーム機、携帯用ゲーム機、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、携帯電話機、携帯情報端末等である。また、プログラムは、各種のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されてよい。
【0009】
本発明では、ボール等の移動体を示す移動体オブジェクトの移動距離、移動方向、移動速度等の移動の態様を指示する操作のための画像(例えばゲージ)が、仮想空間において、操作対象オブジェクトに従動する所定範囲内に敵オブジェクトのうち少なくとも1つが配置されているか否かに応じた速度で変化する。このため、操作対象オブジェクトと敵オブジェクトとの位置関係によって、移動体の移動の態様を指示する操作の難易度を変化させることができるようになり、敵が近くにいる緊張感を好適に演出して、ゲームの仮想現実感を向上できる。
【0010】
なお、前記所定範囲は前記操作対象オブジェクト又は前記移動体オブジェクトを中心とする円形範囲であってよい。こうすれば、操作対象オブジェクト又は移動体オブジェクトと各敵オブジェクトとの距離を算出して、該距離が所定距離以内であるかを判断するという簡単な処理により、操作対象オブジェクトに従動する所定範囲内に敵オブジェクトのうちいずれか少なくとも1つが配置されているか否かを判断することができる。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記操作対象オブジェクト又は前記移動体オブジェクトと前記所定範囲内に配置された前記敵オブジェクトとの距離を算出するオブジェクト間距離算出手段をさらに含み、前記変化画像表示手段は、前記画像を、前記オブジェクト間距離算出手段により算出される距離にさらに応じた速度で変化させる。こうすれば、操作対象オブジェクト又は移動体オブジェクトに敵オブジェクトが接近している程度に応じて、画像が変化する速度を変えることができ、敵との距離による緊張感の違いを好適に演出して、さらにゲームの仮想現実感を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記所定範囲内に配置された前記敵オブジェクトの数を計数する敵オブジェクト計数手段をさらに含み、前記変化画像表示手段は、前記画像を、前記敵オブジェクト計数手段により計数される数にさらに応じた速度で変化させる。こうすれば、所定範囲内に配置された敵オブジェクトの数に応じて、画像が変化する速度を変えることができ、近くにいる敵の数による緊張感の違いを好適に演出して、さらにゲームの仮想現実感を向上させることができる。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記仮想空間には前記移動体を移動させるべき場所を示す目標オブジェクトがさらに配置されており、前記変化画像表示手段は、前記画像を、前記操作対象オブジェクト又は前記移動体オブジェクトと前記目標オブジェクトとの距離にさらに応じた速度で変化させる。こうすれば、操作対象オブジェクト又は移動体オブジェクトが目標オブジェクトに接近している程度に応じて、画像が変化する速度を変えることができ、操作対象が目標の近くにいる緊張感を好適に演出して、さらにゲームの仮想現実感を向上させることができる。
【0014】
なお、前記変化画像表示手段は、前記画像を、前記操作対象の所定の能力パラメータにさらに応じた速度で変化させるようにしてもよい。また、前記第1操作はコントローラの所定のボタンを押下する操作であってよく、前記第2操作は前記所定のボタンの押下を解除する操作であってよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るゲーム装置のハードウェア構成を示す図である。同図に示すゲーム装置10は、モニタ18及びスピーカ22に接続された家庭用ゲーム機11に、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体たるDVD−ROM25及びメモリカード28が装着されることによって構成されている。モニタ18には家庭用テレビ受像機が用いられ、スピーカ22にはその内蔵スピーカが用いられる。また、ここではプログラムを家庭用ゲーム機11に供給するためにDVD−ROM25を用いるが、CD−ROMやROMカード等、他のあらゆるコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を用いるようにしてもよい。また、インターネット等の通信ネットワークを介して遠隔地からプログラムを家庭用ゲーム機11に供給するようにしてもよい。
【0017】
家庭用ゲーム機11は、マイクロプロセッサ14、画像処理部16、主記憶26、入出力処理部30、音声処理部20、コントローラ32及びDVD−ROM再生部24を含んで構成される公知のコンピュータゲームシステムである。マイクロプロセッサ14、画像処理部16、主記憶26及び入出力処理部30は、バス12によって相互データ通信可能に接続されており、入出力処理部30には、コントローラ32、音声処理部20、DVD−ROM再生部24及びメモリカード28が接続されている。コントローラ32以外の家庭用ゲーム機11の各構成要素は筐体内に収容されている。
【0018】
マイクロプロセッサ14は、図示しないROMに格納されるオペレーティングシステム、DVD−ROM25から読み出されるプログラム、及びメモリカード28から読み出されるセーブデータに基づいて、家庭用ゲーム機11の各部を制御し、ユーザにゲームを提供する。バス12はアドレス及びデータを家庭用ゲーム機11の各部でやり取りするためのものである。また、主記憶26は、例えばRAMを含んで構成されるものであり、DVD−ROM25から読み出されたプログラムやメモリカード28から読み出されたセーブデータが必要に応じて書き込まれる。また、主記憶26は、マイクロプロセッサ14の作業用としても用いられる。画像処理部16はVRAMを含んで構成されており、マイクロプロセッサ14から送られる画像データを受け取って、それに基づいてVRAM上にゲーム画面を描画するとともに、その内容をビデオ信号に変換して所定のタイミングで(ここでは1/60秒毎)モニタ18に出力する。
【0019】
入出力処理部30は、マイクロプロセッサ14が、コントローラ32、音声処理部20、DVD−ROM再生部24及びメモリカード28にアクセスするためのインタフェースである。音声処理部20はサウンドバッファを含んで構成されており、DVD−ROM25から読み出され、該サウンドバッファに記憶されたゲーム音楽、ゲーム効果音、メッセージ等の各種音声データを再生してスピーカ22から出力する。DVD−ROM再生部24は、マイクロプロセッサ14からの指示に従ってDVD−ROM25に記録されたプログラムを読み取る。コントローラ32は、ユーザが各種ゲーム操作の入力をするための汎用操作入力手段である。また、メモリカード28は、不揮発性メモリ(例えばEEPROM等)を含んでおり、家庭用ゲーム機11に対して脱着可能に構成されている。このメモリカード28には、各種ゲームのセーブデータ等が記憶される。
【0020】
図2は、コントローラ32の一例を示す図である。同図に示すコントローラ32は汎用ゲームコントローラであり、同図(a)に示すように、表面に方向キー34、スタートキー36、セレクトキー37、ボタン38X,38Y,38A,38Bを備えており、同図(b)に示すように、奥側側面に、さらにボタン39L,39R,41L,41Rを備えている。すなわち、コントローラ32の奥側側面には、表面側左右にボタン41L,41Rがそれぞれ備えられており、裏面側左右にボタン39L,39Rがそれぞれ備えられている。方向キー34は十字形状を有しており、通常はキャラクタやカーソルの移動方向を設定するのに用いられる。スタートキー36は三角形状を有する小型の押しボタンであり、通常はゲームのスタートやゲームの強制終了などに用いられる。ボタン38X,38Y,38A,38B,39L,39R,41L,41Rは、その他のゲーム操作に用いられる。コントローラ32を操作すると、その内容を示す操作データが家庭用ゲーム機11に入力されるようになっている。
【0021】
また、このコントローラ32には振動子35が内蔵されている。振動子35は、例えば圧電素子、或いは偏心重り付きのモータ等によって構成されるものであり、マイクロプロセッサ14からコントローラ32に供給される振動オン命令に応じて動作し、コントローラ32を振動させるようになっている。また、マイクロプロセッサ14からコントローラ32に供給される振動オフ命令に応じて動作を停止し、コントローラ32の振動を停止させるようになっている。
【0022】
以下、以上のハードウェア構成を有するゲーム装置10を用いて、サッカーゲームを実現する技術について説明する。このサッカーゲームでは、主記憶26上に、図3に示すように、サッカーフィールドオブジェクト52が配置された仮想3次元空間50が構築されるようになっている。サッカーフィールドオブジェクト52上には、サッカーゴールを表すゴールオブジェクト51a,51b、サッカーボールを表すボールオブジェクト56、サッカー選手を表す選手オブジェクト54a,54bが配置されている。選手オブジェクト54aは、ユーザの操作すべきサッカー選手を示しており、このうち、ボールオブジェクト56との距離が最も近い選手オブジェクト54a等、所定基準を満足する選手オブジェクト54aがユーザの現在の操作対象として選択されるようになっている。以下では、この操作対象となる選手オブジェクト54aを操作対象選手オブジェクト54a’と記すことにする。また、選手オブジェクト54bは、ユーザが操作すべきサッカー選手の敵であるサッカー選手を示すオブジェクトである。選手オブジェクト54a,54b、操作対象選手オブジェクト54a’、ボールオブジェクト56の位置及び姿勢はリアルタイムに主記憶26上に保持されている。
【0023】
ゴールオブジェクト51aは、選手オブジェクト54aに対応するゴールを示しており、サッカーフィールドオブジェクト52における選手オブジェクト54aの自陣側の端(図中左端)に設けられている。一方、ゴールオブジェクト51bは、選手オブジェクト54bに対応するゴールを示しており、サッカーフィールドオブジェクト52における選手オブジェクト54bの自陣側の端(図中右端)に設けられている。また、後述するように操作対象選手オブジェクト54a’とゴールとの距離を算出するために、ゴールオブジェクト51a,51bには、それぞれ例えばゴールライン上にゴール位置53a,53bが設定されている。
【0024】
操作対象選手オブジェクト54a’以外の選手オブジェクト54a,54bは、例えば公知のアルゴリズムに従って仮想3次元空間50における動作が制御されるオブジェクトである。一方、操作対象選手オブジェクト54a’はコントローラ32による操作に従ってサッカーフィールドオブジェクト52上を動作するオブジェクトである。特に、操作対象選手オブジェクト54a’がボールオブジェクト56を保持している状況で、コントローラ32のボタン38Bを押下し、該押下を解除することで、方向キー34を入力している方向にボールオブジェクト56を移動させることができるようになっている。ゲーム画面には時間経過とともに伸張する伸張画像を含むゲージが表示され、この伸張画像の長さに応じてボールオブジェクト56の移動距離が決定されるようになっている。
【0025】
すなわち、このゲーム装置10では、操作対象選手オブジェクト54a’がボールオブジェクト56を保持している状況で、コントローラ32のボタン38Bを押下すると、ゲージをゲーム画面に表示するようになっている。このゲージは時間とともに自立的にその長さを零から所定長に伸張するようになっている。こうして、内容が変化する画像が操作案内のために表示されるようになっている。そして、ボタン38Bの押下を解除、すなわちボタン38Bを押下前の状態に戻すと、ゲージがゲーム画面から消えるようになっている。そして、ボタン38Bを押下してから押下解除するまでの時間の長さ、すなわち表示されているゲージの長さに対応する飛距離で、ボールオブジェクト56が操作対象選手オブジェクト54a’により蹴り出されるようになっている。なお、ボタン38Bが押下された場合に、ゲージの長さが所定長から次第に短くなるようにして、ボタン38Bの押下が解除された場合に、その際のゲージの長さに応じた飛距離でボールオブジェクト56が操作対象選手オブジェクト54a’により蹴り出されるようにしてよいのはもちろんである。
【0026】
図4は、モニタ18に表示されるゲーム画面の一例を示す図である。同図に示すゲーム画面は、空間画像と操作案内画像とを重畳することにより生成されている。空間画像は、サッカーフィールドオブジェクト52が配置された仮想3次元空間50に視点及び視線方向を設定して、視点から視線方向を見た様子を可視化することにより生成されている。操作案内画像は、ボタン38Bの押下に応じて表示されるゲージ58を含んでいる。同図に示すように、ゲージ58は矩形状の枠画像58bと、該枠画像58b内に左詰で配置され、自立的に伸張する伸張画像58aとを含んでいる。なお、ゲージ58の伸張画像58aが最大長に達するまでボタン38Bの押下が解除されないと、所定の飛距離でボールオブジェクト56が蹴り出される。
【0027】
本実施形態では、ゲームの仮想現実感を高めるために、この伸張画像58aの伸張速度(操作案内用の画像の変化速度)が操作対象選手オブジェクト54a’の置かれている状況によって制御されるようになっている。図5は、伸張画像58aの伸張速度を制御する方法を説明する図である。同図に示すように、本実施形態では、ボタン38Bが押下された際に、操作対象選手オブジェクト54a’から所定距離lth以内の範囲、すなわち近傍範囲60に敵である選手オブジェクト54bが配置されているか否かにより、伸張画像58aの伸張速度が変化するようになっている。近傍範囲60は操作対象選手オブジェクト54a’の位置を中心とする円形の範囲(領域)であり、操作対象選手オブジェクト54a’に従動する。なお、近傍範囲60の形状は円形に限らず、操作対象選手オブジェクト54a’の前方に広がる扇状の範囲等、他の形状であってもよい。
【0028】
また、本実施形態では、近傍範囲60に配置された選手オブジェクト54bの数(同図では2)により、伸張画像58aの伸張速度が変化するようになっている。また、近傍範囲60内に配置された選手オブジェクト54bと操作対象選手オブジェクト54a’との距離l1,l2により(具体的にはそのうち最短距離)、伸張画像58aの伸張速度が変化するようになっている。さらに、操作対象選手オブジェクト54a’と該操作対象選手オブジェクト54a’の敵である選手オブジェクト54bに対応するゴール位置53bとの距離lgにより、伸張画像58aの伸張速度が変化するようになっている。本実施形態では、このように操作対象選手オブジェクト54a’の置かれている状況によって伸張画像58aの伸張速度を制御するようにしているので、操作対象選手オブジェクト54a’の置かれている状況によっては、ボールオブジェクト56の飛距離を適切に指示する操作が困難になり、操作対象選手オブジェクト54a’がボールオブジェクト56を操る際の緊張感を好適に演出して、ゲームの仮想現実感を向上させることができる。
【0029】
さらに具体的には、伸張画像58aの伸張速度(1フレームあたりの伸張画素数)sは、操作対象選手オブジェクト54a’の近傍範囲60内に選手オブジェクト54bが配置されている場合、次式(1)により算出される。また、近傍範囲60内に選手オブジェクト54bが配置されていない場合、次式(2)により算出される。ここで、pは、操作対象選手オブジェクト54a’の所定の能力パラメータ(例えば緊張に対する耐性を示すもの。)により決定される値である。
【0030】
s=p×f(lmin)×g(n)×h(lg) …(1)
s=p …(2)
【0031】
f(lmin)は、近傍範囲60内で最も操作対象選手オブジェクト54a’の近くに配置されている選手オブジェクト54bと操作対象選手オブジェクト54a’との距離lminの減少関数であり、図6に一例が示されるものである。すなわち、距離lminが0場合、fの値は1.5であり、距離lminが大きくなればなるほど、fの値は小さくなる。そして、距離lminが距離lthである場合、すなわち最も操作対象選手オブジェクト54a’に近い選手オブジェクト54bが近傍範囲60の端に位置している場合、fの値は1になる。
【0032】
また、g(n)は、近傍範囲60内に位置する選手オブジェクト54bの数nの増加関数であり、図7に一例が示されるものである。すなわち、nが1の場合にはgは1.0の値をとり、nが2の場合にはgは1.2の値をとり、nが増えるとそれに応じてgの値も増える。そして、nが4以上ではgは一定値をとる。
【0033】
また、h(lg)は、操作対象選手オブジェクト54a’とゴール位置53bとの距離lgの減少関数であり、図8に一例が示されるものである。すなわち、距離lgが0の場合にはhは2.0の値をとり、距離lgが大きくなればなるほど、hの値は小さくなる。そして、距離lgが距離lgth以上となると、hの値は1.0の値をとる。
【0034】
本実施形態では、以上のようにして伸張画像58aの伸張速度sを決定しているので、操作対象選手オブジェクト54a’の所定の能力が高ければ高いほど、すなわちp値が小さければ小さいほど、伸張速度sが遅くなる。また、操作対象選手オブジェクト54a’の近傍範囲60内に位置する選手オブジェクト54bが複数ある場合、その数nによって定められる1よりも大きい係数gによって伸張速度sが速くなる。これにより、近傍範囲60内に複数の選手オブジェクト54bが位置している場合の緊張感を演出している。また、操作対象選手オブジェクト54a’の最も近くにいる選手オブジェクト54bの操作対象選手オブジェクト54a’との距離lminが小さいほど、伸張速度sが速くなる。これにより、操作対象選手オブジェクト54a’のごく近くに敵である選手オブジェクト54bがいる場合の緊張感を好適に演出することができる。さらに、操作対象選手オブジェクト54a’が敵陣のゴールの近くにいればいるほど、伸張速度sが速くなり、これにより敵陣のゴールの近くに操作対象選手オブジェクト54a’がいる場合の緊張感を好適に演出することができる。
【0035】
図9は、このゲージ58を表示するためのゲーム装置10の処理(ゲージ処理)を示すフロー図である。同図に示す処理はDVD−ROM25に格納されたプログラムを家庭用ゲーム機11で実行することにより実現されるものである。また、この処理はユーザの操作対象である操作対象選手オブジェクト54a’がボールオブジェクト56を保持している状況で、ユーザがボタン38Bを押下すると実行されるものである。なお、ボールオブジェクト56がボールオブジェクト56を保持しているか否かは、例えばボールオブジェクト56と操作対象選手オブジェクト54a’との距離が所定距離以下であるか否かにより判断することができる。
【0036】
同図に示すように、ゲージ処理では、まず操作対象選手オブジェクト54a’と各選手オブジェクト54bとの仮想3次元空間50における距離lを算出する(S101)。次に、操作対象選手オブジェクト54a’の能力パラメータpを取得する(S102)。この能力パラメータpは、例えばDVD−ROM25に予め各選手オブジェクト54a,54bに関連づけて記憶されているものである。
【0037】
その後、S101の計算結果に基づき、近傍範囲60内に選手オブジェクト54bが配置されているか否かを判断する(S103)。すなわち、距離lが距離lth以下である選手オブジェクト54bがあるか否かを判断する。そして、そのような選手オブジェクト54bがあれば、近傍範囲60内に配置されている選手オブジェクト54bを計数する(S104)。さらに、操作対象選手オブジェクト54a’と敵陣のゴール位置53bとの距離lgを算出する(S105)。
【0038】
そして、S101で算出される距離lのうち最小値lmin、S102で取得される能力パラメータp、S104で計数される選手オブジェクト54bの数n、S105で算出される距離lgを、上記式(1)に代入して、伸張画像58aの伸張速度sを算出する(S106)。一方、S103において、近傍範囲60内に選手オブジェクト54bが配置されていないと判断されると、S102で取得される能力パラメータpを上記式(2)に代入して、伸張画像58aの伸張速度sを算出する(S107)。
【0039】
その後、S106又はS107で算出される伸張速度sにて伸張画像58aが伸張するゲージ58をゲーム画面に表示する(S108)。そして、ボタン38Bの押下が解除されるまで(S109)、伸張速度sに従ってゲーム画面における伸張画像58aの表示を更新する(S108)。その後、ボタン38Bの押下が解除されると、ゲーム画面へのゲージ58の表示を停止するとともに(S110)、伸張画像58aの長さ、すなわちボタン38Bを押下してから押下を解除するまでの時間を主記憶26に記憶させる(S111)。そして、図示しないメインルーチンに処理を戻す。主記憶26に記憶された伸張画像58aの長さは、ボールオブジェクト56を仮想3次元空間50において移動させる際の移動距離を決定するのに用いられる。例えば、ボールオブジェクト56の軌道を算出するためのボールオブジェクト56が蹴り出される速度や角度の決定に用いられる。
【0040】
以上説明したゲーム装置10によれば、ボールオブジェクト56の移動距離を指示する操作のためのゲージ58の伸張画像58aの長さが、仮想3次元空間50において、操作対象選手オブジェクト54a’に従動する近傍範囲60に敵である選手オブジェクト54bのうち少なくとも1つが配置されているか否かに応じた伸張速度sに従って変化する。このため、操作対象選手オブジェクト54a’と選手オブジェクト54bとの位置関係によって、ボールオブジェクト56の移動距離を指示する操作の難易度を変化させることができるようになり、敵選手が近くにいる場合の緊張感を好適に演出して、ゲームの仮想現実感を向上させることができる。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、以上の説明では関数fに代入する距離lを、操作対象選手オブジェクト54a’と近傍範囲60内の各選手オブジェクト54bとの距離の最小値としたが、ボールオブジェクト56と近傍範囲60内の各選手オブジェクト54bとの距離の最小値としてもよい。また、関数hに代入する距離lgを、操作対象選手オブジェクト54a’とゴール位置53bとの距離としたが、ボールオブジェクト56とゴール位置53bとの距離としてもよい。すなわち、操作対象選手オブジェクト54a’の位置に代えて、ボールオブジェクト56の位置を適宜用いてもよい。
【0042】
また、以上の説明では、本発明を仮想3次元空間におけるサッカーゲームに適用する例を示したが、仮想2次元空間におけるサッカーゲームに適用してもよい。また、サッカーゲームのみならず、他のスポーツゲームに適用してもよい。さらに、操作対象オブジェクトがミサイル(移動体)を発射するゲームにも適用できる。また、また、操作案内用の画像は矩形状のゲージ58に限らず、円形や楕円形等、様々な形状の画像であってよい。また、表示内容の変化は、画像の長さの変化に限らず、例えば色や点滅速度等の変化であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係るゲーム装置のハードウェア構成を示す図である。
【図2】コントローラの外観を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るゲーム装置において主記憶上に構築される仮想3次元空間の一例を示す斜視図である。
【図4】モニタに表示されるゲーム画面の一例を示す図である。
【図5】ゲージ(伸張画像)の伸張速度を決定する方法を説明する図である。
【図6】ゲージの伸張速度を決定するために用いられる、敵である選手オブジェクトとの最短距離lminの関数fを示す図である。
【図7】ゲージの伸張速度を決定するために用いられる、近傍範囲内の敵である選手オブジェクトの数nの関数gを示す図である。
【図8】ゲージの伸張速度を決定するために用いられる、ゴール位置との距離lgの関数hを示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るゲーム装置によるゲージ処理を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0044】
10 ゲーム装置、11 家庭用ゲーム機、12 バス、14 マイクロプロセッサ、16 画像処理部、18 モニタ、20 音声処理部、22 スピーカ、24 DVD−ROM再生部、25 DVD−ROM、26 主記憶、28 メモリカード、30 入出力処理部、32 コントローラ、34 方向キー、35 振動子、36 スタートキー、37 セレクトキー、38A,38B,38X,38Y,39L,39R,41L,41R ボタン、50 仮想3次元空間(オブジェクト空間)、51a,51b ゴールオブジェクト、52 サッカーフィールドオブジェクト、53a,53b ゴール位置、54a,54b 選手オブジェクト、54a’ 操作対象選手オブジェクト、56 ボールオブジェクト、58 ゲージ、58a 伸張画像、58b 枠画像、60 近傍範囲。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより第1操作がされるか否かを監視する第1操作監視手段と、
前記ユーザにより前記第1操作がされる場合に、前記ユーザの操作対象であって所定の移動体を保持するものを示す操作対象オブジェクトと、前記操作対象に対する敵をそれぞれ示す1又は複数の敵オブジェクトと、が配置された仮想空間において、前記操作対象オブジェクトに従動する所定範囲内に前記1又は複数の敵オブジェクトのうちいずれか少なくとも1つが配置されているか否かを判断する敵オブジェクト配置判断手段と、
前記敵オブジェクト配置判断手段による判断結果に応じた速度で変化する画像を表示する変化画像表示手段と、
前記ユーザにより第2操作がされるか否かを監視する第2操作監視手段と、
前記ユーザにより前記第2操作がされる場合に、前記変化画像表示手段により表示されている前記画像の表示内容に応じた態様で、前記仮想空間において前記所定の移動体を示す移動体オブジェクトを移動させる移動体オブジェクト移動手段と、
を含むことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲーム装置において、
前記所定範囲は前記操作対象オブジェクト又は前記移動体オブジェクトを中心とする円形範囲である、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のゲーム装置において、
前記操作対象オブジェクト又は前記移動体オブジェクトと前記所定範囲内に配置された前記敵オブジェクトとの距離を算出するオブジェクト間距離算出手段をさらに含み、
前記変化画像表示手段は、前記画像を、前記オブジェクト間距離算出手段により算出される距離にさらに応じた速度で変化させる、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のゲーム装置において、
前記所定範囲内に配置された前記敵オブジェクトの数を計数する敵オブジェクト計数手段をさらに含み、
前記変化画像表示手段は、前記画像を、前記敵オブジェクト計数手段により計数される数にさらに応じた速度で変化させる、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のゲーム装置において、
前記仮想空間には前記移動体を移動させるべき場所を示す目標オブジェクトがさらに配置されており、
前記変化画像表示手段は、前記画像を、前記操作対象オブジェクト又は前記移動体オブジェクトと前記目標オブジェクトとの距離にさらに応じた速度で変化させる、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のゲーム装置において、
前記変化画像表示手段は、前記画像を、前記操作対象の所定の能力パラメータにさらに応じた速度で変化させる、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載のゲーム装置において、
前記第1操作はコントローラの所定のボタンを押下する操作であり、
前記第2操作は前記所定のボタンの押下を解除する操作である、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項8】
ユーザにより第1操作がされるか否かを監視する第1操作監視ステップと、
前記ユーザにより前記第1操作がされる場合に、前記ユーザの操作対象であって所定の移動体を保持するものを示す操作対象オブジェクトと、前記操作対象に対する敵をそれぞれ示す1又は複数の敵オブジェクトと、が配置された仮想空間において、前記操作対象オブジェクトに従動する所定範囲内に前記1又は複数の敵オブジェクトのうちいずれか少なくとも1つが配置されているか否かを判断する敵オブジェクト配置判断ステップと、
前記敵オブジェクト配置判断ステップでの判断結果に応じた速度で変化する画像を表示する変化画像表示ステップと、
前記ユーザにより第2操作がされるか否かを監視する第2操作監視ステップと、
前記ユーザにより前記第2操作がされる場合に、前記変化画像表示ステップで表示されている前記画像の表示内容に応じた態様で、前記仮想空間において前記所定の移動体を示す移動体オブジェクトを移動させる移動体オブジェクト移動ステップと、
を含むことを特徴とするゲーム装置の制御方法。
【請求項9】
ユーザにより第1操作がされるか否かを監視する第1操作監視手段、
前記ユーザにより前記第1操作がされる場合に、前記ユーザの操作対象であって所定の移動体を保持するものを示す操作対象オブジェクトと、前記操作対象に対する敵をそれぞれ示す1又は複数の敵オブジェクトと、が配置された仮想空間において、前記操作対象オブジェクトに従動する所定範囲内に前記1又は複数の敵オブジェクトのうちいずれか少なくとも1つが配置されているか否かを判断する敵オブジェクト配置判断手段、
前記敵オブジェクト配置判断手段による判断結果に応じた速度で変化する画像を表示する変化画像表示手段、
前記ユーザにより第2操作がされるか否かを監視する第2操作監視手段、及び
前記ユーザにより前記第2操作がされる場合に、前記変化画像表示手段により表示されている前記画像の表示内容に応じた態様で、前記仮想空間において前記所定の移動体を示す移動体オブジェクトを移動させる移動体オブジェクト移動手段
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−252544(P2007−252544A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79803(P2006−79803)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】