説明

ゲーム装置、ゲーム装置の制御方法及びプログラム

【課題】ユーザの操作にしたがってボールオブジェクトを仮想空間内で移動させる球技のゲームにおいて、移動距離等の移動の態様を指示する操作の仮想現実感を向上させる。
【解決手段】ボールオブジェクトが第1のゴールオブジェクト内に移動することによる第1のチームの得点を判断する得点判断部62aと、ボールオブジェクトを保持する第1のチームの操作対象オブジェクトに対して、ユーザによりボタンの押下がされるか否かを監視し、ボタンの押下がされる場合に、得点判断部62aにより判断される第1のチームの得点に応じた速度で変化するゲージの画像を表示するゲージ表示部68と、ユーザによりボタンの押下解除がされる場合に、ゲージ表示部68により表示されているゲージの画像の表示内容(ゲージの長さ)に応じた態様で、仮想3次元空間においてボールオブジェクトを移動させるボールオブジェクト移動部62bと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲーム装置、ゲーム装置の制御方法及びプログラムに関し、特にゲージ等の画像を用いたゲームの操作入力に関する。
【背景技術】
【0002】
仮想3次元空間にサッカーフィールドを示すフィールドオブジェクトを配置するとともに、このフィールドオブジェクト上に第1のチームに対応するサッカー選手をそれぞれ示す複数のサッカー選手オブジェクト、第2のチームに対応するサッカー選手をそれぞれ示す複数のサッカー選手オブジェクト、第1及び第2のチームに対応する2つのゴールオブジェクト、ボールを示すボールオブジェクトを配置して、サッカー選手オブジェクトに仮想的にサッカーを行わせ、ゴールオブジェクト内にボールオブジェクトを移動させることを競わせるコンピュータサッカーゲームが知られている。
【0003】
こうしたコンピュータサッカーゲームでは、サッカー選手オブジェクトのうち1つをユーザが操作できるようになっており、操作対象であるサッカー選手オブジェクト(操作対象選手オブジェクト)がボールオブジェクトを保持している場合に、ユーザが所定ボタンを押下する操作(キック準備操作)を行うと、ゲーム画面にゲージが表示される。このゲージは時間経過とともに表示内容(ゲージの長さ)が変化しており、ボタンの押下を解除する操作(キック操作)を行った際の表示内容に応じた距離だけ、ボールオブジェクトが仮想3次元空間内を移動するようになっている。
【特許文献1】特開2000−237448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、従来のコンピュータサッカーゲームでは、操作対象選手オブジェクトにボールを蹴る動作を行わせる際に、表示内容が時間経過とともに変化するゲージが表示される。しかし、ゲージの表示内容が変化する速度はゲームの状況に応じたものになっていない。このため、緊迫したゲームの状況でも、それ程緊迫していないゲームの状況でも、ユーザにとってボールの移動距離を指示する操作の難易度は変わらず、仮想現実感に乏しいという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ユーザの操作にしたがってボールオブジェクトを仮想空間内で移動させる球技のゲームにおいて、移動距離等の移動の態様を指示する操作の仮想現実感を向上させることができるゲーム装置、ゲーム装置の制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るゲーム装置は、第1のチームに対応づけられた、ユーザの操作対象である操作対象選手オブジェクトを含む1又は複数の第1の選手オブジェクト、第2のチームに対応づけられた1又は複数の第2の選手オブジェクト、及びボールオブジェクトが配置された仮想空間において、前記第1の選手オブジェクトが前記ボールオブジェクトを前記仮想空間の第1のゴールオブジェクト内に移動させること、及び前記第2の選手オブジェクトが前記ボールオブジェクトを前記仮想空間の第2のゴールオブジェクト内に移動させることを競う球技のゲームを実行するゲーム装置において、前記ボールオブジェクトが前記第1のゴールオブジェクト内に移動することによる前記第1のチームの得点を判断する得点判断手段と、前記ボールオブジェクトを保持する前記操作対象選手オブジェクトに対して、前記ユーザにより第1操作がされるか否かを監視する第1操作監視手段と、前記ユーザにより前記第1操作がされる場合に、前記得点判断手段により判断される前記第1のチームの得点に応じた速度で変化する画像を表示する変化画像表示手段と、前記ユーザにより第2操作がされるか否かを監視する第2操作監視手段と、前記ユーザにより前記第2操作がされる場合に、前記変化画像表示手段により表示されている前記画像の表示内容に応じた態様で、前記仮想空間において前記ボールオブジェクトを移動させるボールオブジェクト移動手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るゲーム装置の制御方法は、第1のチームに対応づけられた、ユーザの操作対象である操作対象選手オブジェクトを含む1又は複数の第1の選手オブジェクト、第2のチームに対応づけられた1又は複数の第2の選手オブジェクト、及びボールオブジェクトが配置された仮想空間において、前記第1の選手オブジェクトが前記ボールオブジェクトを前記仮想空間の第1のゴールオブジェクト内に移動させること、及び前記第2の選手オブジェクトが前記ボールオブジェクトを前記仮想空間の第2のゴールオブジェクト内に移動させることを競う球技のゲームを実行するゲーム装置の制御方法において、前記ボールオブジェクトが前記第1のゴールオブジェクト内に移動することによる前記第1のチームの得点を判断する得点判断ステップと、前記ボールオブジェクトを保持する前記操作対象選手オブジェクトに対して、前記ユーザにより第1操作がされるか否かを監視する第1操作監視ステップと、前記ユーザにより前記第1操作がされる場合に、前記得点判断ステップで判断される前記第1のチームの得点に応じた速度で変化する画像を表示する変化画像表示ステップと、前記ユーザにより第2操作がされるか否かを監視する第2操作監視ステップと、前記ユーザにより前記第2操作がされる場合に、前記変化画像表示ステップで表示されている前記画像の表示内容に応じた態様で、前記仮想空間において前記ボールオブジェクトを移動させるボールオブジェクト移動ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るプログラムは、第1のチームに対応づけられた、ユーザの操作対象である操作対象選手オブジェクトを含む1又は複数の第1の選手オブジェクト、第2のチームに対応づけられた1又は複数の第2の選手オブジェクト、及びボールオブジェクトが配置された仮想空間において、前記第1の選手オブジェクトが前記ボールオブジェクトを前記仮想空間の第1のゴールオブジェクト内に移動させること、及び前記第2の選手オブジェクトが前記ボールオブジェクトを前記仮想空間の第2のゴールオブジェクト内に移動させることを競う球技のゲームを実行する球技ゲーム実行手段、前記ボールオブジェクトが前記第1のゴールオブジェクト内に移動することによる前記第1のチームの得点を判断する得点判断手段、前記ボールオブジェクトを保持する前記操作対象選手オブジェクトに対して、前記ユーザにより第1操作がされるか否かを監視する第1操作監視手段、前記ユーザにより前記第1操作がされる場合に、前記得点判断手段により判断される前記第1のチームの得点に応じた速度で変化する画像を表示する変化画像表示手段、前記ユーザにより第2操作がされるか否かを監視する第2操作監視手段、及び前記ユーザにより前記第2操作がされる場合に、前記変化画像表示手段により表示されている前記画像の表示内容に応じた態様で、前記仮想空間において前記ボールオブジェクトを移動させるボールオブジェクト移動手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。コンピュータは、例えば家庭用ゲーム機、業務用ゲーム機、携帯用ゲーム機、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、携帯電話機、携帯情報端末等である。また、プログラムは、各種のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されてよい。
【0009】
本発明では、ボールを示すボールオブジェクトの移動距離、移動方向、移動速度等の移動の態様を指示する操作のための画像(例えばゲージ)が、仮想空間において、操作対象選手オブジェクトに対応する第1のチームの得点に応じた速度で変化する。このため、第1のチームの得点によって、ボールオブジェクトの移動の態様を指示する操作の難易度を変化させることができるようになり、自チームの得点の有無や量、相手チームと自チームとの得点差等による緊張感の差を好適に演出して、ゲームの仮想現実感を向上できる。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、前記変化画像表示手段は、前記得点判断手段により判断される前記第1のチームの得点が前記操作対象選手オブジェクトによるものであったか否かに応じた速度で変化する画像を表示する。こうすれば、操作対象選手オブジェクトが一度得点をして緊張がほぐれている様子を好適に演出して、ゲームの仮想現実感を向上させることができる。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、前記得点判断手段は、前記ボールオブジェクトが前記第2のゴールオブジェクト内に移動することによる前記第2のチームの得点をさらに判断し、前記変化画像表示手段は、前記得点判断手段により判断される前記第1のチームの得点が前記第2のチームの得点よりも多いか否かに応じた速度で変化する画像を表示する。こうすれば、相手チームよりも多く得点して緊張がほぐれている様子を好適に演出して、ゲームの仮想現実感を向上させることができる。
【0012】
なお、前記第1操作はコントローラの所定のボタンを押下する操作であってよく、前記第2操作は前記所定のボタンの押下を解除する操作であってよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係るゲーム装置のハードウェア構成を示す図である。同図に示すゲーム装置10は、モニタ18及びスピーカ22に接続された家庭用ゲーム機11に、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体たるDVD−ROM25及びメモリカード28が装着されることによって構成されている。モニタ18には家庭用テレビ受像機が用いられ、スピーカ22にはその内蔵スピーカが用いられる。また、ここではプログラムを家庭用ゲーム機11に供給するためにDVD−ROM25を用いるが、CD−ROMやROMカード等、他のあらゆるコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を用いるようにしてもよい。また、インターネット等の通信ネットワークを介して遠隔地からプログラムを家庭用ゲーム機11に供給するようにしてもよい。
【0015】
家庭用ゲーム機11は、マイクロプロセッサ14、画像処理部16、主記憶26、入出力処理部30、音声処理部20、コントローラ32及びDVD−ROM再生部24を含んで構成される公知のコンピュータゲームシステムである。マイクロプロセッサ14、画像処理部16、主記憶26及び入出力処理部30は、バス12によって相互データ通信可能に接続されており、入出力処理部30には、コントローラ32、音声処理部20、DVD−ROM再生部24及びメモリカード28が接続されている。コントローラ32以外の家庭用ゲーム機11の各構成要素は筐体内に収容されている。
【0016】
マイクロプロセッサ14は、図示しないROMに格納されるオペレーティングシステム、DVD−ROM25から読み出されるプログラム、及びメモリカード28から読み出されるセーブデータに基づいて、家庭用ゲーム機11の各部を制御し、ユーザにゲームを提供する。バス12はアドレス及びデータを家庭用ゲーム機11の各部でやり取りするためのものである。また、主記憶26は、例えばRAMを含んで構成されるものであり、DVD−ROM25から読み出されたプログラムやメモリカード28から読み出されたセーブデータが必要に応じて書き込まれる。また、主記憶26は、マイクロプロセッサ14の作業用としても用いられる。画像処理部16はVRAMを含んで構成されており、マイクロプロセッサ14から送られる画像データを受け取って、それに基づいてVRAM上にゲーム画面を描画するとともに、その内容をビデオ信号に変換して所定のタイミングで(ここでは1/60秒毎)モニタ18に出力する。
【0017】
入出力処理部30は、マイクロプロセッサ14が、コントローラ32、音声処理部20、DVD−ROM再生部24及びメモリカード28にアクセスするためのインタフェースである。音声処理部20はサウンドバッファを含んで構成されており、DVD−ROM25から読み出され、該サウンドバッファに記憶されたゲーム音楽、ゲーム効果音、メッセージ等の各種音声データを再生してスピーカ22から出力する。DVD−ROM再生部24は、マイクロプロセッサ14からの指示に従ってDVD−ROM25に記録されたプログラムを読み取る。コントローラ32は、ユーザが各種ゲーム操作の入力をするための汎用操作入力手段である。また、メモリカード28は、不揮発性メモリ(例えばEEPROM等)を含んでおり、家庭用ゲーム機11に対して脱着可能に構成されている。このメモリカード28には、各種ゲームのセーブデータ等が記憶される。
【0018】
図2は、コントローラ32の一例を示す図である。同図に示すコントローラ32は汎用ゲームコントローラであり、同図(a)に示すように、表面に方向キー34、スタートキー36、セレクトキー37、ボタン38X,38Y,38A,38Bを備えており、同図(b)に示すように、奥側側面に、さらにボタン39L,39R,41L,41Rを備えている。すなわち、コントローラ32の奥側側面には、表面側左右にボタン41L,41Rがそれぞれ備えられており、裏面側左右にボタン39L,39Rがそれぞれ備えられている。方向キー34は十字形状を有しており、通常はキャラクタやカーソルの移動方向を設定するのに用いられる。スタートキー36は三角形状を有する小型の押しボタンであり、通常はゲームのスタートやゲームの強制終了などに用いられる。ボタン38X,38Y,38A,38B,39L,39R,41L,41Rは、その他のゲーム操作に用いられる。コントローラ32を操作すると、その内容を示す操作データが家庭用ゲーム機11に入力されるようになっている。
【0019】
また、このコントローラ32には振動子35が内蔵されている。振動子35は、例えば圧電素子、或いは偏心重り付きのモータ等によって構成されるものであり、マイクロプロセッサ14からコントローラ32に供給される振動オン命令に応じて動作し、コントローラ32を振動させるようになっている。また、マイクロプロセッサ14からコントローラ32に供給される振動オフ命令に応じて動作を停止し、コントローラ32の振動を停止させるようになっている。
【0020】
以下、以上のハードウェア構成を有するゲーム装置10を用いて、サッカーゲームを実現する技術について説明する。このサッカーゲームでは、主記憶26上に、図3に示すように、サッカーフィールドオブジェクト52が配置された仮想3次元空間50が構築されるようになっている。サッカーフィールドオブジェクト52上には、サッカーゴールを表すゴールオブジェクト51a,51b、サッカーボールを表すボールオブジェクト56、サッカー選手を表す選手オブジェクト54a,54bが配置されている。選手オブジェクト54aは、ユーザの操作すべきサッカー選手を示しており、対戦する2チームのうち一方(チームA)を構成している。選手オブジェクト54aのうち、ボールオブジェクト56との距離が最も近い選手オブジェクト54a等、所定基準を満足する選手オブジェクト54aがユーザの現在の操作対象として選択されるようになっている。以下では、この操作対象となる選手オブジェクト54aを操作対象選手オブジェクト54a’と記すことにする。また、選手オブジェクト54bは、ユーザが操作すべきサッカー選手の敵であるサッカー選手を示すオブジェクトであり、上記2チームのうち他方(チームB)を構成している。選手オブジェクト54a,54b、操作対象選手オブジェクト54a’、ボールオブジェクト56の位置及び姿勢はリアルタイムに主記憶26上に保持されている。
【0021】
ゴールオブジェクト51aは、選手オブジェクト54aに対応するゴールを示す直方体状のオブジェクトであり、サッカーフィールドオブジェクト52における選手オブジェクト54aの自陣側の端(図中左端)に設けられている。一方、ゴールオブジェクト51bは、選手オブジェクト54bに対応するゴールを示す直方体状のオブジェクトであり、サッカーフィールドオブジェクト52における選手オブジェクト54bの自陣側の端(図中右端)に設けられている。
【0022】
操作対象選手オブジェクト54a’以外の選手オブジェクト54a,54bは、例えば公知のアルゴリズムに従って仮想3次元空間50における動作が制御されるオブジェクトである。一方、操作対象選手オブジェクト54a’はコントローラ32による操作に従ってサッカーフィールドオブジェクト52上を動作するオブジェクトである。特に、操作対象選手オブジェクト54a’がボールオブジェクト56を保持している状況で、コントローラ32のボタン38Bを押下し、該押下を解除することで、方向キー34を入力している方向にボールオブジェクト56を移動させることができるようになっている。ゲーム画面には時間経過とともに伸張する伸張画像を含むゲージが表示され、この伸張画像の長さに応じてボールオブジェクト56の移動距離が決定されるようになっている。
【0023】
すなわち、このゲーム装置10では、操作対象選手オブジェクト54a’がボールオブジェクト56を保持している状況で、コントローラ32のボタン38Bを押下すると、ゲージをゲーム画面に表示するようになっている。このゲージは時間とともに自立的にその長さを零から所定長に伸張するようになっている。こうして、内容が変化する画像が操作案内のために表示されるようになっている。そして、ボタン38Bの押下を解除、すなわちボタン38Bを押下前の状態に戻すと、ゲージがゲーム画面から消えるようになっている。そして、ボタン38Bを押下してから押下解除するまでの時間の長さ、すなわち表示されているゲージの長さに対応する飛距離で、ボールオブジェクト56が操作対象選手オブジェクト54a’により蹴り出されるようになっている。なお、ボタン38Bが押下された場合に、ゲージの長さが所定長から次第に短くなるようにして、ボタン38Bの押下が解除された場合に、その際のゲージの長さに応じた飛距離でボールオブジェクト56が操作対象選手オブジェクト54a’により蹴り出されるようにしてよいのはもちろんである。
【0024】
図4は、モニタ18に表示されるゲーム画面の一例を示す図である。同図に示すゲーム画面は、空間画像と操作案内画像とを重畳することにより生成されている。空間画像は、サッカーフィールドオブジェクト52が配置された仮想3次元空間50に視点及び視線方向を設定して、視点から視線方向を見た様子を可視化することにより生成されている。操作案内画像は、ボタン38Bの押下に応じて表示されるゲージ58を含んでいる。同図に示すように、ゲージ58は矩形状の枠画像58bと、該枠画像58b内に左詰で配置され、自立的に伸張する伸張画像58aとを含んでいる。なお、ゲージ58の伸張画像58aが最大長に達するまでボタン38Bの押下が解除されないと、所定の飛距離でボールオブジェクト54が蹴り出される。
【0025】
本実施形態では、ゲームの仮想現実感を高めるために、この伸張画像58aの伸張速度(操作案内用の画像の変化速度)が操作対象選手オブジェクト54a’の置かれている状況によって制御されるようになっている。すなわち、操作対象選手オブジェクト54a’が属するチームAが既に得点をしていると、伸張速度sが基準速度s0よりも遅くなるようにしている。また、チームAの得点が操作対象選手オブジェクト54a’によるものであれば、伸張速度sがさらに遅くなるようにしている。また、チームAがチームBよりも勝っていれば、伸張速度sがさらに遅くなるようにしている。本実施形態では、このようにゲームの得点状況によって伸張画像58aの伸張速度sを変化させて、ボールオブジェクト56を狙った態様で蹴り出すための操作の難易度を変化させているので、自チームが既に得点を上げていたり、自チームが勝っていたり、ボールを蹴る選手(操作対象選手オブジェクト54a’)が既に得点を上げていたりして、有利な状況にあれば操作対象選手オブジェクト54a’がボールオブジェクト56を落ち着いて蹴り出すことができる様子を好適に表現でき、ゲームの仮想現実感を高めることができる。
【0026】
図5は、ゲーム装置10の機能ブロック図を示している。同図に示すように、ゲーム装置10は、機能的には操作部60、ゲーム制御部62、表示部64、空間情報記憶部66及びゲージ表示部68を含んでいる。ゲーム制御部62は、得点判断部62a及びボールオブジェクト移動部62bを含んでいる。これらの機能は、本発明の一実施形態に係るプログラムを格納したDVD−ROM25を家庭用ゲーム機11で実行させることにより、実現されるものである。
【0027】
まず、空間情報記憶部66は、DVD−ROM25や主記憶26を含んで構成されており、仮想3次元空間50に配置された選手オブジェクト54a,54b、サッカーフィールドオブジェクト52、ゴールオブジェクト51a,51b、ボールオブジェクト56の位置及び姿勢を記憶している。また、各オブジェクトは多数のポリゴンにより構成されており、それらポリゴンにマッピングされるテクスチャも記憶している。さらに、ゲームの得点状況、すなわち図6に示すように、各チームの得点、各チームの得点がどの選手オブジェクト54a,54bによるものかを示す選手ID並びにその得点がなされた時刻を記憶している。また、空間情報記憶部66は、現在の操作対象選手オブジェクト54a’を識別する選手IDを記憶する。
【0028】
表示部64は、モニタ18を含んで構成されており、ゲーム制御部62から供給される空間画像とゲージ表示部68から供給される操作案内画像を重ね合わせて、図4に示すようなゲーム画面を表示するものである。
【0029】
操作部60は、コントローラ32を含んで構成されており、方向キー34による操作対象選手オブジェクト54a’の移動方向の指示、ボタン38Bの押下及びその解除によるボールオブジェクト56の蹴り出しの指示等を受け付ける。
【0030】
ゲーム制御部62は、操作部60により受け付けられる指示、空間情報記憶部66に記憶される選手オブジェクト54a,54b及びボールオブジェクト56の現在(現フレーム時刻)の位置及び姿勢に基づき、次時刻(次フレーム時刻)におけるそれらの位置及び姿勢を算出するものである。そして、この算出結果に従って、空間情報記憶部66に記憶された選手オブジェクト54a,54b及びボールオブジェクト56の位置及び姿勢を更新する。さらに、チームAに属する選手オブジェクト54aの位置とボールオブジェクト56の位置等に基づいて現在の操作対象選手オブジェクト54a’を判断し、その選手オブジェクト54aを識別する選手IDを空間情報記憶部66に記憶させる。
【0031】
また、得点判断部62aは、ボールオブジェクト56がゴールオブジェクト51a又は51bの中に移動したか否かを監視しており、ゴールオブジェクト51a内に移動すれば、空間情報記憶部66に記憶されたチームAの得点を1だけ増やすとともに、その得点をした選手オブジェクト54a,54bの選手IDならびに得点時刻を空間情報記憶部66に記憶させる。また、ゴールオブジェクト51b内に移動すれば、空間情報記憶部66に記憶されたチームBの得点を1だけ増やすとともに、その得点をした選手オブジェクト54a,54bの選手IDならびに得点時刻を空間情報記憶部66に記憶させる。
【0032】
ボールオブジェクト移動部62bは、ゲージ表示部68から供給されるパラメータ(ゲージ58の伸張画像58aの長さ)に従って、ボールオブジェクト56を操作対象選手オブジェクト54a’から蹴り出させて、仮想3次元空間50内を移動させる処理を行う。この処理により、ボールオブジェクト移動部62bは、空間情報記憶部66に記憶されたボールオブジェクト56の位置及び姿勢を順次更新する。
【0033】
ゲージ表示部68は、ボールオブジェクト56を保持するチームAの操作対象選手オブジェクト54a’に対して、ユーザによりボタン38Bの押下によるボールオブジェクト56の蹴り出しの指示がされるか否かを監視している。そして、ボタン38Bの押下がされる場合に、得点判断部62aにより判断されるチームAの得点の有無、チームAの得点が操作対象選手オブジェクト54a’によるものであったか否か、チームAの得点がチームBの得点よりも多いか否かに応じて決定される速度で伸張する、ゲージ58の画像を表示部64により表示させる。すなわち、チームAが1点以上得点していれば、基準速度s0の0.85倍をゲージ58の伸張速度sとする。また、チームAのいずれかの得点が操作対象選手オブジェクト54a’によるものであれば、基準速度s0の0.7倍をゲージ58の伸張速度sとする。また、チームAの得点がチームBの得点を上回っていれば、以上のようにして決定された伸張速度sをさらに0.9倍した値をゲージ58の伸張速度sとする。ゲージ表示部68では、こうして決定された伸張速度sにて伸張画像58aが伸張するゲージ58の動画像を表示部64により表示させる。
【0034】
その後、ゲージ表示部68では、ユーザによりボタン38Bの押下が解除されるか否かを監視する。そして、ユーザによりボタン38Bの押下が解除される場合(ボタン38Bが押下前の状態に戻される場合)に、ゲージ表示部68により表示されているゲージ58の画像の表示内容、すなわち伸張画像58aの長さをボールオブジェクト移動部62bに通知する。そして、ボールオブジェクト移動部62bは、伸張画像58aの長さに応じた態様で、仮想3次元空間50においてボールオブジェクト56を移動させる。
【0035】
図7は、このゲージ58を表示するためのゲーム装置10の処理(ゲージ処理)を示すフロー図である。同図に示す処理はDVD−ROM25に格納されたプログラムを家庭用ゲーム機11で実行することにより実現されるものであり、ゲージ表示部68により行われるものである。また、この処理はユーザの操作対象である操作対象選手オブジェクト54a’がボールオブジェクト56を保持している状況で、ユーザがボタン38Bを押下すると実行されるものである。なお、ボールオブジェクト56がボールオブジェクト56を保持しているか否かは、例えばボールオブジェクト56と操作対象選手オブジェクト54a’との距離が所定距離以下であるか否かにより判断することができる。
【0036】
同図に示すように、ゲージ処理では、まず操作対象選手オブジェクト54a’の選手IDを空間情報記憶部66から読み出す(S101)。さらに、空間情報記憶部66からチームAの得点PA及びチームBの得点PBを読み出す(S102)。そして、ゲージ58(伸張画像58a)の伸張速度sを基準速度s0に設定する(S103)。
【0037】
次に、S102で読み出されたチームAの得点PAが0よりも大きいか、すなわち1点以上の点をチームAがとっているかを判断する(S104)。チームAが1点もとっていなければ、S110に進む。一方、チームAが1点以上の点をとっていれば、次に空間情報記憶部66に記憶されているチームAの各得点をした選手の選手IDを読み出して、その中にS101で読み出された操作対象選手オブジェクト54a’の選手IDが含まれているか否かを判断する(S105)。そして、操作対象選手オブジェクト54a’の選手IDが含まれていれば伸張速度sを0.7倍の値に更新する(S106)。一方、含まれていなければ伸張速度sを0.85倍の値に更新する(S107)。
【0038】
その後さらに、S102で読み出されたチームA及びチームBの得点PA,PBに基づき、操作対象選手オブジェクト54a’が属しているチームAが勝っているか否かを判断する(S108)。そして、勝っていれば伸張速度sをさらに0.9倍して伸張速度sを更新する(S109)。また、勝っていなければ、すなわち同点であるか負けていればS110に進む。
【0039】
S110では、以上のようにして算出される伸張速度sにて伸張画像58aが伸張するゲージ58をゲーム画面に表示する。そして、ボタン38Bの押下が解除されるまで(S111)、伸張速度sに従ってゲーム画面における伸張画像58aの表示を更新する(S110)。その後、ボタン38Bの押下が解除されると、ゲーム画面へのゲージ58の表示を停止するとともに(S112)、伸張画像58aの長さ、すなわちボタン38Bを押下してから押下を解除するまでの時間を主記憶26に記憶させる(S113)。そして、図示しないメインルーチンに処理を戻す。主記憶26に記憶された伸張画像58aの長さは、ボールオブジェクト移動部62bが、ボールオブジェクト56を仮想3次元空間50において移動させる際の移動距離を決定するのに用いられる。例えば、ボールオブジェクト56の軌道を算出するためのボールオブジェクト56が蹴り出される速度や角度の決定に用いられる。
【0040】
以上説明したゲーム装置10によれば、ボールオブジェクト56の移動の態様(移動距離、初速度、蹴り出しの角度等)を指示する操作のための画像、すなわちゲージ58が、操作対象選手オブジェクト54a’が所属するチームAの得点PAに応じた速度で変化する。このため、チームAの得点PAによって、ボールオブジェクト56の移動の態様を指示する操作の難易度を変化させることができるようになり、自チームの得点の有無や量、相手チームと自チームとの得点差等による緊張感の差を好適に演出して、ゲームの仮想現実感を向上できる。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、以上の説明では、本発明を仮想3次元空間50におけるサッカーゲームに適用する例を示したが、仮想2次元空間における他の球技のゲームに適用してもよい。また、操作案内用の画像は矩形状のゲージ58に限らず、円形や楕円形等、様々な形状の画像であってよい。また、表示内容の変化は、画像の長さの変化に限らず、例えば色や点滅速度等の変化であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態に係るゲーム装置のハードウェア構成を示す図である。
【図2】コントローラの外観を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るゲーム装置において主記憶上に構築される仮想3次元空間の一例を示す斜視図である。
【図4】モニタに表示されるゲーム画面の一例を示す図である。
【図5】ゲーム装置の機能ブロック図である。
【図6】空間情報記憶部に記憶される得点状況を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るゲーム装置によるゲージ処理を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0043】
10 ゲーム装置、11 家庭用ゲーム機、12 バス、14 マイクロプロセッサ、16 画像処理部、18 モニタ、20 音声処理部、22 スピーカ、24 DVD−ROM再生部、25 DVD−ROM、26 主記憶、28 メモリカード、30 入出力処理部、32 コントローラ、34 方向キー、35 振動子、36 スタートキー、37 セレクトキー、38A,38B,38X,38Y,39L,39R,41L,41R ボタン、50 仮想3次元空間(オブジェクト空間)、51a,51b ゴールオブジェクト、52 サッカーフィールドオブジェクト、54a,54b 選手オブジェクト、54a’ 操作対象選手オブジェクト、56 ボールオブジェクト、58 ゲージ、58a 伸張画像、58b 枠画像、60 操作部、62 ゲーム制御部、62a 得点判断部、62b ボールオブジェクト移動部、64 表示部、66 空間情報記憶部、68 ゲージ表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のチームに対応づけられた、ユーザの操作対象である操作対象選手オブジェクトを含む1又は複数の第1の選手オブジェクト、第2のチームに対応づけられた1又は複数の第2の選手オブジェクト、及びボールオブジェクトが配置された仮想空間において、前記第1の選手オブジェクトが前記ボールオブジェクトを前記仮想空間の第1のゴールオブジェクト内に移動させること、及び前記第2の選手オブジェクトが前記ボールオブジェクトを前記仮想空間の第2のゴールオブジェクト内に移動させることを競う球技のゲームを実行するゲーム装置において、
前記ボールオブジェクトが前記第1のゴールオブジェクト内に移動することによる前記第1のチームの得点を判断する得点判断手段と、
前記ボールオブジェクトを保持する前記操作対象選手オブジェクトに対して、前記ユーザにより第1操作がされるか否かを監視する第1操作監視手段と、
前記ユーザにより前記第1操作がされる場合に、前記得点判断手段により判断される前記第1のチームの得点に応じた速度で変化する画像を表示する変化画像表示手段と、
前記ユーザにより第2操作がされるか否かを監視する第2操作監視手段と、
前記ユーザにより前記第2操作がされる場合に、前記変化画像表示手段により表示されている前記画像の表示内容に応じた態様で、前記仮想空間において前記ボールオブジェクトを移動させるボールオブジェクト移動手段と、
を含むことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲーム装置において、
前記変化画像表示手段は、前記得点判断手段により判断される前記第1のチームの得点が前記操作対象選手オブジェクトによるものであったか否かに応じた速度で変化する画像を表示する、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のゲーム装置において、
前記得点判断手段は、前記ボールオブジェクトが前記第2のゴールオブジェクト内に移動することによる前記第2のチームの得点をさらに判断し、
前記変化画像表示手段は、前記得点判断手段により判断される前記第1のチームの得点が前記第2のチームの得点よりも多いか否かに応じた速度で変化する画像を表示する、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のゲーム装置において、
前記第1操作はコントローラの所定のボタンを押下する操作であり、
前記第2操作は前記所定のボタンの押下を解除する操作である、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項5】
第1のチームに対応づけられた、ユーザの操作対象である操作対象選手オブジェクトを含む1又は複数の第1の選手オブジェクト、第2のチームに対応づけられた1又は複数の第2の選手オブジェクト、及びボールオブジェクトが配置された仮想空間において、前記第1の選手オブジェクトが前記ボールオブジェクトを前記仮想空間の第1のゴールオブジェクト内に移動させること、及び前記第2の選手オブジェクトが前記ボールオブジェクトを前記仮想空間の第2のゴールオブジェクト内に移動させることを競う球技のゲームを実行するゲーム装置の制御方法において、
前記ボールオブジェクトが前記第1のゴールオブジェクト内に移動することによる前記第1のチームの得点を判断する得点判断ステップと、
前記ボールオブジェクトを保持する前記操作対象選手オブジェクトに対して、前記ユーザにより第1操作がされるか否かを監視する第1操作監視ステップと、
前記ユーザにより前記第1操作がされる場合に、前記得点判断ステップで判断される前記第1のチームの得点に応じた速度で変化する画像を表示する変化画像表示ステップと、
前記ユーザにより第2操作がされるか否かを監視する第2操作監視ステップと、
前記ユーザにより前記第2操作がされる場合に、前記変化画像表示ステップで表示されている前記画像の表示内容に応じた態様で、前記仮想空間において前記ボールオブジェクトを移動させるボールオブジェクト移動ステップと、
を含むことを特徴とするゲーム装置の制御方法。
【請求項6】
第1のチームに対応づけられた、ユーザの操作対象である操作対象選手オブジェクトを含む1又は複数の第1の選手オブジェクト、第2のチームに対応づけられた1又は複数の第2の選手オブジェクト、及びボールオブジェクトが配置された仮想空間において、前記第1の選手オブジェクトが前記ボールオブジェクトを前記仮想空間の第1のゴールオブジェクト内に移動させること、及び前記第2の選手オブジェクトが前記ボールオブジェクトを前記仮想空間の第2のゴールオブジェクト内に移動させることを競う球技のゲームを実行する球技ゲーム実行手段、
前記ボールオブジェクトが前記第1のゴールオブジェクト内に移動することによる前記第1のチームの得点を判断する得点判断手段、
前記ボールオブジェクトを保持する前記操作対象選手オブジェクトに対して、前記ユーザにより第1操作がされるか否かを監視する第1操作監視手段、
前記ユーザにより前記第1操作がされる場合に、前記得点判断手段により判断される前記第1のチームの得点に応じた速度で変化する画像を表示する変化画像表示手段、
前記ユーザにより第2操作がされるか否かを監視する第2操作監視手段、及び
前記ユーザにより前記第2操作がされる場合に、前記変化画像表示手段により表示されている前記画像の表示内容に応じた態様で、前記仮想空間において前記ボールオブジェクトを移動させるボールオブジェクト移動手段
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−252545(P2007−252545A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79804(P2006−79804)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】