説明

ゲーム装置及びそれに用いるコンピュータプログラム

【課題】操作指標の表示を改良することにより、ゲームの興趣を高めることが可能なゲーム装置を提供する。
【解決手段】表示面3aを上方に向けて設けられたモニタ3上で操作指標102を操作基準線101に向かって移動させることにより、複数の操作部4のそれぞれのプレイボタン5pが操作されるべき時刻をプレイヤに指示するゲーム装置1において、操作指標102の出現位置を適宜に変化させるとともに、その出現位置から操作基準線101上の各操作部4に対応した位置までの距離と、操作指標102が操作基準線101に達するまでの到達時間とから操作指標102の移動速度を演算し、その移動速度に基づいて操作指標102の表示位置を漸次変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面上で操作を指示するゲーム装置、及びこれに用いるコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
操作部の特定の操作部材の操作を指示する操作指標を画面上で移動させ、その操作指標が所定の指示位置に達したタイミングとプレイヤがその指標に対応する操作部材を操作したタイミングとのずれに基づいてプレイヤの操作を評価するゲーム装置が知られている(例えば特許文献1参照)。表示装置の表示面の周囲に複数の操作部を配置し、複数のプレイヤに共通したゲームをプレイさせるゲーム装置も知られている(例えば特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−218046号公報
【特許文献2】特開2003−236243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のゲーム装置は、操作指標の画面上における出現位置が一定位置に固定されている。つまり、プレイヤから見て操作指標が常に一定の位置で出現し、単調さを感じさせる要因となり得る。この点で従来の操作指示には工夫の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、操作指標の表示を改良することにより、ゲームの興趣を高めることが可能なゲーム装置及びそれに用いるコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゲーム装置(1)は、表示面(3a)を上方に向けて設けられた表示装置(3)と、前記表示面の周囲に配置され、プレイヤの操作に対応した信号を出力する少なくとも一つの操作部材(5r、5g、5b)をそれぞれ有する複数の操作部(5)と、前記複数の操作部のそれぞれの操作部材に対してゲームの実行中に行われるべき操作をゲーム上の時刻と対応付けて記述したデータ(D1)を記憶する記憶手段(22)と、前記表示面上の出現位置(Pa)から前記操作部毎に設定された指示位置(Pt1〜Pt4:Pt11、Pt12…Pt41、Pt42)に向かって操作指標(102)を移動させることにより、前記データに記述された操作の時刻にて前記プレイヤに当該操作を指示する操作指示手段(20)と、を具備し、前記操作指示手段は、前記表示面上における前記出現位置を可変制御する出現位置制御手段(24)と、前記出現位置から前記指示位置までの距離と、前記出現位置に前記操作指標が出現する時刻と前記データにて記述された時刻との時間間隔に基づいて、前記データで記述された時刻に前記操作指標が各操作部の前記指示位置に到達するために必要な前記操作指標の移動速度を演算し、演算された移動速度に基づいて前記操作指標の表示位置を決定する指標位置演算手段(25)と、前記指標位置演算手段が決定した前記操作指標の位置に基づいて前記表示面上の前記操作指標が前記移動速度に従って移動するように当該操作指標を表示させる指標表示制御手段(27)と、を備えることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
本発明のゲーム装置によれば、出現位置制御手段が操作指標の出現位置を可変制御することにより、操作指標の出現位置が表示面上で固定されることなく、適宜に変化する。そして、その出現位置から各操作部の指示位置までの距離と、それらの距離を操作指標が移動すべき時間とから操作指標の移動速度が演算され、予め定められた時刻にて操作指標が指示位置に到達するように操作指標の表示位置が決定される。従って、出現位置が変化しても、データに記述された時刻に操作部材を操作するようにプレイヤに指示を与えることができる。
【0008】
本発明のゲーム装置において、前記指標位置演算手段は、前記出現位置と前記指示位置とを結ぶ直線(L1〜L4:L11、L12…L41、L42)上の点であって、前記データに記述された操作の時刻に前記指示位置に到達すべき点を代表点(Pb1〜Pb4:Pb11、Pb12…Pb41、Pb42)として、該代表点の移動速度を演算するとともに、該代表点の表示位置を決定し、前記指標表示制御手段は、前記代表点の表示位置に基づいて前記操作指標を表示させてもよい。さらに、前記指標表示制御手段は、前記代表点間を補間することにより、前記操作指標を閉じた形状で表示させてもよいし、前記出現位置から前記代表点まで延びるようにして前記操作指標を表示させてもよい。すなわち、本発明において、操作指標の移動とは、予め定められた時刻に指示位置に到達すべき部分が表示面上で漸次位置を変化させることを意味し、全体の位置が漸次変化する場合のみならず、その一部が表示面上で漸次位置を変える場合も移動の概念に含まれる。本発明のゲーム装置は、前記操作指標によって指示された操作の時刻と、プレイヤが前記操作部材を操作した時刻とのずれに基づいてプレイヤの操作を評価する評価手段(26)をさらに備えてもよい。
【0009】
本発明のコンピュータプログラムは、表示面(3a)を上方に向けて設けられた表示装置(3)と、前記表示面の周囲に配置され、プレイヤの操作に対応した信号を出力する少なくとも一つの操作部材(5b、5g、5r)をそれぞれ有する複数の操作部(4)と、前記複数の操作部のそれぞれの操作部材に対してゲームの実行中に行われるべき操作をゲーム上の時刻と対応付けて記述したデータ(D1)を記憶する記憶手段(22)とを備えたゲーム装置(1)のコンピュータ(20)に適用され、前記表示面上の出現位置(Pa)から前記操作部毎に設定された指示位置(Pt1〜Pt4:Pt11、12…Pt41、Pt42)に向かって操作指標(102)を移動させることにより、前記データに記述された操作の時刻にて前記プレイヤに当該操作を指示するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、前記表示面上における前記出現位置を可変制御する出現位置制御手段(24)、前記出現位置から前記指示位置までの距離と、前記出現位置に前記操作指標が出現する時刻と前記データにて記述された時刻との時間間隔に基づいて、前記データで記述された時刻に前記操作指標が各操作部の前記指示位置に到達するために必要な前記操作指標の移動速度を演算し、演算された移動速度に基づいて前記操作指標の表示位置を決定する指標位置演算手段(25)、及び、前記指標位置演算手段が決定した前記操作指標の位置に基づいて、前記表示面上の前記操作指標が前記移動速度に従って移動するように当該操作指標を表示させる指標表示制御手段(27)、として機能させるように構成されたものである。
【0010】
本発明のコンピュータプログラムを上述したゲーム装置のコンピュータに読み取らせて実行することにより、本発明のゲーム装置を実現することができる。なお、本発明のコンピュータプログラムは、上述した本発明のゲーム装置の各態様をさらに実現するように構成されてもよい。本発明のコンピュータプログラムは、記憶媒体に記録されてコンピュータに提供されてもよいし、あるいはネットワークを通じてコンピュータに提供されてもよい。
【0011】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0012】
以上に説明したように、本発明によれば、操作指標の出現位置を変化させつつ、予め定められた時刻に操作指標が指示位置に到達するようにその表示を制御することができる。従って、操作指標の表示に関して斬新性、あるいは意外性を与え、それによりゲームの興趣を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明の一形態に係るゲーム装置の斜視図である。ゲーム装置1は、テーブル状の筐体2を備えている。筐体2の上面は水平であり、その中央には表示装置としてのモニタ3がその表示面3aを上方に向けた状態で設置されている。モニタ3にはフラットパネルディスプレイ等が用いられるが、その表示面の周囲が覆われことにより、ゲーム装置1としての表示面3aは正方形状に規定されている。モニタ3の周囲には、筐体2の4辺にそれぞれ沿って4つの操作部4が設けられている。各操作部4が1人のプレイヤに対応付けられることにより、ゲーム装置1は、同時に4人のプレイヤがゲームをプレイ可能である。但し、一つの操作部4にて複数のプレイヤがプレイすることを排除するものではない。
【0014】
各操作部4には、「S、R、G、B」の文字がそれぞれ付された4つの操作ボタン(操作部材)5s、5r、5g、5bが一列に並べて設けられている。以下では、4つの操作ボタンを区別する必要がないときは操作ボタン5と称することがある。また、Rボタン5r、Gボタン5g、Bボタン5bを合わせてプレイボタン5pと称することがある。各操作ボタン5はそれぞれの押し込み操作に対応して所定の操作信号を出力する。なお、ゲーム装置1は、所定の遊技価値の消費と引き換えに一定範囲のゲームをプレイ可能とする商用のゲーム装置として構成されているが、本発明のゲーム装置は商用に限らない。
【0015】
本形態のゲーム装置1においては、プレイヤが選択した曲がBGMとして演奏され、その曲の進行に合わせてプレイボタン5pを操作することによりゲームが進行する。つまり、ゲーム装置1は、音楽に合わせた操作を競うタイプの音楽ゲーム装置として構成されている。モニタ3の表示面3aには、各操作部4のプレイボタン5pの操作を指示するための画像として、操作指示画像100が表示される。操作指示画像100は、その構成要素として、表示面3aの外周にほぼ内接するように表示される円環状の操作基準線101と、表示面3a上の出現位置Paから操作基準線101に向かって漸次移動する環状の操作指標102とを含んでいる。筐体2の各辺のほぼ中央位置には、プレイヤが操作指示画像100による操作指示のタイミングを把握するための基準となるべき指示位置を示す三角形状の基準マーク6が設けられている。
【0016】
図2A〜図2Cは、操作指示画像100による操作指示の一態様を示す図である。図2Aに示すように、本形態のゲーム装置1では、一回のゲームのプレイ中において、予め定められた時刻に点状又は微小径の円環状の操作指標102が画像100内の出現位置Paに出現する。出現した操作指標102は、ゲーム上の時間の進行に伴って半径方向外側に漸次拡大する。図2Bは操作指標102の移動途中の様子を示している。図2Cに示すように、操作指標102が操作基準線101に重なる位置まで移動すると、プレイボタン5pを操作すべきタイミング(時刻)となる。以下では、操作基準線101と操作指標102とによって指示されるタイミングを入力タイミングと呼ぶ。操作指標102には、Rボタン5r、Gボタン5g又はBボタン5bのいずれを操作すべきかを指示するための属性が付されている。例えば、Rボタン5rが赤色、Gボタン5gが緑色、Bボタン5bが青色に塗り分けられている場合、操作指標102には、操作すべきプレイボタン5pと同一色が属性として付されている。一例として、Rボタン5rが操作対象であれば操作指標102は赤色に着色される。なお、図2B及び図2Cでは出現位置Paを小円で示しているが、これらは実際には表示されなくてもよい。
【0017】
ゲーム装置1では、操作基準線101と操作指標102とによって指示される入力タイミングに合わせてプレイヤが操作対象のプレイボタン(つまり、操作指標102の属性と対応付けられたプレイボタン)5pを操作すると、その操作のタイミング(以下、これを操作タイミングと呼ぶ。)と入力タイミングとのずれがゲーム装置1にて評価される。両タイミングのずれが小さいほどプレイヤの操作が高く評価され、プレイヤの成績(得点)が上昇する。一回のゲーム内でこのような入力タイミングの指示と操作タイミングのずれの評価とが繰り返される。なお、図2A〜図2Cでは、操作指標102の出現位置が表示面3aの中央に設定されているが、その出現位置は一回のゲーム毎に、又は一回のゲーム中に適宜に変化する。ここでいう一回のゲームとは、BGMとして演奏される一曲の範囲内のゲームを意味する。
【0018】
図3は、上述したゲーム装置1の制御系の構成を示すブロック図である。ゲーム装置1には、ゲームを実行するための制御ユニット20が設けられている。制御ユニット20は、マイクロプロセッサとその動作に必要なRAM、ROM等の主記憶装置とを含むコンピュータユニットとして構成されている。制御ユニット20には、入力装置として、上述した各操作部(図では第1〜第4制御部と表記。)4の操作ボタン5が接続され、かつ、出力装置としてモニタ3が接続されている。また、制御ユニット20には、ゲーム用のプログラム及び各種のデータを記憶した外部記憶装置22が接続されている。
【0019】
外部記憶装置22に記憶されたプログラムが制御ユニット20に適宜に読み取られて実行されることにより、制御ユニット20の内部には、論理的装置として、ゲーム管理部23、出現位置制御部24、指標位置演算部25、操作評価部26及び描画制御部27が構成される。ゲーム管理部23は、ゲームの実行条件、例えばゲームのステージ、難易度等の選択、ゲームの開始、終了、ゲーム実行中の画像、BGM等の制御、プレイヤの成績(得点)の管理といった処理を実行する。
【0020】
出現位置制御部24は、ゲーム管理部23から与えられる情報を参照して操作指標102の出現位置Paを可変制御する。指標位置演算部25は、ゲーム管理部23から与えられるゲーム上の現在時刻と、出現位置制御部24から与えられる出現位置Paの情報と、外部記憶装置22に記憶されている操作シーケンスデータD1とに基づいて、操作指標102の表示位置を特定するための演算を実行し、その演算結果に基づいて操作指標102の表示位置及びその操作指標102の属性を示す情報を出力する。なお、ゲームの実行時において、操作シーケンスデータD1は外部記憶装置22から読み出されて制御ユニット20の主記憶装置(不図示)に保持されている。操作シーケンスデータD1の詳細は後述する。操作評価部26は、ゲーム管理部23から与えられるゲーム上の現在時刻と、操作シーケンスデータD1とに基づいて、入力タイミングと操作タイミングとのずれを操作部4毎に評価し、その評価結果をゲーム管理部23に返す。
【0021】
描画制御部27は、ゲーム管理部23から提供されるゲーム画面(操作指標102を除く)の情報と、指標位置演算部25から与えられる操作指標102の情報(位置及び属性)とを参照してゲーム画面を所定の周期で繰り返し描画する。描画制御部27にて描画されたゲーム画面のデータは表示制御回路21に出力される。表示制御回路21は、描画制御部27から出力されたデータに対応するゲーム画面が表示されるようにモニタ3に映像信号を出力する。
【0022】
図4は操作シーケンスデータD1の一例を示している。操作シーケンスデータD1は、プレイボタン5pの入力タイミングを定義したデータであって、ゲームで演奏される曲毎に用意されている。同一曲に対し、難易度等に応じて複数の操作シーケンスデータがさらに用意されてもよい。図4の例において、操作シーケンスデータD1は、ゲームの所定の基準時からの経過時刻t0、t1、t2…と、Rボタン5r、Gボタン5g及びBボタン5bのそれぞれに対応するRフラグ、Gフラグ、Bフラグとを関連付けたテーブル形式のデータとして構成されている。各フラグの値“1”は対応するプレイボタンのオンを、値“0”は対応するプレイボタンのオフをそれぞれ示している。従って、時刻t0、t1はRボタン5rの入力タイミングであり、時刻t2はGボタン5gの入力タイミングである。時刻の基準点は、一例として、ゲームで演奏される曲の開始時点に設定される。最初の時刻t0は、曲の序奏部分の終了時点に設定するといった設定が可能である。操作シーケンスデータD1は、全ての操作部4に対して共通である。つまり、本形態のゲーム装置1では、全ての操作部4に対して同一の入力タイミングで同一のプレイボタン5pを操作するように指示が与えられる。
【0023】
次に、制御ユニット20による操作指標102の表示方法について説明する。図5は、上述した制御ユニット20の出現位置制御部24により、操作指標102の出現位置Paがモニタ3の表示面3aの中央Pcからずれた位置に設定された状態を示している。なお、制御ユニット20では、出現位置Pa、操作指標102の位置等の各種の位置が、表示面3aの適当な位置(ここでは左下の角部に設定されている。)を原点Oとし、表示面3aの各辺と平行なx−y座標系の座標値によって特定される。出現位置Paの決定については後述する。上述したように、操作シーケンスデータD1では、全ての操作部4に対して共通で入力タイミングが設定されている。従って、操作指標102は操作基準線101の基準マーク6で示された位置(以下、これを目標位置と呼ぶ。)に同時に到達する必要がある。出現位置Paが表示面3aの中央であれば、出現位置Paから操作指標102を各操作部4に向かって等速で移動させればよいが、出現位置Paが中央からずれている場合には、その出現位置Paから各操作部4の目標位置までの操作指標102の移動速度が差別化される必要がある。そこで、指標位置演算部25では以下のようにして操作指標102の移動を制御する。
【0024】
出現位置Paの座標が出現位置制御部24から与えられると、その出現位置Paと、操作基準線101上の目標位置Pt1〜Pt4とを結ぶ直線L1〜L4上の距離を割り出す。なお、目標位置Pt1〜Pt4は、操作基準線101上の基準マーク6に最も近い位置であり、本発明の指示位置に相当する。次に、操作指標102が出現位置Paから目標位置Pt1〜Pt4に達するまでの到達時間を決定する。到達時間は、出現位置Paに操作指標102を出現させる時刻と操作シーケンスデータD1にて指定された入力タイミングの時刻t0、t1…との間の時間間隔である。操作指標102を出現させる時刻は、例えば、入力タイミングに対してBGMの4分音符4つ分に相当する時間だけ遡った時刻に設定される。続いて、決定した到達時間と距離とから、直線L1〜L4と操作指標102との交点(以下、これらの点を操作指標の代表点と呼ぶ。)Pb1〜Pb4の移動速度を演算する。代表点Pb1〜Pb4は、直線L1〜L4上の点であって、かつ、操作シーケンスデータD1にて記述された操作の時刻(入力タイミング)に操作基準線101の目標位置Pt1〜Pt4に到達すべき点である。
【0025】
代表点Pb1〜Pb4の移動速度が決定されたならば、それらの代表点Pb1〜Pb4を出現位置Paからゲームの時間の進行に合わせて直線L1〜L4上で漸次移動させる。さらに、代表点Pb1〜Pb4間をベジェ曲線等で補間することにより、図6に矢印v1〜v4で示したように出現位置Paから目標位置Pt1〜Pt4まで環状の操作指標102が漸次拡大する様子を表示させることができる。なお、操作指標102は代表点Pt1〜Pt4間をベジェ曲線で補間した環状の態様に限定されず、適宜の態様で表示してよい。例えば、図7に示したように、代表点Pb1〜Pb4を直線で結ぶようにして矩形状の操作指標102を表示させてもよい。その他にも代表点Pb1〜Pb4を各種の線で結ぶことにより、操作指標102を閉じた形状で表示させることができる。操作指標102上に波紋等の演出を付加してもよい。あるいは、図8に示すように、出現位置Paから代表点Pb1〜Pb4まで放射状に延びる操作指標102を表示させてもよい。図9に示すように、代表点Pb1〜Pb4のそれぞれに対して互いに独立したオブジェクトを操作指標102として表示してもよい。図9ではオブジェクトを円環状に示しているが、それらのオブジェクトは、図形、キャラクタ等、様々な形態で表示させてよい。
【0026】
図10に示すように、出現位置Paから基準マーク6に向かって2次元の平面形状の操作指標102を表示させてもよい。そのような操作指標102も、出現位置Paから代表点まで延びる操作指標102の一種である。この場合、指示位置として、各基準マーク6の位置を挟んで対称的に2つの目標位置Pt11、Pt12、Pt21、Pt22…(以下、参照符号Ptで代表する。)をそれぞれ設定し、出現位置Paと各目標位置Ptを結ぶ直線L11、L12…上の代表点Pb11、Pb12…の移動速度を上記と同様に演算する。そして、操作部4毎に、得られた代表点Pb11、Pb12…から出現位置Paまでの間の領域であって、かつ直線L11、L12…で挟まれた領域が表示面3aの他の領域と明瞭に区別されるように操作指標102を描画すればよい。なお、代表点Pb11、Pb12…の間をベジェ曲線等で補間すれば扇状の操作指標102を描画することができ、代表点Pb11、Pb12…を直線で結べば三角形状の操作指標102を描画することができる。
【0027】
図11は、上述した表示方法を実現するために制御ユニット20が実行する操作指標表示制御ルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンは、一回のゲームが開始されると、そのゲーム中に実行されるべき他の処理と並行して実行される。以下では、図5及び図6に示した形態で操作指標102が表示されるものとして、図11の手順を説明する。また、出現位置Paはゲーム毎に変更され、一回のゲーム中は不変であるものとする。
【0028】
操作指標表示制御ルーチンの最初のステップS1では、出現位置Paを決定するために必要な情報がゲーム管理部23から出現位置制御部24に与えられ、それにより、出現位置制御部24にて出現位置Paの座標が決定される。例えば、プレイヤが選択した曲に応じて出現位置Paが決定されてもよいし、ゲーム毎にランダムに出現位置Paが決定されてもよい。ゲーム装置1が単独で、又はネットワークを通じて、個々のプレイヤの過去のプレイ履歴を取得できる場合には、各操作部4に位置しているプレイヤの過去のゲーム成績に応じて出現位置Paが決定されてもよい。例えば、出現位置Paから目標位置Ptまでの距離が小さいほど操作指標102の移動速度が遅くなって入力タイミングの把握が容易となる場合には、4つの操作部4にそれぞれ位置しているプレイヤのうち、過去のゲーム成績が最も低いプレイヤが位置している操作部4の目標位置Ptが、出現位置Paから最も近くなるように出現位置Paが決定されてもよい。そのような出現位置Paの設定方法の一例を図12に示す。この例では、各操作部4に位置する4人のプレイヤのそれぞれの過去の成績が図示の通りに1位から4位に分かれていると仮定している。また、表示面3aの中央Pcを挟んで互いに対向する目標位置Pt1〜Pt4同士を結ぶ2本の直線によって操作基準線101の内側を4つの領域に分割している。この場合、まず1位に対応する目標位置Pt2から最も遠い領域A及びBを選択し、次に、それらの領域のうち、4位に対応する目標位置Pt1から最も近い領域Aを選択し、その領域A内の適宜の位置に出現位置Paを設定すればよい。図13に示す例では、操作基準線101の内側の領域を、目標位置Pt1〜Pt4のそれぞれの中間位置を境として4つの領域に分割している。この場合には、4位に対応する目標位置Pt1を含んだ領域A内の適宜の位置に出現位置Paを設定すればよい。
【0029】
図11に戻って説明を続ける。ステップS1で出現位置Paが決定されると、続くステップS2に処理が進められる。ステップS2では、出現位置Paの座標が指標位置演算部25に渡されて出現位置Paから各操作部4の目標位置Ptまでの距離がそれぞれ演算される。次のステップS3では、ゲーム管理部23にて計時されているゲーム上の現在時刻が指標位置演算部25で取得される。ゲーム上の現在時刻は、上述した基準時からの経過時間である。続くステップS4では、操作指標102が出現位置Paから目標位置Ptに達するまでの到達時間が指標位置演算部25にて決定される。到達時間は、上述したごとく、曲の4分音符4つ分といったように曲のテンポに合わせて決定される。次のステップS5では、演奏対象の曲に対応する操作シーケンスデータD1が参照されることにより、ゲーム上の現在時刻から将来に向かって所定時間内に到来する入力タイミングが取得される。この場合の所定時間は、上記の到達時間に等しい。つまり、現時点で表示面3a上に表示されるべき全ての操作指標102に対応する入力タイミングがステップS5で把握される。
【0030】
次のステップS6では、各入力タイミングに対応する代表点Pbの移動速度が、ステップS2で取得した距離とステップS4で取得した到達時間とから指標位置演算部25にて演算される。続くステップS7では、演算された移動速度から現在時刻に対応した各代表点の表示面3a上における座標が指標位置演算部25にて演算される。代表点の演算後は、ステップS8に処理が進められ、指標位置演算部25から、各代表点Pbの座標がそれらの代表点Pbに対応する入力タイミングの属性(一例としてプレイボタン5pの種類を指定する色の情報)とともに描画制御部27に渡される。描画制御部27では、与えられた代表点Pbの座標と属性とに対応する操作指標102が表示面3aに表示されるように操作指示画像100が更新される。この場合、操作指標102が環状であれば、描画制御部27により代表点間を補間するように操作指標102が描画される。
【0031】
ステップS8の処理後、ゲーム管理部23にて一回のゲームが終了した否かが判断される。そして、ゲームが終了していなければ、ステップS3に処理が戻されて指標位置演算部25による操作指標102の位置の演算と、描画制御部27による操作指示画像100の更新とが繰り返される。ステップS9でゲーム終了と判断されると図11のルーチンが終了する。
【0032】
以上の形態においては、制御ユニット20が操作指示手段に相当し、出現位置制御部24が出現位置制御手段に、指標位置演算部25が指標位置演算手段に、操作評価部26が評価手段に、描画制御部27が指標表示制御手段にそれぞれ相当する。
【0033】
本発明は上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、表示装置の表示面は一様に水平な構成に限らず、周囲の操作部から観察できる限りにおいて少なくとも一部が上向きであれば足り、半球型その他各種の形態とすることができる。一回のゲーム中に出現位置Paが変更されてもよい。例えば、曲の途中でそのテンポや調子が変わるときに、それまでの各プレイヤの得点に応じて出現位置Paが変更されてもよい。なお、一回のゲームの途中で出現位置Paを変化させる場合、出現位置Paの変更後に出現する操作指標102の一部が、出現位置Paの変更前に出現している操作指標102よりも表示面3aの外側に表示されることが考えられる。このような状態を排除する必要がある場合には、変更後の出現位置Paをその変更時点で表示されている操作指標102よりも内側の領域に制限すればよい。
【0034】
上述した形態では、表示面3a上に円環状の操作基準線101を表示しているが、その表示は、指示位置がプレイヤに把握可能である限りにおいて適宜に変更してよい。例えば、指示位置を示す直線、2次元図形、オブジェクト等を表示面3aに表示してもよいし、モニタ3の表示によることなく、物理的なマーク等を表示面3a上に設けてもよい。さらに、上記の形態では、指示位置が不変であるが、出現位置と同様に指示位置もゲーム毎に、又はゲームの実行中に適宜に変更してもよい。指示位置が変化する場合でも、出現位置と指示位置との間の距離と、操作指標が出現してから指示位置に到達するまでの時間間隔とに基づいて操作指標の移動速度を演算し、その表示位置を特定できることに変わりはない。出現位置から指示位置まで操作指標が移動する間において、一部又は全部の操作指標を一時的に消失させ、あるいは形状を変化させるといった演出をさらに付加してもよい。
【0035】
本発明は、音楽に合わせてプレイヤに操作を指示するゲーム装置に限定されず、操作指標を指示位置に向かって移動させて操作を指示する限りにおいて、各種のジャンルのゲーム装置に適用することができる。操作部は4箇所に限らず、2以上の適宜の個数設けてよい。各操作部の操作部材の個数は1以上の適宜の個数に設定してよい。
【0036】
上記の形態では、全ての操作部に対して同一の操作を指示しているが、操作部毎に互いに異なる操作を指示するようにしてもよい。例えば、操作シーケンスデータに操作部を指定する情報を含めておき、指定された操作部に対して指定された時刻に操作が指示されるように操作指標の表示を制御すればよい。但し、この場合には、操作部毎に入力タイミングが相違することになる。よって、図8〜図10に示したように操作部毎に独立して入力タイミングを指示できる形態で操作指示画像を作成することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一形態に係るゲーム装置の斜視図。
【図2A】表示面に操作指標が出現した様子を示す図。
【図2B】操作指標が拡大している途中の様子を示す図。
【図2C】操作指標が操作基準線に到達した様子を示す図。
【図3】図1のゲーム装置の制御系の構成を示すブロック図。
【図4】図3の外部記憶装置が記憶する操作シーケンスデータの一例を示す図。
【図5】出現位置が表示面の中央からずれた位置に設定された状態を示す図。
【図6】図5の出現位置から各操作部の目標位置まで操作指標が変化する様子を示す図。
【図7】図6の変形例を示す図。
【図8】図6の他の変形例を示す図。
【図9】図6のさらなる変形例を示す図。
【図10】2次元図形状の操作指標を表示する例を示す図。
【図11】図3の制御ユニットが操作指標の表示を制御するために実行する操作指標表示制御ルーチンを示すフローチャート。
【図12】出現位置をプレイヤ間の成績の優劣に合わせて決定する方法の一例を示す図。
【図13】出現位置をプレイヤ間の成績の優劣に合わせて決定する方法の他の例を示す図。
【符号の説明】
【0038】
1 ゲーム装置
3 モニタ(表示装置)
3a 表示面
4 操作部
5 操作ボタン
5r Rボタン(操作部材)
5g Gボタン(操作部材)
5b Bボタン(操作部材)
6 基準マーク
20 制御ユニット(操作指示手段)
21 表示制御回路
22 外部記憶装置(記憶手段)
23 ゲーム管理部
24 出現位置制御部(出現位置制御手段)
25 指標位置演算部(指標位置演算手段)
26 操作評価部(評価手段)
27 描画制御部(指標表示制御手段)
100 操作指示画像
101 操作基準線
102 作指標
D1 操作シーケンスデータ
Pa 出現位置
Pb1、Pb2、Pb3、Pb4、Pb11、Pb12、Pb21、Pb22、Pb31、Pb32、Pb41、Pb42 代表点
Pt1、Pt2、Pt3、Pt4、Pt11、Pt12、Pt21、Pt22、Pt31、Pt32、Pt41、Pt42 目標位置(指示位置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面を上方に向けて設けられた表示装置と、
前記表示面の周囲に配置され、プレイヤの操作に対応した信号を出力する少なくとも一つの操作部材をそれぞれ有する複数の操作部と、
前記複数の操作部のそれぞれの操作部材に対してゲームの実行中に行われるべき操作をゲーム上の時刻と対応付けて記述したデータを記憶する記憶手段と、
前記表示面上の出現位置から前記操作部毎に設定された指示位置に向かって操作指標を移動させることにより、前記データに記述された操作の時刻にて前記プレイヤに当該操作を指示する操作指示手段と、を具備し、
前記操作指示手段は、前記表示面上における前記出現位置を可変制御する出現位置制御手段と、
前記出現位置から前記指示位置までの距離と、前記出現位置に前記操作指標が出現する時刻と前記データにて記述された時刻との時間間隔に基づいて、前記データで記述された時刻に前記操作指標が各操作部の前記指示位置に到達するために必要な前記操作指標の移動速度を演算し、演算された移動速度に基づいて前記操作指標の表示位置を決定する指標位置演算手段と、
前記指標位置演算手段が決定した前記操作指標の位置に基づいて、前記表示面上の前記操作指標が前記移動速度に従って移動するように当該操作指標を表示させる指標表示制御手段と、
を備えたゲーム装置。
【請求項2】
前記指標位置演算手段は、前記出現位置と前記指示位置とを結ぶ直線上の点であって、前記データに記述された操作の時刻に前記指示位置に到達すべき点を代表点として、該代表点の移動速度を演算するとともに、該代表点の表示位置を決定し、前記指標表示制御手段は、前記代表点の表示位置に基づいて前記操作指標を表示させる請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記指標表示制御手段は、前記代表点間を補間することにより、前記操作指標を閉じた形状で表示させる請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記指標表示制御手段は、前記出現位置から前記代表点まで延びるようにして前記操作指標を表示させる請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記操作指標によって指示された操作の時刻と、プレイヤが前記操作部材を操作した時刻とのずれに基づいてプレイヤの操作を評価する評価手段をさらに備えた請求項1〜4のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項6】
表示面を上方に向けて設けられた表示装置と、前記表示面の周囲に配置され、プレイヤの操作に対応した信号を出力する少なくとも一つの操作部材をそれぞれ有する複数の操作部と、前記複数の操作部のそれぞれの操作部材に対してゲームの実行中に行われるべき操作をゲーム上の時刻と対応付けて記述したデータを記憶する記憶手段とを備えたゲーム装置のコンピュータに適用され、前記表示面上の出現位置から前記操作部毎に設定された指示位置に向かって操作指標を移動させることにより、前記データに記述された操作の時刻にて前記プレイヤに当該操作を指示するためのコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記表示面上における前記出現位置を可変制御する出現位置制御手段、
前記出現位置から前記指示位置までの距離と、前記出現位置に前記操作指標が出現する時刻と前記データにて記述された時刻との時間間隔に基づいて、前記データで記述された時刻に前記操作指標が各操作部の前記指示位置に到達するために必要な前記操作指標の移動速度を演算し、演算された移動速度に基づいて前記操作指標の表示位置を決定する指標位置演算手段、及び、
前記指標位置演算手段が決定した前記操作指標の位置に基づいて、前記表示面上の前記操作指標が前記移動速度に従って移動するように当該操作指標を表示させる指標表示制御手段、
として機能させるように構成されたコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−240579(P2009−240579A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91597(P2008−91597)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【特許番号】特許第4309461号(P4309461)
【特許公報発行日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】