説明

ゲーム装置用コントローラ

【課題】本体部の質量に対する振動部の質量をある程度の大きさにしても、ゲーム装置用コントローラ全体の質量の増加を抑制することができるゲーム装置用コントローラを提供すること。
【解決手段】コントローラ20は、プレーヤに把持される第1把持部を含む本体部32と、本体部32に対して振動可能に設けられた振動部30と、所定条件下で振動部30を振動させる動力部と、を備え、動力部は、振動部30に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置用コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プレーヤに把持される把持部を含む本体部に対して振動可能に設けられた振動部を振動させることにより、ゲーム演出を行うゲーム装置用コントローラが知られている。そして、このようなゲーム装置用コントローラの中には、本体部の内部にソレノイドなどの動力部を設け、この動力部を作動させることにより振動部を振動させるものがある。
【特許文献1】特許第3031410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、振動部の振動により効果的なゲーム演出を行うためには、本体部の質量に対する振動部の質量をある程度の大きさにする必要があるが、従来のゲーム装置用コントローラでは、本体部の内部に質量が比較的大きな動力部が設けられていたため、振動部の質量を動力部の質量に応じて増加させる必要があった。従って、従来のゲーム装置用コントローラでは、ゲーム装置用コントローラ全体の質量が増加してしまうという問題があった。
【0004】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、本体部の質量に対する振動部の質量を増加させても、ゲーム装置用コントローラ全体の質量の増加を抑制することができるゲーム装置用コントローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明は、
プレーヤに把持される第1把持部を含む本体部と、
前記本体部に対して振動可能に設けられた振動部と、
所定条件下で前記振動部を振動させる動力部と、
を備え、
前記動力部は、
前記振動部に設けられていることを特徴とするゲーム装置用コントローラに関係する。
【0006】
本発明では、動力部が振動部に設けられているため、動力部が本体部に設けられている従来のゲーム装置用コントローラに比して、本体部の質量を減少させることができるとともに、動力部の質量により、本体部の質量に対する振動部の質量を増加させることができる。従って本発明によれば、本体部の質量に対する振動部の質量を増加させても、ゲーム装置用コントローラ全体の質量の増加を抑制することができる。
【0007】
(2)また本発明は、
前記振動部は、
前記本体部に対して経路に沿って往復移動可能に設けられ、
前記動力部は、
回転運動を往復運動に変換する変換部に回転力を与え、前記変換部を介して前記振動部を往復移動させるようにしてもよい。
【0008】
このようにすれば、動力部による回転運動を往復運動に変換することにより効率的に振動部を振動させることができる。
【0009】
(3)また本発明は、
前記動力部に設けられ、前記動力部により回転される第1回転軸と、
前記第1回転軸に対して平行かつ軸中心をずらして設けられた第2回転軸と、
前記第1回転軸と前記第2回転軸とを接続する接続部と、
前記本体部に設けられ、前記第2回転軸を回転可能に支持する支持部と、
を更に備え、
前記振動部は、
前記本体部に対して経路に沿って往復移動可能に設けられ、
前記動力部は、
前記第1回転軸を正転および逆転させることにより、前記振動部を往復移動させるようにしてもよい。
【0010】
このようにすれば、更に効率的に振動部を振動させることができる。
【0011】
(4)また本発明は、
前記本体部に設けられ、前記接続部と接触することにより前記接続部の正転方向および逆転方向への回転範囲を180°以内の回転範囲で制限する制限部を更に備え、
前記制限部は、
前記本体部に対して着脱可能に設けられているようにしてもよい。
【0012】
このようにすれば、接続部と接触することにより劣化しやすい制限部を新たな制限部に交換することができる。
【0013】
(5)また本発明は、
前記振動部は、
前記動力部に電力を供給するためのケーブルを固定する第1固定部を備え、
前記本体部は、
前記ケーブルを固定する第2固定部を備え、
前記ケーブルは、
前記振動部が前記本体部に対して振動しても特定箇所に応力が集中しないように、前記第1固定部と前記第2固定部との間において、撓んだ状態で固定されるようにしてもよい。
【0014】
このようにすれば、本体部に対して振動部を振動させても、第1固定部と第2固定部との間においてケーブルが撓む箇所が分散されるので、ケーブルが固定されている箇所に撓みが集中することによりケーブルが切断されてしまう事態を防止することができる。
【0015】
(6)また本発明は、
前記本体部は、
プレーヤに把持される第2把持部を更に含み、
前記振動部は、
前記第1把持部と前記第2把持部との間に対応する位置に重心が設定されているようにしてもよい。
【0016】
このようにすれば、ゲーム装置用コントローラを把持するプレーヤの負担を軽減しつつ、振動部の振動により効果的なゲーム演出を行うようにすることができる。
【0017】
(7)また本発明は、
前記第1把持部を把持する手で操作されるトリガを更に備え、
前記本体部は、
銃型の形状を有し、
前記動力部は、
前記トリガが操作されたことに基づいて、前記振動部を振動させるようにしてもよい。
【0018】
このようにすれば、振動部の振動により、銃から弾丸を発射させたときの衝撃を効果的に再現するゲーム演出を行うようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0020】
1.全体構成
図1は、本実施形態のゲーム装置10の外観を示す斜視図である。図1に示すようにゲーム装置10の筐体12の正面上部には、画像を表示する表示部14が設けられており、この表示部14は、敵キャラクタなど標的となる画像を表示する。そして表示部14の左上と右上には、表示部14に対して所定の位置関係を有する発光部16がそれぞれ設けられており、この2つの発光部16は、ゲーム装置10の前方に向けて赤外光を出力する。
【0021】
また表示部14の下方からは外部ケーブル18が延出しており、外部ケーブル18の先端には、実物の銃の形状を模したコントローラ20が接続されている。従って図1に示すように、プレーヤはコントローラ20を手で持って支える(支持の一例)ことにより、射撃方向を任意の方向に向けることができる。すなわちコントローラ20は、ゲーム装置10に取り付けられることによりゲーム装置10に支持されるのではなく、外部ケーブル18を介してゲーム装置10に接続されてはいるが、プレーヤに支持されることによりプレーヤにコントローラ20の質量に応じた重量が作用するようになっている。
【0022】
そしてコントローラ20の先端の銃口に相当する部分には、発光部16からの赤外光を受光して画像を撮像する撮像部22が設けられている。そしてコントローラ20の内部には、この撮像部22が撮像した画像(画素ごとの情報)が入力される回路(図示せず)が設けられており、この回路は撮像部22における赤外光の受光位置に基づいて、表示部14の表示領域24におけるコントローラ20の指示位置を演算する。
【0023】
図2は、コントローラ20を表示領域24に向けたときに撮像部22が撮像した画像の一例を示す図である。撮像部22は、矩形の面上に175×126の計22050個の受光素子(撮像素子)がマトリクス状に配列されており、1つの受光素子を1つの画素とする画像を撮像する。そして撮像部22は、画像を1/60秒ごとにコントローラ20の位置、向きに応じて更新し、更新した画像を回路に出力する。
【0024】
すると回路は、入力された画像に基づいて、発光部16からの赤外光を撮像した領域である受光領域A1、受光領域A2の画像における位置情報を用いて、表示領域24に対するコントローラ20の指示位置の情報を演算する。詳細には回路は、図2に示すように、画像の中心点である原点Oをコントローラ20が指示する点とし、原点Oと受光領域A1、A2との位置関係から、表示領域24におけるコントローラ20の指示位置を演算する。
【0025】
図2の例では、画像の中央よりもやや上方において、2つの受光領域A1、A2を結ぶ直線lが、画像の基準線L(撮像部22のX軸)に対して時計回りにω°回転した状態で、受光領域A1、A2が形成されている。従って図2の例では、原点Oは表示領域24の右下部の座標に対応させることができ、表示領域24におけるコントローラ20の指示位置の座標を求めることができる。こうしてゲーム装置10は、図1に示すようにプレーヤがコントローラ20を把持しながら手を動かしたりプレーヤが移動したりすることにより、コントローラ20の位置、向きが変化しても、表示領域24上におけるコントローラ20の指示位置を演算することができる。
【0026】
2.コントローラの構成
図3は、本実施形態のコントローラ20の側面図である。本実施形態のコントローラ20は、コントローラ20の一部を構成する振動部30を本体部32に対して振動させることにより、実物の銃を射撃する際に発生する衝撃を擬似的に発生させ、仮想現実感を高めるようにしている。ここで振動部30の振動により効果的なゲーム演出を行うためには、本体部32の質量に対する振動部30の質量をある程度の大きさにする必要があるが、従来のコントローラでは本体部32の内部に質量が比較的大きなソレノイドなどの動力源が設けられていたため、振動部30の質量を動力源の質量に応じて増加させると、コントローラ全体の質量が増加してしまうという問題があった。
【0027】
そこで本実施形態では、本体部32に対して振動する振動部30に動力源を設けることにより、本体部32の質量を減少させるとともに、振動部30の質量に関しては、錘などを加えなくとも動力源の質量により本体部32の質量に対する振動部30の質量を増加させることができる。従って本発明によれば、本体部32の質量に対する振動部30の質量をある程度の大きさにしても、ゲーム装置用コントローラ全体の質量の増加を抑制することができる。具体的には本実施形態では、振動部30の質量がコントローラ20の全体の質量の約4割を占めている。
【0028】
以下、コントローラ20の構成の詳細について説明する。なお以下の説明では、コントローラ20の銃口がある部分に相当する先端部分34が向く方向を前方とする。図3に示すようにコントローラ20は、サブマシンガンタイプの銃の形状を模した形状を有しており、本体部32と、本体部32の下部に設けられ、プレーヤに把持される第1グリップ部36(把持部の一例)とを有している。また本体部32の下部であって第1グリップ部36よりも前方には、第1グリップ部36を把持する手の人差し指で操作されるトリガ部38が設けられている。
【0029】
そして本体部32の下部であってトリガ部38よりも前方には、第1グリップ部36を把持する手ではない方の手で把持される第2グリップ部40が設けられている。そしてコントローラ20は、プレーヤが一方の手で第1グリップ部36を把持してトリガ部38を操作し、他方の手で第2グリップ部40を把持して本体部32を支えるようにして使用される。
【0030】
また、本体部32の上部には、図中で斜線が施されている振動部30が、本体部32に対して振動可能に設けられている。本実施形態では振動部30は、外部から視認可能な状態で、銃の射撃方向(銃身方向)に沿って、図中矢印Aの方向に3mmの範囲で前後方向に移動することができるように、本体部32に対して取り付けられている。そして振動部30の内部には、振動部30を振動させる動力源となるロータリーソレノイド42(動力部の一例)が、振動部30に対して固定的に取り付けられている。
【0031】
図4は、コントローラ20の内部構成を示す側面図である。図4に示す第1フレーム44は、本体部32の内側に対して固定的に取り付けられており、第2フレーム46は、振動部30の内側に対して固定的に取り付けられている。そして第1フレーム44の上部には、第2フレーム46が第1フレーム44に対して前後方向に直線的にスライドできる空間を形成する前スライドレール48(経路の一例)と後スライドレール50とが取り付けられており、第2フレーム46の上面には、ロータリーソレノイド42が固定的に取り付けられている。このロータリーソレノイド42は、通電方向に応じて正転方向および逆転方向に高速かつ連続的に回転することができる。
【0032】
そして本実施形態では、ロータリーソレノイド42が正転方向および逆転方向に高速かつ連続的に回転すると、ロータリーソレノイド42は正転方向に回転するときの力と逆転方向に回転するときの力とを本体部32に対して交互に作用させ、その反作用により、ロータリーソレノイド42が取り付けられた振動部30が本体部32に対して振動される。本実施形態ではロータリーソレノイド42は、ロータリーソレノイド42の下方に設けられ、ロータリーソレノイド42の回転運動を往復運動に変換するクランク(変換部の一例)に回転力を与え、クランクを介して振動部30を往復移動させる。
【0033】
図5は、コントローラ20の組立斜視図である。図5に示すように本実施形態では、ロータリーソレノイド42のロータから下方に向けて第1回転軸52が突出しており、第1回転軸52は、金属製(剛体の一例)の接続部54に対して固定的に接続されている。そして接続部54の下面からは、第1回転軸52に対して平行かつ軸中心を4mmずらして第2回転軸56が下方に向けて突出している。すなわち本実施形態では、第1回転軸52と接続部54と第2回転軸56とによりクランクが形成されている。そして第2回転軸56は、その下方において第2回転軸56を回転可能に支持するジュラコン製の支持部58により支持されており、支持部58は、前後方向へのスライドが制限されつつ左右方向へのスライドが可能となるように、第1フレーム44に設けられたスライド空間60に配置されている。
【0034】
また、第1フレーム44の上部には、前スライドレール48と後スライドレール50との間に、接続部54の一端部64を取り囲むような形状を有するゴム製の制限部62が設けられている。この制限部62は、接続部54が一定範囲で回転することができる空間を有しており、接続部54の一端部64と接触することにより接続部54の正転方向および逆転方向への回転範囲を制限する。本実施形態では制限部62は、接続部54の回転角度が制限部62に対して中立となる基準角度から右回りに約30°変化すると、接続部54の一端部64が制限部62の後方部分に接触し、基準角度から左回りに約30°変化すると、接続部54の一端部64が制限部62の前方部分に接触するように形成されている。
【0035】
すなわち制限部62は、接続部54の正転方向および逆転方向への回転範囲を約60°以内に制限している。これにより本実施形態では、ロータリーソレノイド42が、第1回転軸52を約60°(180°以内の一例)の回転範囲で連続的に正転および逆転させるようにしている。また制限部62は、第1フレーム44に対して工具などを用いずに着脱可能に設けられており、制限部62に接続部54が接触することにより制限部62が摩耗すると、新たな制限部62に交換できるようになっている。
【0036】
図6(A)、図6(B)は、コントローラ20の内部構成の一部を示す平面図である。本実施形態では、ロータリーソレノイド42によって第1回転軸52が図中右回りに回転すると、図6(A)に示すように、接続部54も図中右回りに回転する。ここで、接続部54から下方に向けて突出している第2回転軸56は第1回転軸52と軸中心をずらして設けられているので、接続部54が図中右回りに回転すると第2回転軸56を後方向(図中では左方向)に移動させるように力が作用する。
【0037】
しかし第2回転軸56は、上述したように支持部58により前後方向(図中では左右方向)への移動が制限されているので、接続部54が図中右回りに回転しても第2回転軸56は後方向に移動することができない。一方、第1回転軸52を回転させるロータリーソレノイド42が取り付けられている第2フレーム46は、第1フレーム44に対して前後方向に移動可能となっている。従って、第1回転軸52が図中右回りに回転すると、第2回転軸56を後方向に移動させるように作用する力の反作用により、第1回転軸52を前方向(図中では右方向)に移動させるように力が作用する。すなわち、第1回転軸52が図中右回りに回転すると、振動部30が本体部32に対して前方向に移動する。そして図6(A)に示すように、接続部54の一端部64が制限部62の前方部分に接触するまで、第1回転軸52は図中右回りに回転し、振動部30が本体部32に対して前方向に移動する。
【0038】
一方、ロータリーソレノイド42が逆転することによって第1回転軸52が図中左回りに回転すると、図6(B)に示すように、接続部54も図中左回りに回転する。しかし、接続部54が図中左回りに回転しても第2回転軸56は前方向に移動することができないので、第2回転軸56を前方向に移動させるように作用する力の反作用により、第1回転軸52を後方向(図中では左方向)に移動させるように力が作用する。すなわち、第1回転軸52が図中左回りに回転すると、振動部30が本体部32に対して後方向に移動する。そして図6(B)に示すように、接続部54の一端部64が制限部62の後方部分に接触するまで、第1回転軸52は図中左回りに回転し、振動部30が本体部32に対して後方向に移動する。
【0039】
ここで、第1回転軸52の中心と第2回転軸56の中心とは4mmずれているので、第1回転軸52は第2回転軸56に対して円弧を描くようにして移動する。しかし、上述したように第1回転軸52を回転させるロータリーソレノイド42が取り付けられている第2フレーム46は、第1フレーム44に対して前後方向に直線的にスライドするようになっているので、第1回転軸52の前後方向への移動軌跡は直線となる。そこで本実施形態では、上述したように、第2回転軸56を支持する支持部58が、前後方向へのスライドが制限されつつ左右方向(図中では上下方向)へのスライドが可能となるように配置されており、図6(A)に示す状態と図6(B)に示す状態との間で接続部54が回転する際には、第2回転軸56が左右方向に直線的に移動することにより、第1回転軸52が前後方向に直線的に移動することができるようになっている。
【0040】
こうして本実施形態では、第1回転軸52と接続部54と第2回転軸56とにより形成されるクランク機構により、振動部30に固定的に取り付けられたロータリーソレノイド42の回転運動が振動部30の往復運動に変換されている。なおロータリーソレノイド42は、トリガ部38が1回引かれる毎に1回(1往復)の振動を発生させるように動作するようにしてもよいし、トリガ部38が引かれている間は連続的に振動を発生させるように動作するようにしてもよい。前者の場合には、ハンドガンやセミオート銃の射撃による衝撃を表現することができ、後者の場合には、フルオート銃の射撃による衝撃を表現することができる。そして本実施形態では、ロータリーソレノイド42に供給する電気信号の態様によりこれらを切り替えている。
【0041】
以上説明したように、本実施形態のコントローラ20では、振動部30に固定的に取り付けられたロータリーソレノイド42が振動部30を振動させているが、ロータリーソレノイド42の電源は、図4に示すように、本体部32から内部ケーブル66によって供給されている。従って、振動部30が本体部32に対して振動すると、本体部32において内部ケーブル66を固定する部分と、振動部30において内部ケーブル66を固定する部分との間で、内部ケーブル66が撓みと復帰を繰り返すことになり、内部ケーブル66が固定されている部分に撓みが集中すると内部ケーブル66が切断される事態が懸念される。
【0042】
そこで本実施形態では、図4に示すように、振動部30が本体部32に対して振動しても特定箇所に応力が集中しないように、本体部32において内部ケーブル66を固定する第1固定部68と、振動部30において内部ケーブル66を固定する第2固定部70との間で、内部ケーブル66が円を描くように撓んだ状態で固定されるようにしている。すなわち本実施形態では、内部ケーブル66は、振動部30が本体部32に対して振動しても第1固定部68と第2固定部70との間において内部ケーブル66が撓む箇所が分散されるように向きを変化させて、第1固定部68と第2固定部70とにおいて固定されている。具体的には本実施形態では、内部ケーブル66は、内部ケーブル66が延びる方向を、右回りまたは左回りの一方向の回転方向で、可撓性の内部ケーブル66へ負担がかからない程度の曲率で、360°(180°以上の一例)変化させて、第1固定部68と第2固定部70とにおいて固定されている。そして本実施形態では、内部ケーブル66が描く円の内側を貫通するように棒状部材72が設けられており、内部ケーブル66が円を描くように向きを360°変化させる状態が維持されるようにしている。なお、第1固定部68から内部ケーブル66が延びる方向と、第2固定部70から内部ケーブル66が延びる方向とは、本体部32に対して振動部30が振動する方向に沿う方向であることが好ましい。
【0043】
これにより本実施形態では、本体部32に対して振動部30を振動させても、図8(A)に示すように、第1固定部68と第2固定部70との間において内部ケーブル66が撓む箇所が分散されるので、内部ケーブル66が固定されている箇所に撓みが集中することにより内部ケーブル66が切断されてしまう事態を防止することができる。
【0044】
なお、本体部32と振動部30との位置関係や、内部ケーブル66の取り回しの関係から、図8(B)に示すように、本体部32において内部ケーブル66を固定する第1固定部68と、振動部30において内部ケーブル66を固定する第2固定部70との間で、内部ケーブル66が半円を描くように内部ケーブル66を撓ませるようにしてもよい。具体的にはこの場合では、内部ケーブル66は、内部ケーブル66が延びる方向を、右回りまたは左回りの一方向の回転方向で、可撓性の内部ケーブル66へ負担がかからない程度の曲率で、180°変化させて、第1固定部68と第2固定部70とにおいて固定されている。すなわち本実施形態では、内部ケーブル66は、内部ケーブル66が延びる方向を180°以上変化させて、第1固定部68と第2固定部70とにおいて固定されていれば、振動部30が本体部32に対して振動しても第1固定部68と第2固定部70との間において内部ケーブル66が撓む箇所が分散されるようにすることができる。そしてこの場合でも、内部ケーブル66が描く半円の内側を貫通するように棒状部材72を設けるようにしてもよい。
【0045】
また本実施形態では、振動部30の質量のうちロータリーソレノイド42の質量が占める割合が高くなっているが、本実施形態では図4に示すようなコントローラ20の通常の使用態様において、第1グリップ部36と第2グリップ部40との間の上方にロータリーソレノイド42が配置されることにより、振動部30の重心が、第1グリップ部36と第2グリップ部40との間に対応する位置に設定されるようにしている。これにより本実施形態では、コントローラ20を把持するプレーヤの負担を軽減しつつ、振動部30の振動により効果的なゲーム演出を行うようにしている。
【0046】
3.機能ブロック
図7は、本実施形態のゲーム装置10の機能を示すブロック図である。なお、図7の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0047】
コントローラ20は、操作検出部90と、動き検出部91と、動力部92と、位置演算部94とを含む。
【0048】
操作検出部90は、トリガ部38が引かれたことを検出するものであり、その機能は通電状態と非通電状態とを切り替えるスイッチなどにより実現することができる。
【0049】
動き検出部91は、コントローラ20の動きを検出し、その動きに応じた情報(動き操作情報)を出力するものであり、コントローラ20に内蔵される撮像部22や加速度センサなどにより実現することができる。ここで動き検出部91として加速度センサを用いた場合には、動き検出部91は、コントローラ20において互いに直行する3軸の各軸方向への加速度を検出することにより、コントローラ20が移動された方向や回転された(傾けられた)方向に応じた値を出力することができる。
【0050】
動力部92は、トリガ部38が引かれたことに基づいて動力を発生させるものであり、その機能はロータリーソレノイド42などの各種のソレノイドやモータなどにより実現することができる。
【0051】
位置演算部94は、撮像部22が撮像した画像に基づいて、表示領域24におけるコントローラ20の指示位置を演算するものであり、その機能は各種プロセッサ又は通信用の集積回路(ASIC)などのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0052】
発光部16は、表示領域24におけるコントローラ20の指示位置を演算するために、表示領域24に対して所定の位置関係を有するように配置されるものであり、その機能は、赤外光を出力する赤外光LEDなどにより実現することができる。
【0053】
表示部14は、表示領域24において画像を表示出力するものであり、その機能は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどにより実現できる。具体的には表示部14は、コントローラ20による射撃の対象となる敵キャラクタなどの標的画像を表示する。
【0054】
音出力部96は、音を出力するものであり、その機能は、スピーカ、ヘッドフォンなどにより実現できる。
【0055】
情報記憶媒体98(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。
【0056】
この情報記憶媒体98には、処理部110において種々の処理を行うためのプログラムやデータが記憶されている。即ち、この情報記憶媒体98には、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)が記憶されている。
【0057】
記憶部100は、処理部110や通信部108などのワーク領域となるもので、その機能はRAMやVRAMなどにより実現できる。そして、本実施形態の記憶部100は、処理部110のワーク領域として使用される主記憶部102と、表示部14に表示させる画像が描画される描画バッファ104と、オブジェクトのモデルデータが読み込まれるオブジェクトデータ記憶部106と、を含む。
【0058】
通信部108は、外部(例えばサーバや他の携帯端末)との間で通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用の集積回路(ASIC)などのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0059】
なお、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(データ)は、ホスト装置(サーバ)が有する情報記憶媒体98からネットワーク及び通信部108を介して情報記憶媒体98(記憶部100)に配信してもよい。このようなホスト装置(サーバ)の情報記憶媒体98の使用も本発明の範囲内に含めることができる。
【0060】
処理部110(プロセッサ)は、操作検出部90や動き検出部91や位置演算部94からのデータやプログラムなどに基づいて、ゲーム処理、画像生成処理、音生成処理などの処理を行う。この処理部110は、主記憶部102をワーク領域として各種処理を行い、その機能は各種プロセッサ(CPU、DSP等)、各種集積回路(IC、ASIC)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。
【0061】
特に、本実施形態の処理部110は、ゲーム処理部112、表示制御部114、描画部120、音生成部130を含む。なお、これらの一部を省略する構成としてもよい。
【0062】
ゲーム処理部112は、ゲーム開始条件が満たされた場合にゲームを開始する処理、ゲームを進行させる処理、ゲーム結果を演算する処理、或いはゲーム終了条件が満たされた場合にゲームを終了する処理などを行う。特に本実施形態では、トリガ部38が引かれたときにコントローラ20が指示している表示領域24における位置が、敵キャラクタなどの標的画像を表示させている位置と一致するか否かを判定する。そして一致していると判定した場合には、標的画像に銃弾が当たったことを示す演出画像を表示させる。
【0063】
表示制御部114は、表示部14に表示される画像(オブジェクト画像)の表示制御を行う。具体的には、表示すべきオブジェクト(標的、建物、樹木、柱、壁、マップ)を発生させたり、オブジェクトの表示や表示位置を指示したり、オブジェクトを消滅させたりするなどの表示制御を行う。即ち発生したオブジェクトをオブジェクトリストに登録したり、オブジェクトリストを描画部120等に転送したり、消滅したオブジェクトをオブジェクトリストから削除したりするなどの表示制御を行う。
【0064】
特に本実施形態のゲームシステムでは、ゲーム空間を3次元のオブジェクト空間によって設定するようになっており、表示制御部114は、オブジェクト空間設定処理、仮想カメラ制御処理なども行う。
【0065】
描画部120は、処理部110で行われる種々の処理(ゲーム処理)に基づいて画像を描画する処理を行い、描画した画像を表示部14に出力するものであり、その機能は、描画プロセッサ(GPU)などのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。ここで描画部120が描画する画像は、いわゆる2次元画像であってもよいし、3次元画像であってもよい。具体的には描画部120は、表示制御部114により転送されたオブジェクトリストに応じたオブジェクトをオブジェクトデータ記憶部106などから読み出し、ピクセル単位で画像情報を記憶できる描画バッファ(フレームバッファあるいは中間バッファなどのバッファ。VRAM。)にオブジェクトを描画する。
【0066】
音生成部130は、処理部110で行われる種々の処理の結果に基づいて音処理を行い、BGM、効果音、又は音声などのゲーム音を生成し、音出力部96に出力する。
【0067】
なお、本実施形態の画像生成システムは、1人のプレーヤのみがプレイできるシングルプレーヤモード専用のシステムにしてもよいし、複数のプレーヤがプレイできるマルチプレーヤモードも備えるシステムにしてもよい。また複数のプレーヤがプレイする場合に、これらの複数のプレーヤに提供するゲーム画像やゲーム音を、1つの端末を用いて生成してもよいし、ネットワーク(伝送ライン、通信回線)などで接続された複数の端末(ゲーム機、携帯電話)を用いて分散処理により生成してもよい。
【0068】
4.変形例
上記実施形態で説明した手法は、一例を示したに過ぎず、上記実施形態の手法と同様の効果を奏する均等な手法を採用した場合においても本発明の範囲に含めることができる。また本発明は、上記実施形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能である。そして上記実施形態の手法や、変形例として後述する各種の手法は、本発明を実現する手法として適宜組み合わせて採用することができる。
【0069】
例えば上述した実施形態では、ゲーム装置10とコントローラ20とが外部ケーブル18により接続されている例を挙げて説明したが、ゲーム装置10とコントローラ20との間で無線通信により情報を送受信することにより、外部ケーブル18を省略するようにしてもよい。またゲーム装置10とコントローラ20とが銃座により接続され、コントローラ20の向きは変更することができるが、位置は変更できないようになっていてもよい。
【0070】
また上述した実施形態では、発光部16が表示部14の上方に配置された例を挙げて説明したが、発光部16の配置位置は、表示部14の下方や側方など任意の位置とすることができる。すなわち発光部16は、コントローラ20が表示部14の表示領域24を指示した場合にコントローラ20の撮像部22が発光部16からの光を受光できる範囲に配置されていればよい。
【0071】
また上述した実施形態では、表示部14の周辺に発光部16が設けられ、コントローラ20の先端に撮像部22が設けられた例を挙げて説明したが、表示部14の周辺に撮像部22が設けられ、コントローラ20の先端に発光部16が設けられるようにしてもよい。この場合には、表示領域24におけるコントローラ20の指示位置を演算する位置演算部94は、コントローラ20の内部ではなく、ゲーム装置10の筐体12の内部に設けるようにすることができる。そしてこの場合には、コントローラ20を振動させることにより撮像部22や位置演算部94などの精密機器が破損することを避けることができる。
【0072】
また上述した実施形態では、振動部30が本体部32に対して直線的に振動する例を挙げて説明したが、振動部30が本体部32に対して円弧や円や楕円を描くように振動するようにしてもよい。
【0073】
また上述した実施形態では、銃の形状を模したコントローラ20を例に挙げて説明したが、コントローラ20の形状は任意の形状を採用することができる。
【0074】
そして本発明は、例えば業務用ゲームシステム、家庭用ゲームシステム、多数のプレーヤが参加する大型アトラクションシステム、シミュレータ等の種々の形態のゲーム装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本実施形態のゲーム装置の外観を示す斜視図。
【図2】本実施形態のゲーム装置の位置演算手法を説明するための図。
【図3】本実施形態のコントローラの側面図。
【図4】本実施形態のコントローラの内部構成を示す側面図。
【図5】本実施形態のコントローラの組立斜視図。
【図6】本実施形態のコントローラの内部構成の一部を示す平面図。
【図7】本実施形態のゲーム装置の機能ブロック図。
【図8】図8(A)、図8(B)は、本実施形態のコントローラの内部構成の一部を示す側面図。
【符号の説明】
【0076】
10 ゲーム装置、12 筐体、14 表示部、16 発光部、18 外部ケーブル、
20 コントローラ、22 撮像部、24 表示領域、30 振動部、32 本体部、34 先端部分、
36 第1グリップ部、38 トリガ部、40 第2グリップ部、42 ロータリーソレノイド、
44 第1フレーム、46 第2フレーム、48 前スライドレール、50 後スライドレール、
52 第1回転軸、54 接続部、56 第2回転軸、58 支持部、60 スライド空間、
62 制限部、64 一端部、66 内部ケーブル、68 第1固定部、70 第2固定部、
72 棒状部材、90 操作検出部、91 動き検出部、92 動力部、94 位置演算部、
96 音出力部、98 情報記憶媒体、100 記憶部、108 通信部、110 処理部、
112 ゲーム処理部、114 表示制御部、120 描画部、130 音生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレーヤに把持される第1把持部を含む本体部と、
前記本体部に対して振動可能に設けられた振動部と、
所定条件下で前記振動部を振動させる動力部と、
を備え、
前記動力部は、
前記振動部に設けられていることを特徴とするゲーム装置用コントローラ。
【請求項2】
請求項1において、
前記振動部は、
前記本体部に対して経路に沿って往復移動可能に設けられ、
前記動力部は、
回転運動を往復運動に変換する変換部に回転力を与え、前記変換部を介して前記振動部を往復移動させることを特徴とするゲーム装置用コントローラ。
【請求項3】
請求項1において、
前記動力部に設けられ、前記動力部により回転される第1回転軸と、
前記第1回転軸に対して平行かつ軸中心をずらして設けられた第2回転軸と、
前記第1回転軸と前記第2回転軸とを接続する接続部と、
前記本体部に設けられ、前記第2回転軸を回転可能に支持する支持部と、
を更に備え、
前記振動部は、
前記本体部に対して経路に沿って往復移動可能に設けられ、
前記動力部は、
前記第1回転軸を正転および逆転させることにより、前記振動部を往復移動させることを特徴とするゲーム装置用コントローラ。
【請求項4】
請求項3において、
前記本体部に設けられ、前記接続部と接触することにより前記接続部の正転方向および逆転方向への回転範囲を180°以内の回転範囲で制限する制限部を更に備え、
前記制限部は、
前記本体部に対して着脱可能に設けられていることを特徴とするゲーム装置用コントローラ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記振動部は、
前記動力部に電力を供給するためのケーブルを固定する第1固定部を備え、
前記本体部は、
前記ケーブルを固定する第2固定部を備え、
前記ケーブルは、
前記振動部が前記本体部に対して振動しても特定箇所に応力が集中しないように、前記第1固定部と前記第2固定部との間において、撓んだ状態で固定されることを特徴とするゲーム装置用コントローラ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記本体部は、
プレーヤに把持される第2把持部を更に含み、
前記振動部は、
前記第1把持部と前記第2把持部との間に対応する位置に重心が設定されていることを特徴とするゲーム装置用コントローラ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、
前記第1把持部を把持する手で操作されるトリガを更に備え、
前記本体部は、
銃型の形状を有し、
前記動力部は、
前記トリガが操作されたことに基づいて、前記振動部を振動させることを特徴とするゲーム装置用コントローラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate