説明

コア材、コア材の製造方法およびコア材を用いた真空二重構造体

【課題】取り扱いが極めて容易なコア材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】
前記課題を解決するため、本発明の第1のコア材10は、熱伝導度が低く弾性変形可能な繊維質シート、または、輻射伝熱を防止するための変形可能な金属箔からなる基材シート11A〜11Gに、耐熱性が高く熱伝導度が低く基材シート11A〜11Gより硬質な多数の球状部材12A〜12Gを点在させて配設した構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に真空二重構造体の内部空間に配設されるコア材、このコア材の製造方法および該コア材を用いた真空二重構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内部空間にコア材を配設した真空二重構造体としては、特許文献1,2に記載の真空断熱パネルが公知である。特許文献1では、平均一次粒子径7nmの乾式シリカと平均繊維径0.8nmのシリカアルミナ繊維を添加して混合して成形型に入れて加圧することによりコア材を形成する。そして、このコア材を外被材中に挿入した後、真空排気する構成としている。また、特許文献2では、シート状をなす金属板間に複数の繊維質シートからなるスペーサ(コア材)と金属箔とを積層配置した後、真空排気する構成としている。
【0003】
しかしながら、これらの特許文献1,2では、外力が加わると、内部のコア材が収縮するため、外被材である金属板が塑性変形するという問題がある。また、使用中に外側に位置する金属板が高温に曝されるとコア材の体積が収縮し、外側金属板が熱により変形して断熱性能が著しく低下する可能性がある。この場合、熱が外側金属板から内側金属板に伝熱するため、断熱の目的を達成することができない。
【0004】
これに対して、一対の金属板を所定間隔に保持できるようにした真空二重構造体が特許文献3,4に記載されている。特許文献3では、熱伝導率が低い樹脂材料により、連続した凹凸を繰り返す形状としたコア材を設け、このコア材と無機質通気性充填物とを枠体内に配設する構成としている。また、特許文献4では、一方の金属板に円錐筒状をなす位置決め部材を配設し、この位置決め部材内に球状スペーサを配設する構成としている。
【0005】
しかしながら、特許文献3では、凹凸部が一対の金属板の対向面に当接した状態をなすため、ある程度の外力には対抗できるが、熱に曝されると体積が収縮するため、やはり断熱性能を維持できない。しかも、コア材の隙間に無機質通気性充填物を充填する必要があるため、取り扱いが極めて煩雑である。
【0006】
また、特許文献4では、耐熱性を有する球状スペーサが一対の金属板の対向面に点接触した状態をなすため、外力に対抗できるとともに、熱に曝されても断熱性能を維持できる。しかし、球状スペーサを位置決め部材によって位置決めする必要があるため、取り扱いが極めて煩雑であり、製造効率が極めて悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−310383号公報
【特許文献2】特開2004−60852号公報
【特許文献3】特開昭58−40478号公報
【特許文献4】特開2007−327549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、取り扱いが極めて容易なコア材、および、その製造方法を提供することを第1の課題とする。そして、このコア材を用いることにより使途が大幅に広がった真空二重構造体を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明の第1のコア材は、熱伝導度が低く弾性変形可能な繊維質シートからなる一対の基材シートの間に、耐熱性が高く熱伝導度が低く前記基材シートより硬質な多数の球状部材を点在させて配設した構成としている。
また、第2のコア材は、熱伝導度が低く弾性変形可能な繊維質シートからなる基材シートの内部に、耐熱性が高く熱伝導度が低く前記基材シートより硬質な多数の球状部材を点在させた状態で、内部に埋め込んで配設した構成としている。
また、第3のコア材は、輻射伝熱を防止するための変形可能な金属箔からなる一対の基材シートの間に、耐熱性が高く熱伝導度が低く前記基材シートより硬質な多数の球状部材を点在させて配設した構成としている。
また、第4のコア材は、輻射伝熱を防止するための変形可能な金属箔からなる基材シートの一面に、耐熱性が高く熱伝導度が低く前記基材シートより硬質な多数の球状部材を点在させ、前記基材シートを湾曲変形させることにより一部を埋め込み残りを突出させた状態で配設した構成としている。
そして、第5のコア材は、輻射伝熱を防止するための変形可能な金属箔からなる基材シートの少なくとも一面に、耐熱性が高く熱伝導度が低く前記基材シートより硬質な多数の球状部材を点在させ、前記基材シートを窪ませることにより一部を埋め込み残りを突出させた状態で配設した構成としている。
【0010】
これらのコア材は、変形可能な繊維質シートまたは金属箔からなる基材シートに多数の球状部材を点在させて配設しているため、真空二重構造体の内部空間に配設する際の取り扱いが極めて良好である。
【0011】
なお、第1および第3のコア材の製造方法は、第1基材シートの上面に、耐熱性が高く熱伝導度が低く前記第1基材シートより硬質な多数の球状部材を点在させて配設し、前記球状部材の上部に第2基材シートを配設し、前記第1および第2基材シートを固着することにより、一対の基材シートの間に球状部材を配設するものである。
また、第2のコア材の製造方法は、熱伝導度が低く弾性変形可能な繊維を希釈した接着剤中に浸漬させるとともに、耐熱性が高く熱伝導度が低く前記繊維より硬質な多数の球状部材を点在させて接着材中に浸漬させ、前記球状部材を含む繊維質シートからなる基材シートを接着剤から取り出し、乾燥させることにより前記基材シートの内部に球状部材に埋め込んで配設するものである。
さらに、第2、第4および第5のコア材の製造方法は、固定台の上面に基材シートを配設し、前記基材シートの表面に、耐熱性が高く熱伝導度が低く前記基材シートより硬質な多数の球状部材を点在させて配設し、前記基材シートの上方から可動枠でプレスすることにより、前記基材シートを変形させて前記球状部材の少なくとも一部を埋め込んだ状態で配設するものである。
このようにすれば、基材シートに対して球状部材を点在配置した取り扱いの便利なコア材を製造できる。
【0012】
また、第1、第2、第4および第5の発明のコア材を用いる第1の真空二重構造体は、対向する第1および第2金属板の間に形成した内部空間を真空排気してなる真空二重構造体において、前記各金属板の対向面に、前記コア材を接触させた状態で配設したものである。
【0013】
この真空二重構造体は、金属板に外力が加わった場合、金属板が球状部材に干渉するため、金属板が塑性変形することを防止できる。さらに、高温に曝された場合、球状部材は体積が収縮しないため、確実に一対の金属板間の距離、即ち、断熱を図るための空間を維持できる。
【0014】
さらに、第1から第5のコア材を用いる第2の真空二重構造体は、第1および第2金属板の対向面の一方に、前記コア材を接触させた状態で配設したものである。
【0015】
このようにすれば、一対の金属板の間の内部空間に、基材シートを浮かせた状態で配置できる。そのため、特に基材シートが金属箔からなる第3から第5のコア材の場合には、断熱性能を向上できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のコア材およびその製造方法では、変形可能な繊維質シートまたは金属箔からなる基材シートに多数の球状部材を点在させて配設しているため、真空二重構造体の内部空間に配設する際の取り扱いが極めて良好である。そして、このコア材を用いた真空二重構造体では、金属板に外力が加わっても球状部材により金属板が塑性変形することを防止できる。また、高温に曝された場合でも球状部材によって断熱を図るための空間を維持できる。さらに、基材シートである金属箔を金属板間に位置させることができるため、断熱性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態のコア材を示し、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
【図2】(A),(B),(C),(D)は第1実施形態のコア材の製造方法を示す断面図である。
【図3】第2実施形態のコア材を示す断面図である。
【図4】(A),(B),(C)は第2実施形態のコア材の製造方法を示す断面図である。
【図5】第3実施形態のコア材を示す断面図である。
【図6】(A),(B),(C)は第3実施形態のコア材の製造方法を示す断面図である。
【図7】第4実施形態のコア材を示す断面図である。
【図8】第5実施形態のコア材を示す断面図である。
【図9】(A),(B)は第5実施形態のコア材の製造方法を示す断面図である。
【図10】第6実施形態のコア材を示す断面図である。
【図11】(A),(B)は第6実施形態のコア材の製造方法を示す断面図である。
【図12】第7実施形態のコア材を示す断面図である。
【図13】第7実施形態のコア材の製造方法を示す断面図である。
【図14】第1実施形態のコア材を用いた第8実施形態の真空断熱パネルを示す断面図である。
【図15】図14の分解斜視図である。
【図16】第7実施形態のコア材を用いた第9実施形態の真空断熱パネルを示す斜視図である。
【図17】(A),(B)は第2実施形態のコア材を用いた第10実施形態の魔法瓶を示す断面図である。
【図18】第4実施形態のコア材を用いた第11実施形態の耐火金庫を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0019】
図1(A),(B)は、本発明に係る第1実施形態のコア材10を示す。このコア材10Aは、一対の基材シート11A1,11A2の間に、多数の球状部材12Aを点在させて配設したものである。
【0020】
前記基材シート11A1,11A2は、熱伝導度が低く弾性変形可能な繊維質シートからなる。繊維質シートとしては、短いガラス繊維またはセラミック繊維からなる綿状素材が適用可能である。
【0021】
前記球状部材12Aは、熱伝導度が低く耐熱性が高い、硬質(ビッカーズ硬さHv:1150〜1200)なセラミックの一種であるジルコニア(Zro)を、球状としたものである。この球状部材12Aは、一対の基材シート11A1,11A2間に、縦横に等間隔で並設されている。なお、球状部材12はセラミックボールに限られず、シリカ(SiO)製や耐熱性樹脂製であってもよく、熱伝導度が低く硬質なものであればいずれでもよい。
【0022】
これら基材シート11A1,11A2の肉厚および球状部材12Aの直径は、使用する真空二重構造体の配設部位である内部空間の幅(対向する金属板31間の隙間)と、コア材10Aの配設目的に応じて設定される。即ち、基材シート11A1,11A2の肉厚および球状部材12Aの直径に制限はない。例えば、内部空間の幅である対向する金属板31間の隙間を維持する目的でコア材10Aを配設する場合、球状部材12Aの直径は、内部空間の設定幅と略同一か、僅かに小さい直径で形成される。また、断熱性能を高めるために大きな内部空間を確保する一方、外側に位置する金属板31が変形により内側に位置する金属板31に接触することを防止する目的でコア材10Aを配設する場合、球状部材12Aの直径は、できる限り小さい直径(例えば10μm)で形成される。そして、基材シート11A1,11A2の厚さは、いずれの場合でも球状部材12Aを保持できる程度で、できる限り薄い肉厚で形成される。また、球状部材12Aの数は、球状部材12A自体の耐圧強度と、真空二重構造体の金属板31を介して付加される外力に対する必要耐圧強度に応じて設定される。
【0023】
次に、第1実施形態のコア材10Aの製造方法の一例について説明する。
【0024】
まず、図2(A)に示すように、第1の基材シート11A1を下側固定台20上に配置する。なお、この下側固定台20の載置(上)面には、球状部材12Aの直径に対応する略半球状の没入部21が形成されている。
【0025】
ついで、図2(B)に示すように、所定配列で球状部材12Aを吸着した球状部材配設枠22を第1の基材シート11A1に配置する。なお、球状部材配設枠22の吸着(下)面には、球状部材12Aの吸着部分に略半球状をなす位置決め凹部23が設けられている。この位置決め凹部23には、吸引用通路24が設けられ、この吸引用通路24が図示しない吸引ポンプに接続されている。そのため、吸引ポンプにより球状部材12Aを吸着した状態で第1の基材シート11A1上に球状部材配設枠22を配置し、吸引ポンプを停止する。これにより、第1の基材シート11A1上に、多数の球状部材12Aを所定配列で点在させた状態で配置できる。
【0026】
ついで、図2(C)に示すように、球状部材12A上に第2の基材シート11A2を配置する。その後、第2の基材シート11A2の上方から下側固定台20へ向けて可動プレス枠25をプレスする。なお、この可動プレス枠25のプレス(下)面には、球状部材12Aの直径に対応する略半球状の没入部26が形成されている。これにより、図2(D)に示すように、球状部材12Aが配置されている部位では、この球状部材12Aを基材シート11A1,11A2で被覆し、球状部材12Aが無い部位では、基材シート11A1,11A2を重畳させた状態とするができる。
【0027】
なお、一対の基材シート11A1,11A2は、少なくとも一方の対向面に所定の接着剤を塗布しておくことにより、可動プレス枠25によるプレスと同時に互いに固着される。または、一対の基材シート11A1,11A2は、所定位置にニードルパンチを施したり、所定の留め具を貫通させて固着する。
【0028】
このように製造した第1実施形態のコア材10Aは、弾性的に変形可能な繊維質シートからなる基材シート11A1,11A2に多数の球状部材12Aを点在させて配設しているため、真空二重構造体の内部空間に配設する際の取り扱いが極めて良好である。
【0029】
図3は第2実施形態のコア材10Bを示す。このコア材10Bは、1枚の基材シート11Bの内部に、多数の球状部材12Bが点在するように埋め込んで配設した点で、第1実施形態と相違している。なお、基材シート11Bは、第1実施形態と同様の繊維質シートからなり、球状部材12Bは、第1実施形態と同様のセラミックや耐熱性樹脂製のボールからなる。また、基材シート11Bの肉厚および球状部材12Bの直径も同様に、使用する真空二重構造体の内部空間への配設目的に応じて設定される。
【0030】
次に、第2実施形態のコア材10Bの製造方法について説明する。
【0031】
まず、図4(A)に示すように、基材シート11Bを構成する多数の繊維11B’を水槽27内に散布する。なお、水槽27には、多数の繊維を互いに結合するために希釈した接着剤が溜められている。また、水槽27の底には、沈殿状態となるコア材10B’を取り出すためのメッシュ部材28が配設されている。そのため、水槽27内に散布された繊維11B’は、接着剤中に浸漬し、メッシュ部材28上に堆積した状態をなす。そして、図示のように、目的の肉厚に想到する量の半分未満の繊維11B’を沈殿させると、第1実施形態と同様に、水槽27上に球状部材配設枠22を配置し、繊維11B’の沈殿層上に多数の球状部材12Bを所定配列で点在させた状態で配置する。
【0032】
ついで、図4(B)に示すように、基材シート11Bが目的の肉厚となるように、再び繊維11B’を球状部材12Bの上から散布する。そして、図4(C)に示すように、メッシュ部材28を水槽27から取り出すことにより、繊維11B’中に球状部材12Bを含んだ状態のコア材10B’を取り出す。その後、乾燥させることにより、球状部材12Bが基材シート11Bから脱落しないように内部に埋め込んだ状態のコア材10Bを製造できる。
【0033】
このように製造した第2実施形態のコア材10Bは、第1実施形態と同様に、取り扱いが極めて良好である。しかも、基材シート11Bの製造時に球状部材12Bを内部に埋め込んだ状態で配設するため、この球状部材12Bが脱落することはない。しかも、第1実施形態と比較して製造作業工数を大幅に削減できる。
【0034】
図5は第3実施形態のコア材10Cを示す。このコア材10Cは、第2実施形態と同様に1枚の基材シート11Cの内部に、多数の球状部材12Cが点在するように配設するが、成形後の基材シート11Cに球状部材12Cを埋設するようにした点で、第2実施形態と相違している。なお、基材シート11Cは、各実施形態と同様の繊維質シートからなり、球状部材12Cは、各実施形態と同様のセラミックや耐熱性樹脂製のボールからなる。また、基材シート11Cの肉厚および球状部材12Cの直径も同様に、使用する真空二重構造体の内部空間への配設目的に応じて設定される。
【0035】
次に、第3実施形態のコア材10Cの製造方法について説明する。
【0036】
まず、図6(A)に示すように、基材シート11Cを下側固定台20上に配置する。なお、この下側固定台20の載置面には、第1実施形態に示す没入部21は設けていない。また、第3実施形態のコア材10Cを製造するための下側固定台20は、若干の弾性を有する材料により形成することが好ましい。
【0037】
ついで、第1実施形態と同様に、基材シート11C上に球状部材配設枠22を配置し、図6(B)に示すように、この基材シート11C上に多数の球状部材12Cを所定配列で点在させた状態で配置する。その後、図6(C)に示すように、可動プレス枠25により球状部材12Cを下側固定台20へ向けてプレスすることにより、基材シート11Cを部分的に変形させ、球状部材12Cを基材シート11Cの厚さ方向の略中間位置まで押し込む。なお、可動プレス枠25のプレス面には、第1実施形態に示す没入部26は設けていない。また、球状部材12Cの押し込みは、球状部材12Cの直径と基材シート11Cの繊維間の粗さにより左右される。そのため、基材シート11Cの粗さが十分である場合には、常温の球状部材12Cを押し込み、基材シート11Cの粗さが球状部材12Cの直径より細かい場合には、球状部材12Cを所定温度に加熱して配設することが好ましい。
【0038】
このように製造した第3実施形態のコア材10Cは、第1実施形態と同様に、取り扱いが極めて良好である。しかも、第1実施形態と比較すると、その製造作業工数を大幅に削減できる。
【0039】
図7は第4実施形態のコア材10Dを示す。このコア材10Dは、第1実施形態と同様に、一対の基材シート11D1,11D2の間に多数の球状部材12Dが点在するように配設したものであるが、基材シート11D1,11D2の素材を変更した点で、第1実施形態と大きく相違している。
【0040】
具体的には、第4実施形態のコア材10Dの基材シート11D1,11D2は、輻射伝熱を防止するための変形可能な金属箔からなる。この金属箔としては、銅またはアルミ等からなる薄膜状のものが適用可能である。
【0041】
なお、球状部材12Dは、各実施形態と同様のセラミックや耐熱性樹脂製のボールからなり、その直径は、使用する真空二重構造体の内部空間への配設目的に応じて設定される。また、基材シート11D1,11D2の肉厚は、球状部材12Dを保持できる程度で、できる限り薄い肉厚(5〜20μm)で形成される。
【0042】
この第4実施形態のコア材10Dは、第1実施形態のコア材10Aと同様の製造方法で製造される。そして、金属箔からなる基材シート11D1,11D2を用いたコア材10Dは、各実施形態と同様に、取り扱いが極めて良好である。しかも、真空二重構造体の内部空間に用いた場合、輻射伝熱を防止できるという効果を得ることができる。
【0043】
図8は第5実施形態のコア材10Eを示す。このコア材10Eは、第4実施形態と同様の金属箔からなる1枚の基材シート11Eに、第4実施形態と同様の球状部材12Eを配設した点で、第4実施形態と相違している。
【0044】
次に、この第5実施形態のコア材10Eの製造方法について説明する。
【0045】
まず、図9(A)に示すように、基材シート11Eを没入部21を有する下側固定台20上に配置する。そして、図示のように、没入部21に対応する所定配列で球状部材12Eを吸着した球状部材配設枠22を基材シート11E上に配置する。
【0046】
ついで、図9(B)に示すように、球状部材配設枠22によって下側固定台20へ向けてプレスすることにより、基材シート11Eを部分的に湾曲変形させ、球状部材12Eの一部を基材シート11Eで被覆した(埋め込んだ)状態で配設する。なお、基材シート11Eと球状部材12Eとは、接着剤または熱溶着により固着することが好ましい。
【0047】
この第5実施形態のコア材10Eは、第4実施形態と同様に、取り扱いが極めて良好であるうえ、真空二重構造体の内部空間に用いた場合、輻射伝熱を防止できる。しかも、金属箔からなる基材シート11Eは、球状部材12Eの半分の領域には、何ら基材シート11Eが無い。即ち、球状部材12Eの直径を真空二重構造体の内部空間の幅と略同一に設定する場合、一方の金属板31には金属箔からなる基材シート11Eが接触しない。よって、第4実施形態と比較して真空二重構造体に対する使途を広げることができる。
【0048】
図10は第6実施形態のコア材10Fを示す。このコア材10Fは、1枚の基材シート11Fの一面に、多数の球状部材12Fを一部が埋め込むように点在させて配設した点で、各実施形態と相違している。なお、基材シート11Fは、第4実施形態と同様の金属箔からなり、球状部材12Fは、各実施形態と同様のセラミックや耐熱性樹脂製のボールからなる。そして、本実施形態では、肉厚が約10μmの金属箔からなる基材シート11Fに対して、直径が約10μmの球状部材12Fを、一部(約半分)が基材シート11Fに埋め込まれた状態で、残りが基材シート11Fから突出するように配設する構成としている。即ち、第6実施形態のコア材10Fは、厚さを約15μmとした極薄のものである。
【0049】
次に、第6実施形態のコア材10Fの製造方法について説明する。
【0050】
まず、図11(A)に示すように、基材シート11Fを下側固定台20上に配置する。なお、この下側固定台20の載置面には没入部21は設けていない。また、第6実施形態のコア材10Fを製造するための下側固定台20は、弾性的に変形することのない材料により形成することが好ましい。
【0051】
ついで、基材シート11F上に球状部材配設枠22を配置し、図11(B)に示すように、この球状部材配設枠22によって下側固定台20へ向けてプレスすることにより、基材シート11Fを部分的に変形させ、球状部材12Fを基材シート11Fに一部を埋め込んだ状態で配設する。なお、この球状部材12Fの押し込みは、基材シート11Fおよび球状部材12Fの少なくとも一方を加熱しておくことにより、基材シート11Fの変形が容易になるようにすることが好ましい。
【0052】
この第6実施形態のコア材10Fは、第5実施形態と同様に、取り扱いが極めて良好であるうえ、真空二重構造体の内部空間に用いた場合、輻射伝熱を防止できる。また、真空二重構造体に対する使途を広げることができる。しかも、
図12は第7実施形態のコア材10Gを示す。このコア材10Gは、1枚の基材シート11Gの両面に、多数の球状部材12Gを一部が露出するように点在させて配設した点で、第6実施形態と相違している。なお、基材シート11Gは、第4実施形態と同様の金属箔からなり、球状部材12Gは、各実施形態と同様のセラミックや耐熱性樹脂製のボールからなる。また、基材シート11Gは肉厚が約10μmの金属箔からなり、球状部材12Gは直径が約10μmのセラミックや耐熱性樹脂製のボールからなる。即ち、第6実施形態のコア材10Fは、厚さを約20μmとした極薄のものである。
【0053】
この第7実施形態のコア材10Gは、第6実施形態と同様にして基材シート11Gの一面に球状部材12Gを配設する。その後、図13に示すように、一面に配設した球状部材12Gに一致するように没入部21を設けた下側固定台20に、球状部材12Gを配設した一面側が位置するように基材シート11Gを配置する。そして、基材シート11G上に球状部材配設枠22を配置し、この球状部材配設枠22を下側固定台20へ向けてプレスすることにより、基材シート11Gを部分的に変形させ、球状部材12Gを基材シート11Gに一部を埋め込んだ状態で配設する。
【0054】
この第7実施形態のコア材10Gは、第5実施形態と同様に、取り扱いが極めて良好であるうえ、真空二重構造体の内部空間に用いた場合、輻射伝熱を防止できる。しかも、真空二重構造体に対する使途を広げることができる。
【0055】
図14および図15は、第1実施形態のコア材10Aを用いた第8実施形態の真空二重構造体である真空断熱パネル30Aを示す。この真空断熱パネル30Aは、一対の金属板31A,31B内部に形成される内部空間である真空空間34に、コア材10Aを配設したものである。なお、金属板31A,31Bの所定位置には、真空排気後の真空空間34で発生したガス等を吸収し、所望の真空度を維持するためのゲッター(図示せず)が配設されている。
【0056】
具体的には、真空断熱板の外装体を構成する第1および第2の金属板31A,31Bは、それぞれ薄肉のステンレス(SUS301)により構成されている。これら金属板31A,31Bは矩形状をなし、その外周縁には屈曲された外面部32A,32Bと、該外面部32A,32Bの端縁からフランジ状をなすように外向きに屈曲された接合縁部33A,33Bが形成されている。これら金属板31A,31Bは、互いの接合縁部33A,33Bが重畳するように突き合わされ、シーム溶接等の圧着接合またはTIG溶接等の突き合わせ溶接、MIGブレージング等によって接合されている。これにより、各金属板31A,31Bの間には所定間隔(幅)の空間が形成され、その空間が真空排気後に真空空間34を構成する。なお、金属板31A,31Bはステンレスに限られず、鉄やチタンなどであってもよく、必要とされる耐熱温度に応じて変更が可能である。しかも、第1の金属板31Aと第2の金属板31Bとで異なる金属材料のものを使用してもよい。
【0057】
なお、図15に示すように、接合前の第2の金属板31Bには、断面凸形状に突出する排気部35が形成され、この排気部35に排気孔36が形成されている。この排気孔36は、第2の金属板31に開口を形成するだけでもよいし、チップ管50を接合してもよい。また、第1の金属板31Aには、排気部35の下面を閉塞する突片37が設けられている。
【0058】
本実施形態では、金属板31A,31Bは、共に0.5mmの薄肉のものを使用している。また、金属板31A,31Bの間には、約5mmの幅の真空空間34が形成されるように外面部32A,32Bが形成されている。これに対して、コア材10Aは、基材シート11A1,11A2の肉厚が1mmで、球状部材12Aの直径が5mmのものを使用している。
【0059】
この真空断熱パネル30Aを製造する際には、下側の金属板31Aにコア材10Aを収容させた後、金属板31Bで覆った後、接合縁部33A,33Bを接合する。ついで、排気孔36から内部空間を真空排気した後、排気部35の基部(付け根の部分)をシーム溶接により接合するとともに、他の外周縁と面一になる位置で切断する。
【0060】
このように製造した真空断熱パネル30Aは、コア材10Aが金属板31A,31Bの対向面に接触した状態をなす。そのため、金属板31A,31Bの間隔(真空空間34の幅)を一定とすることができる。また、金属板31A,31Bのうち一方に外力が加わった場合、金属板31A,31Bが球状部材12Aに干渉するため、金属板31A,31Bが塑性変形することを防止できる。さらに、高温に曝された場合、繊維質シートからなる基材シート11A1,11A2は体積が収縮する可能性はあるが、球状部材12Aは体積が収縮しない。そのため、確実に一対の金属板31A,31B間の距離、即ち、断熱を図るための真空空間34を維持できる。
【0061】
ここで、この真空断熱パネル30Aには、第1実施形態のコア材10Aだけでなく、第2実施形態のコア材10B、第3実施形態のコア材10Cおよび第5実施形態のコア材10Eを用いることもできる。なお、第4実施形態のコア材10Dは、金属箔からなる基材シート11D1,11D2が一対の金属板31A,31Bに接触することになるため、金属板31A,31Bが基材シート11D1,11D2を介して熱伝導してしまうため、この第8実施形態には使用することはできない。また、第6,7実施形態のコア材10F,10Gは、極薄のものであるため寸法面の問題で、第8実施形態には使用できない。
【0062】
第2,3実施形態のコア材10B,10Cを第8実施形態の真空断熱パネル30Aに適用した場合、金属板31A,31Bによる繊維質シートからなる基材シート11B,11Cの圧縮代が略一定になる。言い換えれば、一対の金属板31A,31Bを内部から一様の圧力で支持できる。よって、真空断熱パネル30A,30A毎の外観を略同一に揃えることができるという効果を更に得ることができる。
【0063】
第5実施形態のコア材10Eを第8実施形態の真空断熱パネル30Aに適用した場合、一方の金属板31A,31Bには、金属箔からなる基材シート11Eは接触しないため、この基材シート11Eを介した金属板31A,31B間の熱伝導はない。そして、一対の金属板31A,31Bの間の真空空間34には、基材シート11Eを浮かせた状態で配置できる。よって、輻射伝熱を確実に防ぎ、断熱性能を向上できる。
【0064】
図16は第7実施形態のコア材10Gを用いた第9実施形態の真空二重構造体である真空断熱パネル30Bを示す。この真空断熱パネル30Bは、極薄のコア材10Gを用いるため、外面部32A,32Bを設けていないシート状の金属板31A,31Bを用いる構成とした点で、第8実施形態と相違している。
【0065】
このように構成した第9実施形態の真空断熱パネル30Bは、第5実施形態のコア材10Eを適用した場合の第8実施形態の真空断熱パネル30Aと同様の作用および効果を得ることができる。また、この第9実施形態の真空断熱パネル30Bは、第7実施形態のコア材10Gの代わりに、第6実施形態のコア材10Fを使用しても、同様の作用および効果を得ることができる。
【0066】
しかも、第8実施形態および第9実施形態の真空断熱パネル30A,30Bは、球状部材12A〜12C,12E〜12Gにより圧縮強度が高められているため、使用可能な用途(使途)が広がる。例えば、樹脂成型の分野は、成形品に対応する上型と下型とを備え、例えば下型を固定された下枠に固定し、上型を移動可能な上枠に固定している。この樹脂成形金型を高温の保持するときの熱ロスを防ぐため、型と枠の間に耐熱性樹脂を介設していた。しかし、この耐熱性樹脂は、圧縮力により劣化するため、頻繁に交換(メンテナンス)する必要があった。そこで、この耐熱性樹脂の代わりに、第8実施形態または第9実施形態の真空断熱パネル30A,30Bを使用する。これにより、各型と枠との断熱を図ることができるうえ、十分な耐圧強度を得られるため、メンテナンスの頻度を低減できる。但し、この場合には、金属板31A,31Bとコア材10A〜10C,10E〜10Gの各間には、硬質な金属(析出硬化系ステンレス鋼SUS631)を配設することが好ましい。
【0067】
また、第9実施形態の真空断熱パネル30Bは、一対の金属板31A,31Bを含めた肉厚も薄く(約0.5〜1.0mm)することが可能である。そのため、この真空断熱パネル30Bを加工用素材として使用することができる。例えば、真空断熱パネル30Bを円板形状に形成し、この真空断熱パネル30Bに対して深絞り加工を施すことにより、容器を形成することができる。なお、加工の際には、真空断熱パネル30Bの内部に多数の球状部材12F,12Gが配設されているため、金属板31A,31Bが接触することはない。その結果、容易に真空二重構造の容器を製造することが可能になる。
【0068】
図17(A),(B)は第2実施形態のコア材10Bを用いた第10実施形態の真空二重構造体である真空二重容器40Aの一例の魔法瓶を示す。この魔法瓶は、肉厚が0.2〜1.0mmのステンレス鋼板(SUS304)からなる外容器41と内容器42とを備え、これらの間の空間が真空排気後に真空空間43を構成している。そして、この魔法瓶における底に位置する真空空間43に、第2実施形態のコア材10Bが配設されている。
【0069】
外容器41の外側胴体44は、図17中下側に位置する一端に、内部に連通する第1口部45を備えている。また、外側胴体44は、図17中上側に位置する他端に、第1口部45より開口面積が大きい底取付部46が設けられている。また、外側底体外側胴体の底を閉塞するもので、外側胴体44の底取付部46の内径と略同一の外径の円板状をなし、底取付部46に内嵌して接合されている。この外側底体47の中央部は、弾性限界(降伏)点を超えて変形するように外力を加えることにより内方に窪み、真空空間43の容積が小さくなるように塑性変形される塑性変形部48を構成する。この塑性変形部48は、真空排気時を含み外力を加える前の状態では図17(A)に示すように外向きに膨出した状態を維持する強度を有する。この塑性変形部48の中央には排気孔49が設けられ、この排気孔36にチップ管50が溶接により接合されている。
【0070】
内容器42の内側胴体51は、外側胴体44に対して所定の隙間が形成されるように、外側胴体の直径より小さい直径としたものである。この内側胴体51の一端には、内部に連通する第2口部52が設けられている。また、内側胴体51の他端には、第2口部52より開口面積が大きい底取付フランジ部53が設けられている。内側底体54は、内側胴体51の底を閉塞するもので、内側胴体51の底取付フランジ部53と略同一の外径の筒部55を備え、この筒部55の開口端に底取付フランジ部53に重畳して接合されるフランジ部56が設けられている。
【0071】
この魔法瓶を製造するには、内側胴体51と内側底体54とを接合した後、この内容器42に図示しない金属箔およびゲッターを配設する。そして、図17(A)に示すように、この内容器42の第2口部52を下側に位置させ、外容器41の外側胴体44内に挿入して第1口部45の内側に重畳させる。この状態で、互いの口部45,52を非消耗のタングステンを電極として用いたTIG(Tungsten Inert Gas)溶接により密閉状態で接合する。その後、内側底体54上にコア材10Bを配設した後、外側底体47を外側胴体44の開口端に内嵌し、溶接により接合する。
【0072】
このように組み立てた真空排気前の二重容器は、外容器41と内容器42との間に十分な間隙の内部空間が形成される。しかも、外容器41の外側底体47と内容器42の内側底体54との間にはコア材10Bを配設しているが、このコア材10Bと外側底体47との間にも十分な間隙が形成されている。そのため、この二重容器のチップ管50に排気装置を接続することにより、内部空間を何ら支障なく所定圧力まで真空引きできる。
【0073】
そして、所定の真空度に達すると、チップ管50を封じ切って封止する。最後に、プレス機などの押圧機によって塑性変形部48を真空空間43に向けて押圧し、図17(B)に示すように、塑性変形部48を内向きに没入させる。これにより、内部に位置するコア材10Bの基材シート11Bが圧縮され、内部の球状部材12Bに塑性変形部48が略接触した状態となる。
【0074】
このように製造した魔法瓶は、第8実施形態と同様に、外側底体47の塑性変形部48と内側底体54の間隔(真空空間43の幅)を一定とすることができる。しかも、対向面である塑性変形部48と内側底体54による繊維質シートからなる基材シート11Bの圧縮代が略一定になるため、基材シート11Bによって外容器41と内容器42を一様に支持できる。その結果、外容器41と内容器42とが相対的に移動することを防止できる。そのため、これら外容器41と内容器42とが互いに干渉して異音を発生させたり、接合部分である口部45,52にリークが発生することを防止できる。よって、魔法瓶の耐振性能を向上できる。
【0075】
なお、この魔法瓶には、第2実施形態のコア材10Bの代わりに第3実施形態のコア材10Cを用いても、同様の作用および効果を得ることができる。また、外容器41および内容器42の支持機能が不要である場合には、第1実施形態に示すコア材10Aおよび第5実施形態のコア材10Eを用いることもできる。
【0076】
また、魔法瓶には、外容器41の外側胴体44と内容器42の内側胴体51の間に、金属箔の代わりに第6,7実施形態のコア材10F,10Gを配設してもよい。このようにすれば、球状部材12F,12Gにより外側胴体44に外力が加わることによる変形を抑制できる。
【0077】
図18は第4実施形態のコア材10Dを用いた第11実施形態の真空二重構造体である真空二重容器40Bの他の例の耐火金庫を示す。この耐火金庫は、第10実施形態に示す魔法瓶と略同一構成であり、口部45,52に、蓋57および蓋固定部材59を配設している点で、大きく相違している。そして、この耐火金庫には、内容器42の外周部に第4実施形態のコア材10Dが接触する一方、コア材10Dが外容器41に接触しないように巻き付けている。
【0078】
なお、蓋57はセラミックボードからなり、第2口部52に内嵌する嵌合部58を備えている。蓋固定部材59は、蓋57より大きいステンレス(SUS304)製の平板からなる。この蓋固定部材59は、外容器41の肩部に設けた非締付部60に対してボルトを締め付けることにより、蓋57を離脱不可能に固定する。
【0079】
この耐火金庫は、内側胴体51と内側底体54とを接合した後、この内容器42にコア材10Dを巻き付けて配設するとともに、ゲッターを配設する。その後、内容器42を外容器41の外側胴体44の内部に配置し、互いの口部45,52を接合する。その後、外側底体47を外側胴体44の開口端に配設し、溶接により接合した後、チップ管50から内部空間内の空気を真空排気する。なお、コア材10Dは、外周部を針金などで巻き付けて結束することが好ましい。また、コア材10Dと外容器41との間には、図示のように十分な隙間を形成する。
【0080】
このように製造した耐火金庫は、金属箔からなる基材シート11D1,11D2により、輻射伝熱を確実に防ぎ、断熱性能を向上できる。また、外容器41が高温に曝されることにより、外容器41が内容器42に向けて変形した場合、球状部材12Dに当接することにより、内容器42と接触することを防止し、真空空間43を維持できる。その結果、外容器41から内容器42へ直接伝熱することを防止できるため、内容器42内に収容した商品が取り出せない程、耐火金庫が不定形に潰れることを防止できる。
【0081】
この耐火金庫には、第4実施形態のコア材10Dの代わりに、第5,6,7実施形態のコア材10E,10F,10Gを配設してもよい。勿論、第1,2,3実施形態に示すコア材10A,10B,10Cを使用してもよい。また、内容器42の外周部にコア材10A〜10Gを巻き付ける代わりに、外容器41の内周部にコア材10A〜10Gを巻き付ける構成としてもよい。この場合、外容器41の内径より大きいばね性リングを収縮させて配置することにより、外容器41の内周部にコア材10A〜10Gを位置決めすることが好ましい。
【0082】
なお、本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。特に、本発明のコア材10A〜10Gの製造方法は希望に応じて変更が可能である。しかも、コア材10A〜10Gは、真空断熱パネル30A,30Bおよび真空二重容器40A,40Bに限られず、種々の真空二重構造体に使用することができる。
【符号の説明】
【0083】
10A〜10G…コア材
11A〜11G…基材シート
12A〜12G…球状部材
20…下側固定台
22…球状部材配設枠
25…可動プレス枠
27…水槽
30A,30B…真空断熱パネル(真空二重構造体)
31A,31B…金属板
34…真空空間
40A,40B…真空二重容器(真空二重構造体)
41…外容器
42…内容器
43…真空空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導度が低く弾性変形可能な繊維質シートからなる一対の基材シートの間に、耐熱性が高く熱伝導度が低く前記基材シートより硬質な多数の球状部材を点在させて配設したことを特徴とするコア材。
【請求項2】
熱伝導度が低く弾性変形可能な繊維質シートからなる基材シートの内部に、耐熱性が高く熱伝導度が低く前記基材シートより硬質な多数の球状部材を点在させた状態で、内部に埋め込んで配設したことを特徴とするコア材。
【請求項3】
輻射伝熱を防止するための変形可能な金属箔からなる一対の基材シートの間に、耐熱性が高く熱伝導度が低く前記基材シートより硬質な多数の球状部材を点在させて配設したことを特徴とするコア材。
【請求項4】
輻射伝熱を防止するための変形可能な金属箔からなる基材シートの一面に、耐熱性が高く熱伝導度が低く前記基材シートより硬質な多数の球状部材を点在させ、前記基材シートを湾曲変形させることにより一部を埋め込み残りを突出させた状態で配設したことを特徴とするコア材。
【請求項5】
輻射伝熱を防止するための変形可能な金属箔からなる基材シートの少なくとも一面に、耐熱性が高く熱伝導度が低く前記基材シートより硬質な多数の球状部材を点在させ、前記基材シートを窪ませることにより一部を埋め込み残りを突出させた状態で配設したことを特徴とするコア材。
【請求項6】
第1基材シートの上面に、耐熱性が高く熱伝導度が低く前記第1基材シートより硬質な多数の球状部材を点在させて配設し、
前記球状部材の上部に第2基材シートを配設し、
前記第1および第2基材シートを固着することにより、一対の基材シートの間に球状部材を配設する
ことを特徴とするコア材の製造方法。
【請求項7】
熱伝導度が低く弾性変形可能な繊維を希釈した接着剤中に浸漬させるとともに、耐熱性が高く熱伝導度が低く前記繊維より硬質な多数の球状部材を点在させて接着材中に浸漬させ、
前記球状部材を含む繊維質シートからなる基材シートを接着剤から取り出し、乾燥させることにより前記基材シートの内部に球状部材に埋め込んで配設する
ことを特徴とするコア材の製造方法。
【請求項8】
固定台の上面に基材シートを配設し、
前記基材シートの表面に、耐熱性が高く熱伝導度が低く前記基材シートより硬質な多数の球状部材を点在させて配設し、
前記基材シートの上方から可動枠でプレスすることにより、前記基材シートを変形させて前記球状部材の少なくとも一部を埋め込んだ状態で配設する
ことを特徴とするコア材の製造方法。
【請求項9】
対向する第1および第2金属板の間に形成した内部空間を真空排気してなる真空二重構造体において、
前記各金属板の対向面に、請求項1,2,4,5のいずれかに記載のコア材を接触させた状態で配設したことを特徴とする真空二重構造体。
【請求項10】
対向する第1および第2金属板の間に形成した内部空間を真空排気してなる真空二重構造体において、
前記第1および第2金属板の対向面の一方に、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のコア材を接触させた状態で配設したことを特徴とする真空二重構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−255804(P2010−255804A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109175(P2009−109175)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】