説明

コア/シェル構造を有する高分子ラテックス粒子の製造方法

【課題】別の凝集過程なしに乳化重合だけを利用することによってラテックスの製造費用を節減し,着色剤,ワックス及びラテックスの異種粒子間結合度と分布の均一性を向上させて各成分の含有量を調節しやすい高分子組成物を提供する。
【解決手段】本発明の高分子ラテックス粒子の製造方法は,着色剤分散液を製造する段階と,コア用モノマーとワックスを含む有機相を加熱し混合してワックス及びモノマー混合液を製造する段階と,着色剤分散液とワックス及びモノマー混合液を混合し,該混合液にコア用重合開始剤を添加して重合反応させてワックス及び着色剤を含むコア用高分子粒子を形成する段階と,シェル用モノマーとコア用高分子粒子を混合し,この混合液にシェル用重合開始剤を添加し重合反応させてコア用高分子粒子にシェル層を形成する段階を含み,着色剤は顔料であり,コア用重合開始剤はアゾ系重合開始剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,高分子ラテックス粒子の製造方法に係り,さらに詳しくは,コア/シェル構造を有し,コアが着色剤とワックスを含みながら重合反応が容易に行われて所望の物性を有するコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子組成物は,一般に重合体樹脂を含む。重合体樹脂を製造する方法としては乳化重合法,懸濁重合法,分散重合法など色々ある。このような重合法のうち乳化重合法が製造される重合体の粒径を調節するのに有利なので,重合体の粒径が調節される必要がある場合は主に乳化重合法を使用する。
【0003】
乳化重合とは,モノマーや高分子,界面活性剤,重合開始剤などが水性相中に含有されている時,界面活性剤がある一定した濃度を越えると自ら小さいコロイド状の粒子であるミセルを形成する重合を意味する。水性相中で重合開始剤がラジカル化し,このラジカルがモノマーと結合してミセルの内部に補集されることが乳化重合の典型的な形態である。
【0004】
ラテックスは,粒径が約1μm以下の微細な天然または合成の高分子粒子が2系の成分で形成され粒子状に溶媒中に分散されているものを意味する。高分子ラテックスを形成するためにはモノマー,界面活性剤,開始剤などを混合し反応させて乳化重合を施す。
【0005】
ラテックス樹脂は,その利用される高分子組成物によってコア/シェル構造を有するように製造することができ,この場合利用される高分子組成物に含まれる他の成分をコア内に含有するラテックス樹脂を製造して利用する場合,成分の含有量を調節するのに容易な長所がある。
【0006】
特に,ラテックス樹脂を画像形成装置用トナー組成物の樹脂として使用する場合はトナー組成物に含まれる他の添加剤をラテックス樹脂のコア内に含めて製造できる。
【0007】
画像形成装置用トナー組成物は,現像剤として使用され,着色剤,結合剤樹脂,帯電制御剤及びその他機能性添加剤を含むことが一般的である。
【0008】
着色剤は,染料系着色剤と顔料系着色剤とに大別でき,このうち顔料系着色剤が染料系着色剤に比べて熱安定性及び耐光性において有利なのでトナー用着色剤としてさらに普遍的に使用される。
【0009】
結合剤樹脂は,トナー全体において約90%ほどを占め,トナー粒子を記録媒体上に定着させる役割を果たす。結合剤樹脂として使用されうる高分子物質は色々あり,ラテックス樹脂を用いられる。
【0010】
帯電制御剤は,トナー粒子に帯電される電荷量を調節するために使われ,金属アゾ化合物,サリチル酸金属錯体,ニグロシン及び4級アンモニウム塩などを使用することができる。
【0011】
トナーに添加される添加剤のうち離型性を向上させるための添加剤として離型剤がある。離型剤は,トナー画像が記録媒体に転写され定着される時,ローラとトナーとの離型性を向上させてトナーオフセットを防止し,トナーによって記録媒体がローラに付着して記録媒体のジャム現象が発生することを防止するためにトナー組成物に添加される。
【0012】
離型剤としては,例えば,低分子量ポリオレフィン類,加熱により軟化点を有するシリコン類,脂肪酸アミド類及びワックスなどが使用でき,一般にワックスを使う。
【0013】
離型剤であるワックスや着色剤をコアに含めてラテックス粒子を製造し,このラテックス樹脂を用いてトナー組成物を製造することが可能である。
【0014】
従来,米国特許第6,120,967号明細書または米国特許第5,863,696号明細書に開示されているようにそれぞれのラテックスと顔料,ワックスエマルジョン粒子を結合させる製造工程では,異種粒子間の結合のほか同種粒子間結合も発生し,よって異種粒子間の結合効果が劣化し,また凝集剤を使用するので最終的に製造されるトナーの物性に影響を与える問題点があった。しかし,ワックスや着色剤をコアに含めてラテックス粒子を製造すれば異種粒子間結合効果を向上させることができ,凝集剤を使って発生する恐れのある問題点も発生しない長所がある。
【0015】
【特許文献1】米国特許第6,120,967号明細書
【特許文献2】米国特許第5,863,696号明細書
【特許文献3】大韓民国特許出願公開2004−074709号明細書
【特許文献4】特開平10−020551号公報
【特許文献5】米国特許第6,210,853号明細書
【特許文献6】特開平7−152198号公報
【特許文献7】特開平5−303231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら,着色剤とモノマーを共に含むラテックスコアの製造において,着色剤がモノマーの重合反応を妨害するスカベンジャ−効果によって着色剤を含むコア/シェル構造のラテックスの製造が困難な問題点があった。
【0017】
そこで,本発明は,このような問題点に鑑みてなされたもので,その目的は,各異種粒子間の結合度を向上することができるコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子において,着色剤をコアに含有するコア/シェル構造の高分子ラテックスを効率よく製造することができる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために,着色剤分散液を製造する段階と,コア用モノマーとワックスを含む有機相を加熱し混合してワックス及びモノマー混合液を製造する段階と,着色剤分散液とワックス及びモノマー混合液を混合し,該混合液にコア用重合開始剤を添加し重合反応させてワックス及び着色剤を含むコア用高分子粒子を形成する段階と,シェル用モノマーとワックス及び着色剤を含む高分子粒子を混合し,該混合液にシェル用重合開始剤を添加し重合反応させてコア用高分子粒子にシェル層を形成する段階と,を含み,上記着色剤は顔料であり,上記コア用重合開始剤はアゾ系重合開始剤を含むコア/シェル構造を有する高分子ラテックス粒子の製造方法が提供される。
【0019】
上記アゾ系重合開始剤は,アゾアミジン化合物,アゾアミド化合物,アゾアルキル化合物,アゾエステル化合物,及びアゾニトリル化合物からなる群より選択することができる。また,上記コア用重合開始剤は,アゾ系重合開始剤と過硫酸塩系重合開始剤との混合開始剤又はアゾ系重合開始剤とパーオキサイド系重合開始剤との混合開始剤から選択することができる。
【0020】
上記アゾ系重合開始剤と上記過硫酸塩(persulfate)系重合開始剤との混合比率は,1:1であることが望ましい。
【0021】
上記アゾ系重合開始剤と上記パーオキサイド(peroxide)系重合開始剤との混合比率は,1:1であることが望ましい。
【0022】
上記コア用高分子粒子を形成する段階において,重合反応は2時間〜10時間で50℃〜80℃範囲内で行うことが望ましい。
【0023】
上記コア用高分子の粒径は,100nm〜500nmの範囲内であることが望ましい。
【0024】
上記シェル層を形成する段階において,重合反応は5時間〜20時間で50℃〜80℃範囲内で行うことが望ましい。
【0025】
上記コア用モノマーは,スチレン系モノマー,アクリレート系モノマー,メタクリレート系モノマー,アクリル酸,イタコン酸,メタクリル酸,マレイン酸,フマル酸,ビニル系モノマー,アクリロニトリル,ブタジエン,及びイソプレンからなる群より選択されるモノマーを含むことができる。
【0026】
上記シェル用モノマーは,スチレン系モノマー,アクリレート系モノマー,メタクリレート系モノマー,アクリル酸,イタコン酸,メタクリル酸,マレイン酸,フマル酸,ビニル系モノマー,アクリロニトリル,ブタジエン,及びイソプレンからなる群より選択されるモノマーを含むことができる。
【0027】
上記着色剤分散液は,着色剤,分散剤及び脱イオン水を混合し分散して製造することができる。
【0028】
上記着色剤は,アゾ系顔料,フタロシアニン系顔料,塩基性顔料,キナクリドン系顔料,ジオキサシン系顔料,縮合アゾ系顔料,カーボンブラック,クロム酸塩,フェロシアン化物,酸化物,硫化物セレン化物,硫酸塩,珪酸塩,炭酸塩,燐酸塩及び金属粉末からなる群より選択される着色剤を少なくとも一つ以上含むことができる。
【0029】
上記ワックスは,カルナウバワックス,ベイベリーワックス,ビーズワックス,シェラックワックス,スパマセティワックス,モンタンワックス,オゾケライトワックス,セレシンワックス,パラフィンワックス,マイクロクリスタリンワックス,フィッシャートロプシュワックス,ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックス,アクリレートワックス,脂肪酸アミドワックス,シリコンワックス及びポリテトラフルオロエチレンワックスからなる群より選択されるワックスを少なくとも一つ以上含むことができる。
【0030】
上記コア/シェル構造の高分子ラテックス粒子は,Tgが40℃〜100℃の範囲内であり,融点が50℃〜150℃の範囲内であることが望ましい。
【0031】
上記コア/シェル構造の高分子ラテックス粒子は,0.1μm〜3μmの範囲内の粒径を有するのが望ましい。
【発明の効果】
【0032】
以上述べたような本発明によれば,乳化重合反応だけを用いて別途の凝集過程や溶融過程なしに簡単な製造工程を通じてワックス及び着色剤をコアに含むコア/シェル高分子ラテックス粒子を製造することによって工程を単純化することができる。また,異種粒子間の結合度と均一な分布度を向上させられてその含有量の調節が容易であり,また本発明に係るコア/シェル高分子ラテックスを高分子組成物のラテックス樹脂として利用することによってその構成成分の分布度及び結合度を向上させられる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0034】
高分子ラテックスは,高分子組成物,特に,画像形成装置のトナー組成物の中から結合剤として使用され得るもので,本発明に係るコア/シェル構造の高分子ラテックスはコアに着色剤とワックスを含むので,離型剤と着色剤の機能を同時に有する結合剤であってトナー組成物に利用できる。
【0035】
本発明のコア/シェル構造を有する高分子ラテックスを製造するために,まず着色剤分散液を製造する。
【0036】
着色剤分散液は,着色剤と分散剤及び脱イオン水を混合し分散して製造し,本発明のコア/シェル構造を有する高分子ラテックスでは着色剤が顔料であることを特徴とする。
【0037】
本発明に使用できる顔料系着色剤は,アゾ系顔料,フタロシアニン系顔料,塩基性染料系顔料,キナクリドン系顔料,ジオキサシン系顔料,縮合アゾ系顔料,カーボンブラック,クロム酸塩,フェロシアン化物,酸化物,硫化物,セレン化物,硫酸塩,珪酸塩,炭酸塩,燐酸塩及び金属粉末で構成されたグループの中から選択され,前述した顔料を一つまたは2つ以上混合して使用することができる。しかし,本発明に使用可能な顔料はこれらに限られない。
【0038】
前記着色剤の中で特に環境的要因を考慮して有機顔料を使用することが望ましく,黒色顔料としてはカーボンブラックを使用することができる。
【0039】
本発明で使用できる有機顔料の例を挙げると次のものなどがある。
【0040】
青色及び/または緑色顔料としては,例えば,銅フタロシアニン,C.I.P.B.15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16(無金属フタロシアニン)または中心金属としてアルミニウム,ニッケルまたはバナジウムを有するフタロシアニン,Si−ブリージングされたフタロシアニンのようにブリージングされたフタロシアニン二量体/オリゴマーなどがある。
【0041】
オレンジ色顔料としては,例えば,P.O.5,62,36,34,13,43,71,72がある。
【0042】
黄色顔料としては,例えば,P.Y.12,113,17,74,83,93,122,146,155,180,174,185がある。
【0043】
赤色顔料としては,例えば,P.R.48,57,122,146,147,176,184,186,202,207,238,254,255,270,272がある。
【0044】
紫色顔料としては,例えば,P.V.1,19,23がある。
【0045】
混合顔料の例としては,例えば,P.V.19/P.R.122または146/147がある。
【0046】
着色剤分散液の製造に使用される分散剤としては,水溶性高分子,界面活性剤,無機化合物などを使用することができるが,界面活性剤が主に使用される。本発明で分散剤として使用可能な界面活性剤の例を挙げると,ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate),ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(sodium dodecylbenzene sulfonate),ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム(sodium dodecylnaphthalene sulfate),ジアルキルベンゼンアルキル硫酸塩(dialkyl benzenealkyl sulfate),ジアルキルベンゼンアルキルスルホン酸(dialkyl benzenealkyl sulfonate)を含む陰イオン性界面活性剤;ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロライド,アルキルベンジルメチルアンモニウムクロライド,臭化アルキルベンジルジメチルアンモニウム,ベンズアルコニウムクロライド,臭化セチルピリジニウム,ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロライド,ラウリルアミンアセテート,ステアリルアミンアセテート,及びラウリルトリメチルアンモニウムクロライドを含む陽イオン性界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイドを含む両性イオン性界面活性剤;及びポリビニルアルコール,ポリアクリル酸,メタローズ,メチルセルロース,エチルセルロース,プロピルセルロース,ハイドロキシエチルセルロース,カルボキシメチルセルロース,トリスチリルフェノールエトキシレートフォスフェートエステル,ポリオキシエチレンセチルエーテル,ポリオキシエチレンラウリルエーテル,ポリオキシエチレンオクチルエーテル,ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル,ポリオキシエチレンオレイルエーテル,ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート,ポリオキシエチレンステアリルエーテル,ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル,ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールを含む非イオン性界面活性剤の中から選択される1種の界面活性剤または2種以上の界面活性剤を混合して使用できる。但し,これらに限られない。
【0047】
商業的に利用可能な界面活性剤の例としては,ダウケミカル社製のDowfax,Tergitol,Tritonなどの製品がある。
【0048】
着色剤分散液の連続相としては脱イオン水を使用し,脱イオン水は窒素ガスでバブリングして脱酸素化させた超純水を使用することが望ましい。
【0049】
前述した着色剤と分散剤を超純水に入れ,ミリング装置を利用してミリングして着色剤分散液を製造する。
【0050】
ミリングに使用可能なミリング装置としては,ボールミル(ball mill),ダイノミル(Dino mill),EIGER MILL250,またはディスパーマット(Dispermat)などがある。このようなミリング装置に着色剤と分散剤を超純水に混合して入れガラスビード(glass beads)と共に1時間〜5時間,2000rpm〜10000rpmの速度でミリングして着色剤分散液を製造する。ミリングにかかる時間と速度はミリングされる分散液の組成と成分比によるものである。
【0051】
着色剤分散液の製造とは別に,ラテックスのコア用モノマーとワックスを含む有機相を加熱し混合してワックス及びモノマー混合液を製造する。
【0052】
ラテックスのコア用モノマーとしては重合性モノマーを使用するが,このような重合性モノマーとしては,スチレン系モノマー,アクリレート系モノマー,メタクリレート系モノマー,アクリル酸,イタコン酸,メタクリル酸,マレイン酸,フマル酸,スルホン化スチレン,ビニル系モノマー,アクリロニトリル,ブタジエン,及びイソプレンで構成されたグループの中から一つまたは二つ以上を選択して混合して使用することができる。しかし,本発明で使用可能なラテックスのコア用モノマーはこれらに限られず,重合性モノマーの中から本発明の属する技術分野においてよく使用される重合性モノマーを使用することが可能である。
【0053】
スチレン系モノマーの例としては,スチレン,o−メチルスチレン,m−メチルスチレン,p−メチルスチレン,α−メチルスチレン,p−メトキシスチレン,o−クロロスチレン,m−クロロスチレン,p−クロロスチレン,ジクロロスチレン,p−tert−ブチルスチレン,p−n−ブチルスチレン,p−フェニルスチレン,p−n−ノニルスチレンなどがあるが,これらに限られない。
【0054】
アクリレート系モノマーの例としては,アクリレート,メチルアクリレート,エチルアクリレート,プロピルアクリレート,イソブチルアクリレート,n−ブチルアクリレート,β−カルボキシエチルアクリレート,ハイドロキシエチルアクリレート,エチルヘキシルアクリレート,トリメチルプロパントリアクリレートなどがあるが,これらに限られない。
【0055】
メタクリレート系モノマーの例としては,メタクリレート,メチルメタクリレート,エチルメタクリレート,プロピルメタクリレート,n−プロピルメタクリレート,イソプロピルメタクリレート,n−ブチルメタクリレート,イソブチルメタクリレート,n−オクチルメタクリレート,ドデシルメタクリレート,ステアリルメタクリレート,ハイドロキシエチルメタクリレート,2−エチルヘキシルメタクリレートなどがあるが,これらに限られない。
【0056】
ビニル系モノマーの例としては,ビニルピリジン,ビニルピロリドン,1,2−ジビニルベンゼン,1,3−ジビニルベンゼン,1,4−ジビニルベンゼン,1,2−ジイソプロフェニルベンゼン,1,3−ジイソプロフェニルベンゼン,1,4−ジイソプロフェニルベンゼン,1,2,4−トリエテニルベンゼン,1,3,5−トリエテニルベンゼン,2,6−ジエテニルナフタレン,1,7−ジエテニルナフタレン,1,4−ジエテニルナフタレン,2−クロロ−1,4−ジエテニルベンゼンなどがあるが,これらに限られない。
【0057】
モノマーは,重合後形成されるラテックスコアのガラス転移温度(Tg)を考慮して選択することができる。特に,モノマーを2種以上混合して使用する場合はモノマーの種類とその含量により形成されるラテックスコアのTgが多様になるが,本発明によって製造される高分子ラテックス物質が利用される分野によって適切なラテックス物質のTgを予想することができ,このTgを有するラテックスを製造するためにモノマーを選択することができる。
【0058】
重合体のTgは,高分子量単独重合体に対して公知の値と次の数式(1)で表されるfox方程式を用いて計算することができる。fox方程式は文献[A.W.Wicks,F.N.Johnes & S.P.Pappa共著,Organic coatings,1,John Wilry,ニューヨーク所在,pp54−55(1992年)]に記載されている。次の式のうちWiはモノマー“i”の重量分率であり,Tgiはモノマー“i”の高分子量単独重合体のTgである。
【0059】
【数1】

【0060】
前記数式(1)を使用して所望のラテックスコアのTgに適するモノマーの種類及びその含量を決定することができる。すなわち,コアのTgを所望の温度に設定し,重合に使用するモノマー“1”及びモノマー“2”を決定しそのTgを設定した後,数式(1)を使って使用されるモノマー“1”及びモノマー“2”それぞれの重量分率を決定することができる。
【0061】
重合成モノマーの単独重合体中の一部のTgの例を挙げると次の通りである。
【0062】

【0063】
本発明で使用されるワックスは,20℃における混練性,硬さ〜割れ性,組立〜微細結晶質,半透明〜不透明性を有し,40℃超過温度で分解せず溶融され,融点よりやや高い温度で相対的に低い粘度及び非粘性を有し,高温−依存恒常性及び可溶性などの特性を有する天然または合成の物質を意味する。
【0064】
本発明のラテックスコアに含まれるワックスは,商業的に使用可能であるか合成して使用できるものならいずれも使用可能である。例えば,カルナウバワックス,ベイベリーワックスのような植物性天然ワックス,及びビーズワックス,シェラックワックス,スパマセティワックスのような動物性天然ワックスを含む天然ワックス;モンタンワックス,オゾケライトワックス,セレシンワックスを含むミネラルワックス;パラフィンワックス,マイクロクリスタリンワックスを含む石油系ワックス;並びに,フィッシャートロプシュワックス,ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックス,アクリレートワックス,脂肪酸アミドワックス,シリコンワックス,ポリテトラフルオロエチレンワックスを含む合成ワックスの中から1種または2種以上を選んで混合して使用することができるが,使用できるワックスはこれらに限られない。
【0065】
モノマーとワックスの混合有機相に鎖転移剤(chain transfer agent)を入れて,これを加熱混合する。
【0066】
鎖転移剤は,重合高分子の分子量を調節するために添加するものであって,本発明に使用可能な鎖転移剤は,例えば,1−ドデカンチオール,n−オクチルメルカプタン(n−octyl mercaptan),n−ドデシルメルカプタン,t−ドデシルメルカプタン,2−メルカプトエタノール(2−mercaptoethanol),ジイソプロピルキサントゲン(diisopropyl xanthogen),カーボンテトラクロライド(carbon tetrachloride),トリクロロブロモメタン(trichlorobromomethane),オクタンチオール(octan thiol),ステアリルチオール(stearyl thiol),n−オクチル3−メルカプトプロピオネート(n−octyl 3−mercaptopropionate),α−メチルスチレンダイマー(α−methyl styrene dimer)及びエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)(ethylene glycol bis(3−mercaptopropionate))などがあり,この中から選択して単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。但し,本発明で使用可能な鎖転移剤は前述したものに限られない。
【0067】
その後,前述したように製造された着色剤分散液とワックス及びモノマーの混合液を混合し,この混合液にコア用重合開始剤を添加し重合反応させてラテックスのコアを形成する。
【0068】
顔料は,ラテックス粒子の合成工程においてラジカルスカベンジャ−作用を果たすので重合合成反応を妨害して重合反応の反応度が劣化し,ラテックスが形成できず残留するモノマーが多くなる問題点があった。本発明はこのような問題点を解決するためにラテックスコアの製造時使用する重合開始剤を相違にすることによって顔料とモノマーを混合して重合反応を行っても顔料により重合反応が妨害されない。
【0069】
本発明で使用可能な重合開始剤は,アゾ系重合開始剤を含み,アゾ系重合開始剤を単独で使用することができるが,アゾ系重合開始剤と過硫酸塩系重合開始剤を混合して使用したり,あるいはアゾ系重合開始剤とパーオキサイド系重合開始剤を混合して使用することが望ましい。
【0070】
特に,本発明において使用可能なアゾ系重合開始剤は水系重合開始剤であることが望ましい。このような水系アゾ系重合開始剤は半減期が長く反応が激しくないため重合反応を長く持続させる効果があると知られている。このようなアゾ系重合開始剤の特性により顔料によるスカベンジャ(Scavenger)効果を除去して重合反応を効率よく向上させられる。
【0071】
本発明において使用可能なアゾ系重合開始剤はアゾアミジン化合物,アゾアミド化合物,アゾアルキル化合物,アゾエステル化合物,あるいはアゾニトリル化合物の中から1種または2種以上を選択して混合して使用することができる。しかし,本発明で使用できるアゾ系重合開始剤はこれらに限られない。
【0072】
アゾアミジン化合物の例としては,2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド,2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジハイドロクロライド,2,2’−アゾビス[N−(4−ハイドロキシフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジハイドロクロライド,2,2’−アゾビス[N−(ハイドロキシフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジハイドロクロライド,2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジハイドロクロライド,2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロフェニル)プロピオンアミジン]ジハイドロクロライド,2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド,2,2’−アゾビス[N−(2−ハイドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジハイドロクロライド,2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド,2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド,2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラハイドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド,2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラハイドロピりミディン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド,2,2’−アゾビス[2(5−ハイドロキシ−3,4,5,6−テトラハイドロピリミディン−2−イル)プロパン]−ジハイドロクロライド,2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ハイドロキシエチル0−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド,2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]などがあるが,これらに限られない。
【0073】
アゾアミド系化合物は,例えば,2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ハイドロキシメチル)−2−ハイドロキシエチル]プロピオンアミド},2,2’−アゾビス{2−メチル−N[1,1−ビス(ハイドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド},2,2’−アゾビス[2−メチル−N(2−ハイドロキシエチル)プロピオンアミド,2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイドレートなどがあるが,これらに限られない。
【0074】
アゾアルキル化合物の例を挙げると,2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン),2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)などがあるが,これらに限られない。
【0075】
アゾエステル化合物の例としては,ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)があるが,これらに限られない。
【0076】
アゾニトリル化合物の例を挙げると,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル,2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル),2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル),2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル),1,1’−アゾビス(サイクロへキサン−1−カルボニトリル),2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル,2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどがあるが,これらに限られない。
【0077】
過硫酸塩系重合開始剤の例としては,過硫酸カリウム,過硫酸アンモニウム,過硫酸ナトリウムなどがあるが,これらに限られない。
【0078】
パーオキサイド系重合開始剤の例としては,o−クロロベンゾイルパーオキサイド,o−メトキシベンゾイルパーオキサイド,ラウロイルパーオキサイド,オクタノイルパーオキサイド,メチルエチルケトンパーオキサイド,ジイソプロピルフェロキシジカーボネート,クメンハイドロパーオキサイド,サイクロヘキサノンパーオキサイド,t−ブチルハイドロパーオキサイド,ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド,ハイドロジェンパーオキサイド,p−メンタンパーオキサイド,フェロキシカーボネートなどがあるが,これに限られない。
【0079】
アゾ系重合開始剤と過硫酸塩系重合開始剤との混合比率及びアゾ系重合開始剤とパーオキサイド系重合開始剤との混合比率はそれぞれ1:1であることが望ましい。この重合開始剤の混合比率は反応に関与するモノマーと重合反応により妨害作用を果たす顔料の種類及び含量によって適宜変更できる。
【0080】
着色剤分散液とワックス及びモノマーの混合液にコア用重合開始剤を添加した後約2時間〜10時間約50℃〜約80℃の範囲内で反応させる。こうして約100nm〜500nmの範囲内の平均粒径を有するコア用高分子粒子を製造する。
【0081】
その後,前記製造されたコア用高分子粒子が入っている容器にシェル用モノマーを混合しシェル用重合開始剤を添加して高分子ラテックスのシェル層を形成する。
【0082】
シェル用モノマーとしては,スチレン系モノマー,アクリレート系モノマー,メタクリレート系モノマー,アクリル酸,イタコン酸,メタクリル酸,マレイン酸,フマル酸,ビニル系モノマー,アクリロニトリル,ブタジエン,またはイソプレンの中から1種または2種以上を選択し混合して使用することができる。しかし,本発明に使用可能なシェル用モノマーは前述したモノマーに限られない。
【0083】
スチレン系モノマー,アクリレート系モノマー,メタクリレート系モノマー,ビニル系モノマーなどの例示は前述したコア用モノマーと同様である。シェル用モノマーはコア用モノマーと同種のものを使用することもできる。
【0084】
シェル用モノマーの選択もコア用モノマーの選択と同様にラテックスシェルのTgを考慮してモノマーの種類及び含量を決定することができる。
【0085】
シェル用重合開始剤は前述したパーオキサイド系重合開始剤または過硫酸塩系重合開始剤を使用することができる。またはその他本発明の属する技術分野においてよく使用される重合開始剤を使用することができる。
【0086】
ラテックスルのシェル層を形成するための重合反応は,約5時間〜約20時間で約50℃〜約80℃の範囲内で行うのが望ましい。重合反応の温度と重合反応にかかる時間はシェル用モノマーの種類及び含量などによって決定され得る。
【0087】
シェル層を形成した後反応が済んだ混合溶液を室温で自然冷却させることによって最終ラテックス樹脂を製造する。
【0088】
前述したように製造されるコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子のTgは約40℃〜約100℃の範囲内のものが望ましい。本発明の高分子ラテックス粒子が使用される画像形成装置用トナー組成物の中からラテックス樹脂の分散性と貯蔵性を考慮し,画像形成過程のうち定着温度などを考慮してラテックス樹脂のTg範囲は約40℃〜約100℃の範囲内であることが望ましい。
【0089】
また,前述したように製造されるコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子の平均粒径は約0.1μm〜3μmの範囲内のものが望ましい。本発明が利用されるトナー組成物で最終トナー粒径を考慮すればラテックス粒子の粒径は約0.1μm〜3μmの範囲内であることが望ましい。
【0090】
こうして製造されるコア/シェル構造の高分子ラテックスは単一化した工程を通じてワックスと着色剤がカプセル化したラテックスが製造できるため製造工程を省略でき,またこれによりラテックスとワックス,着色剤間の結合度と均一な分布,カプセル化比率を向上させられてラテックス樹脂が用いられる高分子組成物内におけるこれら成分の含有量を制御するのに容易である。特に,着色剤がコアに含有されるラテックスの場合は着色剤である顔料がラテックスコアの重合反応を阻害して着色剤をラテックスコアに含有させるのに困難であったが,本発明によれば着色剤をコアに容易に含有させられる。
【実施例】
【0091】
以下,実施例を参照しながら本発明を更に詳細に説明する。
【0092】
(実施例1)
<ラテックスコアの製造>
P.B.15:3 30gと超純水100g及びDowfax10gをガラスビード200gと共にディスパーマットを用いて1時間3000rpmの速度でミリングして着色剤分散液を製造した。
【0093】
これとは別に,スチレン,ブチルアクリレート,アクリル酸を7:2:1で混合したモノマー混合物100gに1−ドデカンチオール8gとエステルワックス10gを入れ,これを加熱し混合してワックス及びモノマー混合液を製造した。
【0094】
その後,超純水350gに前記着色剤分散液30gを混合した水溶液を作って反応容器に入れ反応容器を80℃まで加熱した。これとは別に,超純水350gにDowfax1gとトリトン1gを溶解した分散剤水溶液を用意した。
【0095】
前記製造されたモノマー混合液と着色剤分散液の水溶液及び分散剤水溶液を1Lの反応器に入れて混合した後,均質器を利用して約7000rpmの速度で約10分間均質化させた。この均質化されたものを反応水槽に入れて約100rpmの速度で撹拌させながら約80℃まで加熱した。反応水槽の温度が80℃に到達すると2,2’−アゾビス{2−メチル−N[1,1−ビス(ハイドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}とメチルエチルケトンパーオキサイドを1:1に混合した重合開始剤を微量添加し窒素ガスで反応器の内部をパージした。反応時間は約2時間であった。こうして約250nmの粒径を有するワックスと着色剤を含むラテックスコアを製造した。
【0096】
<ラテックスシェル層の製造>
スチレン55g,ブチルアクリレート20g,メチルアクリレート7gを混合したモノマー混合液に1−ドデカンチオールを1.5g加えてシェル用モノマー混合液を用意した。このモノマー混合液を前記製造されたラテックスコアに混合し過硫酸カリウムを微量添加して約3時間約80℃で重合反応させた。
【0097】
重合反応が済んでからこれを室温で自然冷却してラテックスコアの表面にシェル層を形成することによってコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子を製造した。
【0098】
前記製造されたコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子のTgは70℃及び融点は112℃であり,体積平均粒径は270nmであり数平均粒径は約230nmであった。
【0099】
(実施例2)
実施例1においてエステルワックスを入れる代りにポリエチレンワックスエマルジョン80gを使用することを除けば,実施例1と同様な方法でコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子を製造した。
【0100】
前記製造されたコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子のTgは69℃及び融点は110℃であり,体積平均粒径は162nmであり数平均粒径は約122nmであった。
【0101】
(実施例3)
実施例1においてコア用モノマーのうちアクリル酸の代りにメタクリル酸を使用することを除けば,実施例1と同様な方法でコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子を製造した。
【0102】
前記製造されたコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子のTgは69℃及び融点は85℃であり,体積平均粒径は300nmであり数平均粒径は約140nmであった。
【0103】
(実施例4)
実施例1においてエステルワックスを入れる代りにパラフィンワックスエマルジョン120gを使用することを除けば,実施例1と同様な方法でコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子を製造した。
【0104】
前記製造されたコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子のTgは69℃及び融点は60℃であり,体積平均粒径は190nmであり数平均粒径は約144nmであった。
【0105】
(実施例5)
実施例1において着色剤をP.B.15:3を入れる代りにP.Y.180を使用することを除けば,実施例1と同様な方法でコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子を製造した。
【0106】
前記製造されたコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子のTgは68℃及び融点は110℃であり,体積平均粒径は270nmであり数平均粒径は約230nmであった。
【0107】
(実施例6)
実施例1において着色剤をP.B.15:3を入れる代りにP.R.122を使用することを除けば,実施例1と同様な方法でコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子を製造した。
【0108】
前記製造されたコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子のTgは68℃及び融点は110℃であり,体積平均粒径は591nmであり数平均粒径は約310nmであった。
【0109】
(実施例7)
実施例1において着色剤をP.B.15:3を入れる代りにカーボンブラック(Nipex 70)を使用することを除けば,実施例1と同様な方法でコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子を製造した。
【0110】
前記製造されたコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子のTgは70℃及び融点は109℃であり,体積平均粒径は150nmであり数平均粒径は約101nmであった。
【0111】
以上,本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤分散液を製造する段階と,
コア用モノマー及びワックスを含む有機相を加熱し混合してワックス及びモノマー混合液を製造する段階と,
前記着色剤分散液と前記ワックス及びモノマー混合液とを混合し,該混合液にコア用重合開始剤を添加して重合反応させてワックス及び着色剤を含むコア用高分子粒子を形成する段階と,
シェル用モノマーと前記コア用高分子粒子を混合し,該混合液にシェル用重合開始剤を添加し重合反応させて前記コア用高分子粒子にシェル層を形成する段階と,
を含み,
前記着色剤は顔料であり,
前記コア用重合開始剤はアゾ系重合開始剤を含むことを特徴とする,コア/シェル構造の高分子ラテックス粒子の製造方法。
【請求項2】
前記アゾ系重合開始剤は,アゾアミジン化合物,アゾアミド化合物,アゾアルキル化合物,アゾエステル化合物及びアゾニトリル化合物からなる群より選択されることを特徴とする,請求項1に記載のコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子の製造方法。
【請求項3】
前記コア用重合開始剤は,アゾ系重合開始剤と過硫酸塩系重合開始剤との混合開始剤又はアゾ系重合開始剤とパーオキサイド系重合開始剤との混合開始剤であることを特徴とする,請求項1に記載のコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子の製造方法。
【請求項4】
前記アゾ系重合開始剤と前記過硫酸塩系重合開始剤との混合比率は1:1であることを特徴とする,請求項3に記載のコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子の製造方法。
【請求項5】
前記アゾ系重合開始剤と前記パーオキサイド系重合開始剤との混合比率は1:1であることを特徴とする,請求項3に記載のコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子の製造方法。
【請求項6】
前記コア用高分子粒子を形成する段階で,重合反応は2時間〜10時間,50℃〜80℃の範囲内で行うことを特徴とする,請求項1に記載のコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子の製造方法。
【請求項7】
前記コア用高分子の粒径は,100nm〜500nmの範囲内であることを特徴とする,請求項1に記載のコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子の製造方法。
【請求項8】
前記シェル層を形成する段階で,重合反応は5時間〜20時間,50℃〜80℃の範囲内で行うことを特徴とする,請求項1に記載のコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子の製造方法。
【請求項9】
前記コア用モノマーは,スチレン系モノマー,アクリレート系モノマー,メタクリレート系モノマー,アクリル酸,イタコン酸,メタクリル酸,マレイン酸,フマル酸,ビニル系モノマー,アクリロニトリル,ブタジエン及びイソプレンからなる群より選択されるモノマーを含むことを特徴とする,請求項1に記載のコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子の製造方法。
【請求項10】
前記シェル用モノマーは,スチレン系モノマー,アクリレート系モノマー,メタクリレート系モノマー,アクリル酸,イタコン酸,メタクリル酸,マレイン酸,フマル酸,ビニル系モノマー,アクリロニトリル,ブタジエン及びイソプレンからなる群より選択されるモノマーを含むことを特徴とする,請求項1に記載のコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子の製造方法。
【請求項11】
前記着色剤分散液は,着色剤,分散剤及び脱イオン水を混合し分散して製造することを特徴とする,請求項1に記載のコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子の製造方法。
【請求項12】
前記着色剤は,アゾ系顔料,フタロシアニン系顔料,塩基性顔料,キナクリドン系顔料,ジオキサシン系顔料,縮合アゾ系顔料,カーボンブラック,クロム酸塩,フェロシアン化物,酸化物,硫化物,セレン化物,硫酸塩,珪酸塩,炭酸塩,燐酸塩及び金属粉末からなる群より選択される着色剤を少なくとも一つ以上含むことを特徴とする,請求項1に記載のコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子の製造方法。
【請求項13】
前記ワックスは,カルナウバワックス,ベイベリーワックス,ビーズワックス,シェラックワックス,スパマセティワックス,モンタンワックス,オゾケライトワックス,セレシンワックス,パラフィンワックス,マイクロクリスタリンワックス,フィッシャートロプシュワックス,ポリエチレンワックス,ポリプロピレンワックス,アクリレートワックス,脂肪酸アミドワックス,シリコンワックス及びポリテトラフルオロエチレンワックスからなる群より選択されるワックスを少なくとも一つ以上含むことを特徴とする,請求項1に記載のコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子の製造方法。
【請求項14】
前記コア/シェル構造の高分子ラテックス粒子は,Tgが40℃〜100℃の範囲内であり,融点が50℃〜150℃の範囲内であることを特徴とする,請求項1に記載のコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子の製造方法。
【請求項15】
前記コア/シェル構造の高分子ラテックス粒子は,0.1μm〜3μmの範囲内の粒径を有することを特徴とする,請求項1に記載のコア/シェル構造の高分子ラテックス粒子の製造方法。


【公開番号】特開2006−291200(P2006−291200A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104602(P2006−104602)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】