説明

コイルトランスデューサにおける電磁干渉の最小化

【課題】小さいパッケージにおいて高電圧絶縁性能特性および高電圧ブレークダウン性能特性を提供するように構成され、電磁干渉(EMI)のピックアップを低減したコイルトランスデューサシステムを提供する。
【解決手段】送信機回路90および受信機回路100をコイルトランスデューサ20に電気的に接続するワイヤ92,94、96,98の長さ、高さ、および、水平距離を、電磁干渉(EMI)をピックアップするのを最小化するように設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここで説明される本発明の様々な実施形態は、データ信号および電力用変圧器またはガルバニック絶縁装置およびコイルトランスデューサに関し、より詳細には、データおよび/または電力信号を送信および受信するために誘電体バリアまたは絶縁体バリアを介して誘導結合されたコイルトランスデューサを使用する装置に関する。
【0002】
関連出願
本出願は、(a)2008年3月31日に出願された発明の名称が「Galvanic Isolators and Coil Transducers」であるFouquet et al.の米国特許出願第12/059,979号(以下、「979特許出願」と呼ぶ)、(b)2008年3月31日に出願された発明の名称が「Coil Transducer with Reduced Arcing and Improved High Voltage Breakdown Performance Characteristics」であるFouquet et al.の米国特許出願第12/059,747号(以下、「747特許出願」と呼ぶ)、および、(c)2009年2月12日に出願された発明の名称が「High Voltage Hold−off Coil Transducer」であるFouquet et al.の米国特許出願第12/370,208号(以下、「208特許出願」と呼ぶ)の一部継続出願であり、そして、これらの出願に基づく優先権およびその他の利益を主張するものである。さらに、これによって、本出願の明細書には、これらの979特許出願、747特許出願、および、208特許出願の明細書全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
従来技術において知られている高電圧絶縁通信装置は、光学素子、磁気素子、および、容量性素子を含む。従来技術による光学素子は、典型的には、光信号を送信および受信するために、LEDとそれらに対応するフォトダイオードとを使用することによって高電圧絶縁を達成し、通常、大きい電力レベルを必要とし、多数の通信チャンネルが必要とされる場合、動作上および設計上の制約を受ける。
【0004】
従来技術による磁気素子は、典型的には、向かい合った誘導結合コイルを使用することによって高電圧絶縁を達成し、通常、大きい電力レベルを必要とし(とりわけ、速いデータ伝送速度が必要とされる場合)、典型的には、少なくとも3つの分離した集積回路またはチップを使用しなければならず、また、多くの場合、電磁干渉(EMI)の影響を受けやすい。
【0005】
従来技術による容量性素子は、送信電極および受信電極の複数の対を使用することによって電圧絶縁を達成し、例えば、電極の第1の対は、データを送信および受信するのに使用され、電極の第2の対は、送信された信号をリフレッシュまたは保持するのに使用される。そのような容量性素子は、典型的には、貧弱な高電圧ホールドオフ特性または高電圧ブレークダウン特性を呈する。
【0006】
小さな高速ガルバニック絶縁装置またはコイルトランスデューサの設計は、高電圧ブレークダウン特性および許容することのできるデータまたは電力の転送速度を維持するとともに、EMI、きわめて大きい高速の過渡現象、および、その他の形態の電気的雑音にどのように対処するのかというような、いくつかの厄介な技術的問題を露呈する。
【0007】
ある種の電気回路においては、論理信号が、お互いに電気的に絶縁された状態に維持されなければならない2つの場所間において伝送される。例えば、医学的検査機器における高電圧は、患者から分離された状態に維持されなければならず、また、工場操作者は、高電圧および/または高電流の機械を操作するときに安全な状態に維持されなければならない。絶縁装置が、操作者によって駆動される制御回路を高電圧および/または高電流の回路から分離するのに使用され、それによって、操作者を保護してもよい。さらに、制御回路自身は、高電圧回路および/または高電流回路の高電圧および/または高電流から十分に絶縁されなければならない。しかしながら、ある種の絶縁装置においては、信号伝送は、かなりの量のEMIを含む環境においては妨害されることがある。信頼性のある信号伝送を提供するために、絶縁装置は、EMIを除去または低減するように設計されなければならない。必要とされているものは、小さい高速ガルバニック絶縁装置のEMIに対する妨害感受性を最小化するための手段および方法である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態においては、コイルトランスデューサシステムが提供され、このコイルトランスデューサシステムは、誘電体バリアが、電気的に絶縁し、非金属であり、非半導体であり、低誘電体損材料を備え、第1の導電性コイルが、基板の上面の上方に配置され、この第1のコイルは、この第1のコイルの両端に配置された第1のコイル入力端子と第2のコイル入力端子との間に延び、第2の導電性コイルが、基板の下面の下方に配置され、この第2のコイルは、この第2のコイルの両端に配置された第1の出力コイル端子と第2の出力コイル端子との間に延び、向かい合った上面および下面を備えかつ内部に誘電体バリアを含む一般的には平坦な基板を備えたコイルトランスデューサと、第1の送信機出力端子と第2の送信機出力端子とを備えた送信機回路とを備え、第1のワイヤが、第1の送信機出力端子および第1の入力コイル端子に電気的に接続され、かつ、第1の送信機出力端子と第1の入力コイル端子との間に延び、第2のワイヤが、第2の送信機出力端子および第2の入力コイル端子に電気的に接続され、かつ、第2の送信機出力端子と第2の入力コイル端子との間に延び、第1のワイヤおよび第2のワイヤは、お互いにほぼ平行であり、あるいは、コイルトランスデューサの長軸に対してほぼ等しい角度を有し、第1のワイヤおよび第2のワイヤは、ほぼ同じ第1の長さを有し、その結果として、第1のワイヤおよび第2のワイヤは、第1のワイヤおよび第2のワイヤが電磁干渉(EMI)をピックアップするのを最小限に抑制するように構成される。
【0009】
別の実施形態においては、コイルトランスデューサシステムを製造するための方法が提供され、このコイルトランスデューサシステムは、誘電体バリアが、電気的に絶縁し、非金属であり、非半導体であり、低誘電体損材料からなり、第1の導電性コイルが、基板の上面の上方に配置され、この第1のコイルは、この第1のコイルの両端に配置された第1のコイル入力端子と第2のコイル入力端子との間に延び、第2の導電性コイルが、基板の下面の下方に配置され、この第2のコイルは、第2のコイルの両端に配置された第1の出力コイル端子と第2の出力コイル端子との間に延びる、向かい合った上面および下面を備えかつ内部に誘電体バリアを含む一般的には平坦な基板を備えたコイルトランスデューサを形成するステップと、第1の送信機出力端子と第2の送信機出力端子とを備えた送信機回路を提供するステップと、第1の送信機出力端子と第1の入力コイル端子と間に第1のワイヤを電気的に接続するステップと、第2の送信機出力端子と第2の入力コイル端子との間に第2のワイヤを電気的に接続するステップと、第1のワイヤおよび第2のワイヤを、お互いにほぼ平行であり、あるいは、コイルトランスデューサの長軸に沿って延びる方位角に対してほぼ等しい角度を有し、かつ、ほぼ同じ第1の長さを有するように構成し、その結果として、第1のワイヤおよび第2のワイヤは、第1のワイヤおよび第2のワイヤが電磁干渉(EMI)をピックアップするのを最小限に抑制するように構成されるステップとを備える。
【0010】
さらなる実施形態が、ここに開示され、あるいは、当業者には、ここに記載された明細書および添付の図面を読みかつ理解すれば、明らかとなる。
【0011】
本発明の様々な実施形態の異なる側面が、以下の説明、図面、および、特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来技術によるコイルトランスデューサシステムの上面斜視図である。
【図2】一実施形態によるコイルトランスデューサシステムの上面斜視図である。
【図3】別の実施形態によるコイルトランスデューサシステムの上面斜視図である。
【図4】さらに別の実施形態によるコイルトランスデューサシステムの上面斜視図である。
【図5】さらなる実施形態によるコイルトランスデューサシステムの側面図である。
【図6】一実施形態によるコイルトランスデューサの上面斜視図である。
【図7】別の実施形態によるコイルトランスデューサの上面斜視図である。
【図8.9】図8は、一実施形態によるコイルトランスデューサの平面図である。図9は、別の実施形態によるコイルトランスデューサの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面は、必ずしも一定の縮尺率ではない。特に指示がなされない限り、図面を通して、類似する符号は、類似する部分またはステップを示す。
【0014】
以下の説明において、本発明の様々な実施形態を完璧に理解するための具体的な細部が説明される。しかしながら、本明細書、特許請求の範囲、および、図面を読みかつ理解すれば、当業者は、本発明のいくつかの実施形態はここで説明されるいくつかの特定の細部に固執することなく実施できることが理解される。さらにまた、本発明を曖昧なものにしないように、本発明の様々な実施形態において使用されるいくつかのよく知られている回路、材料、および、方法は、ここでは詳細には開示されない。
【0015】
図面においては、すべてではないが、本発明のいくつかの考えられる実施形態が、例示され、さらには、一定の縮尺率で示されていない場合もある。
【0016】
ここで使用される「水平な」という用語は、本発明による基板の空間における実際の方位に関係なく、その基板の通常の平面かまたは表面に実質的に平行な平面として定義される。「垂直な」という用語は、上で定義された水平面に実質的に垂直な方向を表現する。「上に」、「上方に」、「下方に」、「最下部に」、「最上部に」、「側面に」、「側壁」、「よりも高い」、「よりも低い」、「上部に」、「上を越える」、「下部に」のような用語は、上で説明された水平面に対して定義される。
【0017】
図1は、従来技術のコイルトランスデューサシステム20の上面斜視図を示し、ここで図示されるように、第1の送信コイル50と、第2の受信コイル60と、送信機回路90と、受信機回路100と、基板39と、コンタクトまたはワイヤボンディングパッド54および55およびワイヤボンディングパッド58および59にそれぞれ電気的に接続されたワイヤボンディング92、94、96、および、98とを備える。送信機回路90は、典型的には、入力信号波形を、一次送信コイルすなわち第1のコイル50を駆動するのに適した波形を有する信号に変換するように構成される。受信機回路100は、典型的には、二次受信機コイルすなわち第2のコイル60から出力される信号を、入力信号に類似した波形に戻すように構成される。送信機回路90および受信機回路100は、通常、集積回路(IC)であり、そして、例えば、フレックス回路およびその他の材料からなるコイルトランスデューサ20に連結される。それらは、プリント回路基板組立技術のような標準的な電子部品組立プロセスと互換性のある形式でパッケージングされてもよい。そのようなパッケージングは、コイルトランスデューサ20の様々な部品をリードフレーム(図1には示されない)上に取り付けること、部品を一緒にワイヤボンディングすること、および、犠牲金属リードがリードフレームから分離されて標準的な集積回路リードとして形成された後に、あらゆるものを一緒に保持するために、それらを成形材料によって取り囲むこととをさらに備えてもよい。
【0018】
図1の参照を続行すると、コイルトランスデューサ20は、第1のコイル50および第2のコイル60をそれぞれ含む2つのメタライゼーション層を備え、それらのコイルのそれぞれは、外側のコンタクト54および58のそれぞれから、中央に配置されたコンタクト55および59のそれぞれに向かって内側へ巻いていることがわかる。図1に示されるコイルの形状の結果として、送信機回路90から中央に配置されたコンタクト55まで延びるワイヤ94、および、受信機回路100から中央に配置されたコンタクト59まで延びるワイヤ98は、かなり長く、かつ、ループ状のものであり、そして、コイル50および60の上方にかなり長くかつ高く延びる。さらにまた、ワイヤ94および98のいくつかの部分は、本質的に、コイル50および60の平面に対して直角に配置されていることに注意されたい。中央に配置されたコンタクト55および59に電気的に接続されたワイヤ94および98に関するこれらのすべての形状的な要素によって、コイルトランスデューサ10がEMIの影響を受けやすい脆弱なものとなってしまう。例えば、ワイヤ94および98は、コイルトランスデューサ20の上を越えるそれらのワイヤの長さおよび高さのためにEMIをピックアップするアンテナとして動作することが計算機モデリングから知られている。また、ワイヤ94および98は、そのようなワイヤのいくつかの部分がコイル50および60が配置された平面に対してほぼ直角に配置されることから、また、EMIが異なる空間的方位に分極される場合があることから、差動信号送信および差動信号受信に使用される同相モード除去技術を用いて一般的には打ち消すことのできないEMI信号をピックアップすることがあることが計算器モデリングから知られている。さらに、コイルトランスデューサ20の上方における異なる長さおよび高さ、および、ワイヤ対92および94およびワイヤ対96および98の形状は、それぞれの対におけるワイヤはお互いに関連しているので、同相モード除去技術を用いて打ち消すことのできないEMIがピックアップされるさらなる機会をもたらすことが知られている。さらにまた、ワイヤ92、94、96、および、98は、比較的に大きい電界を発生させ、そして、EMIをピックアップする場合があるばかりでなく、アンテナとして、信号を送信する。さらに、異なる長さのワイヤは、異なる周波数感度を特徴とすることがある。例えば、長いワイヤは、低い周波数の信号に対して、短いワイヤよりも大きい感度を呈することができる。図2〜図9に例示される様々な実施形態およびそれに関連する以下の説明は、これらのおよびその他の問題を解決するものである。
【0019】
図2は、一実施形態によるコイルトランスデューサシステム10の上面斜視図を示す。図示されるように、コイルトランスデューサシステム10は、送信機回路90に動作可能に取り付けられたコイルトランスデューサ20と、受信機回路100と、入力リードフレーム80と、出力リードフレーム82とを備える。好ましい実施形態においては、送信機回路90および受信機回路100は、集積回路(IC)である。第1の送信コイル50と、第2の受信コイル60と、送信機回路90と、受信機回路100と、基板39と、コンタクトまたはワイヤボンディングパッド92、94、96、および、98とは、それぞれ、ワイヤボンディング54および55およびワイヤボンディング58および59に電気的に接続される。一実施形態においては、送信機回路90は、入力信号波形を、一次送信コイルすなわち第1のコイル50を駆動するのに適した波形を有する信号に変換するように構成され、受信機回路100は、二次受信機コイルすなわち第2のコイル60から出力される信号を、入力信号に類似した波形に戻すように構成される。送信機回路90および受信機回路100は、通常、ICであり、そして、例えば、フレックス回路およびその他の材料からなるコイルトランスデューサ20に連結され、それらは、プリント回路基板組立技術のような標準的な電子部品組立プロセスと互換性のある形式でパッケージングされてもよい。好ましくは、電気的絶縁被覆層が、例えば、リードフレームへの短絡を防止するために、コイル50の上を越えて配置されるかおよびコイル60の下方に配置されることに注意されたい。
【0020】
図2の参照を続行すると、コイルトランスデューサシステム10は、コイルトランスデューサ20を備え、そして、このコイルトランスデューサ20は、向かい合った上面および下面を備えた一般的には平坦な基板39を備え、この基板39は、その基板39の内部に配置された誘電体バリアを含む。誘電体バリアは、電気的に絶縁し、非金属であり、非半導体であり、そして、低誘電体損材料を備える。第1の導電性コイル50は、基板39の中かまたは基板39上に配置され、そして、第1のコイルは、この第1のコイルの両端に配置された第1のコイル入力端子31と第2のコイル入力端子32との間に延びる。第2の導電性コイル60は、基板39の反対側かまたは反対側の部分の中かまたは上に配置され、そして、第2のコイルは、この第2のコイルの両端に配置された第1のコイル出力端子33と第2のコイル出力端子34との間に延びる。図2に示される実施形態における送信機回路90は、集積回路(IC)であり、第1の送信機出力端子84および第2の送信機出力端子85をそれぞれ備える。図2に示される実施形態における受信機回路100も、また、ICであり、第1の受信機入力端子88および第2の受信機入力端子89をそれぞれ備える。
【0021】
図2は、第1のワイヤ92が、第1の送信機出力端子84と第1の入力コイル端子54とに電気的に接続され、かつ、第1の送信機出力端子84と第1の入力コイル端子54との間に延びていることを示している。第2のワイヤ94は、第2の送信機出力端子85と第2の入力コイル端子55とに電気的に接続され、かつ、第2の送信機出力端子85と第2の入力コイル端子55との間に延びている。第3のワイヤ96は、第1の受信機入力端子88と第1の出力コイル端子58とに電気的に接続され、かつ、第1の受信機入力端子88と第1の出力コイル端子58との間に延びている。第4のワイヤ98は、第2の受信機入力端子89と第2の出力コイル端子59とに電気的に接続され、かつ、第2の受信機入力端子89と第2の出力コイル端子59との間に延びている。
【0022】
図2にさらに示されるように、第1のワイヤ92および第2のワイヤ94は、お互いにほぼ平行であり、コイルトランスデューサ20の長軸121に対してほぼ等しい角度を有し、ほぼ同じ第1の長さ95を有し、ほぼ同じ高さ107だけ基板39の上面の上方へ隆起している。また、図2に示されるように、第3のワイヤ96および第4のワイヤ98は、お互いにほぼ平行であり、コイルトランスデューサ20の長軸121に対してほぼ等しい角度を有し、ほぼ同じ第2の長さ97を有し、および/または、ほぼ同じ高さ109だけ基板39の上面の上方へ隆起させることができる。
【0023】
好ましい実施形態においては、第1、第2、第3、または、第4のワイヤが送信機90または受信機100およびコイルトランスデューサ20の上方において延びる垂直距離は、約10ミル(約254マイクロメートル)を超えることはなく、あるいは、約5ミル(約127マイクロメートル)を超えることはない。また、好ましい実施形態においては、ワイヤ92、95、96、および、98の水平長95および97は、約5ミル(約127マイクロメートル)から約30ミル(約762マイクロメートル)までの範囲であり、あるいは、約20ミル(約508マイクロメートル)を超えることはない。さらに好ましい実施形態においては、ワイヤ92とワイヤ94との間の水平分離幅93またはワイヤ96とワイヤ98との間の水平分離幅99は、約15ミル(約381マイクロメートル)を超えることはない。さらにまた、好ましい実施形態においては、ワイヤ92およびワイヤ94は、送信機IC90とコンタクト54および55との間において、比較的に一定の状態に維持されるまたは比較的に小さい状態に維持される距離93だけ分離され、そして、ワイヤ96およびワイヤ98は、受信機IC100とコンタクト58および59との間において、比較的に一定の状態に維持される距離99だけ分離される。ワイヤ92、94、96、および、98の相対的な方位、長さ、および、高さは、それらによって電磁干渉(EMI)をピックアップするのを最小限に抑制するように設定される。好ましい実施形態においては、ワイヤ92、94、96、および、98のそれぞれの端部は、コンタクト54、55、58、および、59にそれぞれワイヤボンディングされること、また、送信機90および受信機100は、集積回路であることにも注意されたい。
【0024】
コイルトランスデューサシステム10によってEMIのピックアップを低減することに寄与することは、図2に示されるコイルトランスデューサ10の実施形態が、4つの分離したメタライゼーション層を備え、第1および第2のメタライゼーション層は、第1の送信コイル50を形成し、そして、第3および第4のメタライゼーション層は、第2の受信コイル60を形成するということである。図示されるように、第1、第2、第3、および、第4のメタライゼーション層は、それぞれ、異なる別個の高さに垂直に配置される。それぞれのコイルごとに2つのメタライゼーション層を使用することによって、ワイヤ92および94およびワイヤ96および98は、上述したように、アンテナとして動作して望ましくないEMIの影響を増幅させることが知られている長いループ状のワイヤ92、94、96、および、98を結果としてもたらす図1に例示される単一層のコイルトランスデューサシステム10のワイヤよりもかなり短いものにすることができる。
【0025】
図3は、別の実施形態によるコイルトランスデューサシステム10の平面図を示し、ここでは、ワイヤ92および94は、コイルトランスデューサ20の平行な長軸123および124に対してほぼ等しい角度α1およびα2を有する。好ましい実施形態においては、角度α1と角度α2との差は、約15°よりも小さいかまたは約15°に等しい。同様に、ワイヤ96および98は、コイルトランスデューサ20の平行な長軸123および124に対してほぼ等しい角度β1およびβ2を有する。好ましい実施形態においては、角度β1と角度β2との差は、約15°よりも小さいかまたは約15°に等しい。図3に示されるワイヤ92、94、96、および、98の構成は、コイルトランスデューサ20によって望ましくないEMIのピックアップを最小化する。
【0026】
図4は、さらに別の実施形態によるコイルトランスデューサシステム10の平面図を示し、ここでは、ワイヤ92aと92bとは、お互いにほぼ平行であり、ワイヤ94aと94bとは、お互いにほぼ平行であり、また、対92a/92bと対94a/94bとは、お互いに平行である。さらに、図4に示されるように、ワイヤ96aと96bとは、お互いにほぼ平行であり、ワイヤ98aと98bとは、お互いにほぼ平行であり、また、対96a/96bと対98a/98bとは、お互いに平行である。図4に示されるワイヤ対92a/92b、94a/94b、96a/96b、および、98a/98bの構成は、コイルトランスデューサシステム10と送信機90および受信機100との接続の寄生インダクタンスおよび寄生抵抗を約1/2だけ減少させる。これは、コイルトランスデューサ20へのおよびコイルトランスデューサ20からの電力伝送を改善する。ワイヤボンディング92a/92b、94a/94b、96a/96b、および、98a/98bが、上述したように、平行であり、かつ、同じ角度を有し、それによって、ワイヤボンディング92a/92b、94a/94b、96a/96b、および、98a/98bによってピックアップされた悪影響を及ぼすEMIが、ワイヤボンディング92a/92b、94a/94b、96a/96b、および、98a/98bに、差動信号ではなく小さな同相モード信号しか発生させないことは望ましいことである。
【0027】
図5は、さらにまた別の実施形態によるコイルトランスデューサシステム10の側面図を示す。図5に示されるように、ワイヤ94および96は、長さ95および97と、コイルトランスデューサ20の基板39の上面の上方における隆起高さ107および109とを有する。EMIのピックアップを低減するために、長さ95および97をできる限り短くすること、および、高さ107および109をできる限り小さくすることは、望ましいことである。図5にさらに示されるように、接着剤91が、送信機90を第1のリードフレーム80に取り付け、一方、接着剤102が、受信機100を第2のリードフレーム82に取り付ける。コイルトランスデューサ20は、接着剤92によって第1のリードフレームに固定され、そして、接着剤101によって第2のリードフレーム82に固定される。好ましい実施形態においては、接着剤91、92、101、および、102は、エポキシを含む。接着剤91、92、101、および、102に対応する圧着領域(squish−out zone)に注意されたい。
【0028】
図6は、一実施形態によるコイルトランスデューサ20の上面斜視図を示し、そして、図7は、別の実施形態によるコイルトランスデューサ20の上面斜視図を示す。図6に示されるコイルトランスデューサ20の実施形態は、図7に示されるコイル50および60の配線幅63よりも相当に広いコイル50および60の配線幅63を特徴とすることに注意されたい。コイル50および60の配線幅63をより細くすることは、コイル50とコイル60との間のキャパシタンスを減少させ、それによって、EMIのピックアップを低減することが知られている。さらに、約5ミル(約127マイクロメートル)を超えないかまたは約3ミル(約76.2マイクロメートル)を超えない配線幅は、コイル50とコイル60との間のキャパシタンスを最小化するのに好ましいことが知られている。過渡的同相モード現象は、送信機90のグラウンド電位と受信機100のグラウンド電位との間において大きな電位差を有することがある。電位の急変は、同相モード電流が流れてコイルトランスデューサ20のコイル50とコイル60との間のキャパシタンスを充電することを必要とすることもある。同相モード現象の同相モードキャパシタンスを充電するのに必要な電流を最小化するためにコイル50とコイル60との間のキャパシタンス値を減少させることは、望ましいことである。
【0029】
図8は、一実施形態によるコイルトランスデューサ20の平面図を示し、そして、図9は、別の実施形態によるコイルトランスデューサ20の平面図を示す。図8に示されるコイルトランスデューサ20におけるコイル50および60とそれらに関連する電気的な配線およびコンタクトとは、図9に示されるそれらのように良好には金属層ごとに垂直に整列していないことがわかる。コイル50および60およびそれらに関連する電気的な配線およびコンタクトの垂直整列をお互いに対してずらすことは、第1のコイル50と第2のコイル60との間のキャパシタンスとコイルトランスデューサ20のその他の電気的な導電性部分とを減少させることができ、それによって、望ましくないEMIのピックアップを減少させることができることが知られている。図8および図9のコイルトランスデューサ20におけるコイル50および60を形成する金属層のそれぞれの垂直整列およびそれらに関連する電気的な配線およびコンタクトの垂直整列は、図8および図9のコイルトランスデューサ20間に引かれた整列基準線110、111、112、113、114、および、115を参照することによって、比較されることができる。
【0030】
その他の方法および手段が、コイルトランスデューサ20またはコイルトランスデューサシステム10によってピックアップされるEMIを低減するのに使用されることができる。例えば、スペーサー層が、コイルトランスデューサ20の上面の上方にか、またはコイルトランスデューサ20の下面の下方に配置されてもよく、そのスペーサー層は、低誘電体損材料からなり、そして、コイルトランスデューサ20の少なくともいくつかの導電性部分によってピックアップされるEMIを最小限に抑制するように構成される。一実施形態においては、そのようなスペーサー層は、約25ミル(約635マイクロメートル)から約50ミル(約1.27ミリメートル)までの範囲である厚さを有する。別の実施例においては、コイルトランスデューサ20またはコイルトランスデューサシステム10は、スペーサー層がコイルトランスデューサ20の上面の上方に配置された場合にはそのスペーサー層の上方に配置された金属シールドを備え、あるいは、スペーサー層がコイルトランスデューサ20の下面の下方に配置された場合にはそのスペーサー層の下方に配置された金属シールドを備える。金属シールドは、EMIのピックアップをさらに低減する。さらに別の実施例においては、ほぼ同じ厚さを有するほぼ同じ低誘電体損材料が、コイルトランスデューサ20の上面の上方かまたは近傍に、かつ、コイルトランスデューサ20の下面の下方かまたは近傍に配置され、それによって、上方または下方からコイルトランスデューサ20またはコイルトランスデューサシステム10に悪影響を及ぼすEMIに対して実質的に類似する環境を提供する。
【0031】
コイルトランスデューサシステム10の好ましい実施形態においては、送信機回路90は、第1のコイル50の入力端子54および55間に差動出力信号を提供するように構成され、そして、受信機回路100は、第2のコイル60の出力端子58および59間に差動出力信号を受信するように構成されることに注意されたい。さらに好ましい実施形態においては、第1のコイル50および第2のコイル60は、空間的に配置され、かつ、電力およびデータ信号の少なくとも一方が基板39を介してまたは基板39によって第1のコイルによって第2のコイル60へ送信され得るようにお互いに対して構成される。
【0032】
さらに、基板39は、KAPTON(商標)、グラスファイバー、ガラス、セラミック、ポリイミド、ポリイミド薄膜、ポリマー、有機材料、フレックス回路材料、エポキシ、エポキシ樹脂、プリント回路基板材料、PTFEおよびガラス、PTFEおよびセラミック、ガラスおよびセラミック、熱硬化プラスチック、および、プラスチックの中のいずれか1つかまたは複数から構成されてよい。
【0033】
コイルトランスデューサシステム10は、好ましくは、第1のコイル50と第2のコイル60との間のブレークダウン電圧を有し、このブレークダウン電圧は、約1分の期間にわたって加えられる場合には約2,000ボルトRMSを超え、約6分の期間にわたって加えられる場合には約2,000ボルトRMSを超え、あるいは、24時間の期間にわたって加えられる場合には約2,000ボルトRMSを超える。さらにより好ましくは、コイルトランスデューサシステム10は、第1のコイル50と第2のコイル60との間のブレークダウン電圧を有し、このブレークダウン電圧は、約1分の期間にわたって加えられる場合には約5,000ボルトRMSを超え、約6分の期間にわたって加えられる場合には約5,000ボルトRMSを超え、あるいは、24時間の期間にわたって加えられる場合には約5,000ボルトRMSを超える。
【0034】
本発明の範囲内に含まれるものは、ここで説明された様々な部品、装置、および、システムを製造する方法および製造した方法であることに注意されたい。
【0035】
これまでに説明された実施形態は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の実施例とみなされるべきである。本発明の上述した実施形態に加えて、詳細な説明および添付の図面を考察することによって、本発明のその他の実施形態が存在することがわかるはずである。したがって、ここでは明示的に説明されなかった本発明の上述した実施形態の多くの組み合わせ、置換、変形、および、変更は、それにもかかわらず、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
10 コイルトランスデューサシステム
20 コイルトランスデューサ
39 基板
50 第1のコイル
54、55、58、59 ワイヤボンディングパッド
60 第2のコイル
80 入力リードフレーム
82 出力リードフレーム
90 送信機回路
92、94、96、98 ワイヤボンディング
100 受信機回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルトランスデューサシステムであって、
向かい合った上面および下面を備えかつ内部に誘電体バリアを含む一般的には平坦な基板を備えたコイルトランスデューサであり、前記誘電体バリアが、電気的に絶縁し、非金属であり、非半導体であり、低誘電体損材料を備え、第1の導電性コイルが、前記基板の前記上面の上方に配置され、前記第1のコイルは、前記第1のコイルの両端に配置された第1のコイル入力端子と第2のコイル入力端子との間に延び、第2の導電性コイルが、前記基板の前記下面の下方に配置され、前記第2のコイルは、前記第2のコイルの両端に配置された第1の出力コイル端子と第2の出力コイル端子との間に延びる、前記コイルトランスデューサと、
第1の送信機出力端子と第2の送信機出力端子とを備えた送信機回路と、
を備え、
第1のワイヤが、前記第1の送信機出力端子および前記第1の入力コイル端子に電気的に接続され、かつ、前記第1の送信機出力端子と前記第1の入力コイル端子との間に延び、第2のワイヤが、前記第2の送信機出力端子および前記第2の入力コイル端子に電気的に接続され、かつ、前記第2の送信機出力端子と前記第2の入力コイル端子との間に延び、前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤが、実質的にお互いに平行であり、あるいは、前記コイルトランスデューサの長軸に対して実質的に類似する角度を有し、前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤが、実質的に同じ第1の長さを有し、その結果として、前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤが、前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤが電磁干渉(EMI)をピックアップするのを最小限に抑制するように構成される、
コイルトランスデューサシステム。
【請求項2】
前記第1のワイヤと前記第2のワイヤとの角度が、約15°を超えない、請求項1に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項3】
前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤの前記実質的に類似する角度が、それぞれ、前記長軸に対して約0°から約10°までの範囲である、請求項1に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項4】
前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤが前記送信機回路および前記コイルトランスデューサの上方において延びる垂直距離が、実質的に等しく、かつ、約5ミル(約127マイクロメートル)を超えない、請求項1に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項5】
前記第1の長さが、約5ミル(約127マイクロメートル)から約30ミル(約762マイクロメートル)までの範囲である、請求項1に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項6】
前記第1のワイヤと前記第2のワイヤとの水平分離幅が、約15ミル(約381マイクロメートル)を超えない、請求項1に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項7】
第1の入力受信機端子および第2の入力受信機端子を備えた受信機回路をさらに備えた、請求項1に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項8】
前記第1の受信機入力端子および第1の出力コイル端子に電気的に接続され、かつ、前記第1の受信機入力端子と前記第1の出力コイル端子との間に延びる第3のワイヤと、前記第2の受信機入力端子および前記第2のコイルの出力端子に電気的に接続され、かつ、前記第2の受信機入力端子と前記第2のコイルの前記出力端子との間に延びる第4のワイヤとをさらに備え、前記第3のワイヤおよび前記第4のワイヤが、実質的にお互いに平行であり、前記第3のワイヤおよび前記第4のワイヤが、実質的に同じ第3の長さを有し、その結果、前記第3のワイヤおよび前記第4のワイヤが、前記第3のワイヤおよび前記第4のワイヤが電磁干渉(EMI)をピックアップするのを最小限に抑制するように構成される、請求項7に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項9】
前記第3のワイヤと前記第4のワイヤとの角度が、約15°を超えない、請求項8に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項10】
前記第3のワイヤおよび前記第4のワイヤが前記受信機回路と前記コイルトランスデューサとの上方において延びる垂直距離が、実質的に同じであり、かつ、約5ミル(約127マイクロメートル)を超えない、請求項8に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項11】
前記第3の長さが、約5ミル(約127マイクロメートル)から約30ミル(約762マイクロメートル)までの範囲である、請求項8に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項12】
前記第3のワイヤと前記第4のワイヤとの水平分離幅が、約15ミル(約381マイクロメートル)を超えない、請求項8に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項13】
前記第1のコイルおよび前記第2のコイルの少なくとも一方が、約5ミル(約127マイクロメートル)を超えない配線幅を有し、それによって、前記第1のコイルと前記第2のコイルとの間のキャパシタンスを最小化する、請求項1に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項14】
前記第1のコイルおよび前記第2のコイルが、お互いに対して垂直に整列しておらず、それによって、前記第1のコイルと前記第2のコイルとの間のキャパシタンスを減少させる、請求項1に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項15】
前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤが、一緒に、実質的に平行なワイヤの対である、請求項1に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項16】
前記第3のワイヤおよび前記第4のワイヤが、一緒に、実質的に平行なワイヤの対である、請求項8に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項17】
前記送信機回路が、前記第1のコイルの前記入力端子間に差動出力信号を提供するように構成された、請求項1に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項18】
前記受信機回路が、前記第2のコイルの前記出力端子間の差動出力信号を受信するように構成された、請求項8に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項19】
前記第1のコイルおよび前記第2のコイルが、空間的に配置され、かつ、電力およびデータ信号の少なくとも一方が前記基板を介して前記第1のコイルによって前記第2のコイルへ送信され得るようにお互いに対して構成された、請求項1に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項20】
前記基板が、グラスファイバー、ガラス、セラミック、ポリイミド、ポリイミド薄膜、ポリマー、有機材料、フレックス回路材料、エポキシ、エポキシ樹脂、プリント回路基板材料、PTFEおよびガラス、PTFEおよびセラミック、ガラスおよびセラミック、熱硬化プラスチック、および、プラスチックの中のいずれか1つかまたは複数を備える、請求項1に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項21】
前記第1のコイルと前記第2のコイルとの間のブレークダウン電圧が、約1分の期間にわたって加えられる場合には約2,000ボルトRMSを超え、約6分の期間にわたって加えられる場合には約2,000ボルトRMSを超え、あるいは、24時間の期間にわたって加えられる場合には約2,000ボルトRMSを超える、請求項1に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項22】
前記第1のコイルと前記第2のコイルとの間のブレークダウン電圧が、約1分の期間にわたって加えられる場合には約5,000ボルトRMSを超え、約6分の期間にわたって加えられる場合には約5,000ボルトRMSを超え、あるいは、24時間の期間にわたって加えられる場合には約5,000ボルトRMSを超える、請求項1に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項23】
前記基板の前記上面の上方にまたは前記基板の前記下面の下方に配置されたスペーサー層をさらに備え、前記スペーサー層が、低誘電体損材料を備え、かつ、前記コイルトランスデューサの少なくともいくつかの導電性部分によってピックアップされるEMIを最小限に抑制するように構成された、請求項1に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項24】
前記スペーサー層が、約25ミル(約635マイクロメートル)から約50ミル(約1.27ミリメートル)までの範囲である厚さを有する、請求項23に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項25】
前記スペーサー層が前記基板の前記上面の上方に配置されている場合には前記スペーサー層の上方に配置され、あるいは、前記スペーサー層が前記基板の前記下面の下方に配置されている場合には前記スペーサー層の下方に配置される金属シールドをさらに備えた、請求項24に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項26】
実質的に同じ厚さを有する実質的に同じ低誘電体損材料が、前記基板の前記上面の上方かまたは近傍に配置されかつ前記基板の前記下面の下方かまたは近傍に配置され、それによって、上方向または下方向から前記コイルトランスデューサに悪影響を及ぼすEMIに対する実質的に類似する環境を提供する、請求項1に記載のコイルトランスデューサシステム。
【請求項27】
コイルトランスデューサシステムを製造するための方法であって、
向かい合った上面および下面を備えかつ内部に誘電体バリアを含む一般的には平坦な基板を備えたコイルトランスデューサを形成するステップであり、前記誘電体バリアが、電気的に絶縁し、非金属であり、非半導体であり、低誘電体損材料を備え、第1の導電性コイルが、前記基板の前記上面の上方に配置され、前記第1のコイルは、前記第1のコイルの両端に配置された第1のコイル入力端子と第2のコイル入力端子との間に延び、第2の導電性コイルが、前記基板の前記下面の下方に配置され、前記第2のコイルは、前記第2のコイルの両端に配置された第1の出力コイル端子と第2の出力コイル端子との間に延びる、前記形成するステップと、
第1の送信機出力端子と第2の送信機出力端子とを備えた送信機回路を提供するステップと、
前記第1の送信機出力端子と前記第1の入力コイル端子と間に第1のワイヤを電気的に接続するステップと、
前記第2の送信機出力端子と前記第2の入力コイル端子との間に第2のワイヤを電気的に接続するステップと、
前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤを、実質的にお互いに平行であり、あるいは、前記コイルトランスデューサの長軸に沿って延びる方位角に対して実質的に類似する角度を有し、かつ、実質的に同じ第1の長さを有するように構成し、その結果として、前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤは、前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤが電磁干渉(EMI)をピックアップするのを最小限に抑制するように構成されるステップと、
を備えた方法。
【請求項28】
前記第1のワイヤと前記第2のワイヤとの角度が約15°を超えないように前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤを前記コイルトランスデューサおよび前記送信機回路に電気的に接続するステップをさらに備えた、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤの前記実質的に類似する角度がそれぞれ前記長軸に対して約0°から約10°までの範囲である前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤを前記コイルトランスデューサおよび前記送信機回路に電気的に接続するステップをさらに備えた、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記送信機回路および前記コイルトランスデューサの上を越える実質的に等しくかつ約5ミル(約127マイクロメートル)を超えない垂直距離だけ前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤを延ばすステップをさらに備えた、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
約5ミル(約127マイクロメートル)から約30ミル(約762マイクロメートル)までの範囲であるように前記第1の長さを選択するステップをさらに備えた、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
約15ミル(約381マイクロメートル)を超えない前記第1のワイヤと前記第2のワイヤとの水平分離幅を提供するステップをさらに備えた、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
第1の入力受信機端子および第2の入力受信機端子を備えた受信機回路を提供するステップをさらに備えた、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
第3のワイヤを前記第1の受信機入力端子と前記第1の出力コイル端子との間に電気的に接続し、かつ、第4のワイヤを前記第2の受信機入力端子と前記第2のコイルの前記出力端子との間に電気的に接続するステップをさらに備え、前記第3のワイヤおよび前記第4のワイヤは、お互いに実質的に平行である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
実質的に同じ第3の長さを有するように前記第3のワイヤおよび前記第4のワイヤを構成するステップをさらに備え、それによって、前記第3のワイヤおよび前記第4のワイヤによってピックアップされる電磁干渉(EMI)が最小限に抑制される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第3のワイヤと前記第4のワイヤとの角度が約15°を超えないように前記第3のワイヤおよび前記第4のワイヤを前記コイルトランスデューサおよび前記送信機回路に電気的に接続するステップをさらに備えた、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記受信機回路および前記コイルトランスデューサの上を越える約5ミル(約127マイクロメートル)を超えない垂直距離だけ前記第3のワイヤおよび前記第4のワイヤを延ばすステップをさらに備えた、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
約5ミル(約127マイクロメートル)から約30ミル(約762マイクロメートル)までの範囲であるように前記第3の長さを選択するステップをさらに備えた、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
約15ミル(約381マイクロメートル)を超えない前記第3のワイヤと前記第4のワイヤとの水平分離幅を提供するステップをさらに備えた、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
約5ミル(約127マイクロメートル)を超えない配線幅を有するように前記第1のコイルおよび前記第2のコイルの少なくとも一方を形成するステップをさらに備え、それによって、前記第1のコイルと前記第2のコイルとの間のキャパシタンスを最小化する、請求項27に記載の方法。
【請求項41】
前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤの各々について、実質的に平行なワイヤの対を提供するステップをさらに備えた、請求項27に記載の方法。
【請求項42】
前記第3のワイヤおよび前記第4のワイヤの各々について、実質的に平行なワイヤの対を提供するステップをさらに備えた、請求項27に記載の方法。
【請求項43】
前記第1のコイルの前記入力端子間に差動出力信号を提供するように前記送信機回路を構成するステップをさらに備えた、請求項27に記載の方法。
【請求項44】
前記第2のコイルの前記出力端子間に差動出力信号を提供するように前記受信機回路を構成するステップをさらに備えた、請求項34に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8.9】
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【公開番号】特開2010−212682(P2010−212682A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−41536(P2010−41536)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(506200186)アバゴ・テクノロジーズ・イーシービーユー・アイピー(シンガポール)プライベート・リミテッド (154)
【Fターム(参考)】