説明

コイル巻線装置及び方法及びステータ

【課題】ノズルが鍔部に干渉することなく線材をコアの隅に沿って巻回できるスピンドル式のコイル巻線装置及び方法及びステータを提供する。
【解決手段】コア2を回転中心軸Oxについて回転駆動するコア回転機20と、線材15を繰り出すノズル41と、このノズル41を移動するノズル移動機40とを備え、コア回転機20がコア2を断続的に回転駆動する一方、ノズル移動機40がノズル41を回転中心軸に対して傾斜させ、かつノズル41をコア2の隅に沿って移動し、線材15を外鍔部のコイル対峙面(隅)に沿って巻回する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアに対して線材を巻回するコイル巻線装置及び方法及びステータの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブラシレスモータ等に設けられるステータは、例えば特許文献1、2に開示されているように、環状のステータコアをティース毎に分割したコアを設け、各コアに線材を巻回してコイルを形成した後、各コアを環状に連結するものがある。
【0003】
このコイルの巻線は、例えば特許文献3に開示されているように、ノズルから繰り出される線材を回転するコアに巻回するスピンドル式の巻線装置が用いられる。この場合、スピンドルによってコアを連続回転駆動され、巻線が速やかに行われる。
【特許文献1】特開2004−357491号公報
【特許文献2】特開2006−094593号公報
【特許文献3】特開2003−123762号公報
【特許文献4】特開2003−204659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図7に示すように、コア2(ボビン14)の外鍔部4のコイル対峙面4bが凹状に窪んでいるものに対してスピンドル式の巻線装置を用いてコイル3を形成する場合、巻線装置のノズルが外鍔部4のコイル対峙面4bに干渉することを避けるために、コイル3と外鍔部4のコイル対峙面4bとの間に大きな間隙を空ける必要があり、コイル3は線材15の巻き数が減るという問題点があった。
【0005】
図8に示すように、コア2(ボビン14)の外鍔部4のコイル対峙面4bが平面状に形成されている場合、外鍔部4の厚さが増える分だけコイル3は線材15の巻き数が減るという問題点があった。
【0006】
また、従来、例えば特許文献4に開示されているように、ノズルを三次元方向に移動するノズル移動機を備え、ノズルが凹状鍔部のコイル対峙面に干渉することなく巻線を行えるようにした巻線装置がある。
【0007】
しかしながら、この巻線装置の場合、コアを回転させずにノズルを三次元方向に移動させて巻線が行われるため、コアを回転させて巻線を行うスピンドル式の巻線装置に比べて巻線時間が増えるという問題点があった。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ノズルが鍔部に干渉することなく線材をコアの隅に沿って巻回できるスピンドル式のコイル巻線装置及び方法及びステータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、鍔部との間に隅を有するコアに対して線材を巻回するコイル巻線装置において、コアを回転中心軸について回転駆動するコア回転機と、線材を繰り出すノズルと、このノズルを移動するノズル移動機とを備え、コア回転機がコアを回転駆動する一方、ノズル移動機がノズルを回転中心軸に対して傾斜させ、かつノズルをコアの隅に沿って移動し、線材をコアの隅に沿って巻回することを特徴とするものとした。
【0010】
本発明は、鍔部との間に隅を有するコアに対して線材を巻回するコイル巻線方法において、コアを回転中心軸について回転駆動するコア回転機と、線材を繰り出すノズルと、このノズルを移動するノズル移動機とを用い、コア回転機がコアを回転駆動する一方、ノズル移動機がノズルを回転中心軸に対して傾斜させ、かつノズルをコアの隅に沿って移動し、線材をコアの隅に沿って巻回することを特徴とするものとした。
【0011】
本発明は、環状のステータコアをティース毎に分割したコアを設け、鍔部との間に隅を有するコアに線材を巻回してコイルを形成するステータにおいて、コアを回転中心軸について回転駆動するコア回転機と、線材を繰り出すノズルと、このノズルを移動するノズル移動機とを用い、コア回転機がコアを回転駆動する一方、ノズル移動機がノズルを回転中心軸に対して傾斜させ、かつノズルをコアの隅に沿って移動し、線材をコアの隅に沿って巻回したことを特徴とするものとした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、ノズルを回転中心軸に対して傾斜させ、かつノズルをコアの隅に沿って移動し、線材をコアの隅に沿って巻回することにより、コアの鍔部が凹状に窪む場合にもノズルが鍔部に干渉することなく巻線が行われ、コイルと鍔部との間に大きな間隙が空くことが回避され、コイルの巻き数を増やしてステータの性能向上がはかられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1はブラシレスモータ等に設けられるステータ1の概略構造を示す断面図である。ステータ1は、環状のヨーク9と、このヨーク9の内側に放射状に配置される複数のコア2とを備え、ヨーク9とコア2とが分離可能な構造をしている。コア2は環状のステータコアがティース毎に分割されたものである。
【0015】
コア2は、コイル3が巻かれるティース部5と、ティース部5の基端部に設けられる外鍔部(鍔部)4と、ティース部5の先端部に設けられ内鍔部(鍔部)6を有し、複数枚の磁性材からなる薄板を積層して形成される。
【0016】
実際には、図3〜5に示すように、コア2は、樹脂製ボビン14を備え、このボビン14がコイル3とティース部5、外鍔部4、内鍔部6の間に介在する。ボビン14はティース部5を覆う筒部と、外鍔部4と内鍔部6のそれぞれとコイル3の間に介在する鍔部を有する。なお、図1にてこのボビン14の図示を省略している。
【0017】
各ティース部5はステータ1の中心に対して放射状に配置される。本実施の形態にて、ティース部5は矩形の断面をしたビーム状に形成され、4つの角8を有する。なお、角8の断面形状は直角をしているが、これに限らず、例えば円弧形に面取りを施しても良い。
【0018】
外鍔部4と内鍔部6はそれぞれ略一定の肉厚を持って円筒形に湾曲した板状に形成される。
【0019】
内鍔部6はコイル3に対峙するコイル対峙面6aとロータ(図示せず)の外周に対峙する内周面6bを有し、このコイル対峙面6aが凸状に膨出する一方、この内周面6bが凹状に窪んでいる。
【0020】
外鍔部4はヨーク9の内周面に接する外周面4aと、コイル3に対峙するコイル対峙面4bとを有し、この外周面4aが凸状に膨出する一方、このコイル対峙面4bが凹状に窪んでいる。外鍔部4の外周面4a、コイル対峙面4bはそれぞれヨーク9と同心の円筒面状に湾曲している。なお、外鍔部4の外周面4a、コイル対峙面4b等は、このように円筒面状に形成することに限らず、例えば多角形の筒面状に形成して、平面状に曲折する形状としても良い。
【0021】
コア2はティース部5の両端には外鍔部4に接続する部位に隅7a、7bを有する(図4、5等参照)。ティース部5の側面5aに位置する対の隅7aは直線状に延び、ティース部5の側面5aに位置する対の隅7bはコイル対峙面4bに沿って円弧状に湾曲している。
【0022】
隅7a、7bは凹状に窪む外鍔部4のコイル対峙面4bの内側に位置するが、後述する本発明の巻線方法によって線材15をこの隅7a、7bにも巻回する。線材15が隅7a、7bから外鍔部4のコイル対峙面4bに沿って巻回されることにより、コイル3の占積率を高められる。
【0023】
図2はコア2にコイル3を形成するコイル巻線装置10の全体図である。ここで、互いに直交するX、Y、Zの3軸を設定し、X軸が略水平前後方向、Y軸が略水平横方向、Z軸が略垂直方向に延びるものとし、コイル巻線装置10の構成を説明する。
【0024】
コイル巻線装置10は、架台19上にコア2を回転駆動するコア回転機20と、線材15を繰り出すノズル41と、このノズル41を移動するノズル移動機40とを備え、線材15をコア2のティース部5に巻回してコイル3を形成するものである。
【0025】
コア回転機20は支持台22を介してX軸まわりに回転可能に支持されるスピンドル21と、スピンドル21を回転駆動するサーボモータ23と、スピンドル21にコア2を取り付ける治具24とを備える。
【0026】
本実施の形態にて、コア回転機20はスピンドル21と同一X軸上に配置されるスピンドル31と、このスピンドル31を支持台32に対してX軸方向に移動する往復駆動機構33と、スピンドル21にコア2を取り付けるための治具34とを備え、治具34を治具24に対して進退させてコア2を挟持したり、離すようになっている。スピンドル31はコア2を介してスピンドル21と同期して回転する。
【0027】
なお、コア回転機20はこれに限らず、スピンドル21にコア2を把持する治具(チャック)を設け、スピンドル31等を廃止しても良い。
【0028】
架台19上に線材源11とテンショナ12が設けられ、この線材源11からノズル41に供給される線材15に対してテンショナ12が所定の張力を付与するようになっている。
【0029】
ノズル移動機40はノズル41をX、Y、Z軸の三次元方向に移動するとともに、コア2の回転中心軸Ox(図3参照)に対するノズル41の傾斜角度を変えるようになっている。
【0030】
これについて詳述すると、ノズル移動機40は、架台19に対して往復動駆動機構42によりX軸方向に移動する前後移動台43と、この前後移動台43に対して往復動駆動機構44によりZ軸方向に移動する昇降台45と、この昇降台45に対して往復動駆動機構46によりY軸方向に移動する左右移動台47と、この左右移動台47に対してサーボモータ48によりZ軸回りに回動するノズル傾動台49とを備え、ノズル傾動台49にノズル41が設けられる。ノズル傾動台49は左右移動台47に対してZ軸回りに回動可能に支持される。各往復動駆動機構42、44、46はサーボモータによって回転駆動されるボールネジと、このボールネジに螺合して平行移動する従動子等によって構成される。
【0031】
図示しないコントローラは、コア回転機20とノズル移動機40の作動を制御し、線材15をコア2のティース部5に自動的に巻回してコイル3を形成する。
【0032】
これについて詳述すると、コイル巻線装置10は、線材15を外鍔部4のコイル対峙面4b(隅7a、7b)に沿って巻回する隅巻線工程と、線材15を外鍔部4のコイル対峙面4b(隅7a、7b)から離れた部位に巻回する主巻線工程とを行い、線材15を隅7a、7bから外鍔部4のコイル対峙面4bとティース部5と内鍔部6のコイル対峙面6aのそれぞれに沿って巻回する。
【0033】
隅巻線工程において、コア回転機20がコア2を断続的に回転駆動する一方、図3の(a)に示すようにノズル移動機40がノズル41を回転中心軸Oxに対して所定角度θだけ傾斜させ、かつノズル41をコア2の隅7a、7bに沿って移動し、ノズル41から繰り出される線材15を外鍔部4のコイル対峙面4b(隅7a、7b)に沿って巻回する。
【0034】
以下、図5の(a)〜(e)に示す隅巻線工程における巻線動作について説明する。
【0035】
・図5の(a)に示すように、ノズル41を回転中心軸Oxに対して傾斜させて凹状に窪む外鍔部4のコイル対峙面4bの内側に差し込み、コア回転機20はスピンドル21の回転を止め、ノズル移動機40がノズル41を図中矢印で示すようにコイル対峙面4bとティース部5の側面5a間の隅7aに沿って移動する。これにより、ノズル41から繰り出される線材15が外鍔部4の隅7a(コイル対峙面4b)に沿って巻回される。
【0036】
このとき、コア回転機20はコア2をそのティース部側面5aがZ軸方向に延び、そのティース部端面5bがX軸方向とY軸方向に延びる位置に保持している。
【0037】
そして、ノズル移動機40はノズル41の先端部を凹状に窪む外鍔部4のコイル対峙面4bとティース部5の側面5a間の隅7aに沿ってZ軸方向に移動する。
【0038】
なお、線材15の先端部は治具24に設けられたピン25(図1参照)に予め絡げられている。
【0039】
・図5の(b)に示すように、コア回転機20がコア2を図中矢印で示すように90度だけ回転させるとともに、ノズル移動機40がノズル41の先端部を線材15が掛かるティース部5の角8に追従するように移動し、ノズル41の先端部が線材15が掛かるティース部5の側面5aの延長方向に配置される。
【0040】
このとき、線材15が掛かるティース部5の角8からノズル41の先端部までの距離が略一定に保たれ、ノズル41からコア2へと延びる線材15が弛むことがなく、線材15が角8に掛かる位置がズレることを防止する。
【0041】
・図5の(c)に示すように、コア回転機20がスピンドル21の回転を止め、ノズル移動機40がノズル41を図中矢印で示すようにコイル対峙面4bとティース部5の端面5b間の隅7bに沿って移動する。
【0042】
このとき、コア回転機20がコア2をそのティース部5の端面5bがZ軸方向に延びる横転位置に保持している。
【0043】
そして、ノズル移動機40はノズル41の先端部を凹状に窪む外鍔部4のコイル対峙面4bとティース部5の端面5b間の隅7bに沿って移動する。
【0044】
・図5の(d)に示すように、コア回転機20がコア2を図中矢印で示すように90度だけ回転させるとともに、ノズル移動機40がノズル41の先端部を線材15が掛かるティース部5の角8に追従するように移動し、ノズル41の先端部が線材15が掛かるティース部5の端面5bの延長方向に配置される。
【0045】
このとき、線材15が掛かるティース部5の角8からノズル41の先端部までの距離が略一定に保たれ、ノズル41からコア2へと延びる線材15が弛むことがなく、線材15が角8に掛かる位置がズレることを防止する。
【0046】
・図5の(e)に示すように、コア回転機20がスピンドル21の回転を止め、ノズル移動機40がノズル41を図中矢印で示すようにティース部5のまわりを移動する。
【0047】
このとき、コア回転機20がコア2をそのティース部5の側面5aがZ軸方向に延びる直立位置に保持している。
【0048】
そして、ノズル移動機40はノズル41の先端部を凹状に窪む外鍔部4のコイル対峙面4bとティース部5の側面5a間の隅7aにてZ軸方向に移動する。
【0049】
隅巻線工程において、図5の(a)、(c)、(e)に示す動作が、コア回転機20がコア2の回転を止めるとともにノズル移動機40がノズル41をコア2の隅7a、7bに沿って移動する巻線ステップで行われるものであり、図5の(b)、(d)に示す動作がコア回転機20がコア2を回転させるとともにノズル移動機40がノズル41をコア2の線材15が掛かる部位に追従するように移動する準備ステップで行われるものであり、巻線ステップと準備ステップとを交互に行うことによって線材15がティース部5の隅7a、7bに沿って巻回される。
【0050】
図3の(a),(b)に示す実施形態は、ノズル41を湾曲した隅7bに沿った曲線の軌跡をもって移動することによって、線材9と湾曲したコイル対峙面4b間の隙間をほとんどなくしている。
【0051】
図4の(a),(b)に示す実施形態は、ノズル41を湾曲した隅7bに沿った直線の軌跡をもって移動することによって、線材9と湾曲したコイル対峙面4b間に断面半月形の隙間を形成している。
【0052】
こうして隅巻線工程が行われた後、続いて主巻線工程が行われる。この主巻線工程において、コア回転機20がコア2を連続的に回転駆動する一方、図3の(b)に示すようにノズル移動機40がノズル41を回転中心軸Oxに対して略直交させ、かつノズル41を図中矢印で示すように回転中心軸Oxに沿って移動させ、ノズル41から繰り出される線材15を外鍔部4のコイル対峙面4b(隅7a、7b)から離れた部位に巻回する。これにより、線材15がティース部5に沿って整列して巻回される。
【0053】
なお、内鍔部6のコイル対峙面6aは凸状に膨出する形状をしているため、ノズル41を回転中心軸Oxに対して略直交させてもノズル41が内鍔部6のコイル対峙面6aに干渉することがなく、線材15が内鍔部6のコイル対峙面6aとティース部5の間の隅に沿って巻回される。
【0054】
この主巻線工程では、コア回転機20がコア2を連続的に回転駆動するとともに、ノズル移動機40がノズル41を移動する動きがX軸方向の移動のみと単純になるため、線材15をコア2に巻回する巻線速度を隅巻線工程に比べて大幅に高められる。
【0055】
主巻線工程と隅巻線工程は適宜切り換えて行われ、線材15が外鍔部4のコイル対峙面4bとティース部5と内鍔部6のコイル対峙面6aのそれぞれに沿って所定数だけ巻回されることにより、コイル3が所定の形状に形成される。
【0056】
コイル3の巻線を終えたら、ノズル41から繰り出される線材15をピン25に絡げ、図示しないカッタによりピン25の手前で線材15を切断して、コア2をスピンドル21の治具24と治具34の間から取り外し、次に巻線を行う別のコア2をスピンドル21の治具24と治具34の間に取り付け、上述した巻線動作を繰り返して行う。
【0057】
図6に示すコイル3は、上述した巻線動作によって形成されたものであり、凹状に窪む外鍔部4のコイル対峙面4bの間に大きな間隙が空くことがない。
【0058】
図7に示すコイル3は、従来のスピンドル式の巻線装置によって巻回したものであり、コイル3と外鍔部4のコイル対峙面4bとの間に大きな間隙が空いている。
【0059】
図8に示すコイル3は、従来のスピンドル式の巻線装置によって巻回したものであり、コア2(ボビン14)の外鍔部4のコイル対峙面4bが平面状に形成されているが、外鍔部4の厚さが増える分だけコイル3は線材15の巻き数が減る。
【0060】
すなわち、図6に示す本発明のコイル3は、図7、図8に示す従来のコイル3に比べて線材15の巻き数を増やしてステータ1の性能向上がはかられる。
【0061】
以上のように、外鍔部4のコイル対峙面4bとの間に隅7a、7bを有するコア2に対して線材15を巻回するコイル巻線装置10、またはコイル巻線方法において、コア2を回転中心軸Oxについて回転駆動するコア回転機20と、線材15を繰り出すノズル41と、このノズル41を移動するノズル移動機40とを備え、またはこれらを用い、コア回転機20がコア2を断続的に回転駆動する一方、ノズル移動機40がノズル41を回転中心軸Oxに対して傾斜させ、かつノズル41をコア2の隅7a、7bに沿って移動し、線材15をコア2の隅7a、7b(外鍔部4のコイル対峙面4b)に沿って巻回するため、外鍔部4のコイル対峙面4bが凹状に窪む場合にもノズル41が外鍔部4に干渉することなく巻線が行われ、コイル3と外鍔部4のコイル対峙面4bとの間に大きな間隙が空くことが回避され、コイル3の巻き数を増やしてステータ1の性能向上がはかられる。
【0062】
また、隅巻線工程において、コア回転機20がコア2の回転を止めるとともにノズル移動機40がノズル41をコア2の隅7a、7bに沿って移動する巻線ステップと、コア回転機20がコア2を回転させるとともにノズル移動機40がノズル41をコア2の線材15が掛かる部位に追従するように移動する準備ステップとを交互に行うため、ノズル41からコア2へと延びる線材15が弛んでコイル対峙面4bから離れることがなく、線材9を隅7a、7bに沿って円滑に巻回することができる。
【0063】
また、隅巻線工程と主巻線工程が適宜切り換えられるため、コイル3を形成する巻線時間を短縮して生産性を高められる。
【0064】
本実施の形態では、隅巻線工程の巻線ステップにおいて、線材15の巻回時にコア回転機20がスピンドル21の回転を止める構成としたが、これに限らず、線材15の巻回時にもスピンドル21をゆっくり回転させた状態でノズル移動機40がノズル41をコア2の隅7a、7bに沿って移動し、ノズル41から繰り出される線材15をコア2の隅7a、7b(外鍔部4のコイル対峙面4b)に沿って巻回するようにしても良い。
【0065】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態を示すステータの概略構造を示す断面図。
【図2】同じくコイル巻線装置の斜視図。
【図3】同じく巻線動作を示す平面図。
【図4】同じく巻線動作を示す平面図。
【図5】同じく巻線動作を示す斜視図。
【図6】同じくコアの断面図。
【図7】従来例を示すコアの断面図。
【図8】従来例を示すコアの断面図。
【符号の説明】
【0067】
1 ステータ
2 コア
5 ティース部
4 外鍔部
4b コイル対峙面
6 内鍔部
4a コイル対峙面
7a、7b 隅
10 コイル巻線装置
15 線材
20 コア回転機
40 ノズル移動機
41 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍔部との間に隅を有するコアに対して線材を巻回するコイル巻線装置において、
前記コアを回転中心軸について回転駆動するコア回転機と、前記線材を繰り出すノズルと、このノズルを移動するノズル移動機とを備え、前記コア回転機が前記コアを回転駆動する一方、前記ノズル移動機が前記ノズルを前記回転中心軸に対して傾斜させ、かつ前記ノズルを前記コアの隅に沿って移動し、前記線材を前記コアの隅に沿って巻回することを特徴とするコイル巻線装置。
【請求項2】
鍔部との間に隅を有するコアに対して線材を巻回するコイル巻線方法において、
前記コアを回転中心軸について回転駆動するコア回転機と、前記線材を繰り出すノズルと、このノズルを移動するノズル移動機とを用い、前記コア回転機が前記コアを回転駆動する一方、前記ノズル移動機が前記ノズルを前記回転中心軸に対して傾斜させ、かつ前記ノズルを前記コアの隅に沿って移動し、前記線材を前記コアの隅に沿って巻回することを特徴とするコイル巻線方法。
【請求項3】
前記ノズル移動機が前記ノズルを前記コアの前記隅に沿って移動する巻線ステップと、前記コア回転機が前記コアを回転させるとともに前記ノズル移動機が前記ノズルを前記コアの前記線材が掛かる部位に追従するように移動する準備ステップとを交互に行うことを特徴とする請求項2に記載のコイル巻線方法。
【請求項4】
環状のステータコアをティース毎に分割したコアを設け、鍔部との間に隅を有するコアに線材を巻回してコイルを形成するステータにおいて、
前記コアを回転中心軸について回転駆動するコア回転機と、前記線材を繰り出すノズルと、このノズルを移動するノズル移動機とを用い、前記コア回転機が前記コアを回転駆動する一方、前記ノズル移動機が前記ノズルを前記回転中心軸に対して傾斜させ、かつ前記ノズルを前記コアの隅に沿って移動し、前記線材を前記コアの隅に沿って巻回したことを特徴とするステータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−187807(P2008−187807A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−18258(P2007−18258)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000227537)日特エンジニアリング株式会社 (106)
【Fターム(参考)】