説明

コイル成形装置及びコイル成形方法

【課題】成形されたコイルの変形を抑えつつ、その生産性を高める。
【解決手段】コイル成形装置は、供給源21から延びるワイヤ9を直線状に引出すワイヤ引出機22と、そのワイヤを互いに所定の間隔を開けて保持する複数の保持具23〜26と、複数の保持具を移動可能に構成された保持具移動手段31と、保持具移動手段を制御するコントローラ46とを備える。コイル成形方法は、互いに所定の間隔を開けて直線状に設けられた複数の保持具により直線状に引出されたワイヤを保持するワイヤ保持工程と、その複数の保持具を同時に移動させてワイヤを所定の形状に屈曲成形させるワイヤ成形工程と、所定の形状を形成するワイヤの全長に等しい量のワイヤを供給源から直線状に引出すワイヤ引出し工程と、所定の形状に屈曲成形させれたワイヤから複数の保持具を離脱させて互いに所定の間隔を開けて直線状に設け直す保持具戻し工程とを繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給源から延びるワイヤを屈曲成形してコイルを形成するコイル成形装置及びコイル成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モータのステータ等に用いられるコイルの成形方法として、巻芯治具を用いることなくワイヤを屈曲させてコイルを形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このコイル成形方法では、供給源からワイヤを引出す工程と、引出されたワイヤを曲げる工程とを繰り返して行い、コイルを形成するようになっている。
【0003】
一方、近年では、このようなステータ等に用いられるコイルとして、単位の波形を直線状に連続させた波形状のものが用いられる場合もある(例えば、特許文献2参照。)。このため、このような波形コイルの製造であっても、供給源からワイヤを引出す工程と、引出されたワイヤを曲げる工程とを繰り返して行い、これにより波形のコイルを形成することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−104841号公報
【特許文献2】特開2002−345216号公報(段落番号0017)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ワイヤを引出す工程とそのワイヤを曲げる工程とを繰り返して直線状の波形コイルを成形する方法では、引出されたワイヤを曲げる工程において、既に成形された波形コイルが振り回されるため、その振り回しにより生じる慣性力によってその波形コイルが変形する不具合があった。また、既に形成された波形コイルの変形を防止する必要からワイヤを曲げる勳作速度を高めることができず、波形コイルの生産性を高めることができない問題点もあった。また、このようにワイヤを曲げる勳作速度を高めることができないことから、比較的大型のコイルを形成できないという不具合もあった。
【0006】
本発明の目的は、巻芯治具等を用いることなく成形が可能であって、成形されたコイルの変形を抑えつつ、その生産性を高められるコイル成形装置及びコイル成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコイル成形装置は、供給源から延びるワイヤを直線状に引出すワイヤ引出機と、引出機から引出されたワイヤを互いに所定の間隔を開けて保持する複数の保持具と、複数の保持具を移動可能に構成された保持具移動手段と、保持具移動手段を制御するコントローラとを備え、コントローラは、ワイヤを保持した複数の保持具を同時に移動させてワイヤを所定の形状に屈曲成形するように保持具移動手段を制御することを特徴とする。
【0008】
この成形装置は、コントローラにより制御され駆動して保持具に保持されたワイヤを保持具部分で折曲げ可能な折曲機を保持具に設けることが好ましく、ワイヤ引出機により直線状に引出されたワイヤの基端を固定支持する第1支持機と、ワイヤを屈曲成形させて得られた部分を固定支持する第2支持機とを備えることが更に好ましい。ワイヤを成形させて得られる所定の形状がワイヤの引出し方向に連続する矩形波を構成する単位波形である場合には、ワイヤを屈曲成形して得られた矩形波部分を載せるコンベアを備えることもできる。
【0009】
本発明のコイル成形方法は、互いに所定の間隔を開けて直線状に設けられた複数の保持具により供給源から延びて直線状に引出されたワイヤを保持するワイヤ保持工程と、ワイヤを保持した複数の保持具を同時に移動させてワイヤを所定の形状に屈曲成形させるワイヤ成形工程と、所定の形状を形成するワイヤの全長に等しい量のワイヤを供給源から直線状に引出すワイヤ引出し工程と、所定の形状に屈曲成形させれたワイヤから複数の保持具を離脱させて互いに所定の間隔を開けて直線状に設け直す保持具戻し工程とを繰り返すことを特徴とする。
【0010】
ワイヤを屈曲成形させて得られる所定の形状がワイヤの引出し方向に連続する矩形波を構成する単位波形である場合には、ワイヤ引出し工程がワイヤ成形工程と同時に行うことが好ましく、保持具戻し工程は、ワイヤ引出機により直線状に引出されたワイヤの基端と屈曲成形したワイヤからなる矩形波部分を固定支持した状態で行うことが好ましい。この場合、ワイヤ保持工程の後であってワイヤ成形工程の前にワイヤの基端と矩形波部分の固定支持が解放されることになる。そして、ワイヤ引出し工程とワイヤ成形工程とを同時に行うとき、ワイヤを屈曲成形させて得られた矩形波部分をワイヤの引出し方向にそれらの各工程時に同時に移動させることが更に好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、ワイヤを保持した複数の保持具を同時に移動させてワイヤを所定の形状に屈曲成形するので、ワイヤの複数の保持具より保持された部分を同時に屈曲させることができる。このため、供給源からワイヤを引出す工程と、引出されたワイヤを曲げる工程とを繰り返し、単一の折曲げしかできない従来に比較して、その成形速度を著しく高めることができる。
【0012】
また、ワイヤを成形して得られる所定の形状がワイヤの引出し方向に連続する矩形波のような波形状であったとしても、その成形時にワイヤの引出し方向に単位波形がずれるだけで、既に成形された波形コイルを振り回すようなことはない。このため、振り回しにより生じる慣性力によって既に形成された波形コイルが変形するようなことを有効に防止することができる。このため、本発明では、成形されたコイルの変形を抑えつつ、その生産性を著しく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明実施形態のコイル成形装置を示す正面図である。
【図2】その装置によりワイヤが順次屈曲成形されて波形コイルが連続して成形される状態を示す略平面図である。
【図3】その装置のワイヤを成形した複数の保持具が成形後のワイヤから離脱した状態を示す図1に対応する正面図である。
【図4】成形したワイヤから複数の保持具が元に戻る状態を示す図2に対応する平面である。
【図5】その装置の複数の保持具が移動してワイヤが屈曲成形された状態を示す図1に対応する正面図である。
【図6】ワイヤを保持した複数の保持具が移動してワイヤが屈曲成形される状態を示す図2に対応する平面図である。
【図7】その装置の複数の保持具により直線状に引出されたワイヤを保持した状態を示す図1に対応する正面図である。
【図8】複数の保持具により直線状に引出されたワイヤを保持した状態を示す図2に対応する平面図である。
【図9】引出機によりワイヤを直線状に引出す状態を示す図2に対応する平面図である。
【図10】折曲機が設けられた保持具を反転させた斜視図である。
【図11】その折曲機により保持具に保持されたワイヤを折曲げた状態を示す図10に対応する斜視図である。
【図12】その装置により得られる波形コイルの平面図である。
【図13】別の折曲機が設けられた保持具を示す図10に対応する斜視図である。
【図14】その別の折曲機により保持具に保持されたワイヤを折曲げた状態を示す図13に対応する斜視図である。
【図15】複数の保持具を別のZ軸アクチュエータによりそれぞれ取付けた本発明の別のコイル成形装置を示す図1に対応する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の成形装置及び成形方法により得られるコイルは、図示しないコアに組み付けられてモータ等のステータ(多極電機子)を構成するものであって、図12に示すように、ワイヤ9がパルス波状に曲折して延びた矩形波状を成す波形コイル10である。この実施の形態におけるワイヤ9は、表面に絶縁被膜が形成されて、その断面が矩形をした平角線である場合を示す(図10及び図11)。ワイヤ9を平角線とすることにより、断面が円形の丸線に比べて得られるステータコイルにおけるワイヤ9の占積率を高めることが期待されるが、このワイヤ9は平角線に限らず、ステータ等の仕様或いは製作工程に応じて、断面円形の丸線を用いても良い。例えば、製作工程によっては、波形コイル10を得た後にプレス成形してそのワイヤの断面を扁平にする場合もあり、そのプレス時におけるアスペクト比が高い場合には非常に薄いものとなり、フォーミングが困難になることからワイヤ9として丸線を用いることが好ましい。この場合、その後のプレス成形工程においてその丸線から成るワイヤ9の断面は楕円又は長円状になり、図示しないコア等に組み付けられることになる。
【0015】
図12に示すように、成形により得られる波形コイル10は、横方向に延びた上横辺部11と、その上横辺部11の両側にそれぞれの上端が連結して上下方向に延びる左右の縦辺部12,13と、その左右の縦辺部12,13の下端をその左右に隣接する縦辺部13,12の下端に接続する下横辺部14とを有する。そして、横辺部11,14と縦辺部12,13の間の接続箇所に曲折部16〜19がそれぞれ形成される。このため、この波形コイル10は、下横辺部14、左下屈折部16、左縦辺部12、左上曲折部17、上横辺部11、右上曲折部18、右縦辺部13、右下曲折部19が順次連続することにより形成された矩形波状のコイル10である。この明細書では、横方向に延びた上横辺部11と、その上横辺部11の両側に連結して上下方向に延びる左右の縦辺部12,13と、その左の縦辺部下端から左方向に連続する下横辺部14の右半分と、右の縦辺部の下端から右方向に連続する下横辺部14の左半分により、このような矩形波を構成する単位波形が形成されるものとし、このような単位波形が連続することにより矩形波状の波形コイル10が形成される。
【0016】
図1に、波形コイル10を形成する本発明のコイル成形装置20を示す。ここで、互いに直交するX,Y,Zの3軸を設定し、X軸が略水平横方向、Y軸が略水平上下方向、Z軸が鉛直方向に延びるものとして、本発明のコイル成形装置20の構成を説明する。
【0017】
コイル成形装置20は、主要構成部として、供給源21から延びるワイヤ9を直線状に引出すワイヤ引出機22と、その引出機22から引出されたワイヤ9を互いに所定の間隔を開けて保持する複数の保持具23〜26と、その複数の保持具23〜26を移動可能に構成された保持具移動手段31とを備える。
【0018】
図2に示すように、この実施の形態におけるワイヤ引出機22は、ワイヤ9が巻かれたリール21から供給されるワイヤ9を掴むワイヤ把持具22a,22bと、このワイヤ把持具22a,22bをX軸方向に直線状に往復動させるX軸方向伸縮アクチュエータを備える。なお、この実施の形態では、ワイヤ把持具22a,22bはこれに隣接する保持具23とその移動を共にするので、このワイヤ把持具22a,22bを往復動させるX軸方向伸縮アクチュエータは、これに隣接する保持具23を移動させるX軸方向伸縮アクチュエータ33と共通する場合を示す。リールにはワイヤ9が渦巻き状に巻かれており、このリールがワイヤ9の供給源21となるものである。このリール21はコイル成形装置20と別な場所の例えば床の上等に置かれ、ワイヤ9をワイヤ引出機22に供給するように構成される。
【0019】
ワイヤ引出機22は、このリールからなる供給源21から供給されたワイヤ9をワイヤ把持具22a,22bが把持した状態でX軸方向伸縮アクチュエータが、図9の破線矢印で示すようにそのワイヤ把持具22a,22bを直線的にX軸方向に移動させることにより、ワイヤ9を直線状に引出すことができ、ワイヤ9の把持を解除することにより引出されたワイヤ9を引出した状態で留め置くように構成される。そして、X軸方向伸縮アクチュエータによりワイヤ把持具22a,22bを逆方向に戻し、図9の一点鎖線に示すように、そのワイヤ把持具22a,22bにより再びワイヤ9を把持させることにより、供給源21から延びるワイヤ9を順次直線状に引出すことができるように構成される。なお、図におけるワイヤ引出機22は例示であって、図示しないが、ワイヤ引出機22は、ワイヤ9に転接する複数のローラを備え、それら複数のローラを回転させることによりリールから供給されるワイヤ9をこれらのローラの間から引出すように構成されたものであってもよい。
【0020】
図2に示すように、この実施の形態では、矩形波状の波形コイル10を形成する場合を示し、そのために4つの保持具23〜26が設けられる場合を示す。図1に示すように、この4つの保持具23〜26は、水平な上面を有する台板28の上方にその台板28の上面と所定の間隔を空けて設けられる。図2に戻って、これらの保持具23〜26には引出されたワイヤ9が下方から収容される溝23a〜26aが下部にそれぞれ形成され、台板28の上面に直線状に引出されたワイヤ9に上方から降下してそれらの溝23a〜26aにワイヤ9を収容することにより、そのワイヤ9を保持することができるように構成される。
【0021】
4つの保持具23〜26は、図2に一点鎖線で示すように引出機22より引出されるワイヤの引出し方向に所定間隔を空けて直線状に並べられた第1位置と、その直線状のワイヤを屈曲成形して、矩形波状の単位波形とする実線で示す第2位置との間を、保持具移動手段31(図1)により往復移動可能に構成される。具体的に、図2の一点鎖線で示す第1位置の4つの保持具23〜26は、引出機22側からその引出し方向(X軸方向)に順に直線状に並べられ、引出機22側の第1保持具23とその次の第2保持具24の間、及び第3保持具25とその次の第4保持具26の間は縦辺部13,12の長さHに等しい間隔が空けられる。そして第1位置における第2保持具24と第3保持具25は上横辺部11の両端部を保持するような間隔Wに位置する。
【0022】
一方、図2の実線で示すように、第1保持具23は第2位置では第1位置からワイヤの引出し方向(X軸方向)に単位波形の全長に等しい量、即ち左右の縦辺部12,13と上横辺部11と下横辺部14の全長の和に等しい量(2H+W+L)だけ移動する。第2位置の第2保持具24は、その第2位置における第1保持具23のY軸方向上方であって第1保持具23との間に存在するワイヤ9が単位波形の右縦辺部13を構成するような位置にまで移動する。また、第2位置における第3保持具25は、第2位置の第2保持具24とともに単位波形の上横辺部11の両側を保持するような位置に移動する。そして、第2位置の第4保持具26は第1位置からワイヤ9の引出し方向(X軸方向)に移動し、その第2位置における第3保持具25のY軸方向下方であって、第3保持具25との間に存在するワイヤ9が単位波形の左縦辺部12を構成するような位置に移動する。
【0023】
図1に示すように、これらの保持具23〜26を第1位置と第2位置の間で往復移動させる保持具移動手段31は、X軸、Y軸、及びZ軸方向伸縮アクチュエータ33〜42の組み合わせにより構成される。この実施の形態におけるこれらの伸縮アクチュエータ33〜42は、サーボモータ42aによって回動駆動きれるボールネジ42b(図1にZ軸方向伸縮アクチュエータのものを代表して示す。)と、このボールネジ42bに螺合して平行移動する図示しない従動子等によって構成される。
【0024】
具体的に、この実施の形態における保持具移動手段31は、図1に示すように、第1保持具23を搭載する第1治具台32と、この第1治具台32を台板28に対してX軸方向に移動する第1X軸方向伸縮アクチュエータ33と、第4保持具26を搭載する第2治具台34と、この第2治具台34を台板28に対してX軸方向に移動する第2X軸方向伸縮アクチュエータ36を備える。この第1X軸方向伸縮アクチュエータ33と第2X軸方向伸縮アクチュエータ36はY軸方向にずれて配置されるけれども、第1治具台32及び第2治具台34により第1保持具23と第4保持具26はワイヤ9の引出し方向である同一のX軸線上に位置し、そのX軸線上をX軸方向に移動可能に構成される。
【0025】
また、この保持具移動手段31は、第2及び第3保持具24,25を搭載する第3治具台37と、この第3治具台37を台板28に対してY軸方向に移動する第1Y軸方向伸縮アクチュエータ38と、この第1Y軸方向伸縮アクチュエータ38をX軸方向に移動する図示しない第3X軸方向伸縮アクチュエ−タとを更に備える。そして、第1〜第3X軸方向伸縮アクチュエ−タ33,36は昇降板41の下面に取付けられ、この昇降板41を台板28に対してZ軸方向に昇降させる複数のZ軸方向伸縮アクチュエータ42が設けられる。
【0026】
これらの各アクチュエータ33〜42は、この保持具移動手段31を制御するコントローラ46の制御出力に接続される。そして、このコントローラ46は、第1位置でワイヤ9を保持した複数の保持具23〜26を、図2の破線矢印で示すように、同一平面内で同時に第2位置に移動させ、それによりワイヤ9を所定の形状に屈曲成形させるように保持具移動手段31を制御する。そして、Z軸方向伸縮アクチュエータ42は、第2位置の複数の保持具23〜26を第1位置に戻す際に昇降板41を上昇させて、複数の保持具23〜26のそれぞれの凹溝23a〜26aに収容されたワイヤ9をその凹溝23a〜26aから離脱させ、これにより複数の保持具23〜26によるワイヤ9の保持状態を解消するように構成される。
【0027】
これら複数の保持具23〜26には、それらの凹溝23a〜26aに収容されて保持されたワイヤ9を、その部分で折曲げ可能な折曲機51がそれぞれ設けられる。この折曲機51はそれぞれ同一構造であるので、その内の第1保持具23に設けられたものを代表して説明すると、図10及び図11に詳しく示すように、この折曲機51は、凹溝23aの端部から突出するワイヤ9に凹溝23aの幅方向の片側から接触する曲げ部材51aと、この曲げ部材51aをワイヤ9に接触させた状態でそのワイヤ9とともに回転させて凹溝23aの端部から突出するワイヤ9を折曲げる回転アクチュエータ51bとを備える。この回転アクチュエータ51bはコントローラ46により制御され、コントローラ46からの指令により駆動して曲げ部材51aを図11の実線矢印で示すように回転させ、凹溝23aの端部から突出するワイヤ9を折曲げるように構成される。
【0028】
図1に戻って、本発明のコイル成形装置20は、コントローラ46により制御されワイヤ引出機22により直線状に引出されたワイヤ9の基端を固定支持する第1支持機61と、コントローラ46により制御されワイヤ9を屈曲成形させて得られた矩形波部分を固定支持する第2支持機62とを備える。この実施の形態における第1及び第2支持機61,62は台板28に設けられ、図2に示すように第1支持機61はエアシリンダからなる一対の開閉アクチュエータ61aと、それが伸張作動することによりワイヤ9を把持する一対のチャック61bを備える。そして、第1支持機61の開閉アクチュエータ61aが収縮作動することにより、一対のチャック61bが開き、その問に把持されていたワイヤ9が放されるように構成される。
【0029】
一方、図1に示すように、第2支持機62は、一対のチャック部材62aがそれぞれ支点を中心に回勳して開閉するように構成され、エアシリンダからなる開閉アクチュエータ62bが伸張作動することにより、一対のチャック62aが回転してその間のワイヤ9を把持し、その開閉アクチュエータ62bが収縮作動することにより、一対のチャック62aが開き、その問に把持されていたワイヤ9が放されるように構成される。そして、図5に示すように、この第2支持機62はワイヤ9を放した状態で一対のチャック62aが台板28の内部に没入し、台板28の上面に残存するワイヤ9の自由な移動を確保するように構成される。
【0030】
台板28にはワイヤ9の引出し方向に隣接してワイヤ9を屈曲成形させて得られた矩形波部分を載せるコンベア63が設けられる。このコンベア63はコントローラ46により制御され、このコントローラ46は、ワイヤ引出機22を制御して供給源21から延びるワイヤ9を直線状に引出すとき、又は第4保持具26をX軸方向に移動させてワイヤ9を屈曲成形させるとき、先にワイヤ9を屈曲成形させて得られた矩形波部分をワイヤ9の引出し方向に移動させるようにコンベア63を制御する。また、コントローラ46の制御出力はそれぞれの保持具23〜26に設けられた折曲機51や第1及び第2支持機61,62にも接続され、これらを制御するように構成される。
【0031】
次に、このようなコイル成形装置20を用いて波形コイル10を形成する本発明のコイル成形方法について説明する。
【0032】
<ワイヤ保持工程>
供給源から延びて直線状に引出されたワイヤ9を互いに所定の間隔を開けて設けられた複数の保持具23〜26により保持する。従って、供給源21から延びるワイヤ9を台板上においてX軸方向に直線状に引出した状態から始める。この初回のワイヤ9の引出しは、作業者がワイヤ9を所定の長さだけ引出し、その状態にセットすることが考えられるけれども、この初回の引出しをワイヤ引出機22により行っても良い。この場合には、図9に示すように、供給源21から供給されたワイヤ9の端部を一点鎖線で示すようにワイヤ把持具22a,22bにより把持させ、その状態で、そのワイヤ把持具22a,22bを破線矢印で示すように、直線的にX軸方向に移動させる。これにより、ワイヤ9を直線状に引出す。そしてワイヤ9を引出した後には、ワイヤ9の把持を解除することにより引出されたワイヤ9を引出した状態で台板上に留め置く。これにより引出機22を用いて直線状にワイヤ9を引出すことができる。
【0033】
複数の保持具23〜26によるワイヤ9の保持は、昇降板41を上昇させて、図8に示すように4つの保持具23〜26をワイヤの上方であって引出機22側からその引出し方向に順に直線状に並べる。この実施の形態では、矩形波状の波形コイル10を形成するため、引出機22側の第1保持具23とその次の第2保持具24の間、及び第3保持具25とその次の第4保持具26の間を、縦辺部13,12の長さHに等しい間隔とする。また第2保持具24と第3保持具25が上横辺部11の両端部を保持するような間隔Wに位置させる。このような状態で図7に示すように昇降板41を下降させ、直線状に引出されたワイヤ9を複数の保持具23〜26のそれぞれに形成された凹溝23a〜26aにそのワイヤ9を収容させることによりそのワイヤ9を保持する。
【0034】
<ワイヤ成形工程>
この工程では、ワイヤ9を保持した複数の保持具23〜26を同一平面内で同時に移動させて、その直線状のワイヤを所定の形状に屈曲成形させる。具体的には、直線状のワイヤを保持した第一位置にある複数の保持具23〜26を、保持具移動手段31により、図6の破線矢印で示すように同一平面内で同時に移動させて第2位置へと移動させる。この実施の形態では、所定の形状が矩形波状を構成する単位波形であるので、第1保持具23を基準とするその他の保持具24〜26の移動先を説明すると、第2保持具24は、その第2位置における第1保持具23のY軸方向上方であって第1保持具23との間に存在するワイヤが単位波形の右縦辺部13を構成するような位置にまで移動する。また、第3保持具25は、第2位置の第2保持具24とともに単位波形の上横辺部11の両側を保持するような位置に移動し、第4保持具26は第3保持具25のY軸方向下方であって第3保持具25との間に存在するワイヤが単位波形の左縦辺部12を構成するような位置に移動する。そして、第1位置から第2位置への移動は、第1保持具23と第2保持具24の間、第2保持具24と第3保持具25の間、及び第3保持具25と第4保持具26の間に存在するワイヤ9の長さが変化しないように、それぞれの間隔を維持した状態て行われる。これによりワイヤ9は屈曲成形し、得られる所定の形状がワイヤ9の引出し方向に連続する矩形波状となる。このように、複数の保持具23〜26を同時に移動させることにより、ワイヤ9の複数の保持具23〜26より保持された部分を同時に屈曲させることができ、ワイヤを引出す工程と、引出されたワイヤを曲げる工程とを繰り返し、単一の折曲げしかできない従来に比較して、波形コイルの成形時間を短縮させることができる。
【0035】
この成形工程において、コントローラ46はそれぞれの保持具23〜26に設けられた折曲機51を駆動し、それぞれの保持具51に保持されたワイヤをその保持具部分で折曲げる。具体的に、コントローラ46は、折曲機51における回転アクチュエータ51b(図11)を駆動させて曲げ部材51aをワイヤ9に接触させた状態でそのワイヤ9とともに回転させ、保持具の凹溝23a〜26aの端部から突出するワイヤ9を図6の実線矢印で示すように折曲げる。これにより第1保持具23の折曲機51は単位波形における右下屈折部19(図12)を形成し、第2保持具24の折曲機51はその右上屈折部18(図12)を形成し、第3保持具25の折曲機51はその左上屈折部17(図12)を形成し、第4保持具26の折曲機51はその左下屈折部16(図12)を形成することになる。このように折曲機51を駆動させることにより、波形コイル10におけるそれぞれの屈折部16〜19を所望の角度に形成することができ、それらの屈折部16〜19が所望の角度にいたらずに、膨らむことによる波形コイル10が不均一になるようなことを有効に防止することができる。
【0036】
<ワイヤ引出し工程>
この工程では、供給源21から延びるワイヤ9を台板28上においてX軸方向に直線状に引出す。この引出しはワイヤ引出機22により行われ、図6に示すように、供給源21から供給されたワイヤ9をワイヤ把持具22a,22bが把持した一点鎖線で示す状態で、X軸方向伸縮アクチュエータ33(図1)がそのワイヤ把持具22a,22bを直線的にX軸方向に移動させることにより、ワイヤ9を直線状に引出す。
【0037】
なお、ワイヤ引出し工程は前述したワイヤ成形工程と同時に行われる。即ち、ワイヤ9を第1位置の複数の保持具23〜26により保持させたときに、そのワイヤ9をワイヤ把持具22a,22bにより再び把持させる。そして、第1位置の複数の保持具23〜26を第二位置に移動させると同時にそのワイヤ把持具22a,22bを直線的にX軸方向に移動させ、ワイヤ9を直線状に引出す。その引出し量は単位波形の全長に等しい量、即ち左右の縦辺部12,13と上横辺部11と下横辺部14の全長の和(2H+L+W)に等しい量だけワイヤ把持具22a,22bを移動させて、ワイヤ9を引出す。
【0038】
従って、ワイヤ引出し工程をワイヤ成形工程と同時に行うことにより、図6に示すように、第1保持具23はワイヤの引出し方向(X軸方向)に単位波形の全長に等しい量、即ち左右の縦辺部12,13と上横辺部と下横辺部の全長の和(2H+L+W)に等しい量だけ移動する。第4保持具26もワイヤの引出し方向(X軸方向)に移動するけれども、移動後では第3保持具25のY軸方向下方であって、第1保持具23との間に上横辺部11の全長Wに等しい間隔を空けた位置に移動する。このように、ワイヤ引出し工程をワイヤ成形工程と同時に行うことにより、波形コイルの成形時間を更に短縮させることができる。
【0039】
また、ワイヤ9引出し工程と成形工程を同時に行うとき、ワイヤ9を屈曲成形させて得られた矩形波部分をワイヤ9の引出し方向に同時に移動させる。これは、台板28に連続して設けられたコンベア63により行われ、コントローラ46は、ワイヤ引出機22を制御して供給源21から延びるワイヤ9を直線状に引出すとき、ワイヤ9を屈曲成形させて得られた矩形波部分をワイヤ9の引出し方向に単位波形のX軸方向の長さ、即ち上横辺部11の全長Wと下横辺部14の全長Lの和(W+L)に等しい量だけ移動させるようにコンベア63を制御する。これにより、既に成形された矩形波状の波形コイル10が、新たに作成されてX軸方向に移動する単位波形からなるコイルにより押し出されて変形するようなことを回避することができる。
【0040】
<保持具戻し工程>
ワイヤを成形した後には、図4に示すように、ワイヤ引出機22により直線状に引出されたワイヤ9の基端を第1支持機61により固定支持し、ワイヤ9を屈曲成形させて得られた矩形波部分を第2支持機62により固定支持する。この状態で図3に示すように昇降板41を上昇させ、矩形波状に屈曲成形させた部分から複数の保持具23〜26の全てを離脱させる。そして、その複数の保持具を図4の破線矢印で示すように、新たに直線状に引出されたワイヤ9の上方であって引出機22側からその引出し方向に順に直線状に並べ、次のワイヤ保持工程に備える。
【0041】
なお、この保持具戻し工程において、ワイヤ9の基端と矩形波部分を固定支持した状態は、ワイヤ保持工程の後であってワイヤ成形工程の前に解放し、ワイヤ成形工程を速やかに行わせる。このように、保持具戻し工程において、ワイヤの基端と矩形波部分を固定支持することにより、保持具が戻る際に直線状に引出されたワイヤ9が変形するような事態を回避することができ、その後のワイヤ保持工程において複数の保持具23〜26により直線状のワイヤ9を有効に保持させることが可能になる。
【0042】
そして、先のワイヤ保持工程に戻り、図2の破線矢印で示すように、再びワイヤ9を保持した複数の保持具23〜26を同一平面内で同時に移動させて、そのワイヤ9を所定の形状に屈曲成形させる。このように、これらの工程を繰り返すことによりによりワイヤの引出し方向に連続する矩形波状の波形コイル10を得ることができる。そして、コントローラ46は、ワイヤ引出機22を制御してワイヤ9を引出すときコンベア63を制御して、得られた矩形波部分をワイヤ9の引出し方向に移動させる。これにより、既に成形された波形コイル10が、その後に形成される波形コイル10に押されて変形するような事態を防止することができる。そして、所望の長さの波形コイル10が形成されると、図示しないカッタ装置を作動させてワイヤ9を切断し、コンベア63を作動させて、そのコンベア63上を移動させることにより所望の長さの波形コイル10をコイル成形装置20から搬出する。
【0043】
従って、本発明のコイル成形装置及びコイル成形方法では、その成形時に波形コイル10は、ワイヤ9の引出し方向に単位波形がずれるだけで、既に成形された波形コイル10を振り回すようなことはない。このため、従来技術で問題となっていた振り回しにより生じる慣性力によって既に形成された波形コイルが変形するような事態を有効に防止することができる。この結果、成形されたコイル10の変形を抑えつつ、その生産性を著しく高めることができる。
【0044】
なお、上述した実施の形態では、ワイヤ引出機22におけるX軸方向伸縮アクチュエータが第1保持具23を移動させるX軸方向伸縮アクチュエータ33と共通する場合を示したが、ワイヤ引出機22におけるアクチュエータと第1保持具23におけるアクチュエータを別に設けても良く、その供給源側に位置する第1保持具23及びその第1保持具23を移動させるX軸方向伸縮アクチュエータ33がワイヤ引出機22を兼ねるようにしても良い。
【0045】
また、上述した実施の形態では、矩形波状の波形コイル10を形成する4つの保持具23〜26が設けられる場合を示したが、保持具の数は4つに限らず、得ようとするコイルの形状により、5つでも、6つでも、7つ以上であっても良い。
【0046】
また、上述した実施の形態では、複数の保持具23〜26をX軸及びY軸からなる同一平面内で同時に移動させる場合を説明したが、複数の保持具23〜26は同一平面内に限らずに、X軸、Y軸、及びZ軸方向に同時に移動させるようにしても良い。
【0047】
また、上述した実施の形態では、台板上にワイヤ9を直線状に引出し、複数の保持具23〜26の下部に形成された凹溝23a〜26aにそのワイヤ9を収容させることによりそのワイヤ9を保持する場合を説明したが、ワイヤ9を空間に直線状に引出しても良く、そのワイヤを保持する凹溝23a〜26aを保持具23〜26の上部に形成しても良い。
【0048】
また、上述した実施の形態では、曲げ部材51aを回転させて凹溝23aの端部から突出するワイヤ9を直接折曲げるように構成された折曲機51を説明したが、図13及び図14に詳しく示すように、ワイヤ9を折曲げる際の中心となるローラ23bを保持具23に設けるようにしても良い。このローラ23bは曲げ部材51aの回転中心に位置し、図13に示すように、凹溝23aの端部から突出するワイヤ9をそのローラ23bと曲げ部材51aが両側から挟むように構成される。そして、コントローラ46からの指令により回転アクチュエータ51bが駆動すると曲げ部材51aが図14の実線矢印で示すように移動し、凹溝23aの端部から突出するワイヤ9をローラ23bの外周に沿って折曲げるように構成される。このようなローラ23bを備えれば、波形コイル10におけるそれぞれの屈折部16〜19をローラ23bの外周に相当する所望の曲率半径にすることができ、所望の曲率半径からなる屈折部16〜19を有する波形コイル10を得ることができる。
【0049】
また、上述した実施の形態では、Z軸方向伸縮アクチュエータ42により昇降可能な昇降板41の下面に第1〜第3X軸方向伸縮アクチュエ−タ33,36を取付けた保持具移動手段31を説明したが、この昇降板41は必ずしも用いることを必要としない。図15に昇降板41を設いない保持具移動手段91を示す。この保持具移動手段91は、第1保持具23をX軸方向に移動させる第1X軸方向伸縮アクチュエータ92と、第2及び第3保持具24,25をX軸方向に移動させる図示しない第2X軸方向伸縮アクチュエータと、第4保持具26をX軸方向に移動させる第3X軸方向伸縮アクチュエータ94とを備え、これら第1〜第3X軸方向伸縮アクチュエータ92〜94はテーブル96上に設けられる。台板28はテーブル96上に支柱97を介してX軸方向に延びて水平に支持され、図では第1及び第3X軸方向伸縮アクチュエータ92,94が台板28の手前側に配置され、図示しない第2X軸方向伸縮アクチュエ−タは台板28の向こう側に配置される場合を示す。
【0050】
第1〜第3X軸方向伸縮アクチュエ−タ92〜94にはZ軸方向伸縮アクチュエ−タ101〜103がそれぞれ搭載され、第1〜第3X軸方向伸縮アクチュエ−タ92〜94はこのZ軸方向伸縮アクチュエ−タ101〜103をX軸方向にそれぞれ移動可能に構成される。またこの第1〜第3Z軸方向伸縮アクチュエ−タ101〜103にはY軸方向伸縮アクチュエ−タ106〜108がそれぞれ搭載され、第1〜第3Z軸方向伸縮アクチュエ−タ101〜103はこのY軸方向伸縮アクチュエ−タ106〜108をZ軸方向にそれぞれ昇降可能に構成される。そして、第1Y軸方向伸縮アクチュエ−タ106に引出機22における把持具22a及び第1保持具23が第1治具台111を介して搭載され、第2Y軸方向伸縮アクチュエ−タ107に第2及び第3保持具24,25が第2治具台112を介して搭載され、第3Y軸方向伸縮アクチュエ−タ108に第4保持具26が第3治具台113を介して搭載される。このように、第1〜第4保持具23〜26をそれぞれ別に設けられたX軸、Y軸、及びZ軸方向伸縮アクチュエータ92〜94,101〜103,106〜108によりそれぞれ移動可能に構成し、それらにより複数の保持具23〜26を同時に移動可能にしても良い。
【0051】
また、上述した実施の形態では、エアシリンダからなる一対の開閉アクチュエータ61aと、それが伸張作動することによりワイヤ9を把持する一対のチャック61bを台板28に設けた第1支持機61を説明したが、図15に示すように、チャックをエア圧により又は電動によりチャックが開閉するエア圧又は電動式チャックを第1支持機121として用いても良い。図15では、エア圧式チャックからなる第1支持機121をテーブル96に設けた例を示す。ここで、図15における符号122は、そのテーブル96に昇降可能に設けられたエア圧式ニッパーであって、所望の長さの波形コイル10が形成された後にコントローラ46の指令により上昇し、ワイヤ9を第1支持機121の近傍で切断可能に構成されたものである。このようなワイヤカッタ装置としてのエア圧式ニッパー122を備えれば、ワイヤ9の切断をも自動化させることができる。
【0052】
更に、上述した実施の形態では、一対のチャック部材62aがそれぞれ支点を中心に回勳して開閉するように構成された第2支持機62を説明したが、図15に示すように、第2支持機131は、テーブル96に設けられた第4Z軸方向伸縮アクチュエータ131aと、その第4Z軸方向伸縮アクチュエータ131aにより昇降する押さえ部材131bを備えるものであっても良い。このような第2支持機131であっても、第4Z軸方向伸縮アクチュエータ131aにより押さえ部材131bを破線矢印で示すように下降させ、これによりワイヤ9を屈曲成形されて得られた矩形波部分をその台板28と共に挟んで固定支持することができ、第4Z軸方向伸縮アクチュエータ131aにより押さえ部材131bを実線矢印で示すように上昇させることにより押さえ部材131bは台板28から離間し、その間に挟まれていたコイル10の矩形波部分を移動可能に解放することができる。
【符号の説明】
【0053】
9 ワイヤ
10 波形コイル
21 供給源
22 ワイヤ引出機
23〜26 保持具
31,91 保持具移動手段
46 コントローラ
51 折曲機
61,121 第1支持機
62,131 第2支持機
63 コンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給源(21)から延びるワイヤ(9)を直線状に引出すワイヤ引出機(22)と、
前記引出機(22)から引出された前記ワイヤ(9)を互いに所定の間隔を開けて保持する複数の保持具(23~26)と、
前記複数の保持具(23~26)を移動可能に構成された保持具移動手段(31)と、
前記保持具移動手段(31)を制御するコントローラ(46)と
を備え、
前記コントローラ(46)は、前記ワイヤ(9)を保持した前記複数の保持具(23~26)を同時に移動させて前記ワイヤ(9)を所定の形状に屈曲成形するように前記保持具移動手段(31)を制御する
ことを特徴とするコイル成形装置。
【請求項2】
コントローラ(46)により制御され駆動して保持具(23~26)に保持されたワイヤ(9)を前記保持具(23~26)部分で折曲げ可能な折曲機(51)が前記保持具(23~26)に設けられ、
前記コントローラ(46)は保持具移動手段(31)を制御して前記ワイヤ(9)を所定の形状に屈曲成形させるとき前記折曲機(51)を駆動するように構成された請求項1記載のコイル成形装置。
【請求項3】
ワイヤ(9)を成形させて得られる所定の形状がワイヤの引出し方向に連続する矩形波を構成する単位波形であって、
コントローラ(46)は、保持具移動手段(31)を制御して前記ワイヤ(9)を所定の形状に屈曲成形するとき、前記単位波形の全長に等しい量のワイヤ(9)を引出すようにワイヤ引出機(22)を制御する請求項1又は2記載のコイル成形装置。
【請求項4】
コントローラ(46)により制御されワイヤ引出機(22)により直線状に引出されたワイヤ(9)の基端を固定支持する第1支持機(61)と、前記コントローラ(46)により制御され前記ワイヤ(9)を屈曲成形させて得られた矩形波部分を固定支持する第2支持機(62)とを備え、
前記コントローラ(46)は、前記第1及び第2支持機(61,62)により前記ワイヤ(9)の基端と前記矩形波部分を固定支持した状態で、前記矩形波部分から保持具(23~26)を離脱させかつその保持具(23~26)により前記引出機(22)から新たに引出されたワイヤ(9)を保持させるように構成された請求項3記載のコイル成形装置。
【請求項5】
コントローラ(46)により制御されワイヤ(9)を屈曲成形して得られた矩形波部分を載せるコンベア(63)を更に備え、
コントローラ(46)は、ワイヤ引出機(22)を制御してワイヤ(9)を引出すとき、前記矩形波部分を前記ワイヤ(9)の引出し方向に移動させるように前記コンベア(63)を制御する請求項3又は4記載のコイル成形装置。
【請求項6】
互いに所定の間隔を開けて直線状に設けられた複数の保持具(23~26)により供給源(21)から延びて直線状に引出されたワイヤ(9)を保持するワイヤ保持工程と、
前記ワイヤ(9)を保持した前記複数の保持具(23~26)を同時に移動させて前記ワイヤ(9)を所定の形状に屈曲成形させるワイヤ成形工程と、
前記所定の形状を形成するワイヤ(9)の全長に等しい量のワイヤ(9)を前記供給源(21)から直線状に引出すワイヤ引出し工程と、
所定の形状に屈曲成形させれた前記ワイヤ(9)から前記複数の保持具(23~26)を離脱させて互いに所定の間隔を開けて直線状に設け直す保持具戻し工程と
を繰り返すことを特徴とするコイル成形方法。
【請求項7】
ワイヤ(9)を屈曲成形させて得られる所定の形状が前記ワイヤ(9)の引出し方向に連続する矩形波を構成する単位波形であり、ワイヤ引出し工程がワイヤ成形工程と同時に行われる請求項6記載のコイル成形方法。
【請求項8】
ワイヤ引出機(22)により直線状に引出されたワイヤ(9)の基端と屈曲成形したワイヤからなる矩形波部分を固定支持した状態で保持具戻し工程が行われ、
ワイヤ保持工程の後であってワイヤ成形工程の前に前記ワイヤ(9)の基端と矩形波部分の固定支持が解放される請求項7記載のコイル成形方法。
【請求項9】
ワイヤ引出し工程とワイヤ成形工程を行うとき、ワイヤ9を屈曲成形させて得られた矩形波部分をワイヤの引出し方向に同時に移動させる請求項7又は8記載のコイル成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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