説明

コイル搬送装置及びこれを利用するコイルステーション

【課題】マンドレルの上方が障害物で覆われていても、コイルの尾端のスプリングバックによる巻き解けを生じさせることなく搬送できるコイル搬送装置を提供する。
【解決手段】ダウンコイラ200とコイルステーションの100との間を往復移動できるように配設されてコイルCを昇降可能に支承するコイルカー11〜16,19と、ダウンコイラ200の近傍の上方とコイルステーション100の上方との間を往復移動できるように配設されてコイルCの上部を押さえ付ける押付台車20〜29とを備え、押付台車20〜29が、押付台車本体22の下方側で昇降可能となるように基端側を流体圧シリンダ23に片持ち支持されてマンドレル202の軸方向に沿って長手方向を向けるように配向されると共に押付台車本体22のダウンコイラ200側の端部よりも先端側を突出させるようにオーバハングした押さえ板24を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方を障害物で覆われたダウンコイラのマンドレルに巻き取られたコイルを当該ダウンコイラからコイルステーションまで搬送するコイル搬送装置及びこれを利用するコイルステーションに関し、特に、熱間圧延設備で熱間圧延されたストリップをダウンコイラのマンドレルで巻き取ったコイルをコイルステーションに搬送して当該コイルにバンディングするものである。
【背景技術】
【0002】
圧延設備においては、圧延されたストリップをダウンコイラのマンドレルに巻き取ったコイルを当該マンドレルから抜き取ってコイルカーに移載して搬送する際に、当該コイルの尾端のスプリングバックによって、当該コイルが緩んで巻き解けてしまうことがある。
【0003】
このため、例えば、下記特許文献1等においては、ダウンコイラの上方に配設したスナバロール台車のスナバロールで上方から上記コイルの上部を押さえ付けながらマンドレルからコイルカーに移載した後、当該コイルの上部を押さえ付けながら当該コイルを移動させるように、当該コイルカーの移動と併せて当該スナバロール台車も移動させることにより、当該コイルの緩みによる巻き解け(ばらけ)を防止することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−025525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したような特許文献1等に記載されているストリップコイルの搬出装置は、ダウンコイラのマンドレルの上方にユニットロール等を備えたハウジング等のような障害物がない冷間圧延設備の場合には何ら問題なく利用することができるものの、ダウンコイラの上方を前記障害物で覆われた熱間圧延設備の場合には利用することができなかった。
【0006】
これに対し、近年、熱間圧延設備で熱間圧延され始めてきたパイプライン用鋼管等のAPI材等のような、非常に厚い厚さを有すると共に(20〜25.4mm)、高強度(降伏点:約50kg/mm2以上)を有しているストリップの場合には、コイルの尾端のスプリングバックが非常に大きいため、当該コイルの緩みによる巻き解け(ばらけ)を確実に防止することが強く望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するためになされた第一番目の発明は、上方を障害物で覆われたダウンコイラのマンドレルに巻き取られたコイルを当該ダウンコイラからコイルステーションまで搬送するコイル搬送装置であって、前記ダウンコイラと前記コイルステーションとの間を往復移動できるように配設されて前記コイルを昇降可能に支承するコイルカーと、前記ダウンコイラの近傍の上方と前記コイルステーションの上方との間を往復移動できるように配設されて前記コイルの上部を押さえ付ける押付台車とを備え、前記押付台車が、前記ダウンコイラの近傍の上方と前記コイルステーションの上方との間を往復移動できるように配設された押付台車本体と、前記押付台車本体の下方側で昇降可能となるように基端側を片持ち支持されて前記ダウンコイラの前記マンドレルの軸方向に沿って長手方向を向けるように配向されると共に当該押付台車本体の当該ダウンコイラ側の端部よりも先端側を突出させるようにオーバハングした押さえ部材とを備えていることを特徴とする。
【0008】
第二番目の発明は、第一番目の発明に係るコイル搬送装置において、前記コイルカーが、前記ダウンコイラと前記コイルステーションとの間を往復移動できるように配設されたコイルカー本体と、前記コイルカー本体に昇降可能に設けられた昇降台と、前記ダウンコイラの前記マンドレルの軸心を中心にして対をなすと共に互いの間隔を調整できるように接近離反移動可能となるように前記昇降台上に配設されて前記コイルを支承するコイルカー用コイル支承手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
第三番目の発明は、第一番目又は第二番目の発明に係るコイル搬送装置において、前記押付台車が、前記押さえ部材の先端側から基端側へ向って前記コイルに加わる力を当該押さえ部材に伝達するように当該コイルの当該押さえ部材の基端側の端面に対して当接離反可能に設けられた推力伝達手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
第四番目の発明は、第一番目から第三番目のいずれかの発明に係るコイル搬送装置において、前記押付台車と前記コイルカーとを一体的に移動させるように当該押付台車と当該コイルカーとを着脱可能に連結する連結手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
第五番目の発明は、第一番目から第四番目のいずれかの発明に係るコイル搬送装置において、前記押付台車の前記押さえ部材の前記コイルとの当接面に、当該コイルをバンディングするバンドを通過させる通過溝が形成されていることを特徴とする。
【0012】
第六番目の発明は、第五番目の発明に係るコイル搬送装置において、前記コイルカーの前記昇降台の対をなす前記コイルカー用コイル支承手段の間に、当該コイルカー用コイル支承手段で支承する前記コイルの軸方向に沿って差込溝が形成されていることを特徴とする。
【0013】
第七番目の発明は、第一番目から第四番目のいずれかの発明に係るコイル搬送装置を利用してコイルにバンディングを施すコイルステーションであって、前記コイル搬送装置で搬送された前記コイルの軸心を中心にして対をなすと共に互いの間隔を調整できるように接近離反移動可能に配設されて当該コイルを支承するコイルステーション用コイル支承手段を備えていることを特徴とする。
【0014】
第八番目の発明は、第七番目の発明に係るコイルステーションにおいて、前記コイルステーション用コイル支承手段に支承された前記コイルの上部を押さえるコイルステーション用コイル押さえ手段を備えていることを特徴とする。
【0015】
第九番目の発明は、第六番目の発明に係るコイル搬送装置を利用してコイルにバンディングを施すコイルステーションであって、前記コイルカーの前記昇降台の前記差込溝に対して先端側が挿抜可能となるように長手方向を水平方向へ向けると共に基端側を昇降可能及び旋回可能に支持されて先端側で前記コイルを支承し且つ当該コイルとの当接面に当該コイルをバンディングするバンドを通過させる通過溝が形成された支承部材を有するコイルステーション用コイル支承手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るコイル搬送装置及びこれを利用するコイルステーションによれば、押付台車本体のダウンコイラ側の端部よりも先端側を突出させるようにオーバハングさせて片持ち支持した押さえ部材をコイルの上部と障害物との間に挿入して当該コイルの上部に位置させて、当該コイルの上部を押さえ付けることができることから、押付台車本体をダウンコイラの障害物の近傍に位置させるだけで押さえ板を前記コイルの上方に位置させて、押さえ部材で当該コイルの上部を押さえ付けることができるので、マンドレルの上方をハウジング等で覆われた熱間圧延設備のダウンコイラであっても、コイルの緩みによる巻き解けを生じさせることなく当該コイルをダウンコイラからコイルステーションまで搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るストリップコイルの搬送装置及びこれを利用するコイルステーションの第一番目の実施形態の概略構成を表す側面図である。
【図2】図1のII−II線断面矢線視図である。
【図3】図1の III−III 線断面矢線視図である。
【図4】本発明に係るストリップコイルの搬送装置及びこれを利用するコイルステーションの第二番目の実施形態の概略構成を表す側面図である。
【図5】図4のV−V線断面矢線視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るコイル搬送装置及びこれを利用するコイルステーションの実施形態を図面に基づいて以下に説明するが、本発明は以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0019】
[第一番目の実施形態]
本発明に係るコイル搬送装置及びこれを利用するコイルステーションの第一番目の実施形態を図1〜3に基づいて説明する。
【0020】
図1,2に示すように、熱間圧延設備のダウンコイラ200のマンドレル組立体201には、回転駆動すると共に拡縮可能なマンドレル202が設けられている。マンドレル202の周辺は、ハウジング203で囲まれている。
【0021】
前記ハウジング203には、前記マンドレル202に対して先端側を接近離反できるように基端側を回動可能に支持されたユニットフレーム204が当該マンドレル202の周方向に沿って所定の間隔で複数(本実施形態では3つ)設けられている。これらユニットフレーム204の先端側には、ユニットロール205が回転可能にそれぞれ設けられている。これらユニットフレーム204の先端側には、流体圧シリンダ206のロッド206aの先端が回動可能にそれぞれ連結している。これら流体圧シリンダ206は、前記ハウジング203にそれぞれ固定されている。
【0022】
つまり、前記流体圧シリンダ206の前記ロッド206aが伸長することにより、前記ユニットロール205が前記マンドレル202の外周面に近接するように前記ユニットフレーム204が揺動し、走行してきたストリップを上記ユニットロール205で上記マンドレル202の外周面に案内して当該マンドレル202に巻き付けることができ、前記流体圧シリンダ206の前記ロッド206aが大きく収縮することにより、前記ユニットロール205が前記マンドレル202から大きく離反するように前記ユニットフレーム204が揺動し、当該マンドレル202に巻き取られたコイルCから上記ユニットロール205が大きく離反するように当該ユニットロール205を退避位置に位置させることができるようになっている。
【0023】
前記ハウジング203には、熱間圧延されたストリップを前記マンドレル202へ案内する下ガイドプレート207が固定取付されると共に、上ガイドプレート208の背面の基端側が先端側を前記マンドレルに対して接近離反できるように回動可能に支持されている。この上ガイドプレート208の背面の先端側には、リンクプレート209の一端側が回動可能に連結されている。このリンクプレート209の他端側は、最も上方に位置する前記ユニットフレーム204に回動可能に連結されている。
【0024】
つまり、最も上方に位置する前記ユニットフレーム204の前記流体圧シリンダ206が伸長することにより、前記上ガイドプレート208の先端側が前記マンドレル202の外周面に近接するように前記ユニットフレーム204が揺動し、走行してきたストリップを上記上ガイドプレート208及び下ガイドプレート207で上記マンドレル202へ案内することができ、最も上方に位置する前記ユニットフレーム204の前記流体圧シリンダ206が大きく収縮することにより、前記上ガイドプレート208の先端側が前記マンドレル202から大きく離反するように前記ユニットフレーム204が揺動し、当該マンドレル202に巻き取られたコイルCから上記上ガイドプレート208の先端側が大きく離反するように当該上ガイドプレート208を退避位置に位置させることができるようになっている。
【0025】
前記ダウンコイラ200の前記マンドレル202の下方には、ピットPが形成されている。このピットP内には、前記マンドレル202の軸方向に沿って長手方向を向けたレール11が対をなして敷設されている。前記レール11上には、コイルカー本体12が車輪12aを介して載せられており、当該コイルカー本体12は、当該車輪12aを介して当該レール11上を走行移動することができるようになっている。
【0026】
前記コイルカー本体12には、昇降可能な昇降台13が設けられている。この昇降台13上には、前記レール11の長手方向に沿って軸方向を向けた円柱状をなす支持体14が対をなす当該レール11の対向方向で対をなすようにして、すなわち、前記ダウンコイラ200の前記マンドレル202の軸心を中心にして対をなすようにして回動可能に取り付けられており、当該支持体14は、両端側の間を軸方向にわたって刳り抜かれるように切欠き溝がそれぞれ形成されている。これら支持体14の前記切欠き溝内には、当該支持体14の軸方向に沿って軸方向を向けたクレードルロール15が外周面を当該支持体14の当該切欠き溝から突出させるように当該支持体14の軸心位置に対して偏心した位置でそれぞれ回転可能に支持されている。
【0027】
前記支持体14の外面にそれぞれ設けられたブラケット14aには、流体圧シリンダ16のロッド16aの先端がそれぞれ回動可能に連結されている。これら流体圧シリンダ16は、前記昇降台13にそれぞれ固定支持されている。
【0028】
つまり、前記流体圧シリンダ16の前記ロッド16aを伸縮させると、前記ブラケット14aを介して前記支持体14をそれぞれ回動させて、前記クレードルロール15を当該支持体14の軸心を中心にした公転方向でそれぞれ移動させる、すなわち、対をなす前記クレードルロール15の互いの間隔を調整できるように当該クレードルロール15を接近離反移動させることができるようになっている。
【0029】
また、図1,3に示すように、前記ダウンコイラ200の前記ハウジング203の近傍の上方には、前記マンドレル202の軸方向に沿って長手方向を向けた支持台20が支持材20aを介して床面Fに対して支持されている。前記支持台20上には、前記マンドレル202の軸方向に沿って長手方向を向けた一対のレール21が敷設されている。前記レール21上には、押付台車本体22が車輪22aを介して載せられている。前記支持台20上の一対の前記レール21の間には、上方と下方とを貫通する切欠き穴20bが当該レール21の長手方向にわたって形成されている。
【0030】
前記押付台車本体22の前記ダウンコイラ200側の端部寄りには、ロッド23aの先端を下方側へ向けるように配向された押さえ部材昇降手段である流体圧シリンダ23が取り付けられている。この流体圧シリンダ23のロッド23aの先端側には、先端側を前記ダウンコイラ200の前記ハウジング203へ向けるように前記レール21の長手方向、すなわち、前記ダウンコイラ200の前記マンドレル202の軸方向に沿って長手方向を向けた押さえ部材である押さえ板24の基端側が片持ち支持されており、当該押さえ板24は、当該押付台車本体22の上記ダウンコイラ200側に位置する端部よりも先端側を当該ダウンコイラ200側へ突出させるように当該押付台車本体22に対してオーバハングすると共に、上記マンドレル202の軸心回りで湾曲するように円弧状をなしている。
【0031】
前記押さえ板24の下面の基端側には、ロッド25aの先端を当該押さえ板24の先端側へ向けるように配向された流体圧シリンダ25がブラケット24aを介して固定支持されている。この流体圧シリンダ25のロッド25aの先端には、押付板26が取り付けられている。
【0032】
つまり、前記ダウンコイラ200の前記ハウジング203内の前記ユニットロール205及び前記上ガイドプレート208が退避位置に位置しているとき、前記マンドレル202に巻き取られている前記コイルCの上部と前記ハウジング203との間の高さ位置に前記押さえ板24を位置させるように前記流体圧シリンダ23の前記ロッド23aを伸長して、前記押付台車本体22を当該ハウジング203の近傍にまで位置させるように前記レール21に沿って当該押付台車本体22を移動させると、当該押付台車本体22を当該ハウジング203の近傍に位置させるだけで当該押さえ板24を前記コイルCの上部と当該ハウジング203との間に挿入して位置させることができ、さらに、前記流体圧シリンダ23を伸長することにより、前記押さえ板24で前記コイルCの上部を押さえ付けることができると共に、前記流体圧シリンダ25の前記ロッド25aを伸長することにより、前記押付板26を前記コイルCの上記押さえ板24の基端側の端面に対して当接させるように押し付けることができるようになっている。
【0033】
前記押付台車本体22の前記ダウンコイラ200側の端部と対向する側の端部寄りには、ロッド27aの先端を下方側へ向けるように配向された流体圧シリンダ27が取り付けられている。前記押付台車本体22の前記流体圧シリンダ23と前記流体圧シリンダ27との間には、上下方向へ長手方向を向けるように配向された連結シャフト28が上下方向へ摺動移動できるように設けられている。この連結シャフト28の下端(先端)寄りには、前記流体圧シリンダ27の先端側が連結具28aを介して連結されている。
【0034】
他方、前記ダウンコイラ200の前記マンドレル202に巻き取られている前記コイルCの上部と前記ハウジング203との間に前記押さえ板24を位置させて当該押さえ板24で前記コイルCの上部を押さえ付けるように前記押付台車本体22を位置させると共に、上記マンドレル202に巻き取られている当該コイルCの下部を前記クレードルロール15で支承するように前記コイルカー本体12を位置させたときに、前記連結シャフト28の下端(先端)と対向する前記コイルカー本体12の上面位置には、当該連結シャフト28と着脱可能に係合する係合部12bが設けられている。
【0035】
つまり、前記コイルカー本体12及び前記押付台車本体22が上記位置に位置しているときに、前記流体圧シリンダ27を伸長すると、前記連結シャフト28が下降して、当該連結シャフト28の先端が前記コイルカー本体12の前記係合部12bに係合することにより、当該コイルカー本体12と当該押付台車本体22とを一体的に連結して、同期させて走行移動させることができ、前記流体圧シリンダ27を収縮すると、前記連結シャフト28が上昇して、当該連結シャフト28の先端が前記コイルカー本体12の前記係合部12bから離脱することにより、当該コイルカー本体12と当該押付台車本体22とそれぞれ独立させて個別に走行移動させることができるようになっている。
【0036】
前記ダウンコイラ200の前記マンドレル202の軸心の先端側の延長線上側には、コイルステーション100が当該ダウンコイラ200と隣り合うようにして設けられている。前記ピットP、前記レール11,21、前記支持台20等は、前記ダウンコイラ200から上記コイルステーション100まで連続するようにそれぞれ延設されている。
【0037】
前記コイルステーション100の床面F上には、前記ピットPを間に挟むようにして座板101が敷設されている。前記座板101上には、前記ピットPに対して接近離反できるように当該座板101上を摺動移動可能なサドル102が前記ピットPを間に挟んで対をなすようにして、すなわち、前記コイルカー本体12の前記クレードルロール15に支承されて搬送された前記コイルCの軸心を中心にして対をなすようにしてそれぞれ設けられている。
【0038】
前記サドル102の前記ピットPに対する離反方向側の端部には、流体圧シリンダ103のロッド103aの先端側がそれぞれ連結されている。これら流体圧シリンダ103は、前記座板101上にそれぞれ固定されている。
【0039】
つまり、前記流体圧シリンダ103の前記ロッド103aを伸縮させることにより、前記サドル102を前記ピットPに対してそれぞれ接近離反移動させる、すなわち、対をなす前記バンディングスキッド103の互いの間隔を調整することができるようになっている。
【0040】
また、前記コイルステーション100の前記ピットPを挟んだ一方の前記座板101上には、前記ピットPの長手方向に沿って前記サドル102を間に挟むように対をなす支柱104がそれぞれ立設されている。これら支柱104の上端側には、ブラケット104aがそれぞれ設けられている。これらブラケット204aには、当該ブラケット104a間を橋渡すように配向された支持軸105の端部側がそれぞれ回転可能に支持されている。
【0041】
前記支持軸105には、当該支持軸105の軸方向にわたって所定の間隔で複数配設された押さえアーム106の基端側がそれぞれ固定連結されている。この支持軸105の一方の端部には、リンクプレート107の一端側が固定連結されている。このリンクプレート107の他端側には、流体圧シリンダ108のロッド108aの先端側が回動可能に連結されている。この流体圧シリンダ108の基端側は、最寄りの前記支柱104に回動可能に連結支持されている。
【0042】
つまり、前記流体圧シリンダ108のロッド108aを伸長させると、前記リンクプレート107を介して前記支持軸105を回動させて、各前記押さえアーム106の先端側を前記ピットP側へそれぞれ接近させた作動位置に位置するように複数の当該押さえアーム106を同期して一体的にそれぞれ回動させることができ、前記流体圧シリンダ108のロッド108aを収縮させると、前記リンクプレート107を介して前記支持軸105を回動させて、各前記押さえアーム106の先端側を前記ピットP側からそれぞれ離反させた退避位置に位置するように複数の当該押さえアーム106を同期して一体的にそれぞれ回動させることができるようになっている。
【0043】
また、前記コイルステーション100には、前記コイルCにバンディングを施すバンディング手段であるバンディング装置(図示省略)が設けられている。
【0044】
なお、図1中、19は、ロッド19aの先端側をコイルカー本体12に連結されて当該ロッド19aを伸縮させることにより当該コイルカー本体12を前記レール12に沿って往復走行移動させる流体圧シリンダ、29は、押付台車本体22の車輪22aを正逆回転可能に駆動させると共に当該車輪22aの自由回転も可能とする走行モータである。
【0045】
このような本実施形態においては、前記支持体14、前記クレードルロール15、前記流体圧シリンダ16等によりコイルカー用コイル支承手段を構成し、当該コイルカー用コイル支承手段、前記レール11、前記コイルカー本体12、前記昇降台13、前記流体圧シリンダ19等によりコイルカーを構成し、前記流体圧シリンダ25、前記押付板26等により推力伝達手段を構成し、前記流体圧シリンダ27、前記連結シャフト28等により連結手段を構成し、当該推力伝達手段、当該連結手段、前記支持台20、前記レール21、前記押付台車本体22、前記流体圧シリンダ23(押さえ部材昇降手段)、前記押さえ板24(押さえ手段)、前記走行モータ29等により押付台車を構成し、前記座板101、前記サドル102、前記流体圧シリンダ103等によりコイルステーション用コイル支承手段を構成し、前記支柱104、前記支持軸105、前記押さえアーム106、前記リンクプレート107、前記流体圧シリンダ108等によりコイルステーション用コイル押さえ手段を構成している。そして、前記ハウジング203、前記ユニットフレーム204、前記ユニットロール205、前記上ガイドプレート208等によって、ダウンコイラ200のマンドレル202の上方を覆う障害物をなしている。
【0046】
上述したようにして構成された本実施形態に係るコイル搬送装置10及びこれを利用するコイルステーション100の作動を次に説明する。
【0047】
当初、コイルカー本体12及び押付台車本体22は、コイルステーション100側に位置すると共に、連結シャフト28は、流体圧シリンダ27のロッド27aが収縮して上方へ位置し、押さえアーム106は、流体圧シリンダ108のロッド108aが収縮して退避位置に位置している。また、ダウンコイラ200のマンドレル202で巻き取られて形成される前記コイルCの直径サイズに適切に対応する大きさとなるように、コイルカー本体12の対をなすクレードルロール15の間隔を流体圧シリンダ16の伸縮により予め設定すると共に、コイルステーション100の対をなすサドル102の間隔を流体圧シリンダ103の伸縮により予め設定する。
【0048】
そして、ダウンコイラ200のユニットロール205及び上ガイドプレート208の先端側をマンドレル202に接近させるように流体圧シリンダ206を作動させて、マンドレル202を回転させるようにマンドレル組立体201を作動させることにより、熱間圧延設備で熱間圧延されたストリップをマンドレル202に巻き付けていく。
【0049】
マンドレル202にストリップが巻き付けられることにより前記コイルCが形成されてきて、ユニットロール205及び上ガイドプレート208の先端側をマンドレル202から引き離すように流体圧シリンダ206を作動させて当該ユニットロール205及び上ガイドプレート208を退避位置に位置させたら、コイルカー本体12を上記コイルCの下方に位置させるように流体圧シリンダ25を作動させてダウンコイラ200側へ走行移動させる。
【0050】
そして、昇降台13を上昇させてクレードルロール15を前記コイルCの外周面に近接させ、前記ストリップの尾端を前記コイルCの上部側に位置させるようにマンドレル組立体201を調整すると共にクレードルロール15を前記コイルCに当接させて、マンドレル202の回転を停止させると共に、当該コイルCをクレードルロール15上に載せる。
【0051】
次に、押付台車本体22の流体圧シリンダ23のロッド23aを作動させて前記コイルCの上部とダウンコイラ200のハウジング203との間の高さ位置に押さえ板24を位置させると共に、押付台車本体22の走行モータ29を作動させて当該押付台車本体22をハウジング203の近傍にまで位置させると、押付台車本体22からオーバハングする押さえ板24が前記コイルCの上部とハウジング203との間に挿入されて当該コイルCの上部に位置し、上記流体圧シリンダ23のロッド23aを伸長させると、押さえ板24が前記コイルCの上部を押さえ付ける。
【0052】
ここで、前記コイルCが、パイプライン用鋼管等のAPI材等のような、非常に厚い厚さを有すると共に(20〜25.4mm)、高強度(降伏点:約50kg/mm2以上)を有しているストリップ等の場合には、当該コイルCの尾端側のスプリングバック力により、当該コイルCと押さえ板24との間に十分な摩擦力を生じるため、当該コイルCと押さえ板24との間ですべりを生じることがない。
【0053】
他方、前記コイルCが、通常程度の厚さ(約12〜15mm程度)及び強度(降伏点:15〜20kg/mm2程度)を有するストリップ等の場合には、当該コイルCの尾端側のスプリングバック力による当該コイルCと押さえ板24との間の摩擦力が十分に生じ得ない可能性があり、当該コイルCと押さえ板24との間ですべりを生じるおそれがあるため、押付台車本体22の流体圧シリンダ25のロッド25aを伸長して押付板26を前記コイルCの端面にさらに押し付けて、押さえ板24の先端側から基端側へ向って(図1中、左側から右側へ向う方向)当該コイルCに加わる力を押さえ部材24に伝達できるようにすることにより、当該コイルCと押さえ板24との間でのすべりを防止するようにする。
【0054】
さらに、前記コイルCのスプリングバック力が小さい場合には、当該コイルCと押さえ板24との間ですべりを生じてしまう可能性があるため、押付台車本体22の流体圧シリンダ27のロッド27aを伸長させて連結シャフト28を下降させて、連結シャフト28の下端(先端)をコイルカー本体12の係合部12bに係合させることにより、当該コイルCと押さえ板24との間の摩擦力に頼ることなくコイルカー本体12と押付台車本体22とを一体的に連結し、当該コイルCの尾端側のスプリングバックを十分に防止できる大きさの力だけで当該コイルCを押さえ板24で押さえ付けるようにする。
【0055】
そして、マンドレル202を縮径し、コイルカー本体12の流体圧シリンダ19のロッド19aを伸長させると、クレードルロール15上に前記コイルCを載せたコイルカー本体12がレール11に沿ってコイルステーション100へ向って走行移動すると共に、押付台車本体22が当該コイルCの上部を押さえ板24で押さえ付けながらレール21上をコイルカー本体12の走行移動と同期して一体的に走行移動する。このため、前記コイルCは、マンドレル202の縮径時やダウンコイラ200からコイルステーション100への搬送中に緩んで巻き解けてしまうことがない。
【0056】
コイルカー本体12及び押付台車本体22がコイルステーション100に到着し、対をなすサドル102間にコイルカー本体12のクレードルロール15を位置させるようにコイルカー本体12及び押付台車本体22を停車させた後、コイルカー本体12の昇降台13及び押付台車本体22の押さえ板24が前記コイルCを挟みながら同期して下降するように昇降台13を下降させると共に流体圧シリンダ23のロッド23aを伸長させ、前記コイルCをサドル102上に載置する。
【0057】
次に、コイルステーション100の流体圧シリンダ108のロッド108aを伸長させて、押さえアーム106の先端側を前記ピットP側へ位置させるようにリンクプレート107を介して支持軸105を回動させると、押さえアーム106の先端側が前記コイルCの上部を押さえ付ける。
【0058】
続いて、コイルカー本体12の昇降台13及び押付台車本体22の押さえ板24を前記コイルCから離反させるように昇降台13をさらに下降させると共に押さえ板24を上昇させるように流体圧シリンダ23のロッド23aを収縮させる。
【0059】
ここで、押付台車本体22の押付板26を前記コイルCの端面に押し付けている場合には、流体圧シリンダ23のロッド23aを収縮して押さえ板24を上昇させる前に、流体圧シリンダ25のロッド25aを収縮して押付板26を前記コイルCの端面から先に離反させておく。
【0060】
これにより、前記コイルCは、サドル102及び押さえアーム106で緩みによる巻き解け(ばらけ)を確実に防止された状態でサドル102上に移載される。
【0061】
なお、押付台車本体22の連結シャフト28の下端(先端)をコイルカー本体12の係合部12bに係合させている場合には、押付台車本体22の流体圧シリンダ27のロッド27aを収縮させて連結シャフト28を上昇させ、連結シャフト28の下端(先端)をコイルカー本体12の係合部12bから離脱させる。
【0062】
そして、前記バンディング装置を作動させて、前記コイルCにバンディングを施したら、コイルステーション100の流体圧シリンダ108のロッド108aを収縮させて、押さえアーム106の先端側を前記ピットP側から離反させるようにリンクプレート107を介して支持軸105を回動させて、押さえアーム106を退避位置に位置させる。
【0063】
これにより、前記コイルCは、緩みによる巻き解け(ばらけ)を生じることなく確実にバンディングされる。
【0064】
最後に、前記コイルCをコイルステーション100のサドル102上から図示しない移載装置で他の箇所に移載して、以下、上述した作動を繰り返すことにより、熱間圧延設備で処理されたストリップの前記コイルCにバンディングが順次施される。
【0065】
つまり、本実施形態では、押付台車本体22のダウンコイラ200側の端部寄りに垂設した流体圧シリンダ23のロッド23aの先端に、先端側をダウンコイラ200のハウジング203へ向けるようにマンドレル202の軸方向に沿って長手方向を向けた押さえ板24の基端側を固定支持する、すなわち、押付台車本体22のダウンコイラ200側の端部よりも先端側を突出させるようにオーバハングさせて片持ち支持した押さえ板24を前記コイルCの上部と当該ハウジング203との間に挿入して当該コイルCの上部に位置させて、当該コイルCの上部を押さえ付けることができるようにしたのである。
【0066】
このため、本実施形態においては、押付台車本体22をダウンコイラ200のハウジング203の近傍に位置させるだけで押さえ板24を前記コイルCの上方に位置させて、当該押さえ板24で当該コイルCの上部を押さえ付けることができる。
【0067】
したがって、本実施形態によれば、マンドレル202の上方をハウジング203で覆われた熱間圧延設備のダウンコイラ200であっても、コイルCの緩みによる巻き解け(ばらけ)を生じさせることなく当該コイルCをダウンコイラ200からコイルステーション100まで搬送することができると共に当該コイルCにバンディングを施すことができる。
【0068】
よって、尾端のスプリングバックが非常に大きく、緩みによる巻き解け(ばらけ)を確実に防止することが強く望まれているパイプライン用鋼管等のAPI材等のような、非常に厚い厚さを有すると共に(20〜25.4mm)、高強度(降伏点:約50kg/mm2以上)を有しているストリップのコイルでさえも、緩みによる巻き解け(ばらけ)を生じさせることなくダウンコイラ200からコイルステーション100まで搬送することができると共にバンディングを施すことができる。
【0069】
また、コイルカー本体12の対をなすクレードルロール15の間隔を調整できるようにしたことから、当該間隔を前記コイルCの直径サイズに対応して適切な大きさにすることができるので、前記コイルCがどのような直径サイズであっても、クレードルロール15に加わる水平方向と垂直方向との荷重を常に適切な大きさにして、当該コイルCのスプリングバック力を大きく低減することができると共に、クレードルロール15と当該コイルCとの間に作用する摩擦力を常に適切にすることができ、当該コイルCの緩みによる巻き解け(ばらけ)をさらに確実に防止することができる。
【0070】
また、押付台車本体22の流体圧シリンダ25のロッド25aを伸長して押付板26を前記コイルCの端面に押し付けて、押さえ板24の先端側から基端側へ向って当該コイルCに加わる力を押さえ部材24に伝達できるようにすることにより、当該コイルCと押さえ板24との間でのすべりを防止するようにしたことから、当該コイルCの尾端側のスプリングバック力による当該コイルCと押さえ板24との間に十分な摩擦力を生じ得ずに、当該コイルCと押さえ板24との間ですべりを生じてしまうおそれがある場合であっても、コイルカー本体12と押付台車本体22とを同期させて一体的に走行移動させることができ、ダウンコイラ200からコイルステーション100までの搬送途中でコイルCの緩みによる巻き解け(ばらけ)の発生を確実に防止することができる。
【0071】
また、押付台車本体22の連結シャフト28の下端(先端)をコイルカー本体12の係合部12bに係合させることにより、前記コイルCと押さえ板24との間の摩擦力に頼ることなくコイルカー本体12と押付台車本体22とを一体的に連結できるようにしたことから、当該コイルCの尾端側のスプリングバックを十分に防止できる大きさの力だけで当該コイルCを押さえ板24で押さえ付けた状態でコイルカー本体12と押付台車本体22とを同期させて一体的に走行移動させることができるので、当該コイルCのスプリングバック力が小さい場合であっても、何ら問題なくダウンコイラ200からコイルステーション100まで緩みによる巻き解け(ばらけ)を発生させることなく搬送することができる。
【0072】
また、コイルステーション100のサドル102上に載置された前記コイルCの上部を押さえアーム106で押さえるようにしたことから、当該コイルCの緩みによる巻き解け(ばらけ)を発生させることなくバンディングを確実に施すことができる。
【0073】
また、コイルステーション100の対をなすサドル102の間隔を調整できるようにしたことから、当該間隔を前記コイルCの直径サイズに対応して適切な大きさにすることができるので、前記コイルCがどのような直径サイズであっても、サドル102に加わる水平方向と垂直方向との荷重を常に適切な大きさにして、当該コイルCのスプリングバック力を大きく低減することができると共に、サドル102と当該コイルCとの間に作用する摩擦力を常に適切にすることができ、当該コイルCの緩みによる巻き解け(ばらけ)をさらに確実に防止することができる。
【0074】
[第二番目の実施形態]
本発明に係るコイル搬送装置及びこれを利用するコイルステーションの第二番目の実施形態を図4,5に基づいて説明する。ただし、前述した第一番目の実施形態の場合と同様な部分については、前述した第一番目の実施形態の説明で用いた符号と同一の符号を用いて図面等に付すことにより、前述した第一番目の実施形態での説明と重複する説明を省略する。
【0075】
図4,5に示すように、前記コイルカー本体12に昇降可能に設けられた昇降台33には、対をなして設けられた前記支持体14の間で凹状に切り欠かれた差込溝33aが前記レール11の長手方向に沿って、すなわち、前記コイルCの軸方向に沿って形成されている。
【0076】
他方、前記押付台車本体22の前記流体圧シリンダ23の前記ロッド23aの先端側に基端側を固定支持された押さえ板44の下面の先端寄り、すなわち、前記コイルCとの当接面には、前記コイルCをバンディングするバンドを通過させる通過溝44bが当該押さえ板44の幅方向に沿って形成されている。
【0077】
また、前記コイルステーション100の前記ピットP部分には、駆動及び旋回可能な支持テーブル113aを上部に有する駆動装置113が配設されている。この駆動装置113の前記支持テーブル113a上には、前記コイルカー本体12の前記昇降台33の前記差込溝33aに対して挿抜可能な幅及び高さを有すると共に長手方向を水平方向へ向けた支承部材であるバンディングスキッド112の基端側が固定支持されている。前記バンディングスキッド112の上面の先端寄り、すなわち、前記コイルCとの当接面には、前記コイルCをバンディングするバンドを通過させる通過溝112aが当該バンディングスキッド112の幅方向に沿って形成されている。
【0078】
なお、本実施形態においては、前記バンディングスキッド112、前記駆動装置113等により、コイルステーション用コイル支承手段を構成している。
【0079】
このような本実施形態に係るコイル搬送装置10及びこれを利用するコイルステーション100において、当初、バンディングスキッド112は、先端側をダウンコイラ200側へ向けるように配向されている。
【0080】
そして、前述した実施形態の場合と同様にして、前記ダウンコイラ200の前記マンドレル202に巻き取られた前記コイルCをコイルカー本体12の昇降台33及び押付台車本体22の押さえ板44等で挟んで、当該コイルカー本体12及び当該押付台車本体22でダウンコイラ200からコイルステーション100まで搬送してくると、コイルカー本体12の昇降台33の差込溝33a内にコイルステーション100のバンディングスキッド112の先端側が入り込んで、コイルカー本体12及び押付台車本体22が所定の位置で停車する。
【0081】
続いて、前述した実施形態の場合と同様に、コイルカー本体12の昇降台33及び押付台車本体22の押さえ板24が前記コイルCを挟みながら同期して下降するように昇降台33を下降させると共に流体圧シリンダ23のロッド23aを伸長させると、前記コイルCがバンディングスキッド112の先端側上に載置される。
【0082】
次に、コイルカー本体12の昇降台33を前記コイルCから離反させるように昇降台33をさらに下降させることにより、前記コイルCは、バンディングスキッド112及び押さえ板44で緩みによる巻き解け(ばらけ)を確実に防止された状態でバンディングスキッド112上に移載される。
【0083】
そして、前記バンディング装置を作動させることにより、当該バンディング装置が、押さえ板44及びバンディングスキッド112の通過溝44b,112aを介してバンドを通過させて前記コイルCにバンディングを施した後、押付台車本体22の押さえ板24を当該コイルCから離反させるように流体圧シリンダ23のロッド23aを収縮させて押さえ板24を上昇させる。
【0084】
これにより、前記コイルCは、緩みによる巻き解け(ばらけ)を生じることなく確実にバンディングされる。
【0085】
最後に、コイルステーション100の駆動装置113は、支持テーブル113aを上昇させて旋回させることにより、コイルステーション100に隣接するように配設されたコンベア(図示省略)上にバンディングスキッド112の先端側を位置させた後、支持テーブル113aを下降させることにより、バンディングスキッド112の先端側上の前記コイルCを上記コンベアに移載する。
【0086】
以下、上述した作動を繰り返すことにより、前述した実施形態の場合と同様に、熱間圧延設備で熱間圧延されたストリップの前記コイルCにバンディングを順次施すことができる。
【0087】
つまり、前述した実施形態では、コイルステーション100に備えた押さえアーム106で前記コイルCの上部を押さえてバンディングすると共に、コイルステーション100のサドル102上に載置された前記コイルCを図示しない移載装置で下流側へ移載するようにしたが、本実施形態では、押付台車本体22の押さえ板24で前記コイルCの上部を押さえてバンディングを施すようにすると共に、コイルステーション100のバンディングスキッド112上に載置された前記コイルCを当該バンディングスキッド112の昇降及び旋回により下流側へ移載するようにしたのである。
【0088】
このため、本実施形態においては、前記コイルCの上部をバンディングのためだけに押さえる部材を不要とすることができると共に、バンディングを施された前記コイルCの下流側への移載にかかるステップを簡略化することができる。
【0089】
したがって、本実施形態によれば、前述した実施形態の場合と同様な効果に加えて、前述した実施形態の場合よりも、設備コストの低減及び作業効率の向上を図ることができる。
【0090】
[他の実施形態]
なお、前述した実施形態においては、押付台車本体22に設けた連結シャフト28を下降させて、コイルカー本体12に設けた係合部12bに係合させることにより、押付台車本体22とコイルカー本体12とを一体的に連結するようにしたが、他の実施形態として、例えば、上下方向へ伸縮可能な連結ロッドをコイルカー本体側に設けると共に、当該連結ロッドの先端(上端)と係合可能な係合部を押付台車本体に設け、上記連結ロッドを伸長して当該連結ロッドの先端を押付台車本体の係合部に係合させることにより、押付台車とコイルカーとを一体的に連結するようにしても、前述した実施形態の場合と同様な作用効果を得ることができる。
【0091】
また、前述した実施形態においては、クレードルロール15を偏心させた位置で回転可能となるように内側に支持した支持体14をコイルカー本体12の昇降台13に回動可能に設けるようにしたが、他の実施形態として、例えば、クレードルロールの両端をそれぞれ回転可能に支持する偏心軸受をコイルカー本体の昇降台に回動可能に設けるようにしても、前述した実施形態の場合と同様な作用効果を得ることができる。
【0092】
また、本発明は、前述した各実施形態のみに限らず、前述した各実施形態を必要に応じて適宜組み合わせることによっても実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明に係るコイル搬送装置及びこれを利用するコイルステーションは、マンドレルの上方を障害物で覆われたダウンコイラであっても、コイルの緩みによる巻き解けを生じさせることなく当該コイルをダウンコイラからコイルステーションまで搬送することができるので、製鋼産業において極めて有益に利用することができる。
【符号の説明】
【0094】
C コイル
F 床面
P ピット
10 コイル搬送装置
11 レール
12 コイルカー本体
12a 車輪
12b 係合部
13 昇降台
14 支持体
14a ブラケット
15 クレードルロール
16 流体圧シリンダ
16a ロッド
19 流体圧シリンダ
19a ロッド
20 支持台
20a 支持材
20b 切欠き穴
21 レール
22 押付台車本体
22a 車輪
23 流体圧シリンダ
24 押さえ板
24a ブラケット
25 流体圧シリンダ
25a ロッド
26 押付板
27 流体圧シリンダ
27a ロッド
28 連結シャフト
28a 連結具
29 走行モータ
33 昇降台
33a 差込溝
44 押さえ板
44b 通過溝
100 コイルステーション
101 座板
102 サドル
103 流体圧シリンダ
103a ロッド
104 支柱
104a ブラケット
105 支持軸
106 押さえアーム
107 リンクプレート
108 流体圧シリンダ
108a ロッド
112 バンディングスキッド
112a 通過溝
113 駆動装置
113a 支持テーブル
200 ダウンコイラ
201 テンションリール
202 マンドレル
203 ハウジング
204 ユニットフレーム
205 ユニットロール
206 流体圧シリンダ
206a ロッド
207 下ガイドプレート
208 上ガイドプレート
209 リンクプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方を障害物で覆われたダウンコイラのマンドレルに巻き取られたコイルを当該ダウンコイラからコイルステーションまで搬送するコイル搬送装置であって、
前記ダウンコイラと前記コイルステーションとの間を往復移動できるように配設されて前記コイルを昇降可能に支承するコイルカーと、
前記ダウンコイラの近傍の上方と前記コイルステーションの上方との間を往復移動できるように配設されて前記コイルの上部を押さえ付ける押付台車と
を備え、
前記押付台車が、
前記ダウンコイラの近傍の上方と前記コイルステーションの上方との間を往復移動できるように配設された押付台車本体と、
前記押付台車本体の下方側で昇降可能となるように基端側を片持ち支持されて前記ダウンコイラの前記マンドレルの軸方向に沿って長手方向を向けるように配向されると共に当該押付台車本体の当該ダウンコイラ側の端部よりも先端側を突出させるようにオーバハングした押さえ部材と
を備えていることを特徴とするコイル搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコイル搬送装置において、
前記コイルカーが、
前記ダウンコイラと前記コイルステーションとの間を往復移動できるように配設されたコイルカー本体と、
前記コイルカー本体に昇降可能に設けられた昇降台と、
前記ダウンコイラの前記マンドレルの軸心を中心にして対をなすと共に互いの間隔を調整できるように接近離反移動可能となるように前記昇降台上に配設されて前記コイルを支承するコイルカー用コイル支承手段と
を備えていることを特徴とするコイル搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコイル搬送装置において、
前記押付台車が、前記押さえ部材の先端側から基端側へ向って前記コイルに加わる力を当該押さえ部材に伝達するように当該コイルの当該押さえ部材の基端側の端面に対して当接離反可能に設けられた推力伝達手段を備えている
ことを特徴とするコイル搬送装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコイル搬送装置において、
前記押付台車と前記コイルカーとを一体的に移動させるように当該押付台車と当該コイルカーとを着脱可能に連結する連結手段を備えている
ことを特徴とするコイル搬送装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコイル搬送装置において、
前記押付台車の前記押さえ部材の前記コイルとの当接面に、当該コイルをバンディングするバンドを通過させる通過溝が形成されている
ことを特徴とするコイル搬送装置。
【請求項6】
請求項5に記載のコイル搬送装置において、
前記コイルカーの前記昇降台の対をなす前記コイルカー用コイル支承手段の間に、当該コイルカー用コイル支承手段で支承する前記コイルの軸方向に沿って差込溝が形成されている
ことを特徴とするコイル搬送装置。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコイル搬送装置を利用してコイルにバンディングを施すコイルステーションであって、
前記コイル搬送装置で搬送された前記コイルの軸心を中心にして対をなすと共に互いの間隔を調整できるように接近離反移動可能に配設されて当該コイルを支承するコイルステーション用コイル支承手段を備えている
ことを特徴とするコイルステーション。
【請求項8】
請求項7に記載のコイルステーションにおいて、
前記コイルステーション用コイル支承手段に支承された前記コイルの上部を押さえるコイルステーション用コイル押さえ手段を備えている
ことを特徴とするコイルステーション。
【請求項9】
請求項6に記載のコイル搬送装置を利用してコイルにバンディングを施すコイルステーションであって、
前記コイルカーの前記昇降台の前記差込溝に対して先端側が挿抜可能となるように長手方向を水平方向へ向けると共に基端側を昇降可能及び旋回可能に支持されて先端側で前記コイルを支承し且つ当該コイルとの当接面に当該コイルをバンディングするバンドを通過させる通過溝が形成された支承部材を有するコイルステーション用コイル支承手段を備えている
ことを特徴とするコイルステーション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−20761(P2011−20761A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165249(P2009−165249)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(502251784)三菱日立製鉄機械株式会社 (130)
【Fターム(参考)】