説明

コイル梱包装置

【課題】 線材や薄板材を巻いたコイルを梱包するための装置において、コイルを回転させることなく、梱包シート材をコイルの外周に巻き付け、梱包シート材が破れて破損することなのない梱包装置を提供する。
【解決手段】 コイルフックによりコイルの内周部を保持し、コイルの外周部を非接触に保った状態でコイルを回転させることなく、ロータリーバーに誘導されて排出される梱包シート材を、コイルの外周にロータリーバーを回転させ、梱包シート材をコイルの外周に巻き付けて梱包する。また、2枚の梱包シート材の端部を接着して、梱包シート材を拡幅させる機構を備えた梱包シート材供給装置により供給される梱包シート材を、コイルの外周に巻き付けて梱包し、連続的に排出される梱包シート材を、コイルの外周に360°巻き付けて円筒状に形成された後、梱包シート材の端部との重なり部を接着及び切断する機構を装備して梱包することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は線材や薄板材を巻いたコイルを梱包シート材で自動梱包するための装置として利用される。
【背景技術】
【0002】
従来、線材や薄板材を巻いたコイルは梱包シート材等で被覆することなく、コイル状の線材や薄板材を直接結束バンドで結束していたが、保管や運搬時にはコイル同士が接触して損傷し、商品価値が低下することがあった。そのため損傷を防止するために、梱包シート材でコイル全体を覆うように梱包する必要があったが、重量物のコイルは取り扱いが困難なため、人手で行う場合には多大な労力と時間を要していた。
【0003】
このような点に対して、例えば、特開平6−345038号公報には、コイルを回転させつつコイル幅より広い幅を有する梱包シート材でコイルを包み込んむ自動梱包装置が開示されている(特許文献1)。
【特許文献1】 特開平6−345038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1の自動梱包装置は、コイルを回転させつつコイル幅より広い幅を有する梱包シート材でコイルを包み込む方法であるが、線材コイルは重量が重く、またコイルの外径形状は凹凸があるため、線材コイルを回転させた際に、コイルの自重により梱包資材が破損するなどの問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、コイルを回転させることなく、梱包シート材をコイルの外周に巻き付け、梱包シート材が破れて破損することなのない梱包装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
線材や薄板材を巻いたコイルを梱包するための装置において、コイルフックによりコイルの内周部を保持し、コイルの外周部を非接触に保った状態でコイルを回転させることなく、ロータリーバーに誘導されて排出される梱包シート材を、コイルの外周にロータリーバーを回転させ、梱包シート材をコイルの外周に巻き付けて梱包する。また、2枚の梱包シート材の端部を接着して、梱包シート材を拡幅させる機構を備えた梱包シート材供給装置により供給される梱包シート材を、コイルの外周に巻き付けて梱包し、連続的に排出される梱包シート材を、コイルの外周に360°巻き付けて円筒状に形成された後、梱包シート材の端部との重なり部を接着及び切断する機構を装備して梱包することが出来る。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コイルを回転させることなく、梱包シート材をコイルの外周に巻き付け、梱包シート材が破れて破損することなのなく梱包が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に本発明を実施するための最良の形態について、図を参照しつつ説明する。
【0009】
図1及び図2はは本発明に係わる梱包シート巻付け装置の正面断面図及び側面断面図である。中心に開口部を有する円形状の2枚の回転盤1が所定の間隔で、複数の連結バー2により連結され、2枚の回転盤1の周囲には複数のローラー3が、軸受け4を介して支持軸5により保持され、支持軸5は回転盤1の両側に設けられた架台6に取り付けられている。ローラー3の外周は断面が凹形状の溝7を形成し、回転盤1の外周はローラー3の外周の凹形状の溝7部に回転可能な状態で保持されている。
【0010】
2枚の回転盤1の周囲に配置された複数のローラー3の支持軸5のうち、数箇所の支持軸5にはプーリー8が備えられ、それぞれのプーリー8とモータープーリー9にはアイドラー10を介してベルト11が掛けられ、モータープーリー9の回転をベルト11によりプーリー8に伝達し、モータープーリー9の回転によりそれぞれのローラー3が回転し、ローラー3の凹形状の溝7に回転可能に保持された回転盤1が矢印Aの方向に回転する。
【0011】
梱包シート材12の先端を誘導するためのロータリーバー13は、2枚の回転盤1に片持ち保持され、回転盤1の回転によりコイル14の外周を回転移動する。梱包シート材12を把握するためのロータリーバー13は、図3のように断面がV字状に形成され、エアー駆動(図示せず)で開閉(矢印B)させることにより、梱包シート材12の先端を把持するクランプ機構を備えている。
【0012】
梱包シート材12をコイル14外周に巻き付ける際に、コイル14外周を非接触に保った状態でコイル14内径を保持するためのコイルフック15は、2枚の回転盤1の開口部を貫通して配置されている。コイルフック15には図4のように軸方向にラックギヤ16が形成され、モーター17に取り付けられたピニオンギヤ18の正逆回転(矢印C)により、回転盤1の開口部を貫通してコイル14の軸方向に対して前後進移動(矢印D)することにより、コイル14の内径部がコイルフック15で保持される。
【0013】
図5は本発明に係わるコイル14を搬送する台車19の昇降装置20の詳細図である。コイル14をコイルフック15に保持するために、油圧により台車19の昇降装置20が装備され、コイル14は台車19に搭載した状態で梱包シート材12を巻き付ける場所まで搬送され、前記の昇降装置20により台車19を上昇、下降移動(矢印E)させることにより、コイル14をコイルフック15に保持及び離脱させることが出来る。
【0014】
図6及び図7は本発明に係わる梱包シート材12を供給するための装置の上面図及び正面図である。本コイル14を梱包するための梱包シート材12は両端部をコイル14の内径側に折り返すため、コイル14の軸方向に対してコイル14長さの約2倍Fの梱包シート材12が必要となるが、一般的にこのようなサイズの既製シート材がないため、2枚のシート原反21の端部を溶着装置22により接着することによりシート幅を拡幅させて1枚の梱包シート材12にする。梱包シート材12はロール状のシート原反21が上部に配置され、溶着装置22により拡幅されながら下部に設置された巻き付け装置に供給される。
【0015】
図8は本発明に係わる梱包シート材12を接着するための接着装置23の図である。接着剤を噴射するノズル24とコイル14の軸方向にスライド移動する機構を備え、コイル14の外周を360°巻き付けられた梱包シート材12の端部外周に、コイル14の軸方向にスライド移動しながら、ノズル24から接着剤を噴射塗布し、押し付けバー(図示せず)で押し付けて梱包シート材12を円筒状に接着する。
【0016】
図9は本発明に係わる梱包シート材12を切断するための切断装置25の図である。梱包シート材12を切断する円盤状のカッター26とコイル14の軸方向にスライド移動する機構を備え、前記接着装置で円筒状に形成された梱包シート材12を、カッター26を回転させながら、コイル14の軸方向にスライド移動させることにより梱包シート材12を切断し、円筒状の梱包シート材12とシート供給装置から供給された梱包シート材12を分離する。
【0017】
図10から図16は前記梱包装置による梱包工程の図である。図10のようにコイル14を搭載した台車19が巻き付け装置まで搬送され、ロータリーバー13の下方位置まで移動し所定の位置で停車し、台車19は昇降装置20によりコイル14の内径空間部にコイルフック15が挿入可能な高さまで上昇後停止する。次に図11のようにコイルフック15がコイル14の軸方向に対して前進してコイル14の内径空間部に挿入され、台車19の昇降装置20によりコイル14を下降させることにより、コイルフック15がコイル14の内径に接触し、さらに台車19を下降させることによりコイル14の内径部がコイルフック15に保持され、台車19はコイル14から離れる。
【0018】
次に図12のようにシート供給装置から供給された梱包シート材12は、ロータリーバー13のクランプ機構により、ロータリーバー13のV字形状部が開き梱包シート材12の先端を把持し、図13のようにロータリーバー13は梱包シート材12の先端を把持した状態で、モータープーリー9の回転をベルト11によりプーリー8に伝達し、ローラー3が回転することにより、ローラー3に回転可能に保持された回転盤1が回転する。2枚の回転盤1に片持ち保持されたロータリーバー13は、回転盤1の回転によりコイル14の外周を回転移動する。ロータリーバー13がコイル14の外周を360°回転移動することにより、梱包シート材12がコイル14の外周を被覆する。
【0019】
次に図14のように梱包シート材12の重なり部27に前記接着装置23のノズル24から噴射した接着剤が塗布され、押し付けバー(図示せず)により梱包シート材12の接着剤が塗布された部分が接着され、梱包シート材12は円筒状となりコイル14の外周が覆われる。連続した梱包シート材12は円筒状部との境界で前記切断装置25のカッター26で切断され、図15のようにコイル14の外周を包み込む形の円筒状に梱包された状態となる。
【0020】
次に台車19の昇降装置20によりコイル14が上昇し、コイル14の内径部がコイルフック15から離脱した時点で台車19の上昇が停止し、コイルフック15はコイル14の軸方向に対して後退した後、台車19は所定の位置まで降下しコイル14が台車19に搭載され搬送される。次に別工程の装置(図示せず)により、コイル19の両端に突出した梱包シート材12は図16のようにコイル14の内径側に押し込められ、梱包シート材12は結束バンド結束装置(図示せず)で結束バンド28によりコイル14に梱包シート材12が結束されて梱包が完了する。
【0021】
本実施例ではコイル14に対して片側のみに梱包シート材12の巻き付け装置を設置した装置としているが、コイル14の重量が重い場合には、片持ち保持によるコイルフック15では重量に絶えられないため、図17のようにコイル14に対して両側からコイルフック15を挿入して、コイル14を保持することにより、重量物に対しても同様の方法でコイル14に梱包シート材12を巻き付けて梱包することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係わる梱包シート巻付け装置の正面断面図である。
【図2】本発明の係わる梱包シート巻付け装置の側面断面図である。
【図3】本梱包シート巻き付け装置のロータリーバーの詳細図である。
【図4】本梱包シート巻き付け装置のコイルフックの詳細図である。
【図5】本梱包シート巻き付け装置の台車及び昇降装置の詳細図である。
【図6】梱包シート材を供給するための装置の上面図である。
【図7】梱包シート材を供給するための装置の正面図である。
【図8】梱包シート材を接着するための接着装置の詳細図である。
【図9】梱包シート材を切断するための切断装置の詳細図である。
【図10】本梱包シート巻き付け装置での梱包工程の図である。
【図11】本梱包シート巻き付け装置での梱包工程の図である。
【図12】本梱包シート巻き付け装置での梱包工程の図である。
【図13】本梱包シート巻き付け装置での梱包工程の図である。
【図14】本梱包シート巻き付け装置での梱包工程の図である。
【図15】本梱包シート巻き付け装置での梱包工程の図である。
【図16】本梱包シート巻き付け装置での梱包工程の図である。
【図17】本発明の他の実施形態に係る梱包シート巻き付け装置の図である。
【符号の説明】
【0023】
1 回転盤
2 連結バー
3 ローラー
5 支持軸
6 架台
8 プーリー
11 ベルト
12 梱包シート材
13 ロータリーバー
14 コイル
15 コイルフック
19 台車
20 昇降装置
22 溶着装置
23 接着装置
25 切断装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材や薄板材を巻いたコイルを梱包するための装置において、コイルフックによりコイルの内周部を保持し、コイルの外周部を非接触に保った状態でコイルを回転させることなく、ロータリーバーに誘導されて排出される梱包シート材を、コイルの外周にロータリーバーを回転させ、梱包シート材をコイルの外周に巻き付けて梱包するコイル梱包装置。
【請求項2】
2枚の梱包シート材の端部を接着して、梱包シート材を拡幅させる機構を備えた梱包シート材供給装置により供給される梱包シート材を、コイルの外周に巻き付けて梱包する請求項1記載のコイル梱包装置。
【請求項3】
連続的に排出される梱包シート材を、コイルの外周に360°巻き付けて円筒状に形成された後、梱包シート材の端部との重なり部を接着及び切断する機構を装備した請求項1または2記載のコイル梱包装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−326640(P2007−326640A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−187213(P2006−187213)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(506233645)
【Fターム(参考)】