説明

コイル認識装置

【課題】クレーンによりコイルを吊り上げる現場にてコイルの大きさを認識でき、情報管理システムに入力されている情報の誤りによる誤動作を回避できるコイル認識装置を提供する。
【解決手段】コイル認識装置では、コイル荷台1の側方に配置されるセンサ基台30にスキャンセンサ36及び水平距離センサ37が取付けられている。スキャンセンサ36は、コイル2の外周面20までの最短距離を測定し、水平距離センサ37は、コイル荷台1の側面1bまでの水平距離を測定する。演算部38は、スキャンセンサ36及び水平距離センサ37からの信号に基づいて、コイル2の半径を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル認識装置に関し、特に、コイル荷台の側方に配置されるセンサ基台に取付けられたスキャンセンサ及び水平距離センサからの信号に基づいて、コイルの半径rを求めるようにすることで、クレーンによりコイルを吊り上げる現場にてコイルの大きさを認識でき、情報管理システムに入力されている情報の誤りによる誤動作を回避できるようにするための新規な改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、金属帯を加工処理する処理工場には、コイル状に巻き取られた金属帯(コイル)がコイル荷台に積まれた状態で到着する。処理工場に到着したコイルは、クレーンにより吊り上げられて、工場内のコイル置場へと移動される。クレーンによる搬送動作には、コイルの位置及び大きさの情報が必要とされる。
【0003】
このようなコイルに関する情報を得るための装置としては、例えば下記の特許文献1等に示されている構成を挙げることができる。すなわち、従来装置では、コイル荷台の側方にガイドレールが配置されている。ガイドレールには、ガイドレールに沿って走行可能な走行装置が設けられており、この走行装置には、水平距離センサが取付けられている。水平距離センサは、対向する物体までの水平距離を測定するセンサであり、コイルの中心付近高さに配置されている。そして、走行装置の走行に伴って水平距離センサが変位されることで、水平距離センサからの信号に基づいて、ガイドレールの一端を原点とするコイルの位置が検出される。
【0004】
外径や幅等のコイルの大きさの情報は、コイル送出工場にてコイルをコイル荷台に積載する際に作成されて、処理工場に送信される。処理工場では、コイル荷台が到着した際にコイル荷台の照合を行い、到着したコイル荷台に対応する情報を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−278990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような従来のコイル認識装置では、コイル送出工場にて作成された情報に基づいてコイルの大きさを情報管理システムに入力し、処理工場などの後工程において情報管理システムの情報に基づいてコイルサイズを認識するようにしているので、情報管理システムのコイルサイズ情報に間違いがあると、その誤りによる誤動作を回避できない。
ここで誤動作とは、例えば、自動クレーンである場合、コイル外径の情報に間違いがあると、クレーンに取り付けたトングがコイルを吊り上げるために下降し、コイル径情報に基づいて所定の位置で停止した際、トングでコイル内径部の検出が行えずクレーンの自動運転が停止してしまうことなどをいう。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、クレーンによりコイルを吊り上げる現場にてコイルの大きさを認識でき、情報管理システムに入力されている情報の誤りによる誤動作を回避できるコイル認識装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るコイル認識装置は、コイル荷台の上面に載置されたコイルを認識するためのコイル認識装置であって、コイル荷台の側方に配置されるセンサ基台と、コイルの外周面に対向するようにセンサ基台に取付けられたスキャンセンサと、センサ基台に取付けられるとともに、コイル荷台の側面に対向するようにスキャンセンサの下方に配置された水平距離センサと、スキャンセンサ及び水平距離センサに接続された演算部とを備え、スキャンセンサは、コイルの外周面までの最短距離を測定し、水平距離センサは、コイル荷台の側面までの水平距離を測定し、演算部は、スキャンセンサが測定した距離をa、水平距離センサが測定した水平距離にコイル荷台の側面位置からコイルの設置位置までの距離の値を加えた数値をb、コイル荷台の上面位置を基準とするスキャンセンサの高さ位置の値をdとした場合に、以下の式からコイルの半径rを求める
【数1】

ことを特徴とする。
【0009】
また、コイルの軸方向に沿って走行可能にセンサ基台に取付けられた走行体と、演算部に接続された変位量測定センサとをさらに備え、スキャンセンサは、走行体を介してセンサ基台に取付けられており、変位量測定センサは、走行体の走行に伴うスキャンセンサの変位量を演算部に入力し、演算部は、スキャンセンサが軸方向に沿って変位された際のスキャンセンサからの信号に基づいて、スキャンセンサにコイルが対向しているか否かを判定し、コイルが対向していると判定する間のスキャンセンサの変位量に基づいて、軸方向に沿うコイルの幅を求める。
また、変位量測定センサは、所定の基準位置からのスキャンセンサの変位量を演算部に入力し、演算部は、スキャンセンサからの信号と変位量測定センサからの入力とに基づいて、基準位置を基準とするコイルの位置を求める。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコイル認識装置によれば、コイル荷台の側方に配置されるセンサ基台に取付けられたスキャンセンサ及び水平距離センサからの信号に基づいて、コイルの半径rを求めるので、クレーンによりコイルを吊り上げる現場にてコイルの大きさを認識でき、情報管理システムに入力されている情報の誤りによる誤動作を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1によるコイル認識装置により認識されるコイルを示す斜視図である。
【図2】図1のコイルを認識するためのコイル認識装置を示す正面図である。
【図3】図2のコイル認識装置を示す側面図である。
【図4】図3の演算部によって行われるコイルの半径算出の原理を示す説明図である。
【図5】図3のコイル認識装置によるコイル認識動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1によるコイル認識装置により認識されるコイル2を示す斜視図である。図において、コイル荷台1の上面1aには複数のコイル2が載置されている。コイル2は、外周面20と軸端面21とを有する略円筒状のものであり、例えば冷延鋼板等の金属帯がコイル状に巻き取られたものである。各コイル2は、軸端面21が互いに対向する向きで、互いに間隔を置いてコイル荷台1の上面1aに載置されている。すなわち、コイル荷台1の側方から各コイル2を見ると、各コイル2の外周面20が現れている。なお、図1では、2つのコイル2がコイル荷台1に載置されている状態を示しているが、コイル荷台1に載置されるコイル2の数は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0013】
コイル荷台1は、コイル2の軸方向2aに沿って長手状に形成された平板部材であり、例えばコイル搬送用の専用パレット又はトレーラの荷台等により構成される。図示はしないが、コイル荷台1が専用パレットにより構成される場合には、コイル荷台1を支持するための脚部がコイル荷台1の下部に一体に形成される。一方で、コイル荷台1がトレーラの荷台により構成される場合には、コイル荷台1の下部にはトレーラの車体が接続される。
【0014】
次に、図2は図1のコイル2を認識するためのコイル認識装置3を示す正面図であり、図3は図2のコイル認識装置3を示す側面図である。なお、図3では、コイル荷台1がトレーラの荷台により構成された状態を示している。図2及び図3に示すように、コイル認識装置3には、センサ基台30、走行体31、駆動機構32、一対のリミットスイッチ33、変位量測定センサ34、スキャンセンサ36、水平距離センサ37、及び演算部38が設けられている。
【0015】
センサ基台30は、コイル荷台1(図1参照)が搬送されてくる敷地に沿って据え付けられた構造物であり、当該敷地に搬送されてきたコイル荷台1の側方に配置されるように構成されている。また、センサ基台30は、コイル荷台1の上面1aに載置されたコイル2の軸方向2aに沿って長手状に形成されている。センサ基台30の上部には、センサ基台30の長手方向に沿って延びるガイドレール30aが取付けられており、このガイドレール30a上には走行体31が設置されている。走行体31は、ガイドレール30aに沿って走行可能に設けられている。
【0016】
駆動機構32は、走行体31に接続されたチェーン32a、チェーン32aが巻き掛けられた複数の案内車32b、及び駆動ベルト32cを介して案内車32bに接続された駆動モータ32dを有している。駆動モータ32dにより発生された駆動力は、駆動ベルト32c、案内車32b、及びチェーン32aを介して走行体31に伝えられる。すなわち、走行体31は、駆動モータ32dにより発生された駆動力により走行される。
【0017】
リミットスイッチ33は、ガイドレール30aの両端に設置されている。このリミットスイッチ33は、走行体31がガイドレール30aの一端から他端まで走行されたことを検出するためのものである。
【0018】
変位量測定センサ34は、センサ基台30の長手方向に沿うリミットスイッチ33の外方に配置されたセンサ本体34aと、走行体31に取付けられた反射体34bとを有している。センサ本体34aは、反射体34bに向けて光又は超音波を発信するとともに、反射体34bからの反射波を受信し、これら発信及び受信間の時間に基づいてセンサ本体34aから反射体34bまでの距離を求める。すなわち、変位量測定センサ34は、所定の基準位置35(センサ本体34aの設置位置)からの走行体31の変位量を測定するためのセンサである。
【0019】
走行体31には、ガイドレール30a上に配置された支持板部31aと、支持板部31aから下方に向けて延出された腕部31bとが設けられている。支持板部31aには、前述の反射体34bとスキャンセンサ36とが取付けられており、腕部31bには水平距離センサ37が取付けられている。すなわち、反射体34b、スキャンセンサ36、及び水平距離センサ37は、走行体31を介してセンサ基台30に取付けられており、一体に変位可能に構成されている。
【0020】
スキャンセンサ36は、コイル2の外周面20に対向するように配置されている。このスキャンセンサ36は、コイル2の軸方向2aと略平行な軸を中心に光又は超音波(スキャン波)を走査することにより、コイル2の外周面20までの最短距離を測定するものである。なお、コイル2の外周面20までの最短距離は、スキャンセンサ36の設置位置とコイル2の軸中心とを通る直線におけるスキャンセンサ36と外周面20との間の距離である。
【0021】
水平距離センサ37は、コイル荷台1の側面1bに対向するようにスキャンセンサ36の下方に配置されており、コイル荷台1の側面1bに向けて水平方向に沿って光又は超音波を発信することで、コイル荷台1の側面1bまでの水平距離を測定するものである。
【0022】
図では接続線を一部しか示していないが、演算部38は、リミットスイッチ33、変位量測定センサ34、スキャンセンサ36、及び水平距離センサ37に接続されている。この演算部38は、プログラム等の情報を格納する記憶手段と、記憶手段の情報に基づいて演算を行う演算手段(CPU)とを含むコンピュータであり、上述のスキャンセンサ36等からの信号に基づいてコイル2の半径、軸方向2aに沿うコイル2の幅、及び基準位置35を基準としたコイル2の位置を求める(認識する)。演算部38によって求められたコイル2の半径等は、コイル2を吊り上げるためのクレーン(図示せず)の動作制御に用いられる。
【0023】
次に、図4は、図3の演算部38によって行われるコイル2の半径算出の原理を示す説明図である。図において、Z軸は、スキャンセンサ36の設置位置を基準とする水平方向に沿う軸であり、Y軸は、コイル荷台1の上面1aの高さ位置を基準とする高さ方向に沿う軸である。このようなZ−Y軸の平面空間において、スキャンセンサ36の座標を(0,d)とし、コイル2の軸中心の座標を(b,r)としている。すなわち、コイル荷台1の上面位置を基準とするスキャンセンサ36の高さ位置をdとし、スキャンセンサ36の設置位置からコイル2の設置位置までの距離をbとし、コイル2の半径をrとしている。また、スキャンセンサ36から最も近いコイル2の外周面20の座標を(z1,y1)とし、スキャンセンサ36から座標(z1,y1)までの距離(スキャンセンサ36により測定される最短距離)をaとしている。
【0024】
ここで、スキャンセンサ36とコイル2の軸中心とを通過する直線と、スキャンセンサ36の高さ位置を通過する水平方向に沿う直線との間の角度をθとすると、cosθ及びsinθは以下のように表すことができる。
cosθ=z1/a=b/(a+r)
sinθ=(y1−d)/a=(r−d)/(a+r)
【0025】
これらcosθ及びsinθをcosθ+sinθ=1に代入すると、以下の式を得ることができる。
+(r−d)=(a+r) ・・・式(1)
【0026】
この式(1)をrについて整理すると、以下の式を得ることができる。演算部38は、この式に基づいてコイル2の半径rを求める。
【数2】

【0027】
なお、上記の式におけるbは、水平距離センサ37が測定した水平距離cにコイル荷台1の側面位置からコイル2の設置位置までの距離eの値を加えることで得ることができる。距離eの値としては、例えばコイル荷台1の幅の半分等の演算部38に予め記憶させた値を用いることができる。
また、上記の式におけるd(コイル荷台1の上面位置を基準とするスキャンセンサ36の高さ位置の値)としては、コイル荷台1の上面位置と水平距離センサ37の高さ位置との差が大きくないことを考慮して、水平距離センサ37とスキャンセンサ36との間の高さの差分値(演算部38に予め記憶させた値)を用いることができる。このように、水平距離センサ37とスキャンセンサ36との間の高さの差分値をdとして用いても、コイル2を吊り上げるためのクレーンの動作をコイル2の半径rに基づいて制御する用途には十分な精度を確保できる。なお、スキャンセンサ36の高さ位置を他のセンサにより測定した値をdとすることもできる。
【0028】
また、上記の半径rの式において、d=0の場合には、r=(b−a)/2aと整理することもできる。また、当然のことながら、クレーンの動作制御にコイル2の直径(外径)hを用いる場合には、h=2rにより直径を求めることもできる。
【0029】
次に、図5は、図3のコイル認識装置3によるコイル認識動作を示すフローチャートである。図において、コイル2が載置されたコイル荷台1がセンサ基台30の側方に搬送された後に、オペレータによりコイル認識動作の開始操作が行われると、ガイドレール30aの一端からの走行体31の走行が開始される(ステップS1)。すなわち、反射体34b、スキャンセンサ36、及び水平距離センサ37がコイル2の軸方向2aに沿って一体に変位され始める。
【0030】
走行体31の走行が開始されると、変位量測定センサ34によるスキャンセンサ36の変位量測定と、スキャンセンサ36によるコイル2の外周面20までの最短距離測定と、水平距離センサ37によるコイル荷台1の側面1bまでの水平距離測定とが実施される(ステップS2)。これら各センサ34,36,37からの信号は、演算部38に蓄積される。この測定動作は、ガイドレール30aの他端に配置されたリミットスイッチ33がONされるまで実施され(ステップS3)、リミットスイッチ33がONされると走行体31の走行が終了される(ステップS4)。
【0031】
走行体31の走行が終了されると、演算部38に蓄積された情報に基づく演算部38の演算動作が実施される(ステップS5)。この演算動作では、コイル2の半径r、軸方向2aに沿うコイル2の幅、及び基準位置35を基準としたコイル2の位置が求められる。コイル2の半径rの算出は、図4を用いて説明した原理に基づくものである。
【0032】
コイル2の幅は、以下のように求められる。すなわち、演算部38は、スキャンセンサ36が軸方向2aに沿って変位された際のスキャンセンサ36からの信号に基づいて、スキャンセンサ36にコイル2が対向しているか否かを判定し、コイル2が対向していると判定する間のスキャンセンサ36の変位量に基づいて、軸方向2aに沿うコイル2の幅を求める。なお、演算部38は、スキャンセンサ36が測定する距離が所定の閾値よりも大きい状態が、予め設定された変位量以上続いた場合に、スキャンセンサ36にコイル2が対向していないと判定する。これは、測定距離が閾値よりも大きい状態が維持される変位量が設定変位量未満の場合は、スキャンセンサ36がコイル2に対向しているにも拘わらず、スキャンセンサ36のスキャン波がコイル2から一時的に外れたものと考えられるためである。
【0033】
一方で、コイル2の位置は、以下のように求められる。すなわち、演算部38は、スキャンセンサ36からの信号と変位量測定センサ34からの入力とに基づいて、コイル2の位置を求める。より具体的には、スキャンセンサ36からの信号に基づいて、スキャンセンサ36にコイル2が対向しているか否かを判定し、スキャンセンサ36にコイル2が対向していると判定する位置と、及びスキャンセンサ36にコイル2が対向していないと判定する位置とを求める。
【0034】
演算部38の演算動作が終了されると、図5のコイル認識動作が終了される。このコイル認識動作により認識されたコイル2の半径、幅、及び位置は、コイル2を吊り上げるためのクレーンの動作制御に利用される。また、認識された情報は、例えばコイル送出工場にて作成された情報が入力されている情報管理システムの情報と照合される。このとき、情報管理システムの情報と認識された情報とが一致しない場合には、情報管理システムの情報が現場にて認識された情報に上書きされる。
【0035】
このようなコイル認識装置3では、コイル荷台1の側方に配置されるセンサ基台30に取付けられたスキャンセンサ36及び水平距離センサ37からの信号に基づいて、コイル2の半径rを求めるので、クレーンによりコイル2を吊り上げる現場にてコイル2の大きさを認識でき、情報管理システムに入力されている情報の誤りによる誤動作を回避できる。
【0036】
また、演算部38は、スキャンセンサ36が軸方向2aに沿って変位された際のスキャンセンサ36からの信号に基づいて、スキャンセンサ36にコイル2が対向しているか否かを判定し、コイル2が対向していると判定する間のスキャンセンサ36の変位量に基づいて、軸方向2aに沿うコイル2の幅を求めるので、コイル2の半径rとともにコイル2の幅もクレーンの動作制御に利用でき、クレーンの動作制御の信頼性を向上できる。
【0037】
さらに、演算部38は、スキャンセンサ36からの信号と変位量測定センサ34からの入力とに基づいて、基準位置35を基準とするコイル2の位置を求めるので、コイル2の半径rとともにコイル2の位置もクレーンの動作制御に利用でき、クレーンの動作制御の信頼性を向上できる。
【0038】
なお、実施の形態では、センサ本体34aと反射体34bとにより変位量測定センサ34を構成するように説明したが、変位量測定センサの構成はこれに限定されず、例えば駆動モータの回転量を検出するエンコーダ等の他のセンサにより変位量測定センサを構成してもよい。また、コイル2の位置を認識せずに、コイル2の半径及び幅のみを認識すればよい場合には、変位量測定センサとしてインクリメント型のエンコーダ等も使用できる。
【0039】
また、実施の形態では、コイル2の幅及び位置を求めるために、走行体31を介してセンサ基台30にスキャンセンサ36を取付けて、スキャンセンサ36の変位量を変位量測定センサ34により測定するようにしているが、コイルの半径のみの認識でよい場合には、これら走行体及び変位量測定センサを省略してもよい。すなわち、センサ基台に直接取付けられたスキャンセンサにより、コイルの幅のみを認識するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 コイル荷台
1a 上面
1b 側面
2 コイル
2a 軸方向
20 外周面
3 コイル認識装置
30 センサ基台
31 走行体
34 変位量測定センサ
35 基準位置
36 スキャンセンサ
37 水平距離センサ
38 演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル荷台(1)の上面(1a)に載置されたコイル(2)を認識するためのコイル認識装置であって、
前記コイル荷台(1)の側方に配置されるセンサ基台(30)と、
前記コイル(2)の外周面(20)に対向するように前記センサ基台(30)に取付けられたスキャンセンサ(36)と、
前記センサ基台(30)に取付けられるとともに、前記コイル荷台(1)の側面(1b)に対向するように前記スキャンセンサ(36)の下方に配置された水平距離センサ(37)と、
前記スキャンセンサ(36)及び前記水平距離センサ(37)に接続された演算部(38)と
を備え、
前記スキャンセンサ(36)は、前記コイル(2)の外周面(20)までの最短距離を測定し、
前記水平距離センサ(37)は、前記コイル荷台(1)の側面(1b)までの水平距離を測定し、
前記演算部(38)は、前記スキャンセンサ(36)が測定した距離をa、前記水平距離センサ(37)が測定した水平距離に前記コイル荷台(1)の側面位置から前記コイル(2)の設置位置までの距離の値を加えた数値をb、前記コイル荷台(1)の上面位置を基準とする前記スキャンセンサ(36)の高さ位置の値をdとした場合に、以下の式から前記コイル(2)の半径rを求める
【数1】

ことを特徴とするコイル認識装置。
【請求項2】
前記コイル(2)の軸方向(2a)に沿って走行可能に前記センサ基台(30)に取付けられた走行体(31)と、
前記演算部(38)に接続された変位量測定センサ(34)と
をさらに備え、
前記スキャンセンサ(36)は、前記走行体(31)を介して前記センサ基台(30)に取付けられており、
前記変位量測定センサ(34)は、前記走行体(31)の走行に伴う前記スキャンセンサ(36)の変位量を前記演算部(38)に入力し、
前記演算部(38)は、前記スキャンセンサ(36)が前記軸方向(2a)に沿って変位された際の前記スキャンセンサ(36)からの信号に基づいて、前記スキャンセンサ(36)に前記コイル(2)が対向しているか否かを判定し、前記コイル(2)が対向していると判定する間の前記スキャンセンサ(36)の変位量に基づいて、前記軸方向(2a)に沿う前記コイル(2)の幅を求めることを特徴とする請求項1記載のコイル認識装置。
【請求項3】
前記変位量測定センサ(34)は、所定の基準位置(35)からの前記スキャンセンサ(36)の変位量を前記演算部(38)に入力し、
前記演算部(38)は、前記スキャンセンサ(36)からの信号と前記変位量測定センサ(34)からの入力とに基づいて、前記基準位置(35)を基準とする前記コイル(2)の位置を求めることを特徴とする請求項2記載のコイル認識装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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