説明

コイン精米機用石抜き装置の石屑米排出制御方法

【課題】石抜き装置において精米量に見合った石屑米を排出する。
【解決手段】投入口ホッパ12に投入された玄米が玄米搬送装置13、石抜き装置15、昇降機14、精米装置17を経て白米タンク19に供給され、これら機器が料金投入口11bに投入された利用料金に見合った駆動時間を上限として制御装置11によって制御されるコイン精米機1において、石抜き装置15では、玄米を傾斜する選別板52の下部に移動させながら、玄米中に含まれる石屑を主に選別板52の上部に集めるという比重選別による選別作業を行い、制御装置11で設定された石屑米排出時間に排出動作を行うことによって、石屑と玄米とが混在している石屑米を選別板52の上部から排出し、選別作業の最後に残留米の搬送動作を行うことによって、選別板52上の残留米を昇降機14を経て最終的には精米装置17に搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用客が玄米を持ち込み、利用料金を投入して希望する精白度合いで精白するコイン精米機において、石抜き装置で行われる石屑米の排出を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、お米の生産地だけでなく、消費地である大都市にコイン精米機が設置されるケースが増えてきている。また、近年の健康食ブームの影響から米糠の栄養素を残した精米、いわゆる「ぶづき米(ぶつき米とも言う。)」を好む利用客も増えてきている。このような背景からコイン精米機では、従来の「7ぶづき」、「標準」、「上白」、「無洗米」の一般的な精白度合いでの精米が可能な機種ばかりではなく、「1ぶづき」、「3ぶづき」、「5ぶづき」等の低い精白度合いでの精米も可能な機種も出回っている。
【0003】
精白度合いは、精米前の玄米と精米後の白米の重量比、いわゆる精米歩留まりを基準にして表すことが一般的に知られている。玄米表面の糠層とそれに続く胚乳部(でんぷん質)の一部が精米によって取り除かれ、取り除かれる重量が多いほど精白度合いが高い(白い)白米になる。前記した「1ぶづき」から「無洗米」までの各精白度合いの場合に精米歩留まりは、数式(白米重量÷玄米重量×100= %)を用いて、以下の表1のように表される。
【表1】

【0004】
ところで、近年、コイン精米機で精米される玄米の量が従来よりも減少する傾向にある。具体的に言えば、1回当りに精米される玄米の量(精米量)が従来一番多かった30kgから、10kgや5kg、或いはコイン精米機の最低精米量に近い2〜3kg等が増える傾向にある。その理由としては、以下の(1)、(2)の理由が考えられる。
(1)大都市では生産地に比べて核家族化が進んでおり、家族の構成人数が少なく、精米後の鮮度を保つため、一度に沢山の精米をしなくなった。
(2)健康志向のぶづき米は、栄養素が多い糠層を残した精米であるが反面、糠の油脂分がお米の表面に残っていて、米の酸化が早い欠点がある。そのため、利用客は、1回当りの精米量を従来よりも少なくしている。
【0005】
このように1回当たりの精米量が減少すると、希望した精白度合いに対して歩留まりが悪化するという今まででは見られなかった新たな問題が生じてきた。というのも、玄米には石屑が混入しているので、石屑を除去するためにコイン精米機には石抜き装置が組み込まれている。そして、石抜き装置では、玄米と石屑を比重差で選別している。比重差で選り分けた石屑の中には少量の玄米も含まれており、一緒になった石屑と少量の玄米(「石屑米」と言う。)を石抜き装置の外部に排出している。具体的には、特許文献1に記載してあるように、投入口ホッパが空になってから、所定時間経過後の選別作業の終了前に石抜き装置の排出ゲートを開いて石屑米を排出し、その後、選別板上に残っている残留米を排出している。排出ゲートの下流側には切換シャッターが設けられており、石屑米が排出されている間は、切換シャッターを石屑米回収位置に保持し、残留米が排出されている間は、切換シャッターを残留米回収経路側(昇降機側)に保持している。従って、排出ゲートを開いてから切換シャッターを残米回収経路側に切り換えるまでの時間(石屑米回収時間)だけ、石屑米が回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−102723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の石抜き装置では、石屑米回収時間が精米量に関係なく常に一定時間、即ち固定値であった。この固定値は、1回当りの精米で精米される一般的な精米量(袋に入った30kgの玄米)を想定して定められた値である。石屑米回収時間の一例としては、4秒であり、この間に約120gの石屑米を排出することを想定している。精米量30kgに対して約120gの石屑米は、0.4%であり、この程度であれば、石屑米の排出量は精米歩留まりに対して殆ど影響を与えない。
【0008】
ところが、想定よりも少ない精米量、例えば2〜3kgの精米量の場合にも、一定時間だけ石屑米を回収するので、この場合にも約120gの石屑米を排出することになる。そうすると、精米量に対する石屑米の割合は、4〜6%となり、精米歩留まりに対する影響が大きくなる。特に精白度合いが低いほど、本来、除去される糠層の量は少ないはずなので、常に120g分石屑米として排出されると、精米後の白米の量が極端に減っていることに利用客が気づくことになる。なお、玄米中に混入している石屑の割合は、玄米量に関係なく普通一定であるので、精米量が少量であるにも関わらず一定時間だけ石屑米を回収すれば、石屑米に含まれる玄米量の割合が増えることになる。
【0009】
ここまでは、精米量が想定よりも少ない場合の問題点を指摘したが、精米量が想定よりも多い場合にも別の問題点があることに本発明者は気付いた。つまり、コイン精米機を1回使用するに当たって何袋分も精米した場合でも、石抜き装置では選別作業の終了前に一定時間、石屑米を回収することが行われる。そうすると、精米量が大量となり、それに伴って選別板上に溜まった石屑の量が多くなるので、一定時間の石屑米の回収では、石屑が十分に排出されないことになり、白米に石屑が混入する量が増えることになる。
【0010】
本発明は、上記実情を考慮したもので、石抜き装置において精米量に見合った石屑米を排出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、投入口ホッパに投入された玄米が玄米搬送装置、石抜き装置、昇降機、精米装置を経て白米タンクに供給され、これら機器が料金投入口に投入された利用料金に見合った駆動時間を上限として制御装置によって制御されるコイン精米機において、石抜き装置では、玄米を傾斜する選別板の下部に移動させながら、玄米中に含まれる石屑を主に選別板の上部に集めるという比重選別による選別作業を行い、制御装置で設定された石屑米排出時間に排出動作を行うことによって、石屑と玄米とが混在している石屑米を選別板の上部から排出し、選別作業の最後に残留米の搬送動作を行うことによって、選別板上の残留米を昇降機を経て最終的には精米装置に搬送する石抜き装置の石屑米排出制御方法を前提とする。
【0012】
そして、本発明は、投入口ホッパに投入された玄米の取込量に応じて、石屑米排出時間を決定することを特徴とする。
【0013】
また、玄米の取込量を決定する仕方は、問わず、例えば重量、容量、又はこれらと相関関係のあるもので把握することができる。取込量を簡易に把握するには、次のようにすることが望ましい。すなわち、投入口ホッパに玄米が有る状態から玄米が無くなるまでの間に、玄米搬送装置を駆動させた玄米取込時間を計測し、玄米取込時間に応じて石屑米排出時間を決定するものである。
【0014】
更に、最低利用料金に見合った駆動時間と、玄米取込時間との関係は問わない。しかし、投入する玄米の量と、精米後の白米の量との関係、つまり精米歩留まりが、利用客に目立つのは、精米量が少ない場合である。このような場合に特に有効なものとしては、次のようにすることが望ましい。すなわち、最低利用料金に見合った駆動時間よりも玄米取込時間が短いことにより、最低利用料金に見合った精米可能な玄米量よりも投入口ホッパに投入された玄米量が少ない場合に、玄米取込時間に応じて石屑米排出時間を決定することである。
【0015】
更に、石抜き装置による石屑米の排出動作を行う回数は、問わず、例えば、玄米取込時間に応じた石屑米排出時間の分だけを、複数回に分けて排出動作を行っても良い。また、石抜き装置を通過したにも関わらず、石屑が玄米に混入している可能性も僅かにある。このような可能性をできるだけ無くすには、定期的に排出動作を行うことが望ましい。
すなわち、計測の開始から玄米取込時間が一定の玄米取込量を想定した規定時間に達する迄に投入口ホッパに玄米が無くなったときには、玄米取込時間に応じて石屑米排出時間を決定すると共に、石抜き装置による選別作業の終了前に石屑米の排出動作と残留米の搬送動作を順次行い、計測の開始から玄米取込時間が規定時間に達した場合に投入口ホッパに玄米が残っているときには、規定時間に達する毎に規定時間に応じて石屑米排出時間を決定すると共に、石抜き装置による選別作業の途中に石屑米の排出動作を行い、石屑米の排出動作後の玄米取込時間が規定時間に達する迄に投入口ホッパに玄米が無くなっているときには、その玄米取込時間に応じて石屑米排出時間を決定すると共に、石抜き装置による選別作業の終了前に石屑米の排出動作と残留米の搬出動作を順次行うことである。
【0016】
最低利用料金で精米することのできる玄米量と、規定時間で取り込むことのできる玄米量との関係は問わない。しかし、投入ホッパに投入される玄米の量は、最低利用料金に見合った量よりも少ない場合よりも、最低利用料金よりも多量である場合の方が、コイン精米機の使用頻度としては、実情に即している。従って、実情に合わせるには、次のようにすることが望ましい。すなわち、最低利用料金で精米することのできる玄米量よりも、規定時間で取り込むことのできる玄米量の方が多くなるように、最低利用料金と規定時間を定めてあることである。
【0017】
また、より実情に合わせるには次のようにすることが望ましい。すなわち、最低利用料金が10kgの玄米を精米するのに要する料金であり、規定時間が30kgの玄米を取り込むのに要する時間であることである。
【0018】
投入する玄米の量と、精米後の白米の量との関係、つまり精米歩留まりが、利用客に目立つのは、精米量が少ない場合ばかりでなく、特に精白度合いの低い精米をコイン精米機に行わせる場合である。従って、精米歩留まりが気になる精白度合いの場合に、玄米の取込量に応じて石屑米排出時間を決定する制御方法は有用である。その場合とは、すなわち、コイン精米機は7ぶづきよりも精白度合いの低い精米が可能なものである。
【0019】
また、石屑米排出時間の設定を容易に行えることが望ましく、それには次のようにする。すなわち、コイン精米機は、石屑米排出時間を設定可能な設定器を備えるものであり、規定時間に応じた石屑米排出時間は、設定器によって設定可能な基準排出時間であり、規定時間以外の玄米取込時間に応じた石屑米排出時間は、設定器によって設定不能な減算時間を、基準排出時間から差し引いた時間であるものである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、投入口ホッパに投入された玄米の取込量に応じて石屑米排出時間を決定するので、従来に比べれば、石抜き装置において精米量に見合った石屑米を排出することが可能となり、最終的な精米歩留まりが精白度合いに見合ったものとなる。
【0021】
また、請求項2に記載の発明によれば、玄米の取込量と相関関係のある玄米取込時間に応じて石屑米排出時間を決定するので、玄米の取込量を簡易に把握することができる。特に請求項3に記載の発明によれば、最低利用料金に見合った精米可能な玄米量よりも投入口ホッパに投入された玄米量が少ない場合、すなわち精米量が非常に少ない場合にでも、石抜き装置において精米量に見合った石屑米を排出することが可能となり、従来に比べて、精米歩留まりが向上する。
【0022】
更に、請求項4に記載の発明によれば、玄米取込時間が規定時間に達する毎に、石抜き装置による石屑米の排出動作が行われるので、多量に精米した場合でも精米後に石屑が混入する可能性が低くなる。また、玄米取込時間が規定時間に満たない少量の精米をした場合にでも、玄米の取込量に応じた石屑排出時間を決定して石屑米の排出動作が行われるので、精米歩留まりが精白度合いに見合ったものとなる。
【0023】
また、請求項5に記載の発明によれば、7ぶづきよりも精白度合いの低い精米が可能なコイン精米機であるので、精白度合いの低い精米をコイン精米機に少量行わせる場合であっても、従来に比べて、石抜き装置において精米量に見合った石屑米を排出することが可能となり、精米歩留まりが向上する。
【0024】
更に、請求項6に記載の発明によれば、石屑米排出時間の設定を変更する場合には、基準排出時間を設定するだけで良く、規定時間以外の玄米取込時間に応じた石屑米排出時間が基準排出時間によって自動的に定まるので、コイン精米機の管理者が石屑米排出時間の設定を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】コイン精米機の精米手順を側面から示す説明図である。
【図2】コイン精米機の機器の配置具合を示す平面図である。
【図3】客室側から見た機械室の正面図である。
【図4】制御装置の操作盤を示す正面図である。
【図5】石抜き装置の概略を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1〜図4に基づいてこのコイン精米機1の概要を説明する。このコイン精米機1は、建屋2内に設置されるもので、建屋2内が客室3と機械室4と糠室5に前後の仕切板6a、6bによって仕切られている。より詳しく言えば、前側の仕切板6aは、図3の例では矩形の開口部6cが設けられており、この開口部6cをコイン精米機1の正面側を構成する正面パネル7が主体となって塞いでいる。
【0027】
機械室4は、その内部には精米処理するための機器の大半、つまりコイン精米機1の大半が組み込まれている。図示の例では、投入口ホッパ12、玄米搬送装置13、一番昇降機14、石抜き装置15、二番昇降機16、精米装置17、並びにこれら機器の動作を自動制御する制御装置11が正面パネル7の後側に組み込まれている。また、糠用サイクロン18は糠室5に設けられている。
【0028】
客室3は、正面(図2の下側)に出入口3a、並びに出入口3aを開閉する引戸3bを備えている。引戸3bをあけて客室3の中に入ると、正面には機械室4の正面パネル7が配置されている。正面パネル7の前面側には、操作盤11aが設けられている。操作盤11aは、図4に示すように、制御装置11の前面部を構成しており、料金投入口としてのコイン投入口11b、精白度合いの異なる複数の白度ボタン11c、液晶表示器11d、スピーカー11eが設けられている。液晶表示器11dは、精米の利用時に利用料金の受付枚数の表示や、その時々の操作方法の表示を行うほか、故障診断や運転履歴などのメンテナンス情報を表示することも可能である。その他に、液晶表示器11dは、タッチパネルを用いた設定器でもあり、各種の設定画面を呼び出すことによって各種のデータを設定可能としてある。制御装置11は、主に操作盤11aに対して操作がなされると、その操作に基づいて各種の機器に対し制御信号を出力するもので、その制御信号に基づいて各種の機器が駆動する。
【0029】
また、操作盤11aの他に、正面パネル7の前面側には玄米投入口7a、白米タンク19が左右に間隔をあけて設けられている。図3の例では、白米タンク19が正面パネル7の左側の高さ中間部に配置され、玄米投入口7aが正面パネル7の幅中央部の高さ中間部に形成されている。また、玄米投入口7aは、正面に向かって開口する状態となっており、玄米投入口7aよりも下側において正面パネル7から玄米載せ台7bが手前に突出する状態で設けられている。
【0030】
この玄米投入口7aの奥には、玄米投入空間7cが形成されている。玄米投入空間7cは自動扉31を開くことによって形成されるものであって、その下に投入口ホッパ12が配置されている。投入口ホッパ12は、下方に向けて尻窄みとなる漏斗形状のホッパ本体12aを主体とし、ホッパ本体12aの上部に、玄米を通過させる金網12bが張られている。また、ホッパ本体12aには、より詳しく言えばホッパ本体12aの下部には、玄米を検知する玄米センサ12cが設けられている。また、ホッパ本体12aの底部には、玄米搬送装置13が連通して設けられている。通常であれば、利用料金投入後に、静電容量式の玄米センサ12cが玄米を検知すると、その検知信号(玄米有り信号)を受けて制御装置11は、その後に白度ボタン11cが押された場合に、玄米搬送装置13、一番昇降機14、石抜き装置15、二番昇降機16を、利用料金に見合った駆動時間だけ、駆動させる。一方、利用料金に見合った駆動時間中であっても、玄米が無くなると、玄米センサ12cからの玄米無し信号を受けて制御装置11は、設定期間経過後に玄米搬送装置13、一番昇降機14、石抜き装置15を順次停止させる。
【0031】
玄米搬送装置13は、搬送バルブ13aをケーシング13b内に収容し、搬送バルブ13aを図示しないモータで一方向に回転させるものである。搬送バルブ13aは、回転軸を中心にして複数枚の羽根が放射状に突出するもので、隣り合う二枚の羽根で区画された領域に定量の玄米が収容される。一定速度で回転する搬送バルブ13aから定量毎の玄米が排出され、一番昇降機14の下部の受入口14aに送り込まれる。
【0032】
一番昇降機14は、玄米を上昇させるもので、バケットコンベヤからなる昇降機が用いられる。バケットコンベヤの駆動によって、下部の受入口14aに投入された玄米をバケットで上方に搬送し、上部の吐出し口14bから石抜き装置15の石抜きホッパ51に排出する。
【0033】
石抜き装置15は図5に示すように、上部に石抜きホッパ51を備えると共に、石抜きホッパ51の下方に玄米と石屑を選別する選別板52を、水平状態を基準として高さ方向に僅かに傾斜させて配置してある。より詳しく言えば、選別板52の傾斜方向全長の中間部に相当する位置の真上に石抜きホッパ51の排出口が位置している。この選別板52には伝達機構53を介在してモータ54が連結されている。そして、モータ54の回転運動が伝達機構53によって、選別板52を傾斜したまま揺する運動に変換される。また、選別板52は、多数の孔(図示省略)が全面に形成されている。そして、この孔は、傾斜する選別板52上を玄米等が滑り落ちるのを阻止するために、孔の周囲の下側に相当する部分を斜めに切り起こす状態に形成されている。また、この孔を風が下方から上方に向かって通り抜けるように、選別板52の下方にはファン55が配置されており、ファン55の下側から選別板52の下方を囲む状態でファンケーシング56が設けられている。このファン55には、前記伝達機構53の一部が連結しており、モータ54によってファン55を回転させるようになっている。
【0034】
つまり、石抜き装置15では、選別板52が揺すられながら、ファン55からの風を孔から通過させることによって、玄米と石屑の比重差が作用し、石屑が沈み、玄米が石屑の上に浮くことになる。そして、石屑は、揺すられているうちに、傾斜した選別板52上の上端に向かって移動していく。また、上に浮いた玄米は、続々と供給される玄米によって押されて下方に流されていき、二番昇降機16の受入口16aに送り込まれる。
【0035】
また、石抜き装置15は、選別板52の上端には、石屑の排出口57が形成されており、排出口57には第1の切換シャッター58が設けられている。第1の切換シャッター58は排出口57を開閉可能なもので、図示の例では、上端部をピン58aで水平に軸支され、それによって揺動可能に支持されている。また、第1の切換シャッター58には、図示しないが、スプリング等のバネ材が連結されており、バネ材の弾性力によって通常、排出口57を塞ぐ位置に第1の切換シャッター58を保持している。更に、第1の切換シャッター58のピン58aは、アクチュエータとしての第1の電磁切換弁58bに連結されており、第1の電磁切換弁58bをON/OFFすることにより、第1の切換シャッター58の開閉状態を切り換える。より詳しく言えば、第1の電磁切換弁58bの通常状態(OFF状態)では、バネ材の弾性力によって第1の切換シャッター58が閉鎖状態に保持され、石屑は選別板52上からの落下を阻止される。第1の電磁切換弁58bのON状態ではバネ材の弾性力に逆らって第1の切換シャッター58がピン58aを支点として開放方向に回って開放状態に保持される。すると、選別板52の揺れとファン55の作用によって、石屑が選別板52の上端よりも上に向かって移動して、石屑は、選別板52上から落下する。
【0036】
また、第1の切換シャッター58の下流側には、流路を切り換える第2の切換シャッター59が設けられている。第2の切換シャッター59も第1の切換シャッター58と同様の開閉可能(揺動可能)な構造であり、第2の電磁切換弁59bをON/OFFすることにより、第2の切換シャッター59の二次側の流路を切り換える。より詳しく言えば、第2の電磁切換弁59bの通常状態(OFFの状態)では、バネ材の弾性力によって第2の切換シャッター59が石屑米を回収ケース21に案内する位置に保持されている。従って、第1の切換シャッター58から落下した石屑米は、第2の切換シャッター59が通常状態であると、回収ケース21にそのまま回収される。これが石屑米の排出動作である。
【0037】
一方、石抜き装置15が停止する前、すなわち石抜き装置15の選別作業の終了直前には、石屑米の排出動作の後に残留米の搬送動作が行われる。第2の電磁切換弁59bがONの状態になると、バネ材の弾性力に逆らって第2の切換シャッター59は、ピン59aを支点として回って、選別板52上に残った残留米を二番昇降機16に案内する位置に保持される。従って、第1の切換シャッター58から落下した残留米は、二番昇降機16に供給される。これが残留米の搬送動作である。石抜き装置15の選別作業の終了直前には、石屑米の排出動作の後に、残留米の搬送動作が常に行われる。
【0038】
これら二つの電磁切換弁58b、59bのON/OFF動作が、制御装置11によって制御される。そして、第1の電磁切換弁58bをONしてから、第2の電磁切換弁59bをONするまでの時間、つまり、第1の切換シャッター58を開放してから、第2の切換シャッター59を二番昇降機16側に切り換えるまでの時間が、石屑米排出時間となる。この石屑米排出時間は、制御装置11に設定されており、玄米の取込量に応じた値となっている。
【0039】
二番昇降機16は、一番昇降機14と同様の構造であって、バケットコンベヤの駆動によって、玄米を高い位置まで上昇させてから、精米装置17に供給する。
【0040】
精米装置17は、精米ホッパ17aの上部にはオーバーフローセンサ17bを、下部には玄米センサ17cを設けてある。玄米センサ17cが玄米を検知すると、その検知信号を受けて制御装置11が精米装置17を駆動させる。また、オーバーフローセンサ17bが玄米を検知すると、その検知信号を受けて制御装置11が現在駆動している機器、例えば玄米搬送装置13を停止させ、オーバーフローセンサ17bが玄米を検出しなくなると、そのオーバーフロー無し信号を受けて制御装置11が停止させた機器を駆動させる。また、玄米がなくなると、玄米センサ17cからの玄米無し信号を受けて制御装置11は、設定期間経過後に精米装置17を停止させる。
【0041】
また、精米装置17は、前記した精米ホッパ17aの下方には、多角筒形の精白室17dが配置されており、玄米が供給された精白室17d内で図示しない精白ロールをモータで回転させると、摩擦抵抗によって糠が擦り取られる。そして、精白室17dの下方に配置した除糠ファン17eによる吸引によって糠を回収しつつ、白米を白米タンク19に排出する。
【0042】
更に、この精米装置17は、1ぶづきから無洗米までの所望の精白度合いを精米初期段階から終了段階まで保持した精米が可能なものである。精白室17d内に規定量の玄米が保有されている場合にのみ、所望の精白度合いで精米をすることが可能となる。そのため、単位時間あたり定量の玄米を供給しながら、精白ロールを等速回転させた場合には、精米初期段階と終了段階では、精白室17d内の玄米が規定量よりも不足することが起こり、所望の精白度合いにならない。これを防ぐために、精白室17d内に規定量の玄米を保有する状態で、精白室17d内への玄米の供給及び精白室17dからの玄米の排出を遮断し、遮断した状態で精白ロールを回転させ、その精白ロールの回転中に目減りした分の玄米を必要に応じて精白室17dに追加供給する処理を行う。
【0043】
より詳しく言えば、精白室17d内に初めて玄米が供給される場合には、予め精白室17dの出口を塞いだ状態で玄米を供給し、規定量を供給した時点で精白室17d内への玄米の供給を遮断し、その上で精白ロールを回転させて精米を行い、精米によって目減りした量分の玄米を精白度合い応じて追加供給する。精白度合いが極端に低い場合、例えば1ぶづきの場合には、目減りする量が少量であるので、玄米を追加供給する必要性はない。精白ロールを回転させて所定時間経過した後には、所望の精白度合いになっているので、精白室17dを塞ぐ抵抗板の力を弱めて白米の排出を行い、以後、精白室17dに玄米を連続的に供給して、規定量の玄米が精白室17d内に保有された状態で精白を行う。同様に、玄米の残量が少なくなってくると、精白度合いに応じて予め追加供給用の玄米を残した上で、精白室17dの出口を塞ぐと共に精白室17dへの玄米の供給を遮断し、その上で精白ロールを回転させて精米を行い、精米によって目減りした量分の玄米を精白度合いに応じて追加供給する。精白度合いが極端に低い場合には、追加供給用の玄米を残す必要は無い。このように精米することによって、精米初期段階から終了段階まで所望の精白度合いで精米することが可能となる。
【0044】
これまでにコイン精米機1の概要を説明した。次に、本発明の石抜き装置15の石屑米排出制御方法について詳述する。前述したように、制御装置11には、玄米の取込量に応じた石屑米排出時間が設定されている。つまり、玄米の取込量と石屑米排出時間とが関連付けて設定されている。この実施例では、玄米の取込量を、投入口ホッパ12に玄米が有る状態から玄米が無くなるまでの間に、玄米搬送装置13を駆動させた玄米取込時間で把握している。つまり、投入口ホッパ12に玄米が有る期間と、玄米搬送装置13を駆動させた期間の重複期間が、玄米取込時間となる。
より詳しく言えば、投入口ホッパ12に玄米が有ること、及び玄米搬送装置13の駆動を開始すること又はその駆動を既にしていることの2条件が満たされた場合に、玄米取込時間の計測を開始する。従って、いずれか1つの条件しか満たされていない場合には、玄米取込時間の計測は行われない。また、玄米取込時間が規定時間に達する毎に、玄米取込時間の計測を、再度0から開始する。更に、投入口ホッパ12に玄米が無くなると、玄米取込時間の計測を終了する。投入口ホッパ12に玄米が有る状態で駆動している間、玄米搬送装置13からは単位時間当たり一定量の玄米が搬送される。この結果、前記の2条件が満たされている時間を計測することにより、玄米の取込量を把握することができる。
【0045】
以下、玄米取込時間の計測を開始する2つのパターンを、利用客の操作との関係で具体的に説明する。
利用客が正規の利用料金をコイン投入口11bに投入した後に、白度ボタン11cを押すと、投入口ホッパ12に玄米が有ろうが無かろうが、それを受けて制御装置11が即座に玄米搬送装置13の駆動を開始する。
このため利用客が正規の利用料金をコイン投入口11bに投入した後に、玄米を投入口ホッパ12に投入すると、投入口ホッパ12の玄米センサ12cが玄米有り信号を出力し、引き続いて白度ボタン11cを押した場合には、制御装置11は、玄米搬送装置13の駆動を開始すると共に、玄米取込時間の計測を開始する。これが第1のパターンである。この第1のパターンのときは、玄米取込時間と、玄米搬送装置13の駆動時間とは、一致している。
【0046】
また、利用客が玄米を投入口ホッパ12に投入することなく、正規の利用料金をコイン投入口11bに投入し、白度ボタン11cを押すと、先に制御装置11が玄米搬送装置13の駆動を開始する。その後に、慌てて玄米を投入口ホッパ12に投入すると、その時点で投入口ホッパ12の玄米センサ12cが玄米有り信号を出力し、それを受けて制御装置11は、玄米取込時間の計測を開始する。これが第2のパターンである。この第2のパターンのときは、玄米取込時間は、玄米搬送装置13の駆動時間よりも短くなる。
【0047】
前記した2条件が満たされたまま玄米が取り込まれているうちに、カウントが進み、このカウント値に基づいて玄米の取込量を把握することが可能となる。前述したように、玄米搬送装置13は、単位時間当たり一定量の玄米を取り込むものであり、カウント値と玄米の取込量は、比例する関係にある。その具体例が下記の表2に示されている。
【表2】

【0048】
この実施例においては、カウント値120秒を玄米取込時間の規定時間として、制御装置11に設定しておく。また、最低利用料金(100円)で玄米搬送装置13が駆動する期間、つまり利用料金に見合った駆動時間として40秒を制御装置11に設定しておく。このような設定により、規定時間での玄米取込量が、最低利用料金での玄米取込量よりも多くなっている。利用料金に見合った駆動期間は、利用料金に比例して変動する時間であるのに対し、規定時間は、一定の精米量(最も標準的な精米量(1袋分の玄米量:30kg))を想定した固定の時間であって、その一定量の玄米を取り込むのに要すると想定される時間である。つまり、規定時間は、利用料金によって左右されることのない固定時間である。また、規定時間に応じた石屑米排出時間を制御装置11に設定しておく(後述の表3に示す4秒)。
【0049】
投入口ホッパ12の玄米センサ12cが玄米有り信号を出力しているときに、カウント値が規定時間に達すると、制御装置11によって石抜き装置15による選別作業の途中に、規定時間に応じた石屑米排出時間だけ石屑米排出動作のみが行われる。つまり、残留米の搬出動作は行われない。そして、カウント値が規定時間に達すると、カウント値をリセットして再度カウントを0から開始する。そして、再度、カウント値が規定時間に達した場合に、投入口ホッパ12の玄米センサ12cが玄米有り信号を出力しているときには、規定時間に応じた石屑米排出時間だけ石屑米排出動作のみが行われる。
【0050】
また、玄米センサ12cが玄米無し信号を出力する場合もあるので、その時点でのカウント値から把握できる玄米の取込量に応じた石屑米排出時間を、制御装置11に設定しておく。下記の表3には、玄米の取込量と、石屑米排出時間と、石屑米の排出量との関係が、示されている。
【表3】

この実施例では、表3のように、制御装置11には、玄米の取込量(カウント値)に応じた複数の石屑米排出時間が段階的(3段階)に設定されている。前記したように、最低利用料金に見合った玄米搬送装置13の駆動時間40秒であり、40秒間での玄米の取込量は10kgである。そして、40秒よりも玄米の取込量が少ない場合にも、その取込量に応じて、2段階の石屑米排出時間が設定されている。このように設定された石屑米排出時間の中から、制御装置11はカウント値に対応する石屑米排出時間を自動的に決定(選択)し、石屑米の排出動作が行われ、その後には残留米の搬送動作が行われる。
【0051】
この石屑米排出時間は、設定器としての液晶表示器11dを操作して、コイン精米機1の管理者が任意の値に設定することができる。これは、玄米に混入している石屑の量が米の収穫時期の気候によって影響されることを考慮したものである。
より具体的な設定の一例としては次のようにする。10kg以上の場合の石屑米排出時間を基準排出時間T0とする。この基準排出時間T0は、管理者が3〜9秒の範囲で、0.5秒刻みで設定可能なものとする。設定可能な基準排出時間T0に対して、液晶表示器11dから設定不能な複数の減算時間が予め定められている。第1の減算時間T1は、5〜10kg未満の石屑米排出時間を定めるための時間で、基準排出時間T0から第1の減算時間T1を引いた値が5〜10kg未満の石屑米排出時間となる。また、第2の減算時間T2は、2〜5kg未満の石屑米排出時間を定めるための時間で、基準排出時間T0から第2の減算時間T2を引いた値が2〜5kg未満の石屑米排出時間となる。表3のような石屑米排出時間にするには、基準排出時間T0を4秒、第1の減算時間T1を1秒、第2の減算時間T2を2秒とする。
【0052】
ここまでに述べた制御方法の概要が、以下の表4に示されている。
【表4】

つまり、類型1、2のように、玄米センサ12cが玄米有り信号を出力している場合は、規定時間に到達した場合に、規定時間に応じた石屑米排出時間だけ石屑米の排出動作が行われ、カウントが0から再開される。規定時間に到達するまでは、そのままカウントが継続される。
また、類型3、4のように、玄米センサ12cが玄米無し信号を出力した場合は、規定時間に到達するか否かに関係なく、それまでのカウント値に応じた石屑米排出時間だけ石屑米の排出動作が行われ、その後、残留米の搬送動作が行われ、カウントを終了する。
【0053】
石抜き装置15の石屑米排出制御方法を中心にして、前記したコイン精米機1の使用方法を説明する。まず、制御装置11は、待機処理を行っている。自動扉31は、利用客を待っている待機状態において、玄米投入口7aを閉鎖している状態となっている。利用客が客室3に入り、その入室を操作盤11aの図示しない人感センサが検出すると、その検出信号を受けた制御装置11がスピーカー11eに音声信号を出力し、「いらっしゃいませ。利用料金を入れてください。料金を入れると自動扉が開きます。」と音声ガイダンスが流れ、利用料金の投入を促す。
【0054】
正常な硬貨がコイン投入口11bに投入されると、コインメックから投入信号が制御装置11に出力され、制御装置11によって自動扉31を開放状態で維持する。また、制御装置11は、スピーカー11eに音声信号を出力し、「自動扉が開いたら、お米を全部入れてください。」という音声ガイダンスを流す。
【0055】
自動扉31が開放すると、利用者は玄米投入口7aから玄米を投入し、玄米が投入口ホッパ12に張り込まれる。すると、投入口ホッパ12の下部の玄米センサ12cが玄米を検知し、その検知信号(玄米有り信号)を受けた制御装置11が、スピーカー11eに音声信号を出力し、「お好みの白度ボタンを押してください。ボタンを押すと、スタートします。」と音声ガイダンスが流れる。利用者が好みの白度ボタン11cを押すと、それを受けて制御装置11によって精米処理が開始され、制御装置11から制御信号が次々と出力され、玄米搬送装置13、一番昇降機14、石抜き装置15、二番昇降機16、精米装置17が利用料金に見合った駆動時間を上限として駆動する。そして、玄米搬送装置13を駆動させた時間の計測(カウント)が開始される。
【0056】
精米処理が行われるにつれてカウント値が増えながら玄米が減っていく。料金投入口に投入された利用料金で投入口ホッパ12に投入された玄米を全て精米できる場合、すなわち、利用料金に見合った玄米搬送装置13の駆動時間で投入口ホッパ12に投入された玄米を全て搬送できる場合は、以下の(1)〜(3)の処理のみが行われる。
【0057】
(1)計測の開始からカウント値が規定時間に達する迄(達する前、又は達したとき)に、投入口ホッパ12の玄米センサ12cが玄米なし信号を出力した場合=玄米が無くなった場合には、制御装置11によってカウント値に応じた石屑米排出時間が自動的に決定され、石屑米の排出動作、残留米の搬送動作が連続して行われる。また、その玄米無し信号を受けて、制御装置11は、終了処理、待機処理を順次行う。つまり、精米処理を行う全機器の運転を順番に停止させる。その後、再度、投入口ホッパ12に玄米が投入されない場合には、自動扉31を閉じる音声ガイダンスのための音声信号が制御装置11からスピーカー11eに出力され、通常であれば最終的に自動扉31が閉鎖される。ここまでが終了処理である。そして、次の利用客がコイン投入口11bにコインを投入するのを待機する待機処理に移行する。
【0058】
(2)また、計測の開始からカウント値が規定時間に達したときに、投入口ホッパ12の玄米センサ12cが玄米有り信号を出力している場合=玄米が残っている場合には、制御装置11によって規定時間に応じた石屑米排出時間が自動的に決定され、石屑米の排出動作のみが行われ、カウントが0から再開される。再開されたカウント値についても、規定時間に達したときに、投入口ホッパ12の玄米センサ12cが玄米有り信号を出力している場合は、再度、同様の処理が行われる。
【0059】
(3)更に、再開されたカウント値が規定時間に達する迄に、投入口ホッパ12の玄米センサ12cが玄米無し信号を出力した場合には、制御装置11によってカウント値に応じた石屑米排出時間が自動的に決定され、石屑米の排出動作、残留米の搬送動作が連続して行われる。また、その玄米無し信号を受けて、制御装置11は、終了処理、待機処理を順次行う。
【0060】
一方、料金投入口に投入された利用料金では、投入口ホッパ12に投入された玄米を全ては精米できない場合=料金不足の場合は、(1)〜(3)の処理の途中であっても、以下の(4)、(5)の処理が行われる。
【0061】
(4)玄米搬送装置13の駆動時間が利用料金に見合った駆動時間に達した場合に、投入口ホッパ12の玄米センサ12cが玄米有り信号を出力したときには、玄米搬送装置13〜精米装置17までを順次停止させた上で、その時点でのカウント値を保持したまま、制御装置11は、利用料金の投入を待機する処理を行う。具体的には利用料金が不足している旨を出力する処理(液晶表示器11dに表示したり、スピーカー11eから出力したりする処理)を行う。つまり、料金不足の発生時点では、カウント値が規定時間に達していたとしても、石屑米の排出動作や、残留米の搬送動作が行われない。そして、料金不足の発生時点から、利用料金が投入されれば、玄米搬送装置13〜精米装置17までを順次駆動させる上に、制御装置11によって規定時間に応じた石屑米排出時間が自動的に決定され、石屑米の排出動作のみが行われ、カウントが0から再開される。一方、料金不足の発生時点では、カウント値が規定時間に達していない場合に、利用料金が投入されれば、制御装置11によって保持されたカウント値をそのまま再開し、玄米搬送装置13〜精米装置17までを順次駆動させる。この後は、前記した(1)〜(3)の処理のうち、該当する処理が行われる。
【0062】
このようにすることにより、石抜き装置15の選別板52上や精米装置17の精白室17d内には、それまでの精米処理中に供給された玄米が残っている。従って、次に駆動させたときにこれら装置に所定量の玄米が溜まるまで待つ空白時間の発生を防いでいる。なお、空白時間の発生を気にしなければ、料金不足の発生時点では、玄米搬送装置13のみを停止させ、石屑米の排出動作や、残留米の搬送動作を連続して行った上で、石抜き装置15〜精米装置17を順次停止させても良い。
【0063】
(5)一方、玄米搬送装置13の駆動時間が利用料金に見合った駆動時間に達した場合に、投入口ホッパ12の玄米センサ12cが玄米無し信号を出力したときには、制御装置11によってその玄米取込時間に応じて石屑米排出時間が自動的に決定されると共に、石抜き装置による選別作業の終了前に石屑米の排出動作と残留米の搬送動作とが順次行われる。この後は、その玄米無し信号を受けて、制御装置11は、終了処理、待機処理を順次行う。
【0064】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、石屑米排出時間は、玄米の取込量が10kg以上の場合には30kgまで同じであったが、より細かく設定するものであっても良い。従って、基準排出時間T0に対して、減算時間を3つ以上設けても良い。
【0065】
また、石抜き装置15による選別作業の途中に石屑米の排出動作が行われる場合に、玄米搬送装置13及び一番昇降機14は駆動を継続していたが、その排出動作の時間だけ玄米搬送装置13、或いは玄米搬送装置13と一番昇降機14を停止させても良い。
【符号の説明】
【0066】
1コイン精米機
2建屋
3客室
3a出入口
3b引戸
4機械室
5糠室
6a仕切板
6b仕切板
6c開口部
7正面パネル
7a玄米投入口
7b玄米載せ台
7c玄米投入空間
11制御装置
11a操作盤
11bコイン投入口
11c白度ボタン
11d液晶表示器(設定器)
11eスピーカー
12投入口ホッパ
12aホッパ本体
12b金網
12c玄米センサ
13玄米搬送装置
13a搬送バルブ
13bケーシング
14一番昇降機
14a受入口
14b吐出し口
15石抜き装置
16二番昇降機
16a受入口
17精米装置
17a精米ホッパ
17bオーバーフローセンサ
17c玄米センサ
17d精白室
17e除糠ファン
18糠用サイクロン
19白米タンク
21回収ケース
31自動扉
51石抜きホッパ
52選別板
53伝達機構
54モータ
55ファン
56ファンケーシング
57排出口
58第1の切換シャッター
58aピン
58b第1の電磁切換弁
59第2の切換シャッター
59aピン
59b第2の電磁切換弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入口ホッパに投入された玄米が玄米搬送装置、石抜き装置、昇降機、精米装置を経て白米タンクに供給され、これら機器が料金投入口に投入された利用料金に見合った駆動時間を上限として制御装置によって制御されるコイン精米機において、
石抜き装置では、玄米を傾斜する選別板の下部に移動させながら、玄米中に含まれる石屑を主に選別板の上部に集めるという比重選別による選別作業を行い、制御装置で設定された石屑米排出時間に排出動作を行うことによって、石屑と玄米とが混在している石屑米を選別板の上部から排出し、選別作業の最後に残留米の搬送動作を行うことによって、選別板上の残留米を昇降機を経て最終的には精米装置に搬送する石抜き装置の石屑米排出制御方法において、
投入口ホッパに投入された玄米の取込量に応じて、石屑米排出時間を決定することを特徴とするコイン精米機用石抜き装置の石屑米排出制御方法。
【請求項2】
投入口ホッパに玄米が有る状態から玄米が無くなるまでの間に、玄米搬送装置を駆動させた玄米取込時間を計測し、玄米取込時間に応じて石屑米排出時間を決定することを特徴とする請求項1に記載のコイン精米機用石抜き装置の石屑米排出制御方法。
【請求項3】
最低利用料金に見合った駆動時間よりも玄米取込時間が短いことにより、最低利用料金に見合った精米可能な玄米量よりも投入口ホッパに投入された玄米量が少ない場合に、玄米取込時間に応じて石屑米排出時間を決定することを特徴とする請求項2に記載のコイン精米機用石抜き装置の石屑米排出制御方法。
【請求項4】
計測の開始から玄米取込時間が一定の玄米取込量を想定した規定時間に達する迄に投入口ホッパに玄米が無くなったときには、玄米取込時間に応じて石屑米排出時間を決定すると共に、石抜き装置による選別作業の終了前に石屑米の排出動作と残留米の搬送動作を順次行い、
計測の開始から玄米取込時間が規定時間に達した場合に投入口ホッパに玄米が残っているときには、規定時間に達する毎に規定時間に応じて石屑米排出時間を決定すると共に、石抜き装置による選別作業の途中に石屑米の排出動作を行い、
石屑米の排出動作後の玄米取込時間が規定時間に達する迄に投入口ホッパに玄米が無くなっているときには、その玄米取込時間に応じて石屑米排出時間を決定すると共に、石抜き装置による選別作業の終了前に石屑米の排出動作と残留米の搬出動作を順次行うことを特徴とする請求項2又は3に記載のコイン精米機用石抜き装置の石屑米排出制御方法。
【請求項5】
コイン精米機は7ぶづきよりも精白度合いの低い精米が可能なものであることを特徴とする請求項1、2、3、又は4に記載のコイン精米機用石抜き装置の石屑米排出制御方法。
【請求項6】
コイン精米機は、石屑米排出時間を設定可能な設定器を備えるものであり、
規定時間に応じた石屑米排出時間は、設定器によって設定可能な基準排出時間であり、規定時間以外の玄米取込時間に応じた石屑米排出時間は、設定器によって設定不能な減算時間を、基準排出時間から差し引いた時間であることを特徴とする請求項4、又は5に記載のコイン精米機用石抜き装置の石屑米排出制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−22554(P2013−22554A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162178(P2011−162178)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(391055025)株式会社タイワ精機 (17)
【Fターム(参考)】