説明

コチニン誘導及び抗酸化効果を有する機能性食品組成物

【課題】コチニン誘導及び抗酸化効果を有する機能性食品組成物を提供する。
【解決手段】緑茶葉抽出物とカワラヨモギ抽出物よりなることを特徴とし、前記組成物は、好ましくは、緑茶葉抽出物40−70重量%、カワラヨモギ抽出物30−60重量%を含み、より好ましくは、緑茶葉抽出物40−70重量%、カワラヨモギ抽出物15−40重量%、セリ抽出物2−10重量%、エゾウコギ抽出物2−10重量%、カリンの実抽出物2−10重量%、ドクダミ抽出物2−10重量%、ショウガ抽出物2−10重量%及び玉ねぎ抽出物2−10重量%の割合にて配合されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然物質から抽出した機能性食品組成物に係り、より詳しくは、緑茶葉、カワラヨモギ(茵陳蒿)、セリ、エゾウコギ、カリンの実、ドクダミ、ショウガ及び玉ねぎから喫煙によるニコチンをコチニンに誘導することにより、ニコチン由来の発癌物質の生成を抑えると共に、優れた抗酸化効果を有する機能性食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチンは喫煙により発生するおよそ40種類の毒性発癌物質のうち体内に吸収される代表的な猛毒性物質であって、無色または薄い黄色を帯びる。また、このニコチンは、光や空気に接触すれば、酸化により茶色に変色され、神経節の細胞膜上に働いて血圧の上昇、骨格筋繊維の痙攣、興奮による口腔内の麻痺などを引き起こすと知られている。
【0003】
そして、ニコチンはおよそ200種の発癌性物質であるN−ニトロソアミン類のほかに、コチニンとケト酸(Keto acid)、ヒドロキシ酸(Hydroxy acid)に代謝されるが、コチニン、ケト酸及びヒドロキシ酸は喫煙行為に影響されるファクタに過ぎず、発癌ファクタではないことが明らかになっている。
【0004】
一方、シトクロムP450(Cytochrome P450)は肝臓や肺において解毒作用に関与する酵素であって、各種のシトクロムP450が相異なる機能を有しているが、これらのうちシトクロムP450の2A6,2B6,2C8,2C9,2D6,2E1,2F1などはニコチンからコチニンへと誘導される代謝に関与し、シトクロムP450の1A2,2A6,3A4はニコチンから発癌性物質であるN−ニトロソアミン類に転換させる代謝に関与すると知られている。
【0005】
このとき、N−ニトロソアミン類に代表される物質としては、4−メチルニトロサミノ−1−3−ピリジル−1−ブタノン(4-methylnitrosamino-1-3-pyridyl- 1-butanone;以下、「NNK」という。)がある。
【0006】
このため、ニコチンが他の物質に転換される代謝過程において特異的な経路を活性化させるならば、ニコチンがN−ニトロソアミン類に転換されることを抑え、ニコチンから発癌ファクタではないコチニンに誘導される転換率を高めることができるので、タバコに対する危害を減らしつつ、究極的には癌の発生を予防することができる。
【0007】
また、通常、自由ラジカルは、発癌(例えば、下記の非特許文献1参照。)、炎症(例えば、下記の非特許文献2参照。)、血管収縮による局所貧血(例えば、下記の非特許文献3参照。)、動脈硬化(例えば、下記の非特許文献4参照。)、リウマチ性関節炎(例えば、下記の非特許文献5参照。)などの疾病を引き起こすということが各種の実験から明らかになっている。
【0008】
このため、自由ラジカルのレベルを安全で且つ効果的に減らせる自由ラジカル捕捉剤(free radicals scavenger)に対する開発が盛んになされつつある。
【非特許文献1】Weitzman, S. A., Weitberg, A. B., Clark, E. P., and Stossel, T. P. (1985) Science, 227, 1231-1233
【非特許文献2】Cheeseman, K. H., and Forni, L. G. (1988) Biochem. Pharmacol., 37, 4225-4233
【非特許文献3】Hammond, B., Kontos, H. A., and Hess, M. L. (1985) Can. J. Physiol. Pharmacol., 63, 173-187
【非特許文献4】Palinski, W., Rosenfeld, M. E., Yla, H. S., Gurtner, G. C., Socher, S. S., Butler, S. W., Carew, T. E., Steinberg, D., and Witztum, J. L. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci., 86, 1372-1376
【非特許文献5】Fantone, J. C., and Ward, P. A. (1985) Human Pathol., 16, 973-978
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、安全で且つ効果的なコチニン誘導剤と抗酸化製剤を開発するためになされたものであり、その目的は、天然成分を用いることにより、優れた抗酸化効果を示すだけではなく、喫煙によるニコチンの分解代謝中に体内に有害な化学物質であるN−ニトロソアミン類に転換されることを抑えて無害なコチニン生成経路に誘導する機能性食品組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る組成物は、緑茶葉抽出物とカワラヨモギ抽出物よりなることを特徴とし、前記組成物には、緑茶葉抽出物が40−70重量%、カワラヨモギ抽出物が30−60重量%含まれることが好ましい。
【0011】
また、より好ましくは、前記組成物は、緑茶葉抽出物40−70重量%、カワラヨモギ抽出物15−40重量%、セリ抽出物2−10重量%、エゾウコギ抽出物2−10重量%、カリンの実抽出物2−10重量%、ドクダミ抽出物2−10重量%、ショウガ抽出物2−10重量%及び玉ねぎ抽出物2−10重量%の割合にて配合されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る機能性食品組成物は、優れた抗酸化効果を示すだけではなく、ニコチンからコチニンに転換される代謝を誘導させ、NNKによる突然変異能を抑える効果に優れているので、食品分野に機能性マテリアルとして適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、緑茶葉抽出物とカワラヨモギ抽出物よりなることを特徴とするコチニン誘導及び抗酸化効果を有する機能性食品組成物を提供する。
【0014】
本発明に係る組成物は、緑茶葉抽出物40−70重量%とカワラヨモギ抽出物30−60重量%よりなる。
【0015】
また、この組成物は、好ましくは、緑茶葉抽出物40−70重量%、カワラヨモギ抽出物15−40重量%、セリ抽出物2−10重量%、エゾウコギ抽出物2−10重量%、カリンの実抽出物2−10重量%、ドクダミ抽出物2−10重量%、ショウガ抽出物2−10重量%及び玉ねぎ抽出物2−10重量%の割合にて配合されてなる。
【0016】
本発明において、前記抽出物としては、緑茶葉、カワラヨモギ、セリ、エゾウコギ、カリンの実、ドクダミ、ショウガ及び玉ねぎをそれぞれ110℃において3時間熱水抽出した後、前記熱水抽出物に固形粉が30%含まれるように濃縮して乾燥したものを用いる。
【0017】
以下、本発明を詳述する。
【0018】
本発明は、体内ニコチン及びタバコの有害性を認識し、ニコチン由来のN−ニトロソアミン類生成の抑制効果及び優れた抗酸化効果を有する天然物をスクリーニング中に(−)−カテキンと(−)−エピガロカテキンガラートを多量含んでいる緑茶とカワラヨモギを主原料として加える場合、タバコの有害成分であるニコチン由来のN−ニトロソアミン類の生成抑制能に優れ、且つ、発癌物質に対して抗突然変異効果及び優れた抗酸化効果を有する機能性食品組成物への適用が可能であることを知見し、これに基づき、本発明を完成するに至った。
【0019】
本発明に係る機能性食品組成物は、健康食品、飲み物または飲み物添加剤として用いることができ、前記機能性製剤を0.1%ないし0.5%水に混合して機能性飲み物として用いることが好ましい。
【0020】
以下、本発明への理解を助けるために、好適な実施例を挙げる。しかし、下記の実施例は本発明を一層容易に理解させるために提供されるものに過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されることはない。
【実施例1】
【0021】
天然物の選定
【0022】
本発明に適用して好適な天然物は、自由ラジカルである1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl;以下、「DPPH」という。)(Sigma,USA,D−9132)を用いたO捕捉(scavenging)効果を測定し、高活性を有する天然物を選んで使用した。
【0023】
(1)抽出物の製造
カワラヨモギ粉末は、カワラヨモギ30gを水600mlに入れ、110℃において3時間熱水抽出を行った。その後、真空濃縮器により固形粉が30%になるまで濃縮し、その濃縮物を凍結乾燥して完成粉末を得た。緑茶葉、セリ、エゾウコギ、カリンの実、ドクダミ、ショウガ及び玉ねぎの粉末も前記カワラヨモギ粉末の製造過程と同じ過程を経て得た。
【0024】
(2)実験方法
DPPHは2×10−4M濃度になるようにエタノールに溶解して用いた。
【0025】
8種類の天然粉末はそれぞれ濃度を1,000ppmにし、キュベット(cuvette)にDPPH1.50ml、サンプル0.15ml、蒸留水1.35mlを加えて30分間室温において反応させた後、520nmにおける吸光度を測定することにより、抗酸化効果を調べた。
【0026】
抗酸化効果は、下記式1により求めた。
【0027】
【数1】

【0028】
(3)実験の結果
表1に、8種類のそれぞれの製剤に対してDPPHを用いた場合の自由ラジカルの捕捉効果を測定して示す。表1から明らかなように、緑茶が最も高い効果を示し、次に、カワラヨモギが高い抗酸化効果を示した。
【0029】
【表1】

【実施例2】
【0030】
機能性製剤
【0031】
(1)実験対象
実験の対象として、実施例1に従い得られた植物抽出物を混合して製造された機能性製剤を用いた。
用いられた機能性製剤の配合比は、下記表2に示す。
【0032】
【表2】

【0033】
(2)実験方法
DPPHは、2×10−4Mの濃度になるようにエタノールに溶解して用いた。
【0034】
緑茶とカワラヨモギ、そして混合した機能性製剤(a),(b),(c)の3種に対してはそれぞれ500ppm,250ppm,125ppm,62.5ppm,31.3ppmの濃度になるように蒸留水で溶解した後、キュベットにDPPH1.5ml、サンプル0.15ml、蒸留水1.35mlを加え、30分間室温において反応させた。そして、520nmにおける吸光度を測定した。
【0035】
このとき、サンプルに対する抗酸化効果は前記式1により求めた。その後、IC50(50%の阻害活性)値に基づいて比較を行った。
【0036】
(3)実験の結果
緑茶とカワラヨモギ、そして混合した機能性製剤(a),(b),(c)の3種と陽性対照群としての(−)−カテキン(Sigma, USA, C−0567)、(−)−エピガロカテキンガラート(Sigma, USA, E−4143)に対してDPPHを用いた場合の自由ラジカルの捕捉効果をIC50値として下記表3に示す。
【0037】
下記表3から明らかなように、3種類の機能性製剤(a),(b),(c)のうち機能性製剤(c)が最も良好な効果を示した。
【0038】
【表3】

【実施例3】
【0039】
動物実験によるコチニン誘導効果の測定
【0040】
(1)実験対象
抗酸化効果実験の結果最も良好な活性を示す機能性製剤(c)を用い、実際にニコチンが分解されながらコチニン生成誘導効果があるかどうかを調べた。
【0041】
一次的に、SDラット(250g,♂,サムタコ、韓国)を対象として高速液体クロマトグラフィ(High performance liquid chromatography;以下、「HPLC」という。)方式によりニコチン分解コチニン生成誘導効能を測定した。
【0042】
(2)実験方法
SDラット30匹に対して10日間(−)−ニコチン((-)-nicotin, Sigma, USA, N−3876)を1日につき2回腹腔投与してニコチン中毒を引き起こした。このとき、腹腔投与量は体重1kg当たり3mg(3mg/kg)にした。
【0043】
10日後、15匹ずつ2グループに分け、ある一つのグループには水1mlを、もう一つのグループには機能性製剤(c)1ml(2%濃度)を経口投与し、ニコチン3mg/kgを腹腔投与した。
【0044】
その後、1時間経過後、水1mlまたは機能性製剤(c)1ml(2%濃度)をさらに経口投与した。
【0045】
そして、1時間経過後に前記SDラットの心臓から血液を採血し、前記血液から分離された血漿(Plasma)をサンプルとして用いた。
【0046】
サンプルの前処理
前記分離された血漿を分析するための処理方法として、血漿1mlに5MのNaOH 1mlを加えてアルカリ化させ、2MのNaCl 0.5mlを加えてエマルジョン(Emulsion)層を最少化させた後、ジクロロメタン(Dichloromethane, CHCl)4mlを加えて6分間よく混合した。その後、12,000rpmにて5分間遠心分離(Centrifugation)した後、ジクロロメタン層1mlを4mlのバイアル(vial)に移し、窒素ガスにより乾燥したものを用いた(Jung, B. H, Chung, B. C et al. (1999) J. Pharm. Biomed. Anal, 20. 195-202)。
【0047】
HPLCシステム及び分析条件
コチニン分析は、HPLCシステムを用いて行った。このとき、システムの構成は、検出器としてワータス510ポンプ(Waters Co. USA)とヨンインM 720(Young-In Co. Korea)を、カラムとしてハイドロスフィア(Hydrosphere)C18(5μm,12mm,150×4.6ID)を用いた。
【0048】
分析条件として、移動相溶媒としてはpH緩衝液(buffer):アセトニトリル:メタノールを880:90:30(v/v)にて混合したものを用いた。また、pH緩衝液は下記の如き組成にして用いた。
【0049】
0.1Mのクエン酸(Citric acid):0.2Mのディソディューム・ハイドロジェンフォスフェイト・ドデカハイドロレート(disodium hydrogenphosphate dodecahydrate)を56.4:43.6(v/v)の割合にて混合し、トリメチルアミン(trimethylamine)を用いてpHを4.8に調整した。そして、サンプルを移動相溶媒1mlにて溶解させて200μlを注入(injection)し、UV260nmにて流速(flow rate)1ml/分の条件下で検出を行った。
【0050】
標準曲線と検量式は、コチニン標準フォームは(−)−コチニン[(-)-Cotinine, Sigma, USA, C−0430]0.1−0.4ppm濃度にて求めた。
【0051】
(3)実験結果
水を経口投与した対照群と機能性製剤(c)を経口投与した実験群の血漿は、コチニン濃度がそれぞれ0.62±0.12μg/mlと0.88±0.08μg/mlと測定され、これより、実験群の方が対照群よりも約30%多いコチニンを生成していることが分かった。
【0052】
上記の結果は、図2に示す。
【実施例4】
【0053】
臨床実験によるコチニン誘導効果の測定
【0054】
(1)実験対象
機能性製剤(c)に対するニコチン分解効能を検証するために、1日につき15−25本のタバコ(ディス、韓国タバコ公社、ニコチン0.6mg/本)を吸う20代の健康な男20名を対象として臨床実験を行った。
【0055】
(2)実験方法
実験前日、対象者には喫煙と飲酒を禁止させ、実験の確実性を高めるために数回繰り返して実験し、統計処理を行った。
【0056】
水を飲む対照群と機能性製剤(c)を飲む実験群は、相異なる日にそれぞれ実験を行い、体の具合と実験時間帯をできる限り一致させた。
【0057】
実験当日、個人の体内におけるニコチン蓄積度を測定するために、1次尿を取った後、水130mlまたは機能性製剤(c)130ml(1%濃度)を飲ませ、10分間隔にてディス3本を吸わせた。その後、120分、240分、480分後に2次、3次、4次尿を取った。
【0058】
取られた尿は、直ちに零下20℃にて保管され、尿に含まれているコチニンを一括的に定量化した。
【0059】
コチニン定量はBarlowら(Barlow, R. D., Stone, R. B., Wald, N. J., and Puhakainen, E. J. (1987) Clin. Chim. Acta., 165, 45-52)により開発された直接混合(Direct mixing)方法を変形した方法により行った。
【0060】
すなわち、1.5mlのポリプロピレン(Polypropylene)チューブに500μlのサンプル及びコチニン標準試薬((-)-Cotinine, Sigma, USA, C−5923)、250μlの4M塩化アセテート緩衝液(pH 4.7)、100μlの1.5Mシアン化カリウム(KCN)、100μlの0.4Mクロラミン(Chloramine)−T及び50%のアセトニトリル水溶液に溶解した78mMバルビツール酸(Barbituric acid)500μlを順次に入れ、10秒間よく混合した。
【0061】
そして、常温において15分間静置反応させ、100μlの1M塩化メタバイサルファイト(Sodium metabisulphite)を入れて反応を止めた後、480nmにおける吸光度を測定した。
【0062】
標準曲線と検量式は、コチニン標準試薬1−5μmol/lの濃度にて求めた。
【0063】
このとき、実験結果の信頼性を図るために、1サンプル当たり3本のチューブを用いた。
【0064】
そして、個人の1次尿中のコチニンの量を100とし、それぞれ2次、3次、4次コチニンの量を1次と比較することにより、生成率を統計処理した。
【0065】
(3)実験の結果
図3に示すように、1次から4次までのコチニン生成率を統計処理したところ、機能性製剤(c)の場合、コチニン生成率は2時間、4時間、8時間において対照群の方よりもそれぞれ30%,30%,20%高くなっていることが分かった。
【0066】
その結果、本発明に係る機能性製剤(C)は、ニコチンが発癌物質としてのN−ニトロソアミン類への転換を抑える代わりに、ニコチンのコチニンへの転換代謝量を増やしていると推定される。
【実施例5】
【0067】
抗突然変異効果
【0068】
タバコに一定濃度(約0.1−0.5ng)が含まれているNNKは、生体内に入ると、肝臓や肺に存在するシトクロムP450の1A2,2A6,3A4酵素により代謝される。しかし、この代謝物質は、肺癌などを引き起こす物質であって、体内に極めて有毒な物質であることが明らかになっている。
【0069】
(1)実験方法
機能性製剤(c)が有している抗突然変異効果を調べるために、NNK(Chemsyn,USA,U1018)により引き起こされる突然変異に対する機能性製剤(c)、粉末緑茶及びケルセチン2水和物(Quercetin dihydrate, Sigma, USA, Q−0125)の抗突然変異効果を比較・測定した。
【0070】
ヒスティジン(Histidine)要求性菌株であるネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)TA100とTA1535を用いてエームズ実験(Ames test)を行うことにより、突然変異抑制効能試験を行った(Maron, D., Ames, B. N. (1983). Mutation Research, 113, 173-215)。
【0071】
アロクロル(Aroclor 1254; Supelco, USA, 48733)を7週齢の雄ラット(Sprague Dawley rat, 250g,♂,サムタコ、韓国)に500mg/kgの容量にて腹腔注射することにより、肝臓の解毒作用を行うタンパク質を誘導し、注射後5日後に無菌操作下で肝臓を摘出した。
【0072】
無菌操作下で摘出された肝臓は、4℃,0.15M塩化カリウム(KCl)溶液によりホモジェナーゼを用いて均質化させ、9,000gにおいて10分間遠心分離した後、上澄み液を取り、S−9混合液の製造に用いた。
【0073】
S−9混合液の組成は、10mlを基準として0.2Mリン酸緩衝液(pH7.4)5ml,0.1MのNADP 0.4ml、1Mグルコース−6−フォスファイト0.05ml、0.4MのMgCl0.2ml、滅菌3次蒸留水3.35ml及び肝臓摘出液1mlである。
【0074】
そして、実験群としての機能性製剤(c)と陽性対照群としての粉末緑茶、ケルセチン2水和物は、0.2μmフィルタに通させることによりろ過し、実験に用いた。
【0075】
抗突然変異実験は、12時間栄養培地(Difco, USA, 234000)において培養したネズミチフス菌TA100またはTA1535 0.1ml,実験物質0.1ml、S−9混合液0.5ml、NNK(10mg/ml)0.1mlを混合した。このときに用いられた実験物質は、1プレート当たり2,1,0.5,0.25,0.125μgの濃度になるように処理した。
【0076】
混合液を37℃において20分間放置した後、0.05mMのヒスティジンと0.05mMのバイオチンが含まれているトップアガー(top agar)2mlに混ぜてHis平板培地に塗布した。このとき、各容量の平板培地は3枚ずつにし、37℃において48時間培養した後、復帰突然変異群落の数を記録した。抗突然変異の活性は、His復帰突然変異の阻害率として示した。突然変異抑制効能(%)は、下記式2から計算された。
【0077】
【数2】

【0078】
(2)実験の結果
図4は、機能性製剤(c)がNNKによる突然変異抑制効能を有するかどうかを測定したものであり、(A)は、ネズミチフス菌TA100に対する突然変異抑制能を示し、(B)は、ネズミチフス菌TA1535に対する突然変異抑制能を示す。
【0079】
その結果、NNKのみを処理したネズミチフス菌TA100の自然発生的な復帰突然変異群落の数は、170±16であり、ネズミチフス菌TA1535の自然発生的な復帰突然変異群落の数は41±4であるのに対し、NNKと共に機能性製剤0.5mg/プレートを処理した場合には、ネズミチフス菌においてほとんどコロニを形成せず、いずれも突然変異抑制能があることが明らかになった。また、ネズミチフス菌TA100においては、むしろ機能性製剤(c)の方がケルセチン2水和物よりも一層優れた突然変異抑制能を示した。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の緑茶とカワラヨモギ、機能性製剤の3種類(a),(b),(c)と陽性対照群(Positive control)としての(−)−カテキン((-)-Catechin)、(−)−エピガロカテキンガラート((-)-Epigallocatechin gallate;EGCG)に対してDPPHを用いた場合の自由ラジカルの捕捉効果を示すグラフである。
【図2】本発明のコチニン誘導及び抗酸化効果を有する機能性製剤(c)を投与したSDラット実験群の血漿内と、水を投与したSDラット対照群の血漿内のコチニン量を示すグラフである。
【図3】本発明のコチニン誘導用及び抗酸化機能性製剤(c)を摂取した喫煙実験者と、対照群として水を摂取した喫煙実験者の尿中コチニン生成率を示すグラフである。
【図4】本発明のコチニン誘導及び抗酸化効果を有する機能性製剤(c)と、粉末緑茶及びケルセチン2水和物(Quercetin dihydrate)のネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)TA100とTA1535の陽性対照群に対する抗突然変異能を測定したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑茶葉抽出物及びカワラヨモギ抽出物よりなる
コチニン誘導及び抗酸化効果を有する機能性食品組成物。
【請求項2】
前記組成物にセリ抽出物、エゾウコギ抽出物、カリンの実抽出物、ドクダミ抽出物、ショウガ抽出物及び玉ねぎ抽出物をさらに含むことを特徴とする
請求項1記載のコチニン誘導及び抗酸化効果を有する機能性食品組成物。
【請求項3】
緑茶葉抽出物40−70重量%とカワラヨモギ抽出物30−60重量%よりなることを特徴とする
請求項1記載のコチニン誘導及び抗酸化効果を有する機能性食品組成物。
【請求項4】
緑茶葉抽出物40−70重量%、カワラヨモギ抽出物15−40重量%、セリ抽出物2−10重量%、エゾウコギ抽出物2−10重量%、カリンの実抽出物2−10重量%、ドクダミ抽出物2−10重量%、ショウガ抽出物2−10重量%及び玉ねぎ抽出物2−10重量%よりなることを特徴とする
請求項2記載のコチニン誘導及び抗酸化効果を有する機能性食品組成物。
【請求項5】
前記抽出物は、緑茶葉、カワラヨモギ、セリ、エゾウコギ、カリンの実、ドクダミ、ショウガ及び玉ねぎをそれぞれ110℃において3時間熱水抽出し、固形粉が30%になるように濃縮した後に乾燥して得られることを特徴とする
請求項1〜4のいずれかに記載のコチニン誘導及び抗酸化効果を有する機能性食品組成物。
【請求項6】
前記組成物は、食品、食品添加剤、飲み物または飲み物添加剤として用いられることを特徴とする
請求項3または4記載のコチニン誘導及び抗酸化効果を有する機能性食品組成物。
【請求項7】
請求項3または4記載の組成物をカプセルに充填してなる
コチニン誘導及び抗酸化効果を有するカプセル剤。
【請求項8】
請求項3または4記載の組成物0.1−0.5%を水と混合してなる
コチニン誘導及び抗酸化効果を有する機能性飲み物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−519010(P2006−519010A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502721(P2006−502721)
【出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【国際出願番号】PCT/KR2004/000411
【国際公開番号】WO2004/075665
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(505321879)レジン バイオテック インコーポレイテッド (1)
【出願人】(505321905)
【Fターム(参考)】