説明

コネクタの取り付け構造

【課題】 コストの低減や組み付け作業の簡易化を図ることのできるコネクタの取り付け構造を提供する。
【解決手段】 車両1に一対のコネクタ3,5が配線可能に配置されており、それらの各配線コネクタ3,5同士が嵌め合うように構成されたコネクタの取り付け構造であって、車両1における一方の配線コネクタ5をフローティング状態に保持する保持部材7が配置されたスライド機構6が、配線コネクタ5を保持部材7の内部で可動させるように構成されており、保持部材7と内装部品(コンソール本体4)とが一体に成形されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コネクタの取り付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両では、ボディ側にコンソール、インストルメントパネルなどの内装部品を取り付ける構造が知られている。この一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1によれば、スライダ付きコネクタが、コネクタ挿入方向と直交する方向にスライド自在に装着され、そのスライド方向に押し込まれることによりガイド用突起を雌コネクタ側に引き込む第1の傾斜壁が形成され、スライド方向に引き抜かれることによりガイド用突起を雄コネクタ側に押し出す第2の傾斜壁が形成されたカム部を有するスライダとを備えることにより、雌雄接続端子の溶損を防止できる構造となっている。
【特許文献1】特開2002−75528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、車両のボディ側に、コネクタをスライドパーツによって移動するスライド機構を取り付けた場合には、そのコネクタがスライドパーツの内側を可動する。したがって、各コネクタ同士の嵌め合いのずれを吸収することが可能となる。
【0004】
しかしながら、このようにスライド機構を車両のボディ側に取り付けた場合には、そのスライドパーツ分、部品点数が増え、コストが嵩む。また、特許文献1では、各コネクタをスライダによって自在に移動することができるが、この特許文献1の発明には各コネクタ同士の嵌め合いのずれを吸収する構成がない。したがって、上述したように各コネクタ同士の嵌め合いのずれを吸収するには、そのスライダに加えて更に部品点数を増やす必要がある。そのため、組み付け作業が複雑となり、製造コストが増大するなどの問題があった。
【0005】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、コストの低減や組み付け作業の簡易化を図ることのできるコネクタの取り付け構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、車両における一対のコネクタが配線可能に配置されており、それらの各コネクタ同士が嵌め合うように構成されたコネクタの取り付け構造であって、前記車両における一方のコネクタをフローティング状態に保持する保持部材が配置されたスライド機構が、前記コネクタを前記保持部材の内部で可動させるように構成されており、前記保持部材と前記内装部品とが一体に成形されていることを特徴とするコネクタの取り付け構造である。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明における前記コネクタが、車両のボディ側もしくは内装部品側に配置されていることを特徴とする構造である。
【0008】
さらに、請求項3の発明は、請求項1または2の発明における前記内装部品が、コンソール本体もしくはインストルメントパネル本体であることを特徴とする構造である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、車両に一対のコネクタが配線可能に配置されている。スライド機構には車両における一方のコネクタをフローティング状態に保持する保持部材が配置されており、このスライド機構によって保持部材の内部でコネクタが可動する。そのため、例えば各コネクタ同士の嵌め合いのずれが生じたとしても、そのスライド機構によって、コネクタが保持部材の内部でフローティング状態に保持されるので、各コネクタ同士の嵌め合いのずれを吸収することができる。また、内装部品とスライド機構とが一体に成形されているので、部品点数が減り、コストが下がるとともに、組み付け作業を簡易に行うことができる。
【0010】
また、請求項2の発明によれば、コネクタが、車両のボディ側もしくは内装部品側に配置されているので、組み付け作業を更に簡易に行うことができる。
【0011】
さらに、請求項3の発明によれば、内装部品が、コンソール本体もしくはインストルメントパネル本体であるので、車両における部品点数が減少し、コストが確実に下がるとともに、組み付け作業を更に簡易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施した最良の形態について説明する。この発明の構造は、車両に一対のコネクタが配線可能に配置されており、それらの各コネクタ同士が嵌め合うように構成された構造である。
【0013】
具体的には、図1および図2に示すように、車両1のボディ2側には配線コネクタ3が配置され、車両1のコンソール本体4側に配線コネクタ5が配置されている。なお、配線コネクタ3は、車両1のボディ2側に固定されており、配線コネクタ5の先端を嵌め込むように凹んでいる。また、配線コネクタ5は、軸状に形成されており、半径方向に凹んでいる。さらに、配線コネクタ5は丸形状に形成されているが、角形状に形成されていてもよい。
【0014】
スライド機構6には、配線コネクタ5をフローティング状態に保持する保持部材7が配置されており、この保持部材7とコンソール本体4とが一体に成形されている。例えば、コンソール本体4にスライド機構6を組み込むためには、コンソール本体4の成形時にスライド機構6の部品(保持部材7)を一体で成形しておき、そこに配線コネクタ5を装着することになる。
【0015】
したがって、コンソール本体4を組み付け支点Aを中心に組み付け方向(時計方向)に回動させた場合には、スライド機構6によって配線コネクタ5が保持部材7の内部で可動し、その配線コネクタ5が来るのを配線コネクタ3が待ち受ける状態となり、それらの各配線コネクタ同士3,5が嵌め合う。この保持部材7の内部では、配線コネクタ5がフローティング状態で保持されている。このフローティング状態とはコンソール本体を所定の位置から回動させて車両のボディ側にそのコンソール本体を取り付けるまでの軌跡に沿って、コンソール本体における配線コネクタが移動可能な状態のことをいい、例えば図2に示すように、スライド機構6によって、配線コネクタ5は上下左右自在に移動もしくは回転した状態となる。
【0016】
上記具体例では、配線コネクタ3と配線コネクタ5との嵌め合いのずれが生じたとしても、上記スライド機構6によって、配線コネクタ5が保持部材7の内部でフローティング状態に保持されるので、それらの各配線コネクタ3,5同士の嵌め合いのずれを吸収することができる。また、コンソール本体4とスライド機構6とが一体に成形されているので、部品点数が減り、コストが下がるとともに、組み付け作業を簡易に行うことができる。
【0017】
なお上記具体例では、保持部材7とコンソール本体4とが一体に成形されているが、この発明は上記具体例に限定されない。例えば、インストルメントパネル本体と保持部材とを一体に成形し、その保持部材によって、インストルメントパネル本体に配置されたコネクタをフローティング状態に保持し、スライド機構によって、インストルメントパネル本体におけるコネクタをその保持部材の内部で可動させてもよい。このようにインストルメントパネル本体と一体となった保持部材にコネクタを組み付けることにより、それらの各コネクタ同士を接続することが可能となる。そのため、部品点数が減少し、コストが確実に下がるとともに、組み付け作業を更に簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明におけるコネクタの取り付け構造の具体例を示す模式図である。
【図2】図1の配線コネクタを示す拡大図である。
【符号の説明】
【0019】
1…車両、 2…ボディ、 3,5…配線コネクタ、 4…コンソール本体(内装部品)、 6…スライド機構、 7…保持部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に一対のコネクタが配線可能に配置されており、それらの各コネクタ同士が嵌め合うように構成されたコネクタの取り付け構造であって、
前記車両における一方のコネクタをフローティング状態に保持する保持部材が配置されたスライド機構が、前記コネクタを前記保持部材の内部で可動させるように構成されており、
前記保持部材と前記内装部品とが一体に成形されていることを特徴とするコネクタの取り付け構造。
【請求項2】
前記コネクタが、車両のボディ側もしくは内装部品側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタの取り付け構造。
【請求項3】
前記内装部品が、コンソール本体もしくはインストルメントパネル本体であることを特徴とする請求項1または2に記載のコネクタの取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−213135(P2006−213135A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26652(P2005−26652)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】