説明

コネクタカバー及び遊技機

【課題】 コネクタに不正部品を取り付ける行為を確実に防止する。
【解決手段】 コネクタAの一部に係止するツメ部11を有したコネクタカバー10であって、コネクタAが、基板140に実装された基板側コネクタ160と、ワイヤハーネス170の端部に接続されたハーネス側コネクタ150とを有し、基板側コネクタ160が、嵌合されたハーネス側コネクタ150をロックするレバー163を有し、ツメ部11が、コネクタカバー10の側面内側17から突設形成された平板バネであるとともに、レバー163のロック解除を妨げる箇所に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板に実装されたコネクタに装着されるコネクタカバー、及び、そのプリント基板を備えた遊技機に関し、特に、コネクタに不正基板等を取り付ける行為を防止するコネクタカバー及び遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットマシンやパチンコ機等の遊技機には、ゲーム性に関与する複数の基板が配設されている。
これらの基板には、遊技の結果を左右するとともに、遊技機全体を制御する主要な基板である主基板が含まれている。
主基板は、プリント基板上にCPU,ROM,RAM等の種々の電子部品が配置されたコンピュータとして構成されている。
このような遊技の結果を左右する主基板は、不正改造の対象となり易く、そのために、当該主基板を透明な二つのケースの間に挟んで収容するとともに、さらに、このケースを開封不能に封止している。
【0003】
ところが、近年では、基板収納ケースを開けることなく、回路基板と諸装置とを接続するケーブルのコネクタ部分を利用して、不正な基板を追加する不正行為が行われることがある。
そこで、この不正行為を防止するための改良技術が種々提案されている。
例えば、コネクタを前後から挟むように正面側部品と背面側部品とを取り付け、ピンで留めて固定するコネクタカバーが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この技術によれば、そのカバーを破壊しない限り不正な基板をコネクタに接続できないため、不正行為を防止できる。
【0004】
また、全体が一体形成されており、少なくともコネクタの上面、正面、側面と、背面の一部を覆うコネクタカバーが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
この技術によれば、コネクタカバーの正面内側の下方に設けられた突起部がコネクタの底面縁部に係止するので、このコネクタカバーを容易に取り外すことができない。これにより、不正基板等を接続する不正行為を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−460号公報
【特許文献2】特開2006−34784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1、2に記載の技術においては、次のような問題があった。
例えば、特許文献1に記載の技術(文献技術1)は、コネクタカバーが複数の部品で構成されているため、管理が煩雑となっていた。
また、各部品ごとに取り付ける作業が必要となるため、工数が多くなり、時間がかかっていた。
【0007】
これに対し、特許文献2に記載の技術(文献技術2)は、部品数が一つであるため、文献技術1が有する問題を解消している。
ところが、文献技術2は、コネクタカバーの内面の下方に形成された突起部をコネクタの底面縁部に係止させることで、コネクタカバーが外されるのを防止していた。このため、先端が鉤状の棒をコネクタカバーの底部から挿入し、突起部が底面縁部から外れる方向に鉤棒を引きつつコネクタカバーを上方へ持ち上げれば、このコネクタカバーを外すことができた。
そうすると、コネクタへの不正行為が可能となり、コネクタカバーを取り付ける意味がなくなっていた。
【0008】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、コネクタカバーの取り外しを困難にして、コネクタに不正部品を取り付ける行為を確実に防止するコネクタカバー及び遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため、本発明のコネクタカバーは、コネクタの一部に係止するツメ部を有したコネクタカバーであって、コネクタが、基板に実装された基板側コネクタと、ワイヤハーネスの端部に接続されたハーネス側コネクタとを有し、基板側コネクタが、嵌合されたハーネス側コネクタをロックするレバーを有し、ツメ部が、コネクタカバーの側面内側から突設形成された平板バネであるとともに、レバーのロック解除を妨げる箇所に位置する構成としてある。
【0010】
また、本発明の遊技機は、上記のコネクタカバーを備えた構成としてある。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコネクタカバー及び遊技機によれば、ツメ部が平板バネで形成されているため、このツメ部に荷重し、係止を解除しなければ、コネクタカバーを取り外すことができない。しかも、ツメ部は、コネクタカバーの内側面に突設形成されているので、コネクタカバーがコネクタに装着された状態では、針金などをツメ部に到達させるのは困難である。これにより、コネクタに不正部品を取り付ける行為を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の遊技機(スロットマシン)の構成を示す外観斜視図である。
【図2】主基板が収納された基板ケースの構成を示す外観斜視図である。
【図3】コネクタ及びコネクタカバーの構成を示す外観斜視図である。
【図4】基板側コネクタにハーネス側コネクタが嵌合された状態を示す外観斜視図である。
【図5】コネクタにコネクタカバーが装着された状態を示す外観斜視図である。
【図6】コネクタカバーの長手方向の縦断面における構造を示す断面図である。
【図7】コネクタにコネクタカバーが装着された状態における長手方向の縦断面の構造を示す断面図である。
【図8】コネクタカバーの水平断面(図6のI−I断面)における構造と、基板側コネクタのレバーのアーム部の位置を示す断面図である。
【図9】コネクタカバー及び閉塞部材の構成を示す外観斜視図である。
【図10】コネクタカバーの水平断面(図6のII−II断面)における構造と、基板側コネクタのレバーのヘッド部の位置を示す断面図である。
【図11】コネクタカバーの他の構成を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るコネクタカバー及び遊技機の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
[実施形態]
まず、本発明のコネクタカバー及び遊技機の実施形態について、図1を参照して説明する。
同図は、本実施形態の遊技機であるスロットマシンの構成を示す外観斜視図である。
【0015】
遊技機には、パチンコ機、スロットマシン、アレンジボール、雀球など様々な機類があるが、本実施形態では、メダルを遊技媒体とするスロットマシンに本発明の遊技機用基板ケースを適用した場合について説明する。
【0016】
(I)スロットマシン
図1に示すように、スロットマシン100は、複数のリール110a,110b,110cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができる回胴式遊技機を構成している。
スロットマシン100は、必要な機械、装置等を収納する正面側が開口した筐体100bと、筐体100bの正面側を開閉可能に覆う前扉100aとで構成されている。
前扉100aは、筐体100bにヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられる扉体で、この前扉100aに各リール110の回転を始動させるスタートレバーや、回転している各リール110を停止させる3つの停止ボタンなどの複数の操作手段が設けられて、スロットマシン100の正面部を構成している。
【0017】
筐体100bの中央には、リール110a,110b,110cと、各リール110を回転可能に支持する図示しないモータ及び回転位置を検出するセンサ等が設けられている。
また、筐体100bの下部には、メダルの貯留・払出しを行うメダル払出装置120が設けられる。
筐体100bの上部には、所定のプリント基板が収容された基板ケース130が設けられている。
【0018】
基板ケース130は、上記の各操作手段からの信号に基づき、各リール110、メダル払出装置120などの各装置を制御することで、スロットマシン遊技の進行制御を行う、いわゆる主基板140が収容されている。
主基板140は、各リール110に停止表示される図柄の組合せを判定し、所定の図柄の組合せのときには、メダル払出装置120に対して所定数のメダルを払い出させる制御を行う。
【0019】
このような構成からなるスロットマシン100は、主基板140により、以下のように制御されてスロットマシン遊技が進行する。
まず、遊技者によりメダルが投入され、スタートレバーが操作されると、主基板140は、各リール110を回転させる制御を行うとともに、ボーナスや小役等を抽せんする内部抽せんを行い、各停止ボタンが押下操作されたタイミングに基づき、抽せん結果に応じた図柄の組合せで停止するよう、回転している各リール110の停止制御を行う。
【0020】
このようなスロットマシン遊技の進行を制御する主基板140には、CPU(中央演算処理装置)、ROM及びRAMなどの記憶手段、I/OインターフェイスなどのIC部品、抵抗、コンデンサ、トランジスタなどの様々な電子部品などが実装されている。
また、主基板140には、スロットマシン100内の種々の装置と接続するための基板側コネクタ160が実装されている(図2参照)。
この基板側コネクタ160に対しては、外部からハーネス側コネクタ150が接続される(図4参照)。このため、主基板140を収容する基板ケース130は、基板側コネクタ160の実装部分が開口になっている。
【0021】
ところで、主基板140では、基板側コネクタ160からハーネス側コネクタ150を取り外し、ここに不正基板等の不正部品を取り付けて、スロットマシン100における遊技特性(例えば、出玉率)を変更し、メダルを不正に払い出させるという行為が行われてきた。
そこで、本実施形態の遊技機100は、取り外し困難なコネクタカバー10をコネクタAに装着することで、不正部品の取り付けを不可能とした。
以下、本実施形態のコネクタAとコネクタカバー10の構成について、図3〜図10を参照しつつ説明する。
【0022】
(II)コネクタA
コネクタAは、図3に示すように、ハーネス側コネクタ150と、基板側コネクタ160とを有している。
なお、図3は、ハーネス側コネクタ150、基板側コネクタ160、コネクタカバー10の各構成を示す外観斜視図である。
【0023】
ハーネス側コネクタ150は、ワイヤハーネス170の端部に接続されており、ワイヤハーネス170の各線と基板側コネクタ160の各ピン164とを対応付けて接続するための部品である。
このハーネス側コネクタ150は、所定長さの三本の角棒部材151を平行にして三段に積み上げたものであり、一段目の角棒部材151−1と二段目の角棒部材151−2との間、そして、二段目の角棒部材151−2と三段目の角棒部材151−3との間に、ワイヤハーネス170を挟み込んでいる。
【0024】
また、ハーネス側コネクタ150は、一段目の角棒部材151−1の底面に所定数のピン用穴(図示せず)を有しており、基板側コネクタ160のピン164と接続される。
さらに、三段目(最上段)の角棒部材151−3の上面の両端には、凹部152が形成されている。この凹部152には、基板側コネクタ160の係止部163−6が係止するようになっている。これにより、基板側コネクタ160の本体部162に嵌合したハーネス側コネクタ150が保持される。
【0025】
ワイヤハーネス170は、複数本の電線を同一面上で平行に配置して、フラットケーブルとして形成したものである。
このワイヤハーネス170は、先端が、ハーネス側コネクタ150の一段目の角棒部材151−1と二段目の角棒部材151−2との間に挟まれて接合され、上方に折り返された後、ハーネス側コネクタ150の二段目の角棒部材151−2と三段目の角棒部材151−3との間に再び挟み込まれて接合されている。
【0026】
基板側コネクタ160は、主基板140(またはサブ基板(図示せず))に実装されており、底部165に配置された複数の接続ピン166を介して、主基板140に実装された回路に接続されている。
この基板側コネクタ160は、上面に開口161が形成された横長で箱状の本体部162と、この本体部162の両側面に取り付けられたレバー163を有している。
本体部162は、内部に複数本のピン164が立設しており、開口161からは、ハーネス側コネクタ150が嵌め込み可能になっている。これにより、基板側コネクタ160のピン164がハーネス側コネクタ150のピン用穴に挿入され、ワイヤハーネス170との間で電気的に導通可能となる。
【0027】
レバー163は、図4に示すように、ハーネス側コネクタ150が本体部162に嵌め込まれたときに、そのハーネス側コネクタ150を両端から押さえ込んで保持するためのロック部材である。
このレバー163は、図3に示すように、ヘッド部163−1と、アーム部163−2と、回動軸163−3とを有している。
ヘッド部163−1は、レバー163を開閉操作するために、人が指でつまんだり押したりする部分である。
【0028】
このヘッド部163−1は、底面163−4でアーム部163−2と接合している。そして、この底面163−4において、アーム部163−2が接合していない部分は、段差163−5となっている。
段差163−5は、ヘッド部163−1の底面163−4の周縁の一部又は全部に形成されている。この段差163−5を有することで、人が指先を引っかけるなどして、レバー163を操作しやすくしてある。
また、段差163−5には、コネクタカバー10のツメ部11(後述)が係合する。この機能については、後記の「(III)コネクタカバー」で詳述する。
【0029】
さらに、ヘッド部163−1の底面163−4のうち開口161側の辺には、係止部163−6が形成されている。係止部163−6は、底面163−4から下方向に凸状に形成された突設部分である。
この係止部163−6は、ハーネス側コネクタ150の上面両端の凹部152に係止して、このハーネス側コネクタ150を支持する。
【0030】
アーム部163−2は、回動軸163−3に回動可能に取り付けられている。これにより、アーム163−2は、ヘッド部163−1とともに回動する。
回動軸163−3は、ヘッド部163−1及びアーム部163−2が回動するときの軸である。この回動軸163−3は、両端が本体部162に取り付けられており、中ほどにアーム部163−2が取り付けられている。
【0031】
(III)コネクタカバー
次に、コネクタカバーについて、図3、図5〜図7を参照して説明する。
図5は、コネクタAにコネクタカバーを装着した状態を示す外観斜視図である。図6は、コネクタカバーの長手方向における縦断面の構造を示す断面図である。図7は、コネクタにコネクタカバーを装着したときの長手方向における縦断面の構造を示す断面図である。
図3、図5〜図7に示すように、コネクタカバー10は、閉塞部材15(後述)を除き全体が一体形成されている。そして、コネクタカバー10は、図5に示すように、ハーネス側コネクタ150が嵌合された基板側コネクタ160の上面及び側面のほとんどと、正面及び背面の上方を覆う形状となっている。
【0032】
また、コネクタカバー10は、コネクタAに装着された状態において、コネクタAとの隙間から針金などの不正工具が挿入されないように、内部形状がコネクタAの外形に近似した形状としてある。
【0033】
さらに、コネクタカバー10は、コネクタAに装着されると、破壊しない限り、取り外すことはできない。この取り外しを困難とするための構造として、ツメ部11やレバー当接部12を有している(図6参照)。
また、破壊されたことを発見可能とするための切断部13、そして、ツメ部11を形成するために穿設された孔14、この孔14を塞ぐための閉塞部材15などを有している(図3参照)。
これら、本実施形態のコネクタカバー10の特徴について、順次説明する。
【0034】
(III−1)ツメ部
このコネクタカバー10は、図6に示すように、側面16の内側17にツメ部11を有している。
ツメ部11は、側面内側17の下部から斜め上方向に向かって突設形成された平板バネである。
【0035】
このツメ部11は、該コネクタカバー10が基板側コネクタ160に取り付けられるときと取り付けられていないときで、その状態が異なる。
例えば、該コネクタカバー10が基板側コネクタ160に取り付けられていないとき、つまり、荷重がないとき、ツメ部11は、突設方向が側面内側17の下部から斜め上方向となっている(図6参照)。
該コネクタカバー10が基板側コネクタ160に取り付けられる際、ツメ部11は、基板側コネクタ160のヘッド部163−1に接する。この場合、ツメ部11は、ヘッド部163−1からの荷重により側面内側17の方へ押されて、突設方向がほぼ上方向となる。この状態で、ツメ部11は、ヘッド部163−1からの荷重により弾性エネルギーを蓄勢する。
【0036】
該コネクタカバー10が基板側コネクタ160に取り付けられる際、ツメ部11の先端11−1がヘッド部163−1の底面163−4の段差163−5に達すると、ヘッド部163−1からの荷重がなくなる。この場合、ツメ部11は、それまで蓄勢していた弾性エネルギーにより元の状態に戻り、突設方向が側面内側17の下部から斜め上方向となる(図7参照)。
こうして、該コネクタカバー10が基板側コネクタ160に取り付けられると、ツメ部11の先端11−1がヘッド部163−1の底面163−4の段差163−5に係止する。この係止は、段差163−5の下方にツメ部11の先端11−1が位置するだけでなく、そのツメ部11の先端11−1が段差163−5の奥まで達したかたちとなっている。これは、ツメ部11がコネクタカバー10の側面内側17の下部から斜め上方向に突設形成されたためであり、これにより、コネクタカバー10の取り外しを困難とする要因となっている。
【0037】
こうしてコネクタカバー10を取り付けた後、今度は基板側コネクタ160から取り外すために、このコネクタカバー10を上方(コネクタ10の装着方向とは反対の方向)へ持ち上げようとすると、ツメ部11が上方にある段差163−5に引っ掛かってしまい、このままでは、コネクタカバー10を取り外すことはできない。
ここで、特許文献2の問題点を説明したときに挙げた針金を使って、コネクタカバー10を取り外すことが考えられる。
【0038】
例えば、先端が鉤状の針金をコネクタカバー10の側面16の底部から挿入する。そして、ツメ部11が段差163−5から外れる方向に針金を引いてみる。そうすると、側面16の下部とこれに繋がるツメ部11の付け根部分が外方に引っ張られるだけであって、ツメ部11の先端11−1は段差163−5に係止したままとなる。
また、針金の先端がツメ部11に達したとしても、ツメ部11の付け根部分を支点とし、ツメ部11の先端11−1を力点として、このツメ部11の先端11−1を側面内側17に押し付けることは、針金の操作では到底できない。
このように、コネクタカバー10は、針金などを用いても取り外すことができない。このことから、コネクタAに不正部品を取り付ける行為を確実に防止できる。
【0039】
さらに、図8に示すように、ツメ部11の幅w1は、基板側コネクタ160のアーム部163−2の幅w2よりも狭くしてある。これにより、ツメ部11の先端11−1が、アーム部163−2の側方からはみ出す部分がなくなる。
このことから、例えば、外部から細い針金のようなものをコネクタカバー10の底部からツメ部11の側方を通して挿入した場合でも、ツメ部11の先端11−1のはみ出した部分をかかり代として、このツメ部11を戻そうとする行為ができなくなる。これにより、コネクタカバー10を取り外して不正基板を取り付ける行為を防止できる。
【0040】
また、ツメ部11は、コネクタカバー10が基板側コネクタ160に装着された状態において、基板側コネクタ160のレバー163がロックを解除するのを妨げる箇所に位置している。
ツメ部11が係止する段差163−5は、ヘッド部163−1の開方向側面163−7の下辺に位置している。つまり、レバー163がロックを解除する方向にツメ部11が位置しているので、レバー163を開こうとしてもツメ部11がつっかえ棒となって開くことができない。これにより、レバー163がロックを解除する方向へ開くのを阻止できる。
【0041】
(III−2)切断部
また、コネクタカバー10は、図3に示すように、本体のほぼ中央に切断部13を有している。
切断部13は、メンテナンス等によりハーネス側コネクタ150を基板側コネクタ160から取り外す必要が生じたときに、このコネクタカバー10を剪断等により分断して、コネクタカバー10の装着を解除するために設けられた剪断部分である。
【0042】
この切断部13は、コネクタカバー10の本体右側と本体左側とを繋ぐように形成されたアーチ型の橋梁部分である。
このように、切断部13をアーチ状に形成したことで、ニッパなどの剪断工具の先端部が挿入しやすくなり、剪断が容易となる。このように切断部13を剪断することで、コネクタロックを解除できる。
【0043】
この切断部13は、コネクタカバー10の上面18に形成された第一切断部13−1と、コネクタカバー10の正面19及び背面20に形成された第二切断部13−2とを有している。
第一切断部13−1は、アーチ状に形成された棒部材を複数本(本実施形態においては、二本)有し、これらを近接して配置してある。これら棒部材の一本一本は、コネクタカバー10の上面18の幅に比べて、径を細くしてある。これにより、切断の際には、切りやすくなる。また、細くすることで、切断面がつぶれやすくなるため、接着剤などにより容易に復元できなくなり、切断されたことを一目で視認できる。
【0044】
第二切断部13−2は、コネクタカバー10の正面19の中央部分、及び、背面20の中央部分を、外方に膨らませた形状(横方向断面がアーチ状の形状)に形成したものである。
この第二切断部13−2のアーチ部分の底部には、図6及び図8に示すように、過挿入防止部13−3が形成されている。これにより、第二切断部13−2に剪断工具の先端が進入した場合に、その先端がワイヤハーネス170に達して、そのワイヤハーネス170が損傷するのを防止できる。
【0045】
なお、第二切断部13−2は、省略することができる。この省略をした場合、第二切断部13−2があった部分は、開口となる。これに伴い、過挿入防止部13−3も省略することができる。
また、切断部13は、本実施形態においては、コネクタカバー10の本体のほぼ中央に位置しているが、本体のほぼ中央に限るものではなく、任意の位置に形成できる。
ただし、切断部13は、開口部を有することから、ツメ部11から遠い位置に設けるのが望ましい。
【0046】
(III−3)孔及び閉塞部材
次に、孔及び閉塞部材について、図9を参照して説明する。
孔14は、金型を用いてコネクタカバー10を樹脂成形する際に、ツメ部11に対応して設けられた孔である。ツメ部11は、側面内側17から上面18の裏側に向かって斜め上方向に突設形成されている。このツメ部11のうち内側側面17に対向する面とその内側側面17とで挟まれた空間は、コネクタカバー10の底部から見ると、∩(積集合)の記号(逆U字の形状)のようにツメ部11の周囲を迂回して折り返したところに位置する空間となっている。こうした空間を金型成形する場合、底部側の金型にその空間に対応する突起部を形成することはできない。そこで、コネクタカバー10の上面18側に位置する金型にその空間に対応する突起部を形成し、この突起部がその空間に到達するように、コネクタカバー10の上面18に孔14を形成するものである。このように、孔14は、ツメ部11を金型成形するのに必要な孔となっている。
【0047】
ここで、孔14を塞がずにそのまま開口した状態で、コネクタカバー10をコネクタAに装着すると、その孔14から針金などを入れられてツメ部11の係止を解除することも可能となってしまう。このことから、この孔14を塞ぐ必要があり、閉塞部材15を嵌め込んで閉塞するものである。この閉塞部材15の嵌合は、コネクタカバー10を製造する段階において行われる。
【0048】
閉塞部材15は、図9に示すように、その側面に、下向きの段差15−1が形成されている。この段差15−1は、閉塞部材15の側面の全体にわたって形成することができる。あるいは、閉塞部材15の側面の一部にのみ形成することができる。
一方、孔14の側面には、フランジ状に上向きの段差14−1が形成されている。この段差14−1は、孔14の側面の全体にわたって形成することができる。あるいは、孔14の側面の一部にのみ形成することができる。
【0049】
閉塞部材15を孔14に嵌め込むとき、この閉塞部材15の段差15−1と孔14の段差14−1とを重ね合わせ、この重なり合った部分を接着剤などで固着する。
このように、孔14と閉塞部材15の双方に段差14−1、15−1を設け、これらを重ね合わせることで、段差がない場合に比べて接触面積が広くなり、接着範囲が広くなるので、接着強度を高めることができる。
【0050】
また、閉塞部材15を孔14に嵌め込んだとき、閉塞部材15の上面15−2(又は、上面15−2の縁部)がコネクタカバー10の本体の上面18と同一面となるように、閉塞部材15の厚さを決める。
これにより、工具などで閉塞部材15を剥がそうとしても、取っ掛かりとなる部分がないため、剥がすことができない。このことからも、不正行為を防止できる。
【0051】
なお、本実施形態においては、孔14の側面と閉塞部材15の側面の双方に段差14−1、15−1を設ける構成としたが、段差に限るものではなく、例えば、傾斜(テーパ)を設けることができる。
傾斜は、孔14の側面と閉塞部材15の側面の両方に形成される。
孔14の側面の傾斜は、下に向かって開口面積が小さくなるように形成される。
一方、閉塞部材15の側面の傾斜も、下に向かって面積が小さくなるように形成される。
このように、孔14と閉塞部材15の双方の側面に傾斜を設け、これらを重ね合わせるようにすることで、傾斜がない場合に比べて接触面積が広くなり、接着範囲が広くなるので、接着強度を高めることができる。
【0052】
(III−4)レバー当接部
次に、レバー当接部について、図6、図10を参照して説明する。
なお、図10は、コネクタカバー10の水平断面(図6に示すII−II断面)を示す図である。
図6、図10に示すように、レバー当接部12は、コネクタカバー10の正面19の両端部及び背面20の両端部の各内側に形成された縦方向の段差部分である。
【0053】
ここで、コネクタカバー10の側面16から見たレバー当接部12間の距離w3は、基板側コネクタ160のヘッド部163−1の幅w4よりも狭くなっている。
これにより、レバー当接部12は、基板側コネクタ160のヘッド部163−1がロックを解除する方向(開方向)へ開くのを阻止する。すなわち、その基板側コネクタ160にコネクタカバー10を装着した場合に、ヘッド部163−1の開方向側面163−7に近接して(又は、接触して)レバー当接部12が位置しており、ヘッド部163−1が少しでも開こうとすると、ヘッド部163−1の開方向側面163−7がレバー当接部12に当接して、それ以上開くことができないようになっている。
【0054】
なお、コネクタカバー10の側面内側17には、ツメ部11が突設形成されているので、レバー当接部12の段差幅は、そのツメ部11に達しない程度の幅となっている。
また、本実施形態において、レバー当接部12は、コネクタカバー10の正面19の両端部及び背面20の両端部の各内側に形成したが、この位置に限るものではなく、例えば、閉塞部材15をΓ(ガンマ)の文字のように形成し、コネクタカバー10の側面内側17に沿ってΓの縦部を孔14から挿入し、その縦部をレバー当接部とすることもできる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態のコネクタカバー及び遊技機によれば、コネクタカバー10の側面内側17に平板バネであるツメ部11を突設形成し、これをコネクタAの一部に係止する構成としたので、コネクタカバー10の底部から鉤状の棒を挿入し操作しても、ツメ部11の係止を簡単に外すことができない。これにより、コネクタカバー10の取り外しを困難にして、コネクタAへの不正部品の取り付けを確実に防止することができる。
【0056】
また、ツメ部11は、コネクタカバー10の側面内側17から斜め上方向に突設形成してあるので、コネクタカバー10の取り外しが非常に困難となり、コネクタAへの不正部品の取り付けをより確実に防止できる。
さらに、切断部13を設けたことで、メンテナンスの際、この切断部13を切断することで、コネクタカバー10を取り外すことができる。
【0057】
しかも、コネクタカバー10の上面18の孔14に閉塞部材15を嵌め込むことで、この孔14に針金を挿入するなどしてコネクタカバー10を取り外す行為を阻止できる。
加えて、ツメ部11の幅をレバー163のヘッド部163−1の幅よりも狭くしたり、コネクタカバー10の正面両端及び背面両端の各内側にレバー当接部12を設けたりすることで、コネクタカバー10の取り外しをさらに困難なものにすることができる。
【0058】
以上、本発明の遊技機及びコネクタカバーの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機及びコネクタカバーは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、基板ケース130に収容するプリント基板を主基板140としたが、スピーカやランプ等を制御する演出用の基板であるサブ基板や、その他の基板を収容することもできる。
【0059】
また、例えば、上述した実施形態では、コネクタカバー10を装着するコネクタAを主基板140に実装されたコネクタAとしたが、これに限るものではなく、サブ基板に実装されたコネクタにコネクタカバー10を装着することもできる。
【0060】
さらに、図5に示す場合においては、コネクタカバー10を基板側コネクタ160に装着したときに、コネクタカバー10の側面16が基板側コネクタ160の側面上部を覆うとともに、コネクタカバー10の正面19及び背面20の側方下部が、基板側コネクタ160の正面及び背面の側方上部を覆う構造としているが、この構造に限るものではなく、図11に示すように、コネクタカバー10の側面16の底部16−1と、正面19及び背面20の側方底部19−1、20−1が、いずれも基板側コネクタ160の底部165又は底部165近く(基板側コネクタ160が主基板140に実装されているときは、主基板140の基板面又はその基板面近く)にまで達し、基板側コネクタ160の側面のほとんどと、正面及び背面の側方のほとんどを覆い隠す構造とすることができる。これにより、コネクタカバー10においては、底部16−1、19−1、20−1とツメ部11との距離を長くできるので、仮に針金などをコネクタカバー10の底部16−1、19−1、20−1から挿入しても、ツメ部11まで達するのが困難となることから、針金等によるツメ部11の操作を不能にして、不正にコネクタカバー10を取り外すのを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、遊技機に使用されるコネクタカバーに広く利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
10 コネクタカバー
11 ツメ部
12 レバー当接部
13 切断部
13−1 第一切断部
13−2 第二切断部
13−3 過挿入防止部
14 孔
15 閉塞部材
16 側面
17 側面内側
100 スロットマシン(遊技機)
140 主基板
150 ハーネス側コネクタ
160 基板側コネクタ
163 レバー
163−5 段差
170 ワイヤハーネス
A コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタの一部に係止するツメ部を有したコネクタカバーであって、
前記コネクタが、基板に実装された基板側コネクタと、ワイヤハーネスの端部に接続されたハーネス側コネクタとを有し、
前記基板側コネクタが、嵌合された前記ハーネス側コネクタをロックするレバーを有し、
前記ツメ部が、前記コネクタカバーの側面内側から突設形成された平板バネであるとともに、前記レバーのロック解除を妨げる箇所に位置する
ことを特徴とするコネクタカバー。
【請求項2】
前記ツメ部の幅が、前記レバーの幅よりも狭い
ことを特徴とする請求項1記載のコネクタカバー。
【請求項3】
前記コネクタカバーの内面に、前記レバーの開方向側面が当接するレバー当接部を有した
ことを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタカバー。
【請求項4】
剪断されると前記コネクタカバーの本体が分断し該コネクタカバーの装着を解除可能とする切断部を有し、
この切断部が、所定の剪断工具を挿入して剪断可能なアーチ状に形成された
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコネクタカバー。
【請求項5】
前記切断部が、径の細い複数の棒部材で形成された第一切断部を有し、
前記複数の棒部材が、互いに近接して配置された
ことを特徴とする請求項4記載のコネクタカバー。
【請求項6】
前記切断部が、前記コネクタカバーの本体の正面及び/又は背面に形成された第二切断部を有し、
剪断工具の過挿入によりワイヤハーネスが損傷するのを防止する過挿入防止部を、前記第二切断部のアーチ部分の底部に設けた
ことを特徴とする請求項4又は5記載のコネクタカバー。
【請求項7】
金型成形により前記ツメ部を形成するために前記コネクタカバーの本体の上面に形成された孔と、
この孔を塞ぐ閉塞部材とを有し、
前記孔の側面に上向きに形成された段差と、前記閉塞部材の側面に下向きに形成された段差とを重ね合わせ、この重ね合わせ部分を接着して、前記閉塞部材を前記孔に固着した
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のコネクタカバー。
【請求項8】
前記コネクタカバーを前記基板側コネクタに装着したときに、前記ツメ部を囲む、前記コネクタカバーの側面と該コネクタカバーの正面及び背面の側方底部が、前記基板側コネクタの底部又は底部近くに達する形状に形成された
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のコネクタカバー。
【請求項9】
前記請求項1〜8のいずれかに記載のコネクタカバーを備えた
ことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−92260(P2011−92260A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246654(P2009−246654)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】