説明

コネクタ構造

【課題】容器内の残液量を最小限に抑えることができるコネクタ構造を提供すること。
【解決手段】容器1の開口部2に取り付けられ、容器1内に導入した気体の圧力で容器1内の液体を取り出すサイフォン管11を備えているコネクタ構造において、気体を導入するガス流路12及び液体を取り出す液体流路13がプラグ部40とソケット部20との連結により形成され、サイフォン管11の軸線Csと容器1の軸線Cvとの間に所望の傾斜角度θを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば薬液等の液体が入った容器から液出しする際に使用されるコネクタ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体高純度薬品や一般化学薬品等の液体は、生産工場にてガラス瓶やタンクなどの容器に充填され、この容器に形成された開口部に蓋を取り付けた状態で出荷されている。このような容器中に収容された液体を取り出すため、内部に空気等の気体を導入してその圧力により液体を容器外へ送り出すサイフォン管方式が知られている。
この方式では、容器の開口部に取り付けられていた蓋を取り外した後、容器の開口部に液体流路となるサイフォン管及び気体流路を備えたプラグが取り付けられる。そして、液体を取り出すためのチューブと、気体を導入するためのチューブとをそれぞれ連結可能なソケットをプラグに嵌合することにより、容器の開口部に取り付けられたプラグ及びソケットには、液体を取り出すための主流路及び気体を導入するための副流路が形成される。
【0003】
上述したソケット及びプラグにおいては、ソケットをプラグにワンタッチで接続可能な連結装置(コネクタ構造)が知られている。
また、ソケットとプラグとが嵌合した状態で両者の間に環状流路を形成し、この環状流路を介してソケット側の流路とプラグ側の流路とが任意のねじれ角度で連通可能となるように構成され、たとえば液体と気体のように、容器の開口部で異なる種類の流体流路を容易に連結して作業効率の向上を実現した連結装置が開示されている。(たとえば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−192099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来のコネクタ構造は、開口部から挿入されるサイフォン管が容器の軸線と略一致するとともに、サイフォン管の下端部と容器底面との間に液体取出用の隙間が形成されているため、容器内の液体残量が少なくなってサイフォン管の下端部が露出すると取り出しが困難になる。このため、取出不能となって容器内の略平坦な底面全域にわたって残る残液量が生じ、容器内の液体を無駄なく使用することができないという問題を有している。特に、取り扱う液体がたとえばレジスト等のように高価な薬品等である場合、コストに及ぼす影響が大きいことから溶液内の残液量を最小限に抑えて有効に使用することが望まれる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、容器内の残液量を最小限に抑えることができるコネクタ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明に係るコネクタ構造は、容器の開口部に取り付けられ、容器内に導入した気体の圧力で容器内の液体を取り出すためのサイフォン管を備えているコネクタ構造において、
前記気体を導入する流路及び前記液体を取り出す流路がプラグ部とソケット部との連結により形成され、前記サイフォン管の軸線と前記容器の軸線との間に所望の傾斜角度を設けたことを特徴とするものである。
【0006】
このようなコネクタ構造によれば、気体を導入する流路及び液体を取り出す流路がプラグ部とソケット部との連結により形成され、サイフォン管の軸線と容器の軸線との間に所望の傾斜角度を設けたので、傾けた状態の容器内にサイフォン管を略鉛直に挿入し、液体を低部に集めた状態にして取り出すことができる。
【0007】
上記のコネクタ構造において、前記傾斜角度は、鉛直とした前記サイフォン管の軸線と、容器内最低底面近傍に前記サイフォン管の下端部が位置するよう傾斜させて設置した前記容器の軸線との角度であることが好ましく、これにより、容器内の液体を傾斜した容器内最低底面近傍に集めて略全量を取り出すことができる。
【0008】
また、上記のコネクタ構造において、前記サイフォン管の固定位置を鉛直方向に調整する高さ調整手段を備えていることが好ましく、これにより、容器の個体差に対応してサイフォン管の挿入量(挿入高さ)を調節し、サイフォン管の下端部が容器内最低面に最も近づくように固定することができる。
【0009】
また、上記のコネクタ構造において、前記ソケット部は、前記プラグ部を挿入する凹部を上向きに開口して前記容器開口部に固定されていることが好ましく、これにより、着脱時に生じるプラグ部からの液垂れをソケット部で受けることができる。
この場合、前記ソケット部と前記プラグ部との間に中間コネクタを配設し、該中間コネクタが、前記プラグ部を挿入する凹部を上向きに開口して前記ソケット部に連結されるものでもよい。
【発明の効果】
【0010】
上述した本発明によれば、傾けた状態の容器内にサイフォン管を略鉛直に挿入して液体を取り出すことができるので、取出不能となって容器内に残る残液量を最小限に抑え、容器内の液体を無駄なく有効に使用することができる。特に、取り扱う液体が高価な薬品等の場合には、残液量の低減により製造コストの低減が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係るコネクタ構造の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から図4に示す第1の実施形態において、薬品等の液体を充填する容器(たとえばガラス瓶や樹脂タンク等)1は、上部に設けられた充填及び取出用の開口部2を備えている。この容器1内から液体を取り出す場合には、たとえば図1に示すように、開口部2に取り付けたコネクタ10のサイフォン管11を容器1内の底面近傍まで挿入して使用するサイフォン管方式が採用されている。このサイフォン管方式は、容器1内に導入した空気やガス等の気体圧力により液面を押圧し、サイフォン管11の下端部に設けた開口から容器1内の液体を取り出すように構成されている。
【0012】
コネクタ10は、上述したサイフォン管11に加えて、ソケット部20とプラグ部40とを備えている。そして、容器1の開口部2に取り付けられるソケット部20と、サイフォン管11を支持したプラグ部40とが一体に連結されることにより、容器1内に気体を導入するためのガス流路12及び容器1内から液体を取り出すための液体流路13が形成される。
【0013】
ソケット部20は、容器1の開口部2に対して着脱可能に取り付けられる略円柱形状の部材であり、その上端面と下端面とは、互いに平行な状態から後述する傾斜角度θだけずれた形状とされる。
ソケット部20の上端面には、軸中心付近にプラグ部40を連結するための凹部21が形成されている。この凹部21は、上端面と直交する軸線Csに沿って形成された略円柱状の空間であり、ソケット部20を容器1の開口部2に取り付けた状態では、その軸線が容器1の軸線Cvから傾斜角度θだけずれたものとなる。また、ソケット部20には、凹部21の底面中心から下端面側へ、上述した軸線Csに沿って貫通する円形断面の貫通孔22が設けられている。この貫通孔22は、サイフォン管11を容器1内へ通すための通路となるので、上述した軸線Csは、凹部21及びサイフォン管11に共通した軸線となる。
【0014】
さらに、ソケット部20には、開口部2の断面形状に合わせて下端面に突設した挿入凸部23と、後述するアジャストナット50によりプラグ部40を連結して固定するため、上部外周面に形成した外ネジ部24とが設けられている。
挿入凸部23は、容器1の開口部2に挿入される円形断面の突出部分である。この挿入凸部23は、軸線を軸線Csからθ傾斜させるとともに、ソケット部20の本体外径より小径とされる。この結果、挿入凸部23の上端部には、水平方向外側へ向けた段差面25が形成される。なお、図中の符号26はソケット部20の外周面から外向きに突出して設けられた鍔部、27は挿入凸部23の上端部付近に取り付けたパッキンである。
【0015】
プラグ部40は、各々独立したガス流路12及び液体流路13が内部に形成された略L字状に曲がった部材である。このプラグ部40は、サイフォン管11を取り付けた一端がソケット部20に連結され、他端には着脱自在のクイックコネクタ60が連結される。
サイフォン管11は、リング14及びシールナット15を用い、互いの連結部を密封して液体流路13の一端部側(ソケット20側)に固定支持されている。すなわち、この実施形態ではサイフォン管11に樹脂チューブを使用し、リング14及びシールナット15を用いる銅管等チューブ類の一般的な連結構造が採用されている。
【0016】
プラグ部40の他端は、たとえば図4に示すクイックコネクタ60の凹部61と嵌合する凸部41とされる。この凸部41には、クイックコネクタ60の嵌合状態を維持するための係止凹部42が設けられている。
プラグ部40は、アジャストナット50を用いてソケット部20に固定される。アジャストナット50には、中心部を貫通しているソケット部20の外ネジ部24と螺合する内ネジ部51と、プラグ部40に形成された小径部の高さ調整用凹部43に係止される鍔状の係止部52とを備えている。この係止部52は、上述した調整用凹部43と協働して後述する高さ調整手段として機能する。なお、図中の符号53は、シール部材として機能するフェラルである。
【0017】
こうしてプラグ部40と一体化したソケット部20は、鍔部26の外側にコネクタ10を容器1に螺合させるためのボトルキャップ30が取り付けられる。このボトルキャップ30は略円筒状の部材であり、中空内面31の下端部側には容器1の外ネジ2bと螺合する内ネジ部31aが形成されている。また、中空内面31の上端部側は、ソケット部20及び鍔部26を収納可能な空間とされ、その内径は内ネジ部31aより大きな値に設定されている。
そして、サイフォン管11及びプラグ部40と一体化されたソケット部20は、サイフォン管11がボトルキャップ30の中空内面31を貫通した状態とされ、上部から被せたキャップリング32を複数のキャップスクリュー33で固定して抜け止めされる。この結果、ソケット部20は、内ネジ部31aの上部においてキャップリング32との間を鍔部26がスライド可能な状態で、ボトルキャップ30の中空内面31内の空間に収納されて一体化する。
【0018】
クイックコネクタ60は、たとえば図4に示すように、プラグ部40の凸部41と凹部61とが所定の嵌合状態で係止凹部42に入り込み、軸方向の移動を阻止する係止爪62を備えている。この係止爪62は、上向きの付勢を与えて係止状態を維持するコイルスプリング63を備えているので、この付勢に抗してコイルスプリング63を圧縮するように押し下げれば、係止爪62を下方へ移動させて係止凹部42との係止を外すことが可能になる。この結果、嵌合状態にあるクイックコネクタ60をプラグ部40から取り外し、互いに分離させることができる。なお、クイックコネクタ60をプラグ部40に嵌合させる場合には、係止爪62の先端に傾斜面を形成することにより、挿入とともに係止爪62が押し下げられて自動的に係止状態となる。
【0019】
上述したクイックコネクタ60は、外部の供給源から加圧用のガスを導入してガス流路12に導くガス供給接続口64を備えている。また、クイックコネクタ60には、液体流路13に連結されて容器1内から取り出した液体を使用場所まで導く配管3がナット4によって接続されている。なお、図中の符号66,67は、ガス流路12と液体流路13との間を分離するために設けられたシール用のOリングである。
【0020】
上述した構成のコネクタ10について、容器1への着脱操作及び液体の取出操作を作用とともに説明する。
最初に、容器1の開口部2に取り付けられている蓋(不図示)を取り外し、コネクタ10を取り付ける。このとき、コネクタ10はソケット部20とプラグ部40とがアジャストナット50により一体化された状態にあるので、サイフォン管11を容器1内に挿入してボトルキャップ30の内ネジ部31aを開口部2の外ネジ部2bに螺合させて固定する。この結果、ソケット部20の挿入凸部23が開口部2内に挿入されて位置決めし、パッキン27が開口部2の上端面2aに押圧されて容器1の内部を密封する。
【0021】
こうして取り付けられたコネクタ10は、サイフォン管11の軸線Csが容器1の軸線Cvから傾斜角度θずれているので、サイフォン管11を略鉛直にすれば容器1が傾斜した状態となる。従って、適当な固定手段(不図示)を用いて容器1を鉛直から傾斜角度θだけ傾斜させた状態に保持した後、アジャストナット50の締め付けを緩めてサイフォン管11の高さ調整を調整代L(図2参照)の範囲内で実施することにより、傾斜した容器1の最も低い底面位置近傍にサイフォン管11の下端部を位置合わせして開口させることができる。すなわち、容器1の個体差に応じて異なる底面位置に対し、サイフォン管11と一体のプラグ部40を上下にスライドさせることにより、サイフォン管11の挿入量を調整して最適化することができる高さ調整手段となる。
なお、サイフォン管11の挿入量を調整した後、アジャストナット50をソケット部20に締め付けてプラグ部40を固定すると、フェラル53が圧縮されてシール機能を発揮する。
【0022】
続いて、容器1の開口部2に取り付けられたコネクタ10に対し、クイックコネクタ60を横方向から連結する。このような横方向の連結が可能な構造は、容器1の上方スペースに制限がある場合に有効である。このクイックコネクタ60の連結により、容器1内の液体を取り出す準備は完了するので、ガス供給源(不図示)のバルブを開いてガス供給を開始する。
ガス供給が開始されると、液面加圧用のガスがガス供給接続口64からクイックコネクタ60のガス流路12に導入される。このガスは、クイックコネクタ60と連結されたプラグ部40内のガス流路12を通り、たとえば図3に示すように、シールナット15の上端面に形成された凹部通路16に導かれる。この凹部通路16は、シールナット15を用いた連結により塑性変形したサイフォン管11の外側全周に形成されている。
【0023】
また、シールナット15の適所には、上下方向に貫通する少なくとも1つの貫通孔17が設けられている。このため、凹部通路16に導入されたガスは、図中に矢印gで示すように、貫通孔17を通ってシールナット15の下面側に流入する。そして、このガスは、シールナット15の下面とソケット部20の凹部21との間に形成される空間、及びサイフォン管11と貫通孔22との間に形成される空間をガス流路として利用し、容器1内の液面上に形成された空間に導かれる。
こうして容器1内の圧力が上昇すると、液面を押圧された液体がサイフォン管11の下端部からサイフォン管内部に押し上げられ、図中に白抜き矢印で示すように上向きに流れて、プラグ部40の液体流路13に流入する。この液体は、さらにクイックコネクタ60の液体流路13及び配管3を通って所望の使用場所へ供給される。
【0024】
このような液体の取出操作において、容器1内の液体残量が少なくなると、容器1が角度θの傾斜をして保持されているため、液体は容器底面の最も低い位置に集まってくる。そして、サイフォン管11の下端部が容器1内で最も低い底面位置近傍に開口しているので、液面がサイフォン管11の開口より低い位置に下がるまで、サイフォン管方式により容易かつ確実に液体を取り出すことができる。
すなわち、上述したコネクタ10を用いることにより、サイフォン管11を通して容器1内の液体を取り出すサイフォン管方式において、容器1を傾斜させた状態に保持して略鉛直方向にサイフォン管11を挿入し、傾斜した容器の最低底面位置近傍に液体を集めて液出しすることで、容器1内の液体残量を最小限に抑えることが可能になる。
【0025】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態を図5及び図6に基づいて説明する。なお、上述した第1の実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態のコネクタ10Aでは、上向きに開口するソケット部20Aの凹部21Aに対し、略L字状のプラグ部40Aを上方から挿入して連結する構成とされる。
【0026】
この場合のサイフォン管11は、リング14及びシールナット15を用いてプラグ部40に取り付けた第1の実施形態と同様の構成を採用し、ソケット部20Aに対して直接取り付けられている。この場合の軸線Csは、上述した第1の実施形態と同様に、容器1の軸線Cvから傾斜角度θだけずれている。
ソケット部20Aの上部に開口する凹部21Aは、プラグ部40Aの凸部41Aを挿入して嵌合させる形状とされ、その内周面にはガス流路と液体流路との間を分離するためのシール部材として、Oリング44,45が取り付けられている。また、このソケット部20Aには、凹部21Aとシールナット15の上端面に形成された凹部通路16との間を連通させるガス流路12が形成されている。なお、凹部通路16から容器1内に導かれるガスの流れは、上述した第1の実施形態(図3参照)と同様の経路となる。
【0027】
一方、プラグ部40Aは、内部にガス流路12及び液体流路13が形成され、水平方向となる凸部41Aの他端側には液体を送出するための配管3がナット4を介して連結されている。また、プラグ部40Aには、外部の供給源から加圧用のガスを導入してガス流路12に導くガス供給接続口46が左右両側面に一対設けられている。このガス供給接続口46は内部で連通しているので、供給源との配管接続が容易ないずれか一方を選択して使用し、他方は盲プラグ等により閉じればよい。このように構成されたプラグ部40Aは、上述した第1の実施形態と略同様のクイックコネクタとして機能するので、以下の説明では、配管3を含むプラグ部40Aを総称してクイックコネクタ60Aと呼ぶことにする。
【0028】
以下、上述した構成のコネクタ10Aについて、容器1への着脱操作及び取出操作を作用とともに説明する。
この場合、サイフォン管11を取り付けたソケット部20Aは、キャップリング32によりボトルキャップ30と一体化されているので、開口部2から容器1内にサイフォン管11を挿入した後、ボトルキャップ30を開口部2の外ネジ2bにねじ込んで固定する。この後、クイックコネクタ60Aをソケット部20Aに連結するため、凹部21Aにプラグ部40Aの凸部41Aを挿入して嵌合させる。
【0029】
この結果、プラグ部40Aからソケット部20Aに通じるガス流路12及び液体流路13が形成されるので、容器1内にガスを供給することにより内部の液体がサイフォン管11を通って液体流路13に押し出される。
そして、液体の取出操作が完了した後、たとえば容器1の交換等を目的としてクイックコネクタ60Aを取り外すと、液体流路13内に残る液体が凸部41Aの下端部から垂れることが懸念される。しかし、プラグ部40Aは、ソケット部20Aから上向きに引き抜かれて分離するので、落下した液体を凹部21A内に受け入れて外部への流出を防止することができる。
【0030】
<第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態を図7に基づいて説明する。なお、上述した第1及び第2の実施形態と同様の部材には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態のコネクタ10Bでは、ソケット部20とクイックコネクタ60Bのプラグ部40Bとの間に、サイフォン管11を支持した中間コネクタ70が配設されている。この中間コネクタ70は、容器1内に気体を導入するガス流路12及び容器1内から液体を取り出す液体流路13を備え、かつ、上端部にプラグ部40Bを挿入して連結するための凹部71が上向きに開口するとともに、下端部側をソケット部20に挿入して連結可能な構成とされる。
【0031】
具体的に説明すると、中間コネクタ70は、ソケット部20に連結される下端部側が図1に示したプラグ部40と同様の構成とされる。一方、クイックコネクタ60Bのプラグ部40Bが挿入される中間コネクタ70の上端部側は、図5に示したソケット部20Aと同様に、上向きの凹部71が開口した構成とされる。
また、中間コネクタ70には、凹部71の近傍に、プラグ部40Bが凹部71に嵌合した状態を保持するため、所定の嵌合状態でプラグ部40Bの係止凹部42Bに入る込む係止爪72が必要に応じて設けられている。この係止爪72は、図4に示した係止爪62と実質的に同様の構成とされ、コイルスプリング73が軸中心方向への付勢を与えることで係止状態を維持するようになっている。なお、図中の符号74,75は、ガス流路と液体流路との間を分離するためのOリングである。
【0032】
以下、上述した構成のコネクタ10Bについて、容器1への着脱操作及び取出操作を作用とともに説明する。
最初に、容器1の開口部2に取り付けられている蓋(不図示)を取り外し、コネクタ10Bを取り付ける。このとき、コネクタ10Bはソケット部20と中間コネクタ70とがアジャストナット50により一体化された状態にあるので、サイフォン管11を容器1内に挿入してボトルキャップ30の内ネジ部31aを開口部2の外ネジ部2bに螺合させて固定する。この結果、ソケット部20の挿入凸部23が開口部2内に挿入されて位置決めし、パッキン27が開口部2の上端面2aに押圧されて容器1の内部を密封する。
【0033】
こうして取り付けられたコネクタ10Bは、サイフォン管11の軸線Csが容器1の軸線Cvから傾斜角度θずれているので、サイフォン管11を略鉛直にすれば容器1が傾斜した状態となる。この後、容器1を鉛直から傾斜角度θだけ傾斜させた状態に保持し、アジャストナット50の締め付けを緩めてサイフォン管11の高さ調整を実施すれば、傾斜した容器1の最も低い底面位置近傍にサイフォン管11の下端部を位置合わせして開口させることができる。なお、サイフォン管11の挿入量を調整した後、アジャストナット50をソケット部20に締め付けて中間コネクタ70を固定すると、フェラル53が圧縮されてシール機能を発揮する。
【0034】
続いて、容器1の開口部2に取り付けられたコネクタ10Bに対し、クイックコネクタ60Bを上方から連結する。このとき、係止爪72がプラグ部40Bの係止凹部42Bに入る込むことにより、クイックコネクタ60Bの連結が確実に保持されて容器1内の液体を取り出す準備は完了する。
この結果、クイックコネクタ60Bのプラグ部40Bから中間コネクタ70を介してソケット部20に通じるガス流路12及び液体流路13が形成されるので、上述した第1の実施形態と同様の経路を通って容器1内にガスを供給することにより、容器内部の液体がサイフォン管11を通って液体流路13に押し出される。
そして、液体の取出操作が完了した後、たとえば容器1の交換等を目的としてクイックコネクタ60Bを取り外すと、クイックコネクタ60Bの液体流路13内に残る液体がプラグ部40Bの下端部から垂れることが懸念される。しかし、プラグ部40Bは、中間コネクタ70の凹部71から上向きに引き抜かれて分離するので、落下した液体を凹部71内に受け入れて外部への流出を防止することができる。
【0035】
このように、本発明のコネクタ構造によれば、傾けた状態の容器1内にサイフォン管11を略鉛直に挿入して液体を取り出すことができるので、取出不能となって容器1内に残る残液量を最小限に抑え、容器内の液体を無駄なく有効に使用することができる。特に、取り扱う液体が高価な薬品等の場合には、残液量の低減により製造コストの低減が可能になる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るコネクタ構造の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】図1のコネクタ構造に設けた高さ調整手段を示す要部拡大図である。
【図3】図1のコネクタ構造において、シールナット周辺のガス経路を示す要部拡大断面図である。
【図4】第1の実施形態に使用するクイックコネクタの構成例を示す断面図である。
【図5】本発明に係るコネクタ構造の第2の実施形態を示す断面図である。
【図6】第2の実施形態に使用するクイックコネクタの構成例を示すもので、(a)は一部を断面にした平面図、(b)はプラグ部の内部構造を示す断面図である。
【図7】本発明に係るコネクタ構造の第3の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 容器
2 開口部
2a 上端面
2b 外ネジ
10,10A,10B コネクタ
11 サイフォン管
12 ガス流路
13 液体流路
20,20A ソケット部
21,21A,71 凹部
30 ボトルキャップ
40,40A,40B プラグ部
43 高さ調整用凹部(高さ調整手段)
50 アジャストナット
60,60A,60B クイックコネクタ
70 中間コネクタ
θ 傾斜角度
Cs,Cv 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の開口部に取り付けられ、容器内に導入した気体の圧力で容器内の液体を取り出すためのサイフォン管を備えているコネクタ構造において、
前記気体を導入する流路及び前記液体を取り出す流路がプラグ部とソケット部との連結により形成され、前記サイフォン管の軸線と前記容器の軸線との間に所望の傾斜角度を設けたことを特徴とするコネクタ構造。
【請求項2】
前記傾斜角度は、鉛直とした前記サイフォン管の軸線と、容器内最低底面近傍に前記サイフォン管の下端部が位置するよう傾斜させて設置した前記容器の軸線との角度であることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ構造。
【請求項3】
前記サイフォン管の固定位置を鉛直方向に調整する高さ調整手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のコネクタ構造。
【請求項4】
前記ソケット部が、前記プラグ部を挿入する凹部を上向きに開口して前記容器開口部に固定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコネクタ構造。
【請求項5】
前記ソケット部と前記プラグ部と間に中間コネクタを配設し、該中間コネクタが、前記プラグ部を挿入する凹部を上向きに開口して前記ソケット部に連結されていることを特徴とする請求項4に記載のコネクタ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−297126(P2007−297126A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128921(P2006−128921)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(591257111)サーパス工業株式会社 (60)
【Fターム(参考)】