説明

コネクタ端子の保持部材

【課題】本発明は、回路基板と、コネクタ端子との間の位置決め精度を向上可能なコネクタ端子の保持部材を提供する。
【解決手段】コネクタ端子23の軸方向に延びて形成されてコネクタ端子23と当接する当接部26と、当接部26の一方の端縁からコネクタ端子23の軸方向と交差する方向に突出して形成されたフランジ部27と、フランジ部27に形成されて、コネクタ端子23の軸方向に貫通すると共に、コネクタ端子23が挿通される第1貫通孔28と、当接部26の他方の端縁に設けられて、回路基板13に取り付けられるピン30と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板を含む回路構成体にワイヤーボンディングによって接続されるコネクタ端子の保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、回路基板を含む回路構成体と、相手側コネクタ端子と接続可能なコネクタ端子とを、金属線を介してワイヤーボンディングにより接続する構成として、特許文献1に記載のものが知られている。このものは、表面に導電路が設けられた回路基板と、この回路基板の導電路に金属線を介してワイヤーボンディングによって接続されると共に外部コネクタ端子に接続可能な複数のコネクタ端子と、ケースに組み付けられて複数のコネクタ端子を収容するコネクタハウジングと、を備える。
【特許文献1】特開2001−143824公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の構成によると、複数のコネクタ端子は、ケースに取付けられたコネクタハウジングに収容されることによって位置決めされている。そして、回路基板はケースに組み付けられている。このため、回路基板の導電路と、コネクタ端子との間の位置決め誤差は、ケースに対する回路基板の組み付け公差、ケースに対するコネクタハウジングの組み付け公差が合算されたものになる。この結果、回路基板の導電路と、コネクタ端子との間の位置決め誤差が比較的に大きくなるという問題がある。
【0004】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、回路基板と、コネクタ端子との間の位置決め精度を向上可能なコネクタ端子の保持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、回路基板を含む回路構成体にワイヤーボンディングにより接続されると共に相手側コネクタ端子と接続可能な複数のコネクタ端子を配列させた状態で保持する保持部材であって、前記コネクタ端子の軸方向に延びて形成されて前記コネクタ端子と当接する当接部と、前記当接部から前記コネクタ端子の軸方向と交差する方向に突出して形成されたフランジ部と、前記フランジ部に形成されて、前記コネクタ端子の軸方向に貫通すると共に、前記コネクタ端子が挿通される第1貫通孔と、前記当接部に設けられて、前記回路基板に取り付けられる取り付け部と、を有する。
【0006】
本発明によれば、複数のコネクタ端子のアライメントを保持した状態で、回路基板と、コネクタ端子とを、ワイヤーボンディングによって接続することができる。また、保持部材は回路基板に取り付けられるので、保持部材が他の部材に取り付けられる場合に比べて、回路基板と、コネクタ端子との間の位置決め精度を向上させることができる。
【0007】
本発明の実施態様としては、以下の構成が好ましい。
前記取り付け部は、前記回路基板に形成された第2貫通孔に挿通されるピンとしてもよい。
【0008】
上記の構成によれば、保持部材のピンを回路基板の第2貫通孔に挿通することで、保持部材を回路基板に取り付けることができる。
【0009】
前記当接部は、前記取り付け部が前記回路基板に取り付けられた状態で、前記回路基板の板面に交差する方向に複数段に並んで形成されていてもよい。
【0010】
上記の構成によれば、コネクタ端子を、回路基板の板面に交差する方向について複数段に並んで配することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回路基板の導電路と、コネクタ端子との間の位置決め精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明を車両(図示せず)に搭載される電気接続箱10に適用した実施形態1を図1ないし図8を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電気接続箱10は、ケース11内に回路構成体12を収容してなる。この電気接続箱10は、車載電源(図示せず)と、ランプ、ホーン等の車載電装品(図示せず)との間に配設されて、車載電装品に対して通電、及び断電を実行する。なお、以下の説明においては、図1における上側を表側とし、下側を裏側とし、図1における右方を上方とし、左方を下方とし、図6における右方を右方とし、左方を左方とする。
【0013】
図5に示すように、回路構成体12は、回路を含む回路基板13と、この回路基板13に実装された電子部品14と、を含む。回路基板13の表面(図5における上面)と、裏面(図5における下面)との双方には、プリント配線技術によって導電路が形成されている。図中、導電路の詳細なパターンについては省略してある。回路基板13の表面及び裏面に形成された導電路には複数の電子部品14が半田付けにより実装されている。
【0014】
図6に示すように、回路基板13は、左右方向(図6における左右方向)にやや細長い矩形状をなしている。回路基板13の表面(図6において紙面を貫通する方向手前側の面)には、矩形状をなした複数のバスバー接続ランド15が、プリント配線技術により形成されている。このバスバー接続ランド15には第1バスバー16及び第2バスバー17が配設されている。図6において左側には第1バスバー16が配されており、右側には第2バスバー17が配されている。第1バスバー16及び第2バスバー17は、バスバー接続ランド15に半田付けされている。
【0015】
第1バスバー16は、金属板材をプレス加工することにより形成される。第1バスバー16は、左右方向(図6における左右方向)に延びる部分と、この左右方向に延びる部分の左端部から上方に延びる部分と、からなる。第1バスバー16のうち左右方向に延びる部分には、複数(本実施形態では4つ)の半導体リレー18の裏面に形成されたドレイン端子が、それぞれ半田付けされている。
【0016】
第2バスバー17は、上下に並んで形成された一対の左右方向(図6における左右方向)に延びる部分と、この一対の左右方向に延びる部分を上下に連結する部分と、左右方向に延びる部分のうち上側に位置するものの右端部から上方に延びる部分と、からなる。第2バスバー17のうち上側に位置して左右方向に延びる部分は、第1バスバー16のうち左右方向に延びる部分と、左右方向について略整合するように配されている。第2バスバー17のうち上側に位置して左右方向に延びる部分には、複数(本実施形態では2つ)の半導体リレー18のドレイン端子が、それぞれ半田付けされている。第2バスバー17のうち下側に位置して左右方向に延びる部分には、複数(本実施形態では4つ)の半導体リレー18のドレイン端子が、それぞれ半田付けされている。
【0017】
各半導体リレー18の上端縁からは、複数(本実施形態では7つ)のリード部19が上方(図6における上方)に突出して形成されている。本実施形態においては、このリード部19のうち右端から4本目まではゲート端子とされており、回路基板13に形成された導電路に半田付けされている。
【0018】
本実施形態においては、各半導体リレー18のリード部19のうち左端から3本目まではソース端子とされている。図7及び図8に示すように、半導体リレー18のソース端子は、金属板材からなる略矩形状をなす中継部材20の表面(図8における上面)のうち、図8における左側の部分に半田付けされている。図8に示すように、この中継部材20の裏面(図8における下面)は、回路基板13の表面(図8における上面)にプリント配線技術により形成された中継ランド21に半田付けされている。
【0019】
また、中継部材20の表面(図8における上面)のうち、図8における右側の部分には、金属線22の一方の端部が公知のワイヤーボンディングによって接続されている。
【0020】
図6に示すように、金属線22の他方の端部は、回路基板13の上端縁に左右方向に並んで配設された複数のコネクタ端子23に、公知のワイヤーボンディングによって接続されている。コネクタ端子23は金属板材をプレス加工することにより形成される。各コネクタ端子23は上下方向(図6における上下方向)に細長い略矩形状をなしている。コネクタ端子23の下端部は、金属線22と接続される接続部24とされる。
【0021】
コネクタ端子23のうち、図6における左端部に位置するコネクタ端子23は、第1バスバー16の上端部と、複数(本実施形態では4本)の金属線22によって接続されている。また、コネクタ端子23のうち図6における右端部に位置するコネクタ端子23は、第2バスバー17の上端部と、複数(本実施形態では3本)の金属線22によって接続されている。
【0022】
コネクタ端子23のうち、図6において左端から2番目に位置するコネクタ端子23は、2つの中継部材20から2本ずつ延びた、合計4本の金属線22と接続されている。また、左右方向の中央付近に位置するそれぞれのコネクタ端子23は、各中継部材20から2本ずつ延びた金属線22と、接続されている。
【0023】
図5に示すように、コネクタ端子23は、回路基板13の上端部に取り付けられた保持部材25に保持されている。保持部材25は合成樹脂材からなる。保持部材25には、コネクタ端子23の軸方向(図5における左右方向)に延びて、表裏方向(図5における上下方向)からコネクタ端子23に当接する当接部26を備える。当接部26は、回路基板13の板面に交差する方向(図5における上下方向)に複数段(本実施形態では2段)に並んで形成されている。
【0024】
当接部26の上端縁(図5における右端縁)には、コネクタ端子23の軸方向と交差する方向(図5における上下方向)に突出するフランジ部27が形成されている。フランジ部27には、回路基板13の板面に沿う方向に貫通する第1貫通孔28が形成されている。詳細には、第1貫通孔28は、コネクタ端子23の軸方向(図5における左右方向)に貫通して形成されている。この第1貫通孔28内には、それぞれコネクタ端子23が挿通されている。これにより、コネクタ端子23は配列した状態で保持部材25に保持されている。
【0025】
図6に示すように、当接部26の下端縁(図6における下端縁)からは、下方(図6における下方)に垂下する複数(本実施形態では4つ)の脚部29が形成されている。図5に示すように、脚部29からは、裏面側(図5における下方)に突出するピン(取り付け部に相当)30が形成されている。ピン30の断面形状は円形状をなしている。このピン30が、回路基板13のうちピン30に対応する位置に形成された、断面形状が円形状をなす第2貫通孔31内に挿通されることにより、保持部材25が回路基板13に取り付けられている。
【0026】
図5に示すように、回路基板13の板面に交差する方向に2段に並ぶコネクタ端子23のうち、回路基板13に近い側に位置するコネクタ端子23の長さ寸法は、回路基板13から離れた位置にあるコネクタ端子23よりも長く設定されている。これにより、保持部材25に保持された状態で、回路基板13に近い側に位置するコネクタ端子23の接続部24は、回路基板13から離れた位置にあるコネクタ端子23の接続部24に対して、回路基板13の板面に交差する方向(図5における上下方向)にずれて位置している。詳細には、保持部材25に保持された状態で、回路基板13に近い側に位置するコネクタ端子23の接続部24は、コネクタ端子23の軸方向(詳細には図5における左方)に突出した状態でずれて位置している。
【0027】
図6に示すように、複数の半導体リレー18は、回路基板13の上端部に取り付けられた保持部材25から離間する方向について間隔を空けて並んで配設されている。詳細には、保持部材25から下方(図6における下方)について、2列に並んで配設されている。図5に示すように、上側(図5における右側)に配された半導体リレー18のリード部19に接続された中継部材20は、コネクタ端子23のうち、回路基板13に近い位置に配されたコネクタ端子23の接続部24と、金属線22によって接続されている。
【0028】
また、下側(図5における左側)に配された半導体リレー18のリード部19に接続された中継部材20は、コネクタ端子23のうち、回路基板13から離れた位置に配されたコネクタ端子23の接続部24と、半導体リレー18のうち上側に位置する半導体リレー18を跨いで配された金属線22によって接続されている。
【0029】
回路構成体12は、この回路構成体12をモールド成形することにより形成された合成樹脂部32によって覆われている。合成樹脂部32には、金属線22が埋設されている。また、合成樹脂部32には、半導体リレー18、第1バスバー16、及び第2バスバー17も埋設されている。
【0030】
合成樹脂部32の外側には、ケース11がモールド成形されている。図5に示すように、合成樹脂部32の外面とケース11の内面とは、密着している。合成樹脂部32は、ケース11を形成する合成樹脂材よりも弾性率の小さな材料で形成されている。
【0031】
図5に示すように、ケース11の上端部(図5における右端部)には、上方(図5における右方)に開口して、図示しない相手側コネクタと嵌合可能なコネクタハウジング33が、ケース11と一体に形成されている。コネクタハウジング33の内部には、コネクタ端子23が、コネクタハウジング33の奥壁を貫通して収容されている。コネクタ端子23は、相手側コネクタに収容された相手側コネクタ端子23(図示せず)と接続可能になっている。保持部材25は、コネクタハウジング33の奥壁の内部に埋設されている。
【0032】
続いて、本実施形態の製造工程の一例を説明する。図1に示すように、回路基板13の表裏両面に、プリント配線技術によって導電路、バスバー接続ランド15、及び中継ランド21を形成する。回路基板13の裏面(図1における下面)に形成された導電路には、電子部品14を例えばリフロー半田付けによって実装する。
【0033】
続いて、回路基板13の表面(図1における上面)に形成した導電路に、電子部品14を載置する。また、回路基板13の表面に形成したバスバー接続ランド15に、第1バスバー16及び第2バスバー17を載置すると共に、中継ランド21に中継部材20を載置する。続いて、例えばリフロー半田付けにより、電子部品14、第1バスバー16、第2バスバー17、及び中継部材20を、導電路及び各ランドに半田付けする。
【0034】
続いて、第1バスバー16及び第2バスバー17の表面(図1における上面)に半導体リレー18のドレイン端子を載置し、中継部材20の表面に半導体リレー18のソース端子を載置し、回路基板13の導電路に半導体リレー18のゲート端子を載置する。続いて、例えばリフロー半田付けすることにより、半導体リレー18の各端子を、第1バスバー16、第2バスバー17、中継部材20、及び導電路に半田付けする。
【0035】
続いて、保持部材25の第1貫通孔28内にコネクタ端子23を挿通する。その後、コネクタ端子23が挿通された保持部材25のピン30を、回路基板13に形成された第2貫通孔31内に、回路基板13の表面側(図2における上側)から挿通する。
【0036】
続いて、図3に示すように、回路基板13に配設された中継部材20と、コネクタ端子23の接続部24とを、ワイヤーボンディングによって金属線22で接続する。ワイヤーボンディングは公知の手法を用いることが可能であり、ボールボンディング、ワイヤーボンディング等を用いることができる。金属線22としては必要に応じて任意の金属を用いることが可能であって、例えばアルミニウム線、金線等を用いることができる。本実施形態のように車載用の電気接続箱10においては、比較的に大きな電流が流れるので、アルミニウム線が好ましい。
【0037】
詳細には、まず、上側(図3における右側)に位置する中継部材20に対して金属線22の一方の端部をワイヤーボンディングによって接続する。続いて、金属線22の他方の端部を、保持部材25において回路基板13に近い位置(図3において下側)に配されたコネクタ端子23の接続部24にワイヤーボンディングによって接続する。
【0038】
続いて、下側(図3における左側)に位置する中継部材20に対して、金属線22の一方の端部をワイヤーボンディングによって接続する。続いて、金属線22を、半導体リレー18を表側方向(図3における上方)に跨ぐように配して、その他方の端部を、保持部材25において回路基板13から離れた位置(図3において上側)に配されたコネクタ端子23の接続部24にワイヤーボンディングによって接続する。
【0039】
また、図6に示すように、上記と同様にして、コネクタ端子23の接続部24と、第1バスバー16及び第2バスバー17とを、ワイヤーボンディングにより金属線22で接続する。
【0040】
続いて、図4に示すように、回路構成体12をモールド成形することにより、合成樹脂部32を形成する。回路構成体12は、合成樹脂部32によってほぼ埋設された状態になっている。回路構成体12のうち、合成樹脂部32の上端からは、コネクタ端子23の上端部及び保持部材25の上端部が突出している。
【0041】
続いて、図5に示すように、合成樹脂部32が形成された回路構成体12を、さらにモールド成形することにより、ケース11を形成する。ケース11の上端部には、コネクタハウジング33が一体に形成されている。このコネクタハウジング33内には、コネクタ端子23が配されている。これにより電気接続箱10が完成する。
【0042】
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、複数のコネクタ端子23のアライメントを保持した状態で、回路基板13と、コネクタ端子23とを、ワイヤーボンディングによって接続することができる。また、保持部材25は回路基板13に取り付けられるので、保持部材25が、例えばケース11など回路基板13以外の部材に取り付けられる場合に比べて、回路基板13と、コネクタ端子23との間の位置決め精度を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、保持部材25に形成されたピン30を回路基板13の第2貫通孔31に挿通することで、保持部材25を回路基板13に取り付けることができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、当接部26は、ピン30が回路基板13の第2貫通孔31に挿通されて、保持部材25が回路基板13に取り付けられた状態で、回路基板13の板面に交差する方向に2段に並んで形成されている。このように本実施形態では、コネクタ端子23を、回路基板13の板面に交差する方向について2段に並んで配することができる。
【0045】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図9ないし図15を参照しつつ説明する。図15に示すように、回路基板13は、左右方向(図15における左右方向)にやや細長い矩形状をなしている。回路基板13の表面(図15において紙面を貫通する方向手前側の面)には略円形状をなした複数のバスバー接続ランド55が、プリント配線技術により形成されている。このバスバー接続ランド55には、第3バスバー56が半田付けされている。半導体リレー58は、第3バスバー56の表面に、上下方向(図15における上下方向)に2段に並ぶと共に、左右方向に5つ並んで配設されている。
【0046】
第3バスバー56は、金属板材をプレス加工することにより形成されており、左右方向に細長い略矩形状をなしている。第3バスバー56の表面には、複数(本実施形態では10個)の半導体リレー58の裏面に形成されたドレイン端子が、半田付けされている。半導体リレー58は、半導体チップであり、いわゆるベアチップである。
【0047】
各半導体リレー58の表面(図15において紙面を貫通する方向手前側の面)には、大きさの異なる2つのリード部59が形成されている。小さい方のリード部59はゲート端子とされ、大きい方のリード部59はソース端子とされる。
【0048】
半導体リレー58のゲート端子には、公知のワイヤーボンディングにより金属線22の一方の端部が接続されている。この金属線22の他方の端部は、中継部材60に、ワイヤーボンディングにより接続されている。この中継部材60は、回路基板13の表面(図15において紙面を貫通する方向手前側の面)に形成された導電路に半田付けされている。第3バスバー56の上方には、半導体リレー58と対応する位置に5つの中継部材60が配設されており、また、第3バスバー56の下方にも、半導体リレー58に対応した位置に5つの中継部材60が配設されている。
【0049】
各半導体リレー58のソース端子には、公知のワイヤーボンディングにより複数(本実施形態では2つ)の金属線22の一方の端部が接続されている。
【0050】
回路基板13の上端縁には、左右方向に並んで複数のコネクタ端子23が配設されている。コネクタ端子23のうち、図13の左端部寄りの位置に配設された複数(本実施形態では5つ)のコネクタ端子23は、下端部(図15における下端部)が裏面側(図15において紙面を貫通する方向奥側)に向かって曲げ形成されており、回路基板13を貫通した状態で、回路基板13の導電路に、例えば半田付け等により接続されている(図10参照)。
【0051】
コネクタ端子23のうち、図13における左右方向の中央付近に配された複数(本実施形態では5つ)のコネクタ端子23は、保持部材25に保持されている。図15に示すように、当接部26の下端縁(図15における下端縁)からは、下方(図15における下方)に垂下する複数(本実施形態では2つ)の脚部29が形成されている。図14に示すように、脚部29からは、裏面側(図14における下方)に突出するピン(取り付け部に相当)30が形成されている。ピン30の断面形状は円形状をなしている。このピン30が、回路基板13のうちピン30に対応する位置に形成された、断面形状が円形状をなす第2貫通孔31内に挿通されることにより、保持部材25が回路基板13に取り付けられている。
【0052】
保持部材25に保持されたコネクタ端子23の接続部24には、半導体リレー58のソース端子に接続された金属線22が公知のワイヤーボンディングにより接続されている。
【0053】
コネクタ端子23のうち、図13における右端部に位置するコネクタ端子23の下端部(図15における下端部)には、複数(本実施形態では3本)の金属線22が公知のワイヤーボンディングにより接続されている。この金属線22の他方の端部は、第3バスバー56の上端縁のうち右端寄りの位置において、公知のワイヤーボンディングにより接続されている。この右端部に位置するコネクタ端子23は、図示しないワイヤーハーネスを介して車載電源に接続されている。
【0054】
図15に示すように、複数の半導体リレー18は、回路基板13の上端部に取り付けられた保持部材25から離間する方向について間隔を空けて並んで配設されている。詳細には、保持部材25から下方(図15における下方)について、2列に並んで配設されている。図14に示すように、上側(図14における右側)に配された半導体リレー58のリード部59のうちソース端子は、コネクタ端子23のうち、回路基板13に近い位置に配されたコネクタ端子23の接続部24と、金属線22によって接続されている(図14参照)。
【0055】
また、下側(図14における左側)に配された半導体リレー18のリード部59のうちソース端子は、コネクタ端子23のうち、回路基板13から離れた位置に配されたコネクタ端子23の接続部24と、半導体リレー58のうち上側に位置する半導体リレー58を跨いで配された金属線22によって接続されている(図5参照)。
【0056】
図13における右端部に位置するコネクタ端子23は、保持部材25によっては保持されていないが、図14に示すように、ケース11がモールド成形された状態で、コネクタハウジング33の奥壁に保持されるようになっている。
【0057】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0058】
続いて、本実施形態の製造工程の一例を説明する。図9に示すように、回路基板13の表裏両面に、プリント配線技術によって導電路、バスバー接続ランド55を形成する。回路基板13の裏面(図9における下面)に形成された導電路には、電子部品14を例えばリフロー半田付けによって実装する。
【0059】
続いて、回路基板13の表面(図9における上面)に形成した導電路に、電子部品14を載置する。また、回路基板13の表面に形成したバスバー接続ランド55に、第3バスバー56を載置すると共に、導電路に中継部材60を載置する。続いて、例えばリフロー半田付けにより、電子部品14、第3バスバー56、及び中継部材60を、導電路及び各ランドに半田付けする。
【0060】
続いて、第3バスバー56の表面(図9における上面)に半導体リレー58のドレイン端子を載置する。続いて、例えばリフロー半田付けすることにより、半導体リレー58のドレイン端子を、第3バスバー56に半田付けする。
【0061】
続いて、図10に示すように、コネクタ端子23を略直角に曲げ形成した後、一方の端部を回路基板13を貫通させて、回路基板13に形成された導電路に、例えばリフロー半田付けにより接続する。
【0062】
続いて、保持部材25の第1貫通孔28内にコネクタ端子23を挿通する。その後、コネクタ端子23が挿通された保持部材25のピン30を、回路基板13に形成された第2貫通孔31内に、回路基板13の表面側(図11における上側)から挿通する。
【0063】
続いて、図12に示すように、半導体リレー58のゲート端子(リード部59)と、中継部材60とを、ワイヤーボンデングによって金属線22で接続する。また、図15における右端部のコネクタ端子23と、第3バスバー56とをワイヤーボンディングによって金属線22で接続する。ワイヤーボンディングは公知の手法を用いることが可能であり、ボールボンディング、ワイヤーボンディング等を用いることができる。金属線22としては必要に応じて任意の金属を用いることが可能であって、例えばアルミニウム線、金線等を用いることができる。本実施形態のように車載用の電気接続箱10においては、比較的に大きな電流が流れるので、アルミニウム線が好ましい。
【0064】
続いて、半導体リレー58のソース端子(リード部59)と、保持部材25に保持されたコネクタ端子23の接続部24とをワイヤーボンディングによって金属線22で接続する。
【0065】
詳細には、まず、上側(図12における右側)に位置する半導体リレー58のソース端子(リード部59)に対して金属線22の一方の端部をワイヤーボンディングによって接続する。続いて、金属線22の他方の端部を、保持部材25において回路基板13に近い位置(図12において下側)に配されたコネクタ端子23の接続部24にワイヤーボンディングによって接続する。
【0066】
続いて、下側(図12における左側)に位置する半導体リレー58のソース端子(リード部59)に対して、金属線22の一方の端部をワイヤーボンディングによって接続する。続いて、金属線22を、半導体リレー58を表側方向(図12における上方)に跨ぐように配して、その他方の端部を、保持部材25において回路基板13から離れた位置(図12において上側)に配されたコネクタ端子23の接続部24にワイヤーボンディングによって接続する。
【0067】
続いて、図13に示すように、回路構成体12をモールド成形することにより、合成樹脂部32を形成する。回路構成体12は、合成樹脂部32によってほぼ埋設された状態になっている。回路構成体12のうち、合成樹脂部32の上端からは、コネクタ端子23の上端部及び保持部材25の上端部が突出している。
【0068】
続いて、図14に示すように、合成樹脂部32が形成された回路構成体12を、さらにモールド成形することにより、ケース11を形成する。ケース11の上端部には、コネクタハウジング33が一体に形成されている。このコネクタハウジング33内には、コネクタ端子23が配されている。これにより電気接続箱10が完成する。
【0069】
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態においては、半導体リレー58としてベアチップが用いられている。これにより、ディスクリート部品を用いる場合に比べて回路構成体12を全体として小型化することができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、回路基板13に実装された半導体リレー58と、コネクタ端子23とを、ワイヤーボンディングによって接続できる。
【0071】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態においては、取り付け部はピン30としたが、これに限られず、回路基板13にボルト締めするためのボルトを挿通可能な挿通孔でもよいし、また、回路基板13に形成された貫通孔内に弾性的に係合する係合爪でもよく、必要に応じて任意の構成を採用しうる。
(2)本実施形態では保持部材25にはコネクタ端子23は2段に配されていたが、コネクタ端子23は1段のみ配されててもよく、また、3段以上の複数段に配されていてもよい。
(3)本実施形態ではピン30の断面形状は円形状をなしていたが、これに限られず、長円形状、楕円形状でもよいし、また、三角形状、四角形状等の多角形でもよく、必要に応じて任意の形状とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態1に係る電気接続箱の製造工程を示す側断面図
【図2】電気接続箱の製造工程を示す側断面図
【図3】回路構成体を示す側断面図
【図4】回路構成体に合成樹脂部を形成した状態を示す側断面図
【図5】電気接続箱を示す側断面図
【図6】回路構成体を示す正面図
【図7】半導体リレーと中継部材との接続構造を示す要部拡大正面図
【図8】半導体リレーと中継部材との接続構造を示す要部拡大側断面図
【図9】本発明の実施形態4に係る電気接続箱の製造工程を示す側断面図
【図10】電気接続箱の製造工程を示す側断面図
【図11】電気接続箱の製造工程を示す側断面図
【図12】回路構成体を示す側断面図
【図13】回路構成体に合成樹脂部を形成した状態を示す側断面図
【図14】電気接続箱を示す側断面図
【図15】回路構成体を示す正面図
【符号の説明】
【0073】
12…回路構成体
13…回路基板
23…コネクタ端子
25…保持部材
26…当接部
27…フランジ部
28…第1貫通孔
30…ピン(取り付け部)
31…第2貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板を含む回路構成体にワイヤーボンディングにより接続されると共に相手側コネクタ端子と接続可能な複数のコネクタ端子を配列させた状態で保持する保持部材であって、
前記コネクタ端子の軸方向に延びて形成されて前記コネクタ端子と当接する当接部と、前記当接部から前記コネクタ端子の軸方向と交差する方向に突出して形成されたフランジ部と、前記フランジ部に形成されて、前記コネクタ端子の軸方向に貫通すると共に、前記コネクタ端子が挿通される第1貫通孔と、前記当接部に設けられて、前記回路基板に取り付けられる取り付け部と、を有するコネクタ端子の保持部材。
【請求項2】
前記取り付け部は、前記回路基板に形成された第2貫通孔に挿通されるピンである請求項1に記載のコネクタ端子の保持部材。
【請求項3】
前記当接部は、前記取り付け部が前記回路基板に取り付けられた状態で、前記回路基板の板面に交差する方向に複数段に並んで形成されている請求項1または請求項2に記載のコネクタ端子の保持部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−283195(P2009−283195A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132116(P2008−132116)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】