説明

コネクタ端子

【課題】導体との接続箇所における良好な保護及び耐食性を得ることが可能なコネクタ端子を提供すること。
【解決手段】電線11の外被13から露出された芯線12が導通接続されるバレル部21と、相手端子と導通されるタブ端子部31とを備え、バレル部21及び電線11の端部が、樹脂モールド15によって覆われたコネクタ端子10であって、ハウジング51に形成されたキャビティ52に差し込まれてハウジング51に収容され、樹脂モールド15の後端部がキャビティ52内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングに収容されるコネクタ端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コネクタ端子の電線との接合部を合成樹脂でモールドして保護することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−153785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図6に示すように、電線2との接合部3を樹脂モールド4で一体化したコネクタ端子1は、図7に示すように、コネクタのハウジング5の後端側から、ハウジング5に形成されたキャビティ6に差し込まれて収容される。そして、このハウジング5を相手方のハウジングに接続することにより、コネクタ端子1が相手方のハウジングのコネクタ端子と導通接続される。
【0005】
ところで、コネクタ端子1の後端から樹脂モールド4の後端までの寸法が長く、例えば、電線2の直径より大きいと、図8及び図9に示すように、樹脂モールド4がハウジング5の後端からはみ出す場合がある。
【0006】
このような状態で、電線2に曲げ力が作用すると、ハウジング5から突出している樹脂モールド4に大きな負荷がかかる。すると、樹脂モールド4が破損し、コネクタ端子1と電線2との接続箇所の保護が不十分となるおそれがあった。
【0007】
特に、アルミニウム電線と銅端子とを圧着して接続するような場合、樹脂モールド4の破損箇所から水が浸入し、異種金属からなる接続箇所が被水することにより、異種金属接触腐食などの電食が生じてしまう。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、導体との接続箇所における良好な保護及び耐食性を得ることが可能なコネクタ端子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタ端子は、下記(1)または(2)を特徴としている。
(1) 電線の外被から露出された導体が導通接続されるバレル部と、相手端子と導通されるタブ端子部とを備え、前記バレル部及び前記電線の端部が、樹脂モールドによって覆われたコネクタ端子であって、
ハウジングに形成されたキャビティに差し込まれて前記ハウジングに収容され、
前記樹脂モールドの後端部が前記キャビティ内に配置されること。
(2) 上記(1)の構成のコネクタ端子において、前記タブ端子部及び前記バレル部を有する端子本体の後端から前記樹脂モールドの後端までの寸法が前記電線の直径以下とされていること。
【0010】
上記(1)の構成のコネクタ端子では、ハウジングのキャビティに収容した状態でコネクタ端子の樹脂モールドがハウジングの後端から突出することなく、キャビティ内に配置されているので、樹脂モールドの曲げによる変形がキャビティの壁面によって確実に抑えられる。これにより、電線に曲げ力が作用しても樹脂モールドにかかる負荷を極力抑えることができ、樹脂モールドの破損を防止し、バレル部と電線との接続箇所を確実に保護した状態に維持することができる。また、樹脂モールドによる電線との接続箇所の防水性を長期にわたって良好に維持することができ、高い接続信頼性を得ることができる。
特に、アルミニウム電線と銅端子とを圧着して接続するような場合であっても、異種金属からなる接続箇所を樹脂モールドで確実に防水することができ、異種金属接触腐食などの電食を確実に防止することができる。
上記(2)の構成のコネクタ端子では、端子本体の後端から樹脂モールドの後端までの寸法を電線の直径以下とすることにより極力短くされて曲がりにくくされているので、この樹脂モールドの曲げによる負荷を軽減することができ、よって、樹脂モールドの破損をさらに良好に防止し、バレル部と電線との接続箇所を確実に保護した状態に維持することができる。また、樹脂モールドによる電線との接続箇所の防水性を長期にわたって良好に維持することができ、高い接続信頼性を得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、導体との接続箇所における良好な防水性及び耐食性を得ることが可能なコネクタ端子を提供できる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係るコネクタ端子の斜視図である。
【図2】本実施形態に係るコネクタ端子の側面図である。
【図3】コネクタ端子を収容したハウジングの後方側から視た斜視図である。
【図4】コネクタ端子を収容したハウジングの概略側断面図である。
【図5】電線の屈曲状態を示す電線の側面図である。
【図6】電線との接続箇所が樹脂モールドで封止された従来のコネクタ端子の斜視図である。
【図7】従来のコネクタ端子を収容したハウジングの後方側から視た斜視図である。
【図8】従来のコネクタ端子を収容したハウジングの概略側面図である。
【図9】従来のコネクタ端子を収容したハウジングの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るコネクタ端子の斜視図、図2は、本実施形態に係るコネクタ端子の側面図、図3は、コネクタ端子を収容したハウジングの後方側から視た斜視図、図4は、コネクタ端子を収容したハウジングの概略側断面図、図5は、電線の屈曲状態を示す電線の側面図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、コネクタ端子10は、銅または銅合金等の導電性金属材料を、例えば、プレス加工することにより形成されたもので、バレル部21及びタブ端子部31を有している。
【0017】
このコネクタ端子10が接続される電線11は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる芯線(導体)12と、この芯線12の周囲に押出し被覆された外被13とを有している。
【0018】
バレル部21は、芯線圧着部22と、外被圧着部23とを有している。芯線圧着部22は、電線11の端部で露出された芯線12を圧着する。これにより、電線11の芯線12とコネクタ端子10とが導通接続される。また、外被圧着部23は、電線11の端部における外被13部分を圧着する。これにより、電線11の外被13部分がコネクタ端子10に固定される。
【0019】
また、コネクタ端子10は、バレル部21及び電線11の端部の周囲が樹脂モールド15で覆われている。このように、コネクタ端子10では、バレル部21と電線11との接続箇所が樹脂モールド15で覆われているので、電線11の接続箇所が確実に保護及び防水される。本例のように、銅または銅合金からなるコネクタ端子10に、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる芯線12を有する電線11を接続すると、接続箇所が被水することによる異種金属接触腐食などの電食が生じやすいが、接続箇所が樹脂モールド15で覆われているので、接続箇所における高い耐食性を得ることができる。
【0020】
このコネクタ端子10は、バレル部21及びタブ端子部31を有する金属材料からなる端子本体10aの後端から樹脂モールド15の後端までの寸法Xが電線11の直径Y以下(X≦Y)とされている。
【0021】
図3及び図4に示すように、このコネクタ端子10は、コネクタのハウジング51に収容される。このハウジング51は、合成樹脂から成形されたもので、複数のキャビティ52を有している。そして、これらのキャビティ52へ、その後端側からコネクタ端子10を差し込むことにより、コネクタ端子10がハウジング51に収容される。
【0022】
このように、コネクタ端子10を収容したハウジング51は、相手方のハウジングに接続される。これにより、ハウジング51のコネクタ端子10と相手方ハウジングのコネクタ端子とが導通接続される。
【0023】
ここで、コネクタ端子10は、ハウジング51に収容した状態で樹脂モールド15の後端が、ハウジング51の後端から突出することなく、キャビティ52内に配置される。
【0024】
また、コネクタ端子10では、端子本体10aの後端から樹脂モールド15の後端までの寸法Xを電線11の直径Y以下(X≦Y)とすることにより、端子本体10aの後端から樹脂モールド15の後端までが、十分な保護効果及び防水効果を確保しつつ極力短くされている。
【0025】
このようなコネクタ端子10を収容したハウジング51において、図4に示すように、電線11に曲げ力が作用しても、ハウジング51に収容した状態でコネクタ端子10の樹脂モールド15がハウジング51の後端から突出することなく、キャビティ52内に配置されているので、樹脂モールド15の曲げによる変形がキャビティ52の壁面によって確実に抑えられる。
【0026】
また、コネクタ端子10の端子本体10aの後端から樹脂モールド15の後端までの寸法Xを電線11の直径Y以下(X≦Y)とすることにより極力短くされて曲がりにくくされているので、この樹脂モールド15の曲げによる負荷が軽減される。なお、一般に、図5に示すように、電線11では、曲げ半径Rが電線11の直径Y以下(R≦Y)となるような曲がりは生じにくい。したがって、端子本体10aの後端から樹脂モールド15の後端までの寸法Xを電線11の直径Y以下とすれば、曲げ力に対して十分な耐久性が得られる。
【0027】
上記のように、本実施形態に係るコネクタ端子によれば、ハウジング51のキャビティ52に収容した状態でコネクタ端子10の樹脂モールド15がハウジング51の後端から突出することなく、キャビティ52内に配置されているので、樹脂モールド15の曲げによる変形がキャビティ52の壁面によって確実に抑えられる。これにより、電線11に曲げ力が作用しても樹脂モールド15にかかる負荷を極力抑えることができ、樹脂モールド15の破損を防止し、バレル部21と電線11との接続箇所を確実に保護した状態に維持することができる。また、樹脂モールド15による電線11との接続箇所の防水性を長期にわたって良好に維持することができ、高い接続信頼性を得ることができる。
【0028】
特に、アルミニウム電線と銅端子とを圧着して接続するような場合であっても、異種金属からなる接続箇所を樹脂モールド15で確実に防水することができ、異種金属接触腐食などの電食を確実に防止することができる。
【0029】
また、端子本体10aの後端から樹脂モールド15の後端までの寸法Xを電線11の直径Y以下とすることにより極力短くされて曲がりにくくされているので、この樹脂モールド15の曲げによる負荷を軽減することができ、よって、樹脂モールド15の破損をさらに良好に防止し、バレル部21と電線11との接続箇所を確実に保護した状態に維持することができる。また、樹脂モールド15による電線11との接続箇所の防水性を長期にわたって良好に維持することができ、高い接続信頼性を得ることができる。
【0030】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0031】
10 コネクタ端子
11 電線
12 芯線(導体)
13 外被
15 樹脂モールド
21 バレル部
31 タブ端子部
51 ハウジング
52 キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の外被から露出された導体が導通接続されるバレル部と、相手端子と導通されるタブ端子部とを備え、前記バレル部及び前記電線の端部が、樹脂モールドによって覆われたコネクタ端子であって、
ハウジングに形成されたキャビティに差し込まれて前記ハウジングに収容され、
前記樹脂モールドの後端部が前記キャビティ内に配置されることを特徴とするコネクタ端子。
【請求項2】
前記タブ端子部及び前記バレル部を有する端子本体の後端から前記樹脂モールドの後端までの寸法が前記電線の直径以下とされていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ端子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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