説明

コネクタ装置及び電力線通信装置

【課題】PLC車載器を小型化することができるコネクタ装置及び該コネクタ装置を備える電力線通信装置を提供する。
【解決手段】コネクタ50は、矩形状の板状の取付部51、取付部51の中央に設けられた筒状部52などを備え、筒状部52に保持部30を外嵌する。取付部51の四隅には取付孔を形成してあり、車両の所定の位置にねじ等でコネクタ50を固定することができる。筒状部52の外周には、1次コイルとしての配線11と2次コイルとしての配線12とを配した変圧器を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車又はハイブリッド自動車などの車両に設けられ、外部の給電装置から給電するための給電用のコネクタ装置及び該コネクタ装置を備える電力線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化に対応する技術として環境技術に注目が集まっている。このような環境技術としては、例えば、二次電池を搭載し、従来のようなガソリンを消費するエンジンに代えて駆動装置としてモータを採用した電気自動車や、ハイブリッド自動車などに関するものが実用化されている。
【0003】
このような電気自動車やハイブリッド自動車などの車両は、外部の給電装置に接続された充電プラグを車両に設けられた給電口のコネクタ装置に接続して、車両の外部から二次電池を充電することができる構成となっている。例えば、交流充電部と直流充電部を集約した一体化構造とした電気自動車用充電コネクタが開示されている(特許文献1参照)。
【0004】
一方で、給電装置から車両の二次電池を充電する場合、車両と給電装置との間で充電制御又は充電量の管理などを行うための情報を送受信する通信機能が必要となる。そこで、電力供給用の供給線を介して車両と給電装置との間の情報を送受信する電力線通信を採用した電力システムが開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−192826号公報
【特許文献2】特開2008−35665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、電力線通信を行うためには、電力線通信用のモデム、電力線に信号を重畳させるとともに電力線に重畳した信号を取り出すための変圧器(ラインカプラ)などの部品を基板に実装したPLC車載器が必要となる。しかし、変圧器等の部品は、小型化するにもある程度の限界があるため、PLC車載器(基板)が大型化する傾向があった。このため、PLC車載器の小型化が望まれていた。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、PLC車載器を小型化することができるコネクタ装置及び該コネクタ装置を備える電力線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係るコネクタ装置は、配線を接続するための複数の接続端子を収容するコネクタを備えるコネクタ装置において、前記コネクタは、筒状部を有し、1次コイルと、該1次コイルに対する2次コイルとを前記筒状部の外周に配した変圧器を備えることを特徴とする。
【0009】
第2発明に係るコネクタ装置は、第1発明において、前記1次コイルの一端を、接地用の接続端子へ接続してあることを特徴とする。
【0010】
第3発明に係るコネクタ装置は、第1発明又は第2発明において、前記2次コイルは、前記1次コイルの外周りに巻回してあることを特徴とする。
【0011】
第4発明に係るコネクタ装置は、第1発明乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記筒状部に外嵌し、前記1次コイル及び2次コイルを保持する保持部を備え、前記1次コイル及び2次コイルを、前記保持部の外周りに巻回してあることを特徴とする。
【0012】
第5発明に係るコネクタ装置は、第1発明乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記筒状部の外周りに前記変圧器の環状のコアを備えることを特徴とする。
【0013】
第6発明に係るコネクタ装置は、第1発明乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記筒状部は、前記接続端子を内挿する複数の内挿管と、該内挿管の間に設けられた複数の開口部とを備え、該開口部に前記変圧器のコアを嵌装してあることを特徴とする。
【0014】
第7発明に係るコネクタ装置は、第6発明において、前記コアを、前記開口部のうち、電力用の接続端子が内挿される内挿管それぞれから適長離隔した開口部に嵌装してあることを特徴とする。
【0015】
第8発明に係るコネクタ装置は、第6発明において、前記コアを、前記開口部のうち、電力用の接続端子が内挿される内挿管それぞれから略同寸法離隔した開口部に嵌装してあることを特徴とする。
【0016】
第9発明に係るコネクタ装置は、配線を接続するための複数の接続端子を収容するコネクタを備えるコネクタ装置において、前記コネクタは、筒状部を有し、1次コイルと、該1次コイルに対する2次コイルとを、前記筒状部の外周りに設けられた環状のコアに巻回した変圧器を備えることを特徴とする。
【0017】
第10発明に係るコネクタ装置は、配線を接続するための複数の接続端子を収容するコネクタを備えるコネクタ装置において、1次コイルと、該1次コイルに対する2次コイルと、前記1次コイルを挿通した管状のコアとを有し、前記2次コイルを前記コアに巻回した変圧器を備えることを特徴とする。
【0018】
第11発明に係る電力線通信装置は、第1発明乃至第10発明のいずれか1つに係るコネクタ装置と、該コネクタ装置の変圧器を用いて電力線通信を行う通信部とを備えることを特徴とする。
【0019】
第1発明にあっては、コネクタは、筒状部を有し、1次コイルと2次コイルとを筒状部の外周に配した変圧器を備える。例えば、コネクタの筒状部の周りに1次コイルと2次コイルを配する。これにより、コネクタと変圧器とを一体化することができ、例えば、PLC車載器の基板上に変圧器を実装する必要がないので、変圧器を設けた従来のPLC車載器(基板)に比べて、小型化することができる。
【0020】
第2発明にあっては、1次コイルの一端を、接地用配線が接続される接続端子へ接続してある。これにより、接地用の配線を介して電力線通信を行うことができる変圧器を一体化してコネクタに設けることができる。
【0021】
第3発明にあっては、2次コイルは、1次コイルの外周りに巻回してある。これにより、変圧器の1次コイルと2次コイルとの間の相互インダクタンスを大きくして、信号の伝送効率を向上させることができる。
【0022】
第4発明にあっては、筒状部に外嵌し、1次コイル及び2次コイルを保持する保持部を備え、1次コイル及び2次コイルを、保持部の周りに巻回してある。予め保持部をボビンとして使用して1次コイル及び2次コイルを巻回しておき、コイルが巻回された保持部をコネクタの筒状部に外嵌することで変圧器を一体化することができるので、組み立て時の作業性を向上させることができる。
【0023】
第5発明にあっては、筒状部の周りに変圧器の環状のコアを備える。これにより、変圧器の1次コイルと2次コイルとの間の漏れ磁束を少なくして、さらに信号の伝送効率を向上させることができる。
【0024】
第6発明にあっては、筒状部は、接続端子を内挿する複数の内挿管と、内挿管の間に設けられた複数の開口部とを備える。そして、開口部に変圧器のコアを嵌装する。内挿管の間の開口部を利用してコアを設けるので、コアを設けるための余分なスペースが不要であり、コネクタの小型化を図りつつ、さらに信号の伝送効率を向上させることができる。
【0025】
第7発明にあっては、接続端子のいずれか2つは、電力用配線を接続してある。電力用配線は、例えば、AC100V、AC200Vなどの交流電圧、あるいは直流電圧を給電するための配線である。コアを、開口部のうち、電力配線用の接続端子が内挿される内挿管それぞれから適長離隔した開口部に嵌装してある。適長離隔した開口部は、例えば、電力配線用の接続端子が内挿される内挿管から最も離れた開口部、あるいは最も近くない開口部などとすることができる。これにより、電力用配線からの磁界の影響を抑制することができる。
【0026】
第8発明にあっては、接続端子のいずれか2つは、電力用配線を接続してある。電力用配線は、例えば、AC100V、AC200Vなどの交流電圧を給電するための配線である。コアを、開口部のうち、電力配線用の接続端子が内挿される内挿管それぞれから略同寸法離隔した開口部に嵌装してある。これにより、電力用配線からの磁界を相殺して磁界の影響を抑制することができる。
【0027】
第9発明にあっては、コネクタは、筒状部を有し、1次コイルと、2次コイルとを、筒状部の外周りに設けられた環状のコアに巻回した変圧器を備える。これにより、コネクタと変圧器とを一体化することができ、例えば、PLC車載器の基板上に変圧器を実装する必要がないので、変圧器を設けた従来のPLC車載器(基板)に比べて、小型化することができる。
【0028】
第10発明にあっては、1次コイルと、2次コイルと、1次コイルを挿通した管状のコアとを有し、2次コイルをコアに巻回した変圧器を備える。これにより、コネクタと変圧器とを一体化することができ、例えば、PLC車載器の基板上に変圧器を実装する必要がないので、変圧器を設けた従来のPLC車載器(基板)に比べて、小型化することができる。
【0029】
第11発明にあっては、コネクタ装置と、コネクタ装置の変圧器を用いて電力線通信を行う通信部とを備える。これにより、従来のPLC車載器に比べて、小型化することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、コネクタと変圧器とを一体化することができ、例えば、PLC車載器の基板上に変圧器を実装する必要がないので、変圧器を設けた従来のPLC車載器(基板)に比べて、小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施の形態の電力線通信装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態のコネクタ装置の構成の一例を示す外観斜視図である。
【図3】本実施の形態のコネクタ装置の構成の一例を示す側面図である。
【図4】本実施の形態のコネクタの充電プラグ側から見た外観斜視図である。
【図5】本実施の形態のコネクタの配線取付側から見た外観斜視図である。
【図6】本実施の形態の接続端子の配置例を示す外観斜視図である。
【図7】本実施の形態の変圧器のコアの配置の第1例を示す模式図である。
【図8】本実施の形態の変圧器のコアの配置の第2例を示す模式図である。
【図9】本実施の形態の変圧器のコアの配置の第3例を示す模式図である。
【図10】実施の形態2のコネクタ装置の構成の一例を示す外観斜視図である。
【図11】実施の形態2のコネクタ装置の構成の一例を示す側面図である。
【図12】実施の形態2のコネクタ装置の回路構成の一例を示すブロック図である。
【図13】実施の形態3のコネクタ装置の構成の一例を示す外観斜視図である。
【図14】実施の形態3のコネクタ装置の構成の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(実施の形態1)
以下、本発明に係るコネクタ装置及び電力線通信装置の実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態の電力線通信装置200の要部構成の一例を示すブロック図である。電力線通信装置200は、本実施の形態のコネクタ装置100、PLC(Power Line Communication)車載器150などを備える。コネクタ装置100は、インレット又は給電口などと称され、車両の所要の位置に設けられる。外部の給電装置(不図示)からの充電プラグ(不図示)をコネクタ装置100に接続することにより、交流又は直流電力を車両へ供給することができる。そして、電気自動車又はハイブリッド自動車などの車両に搭載された二次電池(バッテリ)を充電することができる。
【0033】
コネクタ装置100は、接地用の接続端子71、電力用の接続端子73、74、変圧器10などを備え、接続端子71、73、74には、それぞれ接地用の配線11、電力用の配線13、14が接続されている。なお、配線13、14、11を纏めて電力線とも称する。電力用の配線13、14は、例えば、AC100V、AC200Vなどの電力線である。接地用の接続端子71には、変圧器10の1次コイルとしての接地用の配線11の一端が接続されている。2次コイルとしての配線12は、PLC車載器150へ接続される。
【0034】
PLC車載器150は、フィルタとしてのコンデンサ151、電力線通信処理を行うための通信部152、マイクロコンピュータ等のCPU153などを備える。
【0035】
CPU153は、電力線通信を制御する。すなわち、CPU153は、給電装置から車両の二次電池を充電する場合、車両ID、充電プラグ接続検知、充電制御(充電の開始または終了など)、充電量の管理(急速充電、充電量の通知など)、課金の管理などを行うための情報の送受信を車両と給電装置との間で制御する。
【0036】
なお、CPU153は、PLC車載器150内に実装する構成に代えて、ボデーECUなどの他の車載ECU内に実装することもできる。他の車載ECUにCPU153を搭載することにより、PLC車載器150の小型化、低コスト化を図ることができる。
【0037】
通信部152は、例えば、直交化周波数多重(OFDM:Orthogonal Frequency Domain Multiplex)、周波数拡散(SS:Spread Spectrum)などの変調方式を利用した変調回路、復調回路などを備える。通信部152は、車両から外部(例えば、給電装置など)へ信号を送信する場合、変圧器10を介して信号を配線11に重畳させて送信する。また、変圧器10を介して配線11上を外部から送信された信号を受信する。
【0038】
なお、変圧器10について、便宜上、配線11を1次コイル、配線12を2次コイルと称するが、配線12を1次コイル、配線11を2次コイルと称することもできる。本実施の形態では、電力線側を1次コイル側とし、通信部152側を2次コイル側としている。
【0039】
図1の構成において、配線13と11との間、及び配線14と配線11との間に雷対策用のバリスタ等のサージアブソーバ機能を備えることもできる。
【0040】
図2は本実施の形態のコネクタ装置100の構成の一例を示す外観斜視図であり、図3は本実施の形態のコネクタ装置100の構成の一例を示す側面図である。コネクタ装置100は、配線11、13、14を接続するための複数の接続端子71、73、74を収容するコネクタ50を備える。
【0041】
コネクタ50は、矩形状の板状の取付部51、取付部51の中央に設けられた筒状部52などを備え、筒状部52には保持部30を外嵌する。取付部51の四隅には取付孔を形成してあり、車両の所定の位置にねじ等でコネクタ50を固定することができる。筒状部52は、後述するように配線11、12を配置することができるように、適長の長さ寸法を有する。
【0042】
すなわち、コネクタ50は、筒状部52を有し、1次コイルとしての配線11と2次コイルとしての配線12とを筒状部50の外周に配した変圧器10を備える。例えば、図2に示すように、コネクタ50の筒状部52の周りに1次コイル(配線11)と2次コイル(配線12)を配する。これにより、コネクタ50と変圧器10とを一体化することができ、例えば、PLC車載器の基板上に変圧器を実装する必要がないので、変圧器を設けた従来のPLC車載器(基板)に比べて、小型化することができる。
【0043】
より具体的には、図3に示すように、筒状部52に外嵌し、1次コイル及び2次コイルを保持する保持部30を備え、1次コイル及び2次コイルを、保持部30の外周りに巻回してある。予め保持部30をボビンとして使用して1次コイル及び2次コイルを巻回しておき、コイルが巻回された保持部30をコネクタ50の筒状部52に外嵌することで変圧器を一体化することができるので、組み立て時の作業性を向上させることができる。
【0044】
また、2次コイル(配線12)は、1次コイル(配線11)の外周りに巻回してある。これにより、変圧器10の1次コイルと2次コイルとの間の相互インダクタンスを大きくして、信号の伝送効率を向上させることができる。
【0045】
また、1次コイル(配線11)の一端を、接地用の配線が接続される接続端子71へ接続してある。これにより、接地用の配線を介して電力線通信を行うことができる変圧器10を一体化してコネクタ50に設けることができる。
【0046】
図4は本実施の形態のコネクタ50の充電プラグ側から見た外観斜視図であり、図5は本実施の形態のコネクタ50の配線取付側から見た外観斜視図である。筒状部52は、接続端子71、73、74それぞれを内挿する内挿管51、53、64と、内挿管51、53、54の間に設けられた複数の開口部61、62、63、64、65、66とを備える。なお、図4、図5の例では、内挿管51、53、54の他に、予備としての内挿管を2つ有するが、本実施の形態では使用しなくてもよい。
【0047】
図6は本実施の形態の接続端子の配置例を示す外観斜視図である。図6に示すように、接地用の接続端子71、電力用の接続端子73、74は、例えば、雄型の端子であり、充電プラグ(不図示)に設けられた雌型の接続端子と電気的に接続することができる。これにより、外部の給電装置から、車両へ電力を供給することができる。接続端子71、73、74は、それぞれ内挿管51、53、54に内装される。なお、図6には、接続端子71、73、74よりも径の小さい接続端子が2つ図示されている。これは予備の信号線として利用することができるが、本実施の形態では省略することができる。
【0048】
図7は本実施の形態の変圧器10のコアの配置の第1例を示す模式図である。図7に示すように、筒状部52の外周りに変圧器10用の環状のコア90を備える。これにより、変圧器10の1次コイルと2次コイルとの間の漏れ磁束を少なくして、コア90を取り付けない場合に比べて、信号の伝送効率を向上させることができる。なお、図7の例の場合、コア90の外周に保持部30を外嵌させることができる。
【0049】
コアを設ける位置は、図7の例に限定されるものではない。筒状部52は、接続端子を内挿する複数の内挿管と、内挿管の間に設けられた複数の開口部とを備える。そして、開口部に変圧器10のコアを嵌装する。内挿管の間の開口部を利用してコアを設けるので、コアを設けるための余分なスペースが不要であり、コネクタの小型化を図りつつ、さらに信号の伝送効率を向上させることができる。
【0050】
図8は本実施の形態の変圧器10のコアの配置の第2例を示す模式図である。図8に示すように、内挿管53、54には、電力用の配線が接続される電力用の接続端子73、74が内挿される。すなわち、内挿管53、54には、電力用の配線が通る。電力用配線は、例えば、AC100V、AC200Vなどの交流電圧を給電するための配線である。コア81、84を、開口部61〜66のうち、電力配の線用の接続端子が内挿される内挿管53、54それぞれから略同寸法離隔した開口部61、64に嵌装してある。これにより、電力用の配線からの磁界を相殺して磁界の影響を抑制することができる。
【0051】
図9は本実施の形態の変圧器10のコアの配置の第3例を示す模式図である。図9に示すように、内挿管53、54には、電力用の配線が接続される電力用の接続端子73、74が内挿される。すなわち、内挿管53、54には、電力用の配線が通る。電力用配線は、例えば、AC100V、AC200Vなどの交流電圧、あるいは直流電圧を給電するための配線である。コア85、86を、開口部61〜66のうち、電力配線用の接続端子が内挿される内挿管53、54それぞれから適長離隔した開口部65、66に嵌装してある。適長離隔した開口部は、例えば、電力配線用の接続端子が内挿される内挿管53、54から最も離れた開口部、あるいは最も近くない開口部などとすることができる。これにより、電力用配線からの磁界の影響を抑制することができる。
【0052】
本実施の形態の電力通信装置200は、変圧器10が一体化されたコネクタ装置100を備えるので、PLC車載器を従来のものより小型化することができる。
【0053】
上述の実施の形態において、コネクタの形状は一例であって、図示した例に限定されるものではない。
【0054】
(実施の形態2)
図10は実施の形態2のコネクタ装置110の構成の一例を示す外観斜視図であり、図11は実施の形態2のコネクタ装置110の構成の一例を示す側面図であり、図12は実施の形態2のコネクタ装置110の回路構成の一例を示すブロック図である。実施の形態1との相違点は、筒状部52の外周りに変圧器10用の環状のコア95を配置し、コア95に配線11及び配線12を巻回してある点、及びコンデンサ21、22、インダクタ23を備える点である。
【0055】
図12に示すように、コネクタ装置110は、実施の形態1と同様に、接地用の接続端子71、電力用の接続端子73、74、変圧器10などを備え、接続端子71、73、74には、それぞれ接地用の配線11、電力用の配線13、14が接続されている。なお、配線13、14、11を纏めて電力線とも称する。電力用の配線13、14は、例えば、AC100V、AC200Vなどの電力線である。接地用の接続端子71には、変圧器10の1次コイルとしての接地用の配線11の一端が接続されている。2次コイルとしての配線12は、PLC車載器150へ接続される。
【0056】
配線13、14、11には、それぞれコンデンサ21の一端、コンデンサ22の一端、インダクタ23の一端を接続してあり、コンデンサ21の他端、コンデンサ22の他端及びインダクタ23の他端は、お互いに接続されている。配線13、14、11にはバッテリ201を充電するためのバッテリ充電部200を接続してある。なお、実施の形態1では、コンデンサ21、22、インダクタ23は、バッテリ充電部200(実施の形態1では不図示)の内部に設けられていたが、実施の形態2では、バッテリ充電部200から取り外し、コネクタ装置110に設けている。これにより、バッテリ充電部200を小さくすることができる。
【0057】
また、コネクタ装置110に接続される充電プラグ(不図示)側にも、図12に示す回路構成と同様のコンデンサ及びインダクタを設けてある。すなわち、コネクタ装置110側に設けられたコンデンサ21、22、インダクタ23と、充電プラグ(不図示)側に設けられたコンデンサ、インダクタ(いずれも不図示)とにより、配線13、14、11は、閉ループを形成することができ、PLC車載器150は、変圧器10、配線13、14、11、コンデンサ21、22、インダクタ23を介して、外部の給電装置等(不図示)との間で、信号の送受信を行うことができる。
【0058】
図10、図11に示すように、コネクタ装置110は、1次コイルとしての配線11、2次コイルとしての配線12とを、コネクタ50の筒状部52の外周りに設けられた環状のコア95に巻回した変圧器10を備える。これにより、コネクタ50と変圧器10とを一体化することができ、例えば、PLC車載器の基板上に変圧器を実装する必要がないので、変圧器を設けた従来のPLC車載器(基板)に比べて、小型化することができる。
【0059】
なお、図12の構成において、配線13と11との間、及び配線14と配線11との間に雷対策用のバリスタ等のサージアブソーバ機能を備えることもできる。
【0060】
(実施の形態3)
図13は実施の形態3のコネクタ装置120の構成の一例を示す外観斜視図であり、図14は実施の形態3のコネクタ装置120の構成の一例を示す側面図である。実施の形態2との相違点は、コア95に代えてコア96を備えた点である。なお、コンデンサ21、22、インダクタ23を設ける点は実施の形態2と同様である。
【0061】
図13、図14に示すように、コネクタ装置120は、1次コイルとしての配線11、2次コイルとしての配線12、配線11を挿通した管状のコア96とを有し、配線12をコア96に巻回した変圧器10を備える。これにより、コネクタ50と変圧器10とを一体化することができ、例えば、PLC車載器の基板上に変圧器を実装する必要がないので、変圧器を設けた従来のPLC車載器(基板)に比べて、小型化することができる。
【0062】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0063】
10 変圧器
11、12、13、14 配線
30 保持部
50 コネクタ
52 筒状部
51、53、54 内挿管
61、62、63、64、65、66 開口部
71、73、74 接続端子
81、84、85、86、90、95、96 コア
152 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線を接続するための複数の接続端子を収容するコネクタを備えるコネクタ装置において、
前記コネクタは、
筒状部を有し、
1次コイルと、該1次コイルに対する2次コイルとを前記筒状部の外周に配した変圧器を備えることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
前記1次コイルの一端を、接地用の接続端子へ接続してあることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記2次コイルは、
前記1次コイルの外周りに巻回してあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記筒状部に外嵌し、前記1次コイル及び2次コイルを保持する保持部を備え、
前記1次コイル及び2次コイルを、前記保持部の外周りに巻回してあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記筒状部の外周りに前記変圧器の環状のコアを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記筒状部は、
前記接続端子を内挿する複数の内挿管と、
該内挿管の間に設けられた複数の開口部と
を備え、
該開口部に前記変圧器のコアを嵌装してあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記コアを、前記開口部のうち、電力用の接続端子が内挿される内挿管それぞれから適長離隔した開口部に嵌装してあることを特徴とする請求項6に記載のコネクタ装置。
【請求項8】
前記コアを、前記開口部のうち、電力用の接続端子が内挿される内挿管それぞれから略同寸法離隔した開口部に嵌装してあることを特徴とする請求項6に記載のコネクタ装置。
【請求項9】
配線を接続するための複数の接続端子を収容するコネクタを備えるコネクタ装置において、
前記コネクタは、
筒状部を有し、
1次コイルと、該1次コイルに対する2次コイルとを、前記筒状部の外周りに設けられた環状のコアに巻回した変圧器を備えることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項10】
配線を接続するための複数の接続端子を収容するコネクタを備えるコネクタ装置において、
1次コイルと、
該1次コイルに対する2次コイルと、
前記1次コイルを挿通した管状のコアと
を有し、
前記2次コイルを前記コアに巻回した変圧器を備えることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のコネクタ装置と、該コネクタ装置の変圧器を用いて電力線通信を行う通信部とを備えることを特徴とする電力線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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