説明

コネクタ装置

【課題】ハウジングに配線板状部材が差し込まれるコネクタ装置であって、配線板状部材に対するハウジングからの不所望な抜脱を阻止するための係止及びその係止の解除を、配線板状部材及び構成部材に無理を課すことなく容易かつ確実に行えるものを提供する。
【解決手段】板状部材差込み部が設けられたハウジング11と、ハウジングに差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13に対する係止と係止解除とを行う係合部材16,17とを備え、係合部材が、ハウジングの内面部から伸びる可動アーム部21を有し、可動アーム部に、ハウジングに差し込まれたフレキシブル印刷配線基板をそれにおける切欠き係合部22に係合して係止する係止部24と、可動アーム部からハウジングの外部に向かって突出し、移動操作が加えられるとき、可動アーム部に係止部によるフレキシブル印刷配線基板に対する係止を解除させる係止解除操作部25と、が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板(FPC)やフレキシブル平板状ケーブル(FFC)等の配線板状部材が装着されるもとで、装着された配線板状部材に設けられた接触端子部に接触接続されるコンタクトと装着された配線板状部材に対する係止及び係止解除を行う係止部材とを備えたコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電子機器に実装される比較的小型なフレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等の配線板状部材は、各種の電気部品が取り付けられる主配線基板への取付けが、当該主配線基板に電気的接続がなされて固定されるコネクタ装置が用いられて行われることが多いものとされる。このような配線板状部材の主配線基板への取付けにあたって用いられるコネクタ装置は、配線板状部材に設けられた接触端子部に接触接続される導電性のコンタクトを有していて、そのコンタクトを介して、配線板状部材に設けられた接触端子部を主配線基板に設けられた配線端子に電気的に接続する。
【0003】
従来提案されている、フレキシブル印刷配線基板等の配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置は、配線板状部材が差し込まれる差込み部を形成するものとされて主配線基板に配される、絶縁材料によって形成されたハウジングを有している。そして、例えば、ハウジング内に配列配置されて設けられて主配線基板に設けられた配線端子に連結され、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに差し込まれるとき、その配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々対応するものとなる複数のコンタクトと、ハウジングに対して配線板状部材の差込み方向及びそれとは逆の方向に移動可能とされるスライダとを備えている。
【0004】
スライダは、配線板状部材の差込み部を通じたハウジングへの差込みに先立って、一旦、ハウジングから離隔する方向に引き出され、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに差し込まれた後に、ハウジングに向かう方向に押し戻される。それにより、スライダは、ハウジングに差し込まれた配線板状部材に設けられた複数の接触端子部にハウジングに配列配置された複数のコンタクトが夫々接触接続された状態のもとに、その配線板状部材を押さえ付けて固定する役割を果たす。そして、複数のコンタクトと配線板状部材に設けられた複数の接触端子部とが相互接触接続されることにより、配線板状部材が主配線基板との電気的接続状態におかれる。
【0005】
また、従来提案されている配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置の中には、上述のようなハウジングを有し、上述のような複数のコンタクトを備えるとともに、ハウジングに対して回動可能に設けられるアクチュエータを備え、ハウジングに対して配線板状部材の差込み方向及びそれとは逆の方向に移動可能とされるスライダは備えていないものもある。
【0006】
斯かる従来のコネクタ装置にあっては、アクチュエータが、複数のコンタクトの夫々に係合し、回動せしめられるとき複数のコンタクトの夫々における作動部を変位させて、複数のコンタクトに、差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々接触接続された状態、もしくは、複数の接触端子部との接触接続から解放された状態をとらせるもの、または、差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材に当接し、回動せしめられるとき、配線板状部材を押圧して当該配線板状部材に設けられた複数の接触端子部を複数のコンタクトに夫々接触接続された状態におく、もしくは、配線板状部材に対する押圧を解除して当該配線板状部材に設けられた複数の接触端子部を複数のコンタクトとの接触接続から解放された状態におくものとされる。そして、複数のコンタクトと配線板状部材に設けられた複数の接触端子部とが相互接触接続されることにより、配線板状部材が主配線基板との電気的接続状態におかれる。
【0007】
このような従来提案されているコネクタ装置にあっては、ハウジングに対して配線板状部材の差込み方向及びそれとは逆の方向に移動可能とされるスライダを備えたもの、及び、ハウジングに対して回動可能に設けられるアクチュエータを備えたもののいずれの場合にも、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材が、主配線基板に配されたハウジングに差込み部を通じて差し込まれて、ハウジングに配された複数のコンタクトが、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に夫々接触接続され、それにより、配線板状部材が主配線基板との電気的接続状態におかれるにあたり、配線板状部材がハウジングから不所望に離脱するような事態が回避されなくてはならない。当然のことながら、ハウジングに配された複数のコンタクトがハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に夫々接触接続された状態が適正に維持されるためには、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材が、その状態を安定に維持することができ、ハウジングから不所望に抜脱されるような事態をまねかないものとされることが必要とされるのである。
【0008】
そのため、上述のような、ハウジングを有し、複数のコンタクトとハウジングに対して配線板状部材の差込み方向及びそれとは逆の方向に移動可能とされるスライダを備えたコネクタ装置に属するものであって、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に係合して、当該配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱の阻止に関与する係止手段を備えたコネクタ装置が従来提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、ハウジングを有し、複数のコンタクトとハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータとを備えたコネクタ装置に属するものであって、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に係合して、当該配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱の阻止に関与する係止手段を備えたコネクタ装置も従来提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0009】
特許文献1に示されるコネクタ装置(電気コネクタ)にあっては、ハウジング(12/22) に、それと一体的に形成された係止手段(ロック爪(12c))、もしくは、それとは別体に形成された係止手段(ロック部材(30)) が設けられている。そして、スライダ(14/24) がハウジングから離隔する方向に引き出されたもとで、配線板状部材(FPC(50)) が差込み部を通じてハウジングに差し込まれるとき、係止手段が配線板状部材に設けられた係合部(凸部(50a,50b)) に係合して、配線板状部材を係止する。その後、スライダがハウジングに向かう方向に押し戻されると、ハウジングに差し込まれた配線板状部材が、それに設けられた複数の接触端子部にハウジングに配列配置された複数のコンタクト(16/26) が夫々接触接続されるもとで、スライダによって押さえ付けられて固定され、また、係止手段が、スライダによって押さえられて、配線板状部材に設けられた係合部から離脱する方向への変位が防止される。
【0010】
それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材が、それに設けられた複数の接触端子部にハウジングに配列配置された複数のコンタクトが夫々接触接続される状態におかれるとともに、ハウジングにそれと一体的にもしくは別体に形成された係止手段が配線板状部材における係合部に係合することにより係止されて、ハウジングからの不所望な抜脱が阻止される。
【0011】
また、特許文献2に示されるコネクタ装置(電気コネクタ)にあっては、ハウジング(10)における複数のコンタクト(端子(30)) の配列方向の端部に、ハウジングと一体的に形成された係止手段(係止体(13))もしくはハウジングとは別体に形成された係止手段(係止体(51))が設けられている。係止手段は爪状の係止部(13A,51A)を有しており、ハウジングに対して回動可能に設けられたアクチュエータ(可動片(20)) がハウジングに対して起き上がった位置をとるもとで、配線板状部材(平型導体(40))が差込み部(開口部(11))を通じてハウジングに差し込まれるとき、係止手段が有する爪状の係止部が配線板状部材に設けられた係合部(切欠部(42)) に係合して、配線板状部材を係止する。その後、アクチュエータが、ハウジングに対して起き上がった位置からハウジングに対して伏した位置へと回動されると、ハウジングに差し込まれた配線板状部材が、それに設けられた複数の接触端子部にハウジングに配列配置された複数のコンタクトが夫々接触接続されるもとで、アクチュエータによって押さえ付けられて固定される。
【0012】
それにより、ハウジングに差し込まれた配線板状部材が、それに設けられた複数の接触端子部にハウジングに配列配置された複数のコンタクトが夫々接触接続される状態におかれるとともに、ハウジングにそれと一体的にもしくは別体に形成された係止手段が配線板状部材における係合部に係合することにより係止されて、ハウジングからの不所望な抜脱が阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平8−180940号公報(2〜3頁,図1〜4)
【特許文献2】特開2004−165046号公報(5〜6頁,図1〜4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述のような、ハウジングを有し、複数のコンタクトと、ハウジングに対して配線板状部材の差込み方向及びそれとは逆の方向に移動可能とされるスライダ、もしくは、ハウジングに対して回動可能とされるアクチュエータと、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に係合して、当該配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱の阻止に関与する係止手段とを備えた従来のコネクタ装置にあっては、配線板状部材がハウジングに差し込まれてスライダがハウジングに向かう方向に押し戻されたとき、もしくは、配線板状部材がハウジングに差し込まれてアクチュエータがハウジングに対して伏した位置におかれたとき、ハウジングに設けられた係止手段が配線板状部材における係合部に係合する部分は、スライダもしくはアクチュエータにより覆われて、ハウジング外から目視することはできない。従って、係止手段が配線板状部材における係合部に係合して配線板状部材を係止する状態が適正にとられているか否かを、目視により確認することができないことになる。
【0015】
また、上述のような従来のコネクタ装置にあっては、ハウジングに設けられた係止手段がハウジングに差し込まれた配線板状部材を係止した後において、係止手段に配線板状部材に対する係止を解除させる手段が備えられていない。従って、一旦、係止手段がハウジングに差し込まれた配線板状部材を係止する状態がとられると、配線板状部材をハウジングから抜き出すには、配線板状部材及び係止手段等に著しく無理な力を作用させたもとで、配線板状部材をハウジングから引き出すことになる。それゆえ、そのための作業性が極めて悪く、また、配線板状部材及び係止手段さらにはハウジングの変形,破損等をまねくことになる虞が大である。
【0016】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等とされる配線板状部材の他の配線基板への取付けに用いられる、板状部材差込み部が設けられたハウジングとハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトと板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材を係止する係合部材とを備えたコネクタ装置であって、係合部材によるハウジングに差し込まれた配線板状部材に対するハウジングからの不所望な抜脱を阻止するための係止を容易かつ確実に行えるとともに、係合部材による配線板状部材に対する係止の解除を配線板状部材及び係合部材等に無理な力を作用させることなく容易に行うことができ、しかも、係合部材がハウジングに差し込まれた配線板状部材を係止する状態が適正にとられていることを目視により確認することも可能とされたものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項7までのいずれかに記載された発明(以下、本発明という。)に係るコネクタ装置は、板状部材差込み部が設けられて配線基板上に配されるハウジングと、ハウジングに配列配置されて設けられ、配線基板に設けられた配線端子に接続される状態をとり、配線板状部材が板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれたとき、その配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続される複数のコンタクトと、ハウジングと一体的に形成されて変位可能に設けられ、配線板状部材がハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、その配線板状部材に対する係止を行う係止状態と係止を解除する係止解除状態とを選択的にとる係合部材と、を備えて成り、係合部材が、ハウジングの内面部から伸びる可動アーム部を有し、その可動アーム部に、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部に係合して当該配線板状部材を係止する係止部と、可動アーム部からハウジングに形成された開口部を通じてハウジングの外部に向かって突出し、移動操作が加えられるとき可動アーム部を変位させ、可動アーム部に係止部による配線板状部材に対する係止を解除させる係止解除操作部と、が形成されていることを特徴とするものとされる。
【0018】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、可動アーム部が、ハウジングの内面部から当該ハウジングの板状部材差込み部が開口する端面部に向かって伸びており、係止部が可動アーム部の自由端部分に形成され、係止解除操作部が可動アーム部の中間部分に形成される。
【0019】
また、本願の特許請求の範囲における請求項4に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、ハウジングに形成された開口部が、それを通じて係止部により係止された配線板状部材を目視することができる部分を有している。
【0020】
さらに、本願の特許請求の範囲における請求項6に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、ハウジングに、開口部に隣接する段差凹部が形成され、開口部を通じてハウジングの外部に向かって突出する係止解除操作部の先端部分が、係止解除操作部に移動操作が加えられないとき、段差凹部は越えるがハウジングにおける開口部及び段差凹部の周囲の外面部を越えない位置に配される。
【0021】
上述のような本発明に係るコネクタ装置にあっては、配線板状部材が配線基板上に配されるハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部を通じて差し込まれると、ハウジングに配列配置された複数のコンタクトが、差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続されるとともに、ハウジングにそれと一体的に形成されて設けられた係合部材が、ハウジング内において、差し込まれた配線板状部材を係止し、配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止する。そして、係合部材が配線板状部材を係止したもとで、係合部材に所定の操作が加えられると、配線板状部材を係止した係合部材が、ハウジング内において配線板状部材に対する係止を解除し、配線板状部材のハウジングからの抜脱を可能とする。
【0022】
斯かるもとで、係合部材は、ハウジングの内面部から伸びる可動アーム部を有している。そして、可動アーム部には、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部に係合して配線板状部材を係止する係止部と、可動アーム部からハウジングに形成された開口部を通じてハウジングの外部に向かって突出し、移動操作が加えられるとき可動アーム部を変位させ、可動アーム部に係止部による配線板状部材に対する係止を解除させる係止解除操作部とが形成される。
【0023】
それに加えて、係合部材は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された本発明に係るコネクタ装置の場合のように、可動アーム部が、ハウジングの内面部からハウジングの板状部材差込み部が開口する端面部に向かって伸び、その自由端部分に係止部が形成されるとともに、その中間部分に係止解除操作部が形成されるものとされる。
【0024】
また、ハウジングに形成され、それを通じて係合部材における係止解除操作部がハウジングの外部に向かって突出する開口部は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項4に記載された本発明に係るコネクタ装置の場合のように、それを通じて係合部材における係止部により係止された配線板状部材を目視することができる部分を有するものとされる。
【0025】
さらに、ハウジングには、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項6に記載された本発明に係るコネクタ装置の場合のように、それに形成された開口部に隣接する段差凹部が形成される。そして、開口部を通じてハウジングの外部に向かって突出する係合部材における係止解除操作部の先端部分が、係止解除操作部に移動操作が加えられないとき、段差凹部は越えるがハウジングにおける開口部及び段差凹部の周囲の外面部を越えない位置に配される。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るコネクタ装置においては、上述のように、配線板状部材が板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、ハウジングにそれと一体的に形成されて設けられた係合部材における係止部が、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部に係合して、配線板状部材をハウジングからの不所望な抜脱を阻止すべく係止し、また、その後、係合部材における係止解除操作部に移動操作が加えられると、係合部材の可動アーム部が係止部による配線板状部材に対する係止を解除させるので、比較的簡単で部品点数の減少が図られた構成をもって、係合部材によるハウジングに差し込まれた配線板状部材に対するハウジングからの不所望な抜脱を阻止するための係止を容易かつ確実に行えるとともに、係合部材による配線板状部材に対する係止の解除を配線板状部材及び係合部材等に無理な力を作用させることなく容易に行うことができることになる。
【0027】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、係合部材が、それが有する可動アーム部が、ハウジングの内面部からハウジングの板状部材差込み部が開口する端面部に向かって伸び、その自由端部分に係止部が形成されるとともに、その中間部分に係止解除操作部が形成されるものとされるので、配線板状部材が板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれる際において、係止部による配線板状部材における係合部との係合をもってなされる配線板状部材に対する係止が、極めて円滑かつ確実に行われ、さらに、係合部材における係止解除操作部に移動操作が加えられた際において、係止部による配線板状部材に対する係止を解除させるための可動アーム部の変位が、効率良くかつ確実に行われる。
【0028】
また、本願の特許請求の範囲における請求項4に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、ハウジングに形成された開口部を通じて、係合部材における係止部がハウジングに差し込まれた配線板状部材を係止する状態が適正にとられていることを、ハウジングの外部から目視により確認することができる。
【0029】
さらに、本願の特許請求の範囲における請求項6に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、ハウジングに形成された開口部を通じてハウジングの外部に向かって突出する係合部材における係止解除操作部の先端部分が、係止解除操作部に移動操作が加えられないとき、ハウジングにおける開口部に隣接する部分に形成された段差凹部は越えるがハウジングにおける開口部及び段差凹部の周囲の外面部を越えない位置に配されるので、ハウジングの外部に向かって突出する係合部材における係止解除操作部が、ハウジングの周囲に格別のスペースを要求することがなく、ハウジングの周囲に対する干渉を生じないものとされる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るコネクタ装置の一例をそれに装着されるフレキシブル印刷配線基板と共に示す、コネクタ装置の一例の正面側から見た斜視図である。
【図2】本発明に係るコネクタ装置の一例をそれに装着されるフレキシブル印刷配線基板と共に示す、コネクタ装置の一例の背面側から見た斜視図である。
【図3】本発明に係るコネクタ装置の一例をそれに装着されるフレキシブル印刷配線基板と共に示す平面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線断面を示す断面図である。
【図5】図3における V−V 線断面を示す断面図である。
【図6】本発明に係るコネクタ装置の一例及びそれに装着されるフレキシブル印刷配線基板についての、図4に示されるコネクタ装置の断面を含んだ部分斜視図である。
【図7】本発明に係るコネクタ装置の一例が備える係合部材が、コネクタ装置の一例に装着されたフレキシブル印刷配線基板を係止した状態を示す一部断面を含んだ部分斜視図である。
【図8】本発明に係るコネクタ装置の一例が備える係合部材が、コネクタ装置の一例に装着されたフレキシブル印刷配線基板に対する係止を解除した状態を示す一部断面を含んだ部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を実施するための形態は、以下に述べられる本発明についての実施例をもって説明される。
【実施例】
【0032】
図1(正面側から見た斜視図),図2(背面側から見た斜視図)及び図3(平面図)は、本発明に係るコネクタ装置の一例をそれに装着されるフレキシブル印刷配線基板と共に示す。
【0033】
図1,図2及び図3において、本発明に係るコネクタ装置の一例を成すコネクタ装置10は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されたハウジング11を備えている。ハウジング11には、図1及び図3に示されるように、その正面側端面部に板状部材差込み部12が設けられており、板状部材差込み部12からハウジング11の内部へと板状部材収容空間が伸びている。
【0034】
ハウジング11は、例えば、図示されていない主配線基板に配され、それにより、コネクタ装置10の全体が主配線基板に取り付けられたものとされる。その際、ハウジング11における正面側端面部とそれに対向する背面側端面部とに挟まれた一対の対向外面部のうちの一方が主配線基板に対接する外面部とされて他方が解放された外面部とされる。以下においては、主配線基板に対接するハウジングの一外面部を下方外面部といい、それに対向するハウジングの他外面部を上方外面部という。そして、正面側端面部に設けられた板状部材差込み部12を通じて、例えば、フレキシブル印刷配線基板13が、配線板状部材を成すものとして、ハウジング11に差し込まれる。
【0035】
ハウジング11には、その内部に、各々が弾性導電材料で形成された複数のコンタクト14が、ハウジング11の長手方向(左右方向)に沿って配列配置されて設けられている。複数のコンタクト14は、配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板13に配列配置された複数の接触端子部15に接触接続される信号用コンタクトとして設けられているが、他のフレキシブル印刷配線基板における複数の信号接続端子部及び接地接続部に接触接続される信号用及び接地用コンタクトとして設けられてもよい。複数のコンタクト14の夫々には、図2に示されるように、その一端部が、ハウジング11の背面側端面部からその外部に突出する接続端子部14aを形成しており、接続端子部14aは、ハウジング11が配された主配線基板に設けられた配線端子に、例えば、半田付けにより接続される。そして、複数のコンタクト14は、例えば、図2に示されるハウジング11の背面側端面部側から、ハウジング11の内部へと押圧挿入されて固定される。
【0036】
これらの複数のコンタクト14は、配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板13が板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれたとき、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部15に夫々接触接続される。それにより、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部15が、複数のコンタクト14を介して、ハウジング11が配された主配線基板に設けられた配線端子に連結される。
【0037】
また、コネクタ装置10は、ハウジング11の長手方向、即ち、複数のコンタクト14の配列方向における両端部の夫々においてハウジング11と一体的に形成されて変位可能に設けられた、一対の係合部材16及び17を備えている。係合部材16及び17の夫々は、その全体が、ハウジング11と同様に、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されたものとされる。
【0038】
係合部材16は、図3におけるIV−IV線断面を示す図4に示されるように、ハウジング11の板状部材差込み部12が開口する正面側端面部に対向する背面側端面部における内面部20から正面側端面部に向かって伸びる可動アーム部21を有している。可動アーム部21には、その自由端部分に、板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13に設けられた切欠き係合部22に係合してフレキシブル印刷配線基板13を係止する係止部24が形成されており、また、その中間部分に、係止部24によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除するための操作が加えられる係止解除操作部25が形成されている。そして、可動アーム部21は、係止部24及び係止解除操作部25を伴って、ハウジング11の背面側端面部における内面部20との連結部分を支点にした弾性揺動を行うことができるものとされている。
【0039】
係止部24は、ハウジング11への板状部材差込み部12を通じたフレキシブル印刷配線基板13の差込み方向に沿って上昇傾斜する傾斜面24aと傾斜面24aより係止解除操作部25側に位置する係合端面24bとを形成しており、係合端面24bをフレキシブル印刷配線基板13に設けられた切欠き係合部22に係合させる。フレキシブル印刷配線基板13が板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれるとき、係止部24が形成する傾斜面24aは、それに当接するフレキシブル印刷配線基板13の先端部分を係止部24を乗り越させるように案内する。
【0040】
係止解除操作部25は、可動アーム部21からハウジング11の上方外面部側に形成された開口部26を通じてハウジング11の外部に向かって突出する。そして、係止解除操作部25は、例えば、ハウジング11の上方外面部から下方外面部に向かう方向の押圧力を作用させる押圧操作とされる移動操作が加えられるとき、可動アーム部21をハウジング11の下方外面部側へと変位させ、可動アーム部21に、係止部24によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除させる。
【0041】
ハウジング11の上方外面部には、開口部26に隣接する段差凹部28が形成されており、開口部26を通じてハウジング11の外部に向かって突出する係止解除操作部25の先端部分25aが、係止解除操作部25に移動操作が加えられないとき、段差凹部28は越えるがハウジング11の開口部26及び段差凹部28の周囲における上方外面部を越えない位置に配される。それにより、ハウジング11の外部に向かって突出する係合部材16における係止解除操作部25が、ハウジング11の周囲に格別のスペースを要求することがなく、ハウジング11の周囲に対する干渉を生じないものとされる。
【0042】
また、係合部材17も、詳細図示は省略されているが、係合部材16における可動アーム部21に相当する、ハウジング11の板状部材差込み部12が開口する正面側端面部に対向する背面側端面部における内面部20から正面側端面部に向かって伸びる可動アーム部30(図3)を有している。この係合部材17の可動アーム部30にも、その自由端部分に、板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13に設けられた切欠き係合部23に係合してフレキシブル印刷配線基板13を係止する係止部31(図1)が形成されており、また、その中間部分に、係止部31によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除するための操作が加えられる係止解除操作部32が形成されている。そして、可動アーム部30も、係止部31及び係止解除操作部32を伴って、ハウジング11の背面側端面部における内面部20との連結部分を支点にした弾性揺動を行うことができるものとされている。
【0043】
係止部31は、係合部材16における係止部24と同様に、ハウジング11への板状部材差込み部12を通じたフレキシブル印刷配線基板13の差込み方向に沿って上昇傾斜する傾斜面31a(図6)と傾斜面31aより係止解除操作部32側に位置する係合端面とを形成しており、係合端面をフレキシブル印刷配線基板13に設けられた切欠き係合部23に係合させる。フレキシブル印刷配線基板13が板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれるとき、係止部31が形成する傾斜面31aは、それに当接するフレキシブル印刷配線基板13の先端部分を係止部31を乗り越させるように案内する。
【0044】
係止解除操作部32は、可動アーム部30からハウジング11の上方外面部側に形成された開口部27を通じてハウジング11の外部に向かって突出する。そして、係止解除操作部32は、例えば、ハウジング11の上方外面部から下方外面部に向かう方向の押圧力を作用させる押圧操作とされる移動操作が加えられるとき、可動アーム部30をハウジング11の下方外面部側へと変位させ、可動アーム部30に、係止部31によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除させる。
【0045】
ハウジング11の上方外面部には、開口部27に隣接する段差凹部29も形成されており、開口部27を通じてハウジング11の外部に向かって突出する係止解除操作部32の先端部分32a(図6)が、係止解除操作部32に移動操作が加えられないとき、段差凹部29は越えるがハウジング11の開口部27及び段差凹部29の周囲における上方外面部を越えない位置に配される。それにより、ハウジング11の外部に向かって突出する係合部材17における係止解除操作部32が、ハウジング11の周囲に格別のスペースを要求することがなく、ハウジング11の周囲に対する干渉を生じないものとされる。
【0046】
図3に示されるように、ハウジング11の上方外面部に形成された開口部26は、その一部を通じて係合部材16における可動アーム部21をハウジング11外から目視することができるものとされており、また、ハウジング11の上方外面部に形成された開口部27も、その一部を通じて係合部材17における可動アーム部30をハウジング11外から目視することができるものとされている。
【0047】
なお、コネクタ装置10は、ハウジング11の長手方向における両端部の夫々において、ハウジング11の下方外面部側からハウジングの外部に向かって突出する半田付け部33及び34を備えている。半田付け部33及び34の夫々は、金属導電材料によって形成されており、ハウジング11が主配線基板に配されるとき、主配線基板に設けられた導体部分に半田付けされ、それにより、主配線基板に対するその上に配されたハウジング11の堅固な固定に貢献する。
【0048】
コネクタ装置10のハウジング11内に配列配置された複数のコンタクト14の夫々は、例えば、図3における V−V 線断面を示す図5に示されるように、ハウジング11に固定される固定部35と固定部35から伸びる屈曲アーム部36とを有している。固定部35からは、接続端子部14aがハウジング11の外部へと伸びており、また、屈曲アーム部36には、その先端部分に接点部37が形成されている。
【0049】
このようなもとで、フレキシブル印刷配線基板13がコネクタ装置10のハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれるにあたっては、フレキシブル印刷配線基板13が、図1〜図5に示されるように、複数の接触端子部15が配列配置された先端部分をハウジング11の正面側端面部に開口する板状部材差込み部12に対向させる位置に配される。その際、フレキシブル印刷配線基板13は、それにおける複数の接触端子部15が、ハウジング11に配列配置された複数のコンタクト14に夫々対応する位置をとり、また、それにおける切欠き係合部22及び23が、ハウジング11と一体的に形成されて変位可能に設けられた係合部材16及び17における、可動アーム部21に形成された係止部24及び可動アーム部30に形成された係止部31に夫々対応する位置をとる状態におかれる。
【0050】
図1〜図5に示されるように配されたフレキシブル印刷配線基板13は、その後、図4に示されるコネクタ装置10の断面を含んだ部分斜視図である図6に示されるようにして、コネクタ装置10のハウジング11に、その正面側端面部に設けられた板状部材差込み部12を通じて差し込まれる。なお、コネクタ装置10のハウジング11には、段差凹部28の一部の内側となる位置に、板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれて係止部24により係止されるフレキシブル印刷配線基板13の先端部分が当接する係止面38が設けられていて、係止面38と係合部材16の係止解除操作部25における係止部24に対面する側面25bとが実質的に同一面内に配されており、同様に、段差凹部29の一部の内側となる位置にも、板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれて係止部31により係止されるフレキシブル印刷配線基板13の先端部分が当接する係止面が設けられていて、この係止面と係合部材17の係止解除操作部32における係止部31に対面する側面とが実質的に同一面内に配されている。
【0051】
板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13の先端部分は、先ず、係合部材16の係止部24が形成する傾斜面24a及び係合部材17の係止部31が形成する傾斜面31aに当接する。続いて、フレキシブル印刷配線基板13の先端部分は、ハウジング11に対する差込み移動に伴って、係止部24が形成する傾斜面24a及び係止部31が形成する傾斜面31aによる案内を受けて係止部24及び係止部31を乗り越える。このとき、係合部材16の可動アーム部21及び係合部材17の可動アーム部30は、一旦、弾性変形を生じて、ハウジング11の下方外面部側へと変位し、その後、自らの弾性復元力によって元の位置に戻る。それにより、図7に示されるように、係合部材16の係止部24が、その係合端面24bをフレキシブル印刷配線基板13に設けられた切欠き係合部22に係合させて、フレキシブル印刷配線基板13を係止するとともに、係合部材17の係止部31が、その係合端面をフレキシブル印刷配線基板13に設けられた切欠き係合部23に係合させて、フレキシブル印刷配線基板13を係止する状態が得られる。
【0052】
係合部材16における係止部24がその係合端面24bを切欠き係合部22に係合させるとともに、係合部材17における係止部31がその係合端面を切欠き係合部23に係合させる状態が得られると、フレキシブル印刷配線基板13のハウジング11への差込みが完了し、このとき、フレキシブル印刷配線基板13の先端部分は、ハウジング11における段差凹部28の一部の内側となる位置に設けられた係止面38及びハウジング11における段差凹部29の一部の内側となる位置に設けられた係止面に当接して係止される。そして、フレキシブル印刷配線基板13は、ハウジング11に対する正規の差込み位置をとり、係合部材16の係止部24及び係合部材17の係止部31により適正に係止されて、ハウジング11からの不所望な抜脱が阻止される状態におかれる。即ち、フレキシブル印刷配線基板13は、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて適正に差し込まれるだけで、係合部材16の可動アーム部21に形成された係止部24及び係合部材17の可動アーム部30に形成された係止部31によりハウジング11からの不所望な抜脱が阻止される状態におかれることになる。
【0053】
ハウジング11における段差凹部28の一部の内側となる位置に設けられた係止面38及びハウジング11における段差凹部29の一部の内側となる位置に設けられた係止面に当接したフレキシブル印刷配線基板13の先端部分は、係合部材16の係止解除操作部25における側面25b及び係合部材17の係止解除操作部32における側面に到達していて、その様子は、ハウジング11の上方外面部側に形成された開口部26及び27の夫々の一部分を通じて、ハウジング11外から目視することができるものとされる。従って、フレキシブル印刷配線基板13の先端部分が係合部材16の係止解除操作部25における側面25b及び係合部材17の係止解除操作部32における側面に到達していることを、開口部26及び27の夫々の一部分を通じてハウジング11外から目視により確認することにより、上述のようにして、フレキシブル印刷配線基板13が、ハウジング11に対する正規の差込み位置をとり、係合部材16の係止部24及び係合部材17の係止部31により適正に係止された状態におかれたことを確認できることになる。
【0054】
このとき、係合部材16の可動アーム部21に形成された係止解除操作部25が、図7に示されるように、その先端部分25aをハウジング11の上方外面部側に形成された開口部26からハウジング11の外部に向かって突出させる位置をとるとともに、係合部材17の可動アーム部30に形成された係止解除操作部32も、その先端部分32aをハウジング11の上方外面部側に形成された開口部27からハウジング11の外部に向かって突出させる位置をとる。それにより、係止解除操作部25の先端部分25a及び係止解除操作部32の先端部分32aを目視すること、あるいは、係止解除操作部25の先端部25a及び係止解除操作部32の先端部32aに触れることによっても、フレキシブル印刷配線基板13が、ハウジング11への板状部材差込み部12を通じての差込みを完了して正規の差込み位置をとり、係合部材16の可動アーム部21に形成された係止部24及び係合部材17の可動アーム部30に形成された係止部31により係止された状態におかれたことを知ることができる。
【0055】
このようにして、フレキシブル印刷配線基板13がハウジング11への板状部材差込み部12を通じての差込を完了して正規の差込み位置をとるもとにおいては、ハウジング11に配列配置された複数のコンタクト14が、各々の屈曲アーム部36の先端部分に形成された接点部37をハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部15に夫々弾性当接させて、複数の接触端子部15に夫々接触接続された状態におかれる。それにより、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部15が、複数のコンタクト14を介して、ハウジング11が配された主配線基板に設けられた配線端子に連結される。斯かる状態は、フレキシブル印刷配線基板13がハウジング11に板状部材差込み部12を通じて適正に差し込まれるだけで得られる。
【0056】
その後、図8に示されるように、先端部分25aをハウジング11の上方外面部側に形成された開口部26からハウジング11の外部に向かって突出させた、係合部材16の可動アーム部21に形成された係止解除操作部25に、その先端部分25aをハウジング11の内部に押し込む押圧操作とされる移動操作が加えられると、可動アーム部21が、弾性変形を生じ、それに形成された係止部24を伴って、ハウジング11の下方外面部に近接する位置へと変位する。それにより、係止部24が、その係合端面24bをフレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部22との係合状態から外し、フレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除する。即ち、係合部材16の可動アーム部21に形成された係止解除操作部25は、ハウジング11の上方外面部側に形成された開口部26からハウジング11の外部に向かって突出した先端部分25aに対する押圧操作とされる移動操作が加えられるとき、可動アーム部21にそれに形成された係止部24によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除させるのである。
【0057】
同様に、先端部分32aをハウジング11の上方外面部側に形成された開口部27からハウジング11の外部に向かって突出させた、係合部材17の可動アーム部30に形成された係止解除操作部32に、その先端部分32aをハウジング11の内部に押し込む押圧操作とされる移動操作が加えられるとき、可動アーム部30が、弾性変形を生じ、それに形成された係止部31を伴って、ハウジング11の下方外面部に近接する位置へと変位する。それにより、係止部31が、その係合端面をフレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部23との係合状態から外し、フレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除する。即ち、係合部材17の可動アーム部30に形成された係止解除操作部32も、ハウジング11の上方外面部側に形成された開口部27からハウジング11の外部に向かって突出した先端部分32aに対する押圧操作とされる移動操作が加えられるとき、可動アーム部30にそれに形成された係止部31によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除させるのである。
【0058】
このようにして、係合部材16の可動アーム部21に形成された係止部24及び係合部材17の可動アーム部30に形成された係止部31によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止が解除されることにより、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13が、ハウジング11から適正に抜脱され得る状態におかれる。そして、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13がハウジング11から適正に抜脱されるときには、係合部材16の可動アーム部21及び係合部材17の可動アーム部30の夫々は、自らの弾性により元の位置に復帰する。
【0059】
なお、上述の例にあっては、フレキシブル印刷配線基板13が一対の切欠き係合部22及び23が設けられたものとされているが、フレキシブル印刷配線基板13は、一対の切欠き係合部22及び23に代えて、一対の係合孔が設けられたものとされてもよく、斯かる場合にも、上述と同様にして、係合部材16の可動アーム部21に形成された係止部24及び係合部材17の可動アーム部30に形成された係止部31 によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止及び係止の解除が行われる。
【0060】
また、上述の例にあっては、フレキシブル印刷配線基板13が、それに配列配置された複数の接触端子部15がハウジング11の上方外面部側に向けられた状態をもって、板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれ、ハウジング11に配列配置された複数のコンタクト14が、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部15にハウジング11の上方外面部側から夫々弾性当接するものとされているが、本発明に係るコネクタ装置にあっては、フレキシブル印刷配線基板13に相当するフレキシブル印刷配線基板等の配線板状部材が、それに配列配置された複数の接触端子部が、ハウジング11に相当するハウジングにおけるハウジング11の下方外面部に相当する下方外面部側に向けられた状態をもって、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれ、ハウジングに配列配置された複数のコンタクト14に相当する複数のコンタクトが、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部にハウジングの下方外面部側から夫々弾性当接するものとされてもよい。さらに、複数のコンタクトは、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における接触端子部に上方外面部側から弾性当接するものと下方外面部側から弾性当接するものとが交互に配置されたものとされてもよい。
【0061】
上述のようなコネクタ装置10が用いられてそれにおけるハウジング11に配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板13が差し込まれるもとにあっては、フレキシブル印刷配線基板13をコネクタ装置10におけるハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込むだけで、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における複数の接触端子部15が、複数のコンタクト14を介して、ハウジング11が配された主配線基板に設けられた配線端子に連結されるとともに、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13が、それに設けられた切欠き係合部22及び23に夫々係合する、係合部材16の可動アーム部21に形成された係止部24及び係合部材17の可動アーム部30に形成された係止部31によって、適正に係止され、フレキシブル印刷配線基板13のハウジング11からの不所望な抜脱が阻止される状態を得ることができる。
【0062】
そして、コネクタ装置10にあっては、フレキシブル印刷配線基板13が板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれて、ハウジング11にそれと一体的に形成されて設けられた係合部材16及び17に夫々設けられた係止部24及び31が、ハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部22及び23に夫々係合して、フレキシブル印刷配線基板13をハウジング11からの不所望な抜脱を阻止すべく係止した後、係合部材16及び17に夫々設けられた係止解除操作部25及び32に移動操作が加えられると、係合部材16の可動アーム部21及び係合部材17の可動アーム部30が係止部24及び31によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除させるので、比較的簡単で部品点数の減少が図られた構成をもって、係合部材16及び17によるハウジング11に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板13に対するハウジング11からの不所望な抜脱を阻止するための係止を容易かつ確実に行えるとともに、係合部材16及び17によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止の解除をフレキシブル印刷配線基板13及び係合部材16及び17等に無理な力を作用させることなく容易に行うことができることになる。
【0063】
また、コネクタ装置10にあっては、係合部材16が、それが有する可動アーム部21が、ハウジング11の内面部20からハウジング11の板状部材差込み部12が開口する正面側端面部に向かって伸び、その自由端部分に係止部24が形成されるとともに、その中間部分に係止解除操作部25が形成されるものとされ、また、係合部材17も、それが有する可動アーム部30が、ハウジング11の内面部20からハウジング11の板状部材差込み部12が開口する正面側端面部に向かって伸び、その自由端部分に係止部31が形成されるとともに、その中間部分に係止解除操作部32が形成されるものとされるので、フレキシブル印刷配線基板13が板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれる際において、係止部24及び31によるフレキシブル印刷配線基板13における切欠き係合部22及び23との係合をもってなされるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止が、極めて円滑かつ確実に行われ、さらに、係合部材16及び17に夫々設けられた係止解除操作部25及び32に移動操作が加えられた際において、係止部24及び31によるフレキシブル印刷配線基板13に対する係止を解除させるための可動アーム部21及び30の変位が、効率良くかつ確実に行われる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のような本発明に係るコネクタ装置は、例えば、フレキシブル印刷配線基板等とされる配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられる、板状部材差込み部が設けられたハウジングと、ハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトと、ハウジングに設けられ、配線板状部材がハウジングに差し込まれたとき、配線板状部材に対する係止状態と係止解除状態とを選択的にとる係合部材とを備えたコネクタ装置であって、係合部材によるハウジングに差し込まれた配線板状部材に対するハウジングからの不所望な抜脱を阻止するための係止を容易かつ確実に行えるとともに、係合部材による配線板状部材に対する係止の解除を配線板状部材及び係合部材等に無理な力を作用させることなく容易に行うことができ、しかも、係合部材がハウジングに差し込まれた配線板状部材を係止する状態が適正にとられていることを目視により確認することも可能とされたものとして、様々な電子機器等に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【0065】
10・・・コネクタ装置, 11・・・ハウジング, 12・・・板状部材差込み部, 13・・・フレキシブル印刷配線基板, 14・・・コンタクト, 14a・・・接続端子部, 15・・・接触端子部, 16,17・・・係合部材, 20・・・(ハウジング11の) 内面部, 21,30・・・可動アーム部, 22,23・・・切欠き係合部, 24,31・・・係止部, 24a,31a・・・傾斜面, 24b・・・係合端面, 25,32・・・係止解除操作部, 25a,32a・・・先端部分, 26,27・・・開口部, 28,29・・・段差凹部, 35・・・固定部, 36・・・屈曲アーム部, 37・・・接点部, 38・・・係止面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材差込み部が設けられて配線基板上に配されるハウジングと、
該ハウジングに配列配置されて設けられ、上記配線基板に設けられた配線端子に接続される状態をとり、配線板状部材が上記板状部材差込み部を通じて上記ハウジングに差し込まれたとき、上記ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続される複数のコンタクトと、
上記ハウジングと一体的に形成されて変位可能に設けられ、配線板状部材が上記ハウジングに上記板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、該配線板状部材に対する係止を行う係止状態と上記係止を解除する係止解除状態とを選択的にとる係合部材と、
を備えて成り、
上記係合部材が、上記ハウジングの内面部から伸びる可動アーム部を有し、該可動アーム部に、上記板状部材差込み部を通じて上記ハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部に係合して上記配線板状部材を係止する係止部と、上記可動アーム部から上記ハウジングに形成された開口部を通じて該ハウジングの外部に向かって突出し、移動操作が加えられるとき上記可動アーム部を変位させ、該可動アーム部に上記係止部による上記配線板状部材に対する係止を解除させる係止解除操作部と、が形成されていることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
上記可動アーム部が、上記ハウジングの内面部から該ハウジングの上記板状部材差込み部が開口する端面部に向かって伸びており、上記係止部が上記可動アーム部の自由端部分に形成され、上記係止解除操作部が上記可動アーム部の中間部分に形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項3】
上記係止部が、上記ハウジングへの上記板状部材差込み部を通じた配線板状部材の差込み方向に沿って上昇傾斜する傾斜面と該傾斜面より上記係止解除操作部側に位置する係合端面とを形成しており、該係合端面を上記配線板状部材に設けられた係合部に係合させることを特徴とする請求項2記載のコネクタ装置。
【請求項4】
上記ハウジングに形成された開口部が、該開口部を通じて上記係止部により係止された配線板状部材を目視することができる部分を有することを特徴とする請求項2記載のコネクタ装置。
【請求項5】
上記ハウジングに、上記板状部材差込み部を通じて上記ハウジングに差し込まれて上記係止部により係止される配線板状部材の先端部分が当接する係止面が設けられ、該係止面と上記係止解除操作部における上記係止部に対面する側面とが実質的に同一面内に配されることを特徴とする請求項2記載のコネクタ装置。
【請求項6】
上記ハウジングに、上記開口部に隣接する段差凹部が形成され、上記開口部を通じて上記ハウジングの外部に向かって突出する上記係止解除操作部の先端部分が、該係止解除操作部に移動操作が加えられないとき、上記段差凹部は越えるが上記ハウジングにおける上記開口部及び上記段差凹部の周囲の外面部を越えない位置に配されることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項7】
上記係合部材が、上記ハウジングにおける上記複数のコンタクトの配列方向の両端部分の夫々に設けられることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−222141(P2011−222141A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86689(P2010−86689)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(394009278)株式会社アイペックス (148)
【Fターム(参考)】