説明

コネクタ

【課題】1つの金型から成形されたハウジングをオス用とメス用のハウジングとして用いることができ、部品点数を増やさず、製造コストを下げることができる。
【解決手段】オス端子が取付けられるオス端子用ハウジングとメス端子が取付けられるメス端子用ハウジングとを接続・固定したコネクタにおいて、両ハウジングともに接続端面側にひさし状のカバー部分で覆われた嵌合用凹所とこの凹所に嵌まり込む挿入部を備え、両ハウジングは同一金型から成形された同一構造に形成してあり、一方のハウジングの接続端面側では嵌合用凹所を上にし、他方のハウジングの接続端面側では挿入部を上にして一方の嵌合用凹所に他方の挿入部を嵌合させて両ハウジングの端面同士を接続・固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタは結合した状態に保持される必要があるため、通常、オス・メス両コネクタの一方側にはロック部が形成され、他方にはこれを受けるためのロック部とは異なる形状のロック受部が形成されている。すなわち、係合手段が設けてある。また、一般に、オス側コネクタには、メス側コネクタを収容するためのフード面が一体に形成されている。従って、メスコネクタとオスコネクタとでは、そのハウジングの形状は異なったものとならざるを得なかった。特に、上記したような複数のブロックによって構成されるタイプのコネクタにおいては、各ブロックにおいてもメスコネクタとオスコネクタとでは形状が異なり、メスコネクタ側とオスコネクタ側とを合わせれば、異なる形状のブロックを複数個用意しなければならず、複数種の金型の製作に伴う経済的負担や部品管理面での負担が大きくなる。
【0003】
そこで、オス・メスのコネクタハウジングの共用化を図ったものとして、特許文献1に記載のものが開発された。これは、内部にオス・メス何れの端子金具も収容可能とするオス・メス共用のコネクタハウジングと、この両コネクタハウジング同士を対向させてオス・メスの端子金具を接続させた状態で、両コネクタハウジングと係合することにより両コネクタハウジングをロック状態に保持する連結手段(係合手段)とを備えてなるものである。このような構成により、オス・メス両コネクタハウジングを対向させてオス・メスの端子金具を接続させた状態で、これら両コネクタハウジングを連結手段と係合させれば、両コネクタハウジングはロック状態に保持される。つまり、コネクタハウジングを同一構造としてオス・メスを共用するようにしても、両者の間に介在される連結手段によって相互を連結することができる。したがって、オス・メスコネクタハウジングを共通化できるため、経済面・管理面において優れる。
【特許文献1】特開平10−112357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、コネクタ収容用の別部材が必要なため、別部材作成用の金型の起工が必要となり、しかも部品点数も増えてしまう。また、別部材をコネクタに装着する工程が発生するため、製造コストも上昇してしまう。
【0005】
本発明は、コネクタ収容用の別部材を不要とし、部品点数の増加や製造コストの上昇を防止したコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明は、オス端子が取付けられるオス端子用ハウジングとメス端子が取付けられるメス端子用ハウジングとを接続・固定したコネクタにおいて、両ハウジングともに接続端面側にひさし状のカバー部分で覆われた嵌合用凹所とこの凹所に嵌まり込む挿入部を備え、両ハウジングは同一金型から成形された同一構造に形成してあり、一方のハウジングの接続端面側では嵌合用凹所を上にし、他方のハウジングの接続端面側では挿入部を上にして一方の嵌合用凹所に他方の挿入部を嵌合させて両ハウジングの端面同士を接続・固定するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、オス端子が取付けられるオス端子用ハウジングとメス端子が取付けられるメス端子用ハウジングとを接続・固定したコネクタにおいて、両ハウジングともに接続端面側にひさし状のカバー部分で覆われた嵌合用凹所とこの凹所に嵌まり込む挿入部を備え、両ハウジングは同一金型から成形された同一構造に形成してあり、一方のハウジングの接続端面側では嵌合用凹所を上にし、他方のハウジングの接続端面側では挿入部を上にして一方の嵌合用凹所に他方の挿入部を嵌合させて両ハウジングの端面同士を接続・固定するものであるため、オス・メス共用ハウジングを1部品の金型起工で作成することができ、部品点数の増加やコストアップを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面を参照にして説明する。
【0009】
図1は、オス端子用ハウジング1とメス端子用ハウジング2の接続・固定する前の斜視図であり、これらハウジング1、2を接続してコネクタが構成される。
【0010】
上記ハウジング1、2は、同一の金型で成形された同一形状、同一構造のものであり、一方のハウジング1は、他方のハウジング2に対して接続方向の軸回りに180度回転させた状態で接続端面を向き合わせている。
【0011】
両ハウジング1、2ともに接続端面側にひさし状のカバー部分3で覆われた嵌合用凹所4とこの凹所4に嵌まり込む挿入部5を備え、両ハウジング1、2は同一金型から成形された同一構造に形成してあり、一方のハウジング1の接続端面側では嵌合用凹所4を上にし、他方のハウジング2の接続端面側では挿入部5を上にして一方の嵌合用凹所4に他方の挿入部5を嵌合させて両ハウジング1、2の端面同士を接続・固定するようになっている。
【0012】
図2では、カバー部分3の上部の内面に形成された溝部6(2本)と、カバー部分3の両側の内面に形成された凹条部7とを示す。溝部6には、相手方の挿入部5に形成されたくさび状の突起8(2本)が係合し、凹条部7には、相手方の挿入部5に形成された両側の突条部9がスライドして係合する。また、両ハウジング1、2には、端子(図示せず)収容用の孔10が形成されている。
【0013】
両ハウジング1、2を接続・固定する係合手段としては、図示したものに限定されず、従来のロック手段も採用可能である。
【0014】
両ハウジング1、2に形成された多数の孔10には、オス型端子金具とメス型端子金具とをそれぞれ収容し、両ハウジング1、2を接続した状態で、オス・メスの端子金具同士が接続される。また、両ハウジング1、2は、例えば合成樹脂材料を射出成形して形成される。成形手段が異なったり、成形材料が異なっても、ハウジング1、2は同一形状、同一構造のもので、1つの金型から成形される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】2つのハウジング接続前の斜視図。
【図2】1つのハウジングの斜視図。
【図3】1つのハウジングの側面図。
【図4】正面図。
【符号の説明】
【0016】
1、2 ハウジング
3 カバー部分
4 嵌合用凹所
5 挿入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オス端子が取付けられるオス端子用ハウジングとメス端子が取付けられるメス端子用ハウジングとを接続・固定したコネクタにおいて、
両ハウジングともに接続端面側にひさし状のカバー部分で覆われた嵌合用凹所とこの凹所に嵌まり込む挿入部を備え、
両ハウジングは同一金型から成形された同一構造に形成してあり、
一方のハウジングの接続端面側では嵌合用凹所を上にし、他方のハウジングの接続端面側では挿入部を上にして一方の嵌合用凹所に他方の挿入部を嵌合させて両ハウジングの端面同士を接続・固定することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
一方のハウジングの嵌合用凹所を形成するカバー部分の内面とこの凹所に挿入される他方のハウジングの挿入部の外面とに係合手段を1又は2以上設けたことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記係合手段は、挿入部の両側面の突条部が相手方のカバー部分の内面の凹条部にスライドして係合するものと、一方の挿入部の上面と他方の挿入部の下面に形成されたくさび状の突起が相手方のカバー部分の内面の溝部に係合するものとを備えていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−129438(P2010−129438A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304236(P2008−304236)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】