説明

コネクタ

【課題】高周波信号に対するグランドとしての効果を高めることができるコネクタを提供すること。
【解決手段】相手コネクタ3Aに嵌合して接続されるコネクタ2Aにおいて、行方向(X1−X2方向)に延びるグランド板40Aと、行方向(X1−X2方向)に並び相手コネクタ2Aが有する複数の信号コンタクト24A、26Aの各々とそれぞれ接触可能な複数の信号コンタクト14A、16Aと、行方向(X1−X2方向)に並び相手コネクタ2Aが有する複数のグランドコンタクト28Aの各々とそれぞれ接触可能な複数のグランドコンタクト18Aとを備える。グランド板40Aと複数のグランドコンタクト28Aとは、一の金属板を加工して一体に形成される。グランド板40Aの相手コネクタ3A側と、複数のグランドコンタクト18Aの各々の相手コネクタ側3Aとが接続され導通される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手コネクタに嵌合して接続されるコネクタに関し、特に平衡伝送用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
データの伝送の方式としては、データ毎に一本の電線を使用する通常の伝送方式と、データ毎に対をなす二本の電線を使用して、伝送すべき+信号とこの+信号とは大きさが等しく逆向きの−信号とを同時に伝送する平衡伝送方式がある。平衡伝送方式は、通常の伝送方式に比べてノイズの影響を受けにくいという利点を有しており、信号を高速で伝送する分野において多く採用されている。
【0003】
図1は、従来の平衡伝送用コネクタ装置を概略的に示す斜視図である。図2は、プラグコネクタ2とジャックコネクタ3との対向する面の構造を概略的に示す図である。平衡伝送用コネクタ装置1は、プラグコネクタ2とジャックコネクタ3とよりなる。プラグコネクタ2は、バックプレーン(外部基板)4に実装してあり、ジャックコネクタ3は、ドータボード(外部基板)5の端に実装してある。プラグコネクタ2とジャックコネクタ3とが接続されて、コネクタ装置1によってバックプレーン4とドータボード5とが電気的に接続される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
プラグコネクタ2は、図1、図2に示すように、複数の信号コンタクト対12と、信号コンタクト対12毎に設けられる逆L字状の複数のグランドコンタクト18と、複数の信号コンタクト対12及び複数のグランドコンタクト18を支持するU字状の絶縁性ハウジング6とを備える。複数の信号コンタクト対12は、行方向(X1−X2方向)及び列方向(Y1−Y2方向)に並設されている。各信号コンタクト対12は、正負対称波形の信号を伝えるための信号コンタクト14、16から構成され、その信号コンタクト14、16は行方向(X1−X2方向)に並んでいる。各グランドコンタクト18は、水平板部18−1と垂直板部18−2とから構成され、対応する信号コンタクト対12のY1側とX2側を覆っている。各水平板部18−1はハウジング8の裏側まで延在しており、端子部となっている。
【0005】
ジャックコネクタ3は、図1、図2に示すように、絶縁性ハウジング7と、複数のモジュール8と、複数のグランド板(シールド板)9とを備える。絶縁性ハウジング7は、プラグコネクタ2の信号コンタクト14、16に対応する開口74、76と、プラグコネクタ2のグランドコンタクト18に対応する逆L字状のスリット78とを備える。複数のモジュール8は、列方向(Y1−Y2方向)に並設される。各モジュール8は4つの信号コンタクト対22を備え、4つの信号コンタクト対22は行方向(X1−X2方向)に並んでいる。各信号コンタクト対22は正負対称波形の信号を伝えるための信号コンタクト24、26から構成され、その信号コンタクト24、26は行方向(X1−X2方向)に並んでいる。隣り合うモジュール8の間には、複数のグランド板9が1つずつ配置される。
【0006】
図3は、プラグコネクタ2とジャックコネクタ3との電気的接続部分を概略的に示す断面図である。プラグコネクタ2とジャックコネクタ3とは、ハウジング7がハウジング6に嵌合され、信号コンタクト14、16が開口74、76からハウジング6の内部に挿入され信号コンタクト24、26と接触されることによって、電気的に接続される。このとき、グランドコンタクト18がスリット78からハウジング6の内部に挿入され、垂直板部18−2が一方の信号コンタクト対12と他方の信号コンタクト対22との電気的接続部分のY1側に配置され、水平板部18−1が電気的接続部分のX2側に配置される。
【0007】
この構成によれば、プラグコネクタ2とジャックコネクタ3との接続部分において、隣り合う信号対の間にグランドコンタクト18又はグランド板9が配置されるので、隣り合う信号の間のクロストークを抑制することができ、信号を高速で伝送することができる。
【特許文献1】特開平5−275139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の構成では、プラグコネクタ2とジャックコネクタ3とを接続した場合に、グランドコンタクト18とグランド板9とが互いに接触されないので、グランドコンタクト18の先端側(Z1側)やグランド板9の先端側(Z2側)が伝送経路の行き止まりの部分(スタブ)となる。従って、高周波信号に対するグランドとしての効果が弱く、グランド電位の変動などの問題が生じることがある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、高周波信号に対するグランドとしての効果を高めることができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明は、相手コネクタに嵌合して接続されるコネクタにおいて、
行方向に延びるグランド板と、
行方向に並び前記相手コネクタが有する複数の信号コンタクトの各々とそれぞれ接触可能な複数の信号コンタクトと、
行方向に並び前記相手コネクタが有する複数のグランドコンタクトの各々とそれぞれ接触可能な複数のグランドコンタクトとを備え、
前記グランド板と前記複数のグランドコンタクトとは、一の金属板を加工して一体に形成され、
前記グランド板の前記相手コネクタ側と、前記複数のグランドコンタクトの各々の前記相手コネクタ側とが接続され導通される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高周波信号に対するグランドとしての効果を高めることができるコネクタを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。実施例の各図において、X1−X2は行方向、Y1−Y2は列方向、Z1−Z2はプラグコネクタ2Aとジャックコネクタ3Aとの接続方向を示す。X1−X2方向、Y1−Y2方向、Z1−Z2方向は互いに直交する。尚、実施例の各図において、図1〜図3に示す構成と対応する構成には添え字を付した同一の符号を付す。尚、各実施例の説明において、同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【実施例1】
【0013】
図4は、本発明の実施例1のコネクタ2Aと相手コネクタ3Aとを併せて示す斜視図である。コネクタ2Aの絶縁性ハウジング6A内には、複数のコンタクト14A、16A、18Aが行方向(X1−X2方向)及び列方向(Y1−Y2方向)に並設される。相手コネクタ3Aの絶縁性ハウジング(図示せず)には、コネクタ2Aの複数のコンタクト14A、16A、18Aに対応する複数の開口部(図示せず)が形成してあり、内部には、複数のコンタクト24A、26A、28Aが行方向(X1−X2方向)及び列方向(Y1−Y2方向)に並設される。コネクタ2Aと相手コネクタ3Aとは、コネクタ2Aの各コンタクト14A、16A、18Aが対応する開口部から相手コネクタ3Aの内部に挿入されて相手コネクタ3Aの対応する各コンタクト24A、26A、28Aと接触されることによって、電気的に接続される。以下、コネクタ2Aの各構成について詳説する。
【0014】
絶縁性ハウジング6Aは、有底筒状であり、絶縁性ハウジング6Aの底壁62Aの内面64Aには、行方向(X1−X2方向)に延び列方向(Y1−Y2方向)に並ぶ複数の突出部30Aが設けられる。複数の突出部30Aは、絶縁性ハウジング6Aと一体に形成されてもよいし、絶縁性ハウジング6Aと別部品として形成され絶縁性ハウジング6Aに取り付けられてもよい。突出部30Aは、絶縁性を有する。
【0015】
図5は、突出部30Aの構成を示す図であり、(A)は正面図、(B)は(A)のA−A線に沿った断面図、(C)は(A)のB−B線に沿った断面図、(D)は(A)のC−C線に沿った断面図である。図6は、コンタクト14A、16A、18Aの取付状態を示す図であり、(A)〜(D)は、それぞれ、図5(A)〜(D)に対応する図である。
【0016】
突出部30Aの一面(Y1側面)32Aには、複数の信号コンタクト14A、16Aの各々がそれぞれ圧入固定される複数の信号用溝34A、36Aが行方向(X1−X2方向)に並設される。また、突出部30Aの一面(Y1側面)には、複数のグランドコンタクト18Aの各々がそれぞれ圧入固定される複数のグランド用溝38Aが行方向(X1−X2方向)に並設される。一対の信号用溝34A、36Aとグランド用溝38Aとは行方向(X1−X2方向)に交互に並んでいる。
【0017】
図7は、コネクタ2Aの繰り返し単位を示す斜視図である。コネクタ2Aは、行方向(X1−X2方向)に延びるグランド板(シールド板)40Aと、行方向(X1−X2方向)に並び相手コネクタ3Aの複数の信号コンタクト24A、26Aの各々とそれぞれ接触可能な複数の信号コンタクト14A、16Aと、行方向(X1−X2方向)に並び相手コネクタ3Aの複数のグランドコンタクト28Aの各々とそれぞれ接触可能な複数のグランドコンタクト18Aとを繰り返し単位として、該繰り返し単位を列方向(Y1−Y2方向)に複数備える。
【0018】
繰り返し単位において、行方向(X1−X2方向)に隣り合う一対の信号コンタクト14A、16Aは、正負対称波形の信号を伝送する信号コンタクト対12Aを構成する。複数のグランドコンタクト18Aは、隣り合う信号コンタクト対12Aの間に1つずつ配置され、信号コンタクト対12A毎にX1側(又は、X2側)に1つずつ配置される。即ち、信号コンタクト対12Aとグランドコンタクト18Aとは行方向(X1−X2方向)に交互に並んでいる。
【0019】
複数の信号コンタクト14A、16Aの各々は、図6に示すように、複数の信号用溝34A、36Aの各々に圧入固定され、絶縁性ハウジング6Aの底壁62Aの裏側(Z2側)まで延びて端子部となっている。端子部は、外部基板(バックプレーン)のスルーホールに圧入固定可能な形状であってもよいし、外部基板に表面実装可能な形状であってもよく、端子部の形状に制限はない。
【0020】
複数のグランドコンタクト18Aの各々は、図6に示すように、複数のグランド用溝38Aの各々に圧入固定され、信号コンタクト14A、16Aよりも相手コネクタ3A側(Z1側)に突出される。これにより、コネクタ2Aと相手コネクタ3Aとを接続する際に、グランドコンタクト18Aを信号コンタクト14A、16Aより先に相手コンタクトと接触させることができる。その結果、静電気を先に放電することができ、機器システムを保護することができる。
【0021】
複数のグランド板40Aの各々は、図6に示すように、複数の突出部30Aの各々の背面(Y2側面)に面接触され、絶縁性ハウジング6Aの底壁62Aの裏側(Z2側)まで延びて端子部となっている。端子部は、外部基板のスルーホールに圧入固定可能な形状であってもよいし、外部基板に表面実装可能な形状であってもよく、端子部の形状に制限はない。
【0022】
繰り返し単位において、グランド板40Aと複数のグランドコンタクト18Aとは、一の金属板を加工して一体に形成され、グランド板40Aの相手コネクタ3A側(Z1側)と複数のグランドコンタクト18Aの各々の相手コネクタ3A側(Z1側)とが接続され導通される。
【0023】
図7に示す例では、グランド板40Aと複数のグランドコンタクト18Aとは、一の金属板を櫛状に打ち抜き加工した上で櫛歯部分をU字状に折り返して一体に形成される。金属板の複数の折り返し片の各々が、複数のグランドコンタクト18Aの各々を構成する。このように、グランド板40Aと複数のグランドコンタクト18Aとが一体に形成されるので、部品点数を削減することができる。
【0024】
図8は、グランド板40Aとグランドコンタクト18Aとの伝送経路を示す断面図である。図8において、矢印F1は伝送経路を示す。グランド板40Aの相手コネクタ3A側(Z1側)と複数のグランドコンタクト18Aの各々の相手コネクタ3A側(Z1側)とが接続され導通されるので、伝送経路F1の行き止まりの部分(スタブ)を狭めることができる。これにより、高速伝送においても、グランド電位の変動などを抑制することができ、高周波信号に対するグランドとしての効果を高めることができる。
【0025】
この効果は、グランドコンタクト18Aが信号コンタクト14A、16Aと比較して相手コネクタ3A側(Z1側)に突出する形状である場合に特に顕著に得られる。
【0026】
次に、コネクタ2Aと相手コネクタ3Aとの接続部分について図9を参照して説明する。図9は、コネクタ2Aと相手コネクタ3Aとの接続部分を概略的に示す断面図である。コネクタ2Aと相手コネクタ3Aとは、信号コンタクト14Aと相手信号コンタクト24Aとが接触され、信号コンタクト16Aと相手信号コンタクト26Aとが接触され、グランドコンタクト18Aと相手グランドコンタクト28Aとが接触されることによって、電気的に接続される。
【0027】
このとき、隣り合う信号対(信号コンタクト対12Aと相手信号コンタクト対22Aとの電気的接続部分)の間には、グランドコンタクト18A、28Aやグランド板40Aが配置される。これにより、隣り合う信号対の間のクロストークを抑制することができ、信号を高速で伝送することができる。
【実施例2】
【0028】
本発明の実施例2のコネクタ2Bは、図4に示すコネクタ2Aと比較して、図7に示すグランドコンタクト18Aの代わりに、図10に示すグランドコンタクト18Bを備える。
【0029】
図10は、コネクタ2Bの繰り返し単位を示す斜視図である。繰り返し単位において、グランドコンタクト18Bは、グランドコンタクト18Aと同様に、一の金属板を櫛状に打ち抜き加工した上で櫛歯部分をU字状に折り返してグランド板40Aと一体に形成される。このため、部品点数を削減することができる。
【0030】
グランドコンタクト18Bは、グランドコンタクト18Aと比較して、U字状部分がグランド用溝38Aから離間するように折り返され、先端部182Bがグランド用溝38Aに圧入固定されるようにY2方向に曲げられてZ2方向に斜めに延びている。
【0031】
先端部182Bは、相手グランドコンタクト28Aと面接触可能な接点部182Bを構成し、相手グランドコンタクト28Aの弾性変形可能なV字状先端と面接触可能な傾斜面を備える。グランドコンタクト18Bと相手グランドコンタクト28Aとが面接触されるので、接触不良を防止することができる。これにより、高周波信号に対するグランドとしての効果を高めることができる。
【0032】
複数の接点部182Bは、隣り合う信号コンタクト対12Aの間に1つずつ配置され、信号コンタクト対12A毎にX1側(又は、X2側)に1つずつ配置される。即ち、信号コンタクト対12Aと接点部182Bとは行方向(X1−X2方向)に交互に並んでいる。
【0033】
図11は、グランド板40Aとグランドコンタクト18Bとの伝送経路を示す断面図である。図11において、矢印F2は伝送経路を示す。グランド板40Aの相手コネクタ3A側(Z1側)と複数のグランドコンタクト18Bの各々の相手コネクタ3A側(Z1側)とが接続され導通されるので、伝送経路F2の行き止まりの部分(スタブ)を狭めることができる。これにより、高速伝送においても、グランド電位の変動などを抑制することができ、高周波信号に対するグランドとしての効果を高めることができる。
【実施例3】
【0034】
本発明の実施例3のコネクタ2Cは、図4に示すコネクタ2Aと比較して、図5に示す突出部30Aの代わりに、図12に示す突出部30Cを備える。
【0035】
図12は、突出部30Cの構成を示す図であり、(A)は正面図、(B)は(A)のA−A線に沿った断面図、(C)は(A)のB−B線に沿った断面図、(D)は(A)のC−C線に沿った断面図である。図13は、コンタクト14A、16A、18Cの取付状態を示す図であり、(A)〜(D)は、それぞれ、図12(A)〜(D)に対応する図である。
【0036】
突出部30Cは、図5に示す突出部30Aと比較して、グランド用溝38Aの代わりに、グランド用スリット38Cを備える。グランド用スリット38Cは、突出部30CのZ1側からZ2方向に切り込まれて突出部30Cの途中まで至るように形成され、行方向(X1−X2方向)に並設される。複数のグランド用スリット38Cの各々には、複数のグランドコンタクト18Cの各々が圧入固定される。
【0037】
また、コネクタ2Cは、図4に示すコネクタ2Aと比較して、図7に示すグランド板40A及びグランドコンタクト18Aの代わりに、図14に示すグランド板40C及びグランドコンタクト18Cを備える。
【0038】
図14は、コネクタ2Cの繰り返し単位を示す斜視図である。繰り返し単位において、グランド板40Cと複数のグランドコンタクト18Cとは、一の金属板の一部を帯状に切り起こして一体に形成される。複数の切り起こし片の各々が、複数のグランドコンタクト18Cの各々を構成する。このため、部品点数を削減することができる。
【0039】
図14に示す例では、グランドコンタクト18Cは、延在方向(Z1−Z2方向)両端がグランド板40Cに一体に接続されており、延在方向中間がY1方向に突き出すようにコの字状に塑性変形されて形成される。
【0040】
図15は、グランド板40Cとグランドコンタクト18Cとの伝送経路を示す断面図である。図15において、矢印F3は伝送経路を示す。グランド板40Cの相手コネクタ3A側(Z1側)と複数のグランドコンタクト18Cの各々の相手コネクタ3A側(Z1側)とが接続され導通され、且つ、グランドコンタクト18Cの延在方向(Z1−Z2方向)両端がグランド板40Cに接続され導通されるので、伝送経路F3の行き止まりの部分(スタブ)を無くすことができる。また、相手コネクタ3Aと外部基板(バックプレーン)との間の最短伝送経路の伝送方向を順方向に(一方向に)することができる。これにより、高速伝送においても、グランド電位の変動などを抑制することができ、高周波信号に対するグランドとしての効果を高めることができる。
【実施例4】
【0041】
本発明の実施例4のコネクタ2Dは、図4に示すコネクタ2Aと比較して、図5に示す突出部30Aの代わりに、図12に示す突出部30Cを備える。また、コネクタ2Dは、図4に示すコネクタ2Aと比較して、図7に示すグランド板40A及びグランドコンタクト18Aの代わりに、図16に示すグランド板40D及びグランドコンタクト18Dを備える。
【0042】
図16は、コネクタ2Dの繰り返し単位を示す斜視図である。繰り返し単位において、グランド板40Dと複数のグランドコンタクト18Dとは、一の金属板を櫛状に打ち抜き加工した上で金属板の櫛歯部分を帯状に切り起こして一体に形成される。複数の切り起こし片の各々が、複数のグランドコンタクト18Dの各々を構成する。このため、部品点数を削減することができる。
【0043】
図16に示す例では、グランドコンタクト18Dは、基端部(Z2側端部)182Dがグランド板40DからY1方向に切り起こされZ1方向に斜めに延び、先端部184D(Z1側端部)が切り起こし方向(Y1方向)とは反対向き(Y2方向)にU字状に折り返されている。
【0044】
先端部184DはX1−X2方向両端面に突起部を備え、突起部がグランド板40Dの相手コネクタ3A側(Z1側)の背面(Y2側面)に接触されている。
【0045】
基端部182Dは、相手グランドコンタクト28Aと面接触可能な接点部182Dを構成し、相手グランドコンタクト28Aの弾性変形可能なV字状先端と面接触可能な傾斜面を備える。グランドコンタクト18Dと相手グランドコンタクト28Aとが面接触されるので、接触不良を防止することができる。これにより、高周波信号に対するグランドとしての効果を高めることができる。
【0046】
複数の接点部182Dは、隣り合う信号コンタクト対12Aの間に1つずつ配置され、信号コンタクト対12A毎にX1側(又は、X2側)に1つずつ配置される。即ち、信号コンタクト対12Aと接点部182Dとは行方向(X1−X2方向)に交互に並んでいる。
【0047】
図17は、グランド板40Dとグランドコンタクト18Dとの伝送経路を示す断面図である。図17において、矢印F4は伝送経路を示す。グランド板40Dの相手コネクタ3A側(Z1側)と複数のグランドコンタクト18Dの各々の相手コネクタ3A側(Z1側)とが接続され導通され、且つ、グランドコンタクト18Dの延在方向(Z1−Z2方向)両端がグランド板40Dに接続され導通されるので、伝送経路F4の行き止まりの部分(スタブ)を無くすことができる。また、相手コネクタ3Aと外部基板(バックプレーン)との間の最短伝送経路の伝送方向を順方向に(一方向に)することができる。これにより、高速伝送においても、グランド電位の変動などを抑制することができ、高周波信号に対するグランドとしての効果を高めることができる。
【0048】
以上説明したように、実施例1〜実施例4の構成によれば、グランド板40A(40C、40D)の相手コネクタ3A側(Z1側)と複数のグランドコンタクト18A(18B、18C、18D)の各々の相手コネクタ3A側(Z1側)とが接続され導通されるので、伝送経路F1(F2、F3、F4)の行き止まりの部分(スタブ)を狭めることができる。これにより、高速伝送においても、グランド電位の変動などを抑制することができ、高周波信号に対するグランドとしての効果を高めることができる。
【0049】
また、実施例2及び実施例4の構成によれば、グランドコンタクト18B(18D)は、相手グランドコンタクト28Aと面接触可能な接点部182B(182D)を備えるので、接触不良を防止することができる。これにより、高周波信号に対するグランドとしての効果を高めることができる。
【0050】
また、実施例3及び実施例4の構成によれば、グランド板40C(40D)の相手コネクタ3A側(Z1側)と複数のグランドコンタクト18C(18D)の各々の相手コネクタ3A側(Z1側)とが接続され導通され、且つ、グランドコンタクト18C(18D)の延在方向(Z1−Z2方向)両端がグランド板40C(40D)に接続され導通されるので、伝送経路F3(F4)の行き止まりの部分(スタブ)を無くすことができる。また、相手コネクタ3Aと外部基板(バックプレーン)との間の最短伝送経路の伝送方向を順方向に(一方向に)することができる。これにより、高速伝送においても、グランド電位の変動などを抑制することができ、高周波信号に対するグランドとしての効果を高めることができる。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0052】
例えば、上述した実施例1〜実施例4では、図6や図13に示したように、信号コンタクト14A、16Aは、突出部30A(30C)に圧入固定される構成としたが、絶縁性ハウジング8A(8C)の底壁62Aを厚さ方向(Z1−Z2方向)に貫通する貫通孔に圧入固定される構成としてもよく、この場合、突出部30A(30C)が不要である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】従来の平衡伝送用コネクタ装置を概略的に示す斜視図である。
【図2】プラグコネクタ2とジャックコネクタ3との対向する面の構造を概略的に示す図である。
【図3】プラグコネクタ2とジャックコネクタ3との電気的接続部分を概略的に示す断面図である。
【図4】本発明の実施例1のコネクタ2Aと相手コネクタ3Aとを併せて示す斜視図である。
【図5】突出部30Aの構成を示す図である。
【図6】コンタクト14A、16A、18Aの取付状態を示す図である。
【図7】コネクタ2Aの繰り返し単位を示す斜視図である。
【図8】グランド板40Aとグランドコンタクト18Aとの伝送経路を示す断面図である。
【図9】コネクタ2Aと相手コネクタ3Aとの接続部分を概略的に示す断面図である。
【図10】コネクタ2Bの繰り返し単位を示す斜視図である。
【図11】グランド板40Aとグランドコンタクト18Bとの伝送経路を示す断面図である。
【図12】突出部30Cの構成を示す図である。
【図13】コンタクト14A、16A、18Cの取付状態を示す図である。
【図14】コネクタ2Cの繰り返し単位を示す斜視図である。
【図15】グランド板40Cとグランドコンタクト18Cとの伝送経路を示す断面図である。
【図16】コネクタ2Dの繰り返し単位を示す斜視図である。
【図17】グランド板40Dとグランドコンタクト18Dとの伝送経路を示す断面図である。
【符号の説明】
【0054】
2A、2B、2C、2D コネクタ
3A 相手コネクタ
14A、16A 信号コンタクト
18A、18B、18C、18D グランドコンタクト
24A、26A 相手信号コンタクト
28A 相手グランドコンタクト
40A、40C、40D グランド板
182B、182D 接点部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手コネクタに嵌合して接続されるコネクタにおいて、
行方向に延びるグランド板と、
行方向に並び前記相手コネクタが有する複数の信号コンタクトの各々とそれぞれ接触可能な複数の信号コンタクトと、
行方向に並び前記相手コネクタが有する複数のグランドコンタクトの各々とそれぞれ接触可能な複数のグランドコンタクトとを備え、
前記グランド板と前記複数のグランドコンタクトとは、一の金属板を加工して一体に形成され、
前記グランド板の前記相手コネクタ側と、前記複数のグランドコンタクトの各々の前記相手コネクタ側とが接続され導通されるコネクタ。
【請求項2】
前記各グランドコンタクトは、前記相手コネクタの対応するグランドコンタクトと面接触可能な接点部を備える請求項1項記載のコネクタ。
【請求項3】
前記各グランドコンタクトの延在方向両端が、前記グランド板と接続され導通される請求項1又は2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記各グランドコンタクトは、金属板の一部をU字状に折り返して形成される請求項1〜3いずれか一項記載のコネクタ。
【請求項5】
前記各グランドコンタクトは、金属板の一部を帯状に切り起こして形成される請求項1〜3いずれか一項記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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