説明

コネクタ

【課題】本発明は、コストアップすることなく、前述した自動車が走行中に振動した際においても、端子金具と、前記端子金具に接続される電気部品との接続信頼性を確保することを可能としたコネクタを提供することを目的とする。
【解決手段】コネクタユニット10は、コネクタ1を備えている。コネクタ1は、電気接触部22を備え、電線に接続される端子金具2と、前記端子金具2を保持する端子収容部30が設けられたコネクタハウジング3と、を備えている。電気接触部22が、水平方向Xに対して傾斜するように保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多種多様な電子機器に電源からの電力を供給するためのコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、多種多様な電子機器が搭載されている。これら多種多様な電子機器に電力を供給するために、前記自動車には、電源と前記電子機器との間の適宜箇所に、コネクタ、リレー、ヒューズ等の電気部品が集約されて構成された電気接続箱が配置されている。
【0003】
前記電気接続箱としてのジャンクションブロックには、前記電子機器に接続されたリレー、ヒューズ、コネクタなどの電気部品が装着されている。また、上記ジャンクションブロックには、前述した電気部品に接続され、かつ、電源に接続されたワイヤハーネスの端末に接続されるボルトが設けられた複数の座面が並べられている。これら複数の座面は、水平方向と平行に設けられ、かつ、前記水平方向に対して直交する方向に互いに位置をずらされて設けられている(即ち、階段状に設けられている)。また、前述したワイヤハーネスの端末には、コネクタが設けられており、該コネクタの電気接触部が、前記座面に設けられた前記ボルトに通されることで、これらボルトとコネクタ(即ち、ワイヤハーネス)とは電気的に接続されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−130635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のコネクタにおいては、以下に示す問題があった。即ち、従来のコネクタにおいては、前記座面に重ねられるとともに、前記電気部品に接続されたボルトに通される電気接触部に、前述した自動車の走行中の上下(即ち、鉛直方向)振動による応力が分散されることなくかかることとなり、端子金具が折れてしまったり、端子金具から該端子金具に接続された電線が取り外されてしまったりすることで、前記端子金具と、該端子金具に接続される前記電気部品との電気的な接続が絶たれてしまうなどの接続不良が生じてしまうおそれがあった。
【0006】
このため、端子金具の板厚を厚くしたり、電線を太くすることで、前記端子金具と、該端子金具に接続される前記電気部品との接続信頼性を確保してきたが、コストアップをまねいてしまう問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、コストアップすることなく、前述した自動車が走行中に振動した際においても、端子金具と、前記端子金具に接続される電気部品との接続信頼性を確保することを可能としたコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の本発明は、電気接触部を備え、電線に接続される端子金具と、前記端子金具を保持する端子収容部が設けられたコネクタハウジングと、を備えたコネクタにおいて、前記電気接触部が、水平方向に対して傾斜するように保持されていることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の本発明において、前記端子収容部は、互いの間に前記端子金具を挟持する複数の挟持部によって構成されており、前記複数の挟持部の外周部に被せられる、筒状の開き防止部を備えていることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の本発明において、前記開き防止部は、平面形状が楕円形に形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の本発明は、請求項2または請求項3に記載の本発明において、前記開き防止部は、導電性のシールド部材であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の本発明によれば、電気接触部を備え、電線に接続される端子金具と、前記端子金具を保持する端子収容部が設けられたコネクタハウジングと、を備えたコネクタにおいて、前記電気接触部が、水平方向に対して傾斜するように保持されているので、前述した自動車の走行中の上下(即ち、鉛直方向)振動によって、水平方向に対して傾斜するように保持された電気接触部(即ち、端子金具)にかかる応力が分散されて小さくなることとなり、よって、端子金具の板厚を厚くしたり、電線を太くすることで、コストアップすることなく、長期に亘って、端子金具と前記端子金具に接続される電気部品との接続信頼性を確保することを可能とするコネクタを提供することができる。
【0013】
請求項2に記載の本発明によれば、前記端子収容部は、互いの間に前記端子金具を挟持する複数の挟持部によって構成されており、前記複数の挟持部の外周部に被せられる、筒状の開き防止部を備えているので、複数の挟持部間に端子金具を位置付けて、該端子金具に複数の挟持部を近付ける容易な作業で、端子金具に端子収容部を組み付けることとなり、コネクタの組み立て作業性を向上させることができるとともに、前記複数の挟持部の外周部に被せられる、筒状の開き防止部を備えているので、端子金具に応力がかけられた際においても、前記端子収容部が分割されることを防止することとなり、よって、より一層、端子金具と、該端子金具に接続される電気部品との接続信頼性を確保することができる。
【0014】
請求項3に記載の本発明によれば、前記開き防止部は、平面形状が楕円形に形成されているので、前記水平方向と、前記電線の長手方向との双方向に対して交差(直交)する前記高さ方向に、より一層、コネクタの低背化(即ち、小型化)を図ることができる。
【0015】
請求項4に記載の本発明によれば、前記開き防止部は、導電性のシールド部材であるので、部品数を増やすことなく、(シールド)電線の電気的なノイズを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態にかかるコネクタを備えたコネクタユニットの斜視図である。
【図2】図1に示されたコネクタの斜視図である。
【図3】図2に示されたコネクタの分解斜視図である。
【図4】図2に示されたコネクタを正面から見た正面図である。
【図5】図2に示されたコネクタが電気接続箱に接続される様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施の形態にかかるコネクタを、図1乃至図5を参照して説明する。
【0018】
図1に示されたコネクタユニット10は、電気接触部22を備えたコネクタ1と、前記電気接触部22に重ねられる座面81aが設けられたコネクタ受け部8と、を備えている。前記コネクタ受け部8は、例えば、自動車のエンジンルームなどに取り付けられて、前記自動車に搭載された多種多様な電子部品に電力を供給する電気接続箱としてのジャンクションブロック7に設けられている。
【0019】
上記ジャンクションブロック7は、絶縁性の樹脂からなり箱状に形成されている。また、ジャンクションブロック7には、前記電子機器に接続されたリレー、ヒューズ、コネクタなどの電気部品が装着されており、該ジャンクションブロック7に装着されたこれらリレー、ヒューズ、コネクタなどの電気部品には、該ジャンクションブロック7に設けられたコネクタ受け部8を介してコネクタ1が接続されている。
【0020】
上記コネクタ1は、図2、図3に示すように、シールド電線の後述する複数の被覆電線それぞれが接続される複数の端子金具2と、前記複数の端子金具2を保持するコネクタハウジング3と、前記コネクタハウジング3に取り付けられるシールドシェル6と、を備えている。図2、図3などに示された矢印Yは、シールド電線(被覆電線)の長手方向を示しており、矢印Xは、複数の端子金具2、及び、該複数の端子金具2を保持する複数の端子収容部30の並び方向を示しており、矢印Zは、前記矢印Y方向と、前記矢印X方向との双方向に対して直交する高さ方向(以下、高さ方向Zと記す)を示している。また、コネクタ1は、図4に示すように、前記矢印X方向が、水平方向と平行となるように設けられ(以下、水平方向Xと記す)、前記高さ方向Zが、自動車の走行中の上下(即ち、鉛直方向)振動する方向と平行となるように設けられている。
【0021】
上記シールド電線は、導電性の芯線と、芯線を覆う絶縁性の被覆部からなる複数の被覆電線(以下、電線と記す)と、これら複数の電線を一括で覆う導電性の金属材料等からなる素線が編まれるなどして形成されて、外部に電気的なノイズが漏洩することを規制するシールド編組と、前記シールド編組を覆う絶縁性の外皮シースと、によって構成されている。
【0022】
上記複数の端子金具2は、図2、図3に示すように、互いに間隔をあけて水平方向Xに沿って並んでいる。各端子金具2は、導電性の板金に、打ち抜き加工や曲げ加工が施されることで得られるものである。この端子金具2は、前記コネクタ受け部8に接続される電気接触部22と、前記電気接触部22に連なる電線接続部21と、を一体に備えている。
【0023】
上記電気接触部22は、図3、図4に示すように、板状に形成されている。また、電気接触部22は、水平方向Xに対して傾斜する方向(図4のみに示し、以下、傾斜方向Sと記す)に沿って設けられている。前記傾斜方向Sは、前記水平方向Xと高さ方向Zとの双方に対して交差する方向である。また、複数の端子金具2の電気接触部22同士は、傾斜方向Sに沿って互いに平行となるように設けられている。また、電気接触部22は、上面視が円形に形成されており、その中央部には、後述するコネクタ受け部8のボルト82が通される孔部23が設けられている。
【0024】
上記電線接続部21は、図3に示すように、前記電気接触部22に連なり矩形状に形成された底板24と、該底板24の長手方向(矢印Y)の前記電気接触部22から離れた(先)端部に設けられた一対の被覆かしめ片25と、前記電気接触部22と前記一対の被覆かしめ片25との間に設けられた芯線接合部26と、を一体に備えている。前記芯線接合部26は、前記底板24の一部である。また、電線接続部21(即ち、端子金具2)の長手方向(矢印Y)と、該電線接続部21に接続される電線の長手方向(矢印Y)とは、互いに平行に設けられている。
【0025】
上記被覆かしめ片25は、底板24の幅方向(矢印X)の両縁部から立設している。また、一対の被覆かしめ片25は、底板24から離れた側の縁が底板24に近付くように曲げられている。そして、一対の被覆かしめ片25は、前記電線の被覆部を、底板24との間に挟んで、該被覆部をかしめることで、被覆かしめ片25と、前記電線とを機械的に接続する。
【0026】
上記芯線接合部26には、底板24の幅方向(矢印X)の両縁部から立設する一対の立設片27が設けられている。上記一対の立設片27間には、前記電線の被覆部が皮剥ぎされて露出した状態の芯線が位置付けられる。また、芯線接合部26には、前記芯線が重ねられた後、これら芯線接合部26と前記芯線とが超音波接合されることで、芯線接合部26(電線接続部21)と、前記電線の芯線と、が電気的に接続される。または、前記芯線を、前記立設片27と底板24との間に挟んで、該立設片27をかしめることで、芯線接合部26(電線接続部21)と、前記電線の芯線と、を電気的に接続してもよい。
【0027】
上記コネクタハウジング3は、絶縁性の樹脂からなる。また、コネクタハウジング3は、図2に示すように、複数の下挟持部41、42が設けられた下ハウジング4と、複数の上挟持部51、52が設けられ、下ハウジング4が組み付けられる上ハウジング5と、によって構成されている。
【0028】
また、コネクタハウジング3には、前記端子金具2を保持する複数の端子収容部30が設けられている。各端子収容部30は、下ハウジング4の各下挟持部41、42と、該下挟持部41、42に組み付けられる上ハウジング5の各上挟持部51、52と、によって構成されている。また、下挟持部41、42と上挟持部51、52とは、特許請求項の範囲に示された「複数の挟持部」をなしている。
【0029】
上記下ハウジング4は、図3に示すように、方体状に形成された複数の下挟持部41、42と、張出部44と、複数の係止アーム47A、47Bと、を備えている。下挟持部41、42は、下ハウジング4の矢印Y方向の一端部に設けられ、張出部44は、前記下挟持部41、42に連なり、かつ、下ハウジング4の他端部に設けられている。
【0030】
上記複数の下挟持部41、42は、図4に示すように、水平方向Xに沿って連結されているとともに、複数の下挟持部41、42は、前記傾斜方向Sに沿って、互いに平行に設けられている。また、複数の下挟持部41、42の前記傾斜方向Sの各縁同士は、水平方向Xに沿っている。
【0031】
また、各下挟持部41、42それぞれは、電線及び該電線が取り付けられた端子金具2を収容する溝部48が設けられた本体部40と、前記本体部40に連なるシェル取付部43と、を備えている。上記溝部48は、本体部40の内表面から凹に形成されている。
【0032】
上記シェル取付部43には、後述する上ハウジング5のシェル取付部53が組み付けられる。また、シェル取付部43に、後述する上ハウジング5のシェル取付部53が組み付けられると、これらシェル取付部43、53の間には、前記端子金具2が取り付けられた電線が位置付けられる。また、下挟持部41、42それぞれに設けられた各シェル取付部43と、各シェル取付部43それぞれに組み付けられる、上挟持部51、52それぞれに設けられた各シェル取付部53との外周部には、シールドシェル6が取り付けられる(被せられる)。
【0033】
上記張出部44は、板状に形成されている。また、張出部44は、矢印Y方向に向かって突出するように設けられており、後述する上ハウジング5に設けられた張出部54とは矢印Zに沿って対向する位置に設けられ、互いの間に、前記端子金具2が取り付けられた電線を位置付ける。
【0034】
上記複数の係止アーム47Aは、図示例では3つ設けられている。3つの係止アーム47Aは、下ハウジング4の矢印S方向の端部に設けられており、3つのうち2つの係止アーム47Aは、下挟持部41、42に設けられた各本体部40それぞれに設けられ、3つのうち残り1つの係止アーム47Aは、下挟持部41のシェル取付部43に設けられている。また、各係止アーム47Aは、上挟持部51、52(上ハウジング5)に向かって立設する立設部46aと、前記立設部46aに設けられた係止部49と、を備えている。
【0035】
上記係止アーム47Bは、上挟持部51、52(上ハウジング5)に向かって立設する立設部46bと、前記立設部46bに設けられた係止部49と、を備えている。また、係止アーム47Bは、各本体部40それぞれに設けられた前記係止アーム47A間に設けられている。また、係止アーム47Bの立設部46bは、上挟持部51、52(上ハウジング5)に向かう方向の寸法が、前述した係止アーム47Aの立設部46aよりも長く形成されている。
【0036】
上記上ハウジング5は、方体状に形成された複数の上挟持部51、52と、張出部54と、複数の係止受け部56A、56Bと、を備えている。上挟持部51、52は、上ハウジング5の矢印Y方向の一端部に設けられ、張出部54は、前記上挟持部51、52に連なり、かつ、上ハウジング5の他端部に設けられている。
【0037】
上記複数の上挟持部51、52は、図4に示すように、水平方向Xに沿って連結されているとともに、複数の上挟持部51、52は、前記傾斜方向Sに沿って、互いに平行に設けられている。また、図4に示すように、複数の上挟持部51、52は、前記傾斜方向Sに沿って、互いに平行に設けられているので、複数の上挟持部51、52の前記傾斜方向Sの各縁同士は、水平方向Xに沿っていることとなり、前述した各下挟持部41、42と、各上挟持部51、52とが、互いに組み付けられると、互いに隣り合う挟持部41、51、及び、挟持部42、52同士の高さ方向Zの寸法は一定となる。
【0038】
また、各上挟持部51、52それぞれは、前記本体部40の溝部48に侵入する一対の突部57が設けられた本体部50と、前記本体部50に連なるシェル取付部53と、を備えている。上記一対の突部57は、前記傾斜方向Sに沿って互いに間隔をあけて設けられ、互いの間に端子金具2の電線接続部21を位置付ける。また、突部57は、上挟持部51、52の下挟持部41、42の前記内表面に重ねられる内表面から凸に形成されている。また、突部57は、矢印Y方向に延在している。
【0039】
上記張出部54は、板状に形成されている。また、張出部54は、矢印Y方向に向かって突出するように設けられている。
【0040】
上記係止受け部56Aは、前記係止アーム47Aに係止可能に形成されている。また、上記係止受け部56Bは、前記係止アーム47Bに係止可能に形成されている。これら係止受け部56A、56Bは、内側に各係止アーム47A、47Bそれぞれを通す枠状に形成されている。
【0041】
上記シールドシェル6は、図3、図4などに示すように、挟持部41、42、51、52の各シェル取付部43、53に被せられるシールド部材としてのシェル本体61と、前記シェル本体61に連なり、前記シールド電線のシールド編組の端部が被せられる編組取付部66と、前記シェル本体61に連なり、前記シェル本体61を前記ジャンクションブロック7に取り付けるアース部62と、前記編組取付部66に前記シールド編組を取り付ける環(筒)状のシールドリング65と、を備えている。また、シェル本体61と、編組取付部66と、アース部62とは一体に設けられている。
【0042】
上記シェル本体61は、導電性の金属によって構成されている。また、シェル本体61は、図4に示すように、平面形状が楕円形の筒状に形成されている。また、この楕円形に形成されたシェル本体61は、前記楕円形の長軸が水平方向Xと平行となるように設けられ、短軸が高さ方向Zと平行となるように、各挟持部41、42、51、52それぞれに設けられたシェル取付部43、53の外周部に取り付けられている。また、本実施形態において、楕円形とは、平面上にある2定点からの距離の和が一定となるような曲線からなるものに限ったものではなく、例えば、図4に示されたシェル本体61のように、該シェル本体61の高さ方向Zに直線が設けられていてもよい。また、シェル本体61は、特許請求項の範囲に示された「開き防止部」に相当する。
【0043】
上記編組取付部66は、シェル本体61よりも矢印X方向の寸法が小さい筒状に形成されている。また、編組取付部66の内側には、張出部44、54が通される。
【0044】
上記アース部62には、前記電気接触部22(傾斜方向S)と平行に設けられた、板状の取付部63が設けられている。この取付部63には、上面視が円形に形成されており、その中央部には、ジャンクションブロック7に設けられた後述するボルト83が通される孔部64が設けられている。
【0045】
上記コネクタ受け部8は、図1に示すように、前述したジャンクションブロック7の矢印Y方向の端部に設けられている。また、コネクタ受け部8は、複数の座面81aが設けられた本体部81と、前記座面81aから突出するように設けられた複数のボルト82と、を備えている。上記本体部81は、絶縁性の樹脂からなり、方体状に形成されている。また、座面81aは、平坦に形成されている。また、複数の座面81aは、複数の電気接触部22と平行となるように(傾斜方向Sに沿って)設けられているとともに、これら複数の座面81a同士は、互いに平行に設けられている。また、複数の座面81aの前記傾斜方向Sの縁同士は、水平方向Xに沿っている。上記複数のボルト82は、ジャンクションブロック7に装着された電気部品に接続されている。
【0046】
さらに、ジャンクションブロック7には、複数の座面81aと平行となるように(傾斜方向Sに沿って)設けられた座面84が設けられている。座面84は、平坦に形成されており、前記シールドシェル6の取付部63が重ねられる。また、この座面84には、該座面84から突出するように設けられ、自動車を構成する車体パネル等のアース部に電気的に接続されたボルト83が設けられている。
【0047】
上述したコネクタ1を備えたコネクタユニット10は、以下のように、組み立てられる。まず、各電線の端末を、端子金具2の電線接続部21それぞれに取り付ける。そして、電線及び該電線が取り付けられた電線接続部21を下ハウジング4の下挟持部41、42の溝部48に載置する。この際、端子金具2の電気接触部22は、下ハウジング4から矢印Y方向に突出するように設けられている。
【0048】
次に、下ハウジング4に対して、各挟持部41、51、各挟持部42、52、及び、張出部44、54が対向するように、上ハウジング5を位置付けて、下ハウジング4の係止アーム47Bを、上ハウジング5の係止受け部56Bに近付ける。こうして、下ハウジング4と上ハウジング5とを位置決める。さらに、これらハウジング4、5を近付けると、上ハウジング5の各一対の突部57間に、端子金具2が位置付けられるとともに、係止アーム47Aが係止受け部56Aに係止する。こうして、係止アーム47A、47Bが、係止受け部56A、56Bそれぞれに係止すると、各挟持部41、51、及び、各挟持部42、52が互いに組み付けられることとなり、複数の端子収容部30が組み立てられる。この際、複数の電気接触部22は、傾斜方向Sに沿って互いに平行となるように端子収容部30に保持されているとともに、複数の挟持部41、51、42、52によって構成された複数の端子収容部30は、水平方向Xに沿って連結されており、複数の電気接触部22と平行となるように(傾斜方向Sに沿って)設けられている。
【0049】
次に、シールド編組の端部を編組取付部66に被せて、編組取付部66にシールド編組が被せられた状態で、さらに、シールド編組の外周にシールドリング65を被せて、該シールドリング65をかしめることで、シールド編組を編組取付部66(シールドシェル6)に取り付ける。そして、シールド編組が取り付けられたシールドシェル6を、シェル取付部43、53(コネクタハウジング3)の外周部に位置付けることで、コネクタハウジング3にシールドシェル6を取り付ける。こうして、コネクタ1が組み立てられる。
【0050】
こうして組み立てられたコネクタ1は、図5に示すように、電気接触部22の孔部23が、ボルト82に通されるとともに座面81aに重ねられて、アース部62の孔部64がボルト83に通されるとともに取付部63が座面84に重ねられた後、ボルト82、83それぞれにナットが螺合されることで、該コネクタ1を、コネクタ受け部8(ジャンクションブロック7)に取り付ける。こうして、コネクタ1は、ジャンクションブロック7に装着された電気部品に電気的に接続されるとともに、コネクタ1のシールドシェル6は、前述した電気的なノイズを、シェル本体61、アース部62を介して、車体パネル(ボディ)にアースする。こうして、コネクタユニット10が組み立てられる。
【0051】
上述した実施形態によれば、電気接触部22を備え、電線に接続される端子金具2と、前記端子金具2を保持する端子収容部30が設けられたコネクタハウジング3と、を備えたコネクタ1において、前記電気接触部22が、水平方向Xに対して傾斜するように保持されているので、前述した自動車の走行中の上下(即ち、鉛直方向)振動によって、水平方向Xに対して傾斜するように保持された電気接触部22(即ち、端子金具2)にかかる応力が分散されて小さくなることとなり、よって、端子金具2の板厚を厚くしたり、電線を太くすることで、コストアップすることなく、長期に亘って、端子金具2と該端子金具2に接続される電気部品との接続信頼性を確保することを可能とするコネクタ1を提供することができる。
【0052】
また、前記端子収容部30が前記水平方向Xに沿って複数並べられており、前記複数の端子収容部30が、前記電気接触部22と平行に設けられているので、前記端子収容部30が前記水平方向Xに対して傾斜していることとなり、前記水平方向Xと、前記電線の長手方向との双方向に対して交差(直交)する前記コネクタ1の高さ方向Zの寸法を一定に保つこととなり、よって、高さ方向Zにコネクタ1の低背化を図ることができるとともに、前記端子収容部30が前記水平方向Xに対して傾斜していることで、前記端子収容部30の水平方向Xの寸法を短くすることができるので、水平方向Xにコネクタ1の小型化を図ることができる。
【0053】
また、前記端子収容部30は、互いの間に前記端子金具2を挟持する複数の挟持部41、42、51、52によって構成されており、前記複数の挟持部41、42、51、52の外周部に被せられる、筒状の開き防止部としてのシェル本体61を備えているので、複数の挟持部41、42、51、52間に端子金具2を位置付けて、該端子金具2に複数の挟持部41、42、51、52を近付ける容易な作業で、端子金具2に端子収容部30を組み付けることとなり、コネクタ1の組み立て作業性を向上させることができるとともに、前記複数の挟持部41、42、51、52の外周部に被せられる、筒状のシェル本体61を備えているので、端子金具2に応力がかけられた際においても、前記端子収容部30が分割されることを防止することとなり、よって、より一層、端子金具2と、該端子金具2に接続される電気部品との接続信頼性を確保することができる。
【0054】
また、開き防止部としてのシェル本体61は、平面形状が楕円形に形成されているので、前記水平方向Xと、前記電線の長手方向(矢印Y方向)との双方向に対して交差(直交)する高さ方向Zに、より一層、コネクタ1の低背化(即ち、小型化)を図ることができる。
【0055】
また、開き防止部としてのシェル本体61は、導電性のシールド部材であるので、部品数を増やすことなく、シールド電線の電気的なノイズを低減することができる。
【0056】
また、上述したコネクタ1と、前記電気接触部22に重ねられる、前記水平方向Xに対して傾斜した座面81aと、を備えているので、前述した自動車の走行中の上下(即ち、鉛直方向)振動によって、水平方向Xに対して傾斜するように保持された電気接触部22(即ち、端子金具2)にかかる応力が分散されて小さくなることとなり、よって、端子金具2の板厚を厚くしたり、電線を太くすることで、コストアップすることなく、長期に亘って、端子金具2と該端子金具2に接続される電気部品との接続信頼性を確保することを可能とするコネクタユニット10を提供することができる。
【0057】
また、コネクタ1に設けられた電気接触部22に重ねられる座面81aが設けられた電気接続箱としてのジャンクションブロック7において、前記座面81aが、水平方向Xに対して傾斜しているので、前述した自動車の走行中の上下(即ち、鉛直方向)振動によって、水平方向Xに対して傾斜するように重ねられた電気接触部22(即ち、端子金具2)にかかる応力が分散されて小さくなることとなり、よって、端子金具2の板厚を厚くしたり、電線を太くすることで、コストアップすることなく、長期に亘って、端子金具2と前記端子金具2に接続される電気部品との接続信頼性を確保することを可能とする電気接続箱としてのジャンクションブロック7を提供することができる。
【0058】
なお、上述した実施形態によれば、「電気接続箱」として、水平方向Xに対して傾斜した座面81aが設けられたジャンクションブロック7が設けられているが、本発明はこれに限ったものではなく、前記「電気接続箱」として、水平方向Xに対して傾斜した座面81aが設けられたヒューズブロック、または、リレーボックスであってもよい。
【0059】
また、上述した実施形態によれば、コネクタ1には、複数の端子金具2が設けられているが、本発明はこれに限ったものではなく、端子金具2は、少なくとも1つ設けられていればよい。また、上述した実施形態によれば、コネクタ1には、複数の端子収容部30が設けられているが、本発明はこれに限ったものではなく、端子収容部30は、少なくとも1つ設けられていればよい。
【0060】
また、上述した実施形態によれば、各端子収容部30は、分割組み立て可能な複数の挟持部としての下挟持部41,42と、上挟持部51、52との2部材で構成されているが、本発明はこれに限ったものではなく、分割組み立て可能な3部材以上で構成されていてもよい。
【0061】
また、上述した実施形態によれば、特許請求項の範囲に示された「開き防止部」として、シールド部材としてのシェル本体61が設けられているが、本発明はこれに限ったものではなく、「開き防止部」として、絶縁性の樹脂から構成された部材であってもよい。
【0062】
また、前述した実施形態は、本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 コネクタ
2 端子金具
22 電気接触部
3 コネクタハウジング
30 端子収容部
41、42 下挟持部(挟持部)
51、52 上挟持部(挟持部)
61 シェル本体(開き防止部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接触部を備え、電線に接続される端子金具と、
前記端子金具を保持する端子収容部が設けられたコネクタハウジングと、を備えたコネクタにおいて、
前記電気接触部が、水平方向に対して傾斜するように保持されている
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記端子収容部は、互いの間に前記端子金具を挟持する複数の挟持部によって構成されており、
前記複数の挟持部の外周部に被せられる、筒状の開き防止部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記開き防止部は、平面形状が楕円形に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記開き防止部は、導電性のシールド部材であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−18787(P2012−18787A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154468(P2010−154468)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】