説明

コネクタ

【課題】仮止め弾性部に対する二律背反する要求を両立させ得るような構造を有するコネクタを提供すること。
【解決手段】レバー270が第1位置と第3位置との間(第1位置及び第3位置を含む)に位置しているときにレバー270を第2位置に向けて回動させようとすると、レバー270の被受止部280が仮止め弾性部250の受止部252に受け止められるため、第3位置を超える回動が抑制される。この際、取付部材400のバックアップ部440が仮止め弾性部250の後端部256を後方から受け止めることによりバックアップしていることから、仮止め弾性部250の剛性が高められている。一方、雌ハウジング210にレバー270を組み込んだ状態から被受止部280が受止部252の前方(+X側)に位置する状態に移行させる際には、仮止め弾性部250が柔らかく変形することが可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバーを回動操作することにより、相手側コネクタと嵌合するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタとしては、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されたものがある。特許文献1や特許文献2のコネクタのレバーは、第1位置と第2位置との間で回動可能となるようにハウジングのレバー収容部に収容されている。いずれのコネクタにおいても、レバーが第1位置又はそこに近い位置にあるとき、相手側コネクタをコネクタに対して仮嵌合することが可能であるが、レバーがある位置を超えて第2位置側に回動してしまうと仮嵌合ができなくなってしまう。この仮嵌合可能となる限界の位置を第3位置とする。即ち、第3位置は第1位置と第2位置との間にある。また、レバーが第1位置と第3位置との間にあるとき、相手側コネクタはコネクタに仮嵌合可能となっている。相手側コネクタをコネクタに仮嵌合した後は、レバーを第2位置に向けて回動させることにより相手側コネクタとコネクタとを嵌合(本嵌合)させることができる。
【0003】
特許文献1や特許文献2のコネクタには、コネクタと相手側コネクタとの仮嵌合を確実に行わせるために、レバーの位置を規制する手段として仮止め弾性部が設けられている。仮止め弾性部は、第1位置近傍にあるレバーが第2位置に向けて回動させられた際に、第3位置でレバーを一時的に受ける(仮止めする)ことができるように構成されている。これにより、仮止め弾性部は、レバーが第3位置を超えて第2位置に向かってしまうことを一時的に止めることができる。この仮止め弾性部によるレバーの仮止めは、相手側コネクタをコネクタに仮嵌合する際に仮止め弾性部が相手側コネクタによって弾性変形させられることにより仮止め弾性部がレバーから外れて解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−41417号公報
【特許文献2】特開2008−204718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハウジングにレバーを組み込んだ状態(例えば、工場出荷時の状態)においては、レバーは第2位置と第3位置の間にある(特に工場出荷時の状態においては第2位置)。このようなコネクタを仮嵌合可能な状態にするためには、第3位置を超えるように第1位置に向けてレバーを回動させる必要がある。この第3位置を超えるための回動の際、仮止め弾性部には柔らかく弾性変形することが求められる。一方、レバーが第3位置を超えて第2位置側に移動することを仮止めしているときには、仮止め弾性部にはあまり変形しないことが要求される。
【0006】
そこで、本発明は、仮止め弾性部に対する上述した二律背反する要求を両立させ得るような構造を有するコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1のコネクタとして、
相手側コネクタと嵌合可能なコネクタであって、
前端及び後端と、前記前端と前記後端とを連通するレバー収容部とを有するハウジングと、
第1位置と第2位置との間で回動可能となるように前記レバー収容部に収容されたレバーと、
前記ハウジングとは別体の取付部材と
を備えており、
前記レバー収容部は、上部と、下部と、幅方向の両端において前記上部及び前記下部を連結する側部とを有しており、
前記第1位置と前記第2位置との間には第3位置が含まれており、
前記レバーは、前記第3位置と前記第1位置との間にある状態で前記前端から前記相手側コネクタが挿入された後、前記第2位置まで回動させると前記コネクタと前記相手側コネクタとを嵌合させるものであり、
前記ハウジングは、前記レバーが前記第3位置にあるとき前記レバーを受けることにより前記レバーが前記第3位置を超えて前記第2位置に向かって回動することを一時的に止める仮止め弾性部であって、前記上部及び前記下部の双方と分離した状態で前記レバー収容部内に形成された仮止め弾性部を有しており、
前記取付部材は、前記仮止め弾性部が前記第3位置にある前記レバーを受けている際に、前記仮止め弾性部の後端部をバックアップするように、前記ハウジングの前記後端に取り付けられている
コネクタを提供する。
【0008】
本発明は、第2のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記ハウジングは、一方の前記側部と前記仮止め弾性部の前記後端部の側方とを接続する接続部を更に有しており、
前記接続部は、前記取付部材と前記幅方向において隣接している
コネクタを提供する。
【0009】
本発明は、第3のコネクタとして、第1又は第2のコネクタであって、
前記取付部材は、前記仮止め弾性部の前記後端部を後方から受け止める
コネクタを提供する。
【0010】
本発明は、第4のコネクタとして、第1乃至第3のいずれかのコネクタであって、
前記取付部材は、前記仮止め弾性部の前記後端部よりも前記幅方向において大きい
コネクタを提供する。
【0011】
本発明は、第5のコネクタとして、第1乃至第4のいずれかのコネクタであって、
前記ハウジングの前記後端に取り付けられるリアカバーを備えており、
前記取付部材は、前記リアカバーの一部として形成されている
コネクタを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、仮止め弾性部をレバー収容部の上部(天板)及び下部と分離することとしたため、仮止め弾性部の長さ(バネ長)を長くとることができ、仮止め弾性部の柔らかい弾性変形を確保することができる。一方、取付部材により仮止め弾性部を少なくとも後方からバックアップすることとしたため、仮止め弾性部によりレバーを仮止めしている際には、仮止め弾性部が強度補強されている状態となっている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態によるコネクタ組立体を示す斜視図である。
【図2】図1のコネクタ組立体に含まれる雄コネクタを示す斜視図である。
【図3】図1のコネクタ組立体に含まれる雌コネクタを示す前方斜視図である。図示されたレバーは第1位置にある。
【図4】図3の雌コネクタを示す後方斜視図である。図示されたレバーは第1位置にある。
【図5】図3の雌コネクタを示す前方斜視図である。図示されたレバーは第2位置にある。
【図6】図3の雌コネクタを示す分解斜視図である。
【図7】図6の雌コネクタに含まれる雌ハウジングを示す後方斜視図である。
【図8】図7の雌ハウジングを示す背面図である。
【図9】図7の雌ハウジングを示す前方斜視図である。
【図10】図9の雌ハウジングを示す正面図である。
【図11】図8の雌ハウジングに設けられた仮止め弾性部とその近傍を示す拡大背面図である。
【図12】図11の仮止め弾性部とその近傍を示す斜視図である。図示された雌ハウジングは仮止め弾性部が見えるように切り欠かれている。
【図13】図10の雌ハウジングに設けられた仮止め弾性部とその近傍を示す拡大正面図である。
【図14】図6の雌コネクタに含まれるレバーを示す上面斜視図である。
【図15】図14のレバーを示す底面斜視図である。
【図16】図6の雌コネクタに含まれるリアカバーを示す斜視図である。
【図17】図16のリアカバーの一部として形成された取付部材とその近傍を示す拡大正面図である。
【図18】図6の雌コネクタを示す上面図である。図示された雌ハウジングは、レバーが見えるように、部分的に切り欠かれている。図示されたレバーは第1位置にある。
【図19】図18の雌コネクタの一部をXIX--XIX線に沿って示す拡大断面図である。但し、レバーは第1位置と第3位置の間に位置している。
【図20】図18の雌コネクタを示す上面図である。レバーの底面側の部位が破線で示されている。図示されたレバーは第1位置にある。
【図21】図18の雌コネクタを示す上面図である。図示されたレバーは第2位置にある。
【図22】図21の雌コネクタを示す上面図である。レバーの底面側の部位が破線で示されている。図示されたレバーは第2位置にある。
【図23】図1のコネクタ組立体を示す上面図である。図示された雌ハウジング及びレバーは、部分的に切り欠かれている。雄コネクタと雌コネクタとは仮嵌合前の状態にある。
【図24】図23のコネクタ組立体を示す上面図である。雄コネクタと雌コネクタとは仮嵌合状態にある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示されるように、本発明の実施の形態によるコネクタ組立体10は、雄コネクタ(相手側コネクタ)100と、雌コネクタ(コネクタ)200とを備えている。
【0015】
図2に示されるように、雄コネクタ100は、複数の金属製の雄コンタクト105と、雄コンタクト105を保持する絶縁体からなる雄ハウジング110を備えている。雄ハウジング110は、断面長方形の角筒状の形状を有する雄嵌合部112を有しており、雄嵌合部112の上面上には被ガイド部120が設けられており、更に、被ガイド部120上にはラック部130が形成されている。被ガイド部120は、雄嵌合部112から+Z方向(上方)に突出し且つX方向(前後方向)に沿って延びる板状の外形を有している。ラック部130は島状の形状を有しており、被ガイド部120から+Z方向に更に突出している。ラック部130には、+Y方向に凹んだラック溝132が設けられている。
【0016】
図3乃至図6に示されるように、雌コネクタ200は、絶縁体からなる雌ハウジング(ハウジング)210と、絶縁体からなるレバー270と、リアカバー300とを備えている。雌コネクタ200は、いわゆる防水コネクタであり、雄コンタクト105と接続される雌コンタクトやシール部材を更に備えるものであるが、発明のポイントを明確にするため、雌コンタクトやシール部材については図示せず説明も省略することとする。
【0017】
図7乃至図10に示されるように、雌ハウジング210には、雌嵌合部として機能する前端212と後端214とを連通するレバー収容部220が形成されている。レバー収容部220は、上部(天板)222と、下部224と、上部222及び下部224をY方向(幅方向)の両端で連結する側部226,228とを有している。特に、図9及び図10に示されるように、レバー収容部220の下部224には、被ガイド部120の幅(Y方向のサイズ)と対応する幅を有し且つ前端212から−X方向(後方)に延びるガイド部230が形成されている。ガイド部230は、下部224をZ方向(上下方向)において貫通している。図23及び図24に示されるように、雄コネクタ100と雌コネクタ200とを嵌合する際に、ガイド部230は、Y方向にブレないように被ガイド部120をガイドする。このガイド部230による被ガイド部120のガイドにより、ラック部130も嵌合抜去時においてY方向(幅方向)には移動せずX方向(前後方向)のみに移動することができる。
【0018】
図8及び図10に示されるように、レバー収容部220内には、回動軸240、仮止め弾性部250及び接続部260が形成されている。回動軸240は、背の低い円柱状の形状を有しており、レバー収容部220の下部224から+Z方向(上方)に向かって突出している。仮止め弾性部250は、XY平面内において弾性変形するものである。図12に最もよく示されているように、X方向に延びる棒状の形状を有している。仮止め弾性部250は、X方向と交差する面を有する受止部252と、受止部252の+X側(前方)に位置する解除部254と、後端部256とを有している。図12及び図13から理解されるように、解除部254は、Z方向においてガイド部230とオーバーラップするように、−Y方向に張り出している。図11乃至図13から理解されるように、本実施の形態による仮止め弾性部250は、レバー収容部220の上部222及び下部224から分離されていることから、弾性変形し得る長さ(バネ長)を長くとることができている。接続部260は、側部226と後端214との交点、即ちレバー収容部220のコーナーの一つに設けられており、仮止め弾性部250の後端部256の側方と側部226とを接続している。図11に示されるように、接続部260は、レバー収容部220の上部222と分離されている。換言すると、雌ハウジング210には、後方から見た場合に(+X方向に沿って見た場合に)、接続部260と上部222とを分離するように、側部226まで達するスリット262が形成されている。このように、本実施の形態においては、仮止め弾性部250も接続部260も上部222とは分離されていることから、上部222は柔らかく、弾性変形し易くなっている。なお、接続部260の−Y方向には段差状の被連結部216が形成されている。
【0019】
図14及び図15を参照すると、レバー270は、略四角形の板状の外形を有しており、回動操作する際に操作するための操作部272と、回動軸240を回動可能に支持する軸受け部274と、軸受け部274と連続するガイド溝276とを備えている。操作部272は、略四角形の後端270b側の角部の一つに形成されている。図14及び図15から理解されるように、軸受け部274及びガイド溝276は、レバー270の下面270l側に設けられており、上面270u側からは視認できない。軸受け部274は、操作部272との距離を長く取るため、レバー270の重心よりも前端270f側に形成されている。ガイド溝276は、レバー270の前端270fと軸受け部274との間に形成されている。ガイド溝276は、軸受け部274に比べると浅い溝であるが、このガイド溝276がない場合と比較して、レバー270のレバー収容部220への組み込みの際に上部222に過度な負荷がかかってしまうことを避けることができる。このガイド溝276を利用して、レバー270をレバー収容部220へ組み込む際には、雌ハウジング210の後端214からレバー270をレバー収容部220へ圧入する。この組み込み後の状態においては、図21及び図22に示されるように、レバー270の操作部272が雌ハウジング210の後端214に一番近い位置にある。このときのレバー270の位置を第2位置という。
【0020】
図14及び図15に示されるように、レバー270の後端270b側の操作部272近傍には、第1当接部278が形成されている。この第1当接部278は、図14、図15及び図19に示されるように、下端278lが上端278uよりも水平面内に突出した形状を有している。具体的には、第1当接部278は、上端278uから下端278lにかけて斜めに延びる斜面である。
【0021】
レバー270の後端270bの他の角部近辺には、仮止め弾性部250の受止部252に仮止めされる被受止部280が形成されている。第1当接部278は、この被受止部280と操作部272との間に位置している。図20から理解されるように、被受止部280が仮止め弾性部250の受止部252の前方(+X側)に位置しているときは、レバー270を第2位置に向けて回動させようとしても被受止部280が受止部252に当接する。この被受止部280が受止部252に当接するときのレバー270の位置を第3位置とする。即ち、レバー270は、被受止部280が仮止め弾性部250の受止部252の前方(+X側)に位置しているとき、レバー270を第2位置に向けて回動させようとしても第3位置を超えて第2位置側に移動することはできない。
【0022】
図15、図20及び図22に示されるように、被受止部280の前方にはピニオン突起290が形成されている。ピニオン突起290は、軸受け部274を中心とした径方向に突出している。図20及び図22から理解されるように、ピニオン突起290は、ガイド部230上に突出している。即ち、ピニオン突起290は、図23及び図24から理解されるように、雄コネクタ100と雌コネクタ200との嵌合時において、ラック部130の移動経路上に突出している。
【0023】
図16に示されるように、リアカバー300には、取付部材400が一体形成されている。即ち、本実施の形態による取付部材400は、リアカバー300の一部として形成されており、雌ハウジング210とは別体である。取付部材400は、雌ハウジング210と別体である限り、リアカバー300と別体であってもよい。
【0024】
図16及び図17に示されるように、取付部材400は、L字状の形状を有する取付主部410を有している。取付主部410は、+Z方向(上方向)に延びる縦部412と、−Y方向(幅方向)に延びる横部414とを有している。縦部412の+Z側端部(上端)には、Y方向の両方に突出した連結部420が形成されている。この連結部420は、雌ハウジング210の被連結部216に嵌め込まれており、それによって取付部材400はレバー収容部220の上部222と下部224とを連結している。このように取付部材400を雌ハウジング210の後端214に取り付けた後は、取付部材400によってレバー収容部220が補強され、上部222の変形が抑制されている。従って、上部222が弾性変形してレバー270が外れてしまうことを避けることができる。一方、レバー270のレバー収容部220への組み込み時には、上部222が弾性変形しやすいことから、上部222やレバー270が破損してしまうことを避けることができる。上部222の変形を抑制するためには、レバー270の所定の回動範囲が確保される限り、幅方向(Y方向)の中央に近い位置において上部222と下部224とを連結することが望ましい。また、取付主部410の縦部412の幅(Y方向のサイズ)はできるだけ太い方がよい。
【0025】
図16及び図17に示されるように、横部414の端部には、第1当接部278に当接する第2当接部430が形成されている。この第2当接部430からレバー270の回動中心(即ち、軸受け部274)までの距離は、レバー270の前端270fから回動中心までの距離よりも長い。第2当接部430は、図17及び図19から理解されるように、上端430uが下端430lよりも水平面内に突出した形状を有している。具体的には、第2当接部430は、下端430lから上端430uにかけて斜めに延びる斜面である。図19から理解されるように、第2当接部430の斜面は、第1当接部278の斜面と面接触し得るように設計されている。レバー270を第2位置から離れる方向へ回動させていくと、第1当接部278と第2当接部430が当接する。このときのレバー270の位置を第1位置という。即ち、レバー270は、第1当接部278と第2当接部430が当接することから、第1位置を超えて第2位置から離れる方向に回動させることはできない。第1当接部278と第2当接部430が当接することによって、レバー270が回動軸240から外れる方向(レバー収容部220の上部222が開く方向)への浮き上がりを防止することができる。特に、本実施の形態においては、上述したように、レバー270から第2当接部430までの距離を長く取ることができているため、特許文献1のコネクタと比較して、回動規制を確実に行うことができる。
【0026】
第1位置は、レバー270の回動限界の一つである。他方の回動限界は、前述のように、第2位置である。即ち、本実施の形態によるレバー270は、第1位置と第2位置との間で回動可能となるように、レバー収容部220に収容されている。
【0027】
図18及び図20から理解されるように、被受止部280が仮止め弾性部250の受止部252の前方(+X側)に位置しているとき、レバー270は第1位置と第3位置との間(第1位置及び第3位置を含む)に位置している。このとき、レバー270を第2位置に向けて回動させようとすると、前述したようにレバー270の被受止部280が仮止め弾性部250の受止部252に受け止められるため、第3位置を超える回動が抑制される。この際、本実施の形態においては、取付部材400はY方向(幅方向)において接続部260と隣接しており、取付主部410の縦部412の前面からなるバックアップ部440が仮止め弾性部250の後端部256を後方から受け止めることによりバックアップしていることから、仮止め弾性部250の剛性が高められている。従って、受止部252と被受止部280との当接によるレバー270の仮止めが意図せず解除されてしまう問題を抑えることができる。特に、本実施の形態によるバックアップ部440はY方向(幅方向)において仮止め弾性部250の後端部256よりも大きいことから、仮止め弾性部250を確実にバックアップすることができる。なお、本実施の形態においては、図23に示されるように、バックアップ部440が仮止め弾性部250の後端部256に当接するように設けられているが、本発明はこれに限られない。例えば、仮止め弾性部250の受止部252がレバー270の被受止部280を受け止めた際にバックアップ部440が仮止め弾性部250の後端部256に当接している限り、仮止め弾性部250の受止部252がレバー270の被受止部280を受け止めていないときにバックアップ部440が仮止め弾性部250の後端部256から若干離れていてもよい。
【0028】
一方、受止部252や解除部254が+Y側(側部226側)に移動するように、仮止め弾性部250が弾性変形する際には、その弾性変形を阻害するものはない。従って、雌ハウジング210にレバー270を組み込んだ状態(図21及び図22)から被受止部280が受止部252の前方(+X側)に位置する状態(図18及び図20)に移行させる際には、仮止め弾性部250が柔らかく変形することが可能となっている。
【0029】
図18、図20及び図23から理解されるように、レバー270が第1位置と第3位置との間(第1位置及び第3位置を含む)に位置しているとき、ラック部130のラック溝132にピニオン突起290を噛み合わせることができる。即ち、図24に示されるように、雄コネクタ100と雌コネクタ200とを仮嵌合させることができる。なお、雄コネクタ100と雌コネクタ200とを仮嵌合させると、ラック部130により仮止め弾性部250の解除部254が+Y側(側部226側)に押圧され、仮止め弾性部250が弾性変形して受止部252も+Y側(側部226側)に移動する。これにより、Y方向(幅方向)において受止部252と被受止部280との位置がズレることとなり、レバー270は第2位置に近づく方向に回動可能となる。ピニオン突起290がラック溝132に噛み合っている状態で、レバー270の操作部272を雌ハウジング210の後端214に近づける方向に押圧すると、雄コネクタ100と雌コネクタ200との嵌合が進む。レバー270が第2位置まで移動すると、雄コネクタ100と雌コネクタ200との嵌合が完了する(本嵌合状態)。
【0030】
加えて、仮止め弾性部の長さ(バネ長)を長くとることができるので仮止め弾性部の柔らかい弾性変形を確保することができ、仮止め弾性部によりレバーを仮止めしている際には仮止め弾性部が強度補強されているという、これら2つの効果は、取付部材をハウジングと別体としたことから容易に実現可能となっている。一般的な成型工程によれば、仮止め弾性部をレバー収容部の上部(天板)及び下部と分離しつつハウジングと一体に形成するためには、仮止め弾性部の後方に少なくともある程度のスペースが必要となる。一方、レバーを仮止めする仮止め弾性部のバックアップは、成型工程時に必要とされるようなスペースが仮止め弾性部の後方に存在していては不可能である。本発明においては、仮止め弾性部を成型する段階では、仮止め弾性部の後方に成型工程時に必要とされるようなスペースが存在することを許容する一方で、後からハウジングとは別体の取付部材を仮止め弾性部の後端部の後方に位置するようにハウジングの後端に取り付けることから、上述した2つの効果を得ることができる。
【0031】
以上、本発明について実施の形態を掲げて具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるわけではない。上述した実施の形態においてはリアカバー300から+X側(前方)に突出した部位を形成していないが、取付部材400に対してX側(前方)に突出した部位を形成することとしてもよい。例えば、仮止め弾性部250の後端部256の側部228側に当接するように+X側(前方)に突出した部位を取付部材400に設けて、当該部位もバックアップ部440の一部としても良い。この場合、バックアップ部はXY平面内においてL字状の断面を有することとなる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、上述した実施の形態のような防水コネクタに適用可能である。また、レバーを有するタイプのものであれば、防水コネクタ以外のコネクタにも適用可能である。
【符号の説明】
【0033】
10 コネクタ組立体
100 雄コネクタ(相手側コネクタ)
105 雄コンタクト
110 雄ハウジング
112 雄嵌合部
120 被ガイド部
130 ラック部
132 ラック溝
200 雌コネクタ(コネクタ)
210 雌ハウジング(ハウジング)
212 前端(雌嵌合部)
214 後端
216 被連結部
220 レバー収容部
222 上部
224 下部
226,228 側部
230 ガイド部
240 回動軸
250 仮止め弾性部
252 受止部
254 解除部
256 後端部
260 接続部
262 スリット
270 レバー
270u 上面
270l 下面
270f 前端
270b 後端
272 操作部
274 軸受け部
276 ガイド溝
278 第1当接部
278u 上端
278l 下端
280 被受止部
290 ピニオン突起
300 リアカバー
400 取付部材
410 取付主部
412 縦部
414 横部
420 連結部
430 第2当接部
430u 上端
430l 下端
440 バックアップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタと嵌合可能なコネクタであって、
前端及び後端と、前記前端と前記後端とを連通するレバー収容部とを有するハウジングと、
第1位置と第2位置との間で回動可能となるように前記レバー収容部に収容されたレバーと、
前記ハウジングとは別体の取付部材と
を備えており、
前記レバー収容部は、上部と、下部と、幅方向の両端において前記上部及び前記下部を連結する側部とを有しており、
前記第1位置と前記第2位置との間には第3位置が含まれており、
前記レバーは、前記第3位置と前記第1位置との間にある状態で前記前端から前記相手側コネクタが挿入された後、前記第2位置まで回動させると前記コネクタと前記相手側コネクタとを嵌合させるものであり、
前記ハウジングは、前記レバーが前記第3位置にあるとき前記レバーを受けることにより前記レバーが前記第3位置を超えて前記第2位置に向かって回動することを一時的に止める仮止め弾性部であって、前記上部及び前記下部の双方と分離した状態で前記レバー収容部内に形成された仮止め弾性部を有しており、
前記取付部材は、前記仮止め弾性部が前記第3位置にある前記レバーを受けている際に、前記仮止め弾性部の後端部をバックアップするように、前記ハウジングの前記後端に取り付けられている
コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタであって、
前記ハウジングは、一方の前記側部と前記仮止め弾性部の前記後端部の側方とを接続する接続部を更に有しており、
前記接続部は、前記取付部材と前記幅方向において隣接している
コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のコネクタであって、
前記取付部材は、前記仮止め弾性部の前記後端部を後方から受け止める
コネクタ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコネクタであって、
前記取付部材は、前記仮止め弾性部の前記後端部よりも前記幅方向において大きい
コネクタ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のコネクタであって、
前記ハウジングの前記後端に取り付けられるリアカバーを備えており、
前記取付部材は、前記リアカバーの一部として形成されている
コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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