コネクタ
【課題】耐久性の低下を招くことなく小型化を図ることができ、しかも、相手方コネクタとのロック及びその解除を円滑に行うことが可能なコネクタを提供すること。
【解決手段】基板用コネクタのハウジングに挿抜されるハウジング31と、ハウジング31における先端側と後端側とに連結されて基板用コネクタのハウジングへの挿抜方向に沿って両持ち支持され、ハウジング31との連結箇所を支点として弾性変形可能とされたロックアーム41と、ロックアーム41に形成されて基板用コネクタのハウジングへの挿入時に基板用コネクタのハウジングに形成された係止孔を係止する係止爪44とを備え、ロックアーム41は、係止爪44よりもハウジング31の後端側に、押圧されることにより係止孔への係止爪44の係止を解除させるロック解除部45を有し、後端側支点43の位置が、先端側支点42の位置よりも、係止爪44の突出方向と反対側に配置されている。
【解決手段】基板用コネクタのハウジングに挿抜されるハウジング31と、ハウジング31における先端側と後端側とに連結されて基板用コネクタのハウジングへの挿抜方向に沿って両持ち支持され、ハウジング31との連結箇所を支点として弾性変形可能とされたロックアーム41と、ロックアーム41に形成されて基板用コネクタのハウジングへの挿入時に基板用コネクタのハウジングに形成された係止孔を係止する係止爪44とを備え、ロックアーム41は、係止爪44よりもハウジング31の後端側に、押圧されることにより係止孔への係止爪44の係止を解除させるロック解除部45を有し、後端側支点43の位置が、先端側支点42の位置よりも、係止爪44の突出方向と反対側に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手方コネクタに対して挿抜されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図10に示すように、相手方コネクタハウジングの係止孔を係止する係止突起1と、相手方コネクタハウジングとの係止解除用のロック解除部2とを上部に備え、前後端部がコネクタハウジング3上に固定された両持ち支持構造のロックアーム4がコネクタハウジング3の一外壁面上に設けられたロック付きコネクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このコネクタでは、ロックアーム4の後端部が折り返されてバンド部5が形成され、バンド部5の弾性作用によってロックを解除する際のロック解除部2の押圧力が小さくされ、ロックアーム4の後方支持部にかかる押圧荷重も小さくされ、後方支持部の変形や破損が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−220807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ロックアーム4のロック解除部2を押圧する指からの押圧力は、コネクタハウジング3に対して斜め前方側(図10中矢印A方向)へ作用する。
【0006】
これに対して、図11に示すように、ロック解除部2を押圧すると、ロックアーム4は、先端側の連結部4a及びこの連結部4aに対して略水平位置のバンド部5の屈曲部5aが支点となって中央部が下方へ湾曲するように弾性変形するため、ロック解除部2は、コネクタハウジング3に対して斜め後方側(図11中矢印B方向)へ変位する。
【0007】
このように、上記のコネクタでは、ロックを解除する際の指からの押圧力の方向に対してロック解除部2の変位の方向が異なる。このため、ロックを解除する際の押圧力がロックアーム4へ効率的に伝達されず、ロックの円滑な解除が困難となる。
【0008】
また、一般的な片持ち支持構造のロックアームでは、容易に弾性変形させることができるが、片持ち支持構造であるためにロックアームの耐久性の低下を招き、また、大きく撓ませるためのスペースを確保しなければならず、コネクタハウジングの大型化を招いてしまう。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐久性の低下を招くことなく小型化を図ることができ、しかも、相手方コネクタとのロック及びその解除を円滑に行うことが可能なコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタは、下記(1)または(2)を特徴としている。
(1) 相手方コネクタハウジングに挿抜されるハウジングと、
該ハウジングにおける先端側と後端側とに連結されて前記相手方コネクタハウジングへの挿抜方向に沿って両持ち支持され、前記ハウジングとの連結箇所を支点として弾性変形可能とされたロックアームと、
該ロックアームに形成されて前記相手方コネクタハウジングへの挿入時に前記相手方コネクタハウジングに形成された係止孔に係止する係止爪とを備え、
前記ロックアームは、前記係止爪よりも前記ハウジングの後端側に押圧されることにより前記係止孔への前記係止爪の係止を解除させるロック解除部を有し、前記ハウジングの後端側における支点の位置が、前記ハウジングの先端側における支点の位置よりも、前記係止爪の突出方向と反対側に配置されていること。
(2) 上記(1)の構成のコネクタにおいて、前記ロックアームのそれぞれの前記支点を通る直線が、前記ロック解除部へ付与される押圧力の方向に対して略垂直に配置されていること。
【0011】
上記(1)の構成のコネクタでは、ロックアームは、ハウジングの先端側の支点に対してハウジングの後端側の支点が、係止爪の突出方向と反対側に配置されているので、ロック解除部に付与された押圧力が無駄なく効率的にロックアームに伝達されることとなる。これにより、係止孔と係止爪との係止状態の解除を容易にかつ円滑に行うことができる。しかも、片持ち支持構造のロックアームと比較し、耐久性の向上及びハウジングの小型化を図ることができる。
また、ロックアームは、先端側の支点に対して後端側の支点が、係止爪の突出方向と反対側に配置されていることから、後端側の支点を先端側の支点と同一の高さ位置とした場合と比較して、ロックアームの変形量を大きくすることができ、よって、係止爪を係止孔へ係止させる際のロックアームの動きの円滑化を図り、係止時の感触であるロックフィーリングを良好なものとすることができる。
即ち、耐久性の低下を招くことなく小型化を図ることができ、しかも、相手方コネクタとのロック及びその解除を円滑に行うことができる。
上記(2)の構成のコネクタでは、ロックアームの各支点を通る直線が、ロック解除部へ付与される押圧力の方向に対して略垂直に配置されているので、係止爪と係止孔との係止状態を解除させる際に、ロック解除部を必要以上に大きな力で押圧することなく、容易にロックアームを大きく弾性変形させて撓ませ、円滑に係止状態を解除させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、耐久性の低下を招くことなく小型化を図ることができ、しかも、相手方コネクタとのロック及びその解除を円滑に行うことが可能なコネクタを提供できる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施形態に係るケーブル側コネクタ及びこのケーブル側コネクタが接続される基板用コネクタの斜視図である。
【図2】図2は、実施形態に係るケーブル側コネクタの分解斜視図である。
【図3】図3は、実施形態に係るケーブル側コネクタのハウジングの側面図である。
【図4】図4は、ケーブル側コネクタが接続される基板用コネクタの分解斜視図である。
【図5】図5(a)〜図5(c)は、基板用コネクタに対するケーブル側コネクタの挿抜時の動きを説明する図であって、図5(a)から図5(c)は、それぞれ概略側断面図である。
【図6】図6は、参考例のコネクタの斜視図である。
【図7】図7は、参考例のコネクタのロックアームを示す図であって、図7(a)及び図7(b)はそれぞれ概略側面図である。
【図8】図8は、他の参考例のコネクタの斜視図である。
【図9】図9は、他の参考例のコネクタの斜視図である。
【図10】図10は、従来のコネクタの構造を示す概略側断面図である。
【図11】図11は、従来のコネクタの構造を示す概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るコネクタの実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、実施形態に係るケーブル側コネクタ及びこのケーブル側コネクタが接続される基板用コネクタの斜視図、図2は、実施形態に係るケーブル側コネクタの分解斜視図、図3は、実施形態に係るケーブル側コネクタのハウジングの側面図、図4は、ケーブル側コネクタが接続される基板用コネクタの分解斜視図、図5(a)から図5(c)は、基板用コネクタに対するケーブル側コネクタの挿抜時の動きを説明する図であって、図5(a)から図5(c)は、それぞれ概略側断面図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係るケーブル側コネクタ(コネクタ)11は、シールドケーブル12の端部に取り付けられるシールドコネクタである。このケーブル側コネクタ11は、プリント基板等の回路基板13に実装された相手方コネクタである基板用コネクタ14に接続される。
【0018】
図2に示すように、ケーブル側コネクタ11が接続されるシールドケーブル12は、芯線21と、芯線21の周囲に押出し被覆された絶縁層22と、絶縁層22の周囲に設けられた外部導体23と、外部導体23の周囲に被覆された外被24とを有している。
【0019】
ケーブル側コネクタ11は、合成樹脂製のハウジング31を備えており、このハウジング31内にシールド端子32が収容される。シールド端子32は、芯線21に圧着固定される筒状のインナー端子33と、このインナー端子33の外周に設けられた絶縁体34と、外部導体23と導通するように絶縁体34を介してインナー端子33の外周側に設けられるアウター端子35とを備えている。
【0020】
ケーブル側コネクタ11のハウジング31は、その後端側に、開口部31aが形成されており、この開口部31aからハウジング31の内部にシールド端子32が挿入されて収容される。また、ハウジング31の先端側には、接続孔31bが形成されており、この接続孔31bには、シールド端子32の先端が露出されている。
【0021】
図3に示すように、ハウジング31は、その上部に、ロックアーム41が形成されている。このロックアーム41は、基板用コネクタ14に対する挿抜方向であるハウジング31の長手方向に沿って先端側から後端側にわたって設けられた帯板状のもので、ハウジング31の先端側及び後端側で連結されている。つまり、このロックアーム41は、ハウジング31の先端側における連結箇所からなる先端側支点(支点)42及びハウジング31の後端側における連結箇所からなる後端側支点(支点)43でハウジング31に両持ち支持されてハウジング31の上面に対して隙間をあけて配置された構造とされている。
【0022】
このロックアーム41には、その中間部における上部に、上方へ突出する係止爪44が形成されており、この係止爪44は、ハウジング31の先端側から後端側へ向かって次第に上方へ傾斜したテーパ形状のガイド面44aを有している。また、ロックアーム41は、係止爪44よりもハウジング31の後端側が、ロック解除部45とされている。このロック解除部45は、作業者が指Fで押圧する部分であり、その上面には、滑り止めのために、幅方向に沿う複数の溝部45aが形成されている(図1及び図2参照)。
【0023】
このロックアーム41は、先端側支点42に対して後端側支点43が、係止爪44の突出方向と反対側に配置されている。言い換えれば、後端側支点43は、先端側支点42よりもロックアーム41の上面から離れて配置されている。これにより、先端側支点42と後端側支点43とを通る直線αは、ハウジング31の先端側から後端側へ向かって次第に中心軸線Xへ近接するように傾いている。
【0024】
ここで、ロック解除部45を指Fで押圧する場合、その指Fからの押圧力は、ハウジング31の斜め前方側へ作用する。そして、ロックアーム41における先端側支点42と後端側支点43とを通る直線αは、ロック解除部45で斜め前方へ作用する押圧力の押圧方向βと略垂直となるようにされている。
【0025】
図1及び図2に示すように、ハウジング31は、その上面側に、ロックアーム41の両側部に沿って立設された保護壁46を有している。この保護壁46には、ロック解除部45の両側部に凹部47が形成されている。
【0026】
図4に示すように、基板用コネクタ14は、合成樹脂から成形されたハウジング(相手方コネクタハウジング)51を備えている。このハウジング51には、内導体端子52及び外導体端子53が装着される。また、ハウジング51には、その両側部に、L字状の固定用ペグ54が装着される。これらの固定用ペグ54は、その下端部に固定片部54aが設けられており、この固定片部54aを回路基板13に半田等によって固定することにより、回路基板13に基板用コネクタ14が取り付けられる。
【0027】
内導体端子52は、接続ピン部61と、この接続ピン部61の後端から回路基板13側へ向かって延びて回路基板13の導体パターン(図示略)に半田等によって導通接続される接続脚部62とを有している。
【0028】
外導体端子53は、断面視円弧状に形成された端子本体63と、この端子本体63の後端から回路基板13側へ向かって延びて回路基板13の導体パターンに半田等によって導通接続される接続脚部64とを有している。
【0029】
ハウジング51は、先端側が開口されており、この開口部51aに、ケーブル側コネクタ11が接続される。
【0030】
また、ハウジング51には、その上面板51bに、ケーブル側コネクタ11のハウジング31に設けられたロックアーム41の係止爪44が係止可能な係止孔51cが形成されている。
【0031】
次に、基板用コネクタ14に対してケーブル側コネクタ11を挿抜する場合について説明する。
【0032】
(挿し込み時)
基板用コネクタ14の開口部51aにケーブル側コネクタ11を挿し込むと、まず、図5(a)に示すように、係止爪44のガイド面44aが基板用コネクタ14のハウジング51の開口縁に当接する。この状態で、さらにケーブル側コネクタ11を挿し込むと、ガイド面44aとハウジング51の開口縁とが互いに摺接することにより、係止爪44にハウジング31側へ向かう押圧力が生じ、よって、ロックアーム41が弾性変形して係止爪44がハウジング31側へ押し下げられ、ハウジング51内へ入り込む。
【0033】
さらに、ケーブル側コネクタ11を挿し込むことにより、係止爪44がハウジング51の係止孔51cに達すると、弾性変形していたロックアーム41が復元し、よって、図5(b)に示すように、係止爪44が係止孔51c内に入り込む。これにより、基板用コネクタ14のハウジング51に対してケーブル側コネクタ11のハウジング31が係止され、基板用コネクタ14とケーブル側コネクタ11とが互いに接続された状態となる。
【0034】
すると、ケーブル側コネクタ11のインナー端子33に基板用コネクタ14の内導体端子52の接続ピン部61が挿し込まれて互いに導通接続され、また、基板用コネクタ14の外導体端子53の端子本体63の内面側にケーブル側コネクタ11のアウター端子35が入り込み、アウター端子35と外導体端子53とが導通接続される。
【0035】
このとき、ロックアーム41は、先端側支点42に対して後端側支点43が、係止爪44の突出方向と反対側に配置されていることから、後端側支点43を先端側支点42と同一の高さ位置とした場合と比較して、ロックアーム41の変形量が大きくされる。これにより、ケーブル側コネクタ11を基板用コネクタ14へ挿し込んで係止爪44を係止孔51cへ係止させる際のロックアーム41の動きの円滑化が図られ、よって、係止時の感触が良好なものとされる。
【0036】
(抜き取り時)
基板用コネクタ14からケーブル側コネクタ11を抜き取って接続を解除するには、図5(c)に示すように、ケーブル側コネクタ11のロックアーム41のロック解除部45を指Fで押圧する。すると、このロック解除部45への押圧力によって、ロックアーム41が弾性変形し、これにより、係止爪44がハウジング31側へ押し下げられ、ハウジング51の係止孔51cから係止爪44が外される。これにより、基板用コネクタ14のハウジング51に対するケーブル側コネクタ11の係止状態が解除される。
【0037】
ここで、ロックアーム41は、先端側支点42に対して後端側支点43が、係止爪44の突出方向と反対側に配置され、先端側支点42と後端側支点43とを通る直線αが、ハウジング31の先端側から後端側へ向かって次第に中心軸線Xへ近接するように傾けられ、ロック解除部45で斜め前方へ作用する指Fからの押圧力の押圧方向βと略垂直となるようにされている。
【0038】
したがって、ロック解除部45に付与された押圧力は、無駄なく効率的にロックアーム41に伝達される。これにより、ロック解除部45を必要以上に大きな力で押圧することなく、容易にロックアーム41を大きく弾性変形させて撓ませ、円滑に係止状態を解除させることが可能である。
【0039】
また、ロック解除部45の両側部に、凹部47が形成されているので、ロック解除部45の押圧を円滑に行うことができる。
【0040】
上記のようにして、係止爪44と係止孔51cとの係止状態を解除させたら、基板用コネクタ14に対してケーブル側コネクタ11を手前に引っ張り、基板用コネクタ14からケーブル側コネクタ11を引き抜く。
【0041】
このように、上記実施形態によれば、ロックアーム41は、先端側支点42に対して後端側支点43が、係止爪44の突出方向と反対側に配置されているので、ロック解除部45に付与された押圧力が無駄なく効率的にロックアーム41に伝達されることとなる。これにより、係止孔51cと係止爪44との係止状態の解除を容易にかつ円滑に行うことができる。しかも、片持ち支持構造のロックアームと比較し、耐久性の向上及びハウジングの小型化を図ることができる。これにより、小型化が要求されているラジオアンプ、テレビアンプあるいはナビゲーションシステム等に用いて好適なコネクタとすることができる。
【0042】
また、ロックアーム41は、先端側支点42に対して後端側支点43が、係止爪44の突出方向と反対側に配置されていることから、後端側支点43を先端側支点42と同一の高さ位置とした場合と比較して、ロックアーム41の変形量を大きくすることができ、よって、係止爪44を係止孔51cへ係止させる際のロックアーム41の動きの円滑化を図り、係止時の感触であるロックフィーリングを良好なものとすることができる。
【0043】
即ち、耐久性の低下を招くことなく小型化を図ることができ、しかも、相手方コネクタである基板用コネクタ14とのロック及びその解除を円滑に行うことができる。
【0044】
特に、ロックアーム41の先端側支点42と後端側支点43を通る直線αが、ロック解除部45へ付与される押圧力の押圧方向βに対して略垂直に配置されているので、係止爪44と係止孔51cとの係止状態を解除させる際に、ロック解除部45を必要以上に大きな力で押圧することなく、容易にロックアーム41を大きく弾性変形させて撓ませ、円滑に係止状態を解除させることができる。
【0045】
ここで、本発明の更なる優位性を説明するために参考例を示す。
【0046】
図6は、参考例のコネクタの斜視図、図7(a)及び図7(b)は、参考例のコネクタのロックアームを示す図であって、図7(a)及び図7(b)はそれぞれ概略側面図、図8及び図9は、それぞれ他の参考例のコネクタの斜視図である。
【0047】
図6及び図7(a)に示すように、このコネクタのハウジング101は、相手方コネクタの係止孔に係止可能な係止爪102を有するロックアーム103を備えている。このロックアーム103は、ハウジングの先端側で連結された片持ち支持構造とされており、後端側に、指によって押圧されるロック解除部104が設けられている。
【0048】
この片持ち支持構造のロックアーム103では、図7(b)に示すように、ロック解除部104を押圧することにより、容易に弾性変形させて係止孔と係止爪102との係止状態を解除させることができる。しかし、ロックアーム103が先端部だけで連結された片持ち支持構造であるため、耐久性の低下を招き、また、大きく撓ませるためのスペースを確保する必要があり、よって、内部の端子との干渉を避けるために、ハウジング101を大きくしなければならず、コネクタの大型化を招いてしまう。
【0049】
また、図8に示すものは、後端側が支点111となって揺動するロックアーム112をハウジング113の上部に設けた正面ロックタイプのコネクタであり、図9に示すものは、中央部の支点114を中心として揺動するロックアーム115をハウジング116の上部に設けたシーソーロックタイプのコネクタである。
【0050】
これらの正面ロックタイプまたはシーソーロックタイプのコネクタの場合、ロックアーム112,115を支点111,114で揺動させる構造であるので、耐久性が低く、また、大型化を招いてしまう。
【0051】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。上述したハウジング31のロックアーム41は、図3に示すように、ロック解除部45の上面が中心軸線Xと平行になるように形作られているが、ロック解除部45の上面が先端側支点42と後端側支点43とを通る直線αと平行になるようにしてもよい。つまり、ロック解除部45の上面を中心軸線Xに対して傾斜させてもよい。これにより、作業者の指の形によらず、ロックを解除する際の指からの押圧力の方向を一定方向に規制することができるため、先端側支点42と後端側支点43とを通る直線αを押圧方向βに対して確実に垂直とすることができる。この結果、係止爪44と係止孔51cとの係止状態を解除させる際に、ロック解除部45を必要以上に大きな力で押圧することなく、容易にロックアーム41を大きく弾性変形させて撓ませ、円滑に係止状態を解除させることができる。
【符号の説明】
【0052】
11 ケーブル側コネクタ(コネクタ)
14 基板用コネクタ(相手方コネクタ)
31 ハウジング
41 ロックアーム
42 先端側支点(支点)
43 後端側支点(支点)
44 係止爪
45 ロック解除部
51 ハウジング(相手方コネクタハウジング)
51c 係止孔
α 直線
β 押圧方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手方コネクタに対して挿抜されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図10に示すように、相手方コネクタハウジングの係止孔を係止する係止突起1と、相手方コネクタハウジングとの係止解除用のロック解除部2とを上部に備え、前後端部がコネクタハウジング3上に固定された両持ち支持構造のロックアーム4がコネクタハウジング3の一外壁面上に設けられたロック付きコネクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このコネクタでは、ロックアーム4の後端部が折り返されてバンド部5が形成され、バンド部5の弾性作用によってロックを解除する際のロック解除部2の押圧力が小さくされ、ロックアーム4の後方支持部にかかる押圧荷重も小さくされ、後方支持部の変形や破損が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−220807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ロックアーム4のロック解除部2を押圧する指からの押圧力は、コネクタハウジング3に対して斜め前方側(図10中矢印A方向)へ作用する。
【0006】
これに対して、図11に示すように、ロック解除部2を押圧すると、ロックアーム4は、先端側の連結部4a及びこの連結部4aに対して略水平位置のバンド部5の屈曲部5aが支点となって中央部が下方へ湾曲するように弾性変形するため、ロック解除部2は、コネクタハウジング3に対して斜め後方側(図11中矢印B方向)へ変位する。
【0007】
このように、上記のコネクタでは、ロックを解除する際の指からの押圧力の方向に対してロック解除部2の変位の方向が異なる。このため、ロックを解除する際の押圧力がロックアーム4へ効率的に伝達されず、ロックの円滑な解除が困難となる。
【0008】
また、一般的な片持ち支持構造のロックアームでは、容易に弾性変形させることができるが、片持ち支持構造であるためにロックアームの耐久性の低下を招き、また、大きく撓ませるためのスペースを確保しなければならず、コネクタハウジングの大型化を招いてしまう。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐久性の低下を招くことなく小型化を図ることができ、しかも、相手方コネクタとのロック及びその解除を円滑に行うことが可能なコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタは、下記(1)または(2)を特徴としている。
(1) 相手方コネクタハウジングに挿抜されるハウジングと、
該ハウジングにおける先端側と後端側とに連結されて前記相手方コネクタハウジングへの挿抜方向に沿って両持ち支持され、前記ハウジングとの連結箇所を支点として弾性変形可能とされたロックアームと、
該ロックアームに形成されて前記相手方コネクタハウジングへの挿入時に前記相手方コネクタハウジングに形成された係止孔に係止する係止爪とを備え、
前記ロックアームは、前記係止爪よりも前記ハウジングの後端側に押圧されることにより前記係止孔への前記係止爪の係止を解除させるロック解除部を有し、前記ハウジングの後端側における支点の位置が、前記ハウジングの先端側における支点の位置よりも、前記係止爪の突出方向と反対側に配置されていること。
(2) 上記(1)の構成のコネクタにおいて、前記ロックアームのそれぞれの前記支点を通る直線が、前記ロック解除部へ付与される押圧力の方向に対して略垂直に配置されていること。
【0011】
上記(1)の構成のコネクタでは、ロックアームは、ハウジングの先端側の支点に対してハウジングの後端側の支点が、係止爪の突出方向と反対側に配置されているので、ロック解除部に付与された押圧力が無駄なく効率的にロックアームに伝達されることとなる。これにより、係止孔と係止爪との係止状態の解除を容易にかつ円滑に行うことができる。しかも、片持ち支持構造のロックアームと比較し、耐久性の向上及びハウジングの小型化を図ることができる。
また、ロックアームは、先端側の支点に対して後端側の支点が、係止爪の突出方向と反対側に配置されていることから、後端側の支点を先端側の支点と同一の高さ位置とした場合と比較して、ロックアームの変形量を大きくすることができ、よって、係止爪を係止孔へ係止させる際のロックアームの動きの円滑化を図り、係止時の感触であるロックフィーリングを良好なものとすることができる。
即ち、耐久性の低下を招くことなく小型化を図ることができ、しかも、相手方コネクタとのロック及びその解除を円滑に行うことができる。
上記(2)の構成のコネクタでは、ロックアームの各支点を通る直線が、ロック解除部へ付与される押圧力の方向に対して略垂直に配置されているので、係止爪と係止孔との係止状態を解除させる際に、ロック解除部を必要以上に大きな力で押圧することなく、容易にロックアームを大きく弾性変形させて撓ませ、円滑に係止状態を解除させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、耐久性の低下を招くことなく小型化を図ることができ、しかも、相手方コネクタとのロック及びその解除を円滑に行うことが可能なコネクタを提供できる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施形態に係るケーブル側コネクタ及びこのケーブル側コネクタが接続される基板用コネクタの斜視図である。
【図2】図2は、実施形態に係るケーブル側コネクタの分解斜視図である。
【図3】図3は、実施形態に係るケーブル側コネクタのハウジングの側面図である。
【図4】図4は、ケーブル側コネクタが接続される基板用コネクタの分解斜視図である。
【図5】図5(a)〜図5(c)は、基板用コネクタに対するケーブル側コネクタの挿抜時の動きを説明する図であって、図5(a)から図5(c)は、それぞれ概略側断面図である。
【図6】図6は、参考例のコネクタの斜視図である。
【図7】図7は、参考例のコネクタのロックアームを示す図であって、図7(a)及び図7(b)はそれぞれ概略側面図である。
【図8】図8は、他の参考例のコネクタの斜視図である。
【図9】図9は、他の参考例のコネクタの斜視図である。
【図10】図10は、従来のコネクタの構造を示す概略側断面図である。
【図11】図11は、従来のコネクタの構造を示す概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るコネクタの実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、実施形態に係るケーブル側コネクタ及びこのケーブル側コネクタが接続される基板用コネクタの斜視図、図2は、実施形態に係るケーブル側コネクタの分解斜視図、図3は、実施形態に係るケーブル側コネクタのハウジングの側面図、図4は、ケーブル側コネクタが接続される基板用コネクタの分解斜視図、図5(a)から図5(c)は、基板用コネクタに対するケーブル側コネクタの挿抜時の動きを説明する図であって、図5(a)から図5(c)は、それぞれ概略側断面図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係るケーブル側コネクタ(コネクタ)11は、シールドケーブル12の端部に取り付けられるシールドコネクタである。このケーブル側コネクタ11は、プリント基板等の回路基板13に実装された相手方コネクタである基板用コネクタ14に接続される。
【0018】
図2に示すように、ケーブル側コネクタ11が接続されるシールドケーブル12は、芯線21と、芯線21の周囲に押出し被覆された絶縁層22と、絶縁層22の周囲に設けられた外部導体23と、外部導体23の周囲に被覆された外被24とを有している。
【0019】
ケーブル側コネクタ11は、合成樹脂製のハウジング31を備えており、このハウジング31内にシールド端子32が収容される。シールド端子32は、芯線21に圧着固定される筒状のインナー端子33と、このインナー端子33の外周に設けられた絶縁体34と、外部導体23と導通するように絶縁体34を介してインナー端子33の外周側に設けられるアウター端子35とを備えている。
【0020】
ケーブル側コネクタ11のハウジング31は、その後端側に、開口部31aが形成されており、この開口部31aからハウジング31の内部にシールド端子32が挿入されて収容される。また、ハウジング31の先端側には、接続孔31bが形成されており、この接続孔31bには、シールド端子32の先端が露出されている。
【0021】
図3に示すように、ハウジング31は、その上部に、ロックアーム41が形成されている。このロックアーム41は、基板用コネクタ14に対する挿抜方向であるハウジング31の長手方向に沿って先端側から後端側にわたって設けられた帯板状のもので、ハウジング31の先端側及び後端側で連結されている。つまり、このロックアーム41は、ハウジング31の先端側における連結箇所からなる先端側支点(支点)42及びハウジング31の後端側における連結箇所からなる後端側支点(支点)43でハウジング31に両持ち支持されてハウジング31の上面に対して隙間をあけて配置された構造とされている。
【0022】
このロックアーム41には、その中間部における上部に、上方へ突出する係止爪44が形成されており、この係止爪44は、ハウジング31の先端側から後端側へ向かって次第に上方へ傾斜したテーパ形状のガイド面44aを有している。また、ロックアーム41は、係止爪44よりもハウジング31の後端側が、ロック解除部45とされている。このロック解除部45は、作業者が指Fで押圧する部分であり、その上面には、滑り止めのために、幅方向に沿う複数の溝部45aが形成されている(図1及び図2参照)。
【0023】
このロックアーム41は、先端側支点42に対して後端側支点43が、係止爪44の突出方向と反対側に配置されている。言い換えれば、後端側支点43は、先端側支点42よりもロックアーム41の上面から離れて配置されている。これにより、先端側支点42と後端側支点43とを通る直線αは、ハウジング31の先端側から後端側へ向かって次第に中心軸線Xへ近接するように傾いている。
【0024】
ここで、ロック解除部45を指Fで押圧する場合、その指Fからの押圧力は、ハウジング31の斜め前方側へ作用する。そして、ロックアーム41における先端側支点42と後端側支点43とを通る直線αは、ロック解除部45で斜め前方へ作用する押圧力の押圧方向βと略垂直となるようにされている。
【0025】
図1及び図2に示すように、ハウジング31は、その上面側に、ロックアーム41の両側部に沿って立設された保護壁46を有している。この保護壁46には、ロック解除部45の両側部に凹部47が形成されている。
【0026】
図4に示すように、基板用コネクタ14は、合成樹脂から成形されたハウジング(相手方コネクタハウジング)51を備えている。このハウジング51には、内導体端子52及び外導体端子53が装着される。また、ハウジング51には、その両側部に、L字状の固定用ペグ54が装着される。これらの固定用ペグ54は、その下端部に固定片部54aが設けられており、この固定片部54aを回路基板13に半田等によって固定することにより、回路基板13に基板用コネクタ14が取り付けられる。
【0027】
内導体端子52は、接続ピン部61と、この接続ピン部61の後端から回路基板13側へ向かって延びて回路基板13の導体パターン(図示略)に半田等によって導通接続される接続脚部62とを有している。
【0028】
外導体端子53は、断面視円弧状に形成された端子本体63と、この端子本体63の後端から回路基板13側へ向かって延びて回路基板13の導体パターンに半田等によって導通接続される接続脚部64とを有している。
【0029】
ハウジング51は、先端側が開口されており、この開口部51aに、ケーブル側コネクタ11が接続される。
【0030】
また、ハウジング51には、その上面板51bに、ケーブル側コネクタ11のハウジング31に設けられたロックアーム41の係止爪44が係止可能な係止孔51cが形成されている。
【0031】
次に、基板用コネクタ14に対してケーブル側コネクタ11を挿抜する場合について説明する。
【0032】
(挿し込み時)
基板用コネクタ14の開口部51aにケーブル側コネクタ11を挿し込むと、まず、図5(a)に示すように、係止爪44のガイド面44aが基板用コネクタ14のハウジング51の開口縁に当接する。この状態で、さらにケーブル側コネクタ11を挿し込むと、ガイド面44aとハウジング51の開口縁とが互いに摺接することにより、係止爪44にハウジング31側へ向かう押圧力が生じ、よって、ロックアーム41が弾性変形して係止爪44がハウジング31側へ押し下げられ、ハウジング51内へ入り込む。
【0033】
さらに、ケーブル側コネクタ11を挿し込むことにより、係止爪44がハウジング51の係止孔51cに達すると、弾性変形していたロックアーム41が復元し、よって、図5(b)に示すように、係止爪44が係止孔51c内に入り込む。これにより、基板用コネクタ14のハウジング51に対してケーブル側コネクタ11のハウジング31が係止され、基板用コネクタ14とケーブル側コネクタ11とが互いに接続された状態となる。
【0034】
すると、ケーブル側コネクタ11のインナー端子33に基板用コネクタ14の内導体端子52の接続ピン部61が挿し込まれて互いに導通接続され、また、基板用コネクタ14の外導体端子53の端子本体63の内面側にケーブル側コネクタ11のアウター端子35が入り込み、アウター端子35と外導体端子53とが導通接続される。
【0035】
このとき、ロックアーム41は、先端側支点42に対して後端側支点43が、係止爪44の突出方向と反対側に配置されていることから、後端側支点43を先端側支点42と同一の高さ位置とした場合と比較して、ロックアーム41の変形量が大きくされる。これにより、ケーブル側コネクタ11を基板用コネクタ14へ挿し込んで係止爪44を係止孔51cへ係止させる際のロックアーム41の動きの円滑化が図られ、よって、係止時の感触が良好なものとされる。
【0036】
(抜き取り時)
基板用コネクタ14からケーブル側コネクタ11を抜き取って接続を解除するには、図5(c)に示すように、ケーブル側コネクタ11のロックアーム41のロック解除部45を指Fで押圧する。すると、このロック解除部45への押圧力によって、ロックアーム41が弾性変形し、これにより、係止爪44がハウジング31側へ押し下げられ、ハウジング51の係止孔51cから係止爪44が外される。これにより、基板用コネクタ14のハウジング51に対するケーブル側コネクタ11の係止状態が解除される。
【0037】
ここで、ロックアーム41は、先端側支点42に対して後端側支点43が、係止爪44の突出方向と反対側に配置され、先端側支点42と後端側支点43とを通る直線αが、ハウジング31の先端側から後端側へ向かって次第に中心軸線Xへ近接するように傾けられ、ロック解除部45で斜め前方へ作用する指Fからの押圧力の押圧方向βと略垂直となるようにされている。
【0038】
したがって、ロック解除部45に付与された押圧力は、無駄なく効率的にロックアーム41に伝達される。これにより、ロック解除部45を必要以上に大きな力で押圧することなく、容易にロックアーム41を大きく弾性変形させて撓ませ、円滑に係止状態を解除させることが可能である。
【0039】
また、ロック解除部45の両側部に、凹部47が形成されているので、ロック解除部45の押圧を円滑に行うことができる。
【0040】
上記のようにして、係止爪44と係止孔51cとの係止状態を解除させたら、基板用コネクタ14に対してケーブル側コネクタ11を手前に引っ張り、基板用コネクタ14からケーブル側コネクタ11を引き抜く。
【0041】
このように、上記実施形態によれば、ロックアーム41は、先端側支点42に対して後端側支点43が、係止爪44の突出方向と反対側に配置されているので、ロック解除部45に付与された押圧力が無駄なく効率的にロックアーム41に伝達されることとなる。これにより、係止孔51cと係止爪44との係止状態の解除を容易にかつ円滑に行うことができる。しかも、片持ち支持構造のロックアームと比較し、耐久性の向上及びハウジングの小型化を図ることができる。これにより、小型化が要求されているラジオアンプ、テレビアンプあるいはナビゲーションシステム等に用いて好適なコネクタとすることができる。
【0042】
また、ロックアーム41は、先端側支点42に対して後端側支点43が、係止爪44の突出方向と反対側に配置されていることから、後端側支点43を先端側支点42と同一の高さ位置とした場合と比較して、ロックアーム41の変形量を大きくすることができ、よって、係止爪44を係止孔51cへ係止させる際のロックアーム41の動きの円滑化を図り、係止時の感触であるロックフィーリングを良好なものとすることができる。
【0043】
即ち、耐久性の低下を招くことなく小型化を図ることができ、しかも、相手方コネクタである基板用コネクタ14とのロック及びその解除を円滑に行うことができる。
【0044】
特に、ロックアーム41の先端側支点42と後端側支点43を通る直線αが、ロック解除部45へ付与される押圧力の押圧方向βに対して略垂直に配置されているので、係止爪44と係止孔51cとの係止状態を解除させる際に、ロック解除部45を必要以上に大きな力で押圧することなく、容易にロックアーム41を大きく弾性変形させて撓ませ、円滑に係止状態を解除させることができる。
【0045】
ここで、本発明の更なる優位性を説明するために参考例を示す。
【0046】
図6は、参考例のコネクタの斜視図、図7(a)及び図7(b)は、参考例のコネクタのロックアームを示す図であって、図7(a)及び図7(b)はそれぞれ概略側面図、図8及び図9は、それぞれ他の参考例のコネクタの斜視図である。
【0047】
図6及び図7(a)に示すように、このコネクタのハウジング101は、相手方コネクタの係止孔に係止可能な係止爪102を有するロックアーム103を備えている。このロックアーム103は、ハウジングの先端側で連結された片持ち支持構造とされており、後端側に、指によって押圧されるロック解除部104が設けられている。
【0048】
この片持ち支持構造のロックアーム103では、図7(b)に示すように、ロック解除部104を押圧することにより、容易に弾性変形させて係止孔と係止爪102との係止状態を解除させることができる。しかし、ロックアーム103が先端部だけで連結された片持ち支持構造であるため、耐久性の低下を招き、また、大きく撓ませるためのスペースを確保する必要があり、よって、内部の端子との干渉を避けるために、ハウジング101を大きくしなければならず、コネクタの大型化を招いてしまう。
【0049】
また、図8に示すものは、後端側が支点111となって揺動するロックアーム112をハウジング113の上部に設けた正面ロックタイプのコネクタであり、図9に示すものは、中央部の支点114を中心として揺動するロックアーム115をハウジング116の上部に設けたシーソーロックタイプのコネクタである。
【0050】
これらの正面ロックタイプまたはシーソーロックタイプのコネクタの場合、ロックアーム112,115を支点111,114で揺動させる構造であるので、耐久性が低く、また、大型化を招いてしまう。
【0051】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。上述したハウジング31のロックアーム41は、図3に示すように、ロック解除部45の上面が中心軸線Xと平行になるように形作られているが、ロック解除部45の上面が先端側支点42と後端側支点43とを通る直線αと平行になるようにしてもよい。つまり、ロック解除部45の上面を中心軸線Xに対して傾斜させてもよい。これにより、作業者の指の形によらず、ロックを解除する際の指からの押圧力の方向を一定方向に規制することができるため、先端側支点42と後端側支点43とを通る直線αを押圧方向βに対して確実に垂直とすることができる。この結果、係止爪44と係止孔51cとの係止状態を解除させる際に、ロック解除部45を必要以上に大きな力で押圧することなく、容易にロックアーム41を大きく弾性変形させて撓ませ、円滑に係止状態を解除させることができる。
【符号の説明】
【0052】
11 ケーブル側コネクタ(コネクタ)
14 基板用コネクタ(相手方コネクタ)
31 ハウジング
41 ロックアーム
42 先端側支点(支点)
43 後端側支点(支点)
44 係止爪
45 ロック解除部
51 ハウジング(相手方コネクタハウジング)
51c 係止孔
α 直線
β 押圧方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手方コネクタハウジングに挿抜されるハウジングと、
該ハウジングにおける先端側と後端側とに連結されて前記相手方コネクタハウジングへの挿抜方向に沿って両持ち支持され、前記ハウジングとの連結箇所を支点として弾性変形可能とされたロックアームと、
該ロックアームに形成されて前記相手方コネクタハウジングへの挿入時に前記相手方コネクタハウジングに形成された係止孔に係止する係止爪とを備え、
前記ロックアームは、前記係止爪よりも前記ハウジングの後端側に押圧されることにより前記係止孔への前記係止爪の係止を解除させるロック解除部を有し、前記ハウジングの後端側における支点の位置が、前記ハウジングの先端側における支点の位置よりも、前記係止爪の突出方向と反対側に配置されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ロックアームのそれぞれの前記支点を通る直線が、前記ロック解除部へ付与される押圧力の方向に対して略垂直に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項1】
相手方コネクタハウジングに挿抜されるハウジングと、
該ハウジングにおける先端側と後端側とに連結されて前記相手方コネクタハウジングへの挿抜方向に沿って両持ち支持され、前記ハウジングとの連結箇所を支点として弾性変形可能とされたロックアームと、
該ロックアームに形成されて前記相手方コネクタハウジングへの挿入時に前記相手方コネクタハウジングに形成された係止孔に係止する係止爪とを備え、
前記ロックアームは、前記係止爪よりも前記ハウジングの後端側に押圧されることにより前記係止孔への前記係止爪の係止を解除させるロック解除部を有し、前記ハウジングの後端側における支点の位置が、前記ハウジングの先端側における支点の位置よりも、前記係止爪の突出方向と反対側に配置されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ロックアームのそれぞれの前記支点を通る直線が、前記ロック解除部へ付与される押圧力の方向に対して略垂直に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−30323(P2013−30323A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164624(P2011−164624)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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