説明

コネクタ

【課題】形状の簡素化を図る。
【解決手段】コネクタは、第1のハウジング11と第2のハウジング12を備えて構成されるコネクタ構成体10と、コネクタ構成体10に設けられ、そのコネクタ構成体10を別のコネクタ構成体10(他部材)との連結状態に保つための第1連結用嵌合部17F及び第2連結用嵌合部17Rと、コネクタ構成体10から導出される電線16と、コネクタ構成体10に組み付けられることで、電線16を収容して転向させる電線カバー30と、電線カバー30に設けられ、連結用嵌合部17F,17Rと嵌合することで電線カバー30とコネクタ構成体10とを組付け状態に保持する第1組付用嵌合部40F及び第2組付用嵌合部40Rとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、端子金具が取り付けられたハウジングと、端子金具に接続されてハウジングから導出された電線を転向させて配索する電線カバーとを組み付けて構成されるコネクタが開示されている。また、特許文献2には、複数のハウジングを積層状態に連結した形態のコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−225320号公報
【特許文献2】特開2002−134199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に記載されているコネクタを構成するハウジングは、他のハウジングとは連結せずに単独で使用することも可能である。そして、このように単独で使用されるハウジングに対し、特許文献1に記載されているような電線カバーを取り付けることも可能である。この場合、ハウジングには、ハウジング同士を連結するための連結用嵌合部を残したままで、ハウジングと電線カバーとを組み付けるための組付用嵌合部を、新たに設ける必要がある。そのため、ハウジングの形状が複雑になる。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、形状の簡素化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、少なくとも1つのハウジングを備えて構成されるコネクタ構成体と、前記コネクタ構成体に設けられ、そのコネクタ構成体を他部材との連結状態に保つための連結用嵌合部と、前記コネクタ構成体から導出される電線と、前記コネクタ構成体に組み付けられることで、前記電線を収容して転向させる電線カバーと、前記電線カバーに設けられ、前記連結用嵌合部と嵌合することで前記電線カバーと前記コネクタ構成体とを組付け状態に保持する組付用嵌合部を備えているところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記コネクタ構成体は、嵌合方向が互いに逆向きとされている第1と第2の2つの前記連結用嵌合部を有し、前記第1連結用嵌合部を別の前記コネクタ構成体の前記第2連結用嵌合部に嵌合させることで、前記別のコネクタ構成体に連結されるようになっており、前記電線カバーを構成し、前記電線を収容して転向させるための収容空間と、前記第1連結用嵌合部と嵌合可能な前記組付用嵌合部とが設けられたカバー本体と、前記カバー本体に組み付けられることで前記電線カバーを構成し、前記第2連結用嵌合部と嵌合可能な前記組付用嵌合部が設けられた補助部材とを備えているところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記コネクタ構成体が、フード部を有する第1の前記ハウジングと、前記フード部の内部に嵌合される第2の前記ハウジングとを備えて構成され、前記電線カバーは、前記第2のハウジングの背面から導出された前記電線を転向させるように配され、前記連結用嵌合部が、前記フード部の外面に配置されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
<請求項1の発明>
コネクタ構成体を他部材と連結しない状態では、連結用嵌合部が、組付用嵌合部との嵌合により、電線カバーをコネクタ構成体に組み付けるための組付け手段としての機能を発揮する。連結用嵌合部は、コネクタ構成体と他部材を連結する連結機能と、コネクタ構成体と電線カバーを組み付ける組付け機能との2つの機能を兼ね備えているので、連結機能の専用手段と組付け機能の専用手段を別々に設ける場合に比べると、コネクタ構成体の形状を簡素化することができる。
【0009】
<請求項2の発明>
互いに嵌合方向が逆向きとされた第1連結用嵌合部と第2連結用嵌合部とにより、複数のコネクタ構成体を並列状態で連結することができる。コネクタ構成体を単独で使用する場合、電線カバーを第1連結用嵌合部と第2連結用嵌合部の2箇所で確実に組み付けることができる。ここで、第1連結用嵌合部と第2連結用嵌合部は嵌合方向が逆向きなのであるが、電線カバーは、組付用嵌合部を備えるカバー本体と同じく組付用嵌合部を備える補助部材との2部品で構成しているので、2つの連結用嵌合部の嵌合方向が逆向きであっても、この2つの連結用嵌合部に組付用嵌合部を嵌合させて、コネクタ構成体に組み付けることが可能となっている。
【0010】
<請求項3の発明>
電線が導出される第2のハウジングはフード部内に収容されるため、この第2のハウジングに連結用嵌合部を設けようとすると、第2のハウジングを大型化してフード部から突出する部分を形成し、その突出部分に連結用嵌合部を配置することになる。その点、本発明は、第2のハウジングを収容するフード部に、連結用嵌合部を配置しているので、第2のハウジングの大型化を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態1のコネクタの側面図
【図2】コネクタの底面図
【図3】図1のA−A線断面図
【図4】図1のB−B線断面図
【図5】図2のC−C線断面図
【図6】コネクタ構成体の側面図
【図7】コネクタ構成体の平面図
【図8】コネクタ構成体の底面図
【図9】コネクタ構成体の背面図
【図10】電線カバーを構成するカバー本体と補助部材を離脱した状態をあらわす側面図
【図11】電線カバーの底面図
【図12】電線カバーを構成するカバー本体と補助部材を離脱した状態をあらわす断面図
【図13】電線カバーを構成するカバー本体の底面図
【図14】電線カバーを構成するカバー本体の背面図
【図15】電線カバーを構成する補助部材の平面図
【図16】電線カバーを構成する補助部材の正面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1〜図16を参照して説明する。本実施形態のコネクタは、図1に示すように、コネクタ構成体10と電線カバー30とを備えて構成されている。図5,6,9に示すように、コネクタ構成体10は、第1のハウジング11と第2のハウジング12を上下に嵌合して構成され、電線カバー30は、第2のハウジング12の背面側を覆うように組み付けられている。尚、以下の説明において、上下の方向は、図1に表れる向きを基準とする。また、前後の方向については、図1の左方を前方とし、図1の右方を後方とする。
【0013】
図5に示すように、第1のハウジング11は、内部に端子収容室13が形成された端子保持部14と、端子保持部14の上端外周縁から上方へ角筒状に突出するフード部15とを一体に形成して構成されている。端子収容室13内には、下方(第1のハウジング11の背面側)から周知形態の雄形端子金具(図示省略)が挿入されている。そして、各雄端子金具に接続された電線(図示省略)は、第1ハウジングの背面(下面)から外部へ導出されている。
【0014】
第2のハウジング12は、第1のハウジング11に対し上方から嵌合され、フード部15内に収容されている。図5,7に示すように、第2のハウジング12内にも端子収容室13が形成され、この端子収容室13内には、周知形態の雌端子金具(図示省略)が収容されている。図5に示すように、各雌端子金具に接続された電線16は、第2のハウジング12の背面(上面)から上方へ導出されている。
【0015】
図6〜8に示すように、フード部15を構成する前面壁の外面(前面)には、第1連結用嵌合部17Fが形成され、フード部15を構成する後面壁の外面(後面)には、第2連結用嵌合部17Rが形成されている。この第1連結用嵌合部17Fと第2連結用嵌合部17Rは、コネクタ構成体10に対し他部材を連結するための連結手段としての機能を有する。ここで、他部材とは、コネクタ構成体10である。つまり、両連結用嵌合部17F,17Rにより、同一形態の複数のコネクタ構成体10が前後に並列状に連結されるようになっている。
【0016】
図7,8に示すように、第1連結用嵌合部17Fは、上下方向に延びる左右一対の第1リブ18Fと、左右両第1リブ18Fの上端部同士を連結するように形成された第1係止部19Fとを備えて構成されている。第1連結用嵌合部17Fには、第1リブ18Fの下端部から後方(第1リブ18Fの長さ方向と交差する方向)へ突出する第1嵌合規制部20Fが形成されているので、第1連結用嵌合部17Fの嵌合相手(第2連結用嵌合部17R、及び後述する第1組付用嵌合部40F)に対する嵌合方向は、上向きである。
【0017】
図7〜9に示すように、第2連結用嵌合部17Rは、上下方向に延びる左右一対の第2溝18Rと、左右両第2溝18Rの間の位置に形成された第2抜止め突起19Rとを備えて構成されている。第2連結用嵌合部17Rには、第2溝18Rの上端部を閉塞する形態であって第2抜止め突起19Rの少し上方の位置に形成された第2ストッパ20Rが形成されているので、第2連結用嵌合部17Rの嵌合相手(第1連結用嵌合部17F、及び後述する第2組付用嵌合部40R)に対する嵌合方向は、下向きである。つまり、第1連結用嵌合部17Fと第2連結用嵌合部17Rの嵌合方向は、上下方向において互いに逆向きとなっている。
【0018】
2つのコネクタ構成体10を前後に並ぶように連結する際には、前側のコネクタ構成体10の第2溝18Rに、後側のコネクタ構成体10の第1リブ18Fを下から嵌合し、前側のコネクタ構成体10に対し後側のコネクタ構成体10を相対的に上方へ変位(スライド)させる。そして、両コネクタ構成体10が正規の連結状態になると、第1係止部19Fに対し、第2ストッパ20Rと第2抜止め突起19Rが上下に挟むように係止する。この係止作用により、両コネクタ構成体10は、上下方向への相対変位を規制された連結状態に保持される。また、第1リブ18Fと第2溝18Rとの嵌合により、両コネクタ構成体10の前後方向及び左右方向の相対変位も規制される。
【0019】
また、コネクタ構成体10は、単独で使用することができる。この場合、図1,5に示すように、コネクタ構成体10には、第2のハウジング12の背面から上方へ導出された電線16を後方へ転向させるための電線カバー30を組み付けることができる。そして、この電線カバー30の組付けに際しては、コネクタ構成体10同士を連結するための第1連結用嵌合部17Fと第2連結用嵌合部17Rが、電線カバー30の組付け手段としての機能を発揮する。
【0020】
図1,5,10〜12に示すように、電線カバー30は、カバー本体31と、補助部材32とを組み付けて構成されている。カバー本体31は、第2のハウジング12の背面を覆う形態の箱状部33を有する。図5,12に示すように、箱状部33は、下方及び後方へ開放されており、箱状部33の内部は、第2のハウジング12から導出された電線16を収容して後方へ転向させるための収容空間34となっている。カバー本体31には、箱状部33の上板部を後方へ延長させた形態の板状保持部35が形成されている。この板状保持部35には、電線カバー30内で後方へ転向させられた電線16の束が、テープ(図示省略)の巻き付けによって固定されるようになっている。図1,4,10に示すように、カバー本体31には、箱状部33の左右両側板部における後端部から下方へ延出する左右一対の弾性ロック片36が形成されている。図11〜14に示すように、カバー本体31には、左右両側板部の内面後端部に連なって下方へ片持ち状に延出する左右一位の位置決め突起37が形成されている。
【0021】
図1〜3,10〜14に示すように、カバー本体31には、箱状部33の前板部から下方へ面一状に延出する板状嵌合部38が形成されている。図3,11〜14に示すように、板状嵌合部38の内面(後面)には、電線カバー30(カバー本体31)をコネクタ構成体10に組み付けるための第1組付用嵌合部40Fが形成されている。この第1組付用嵌合部40Fは、上下方向に延びる左右一対の第1溝41Fと、左右両第1溝41Fの間の位置に形成された第1抜止め突起42Fとを備えて構成されている。第1組付用嵌合部40Fには、第1溝41Fの上端部を閉塞する形態であって第1抜止め突起42Fよりも少し上方の位置に形成された第1ストッパ43Fが形成されているので、第1連結用嵌合部17Fの嵌合相手(第1連結用嵌合部17F)に対する嵌合方向は、下向き(即ち、上下方向において、コネクタ構成体10に対するカバー本体31の組付け方向と、同じ向き)である。つまり、この第1組付用嵌合部40Fは、コネクタ構成体10の第2連結用嵌合部17Rと同じ形態となっている。
【0022】
補助部材32は、カバー本体31に対し下方から組み付けられるようになっている。このカバー本体31に対する補助部材32の組付け方向は、コネクタ構成体10に対するカバー本体31の組付け方向とは、上下逆向きである。図15に示すように、補助部材32には、その上面を凹ませた形態の左右一対の位置決め孔44が形成されている。補助部材32をカバー本体31に組み付けるときには、図5,12に示すように、位置決め孔44に位置決め突起37を嵌合させることにより、補助部材32が、カバー本体31に対して上下、前後及び左右の全ての方向において位置決めされるようになっている。図4,15,16に示すように、補助部材32の左右両外側面には、左右一対のロック突起45が形成されている。補助部材32がカバー本体31に正規に組み付けられると、ロック突起45と弾性ロック片36が係止することにより、補助部材32とカバー本体31が組付け状態にロックされるようになっている。
【0023】
図10,12,15,16に示すように、補助部材32の前面には、電線カバー30(補助部材32)をコネクタ構成体10に組み付けるための第2組付用嵌合部40Rが形成されている。第2組付用嵌合部40Rは、上下方向に延びる左右一対の第2リブ41Rと、左右両第2リブ41Rの上端部同士を連結するように形成された第2係止部42Rとを備えて構成されている。第2組付用嵌合部40Rには、第2リブ41Rの下端部から後方(第2リブ41Rの長さ方向と交差する方向)へ突出する第2嵌合規制部43Rが形成されているので、第2組付用嵌合部40Rの嵌合相手(第1連結用嵌合部17F)に対する嵌合方向は、上向き(即ち、上下方向において、コネクタ構成体10に対する補助部材32の組付け方向と同じ向きであり、且つ第1組付用嵌合部40Fの嵌合方向とは逆向き)である。つまり、この第2組付用嵌合部40Rは、コネクタ構成体10の第1連結用嵌合部17Fと同じ形態となっている。
【0024】
電線カバー30をコネクタ構成体10に組み付ける際には、カバー本体31と補助部材32とを分離しておき、先に、カバー本体31をコネクタ構成体10に組み付ける。組み付ける際には、カバー本体31(第1組付用嵌合部40F)の第1溝41Fの下端部を、コネクタ構成体10(第1連結用嵌合部17F)の第1リブ18Fの上端部に嵌合し、カバー本体31をコネクタ構成体10に対して相対的に下方へ変位(スライド)させる。そして、カバー本体31が正規の組付位置に到達すると、コネクタ構成体10の第1係止部19Fに対し、カバー本体31の第1抜止め突起42Fが下から当接するとともに、箱状部33の下端がコネクタ構成体10(第2のハウジング12)の上面に当接する。この当接作用により、カバー本体31とコネクタ構成体10は、上下方向への相対変位を規制された組付け状態に保持される。また、第1リブ18Fと第1溝41Fとの嵌合により、コネクタ構成体10に対するカバー本体31の前後方向及び左右方向の相対変位も規制される。
【0025】
カバー本体31をコネクタ構成体10に組み付けた後、コネクタ構成体10に補助部材32を組み付けるとともに、補助部材32とカバー本体31とを合体して電線カバー30を構成する。補助部材32を組み付ける際には、位置決め孔44に位置決め突起37の下端部を嵌入するととも、補助部材32(第2組付用嵌合部40R)の第2リブ41Rの上端部を、コネクタ構成体10(第2連結用嵌合部17R)の第2溝18Rの下端部に嵌合し、補助部材32をコネクタ構成体10に対して相対的に上方へ変位(スライド)させる。
【0026】
そして、補助部材32が正規の組付位置に到達すると、補助部材32の第2係止部42Rに対し、コネクタ構成体10の第2ストッパ20Rと第2抜止め突起19Rが上下に挟むように係止する。この係止作用により、補助部材32とコネクタ構成体10は、上下方向への相対変位を規制された組付け状態に保持される。また、第2リブ41Rと第2溝18Rとの嵌合により、コネクタ構成体10に対する補助部材32の前後方向及び左右方向の相対変位も規制される。また、ロック突起45と弾性ロック片36との係止により、補助部材32がカバー本体31に対して組付け状態(下方への離脱を規制された状態)にロックされる。以上により、カバー本体31と補助部材32とが合体して電線カバー30が構成されるとともに、コネクタ構成体10に対して電線カバー30が組付け状態に保持される。なお、組付けの手順としては、補助部材32を先にコネクタ構成体10に組み付け、その後に、カバー本体31をコネクタ構成体10に組み付けてもよい。
【0027】
上述のように、本実施形態のコネクタは、第1と第2の2つのハウジング11,12を備えて構成されるコネクタ構成体10と、コネクタ構成体10に設けられ、そのコネクタ構成体10を他部材(別のコネクタ構成体10)との連結状態に保つための連結用嵌合部17F,17Rと、コネクタ構成体10から導出される電線16と、コネクタ構成体10に組み付けられることで電線16を収容して転向させる電線カバー30と、電線カバー30に設けられ、連結用嵌合部17F,17Rと嵌合することで電線カバー30とコネクタ構成体10とを組付け状態に保持する組付用嵌合部40F,40Rとを備えている。
【0028】
この構成によれば、コネクタ構成体10を他部材(別のコネクタ構成体10)と連結しない状態では、連結用嵌合部17F,17Rが、組付用嵌合部40F,40Rとの嵌合により、電線カバー30をコネクタ構成体10に組み付けるための組付け手段としての機能を発揮する。連結用嵌合部17F,17Rは、コネクタ構成体10と他部材(別のコネクタ構成体10)を連結する連結機能と、コネクタ構成体10と電線カバー30を組み付ける組付け機能との2つの機能を兼ね備えているので、連結機能の専用手段と組付け機能の専用手段を別々に設ける場合に比べると、コネクタ構成体10の形状を簡素化することができる。
【0029】
また、コネクタ構成体10は、嵌合方向が互いに逆向きとされている第1と第2の2つの連結用嵌合部17F,17Rを有し、第1連結用嵌合部17Fを別のコネクタ構成体10の第2連結用嵌合部17Rに嵌合させることで、別のコネクタ構成体10に連結されるようになっている。そして、電線カバー30を構成するカバー本体31には、電線16を収容して転向させるための収容空間34と、第1連結用嵌合部17Fと嵌合可能な第1組付用嵌合部40Fとが設けられ、カバー本体31に組み付けられることで電線カバー30を構成する補助部材32には、、第2連結用嵌合部17Rと嵌合可能な第2組付用嵌合部40Rが設けられている。
【0030】
この構成によれば、互いに嵌合方向が逆向きとされた第1連結用嵌合部17Fと第2連結用嵌合部17Rとにより、複数のコネクタ構成体10を並列状態で連結することができる。また、コネクタ構成体10を単独で使用する場合、電線カバー30を第1連結用嵌合部17Fと第2連結用嵌合部17Rの2箇所で確実に組み付けることができる。ここで、第1連結用嵌合部17Fと第2連結用嵌合部17Rは嵌合方向が逆向きなのであるが、電線カバー30は、第1連結用嵌合部17Fと嵌合可能な第1組付用嵌合部40Fを備えるカバー本体31と、第2連結用嵌合部17Rと嵌合可能な第2組付用嵌合部40Rを備える補助部材32との2部品で構成している。したがって、2つの連結用嵌合部17F,17Rの嵌合方向が逆向きであっても、この2つの連結用嵌合部17F,17Rに組付用嵌合部40F,40Rを嵌合させて、コネクタ構成体10に電線カバー30を組み付けることが可能となっている。
【0031】
また、コネクタ構成体10は、フード部15を有する第1のハウジング11と、フード部15の内部に嵌合される第2のハウジング12とを備えて構成され、電線カバー30は、第2のハウジング12の背面から導出された電線16を転向させるように配されている。ここで、電線16が導出される第2のハウジング12はフード部15内に収容されるため、この第2のハウジング12に連結用嵌合部を設けようとすると、第2のハウジング12を大型化してフード部15から突出する部分を形成し、その突出部分に連結用嵌合部を配置することになる。その点、本実施形態では、第2のハウジング12を収容するフード部15に、連結用嵌合部17F,17Rを配置しているので、第2のハウジング12の大型化を回避することができる。
【0032】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、電線カバーを、カバー本体と補助部材との2部材によって構成したが、電線カバーは、単一部品からなるものであってもよく、3つ以上の部材を組み付けて構成されるものであってもよい。
(2)上記実施形態では、第2のハウジング用の電線カバーの組付用嵌合部を、第1のハウジングの連結用嵌合部のみに嵌合させたが、第2のハウジング用の電線カバーの組付用嵌合部は、第2のハウジングに形成した連結用嵌合部のみに嵌合してもよく、第1のハウジングの連結用嵌合部と第2のハウジングに形成した連結用嵌合部の両方に嵌合してもよい。
(3)上記実施形態では、電線カバーが、フード部内に嵌合される第2のハウジングから導出される電線を転向させる場合について説明したが、本発明は、電線カバーが、フード部を有する第1のハウジングから導出される電線を転向させる場合にも適用できる。この場合、電線カバーの組付用嵌合部は、第1のハウジングに形成した連結用嵌合部に嵌合させてもよく、第2のハウジングに形成した連結用嵌合部に嵌合させてもよく、第1のハウジングに形成した連結用嵌合部と第2のハウジングに形成した連結用嵌合部の両方に嵌合させてもよい。
(4)上記実施形態では、第1のハウジングに形成されている第1と第2の2つの連結用嵌合部は、嵌合方向が互いに逆向きとなっているが、2つの連結用嵌合部は、嵌合方向が互いに同じ向きであってもよい。
(5)上記実施形態では、連結用嵌合部を介してコネクタ構成体に連結される他部材を、同形態のコネクタ構成体としたが、本発明は、他部材がコネクタ構成体以外の部材(例えば、一括ゴム栓を取り付け状態に保持するゴム栓ホルダや、ハウジングの前面壁を構成するフロントマスクや、車体等)である場合にも適用できる。
(6)上記実施形態では、コネクタ構成体を構成する2つのハウジングの両方から電線が導出されるようになっているが、本発明は、一方のハウジングからは電線が導出されるが、他方のハウジングはジョイントターミナルを備えていて電線を導出させないハウジングである場合にも適用できる。
(7)上記実施形態では、コネクタ構成体が第1と第2の2つのハウジングによって構成されているが、本発明は、コネクタ構成体を構成するハウジングの数が1つである場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0033】
10…コネクタ構成体(他部材)
11…第1のハウジング
12…第2のハウジング
15…フード部
16…電線
17F…第1連結用嵌合部
17R…第2連結用嵌合部
30…電線カバー
31…カバー本体
32…補助部材
34…収容空間
40F…第1組付用嵌合部
40R…第2組付用嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのハウジングを備えて構成されるコネクタ構成体と、
前記コネクタ構成体に設けられ、そのコネクタ構成体を他部材との連結状態に保つための連結用嵌合部と、
前記コネクタ構成体から導出される電線と、
前記コネクタ構成体に組み付けられることで、前記電線を収容して転向させる電線カバーと、
前記電線カバーに設けられ、前記連結用嵌合部と嵌合することで前記電線カバーと前記コネクタ構成体とを組付け状態に保持する組付用嵌合部とを備えていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記コネクタ構成体は、嵌合方向が互いに逆向きとされている第1と第2の2つの前記連結用嵌合部を有し、前記第1連結用嵌合部を別の前記コネクタ構成体の前記第2連結用嵌合部に嵌合させることで、前記別のコネクタ構成体に連結されるようになっており、
前記電線カバーを構成し、前記電線を収容して転向させるための収容空間と、前記第1連結用嵌合部と嵌合可能な前記組付用嵌合部とが設けられたカバー本体と、
前記カバー本体に組み付けられることで前記電線カバーを構成し、前記第2連結用嵌合部と嵌合可能な前記組付用嵌合部が設けられた補助部材とを備えていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記コネクタ構成体が、フード部を有する第1の前記ハウジングと、前記フード部の内部に嵌合される第2の前記ハウジングとを備えて構成され、
前記電線カバーは、前記第2のハウジングの背面から導出された前記電線を転向させるように配され、
前記連結用嵌合部が、前記フード部の外面に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−69593(P2013−69593A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208292(P2011−208292)
【出願日】平成23年9月24日(2011.9.24)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】