説明

コピーガード信号検出装置および画像表示装置

【課題】適切にコピーガード信号を検出することができるコピーガード信号検出装置および画像表示装置を提供すること。
【解決手段】入力する画像情報に含まれるコピーガード信号を検出するコピーガード信号検出装置33は、画像情報の水平同期周波数および垂直同期周波数を検出する同期信号検出手段331,332と、画像情報に含まれる垂直同期信号の信号間に入力する水平同期信号のパルス数を計数する計数手段334と、検出された水平同期周波数を垂直同期周波数で除算した値よりパルス数の値が大きいと、画像情報にコピーガード信号が含まれていると判定する信号判定手段335とを備える。これによれば、本来のライン数と、コピーガード信号が含まれた場合にライン数より増加するパルス数とを常時比較することにより、確実かつ適切にコピーガード信号の有無を判定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力する画像情報に含まれるコピーガード信号を検出するコピーガード信号検出装置、および、当該コピーガード信号検出装置を備える画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビデオテープやDVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に記録された映像コンテンツや、CD(Compact Disc)等の記録媒体に記録された音声コンテンツの不法複製を防止するコピーガードと言われる処理が知られている。このようなコピーガードは映像コンテンツに使用されるコピーガードだけでも数種類存在し、映像信号が、アナログ信号であるか、デジタル信号であるかによっても施す処理が異なる。このうち、アナログ映像信号に施すコピーガードとして、ビデオ信号の垂直ブランキング期間に擬似水平同期信号(コピーガード信号)を挿入する方式が知られており、また、このような擬似水平同期信号を検出して、コピーガード処理が施されているか否かを検出する検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の検出装置は、入力するビデオ信号を監視して、当該ビデオ信号の垂直ブランキング期間の擬似水平同期信号の数を計数し、また、垂直ブランキング期間以外の映像部区間の同期信号の数を計数する。そして、これらの計数結果から、入力するビデオ信号がコピーガードされた信号であるか否かを判定する。このようにして、コピーガードが施されているか否かを判別することができる。そして、コピーガードが施されていると判別された場合に、コースト信号を発生させ、PLL(Phase Locked Loop)が擬似水平同期信号に反応しないようにすることで、ビデオ信号に応じた画像が擬似水平同期信号の影響を受けて乱れないようにすることができる。
【0004】
【特許文献1】特開平5−191772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コピーガード信号として擬似水平同期信号を挿入するコピーガードの場合、当該信号は動的に変化するため、垂直ブランキング期間の同期信号を監視してもコピーガードが施されているか否かを適切に判別することができないという問題がある。このため、擬似水平同期信号が挿入されていない時に、コースト信号を発生させてしまうと、本来の水平同期信号に同期することができなくなってしまうため、歪み等の画像の乱れが生じるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、適切にコピーガード信号を検出することできるコピーガード信号検出装置、および、このコピーガード信号検出装置を備えた画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するために、本発明のコピーガード信号検出装置は、入力する画像情報に含まれるコピーガード信号を検出するコピーガード信号検出装置であって、前記画像情報の水平同期周波数および垂直同期周波数を検出する同期信号検出手段と、前記画像情報に含まれる垂直同期信号の信号間に入力する水平同期信号のパルス数を計数する計数手段と、検出された前記水平同期周波数を前記垂直同期周波数で除算した値より、前記パルス数の値が大きいと、前記画像情報にコピーガード信号が含まれていると判定する信号判定手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、垂直ブランキング期間に限らず、コピーガード信号を適切に検出することができる。
すなわち、同期信号検出手段により、入力した画像情報に含まれる水平同期信号の信号周波数、および、垂直同期信号の信号周波数が検出され、計数手段により、垂直同期信号間の水平同期信号のパルス数が計数される。そして、信号判定手段が水平同期周波数を垂直同期周波数で除算することにより、画像情報の本来のライン数を算出し、このライン数と、計数手段により計数されたパルス数とを比較する。そして、パルス数の値の方が大きければ、信号判定手段は、入力した画像情報にコピーガード信号が含まれると判定する。
これによれば、垂直ブランキング期間に限らず、入力する画像情報の略全ての期間で、コピーガード信号の検出を行うことができる。従って、入力する画像情報のコピーガード信号の有無を適切に検出することができる。
【0009】
本発明では、前記同期信号検出手段で検出された前記垂直同期信号に基づいて、前記計数手段および前記信号判定手段の動作規制を行う動作規制手段を備えることが好ましい。
本発明によれば、同期信号検出手段で検出された垂直同期信号により、動作規制手段が計数手段および信号判定手段の動作を規制することにより、コピーガード信号の検出を行う必要がない場合に、コピーガード信号検出装置における処理の負担を軽減することができる。
【0010】
本発明では、前記動作規制部は、検出された前記垂直同期周波数が50〜60Hz以外であると、前記計数手段および前記信号判定手段の動作規制を行うことが好ましい。
ここで、入力する画像情報がビデオ信号である場合は、垂直同期周波数が50〜60Hzであり、ビデオ信号に含まれる画像情報に応じた画像を形成表示する場合には、当該ビデオ信号にコピーガード信号が含まれているか否かを判定する必要がある。
本発明によれば、動作規制部は、検出された前記垂直同期周波数が50〜60Hz以外であると、計数手段および信号判定手段の動作を規制し、50〜60Hzであると、計数手段および信号判定手段の動作を規制せず、これらの手段による処理を実行させる。これによれば、コピーガード信号が確実に含まれていない画像情報については、計数手段および信号判定手段による動作を規制することにより、コピーガード信号検出装置における処理を軽減することができる。また、ビデオ信号を再生する場合のようにコピーガード信号が含まれているか否かを検出する必要がある場合には、確実に当該コピーガード信号の検出動作を行うことができる。従って、コピーガード信号検出装置におけるコピーガード信号検出動作・処理を適切に行うことができる。
【0011】
また、本発明の画像表示装置は、入力する画像情報に応じた画像を表示する画像表示手段と、装置全体を制御する制御手段とを備えた画像表示装置であって、前記制御手段は、前述のコピーガード信号検出装置と、前記画像情報に含まれる水平同期信号に同期して、前記画像情報に基づく画像の画素に応じた周波数のクロック信号を出力するクロック信号発生手段と、前記クロック信号に基づいて、前記画像情報をデジタル変換する信号形式変換手段と、前記コピーガード信号検出装置により前記画像情報に前記コピーガード信号が含まれていると判定されると、当該コピーガード信号が検出されている間、前記クロック信号発生手段に、前記水平同期信号との同期を規制させるマスク信号を生成出力するマスク信号発生手段とを備え、前記クロック信号発生手段は、前記マスク信号発生手段から前記マスク信号が入力すると、当該マスク信号が入力している間、前記水平同期信号との同期を規制する同期規制部を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、前述のコピーガード信号検出装置と同様の効果を奏することができるほか、以下の効果を奏することができる。
コピーガード信号検出装置により、入力する画像情報にコピーガード信号が含まれると判定された場合、当該コピーガード信号が検出されている間、マスク信号発生手段によりマスク信号が出力される。このマスク信号がクロック信号発生手段に入力すると、当該クロック信号発生手段では、同期規制部により、画像情報に含まれる水平同期信号と同期して当該画像情報に基づく画像の画素に応じた周波数のクロック信号の生成が規制される。これによれば、入力する画像情報にコピーガード信号が含まれている場合に、当該コピーガード信号が重畳された水平同期信号との同期が規制され、規制されるまで生成されていた周波数のクロック信号が信号形式変換手段に出力される。このため、コピーガード信号が重畳された水平同期信号を無視することにより、画像が乱れることを防ぐことができる。従って、コピーガード信号が含まれた画像情報に基づく画像形成を適切に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)画像表示装置1の全体構成
図1は本実施形態の画像表示装置1の構成を示すブロック図である。
本実施形態の画像表示装置1は、入力する画像情報、特にビデオ信号に基づく画像を形成表示するものである。この画像表示装置1は、図1に示すように、画像を表示する画像表示部2と、当該画像表示部2を含む装置全体を制御する制御基板3とを備えて構成されている。
このうち、画像表示部2は、本発明の画像表示手段に相当し、液晶パネル等を備えて構成されている。この画像表示部2の液晶パネルは、後述する制御基板3の液晶駆動制御部によって駆動が制御され、当該液晶駆動制御部から入力する制御信号および画像信号に応じた画像を形成表示する。
【0014】
(2)制御基板3の構成
制御基板3は、本発明の制御手段に相当し、CPU(Central Processing Unit)等を備えた回路基板として構成されている。この制御基板3は、前述のように装置全体の駆動を制御するとともに、入力する画像情報を処理する。
この制御基板3は、主制御部31と、信号分離部32と、コピーガード信号検出部33と、コースト信号発生部34と、クロック信号発生部35と、A/D変換部36と、映像信号処理部37と、液晶駆動制御部38とを備えて構成されている。
このうち、主制御部31は、図示しないリモコンおよび操作スイッチからの操作信号を処理し、制御基板3を構成する各機能部32〜38に制御信号を出力して、当該各機能部32〜38の動作を制御する。
【0015】
信号分離部32は、外部から入力するビデオ信号から、水平同期信号と垂直同期信号を分離する。これら分離した水平同期信号は、コピーガード信号検出部33およびクロック信号発生部35に出力される。また、分離した垂直同期信号は、コピーガード信号検出部33に出力される。
【0016】
コピーガード信号検出部33は、本発明のコピーガード信号検出装置に相当し、画像表示装置1に入力し、信号分離部32で分離された水平同期信号および垂直同期信号のうち、コピーガード信号と呼ばれる水平同期信号に重畳された信号の有無を常時判定し、当該信号が検出された場合に、後述するコースト信号発生部34に、コピーガード信号が検出された旨の制御信号を出力するものである。
このコピーガード信号検出部33は、水平周波数検出部331と、垂直周波数検出部332と、ライン数算出部333と、水平同期信号計数部334と、信号判定部335と、動作規制部336とを機能的に備えている。
【0017】
図2は、信号分離部32で分離した水平同期信号Hおよび垂直同期信号Vを示す波形図である。なお、図2においては、コピーガード信号Cを分かりやすくするために、当該コピーガード信号Cを1つの水平同期信号Hの略中央に大きく記載している。
水平周波数検出部331および垂直周波数検出部332は、本発明の同期信号検出部に相当し、信号分離部32で分離した水平同期信号H(図2参照)および垂直同期信号V(図2参照)の信号周波数をそれぞれ検出する。
このうち、水平周波数検出部331は、コピーガード信号Cが水平同期信号Hに重畳されている場合、画像表示装置1に入力した画像情報本来の水平同期信号Hの周波数を検出できないため、コピーガード信号Cが含まれていない安定した位置で水平同期信号Hの周波数を検出する。このような位置として、本実施形態では、1画像の垂直方向の略中央に対応する位置を採用している。
また、垂直周波数検出部332は、検出した垂直同期信号Vの周波数を、動作規制部336に出力する。
【0018】
ライン数算出部333は、水平周波数検出部331および垂直周波数検出部332で検出された水平同期信号Hの周波数および垂直同期信号Vの周波数から、入力した画像情報に応じた画像のライン数を算出する。具体的に、ライン数算出部333は、水平同期信号Hの周波数を垂直同期信号Vの周波数で除算して得た値をライン数としている。このようにして算出されたライン数は、信号判定部335に出力される。
【0019】
水平同期信号計数部334は、本発明の計数手段に相当し、垂直同期信号V間の水平同期信号Hのパルス数を計数する。具体的に、水平同期信号計数部334は、図2に示すように、1つの垂直同期信号Vの期間(図2においてTで示す期間)の間に、コピーガード信号Cを含む水平同期信号Hのパルス数を計数する。従って、この水平同期信号計数部334で計数された値は、コピーガード信号Cが含まれない場合は、水平同期信号Hの期間Tのパルス数となり、コピーガード信号Cが含まれる場合には、水平同期信号Hおよびコピーガード信号Cの期間Tのパルス数となる。このようにして算出されたパルス数は、信号判定部335に出力される。
【0020】
信号判定部335は、ライン数算出部333から入力するライン数と、水平同期信号計数部334から入力するパルス数とを比較して、画像表示装置1に入力した画像情報にコピーガード信号が含まれているか否かを判定する。ここで、入力する画像情報にコピーガード信号が含まれている場合には、ライン数の値よりもパルス数の値の方が大きくなるため、信号判定部335は、ライン数よりパルス数の方が大きい場合に、コピーガード信号が含まれている旨の制御信号をコースト信号発生部34に出力する。すなわち、信号判定部335は、ライン数算出部333とにより、本発明の信号判定手段を構成する。
【0021】
動作規制部336は、本発明の動作規制手段に相当し、垂直同期信号Vの周波数に応じて、ライン数算出部333、水平同期信号計数部334および信号判定部335の動作を規制する。具体的に、動作規制部336は、垂直周波数検出部332により検出された垂直同期信号Vの周波数が、ビデオ信号の周波数である50〜60Hzである場合は、ライン数算出部333、水平同期信号計数部334および信号判定部335の動作を規制せず、当該周波数が、50〜60Hz以外である場合は、これらの動作を規制する。
これにより、入力する画像情報がビデオ信号である場合にコピーガード信号の検出を行うこととなるので、コピーガード信号の検出が必要な場合に、当該信号の検出動作を確実に行うことができる。また、PC(Personal Computer)等から入力しコピーガード信号が含まれない画像情報については、コピーガード信号の検出動作を行わないようにすることにより、コピーガード信号検出部33における処理負荷を軽減することができる。
【0022】
コースト信号発生部34は、本発明のマスク信号発生手段に相当し、コピーガード信号検出部33の信号判定部335から、画像情報にコピーガード信号が含まれている旨の制御信号が入力した場合に、コースト信号を生成させる。そして、発生させたコースト信号は、図1に示すように、クロック信号発生部35に出力される。すなわち、コースト信号は、垂直同期信号の前後数水平同期信号の期間においては、垂直同期信号の影響を除くために常に生成出力され、画像情報にコピーガード信号が含まれていると判定された場合には、コピーガード信号重畳期間においても生成出力される。
なお、コースト信号は、本発明のマスク信号に相当し、本実施形態では、クロック信号発生部35に対して、水平同期信号Hを無視して、当該コースト信号が入力する直前の周波数のクロック信号を生成出力させる信号とされている。
【0023】
クロック信号発生部35は、本発明のクロック信号発生手段に相当し、PLL等を備えて構成されている。このクロック信号発生部35は、信号分離部32から入力する水平同期信号に基づいて、画像の解像度に応じて、当該画像の1ラインのピクセル(画素)数に応じた周波数のクロック信号を生成する。このようにして生成されたクロック信号は、A/D変換部36に出力される。
このクロック信号発生部35は、同期規制部351を備え、コースト信号発生部34からコースト信号が入力している間は、当該同期規制部351により、信号分離部32から入力する水平同期信号に基づくクロック信号の生成が規制される。すなわち、コースト信号が入力している間は、クロック信号発生部35は、信号分離部32から入力する水平同期信号を参照せずにクロック信号を生成する。これにより、クロック信号発生部35が、コピーガード信号を含む水平同期信号に基づいてクロック信号を生成することを防ぐことができ、後述するA/D変換部36を介して、映像信号処理部37、液晶駆動制御部38および画像表示部2により、乱れの無い適切な画像を形成することができる。
【0024】
A/D変換部36は、本発明の信号形式変換手段に相当し、クロック信号発生部35から入力するクロック信号に応じて、画像表示装置1に入力する画像情報の映像信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。このデジタル変換された映像信号は、映像信号処理部37に出力される。
映像信号処理部37は、主制御部31の制御下で、A/D変換部36から入力する映像信号を処理する。例えば、映像信号処理部37は、1画像のスケール調整や、色補正等を行う。また、必要に応じてOSD(On Screen Display)メニューの映像信号を生成する。このようにして処理された映像信号は、液晶駆動制御部38に出力される。
液晶駆動制御部38は、映像信号処理部37から入力する映像信号に応じて画像表示部2の液晶パネルを駆動して、当該映像信号に基づく画像を表示する。
【0025】
(3)デジタル変換処理S
以下に、画像表示装置1におけるデジタル変換処理Sを説明する。
図3は、画像表示装置1におけるデジタル変換処理Sの処理フローを示す図である。
デジタル変換処理Sでは、図3に示すように、まず、信号分離部32が、外部から入力する画像情報に含まれる水平同期信号Hおよび垂直同期信号Vを分離する。そして、信号分離部32は、コピーガード信号検出部33およびクロック信号発生部35に分離した水平同期信号Hを出力し、コピーガード信号検出部33に垂直同期信号Vを出力する(処理S01)。
【0026】
コピーガード信号検出部33は、以下の処理S11〜S16を順に繰り返し実行する。
すなわち、コピーガード信号検出部33は、信号分離部32から水平同期信号Hおよび垂直同期信号Vが入力すると、水平周波数検出部331および垂直周波数検出部332により、それぞれの信号周波数を検出する(処理S11)。このうち、水平周波数検出部331は、検出した水平同期信号Hの周波数をライン数算出部333に出力し、また、垂直周波数検出部332は、検出した垂直同期信号Vの周波数をライン数算出部333および動作規制部336に出力する。そして、動作規制部336は、入力した垂直同期信号Vの周波数を判定する(処理S12)。
ここで、動作規制部336が、入力した垂直同期信号Vの周波数が50〜60Hz以外であると判定した場合、当該動作規制部336は、ライン数算出部333、水平同期信号計数部334および信号判定部335に制御信号を出力して、各機能部333〜335の動作を規制し、コピーガード信号検出部33は、処理S11に戻る。
【0027】
一方、動作規制部336が、入力した垂直同期信号Vの周波数が50〜60Hzであると判定した場合、当該動作規制部336は動作規制を行わないため、ライン数算出部333は、入力した水平同期信号Hの周波数および垂直同期信号Vの周波数からライン数を算出する(処理S13)。
この処理S13と並行して、水平同期信号計数部334は、信号分離部32から入力した水平同期信号Hおよび垂直同期信号Vから、当該垂直同期信号V間の水平同期信号Hのパルス数を計数する(処理S14)。
これら算出されたライン数および計数されたパルス数は、それぞれライン数算出部333および水平同期信号計数部334から、信号判定部335に出力される。
【0028】
これら処理S13,S14の後、信号判定部335は、入力したライン数およびパルス数をそれぞれ比較する(処理S15)。ここで、信号判定部335が、ライン数がパルス数以上であると判定した場合、画像表示装置1に入力した画像情報にコピーガード信号は含まれていないと見做して、コピーガード信号検出部33は、処理S11に戻る。
また、信号判定部335が、ライン数がパルス数より小さいと判定した場合、画像表示装置1に入力した画像情報にコピーガード信号が含まれていると見做して、コースト信号発生部34に、コピーガード信号が検出された旨を示す制御信号を出力する(処理S16)。
【0029】
また、コースト信号発生部34は、以下の処理S21,S22を常時実行している。
すなわち、コースト信号発生部34は、コピーガード信号検出部33から制御信号が入力したか否かを判定している(処理S21)。そして、コースト信号発生部34は、コピーガード信号検出部33から制御信号の入力が検出された場合、当該制御信号が入力している間、コースト信号を生成する。そして、コースト信号発生部34は、生成したコースト信号をクロック信号発生部35に出力する(処理S22)。
【0030】
また、クロック信号発生部35は、以下の処理S31〜S33を常時実行している。
すなわち、クロック信号発生部35は、処理S01により、信号分離部32から水平同期信号Hが入力している状態で、コースト信号発生部34からコースト信号が入力したか否かを判定する(処理S31)。
ここで、コースト信号の入力を検出しなかった場合、クロック信号発生部35は、処理S33に移行する。
一方、コースト信号の入力を検出した場合、クロック信号発生部35は、当該クロック信号発生部35の同期規制部351により、信号分離部32から入力する水平同期信号Hに基づく、当該水平同期信号Hに同期したクロック信号の生成が規制される。すなわち、水平同期信号Hにコースト信号がかけられることにより、コピーガード信号を含む水平同期信号Hが無視される(処理S32)。
【0031】
この後、処理S33で、クロック信号発生部35は、クロック信号を生成し、当該クロック信号をA/D変換部36に出力する(処理S33)。この際、クロック信号発生部35は、処理S31でコースト信号の入力が検出されていない場合には、信号分離部32から入力する水平同期信号Hに基づいて、当該水平同期信号Hに同期したクロック信号を生成する。また、クロック信号発生部35は、処理S31でコースト信号の入力が検出され、処理S32における規制がなされた場合では、当該コースト信号の入力が検出されている期間だけ、水平同期信号Hを無視して当該コースト信号の入力される直前の周波数でクロック信号の生成を行う。すなわち、コースト信号が入力している期間は、水平同期信号Hとの比較・同期を行わないで、コースト信号が入力する直前の周波数を保ったままでクロック信号生成を行う。
また、A/D変換部36は、クロック信号発生部35から入力するクロック信号に基づいて、画像表示装置1に入力する画像情報の映像信号をデジタル変換し、当該映像信号を映像信号処理部37に出力する(処理S41)。
【0032】
以上のような本実施形態の画像表示装置1および当該画像表示装置1で実行されるデジタル変換処理Sによれば、以下の効果を奏することができる。
画像表示装置1に入力した画像情報の水平同期信号Hおよび垂直同期信号Vの各周波数を、コピーガード信号検出部33の水平周波数検出部331および垂直周波数検出部332が処理S11で検出し、これら周波数から、ライン数算出部333が処理S13で画像のライン数を算出する。
一方、水平同期信号計数部334が処理S14で、垂直同期信号V間の水平同期信号Hのパルス数を計数し、信号判定部335が、処理S15でライン数とパルス数とを比較する。そして、ライン数よりパルス数が大きければ、入力した画像情報にコピーガード信号が含まれると判定する。これら処理S11,S13〜S15は、垂直同期信号の周波数が50〜60Hzであれば、常に実行される。
これによれば、コピーガード信号が含まれる場合にライン数より大きくなるパルス数の値を監視することにより、コピーガード信号を適切かつ確実に検出することができる。
【0033】
コピーガード信号検出部33がコピーガード信号を検出した場合に、信号判定部335は、処理S16でコースト信号発生部34に制御信号を出力し、コースト信号発生部34は、処理S22で当該制御信号が入力している期間、コースト信号を生成出力する。
また、クロック信号発生部35の同期規制部351は、コースト信号が入力した場合、信号分離部32から入力する水平同期信号Hにコースト信号をかけて、当該コースト信号が入力している間の水平同期信号Hに同期したクロック信号の生成を規制する。
これにより、A/D変換部36により、映像信号のデジタル変換の際に、画像の水平方向の同期が取れなくなることを抑えることができる。従って、映像信号のデジタル変換を適切に行うことができ、形成画像が乱れることを抑制することができる。
【0034】
(4)実施形態の変形
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、入力する画像情報に含まれる垂直同期信号Vの周波数が50〜60Hz以外の場合、コピーガード信号検出部33の動作規制部336により、ライン数算出部333、水平同期信号計数部334および信号判定部335の動作を規制するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、他の周波数帯の垂直同期信号が入力した場合に、動作規制部336は各機能部333〜335の動作を規制するとしてもよい。
なお、50〜60Hzの垂直同期信号が入力した場合に動作規制部336による規制を行わず、50〜60Hz以外の垂直同期信号が入力した場合に規制を行うとすれば、ビデオ信号の再生時のようにコピーガード信号の検出処理が必要な場合に、当該処理を確実に実行できるとともに、必要でない場合に処理の軽減を図ることができる。
【0035】
前記実施形態では、コピーガード信号検出部33は、制御基板3を構成する機能部として説明したが、素子および回路等を組み合わせたハードとして構成してもよく、また、CPU等で実行処理されるソフトウェアの機能として実装してもよい。
【0036】
前記実施形態では、画像表示装置として、液晶パネルを有する画像表示部を備えた画像表示装置1を採用したが、本発明はこれに限らない。すなわち、本発明における画像表示装置は、リアプロジェクション型ディスプレイ、プラズマディスプレイおよびCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイでもよい。また、リアプロジェクション型ディスプレイの場合は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調装置としては、液晶パネル以外に、マイクロミラーを用いたデバイス等を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、コピーガード信号を検出するコピーガード信号検出装置、および、これを備えた画像表示装置に利用できる他、特に入力するビデオ信号を再生する画像表示装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図。
【図2】前記実施形態における水平同期信号および垂直同期信号を示す波形図。
【図3】前記実施形態におけるデジタル変換処理の処理フローを示す図。
【符号の説明】
【0039】
1…画像表示装置、2…画像表示部(画像表示手段)、3…制御基板(制御手段)、33…コピーガード信号検出部(コピーガード信号検出装置)、34…コースト信号発生部(マスク信号発生手段)、35…クロック信号発生部(クロック信号発生手段)、36…A/D変換部(信号形式変換手段)、331…水平周波数検出部(同期信号検出手段)、332…垂直周波数検出部(同期信号検出手段)、333…ライン数算出部(信号判定手段)、334…水平同期信号計数部(パルス計数手段)、335…信号判定部(信号判定手段)、336…動作規制部(動作規制手段)、351…同期規制部、C…コピーガード信号、H…水平同期信号、V…垂直同期信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力する画像情報に含まれるコピーガード信号を検出するコピーガード信号検出装置であって、
前記画像情報の水平同期周波数および垂直同期周波数を検出する同期信号検出手段と、
前記画像情報に含まれる垂直同期信号の信号間に入力する水平同期信号のパルス数を計数する計数手段と、
検出された前記水平同期周波数を前記垂直同期周波数で除算した値より、前記パルス数の値が大きいと、前記画像情報にコピーガード信号が含まれていると判定する信号判定手段とを備えることを特徴とするコピーガード信号検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコピーガード信号検出装置において、
前記同期信号検出手段で検出された前記垂直同期信号に基づいて、前記計数手段および前記信号判定手段の動作規制を行う動作規制手段を備えることを特徴とするコピーガード信号検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載のコピーガード信号検出装置において、
前記動作規制部は、検出された前記垂直同期周波数が50〜60Hz以外であると、前記計数手段および前記信号判定手段の動作規制を行うことを特徴とするコピーガード信号検出装置。
【請求項4】
入力する画像情報に応じた画像を表示する画像表示手段と、装置全体を制御する制御手段とを備えた画像表示装置であって、
前記制御手段は、
請求項1から請求項3のいずれかに記載のコピーガード信号検出装置と、
前記画像情報に含まれる水平同期信号に同期して、前記画像情報に基づく画像の画素に応じた周波数のクロック信号を出力するクロック信号発生手段と、
前記クロック信号に基づいて、前記画像情報をデジタル変換する信号形式変換手段と、
前記コピーガード信号検出装置により前記画像情報に前記コピーガード信号が含まれていると判定されると、当該コピーガード信号が検出されている間、前記クロック信号発生手段に、前記水平同期信号との同期を規制させるマスク信号を生成出力するマスク信号発生手段とを備え、
前記クロック信号発生手段は、前記マスク信号発生手段から前記マスク信号が入力すると、当該マスク信号が入力している間、前記水平同期信号との同期を規制する同期規制部を備えることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−13619(P2007−13619A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−192138(P2005−192138)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】