説明

コピー防止シート

【課題】コピー防止効果に優れ、かつ、原本の視認性に優れたコピー防止シートを提供する。
【解決手段】本発明のコピー防止シート10は、表示部21に貼り付けられた状態において最も外側に配される第1のフィルム11と、第1のフィルム11の一方の面11Aに重ねられた金属薄膜層13と、金属薄膜層13に部分的に形成された第1の粘着剤層14Aと、第1のフィルム11の金属薄膜層13側の面11Aまたは金属薄膜層13の第1の粘着剤層14A側の面13Aに形成されたホログラム12と、第1の粘着剤層14Aを形成した層14に重ねられた第2のフィルム16と、第2のフィルム16に重ねられた第2の粘着剤層17と、を備える。第2のフィルム16または第2の粘着剤層17において、可視光の透過率を50%以上80%以下とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピー防止シートに関する。
【背景技術】
【0002】
印影や個人情報などの機密情報をコピー機により複写するのを防止するために、当該機密情報が表示される表示部に貼り付けられるコピー防止シールが提案されている(例えば特許文献1を参照)。特許文献1に記載のコピー防止シールは、フィルムに所定の画像を有するホログラム、金属薄膜層および接着層を順に重ねた構成のものであり、接着層は金属薄膜層の一方の面の全域に形成されている。
【0003】
ホログラムが設けられているシールを情報が記載された書類に貼り付け、当該書類をコピー機により複写すると、複写物においては当該書類(原本)のホログラムの画像に対応する部分に白抜け状態が生じる。これにより、コピーしたものであることが判明するとともに、原本に記載された情報がそのまま再現されるのを困難なものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−259013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のコピー防止シールを用いた場合、白抜け状態の部分が十分に生じず、ホログラムを設けたことによる十分なコピー防止効果が得られなかった。
【0006】
コピー防止効果を高める方法として、特許文献1に記載のコピー防止シールと同様の構成のものにおいて、金属薄膜層の金属含有量を増やす方法を検討したが、この方法では、コピー防止シールが貼り付けられている書類(原本)の視認性が低下してしまうという問題があった。
【0007】
また、ホログラムを、書類に貼り付けた際に最も外側に配される面に形成したものでは、優れたコピー防止効果が得られるが、溶剤などで表面をふきとることによりホログラム層が容易に剥がされてしまうため、ホログラム層によるコピー防止効果が得られなくなってしまい、偽造が容易になってしまう。
【0008】
さらに、フィルム層と金属薄膜層とをこの順に積層し、金属薄膜層のフィルム層とは反対側の面にホログラムを形成し、ホログラム形成面の全域に書類に貼り付けるための粘着剤を塗布したもの(構成1のコピー防止シートとする)についても検討したが、コピー防止効果が十分ではなかった。
【0009】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、コピー防止効果に優れ、かつ、原本の視認性に優れたコピー防止シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の構成1のコピー防止シートにおいて、コピー防止効果が十分でなかった理由の詳細は不明であるが以下のように考えられる。
一般的なホログラムはホログラム形成面にエンボス加工などを施すことにより、凹凸状に形成される。構成1のコピー防止シートでは、ホログラムを構成する凹凸形状のところに、粘着剤が入り込むことにより光の屈折が起こり難くなり、ホログラム形成による白抜け効果が十分に得られなかったのではないかと考えられる。また、上記構成のものでは全面に接着層が形成されており、空気の層がないために光の屈折が起こり難いのも一因ではないかと考えられる。
【0011】
そこで、構成1のコピー防止シートにおいて、粘着剤をホログラム形成面に部分的に塗布して部分的に粘着剤層を形成したもの(構成2のコピー防止シートとする)について検討をおこなった。構成2のコピー防止シートを貼り付けた書類(原本)をコピー機により複写すると、得られた複写物において、白抜け状態のところが十分に生じるものの、白抜け状態のところ以外の部分では、原本に記載された情報を読み取り可能な部分が生じてしまう。つまり、構成2のコピー防止シートでは、粘着剤層を全域に形成した構成1のシートよりはコピー防止効果は向上したが、まだ十分とはいえなかった。
【0012】
上記課題を解決すべく、更なる検討を行った結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、特定の情報が表示される表示部に貼り付けられて前記表示部のコピーを防止するコピー防止シートであって、前記表示部に貼り付けられた状態において最も外側に配される第1のフィルムと、金属を含み前記第1のフィルムの一方の面に重ねられた金属薄膜層と、前記金属薄膜層の前記第1のフィルムとは反対側の面に部分的に形成された第1の粘着剤層と、前記第1のフィルムの前記金属薄膜層側の面または前記金属薄膜層の前記第1の粘着剤層側の面に形成されたホログラムと、前記第1の粘着剤層が形成された層に重ねられた第2のフィルムと、前記第2のフィルムの前記第1の粘着剤層側の面とは反対側の面に重ねられた第2の粘着剤層と、を備え、前記第2のフィルムまたは前記第2の粘着剤層において、可視光の透過率を50%以上80%以下としたところに特徴を有する。
【0013】
本発明のコピー防止シートを書類(原本)に貼り付けてコピー機により複写する。コピー機では情報を読みとる際に、複写対象となる用紙が光を照射して、反射した光の明るさを読みとって再現する。本発明のコピー防止シートにはホログラムが形成されているので、ホログラフィーの原理により、複写物には白抜け状態のところが生じる。
【0014】
本発明のコピー防止シートにおいては、第1の粘着剤層が部分的に設けられているので、第1のフィルムと金属薄膜層との間の層(第1の粘着剤層が形成された層)には、第1の粘着剤層と空気の層とが形成されている。なお、ホログラムが形成されている面に第1の粘着剤層が設けられている場合でも、第1の粘着剤層は部分的に設けられているので、ホログラムを構成する凹凸部分の全てに粘着剤が入り込むということはない。その結果、本発明によれば、白抜け状態のところが十分に生じる。
【0015】
さらに、本発明においては、第2のフィルムまたは第2の粘着剤層において、可視光の透過率を50%以上80%以下としたので、原本の視認性を良好に保ちつつ、複写物において白抜け状態のところ以外の部分が黒ずむ。その結果、本発明によれば、原本の視認性が優れ、かつ、コピー防止効果に優れたコピー防止シートを提供することができる。
本発明において、可視光の透過率は、分光測色計(コニカミノルタ製、CM−3500d)により測定される可視光(波長:400nm〜800nm)の透過率の値である。
【0016】
本発明は、以下の構成であってもよい。
前記表示部に貼り付ける状態としたコピー防止シートの可視光の透過率が50%以上80%以下であってもよい。このような構成とすると、原本の視認性とコピー防止効果を確実に高めることができる。
【0017】
前記第2のフィルムは、透明フィルムに印刷を施して得られる着色フィルム、または有色のフィルムであってもよい。このような構成とすると、可視光の透過率を50%以上80%以下(本発明で規定する範囲)に制御した第2のフィルムを提供することが容易となる。
【0018】
着色フィルムおよび有色フィルムの構成は以下の構成とすると、第2のフィルムにおいて可視光の透過率を本発明で規定する範囲に制御することが、さらに容易となるので好ましい。
【0019】
着色フィルムは、分光測色計によるL値が50〜60でa値が0〜2.0でb値が0〜2.0の黒色系のインキ、L値が50〜60でa値が47〜49でb値が−7.0〜−5.0の赤色系のインキ、L値が60〜70でa値が3.0〜5.0でb値が25〜27の黄色系のインキ、およびL値が55〜65でa値が−22〜−20でb値が−35〜−33の青色系のインキから選ばれるインキを、前記透明フィルムの少なくとも一方の面に印刷して得られる構成とするのが好ましい。
本発明において、L値、a値、b値とは、分光測色計(コニカミノルタ製、CM−3500d)により測定された値である。
【0020】
有色のフィルムは、分光測色計によるL値が50〜60でa値が0〜2.0でb値が0〜2.0の黒色系のフィルム、L値が50〜60でa値が47〜49でb値が−7.0〜−5.0の赤色系のフィルム、L値が60〜70でa値が3.0〜5.0でb値が25〜27の黄色系のフィルム、およびL値が55〜65でa値が−22〜−20でb値が−35〜−33の青色系のフィルムから選ばれる構成とするのが好ましい。
【0021】
第2の粘着剤層は、分光測色計によるL値が50〜60でa値が0〜2.0でb値が0〜2.0の黒色系の粘着剤、L値が50〜60でa値が47〜49でb値が−7.0〜−5.0の赤色系の粘着剤、L値が60〜70でa値が3.0〜5.0でb値が25〜27の黄色系の粘着剤、およびL値が55〜65でa値が−22〜−20でb値が−35〜−33の青色系の粘着剤から選ばれる粘着剤により形成されるものであると、第2の粘着剤層の光透過率を本発明で規定する範囲に制御することが容易となり好ましい。
【0022】
前記ホログラムは、前記第1のフィルムの一方の面にエンボス加工を施すことにより形成され、このホログラムに金属を蒸着することにより前記金属薄膜層が積層されていてもよい。
ホログラムが形成されている面に粘着剤層が形成されている場合、ホログラムを構成する凹凸部分に粘着剤が入り込むことがあり、このような場合には光の屈折が起こり難くなってコピー防止効果が低下することが懸念される。そこで、上記のような構成とすると、ホログラムと第1の粘着剤層との間には金属薄膜層が存在し、粘着剤がエンボス加工により形成された凸凹部分に直接入り込むことがないので上記のような問題が生じない。
【0023】
前記金属薄膜層は、酸化アルミを蒸着してなる透明な金属蒸着層であってもよい。このような構成とすると、原本の視認性に優れるので好ましい
【0024】
前記第2の粘着剤層の、前記第2のフィルムとは反対側の面に剥離シートを設けてもよい。第2の粘着剤層が剥き出しのものでは、ごみなどの付着などによる粘着性の低下が懸念されるが、このような構成とすると、ごみなどの付着を防止することができるので、粘着性の低下が起こり難い。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、コピー防止効果に優れ、かつ、原本の視認性に優れたコピー防止シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態1のコピー防止シートの平面図
【図2】コピー防止シートの断面図
【図3】コピー防止シートを貼り付けた書類(原本)の平面図
【図4】図3の原本をコピー機により複写して得られた複写物の平面図
【図5】実施形態2のコピー防止シートの平面図
【図6】コピー防止シートの断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図4によって説明する。
本実施形態のコピー防止シート10は、図1に示すように、矩形状をなしており、図2に示すように多層の構造をなしている。本実施形態のコピー防止シート10は、図2の上側から、第1のフィルム11、金属を含む金属薄膜層13、第1の粘着剤層14Aが形成された層14、第2のフィルム16、第2の粘着剤層17、および剥離シート18がこの順に積層された構造のものである。
【0028】
第1のフィルム11は書類20の特定の情報が表示される部分21(表示部21に相当)に貼り付けられた状態においては、最も外側に配される。第1のフィルム11としては、ポリエチレン製フィルムやポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムなどのプラスチックフィルムが好ましく、その厚みは適宜設定することが可能であるが、38μm〜100μm程度が好ましい。第1のフィルム11としては透明あるいは透明に近いものが好ましい。
【0029】
第1のフィルム11の下側面11Aにはエンボス加工を施すことにより、ホログラム12が形成されている。ホログラム12は正面視においては、図1に示すような多数の三角形が描かれた模様状をなしている。第1のフィルム11のホログラム形成面11Aの断面形状は、図2に示すように、凹凸状をなしている。
【0030】
第1のフィルム11の下側面11Aには金属薄膜層13が積層されている。金属薄膜層13はアルミニウムなどの金属単体、もしくは合金、硫化亜鉛などの金属硫化物、金属窒化物、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物などを蒸着(真空蒸着、スパッタリング法、イオンプレーティング法)するか、あるいはメッキ法を施すことにより形成することができる。金属薄膜層13を形成する材料としては、原本20の視認性に優れるという点で酸化アルミが好ましい。
【0031】
金属薄膜層13と第2のフィルム16との間には第1の粘着剤層14Aが形成されている。詳しくは、金属薄膜層13の下側面13A(第1のフィルム11とは反対側の面13A)には、図2に示すように、第1の粘着剤層14Aと空気の層15とが交互に設けられている。第1の粘着剤層14Aは、例えば、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂などを主成分とする透明な粘着剤を用いて、印刷などの塗布方法により形成することができる。
【0032】
さて、第1の粘着剤層14Aが形成されている層14の下側には、第2のフィルム16が積層されている。本実施形態では、第2のフィルム16として可視光(波長:400nm〜800nm)の透過率が、50%以上80%以下のものを用いる。第2のフィルム16として可視光の透過率が50%以上80%以下のものを用いることにより、原本20の視認性とコピー防止効果をともに優れたものとすることができるからである。
第2のフィルム16の可視光の透過率が50%未満では原本20に貼り付けた際の視認性が悪く、透過率が80%を超えるものでは十分なコピー防止効果が得られなくなる。
本実施形態において、可視光の透過率とは、分光測色計(コニカミノルタ製、CM−3500d)により測定される可視光(波長:400nm〜800nm)の透過率の値である。
【0033】
本実施形態においては、第2のフィルム16として、プラスチック製の透明フィルム16Aの一方の面に印刷処理を施して得られる着色フィルムを用いる。図2において第1のフィルム11を構成する2つの層16A,16Bのうち、下側の層16Aは透明フィルム16Aであり上側の層16Bは当該透明フィルム16Aに印刷処理を施すことにより形成された着色層16Bである。
【0034】
透明フィルム16Aとしては、ポリエチレン製フィルムやポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムなどのプラスチック製のフィルムを用いることができる。透明フィルム16Aの厚みは適宜設定することが可能であるが、10μm〜30μm程度が好ましい。
【0035】
透明フィルム16Aに印刷処理を施す方法としては、網点印刷、ベタ印刷などの方法が挙げられる。ここで、網点印刷を行う場合には印刷処理を施す面の全面積に対する印刷面積(インキがのっている面積)の割合が50%〜70%であるのが好ましい。このような割合とすることにより第2のフィルム16の光透過率を上述した範囲に制御することが容易となる。
【0036】
透明フィルム16Aの印刷処理に用いるインキとしては、分光測色計によるL値が50〜60でa値が0〜2.0でb値が0〜2.0の黒色系のインキ、L値が50〜60でa値が47〜49でb値が−7.0〜−5.0の赤色系のインキ、L値が60〜70でa値が3.0〜5.0でb値が25〜27の黄色系のインキ、およびL値が55〜65でa値が−22〜−20でb値が−35〜−33の青色系のインキから選ばれるインキを用いるのが好ましい。これらのインキを用いると第2のフィルム16の可視光の透過率を上述した範囲に制御することが容易となる。
本実施形態において、L値、a値、b値とは、分光測色計(コニカミノルタ製、CM−3500d)により測定された値である。
【0037】
第2のフィルム16の下側面16C(第1の粘着剤層14A側の面とは反対側の面16C)には、第2の粘着剤層17が積層されている。第2の粘着剤層17を形成するための粘着剤としては第1の粘着剤層14Aを形成する粘着剤と同様のものを用いることができる。
第2の粘着剤層17の下側には、シリコーンなどの離型性の樹脂の塗布により形成された離型剤処理面を少なくとも一方の面(本実施形態では上側の面)に有する剥離シート18が積層されている。
【0038】
本実施形態においては、剥離シート18を除去した状態のコピー防止シート(表示部21に貼り付ける状態としたコピー防止シートに相当、すなわち、第1のフィルム11、金属を含む金属薄膜層13、第1の粘着剤層14Aが形成された層14、第2のフィルム16、および第2の粘着剤層17が積層した積層体19)の可視光の透過率が40%以上70%以下である。
【0039】
上記積層体19の可視光の透過率を40%以上70%以下に設定する方法としては、金属薄膜層13、第1の粘着剤層14Aおよび第2の粘着剤層17を形成する材料、ならびに第1のフィルム11の材料として透明なものあるいは透明に近いものを用い、かつ、第2のフィルム16として可視光の透過率が50%以上80%以下のものを用いる方法が挙げられる。
【0040】
本実施形態のコピー防止シート10は、例えば以下の方法により製造される。
まず、第1のフィルム11の一方の面11A(図2における下側の面11A)に、公知の方法によりエンボス加工を施してホログラム12を形成する。
次に、第1のフィルム11のホログラム形成面11Aに、光反射性の透明な(あるいは透明に近い)金属薄膜層13を形成する。金属薄膜層13はアルミニウムなどの金属単体、もしくは合金、硫化亜鉛などの金属硫化物、金属窒化物、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの金属酸化物などを蒸着(真空蒸着、スパッタリング法、イオンプレーティング法)するか、あるいはメッキ法を施すことにより形成することができる。
【0041】
次に、金属薄膜層13の面のうち、第1のフィルム11とは反対側の面13A(図2における下側の面13A)に印刷などの塗布方法により第1の粘着剤層14Aを部分的に形成する。第1の粘着剤層14Aはホログラム12の模様に対応して形成してもよいし、独自の模様を有するように形成してもよい。第1の粘着剤層14Aの形成面積の割合は、金属薄膜層13の下側面13Aの面積に対して約30〜60%程度であるのが好ましい。
【0042】
第1の粘着剤層14Aを形成した後に、第2のフィルム16を貼り付ける。次いで、第2のフィルム16の下側の面16Cに、粘着剤を塗布することにより第2の粘着剤層17を形成する。さらに、第2の粘着剤層17の下側に離型剤処理面を上側に向けた剥離シート18を貼り付けて、所定のサイズ(例えばA4)に切断することにより、本実施形態のコピー防止シート10が得られる。
【0043】
次に、本実施形態のコピー防止シート10の使用方法について説明する。
本実施形態のコピー防止シート10をそのままの状態、あるいは所望の大きさに切断した後、剥離シート18を除去する。ここで、本実施形態のコピー防止シート10には、剥離シート18が設けられているので、使用するまで、ごみなどの付着を防止することができ、粘着性の低下が起こり難い。
【0044】
剥離シート18を除去したコピー防止シート10を、図3に示すように、情報が記載された書類20(原本20)のうち、コピーを防止したい部分21(「特定の情報が記載された表示部21」に相当)に貼り付ける。本実施形態のコピー防止シート10では可視光の透過率が50%以上の第2のフィルム16を備えるので、コピー防止シート10の貼り付けられている部分21の情報は目視により読みとることができる。
【0045】
次に、コピー防止シート10を貼り付けた原本20をコピー機(図示せず)を用いて複写する。
本実施形態のコピー防止シート10にはホログラム12が形成されているので、ホログラフィーの原理により、複写物30にはホログラム12の模様に対応して白抜け状態のところ31が生じる(図4を参照)。
【0046】
特に、本実施形態のコピー防止シート10では、第1の粘着剤層14Aと空気の層15とが交互に形成されており、ホログラム12と第1の粘着剤層14Aとの間に金属薄膜層13が存在するため、第1の粘着剤層14Aの粘着剤がホログラム12を構成する凸凹部分に直接入りこむことがない。
【0047】
その結果、本実施形態のコピー防止シート10を貼り付けた原本20の複写物30においては、図4に示すように白抜け状態のところ31(白抜け部分31)が十分に生じる。
さらに、本実施形態では可視光の透過率が80%以下の第2のフィルム16を備えるので、複写物30の白抜け部分以外のところ32が原本20よりも黒ずむため、原本20のコピーを防止したい部分21に記載されていた情報がほとんど読み取れなくなる。
【0048】
次に、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態においては、第2のフィルム16の光透過率は50%以上80%以下であるので、原本20の視認性に優れ、複写物30において白抜け部分以外のところ32が原本20よりも黒ずむ。また、本実施形態においては、第2の粘着剤層17が部分的に設けられているから、複写物30において白抜け状態のところ31が十分に生じる。その結果、本発明によれば、原本20の視認性に優れ、かつ、コピー防止効果に優れたコピー防止シート10を提供することができる。
特に本実施形態では、表示部21に貼り付ける状態としたコピー防止シートの可視光の透過率を、40%以上70%以下としたので、原本20の視認性およびコピー防止効果を確実に向上させることができる。
【0049】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図5および図6によって説明する。以下の説明において、実施形態1と同様の構成、作用効果について重複する記載は省略する。
本実施形態では、ホログラム12の模様および第2のフィルム160が実施形態1とは相違する。本実施形態のコピー防止シート10に形成されたホログラム12は、実施形態1よりも細かいドット状の模様である(図5を参照)。
【0050】
本実施形態のコピー防止シート10に用いられる第2のフィルム160は、ポリエチレン製またはPET製の色のついたフィルム(有色のフィルム160)である。有色のフィルム160としては、分光測色計によるL値が50〜60でa値が0〜2.0でb値が0〜2.0の黒色系のフィルム、L値が50〜60でa値が47〜49でb値が−7.0〜−5.0の赤色系のフィルム、L値が60〜70でa値が3.0〜5.0でb値が25〜27の黄色系のフィルム、およびL値が55〜65でa値が−22〜−20でb値が−35〜−33の青色系のフィルムから選ばれるものが好ましい。このような有色のフィルム160を用いることにより、容易に第2のフィルム160の可視光の透過率を50%以上80%以下に制御することができる。
その他の構成は概ね実施形態1と同様である。
【0051】
本実施形態によれば、実施形態1と同様に、原本20の視認性に優れ、かつ、コピー防止効果に優れたコピー防止シート10を提供することができる。
特に、本実施形態では第2のフィルム160として有色のフィルム160を用いるので印刷処理工程が不要である。その結果、本実施形態によれば、製造コストを低減することが可能である。
さらに、本実施形態によれば、ホログラム12の模様が細かいドット状の模様なので、細かい字などで記載された事項のコピーを防止するのに特に有効である。
【0052】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、可視光の透過率が50%以上80%以下の第2のフィルムを備えるものを示したが、第2のフィルムとして透明あるいは透明に近いフィルム(可視光の透過率が80%よりも高いもの)を備え、第2の粘着剤層として可視光の透過率が50%以上80%以下の粘着剤層を備えるものを用いてもよい。この場合、第2の粘着剤層を、分光測色計によるL値が50〜60でa値が0〜2.0でb値が0〜2.0の黒色系の粘着剤、L値が50〜60でa値が47〜49でb値が−7.0〜−5.0の赤色系の粘着剤、L値が60〜70でa値が3.0〜5.0でb値が25〜27の黄色系の粘着剤、およびL値が55〜65でa値が−22〜−20でb値が−35〜−33の青色系の粘着剤から選ばれる粘着剤により形成すると、容易に第2の粘着剤層の可視光の透過率を50%以上80%以下に制御することができるので好ましい。
(2)上記実施形態1では、予め作製した第2のフィルムを第1の粘着剤層に貼り付けたが、第1の粘着剤層に透明フィルムを貼り付けてから、透明フィルムに印刷処理を施してもよい。
(3)上記実施形態では、第1のフィルムの一方の面にエンボス加工を施すことにより形成されたホログラムを備えるものを示したが、例えば、フィルムの下側の面に金属薄膜層を積層してから、金属薄膜層の下側の面にエンボス加工を施すことにより形成されたホログラムを備えるものであってもよい。
(4)上記実施形態では、三角形が多数描かれたものやドットが多数描かれたホログラムを示したが、ホログラムの模様は、亀甲柄や格子状のものなどであってもよい。
(5)上記実施形態では、剥離シートを備えるものを示したが、剥離シートを備えないものであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
10…コピー防止シート
11…第1のフィルム
11A…第1のフィルムの一方の面(第1のフィルムの金属薄膜層側の面)
12…ホログラム
13…金属薄膜層
13A…金属薄膜層の第1のフィルムとは反対側の面(金属薄膜層の第1の粘着剤層側の面)
14…第1の粘着剤層が形成された層
14A…第1の粘着剤層
16…第2のフィルム
16A…透明フィルム
16B…着色層
16C…(第2のフィルムの)第1の粘着剤層側の面とは反対側の面
17…第2の粘着剤層
17A…(第2の粘着剤層の)第2のフィルムとは反対側の面
18…剥離シート
19…積層体(表示部に貼り付ける状態としたコピー防止シート)
20…書類(原本)
21…表示部
160…第2のフィルム(有色のフィルム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の情報が表示される表示部に貼り付けられて前記表示部のコピーを防止するコピー防止シートであって、
前記表示部に貼り付けられた状態において最も外側に配される第1のフィルムと、金属を含み前記第1のフィルムの一方の面に重ねられた金属薄膜層と、前記金属薄膜層の前記第1のフィルムとは反対側の面に部分的に形成された第1の粘着剤層と、前記第1のフィルムの前記金属薄膜層側の面または前記金属薄膜層の前記第1の粘着剤層側の面に形成されたホログラムと、前記第1の粘着剤層が形成された層に重ねられた第2のフィルムと、前記第2のフィルムの前記第1の粘着剤層側の面とは反対側の面に重ねられた第2の粘着剤層と、を備え、
前記第2のフィルムまたは前記第2の粘着剤層において、可視光の透過率を50%以上80%以下としたことを特徴とするコピー防止シート。
【請求項2】
前記表示部に貼り付けられる状態としたコピー防止シートの可視光の透過率が50%以上80%以下であることを特徴とする請求項1に記載のコピー防止シート。
【請求項3】
前記第2のフィルムは、透明フィルムに印刷を施して得られる着色フィルム、または有色のフィルムであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコピー防止シート。
【請求項4】
前記着色フィルムは、分光測色計によるL値が50〜60でa値が0〜2.0でb値が0〜2.0の黒色系のインキ、L値が50〜60でa値が47〜49でb値が−7.0〜−5.0の赤色系のインキ、L値が60〜70でa値が3.0〜5.0でb値が25〜27の黄色系のインキ、およびL値が55〜65でa値が−22〜−20でb値が−35〜−33の青色系のインキから選ばれるインキを、前記透明フィルムの少なくとも一方の面に印刷して得られることを特徴とする請求項3に記載のコピー防止シート。
【請求項5】
前記有色のフィルムは、分光測色計によるL値が50〜60でa値が0〜2.0でb値が0〜2.0の黒色系のフィルム、L値が50〜60でa値が47〜49でb値が−7.0〜−5.0の赤色系のフィルム、L値が60〜70でa値が3.0〜5.0でb値が25〜27の黄色系のフィルム、およびL値が55〜65でa値が−22〜−20でb値が−35〜−33の青色系のフィルムから選ばれることを特徴とする請求項3に記載のコピー防止シート。
【請求項6】
前記第2の粘着剤層は、分光測色計によるL値が50〜60でa値が0〜2.0でb値が0〜2.0の黒色系の粘着剤、L値が50〜60でa値が47〜49でb値が−7.0〜−5.0の赤色系の粘着剤、L値が60〜70でa値が3.0〜5.0でb値が25〜27の黄色系の粘着剤、およびL値が55〜65でa値が−22〜−20でb値が−35〜−33の青色系の粘着剤から選ばれる粘着剤により形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のコピー防止シート。
【請求項7】
前記ホログラムは、前記第1のフィルムの一方の面にエンボス加工を施すことにより形成され、このホログラムに金属を蒸着することにより前記金属薄膜層が積層されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のコピー防止シート。
【請求項8】
前記金属薄膜層は、酸化アルミを蒸着してなる透明な金属蒸着層であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のコピー防止シート。
【請求項9】
前記第2の粘着剤層の、前記第2のフィルムとは反対側の面に剥離シートを設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のコピー防止シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−107404(P2011−107404A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262125(P2009−262125)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(501244200)株式会社KALBAS (48)
【Fターム(参考)】