コラムホールカバー
【課題】ステアリング装置におけるシャフト部材周りの車体への装着作業を簡易かつ効率的に行ない得るようにする。
【解決手段】コラムホールカバーCH1は、コラムホールに装着されるカバー本体30と、このカバー本体30に設けられて、ステアリング装置SUの中間シャフト20が挿通される挿通部52とを備える。カバー本体30は、中間シャフト20の周方向の回転を許容する前記挿通部52と別に、該挿通部52に挿通した該中間シャフト20へ係脱可能で、該中間シャフト20に係合したもとで該カバー本体30の軸方向への移動を規制するシャフト係合部60を備える。シャフト係合部60は、一端が開放すると共に中間シャフト20の外形より狭小に形成されたスリット部64と、スリット部64の他端に連通して設けられ、弾性変形したもとで中間シャフト20を挟持する挟持部62とを備える。
【解決手段】コラムホールカバーCH1は、コラムホールに装着されるカバー本体30と、このカバー本体30に設けられて、ステアリング装置SUの中間シャフト20が挿通される挿通部52とを備える。カバー本体30は、中間シャフト20の周方向の回転を許容する前記挿通部52と別に、該挿通部52に挿通した該中間シャフト20へ係脱可能で、該中間シャフト20に係合したもとで該カバー本体30の軸方向への移動を規制するシャフト係合部60を備える。シャフト係合部60は、一端が開放すると共に中間シャフト20の外形より狭小に形成されたスリット部64と、スリット部64の他端に連通して設けられ、弾性変形したもとで中間シャフト20を挟持する挟持部62とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の乗員室の前側を仕切る仕切壁に形成されたコラムホールに装着されるカバー本体と、このカバー本体に設けられ、前記仕切壁の前側に配設されるギアボックスと乗員室に配設されるステアリングホイールとを接続するシャフト部材が挿通される挿通部を備えたコラムホールカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体Mに装備されたステアリング装置SUは、例えば図11および図12に示すように、運転者が操作可能なステアリングホイール10と、左右の前輪Tを連結してステアリングギアボックス14に連係されたタイロッド12と、ステアリングホイール10に固定されたステアリングシャフト18とステアリングギアボックス14に配設された連結シャフト16とをユニバーサルジョイント22,22で連結する中間シャフト20とを備えている。すなわちステアリングホイール10は、乗員室100内における運転席の前側に回転可能に配設され、タイロッド12およびステアリングギアボックス14は、車体Mにおける乗員室100の前方に位置する乗員室前部(フロントエンジン車の場合はエンジン室)102内に配設されている。そして、車体Mにおける乗員室100と乗員室前部102とを前後に仕切る仕切壁104にはコラムホール106が形成されており、前述した中間シャフト20は、該コラムホール106を介して仕切壁104を貫通した状態で配設されている。
【0003】
前述したコラムホール106には、乗員室100に対する防塵および防水を図るため、該乗員室100と乗員室前部102とを遮断すると共に中間シャフト20が挿通するコラムホールカバーHCが装着されている。このコラムホールカバーHCは、ステアリング装置SUを車体Mに装着するに先立ってコラムホール106へ装着する先装着タイプ(図11参照)と、ステアリング装置SUの車体Mへの装着と同時にコラムホール106へ装着する同時装着タイプ(図12参照)とがある。先装着タイプのコラムホールカバーHC(HC10とする)を採用した場合のステアリング装置SUの車体Mへの装着作業は、先ず図13(a)に示すように、コラムホール106に対してコラムホールカバーHC10を装着する。次いで、図13(b)に示すように、コラムホールカバーHC10に形成した挿通孔26に対して中間シャフト20を乗員室100側から挿通させ、挿通した該中間シャフト20の先端をステアリングギアボックス14の連結シャフト16に連結する。
【0004】
また、同時装着タイプのコラムホールカバーHC(HC20とする)を採用した場合のステアリング装置SUの車体Mへの装着作業は、先ず図14(a)に示すように、ステアリングギアボックス14にコラムホールカバーHC20を装着すると共に該連結シャフト16に中間シャフト20を連結したもとで、中間シャフト20をコラムホール106に対して乗員室前部102側から挿通させる。次いで、図14(b)に示すように、中間シャフト20とステアリングシャフト18とを連結すると共にステアリングギアボックス14を車体Mに固定し、更にコラムホールカバーHC20をコラムホール106へ装着する。なお、同時装着タイプのコラムホールカバーHC20は、図12に示したように、予めステアリングギアボックス14に装着するものであるから、ステアリングギアボックス14からコラムホール106まで延在する比較的大型のものになっている。このようなコラムホールカバーに関しては、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−22324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述した先装着タイプのコラムホールカバーHC10および同時装着タイプのコラムホールカバーHC20は、何れのタイプも固有の問題を内在している。すなわち、先装着タイプは、コラムホール106に装着した該コラムホールカバーHCの挿通孔26に中間シャフト20を挿通するに際し、該中間シャフト20が適切な姿勢、位置に位置決めされていないと、中間シャフト20の端部でコラムホールカバーHC10を破損させたり、該コラムホールカバーHC10をコラムホール106から脱落させるおそれがあり、車体Mに対するステアリング装置SUの装着作業を簡易に行なうことができない問題がある。しかも、図11に示すミニバン等のセミボンネットタイプの自動車AMは、仕切壁104の高い位置にコラムホール106が設けられるので、ステアリングホイール10を連結した中間シャフト20を高い位置まで持ち上げる必要があり、コラムホール106に装着したコラムホールカバーHC10に対する中間シャフト20の位置決めが一段と難しく、ステアリング装置SUの装着作業性が低下する。
【0007】
一方、同時装着タイプは、挿通孔26において当該コラムホールカバーHC20を固定できないため、前述したようにステアリングギアボックス14に固定する形態とすると、該コラムホールカバーHC20が大型になるため製造コストが嵩む問題がある。また、コラムホールカバーHC20は変形するとコラムホール106と整合し難くなるので、変形した該コラムホールカバーHC20の形状を矯正しながらコラムホール106に対して装着することになり、該コラムホールカバーHC20の装着作業に時間を要して車体Mに対するステアリング装置SUの装着作業を簡易かつ効率的に行なうことができない問題がある。更に、乗員室前部102内におけるコラムホールカバーHC20の占有スペースが大きくなり、エンジンおよび補器類の配設に支障を来たす問題もある。特に、図12に示すセミボンネットタイプの自動車に同時装着タイプのコラムホールカバーHC20を採用する場合には、ステアリングギアボックス14とコラムホール106との距離が大きいため、該コラムホールカバーHC20が長尺で大型になって前述した各問題がより一層顕著に現れる。
【0008】
従って本発明では、ステアリング装置におけるシャフト部材周りの車体への装着作業を簡易かつ効率的に行ない得るようにしたコラムホールカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、
自動車の乗員室の前側を仕切る仕切壁に形成されたコラムホールに装着されるカバー本体と、このカバー本体に設けられ、前記仕切壁の前側に配設されるギアボックスと乗員室に配設されるステアリングホイールとを接続するシャフト部材が挿通される挿通部を備えたコラムホールカバーにおいて、
前記カバー本体には、挿通した前記シャフト部材の周方向の回転を許容する前記挿通部と別に、該挿通部に挿通した該シャフト部材へ係脱可能で、該シャフト部材に係合したもとで該カバー本体の軸方向への移動を規制するシャフト係合部が設けられることを特徴とする。
【0010】
従って、請求項1に係る発明によれば、挿通部に挿通したシャフト部材に対し、シャフト係合部を利用してコラムホールカバーを仮固定することができる。すなわち、シャフト部材にコラムホールカバーを仮固定した状態でステアリング装置を車体に装着することができ、コラムホールカバーが装着されていないコラムホールへシャフト部材を挿通させることになり、該ステアリング装置の装着作業を簡易に行なうことができる。しかも、シャフト部材をコラムホールへ挿通させる際には、シャフト部材に対するコラムホールカバーの軸方向への移動が規制されているので、コラムホールに対するコラムホールカバーの装着作業を簡易化できる。また、シャフト係合部が挿通部とは別に形成されているので、該シャフト係合部をシャフト部材に係合しても挿通部の機能(シャフト部材の周方向の回転を許容する機能)が阻害されない。
【0011】
請求項2に記載の発明は、
前記シャフト係合部は、
一端が開放すると共に前記シャフト部材の外形より狭小に形成され、弾性変形したもとでシャフト部材を開放端から挿脱可能なスリット部と、
前記スリット部の他端に連通して設けられると共に前記シャフト部材の外形より狭小に形成されて、弾性変形したもとでシャフト部材を挟持して該シャフト部材に対する軸方向の移動を規制する挟持部とを備えることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、シャフト部材をスリット部を介して挟持部へ簡単に挿入し得ると共に、該挟持部が弾性変形することでシャフト部材が挟持され、シャフト部材に対してカバー本体を適切に仮固定できる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、
前記カバー本体は、内側に前記挿通部が姿勢変位可能に設けられた筒状部と、この筒体部に前記挿通部と前記シャフト部材の挿通方向で並べて設けられたカバー部とを備え、
前記カバー部は、前記挿通部に形成されたシャフト挿通孔より大径の開口が、該シャフト挿通孔と前記シャフトの挿通方向で並べて開設されていると共に、この開口に連通して前記シャフト係合部が設けられていることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、シャフト部材をコラムホールへ挿通させた該シャフト部材の挿通状態では、カバー部が該シャフト部材から離間して接触しないので、シャフト部材が回転することによるステアリング装置の作動をカバー本体で阻害することがない。そして、シャフト部材に装着したカバー本体を該シャフト部材に対して姿勢変位させると、カバー部に設けたシャフト係合部を該シャフト部材に対して係脱させ得る。
【0013】
請求項4に記載の発明は、
前記カバー本体は、内側に前記挿通部が設けられた筒状部と、この筒体部から延出して弾性変形可能な係合片部とを備え、
前記係合片部に、該係合片部の端部に連通して前記シャフト係合部が設けられたことを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、装着部のシャフト挿通孔に挿通させたシャフト部材に対して、係合片部の変形によりシャフト係合部を係合させると、該係合片部を介してカバー本体がシャフト部材に仮固定される。そして、カバー本体をコラムホールへ装着した状態では、係合片部のシャフト係合部をシャフト部材から離脱させることで、シャフト部材が回転することによるステアリング装置の作動を該係合片部で阻害することがない。
【0014】
請求項5に記載の発明は、
前記シャフト係合部の挟持部は、前記スリット部の開口幅より幅広に形成された開口であることを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、シャフト部材をシャフト係合部へ押し込むと、挟持部の僅かな弾性変形により該シャフト部材が周囲から挟持される。また、挟持部で挟持されているシャフト部材は、スリット部から離脱し難くなって該挟持部に適切に保持される。
【0015】
請求項6に記載の発明は、
前記シャフト係合部の挟持部は、前記スリット部の端部から該スリット部と同じ幅で延長して設けられたスリットからなることを要旨とする。
従って、請求項6に係る発明によれば、シャフト部材をシャフト係合部へ押し込むと、挟持部の弾性変形により該シャフト部材が両側から挟持される。また、シャフト係合部は、単なるスリットであるから、カッター等の工具を使用して後加工により形成することも可能である。
【0016】
請求項7に記載の発明は、
前記シャフト係合部の挟持部は、前記スリット部の他端から放射状に設けられた複数のスリットからなることを要旨とする。
従って、請求項7に係る発明によれば、シャフト部材をシャフト係合部へ押し込むと、挟持部が拡開的に弾性変形するので該シャフト部材が適切に挟持される。また、挟持部で挟持されているシャフト部材は、スリット部から離脱し難くなって該挟持部に適切に保持される。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るコラムホールカバーによれば、ステアリング装置のシャフト部材にコラムホールカバーを仮固定できるので、ステアリング装置におけるシャフト部材周りの車体への装着作業を簡易かつ効率的に行ない得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図2のI−I線断面図であって、第1実施例のコラムホールカバーを、シャフト係合部により中間シャフトに仮固定した状態を示している。
【図2】第1実施例のコラムホールカバーを、シャフト係合部により中間シャフトに仮固定した状態を示す正面図である。
【図3】図4のIII−III線断面図であって、第1実施例のコラムホールカバーを仕切壁のコラムホールに装着した状態を示している。
【図4】第1実施例のコラムホールカバーを仕切壁のコラムホールに装着した状態を示す正面図である。
【図5】(a)は、中間シャフトを、第1実施例のコラムホールカバーにおける挿通孔に挿通させる状態を示した説明断面図であり、(b)は、コラムホールカバーを姿勢変位させてシャフト係合部を中間シャフトに係合し、該コラムホールカバーを該中間シャフトに仮固定した状態を示す説明断面図である。
【図6】(a)は、第1実施例のコラムホールカバーを仮固定した中間シャフトを、仕切壁のコラムホールに挿通させる状態を示した説明断面図であり、(b)は、第1実施例のコラムホールカバーをコラムホールに装着した状態を示す説明断面図である。
【図7】図8のVII−VII線断面図であって、第2実施例のコラムホールカバーを、シャフト係合部により中間シャフトに仮固定した状態を示している。
【図8】第2実施例のコラムホールカバーのシャフト係合部を示す正面図である。
【図9】第3実施例のコラムホールカバーを、シャフト係合部により中間シャフトに仮固定した状態を示す説明断面図である。
【図10】シャフト係合部の別形態例を示す説明図である。
【図11】仕切壁のコラムホールに装着されてステアリング装置の中間シャフトが挿通された先装着タイプのコラムホールカバーを示した自動車の部分説明断面図である。
【図12】仕切壁のコラムホールに装着されてステアリング装置の中間シャフトが挿通された同時装着タイプのコラムホールカバーを示した自動車の部分説明断面図である。
【図13】図11に示す先装着タイプのコラムホールカバーを採用した場合の車体へのステアリング装置の装着工程を示す説明図であって、(a)は、仕切壁のコラムホールにコラムホールカバーを装着する状態を示し、(b)は、コラムホールに装着したコラムホールカバーに中間シャフトを挿通させて、ステアリング装置を装着する状態を示している。
【図14】図12に示す同時装着タイプのコラムホールカバーを採用した場合の車体へのステアリング装置の装着工程を示す説明図であって、(a)は、ステアリングギアボックスにコラムホールカバーを装着したもとで、コラムホールに中間シャフトを挿通させる状態を示し、(b)は、ステアリング装置を車体に装着すると共にコラムホールカバーをコラムホールに装着する状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係るコラムホールカバーにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例では、車体Mにおける仕切壁104のコラムホール106に装着した状態において、車体前後方向をコラムホールカバーの「前後方向」、車体左右方向をコラムホールカバーの「左右方向」、車体上下方向をコラムホールカバーの「上下方向」と指称する。なお、ステアリング装置SUは、図11および図12に例示したものと同一のものを示し、その詳細な説明は省略して同一符号で指示する。
【0020】
(第1実施例)
図1および図2等に示す第1実施例のコラムホールカバーHC1は、例えばEPDM、CR、シリコーンゴム、天然ゴム等のゴム素材や、TPE、TPV、TPO等の熱可塑性エラストマ樹脂素材からインジェクション成形された成形部材であり、弾力性および柔軟性を有して弾性変形が可能となっている。第1実施例のコラムホールカバーHC1は、車体Mの仕切壁104に形成したコラムホール106に対して、乗員室前部102側から装着することを前提として形成され、図1および図2に示すように、所定の立体形状に形成されたカバー本体30を備えている。このカバー本体30は、仕切壁104に形成したコラムホール106の開口形状に合わせた外縁輪郭形状に形成された平板部32と、この平板部32に一体的に形成された円筒部(筒状部)34と、この円筒部34の内側に配設されたシール部36とを有している。なお、第1実施例のコラムホールカバーHC1は、成形型によるインジェクション成形上の都合により、平板部32と円筒部34とが一体的に形成され、シール部36は平板部32および円筒部34と別部材として構成されている。
【0021】
平板部32の後外面32Aには、該平板部32から後方へ突出する鉤状の係止片部38が、該平板部32の外周縁に沿って環状に形成されている。また、平板部32の外周縁には、該平板部32の外方へ延出する庇状のシール片40が、前記係止片部38と前後方向で対向するように形成されている。そして、前後方向で対向する係止片部38とシール片40との間には、仕切壁104におけるコラムホール106の開口端106Aが嵌合する嵌合凹部42が形成されている。なお符号90は、コラムホールカバーHC1をコラムホール106に装着した際に、係止片部38の弾性変形を規制して該係止片部38とコラムホール106の開口端106Aとの嵌合を保持する固定部材である。
【0022】
円筒部34は、コラムホール106に対して略垂直に装着される平板部32に対し、所定の傾斜角度Rで前下方へ突出して形成されている。平板部32に対する円筒部34の傾斜角度Rは、図6に示すように、車体Mに装着したステアリング装置SUにおける中間シャフト(シャフト部材)20の仕切壁104に対する傾斜角度と同じになっている。すなわち、カバー本体30をコラムホール106に装着した状態では、車体Mに装着したステアリング装置SUの中間シャフト20の延在方向と円筒部34の軸心の延在方向とが一致するようになる。
【0023】
そして円筒部34は、平板部32と反対側に、該円筒部34の内側の前記シール部36に設けた後述の挿通部52に対して中間シャフト20の挿通方向に並べて設けられたカバー部44を備えている。このカバー部44は、前下方に向かうにつれて半径方向内方へ変位して中央に円形の開口46を有した円錐台状に形成されている。開口46は、挿通される前記中間シャフト20の外径d(シャフト挿通孔56の内径)より大径に形成される。また開口46は、中間シャフト20がコラムホール106に挿通して、カバー本体30が該コラムホール106へ装着された状態で、挿通部52のシャフト挿通孔56と中間シャフト20の挿通方向に並べて開設され、該カバー部44が該中間シャフト20の外面に接触しないようになっている。
【0024】
シール部36は、環状の外縁当接部50と、中間シャフト20のシャフト挿通孔56が形成された環状の挿通部52と、外縁当接部50と挿通部52との間に設けられた蛇腹状の変形部54とを備えている。外縁当接部50は、円筒部34の内壁に対して該円筒部34の周方向に密着して当接する形状、サイズに形成されており、圧入等により該円筒部34の内壁におけるカバー部44側へ固定される。挿通部52に設けたシャフト挿通孔56は、中間シャフト20の外径dと同一の内径寸法に形成され、挿通した該中間シャフト20の外周面に摺接するようになっており、該中間シャフト20の周方向の回転を許容する。変形部54は、薄肉の蛇腹状に形成されて複数の折曲部分を有しており、この折曲部分の角度が変化することで部分的な伸張変形および圧縮変形が可能となっている。従って挿通部52は、変形部54の伸張・圧縮変形により、外縁当接部50に対して径方向および軸方向へのスライド変位や、傾斜姿勢への傾動変位が可能となっている。
【0025】
そして、第1実施例のコラムホールカバーHC1は、図1〜図4に示すように、カバー本体30に、前記挿通部52と別に、該挿通部52のシャフト挿通孔56に挿通した中間シャフト部材20へ係脱可能で、該中間シャフト20に係合したもとで該カバー本体30の軸方向への移動を規制するシャフト係合部60が設けられている。これにより、コラムホール106へ装着前のカバー本体30を、中間シャフト20の長手方向の所要位置に、該中間シャフト20の軸方向への移動が規制された状態で仮固定し得るよう構成されている。第1実施例のコラムホールカバーHC1は、図1および図2に示すように、弾性変形が可能なカバー本体30における前記カバー部44にシャフト係合部60が設けられている。従って、第1実施例のコラムホールカバーHC1は、挿通部52のシャフト挿通孔56に挿通した中間シャフト20に対してシャフト係合部60を係合して挟持させることで、カバー本体30を該中間シャフト20に仮固定し得る。
【0026】
第1実施例のコラムホールカバーHC1では、図3および図4に示すように、挿通部52のシャフト挿通孔56に挿通する中間シャフト20の挿通ラインLに隣接する前記カバー部44において、平板部32から最も前側へ離間した部位に、シャフト係合部60が設けられている。従って、コラムホール106へ挿通した中間シャフト20の挿通状態では、カバー部44が中間シャフト20の挿通ラインLから退避するので、シャフト係合部60が中間シャフト20から離間して、中間シャフト20に対してシャフト係合部60が係合されない。また、平板部32の上端側を、該平板部32の下端側に対して前方(円筒部34の突出側)へ変位させると、カバー本体30が姿勢変位してカバー部44のシャフト係合部60が設けられた部分が挿通ラインLと交差するようになり、中間シャフト20に対してシャフト係合部60が係合するようになっている。
【0027】
そしてシャフト係合部60は、中間シャフト20の外形より狭小に形成されており、弾性変形したもとで該中間シャフト20を挟持し得るよう構成されている。すなわちシャフト係合部60は、図4に示すように、一端がカバー部44の端縁44Aに開放すると共に中間シャフト20の外径dより狭小に形成され、弾性変形したもとで該中間シャフト20を開放端から挿脱可能なスリット部64と、スリット部64の他端に連通して設けられると共に中間シャフト20の外径dより狭小に形成されて、弾性変形したもとで中間シャフト20を挟持して該中間シャフト20に対する軸方向の移動を規制する挟持部62とを備えている。すなわち、カバー部44が弾性変形可能に形成されているので、シャフト係合部60の挟持部62およびスリット部64の周辺部位が弾性変形可能であり、挟持部62をスリット部64を介して中間シャフト20に係脱可能となっている。
【0028】
次に、図5および図6を引用して、前述のように構成された第1実施例のコラムホールカバーHC1を、仕切壁104のコラムホール106に装着する方法について、ステアリング装置SUを車体Mに装着する工程と合わせて説明する。第1実施例のコラムホールカバーHC1は、車体Mに装着する前のステアリング装置SUにおける中間シャフト20に予め仮固定して、該ステアリング装置SUを車体Mに装着する際にコラムホール106に装着する所謂同時装着タイプである。
【0029】
先ず、車体Mへの装着前のステアリングギアボックス14の連結シャフト16に中間シャフト20を連結し(図5(a))、車体Mへの装着前の該中間シャフト20を、第1実施例のコラムホールカバーHC1における挿通部52のシャフト挿通孔56に挿通させる。そして、図5(b)に示すように、平板部32の上端側を下端側に対して前方へ変位させて、中間シャフト20に対してカバー本体30を姿勢変位させることで、中間シャフト20に対してシャフト係合部60を係合させる。これにより、シャフト係合部60が弾性変形して中間シャフト20を係合するので、コラムホールカバーHC1は、中間シャフト20の所要位置に軸方向の移動が規制された状態で仮固定される。
【0030】
次いで、図6に示すように、第1実施例のコラムホールカバーHC1が仮固定された中間シャフト20を、車体Mの乗員室前部102側から仕切壁104のコラムホール106へ挿通させる。そして、前記ステアリングギアボックス14を乗員室前部102の所定位置に位置決めすると、図6(a)に示すように、中間シャフト20に仮固定したコラムホールカバーHC1における平板部32の下端側がコラムホール106の開口端106Aにおける下端に整合し、係止片部38の下延在部分を該開口端106Aの下端に係止する。
【0031】
次いで、図6(b)に示すように、平板部32の上端側を下端側に対して後方(仕切壁104側)へ押して、カバー本体30を、中間シャフト20に対して姿勢変位させる。これにより、シャフト係合部60が中間シャフト20から離脱して、中間シャフト20に対するシャフト係合部60の係合が解除されると共に、係止片部38の全体がコラムホール106の開口端106Aに係止され、第1実施例のコラムホールカバーHC1が該コラムホール106に装着される。
【0032】
従って、第1実施例のコラムホールカバーHC1によれば、挿通部52のシャフト挿通孔56に挿通した中間シャフト20に対し、シャフト係合部60を利用して該中間シャフト20の軸方向の移動が規制された状態で仮固定することができる。これにより、中間シャフト20にコラムホールカバーHC1を仮固定した状態でステアリング装置SUを車体Mに装着することができ、コラムホールカバーHC1のシャフト挿通孔56より大きく開口したコラムホール106へ中間シャフト20を挿通させることになり、該中間シャフト20のコラムホール106への挿通を簡単に行なうことができる。しかも、中間シャフト20をコラムホール106に挿通させる際には、中間シャフト20に対するコラムホールカバーHC1の軸方向への移動が規制されているので、コラムホール106に対するコラムホールカバーHC1の装着作業を簡易化できる。また、シャフト係合部60が挿通部52とは別に形成されているので、該シャフト係合部60を中間シャフト20に係着しても挿通部52が変形せず、中間シャフト20の周方向の回転を許容するという該挿通部52の機能が阻害されない。
【0033】
そして、第1実施例のコラムホールカバーHC1は、中間シャフト20に装着したカバー本体30を全体的に姿勢変位させるだけで該中間シャフト20に対するシャフト係合部60の係脱を簡単に行ないことができ、該コラムホールカバーHC1を該中間シャフト20へ簡単に仮固定できる。また、第1実施例のコラムホールカバーHC1は、中間シャフト20をコラムホール106へ挿通させた状態で、カバー本体30を該コラムホール106へ装着した状態では、カバー本体30のカバー部44が該中間シャフト20から離間しており、中間シャフト20が回転することによるステアリング装置SUの作動を阻害することがない。
【0034】
また、シャフト係合部60は、中間シャフト20をスリット部64を介して挟持部62へ簡単に挿入し得ると共に、該挟持部62が弾性変形することで中間シャフト20が挟持され、中間シャフト20に対してカバー本体30を適切に仮固定できる。しかも、シャフト係合部60の挟持部62が、中間シャフト20の外径より狭小に形成された開口であるから、カバー部44の該挟持部62の周囲を大きく弾性変形させることなく該中間シャフト20を周囲から挟持し得る。また、挟持部62で挟持されている中間シャフト20は、スリット部64から離脱し難く、該挟持部62に適切に保持される。
【0035】
更に、第1実施例のコラムホールカバーHC1は、同時装着タイプであるが、ステアリングギアボックス14に固定されるものではないので、図12に例示した従来の同時装着タイプのコラムホールカバーHC20と比較するとサイズがかなり小さくなり、シャフト係合部60を設けても製造コストを抑えることができると共に、乗員室前部102内での占有スペースが小さくなるので該乗員室前部102内に配設されるエンジンや補器類の配設に支障を来たすことがない。
【0036】
(第2実施例)
図7は、第2実施例のコラムホールカバーHC2を、ステアリング装置SUの中間シャフト20に仮固定した状態で示す断面図である。第2実施例のコラムホールカバーHC2は、カバー本体30における平板部32および円筒部34の構成は、第1実施例のコラムホールカバーHC2と同じである。すなわち、第2実施例のコラムホールカバーHC2は、中間シャフト20に係脱可能なシャフト係合部70の配設態様が第1実施例と異なっている。従ってここでは、第1実施例と同一部分は同一の符号を付して詳細な説明を省略し、第1実施例と異なる部分についてのみ説明する。
【0037】
第2実施例のコラムホールカバーHC2は、カバー本体30に、該カバー本体30の外面から延出して弾性変形可能な舌片形態の係合片部48を有している。すなわち係合片部48は、カバー本体30における円筒部34において、平板部32から最も離間した外面から外方へ延出形成されている。そして係合片部48は、図8に示すように、該係合片部48自体が円筒部34に対してその厚み方向で弾性変形して、シャフト挿通孔56に挿通する中間シャフト20の挿通ラインLと交差する位置に先端側が到来する延出長さに設定されている。
【0038】
そして、第2実施例のコラムホールカバーHC2では、カバー本体30の一部をなす前記係合片部48における先端側に、中間シャフト20に離脱可能に係合するシャフト係合部70が設けられている。すなわち、中間シャフト20をコラムホール106へ挿通させた状態で、カバー本体30を該コラムホール106へ装着した状態において、係合片部48の弾性変形により、シャフト挿通孔56に挿通する中間シャフト20の挿通ラインLにシャフト係合部70が到来するように設定されている。これにより、第2実施例のコラムホールカバーHC2は、中間シャフト20にカバー本体30を装着した状態で係合片部48を変形させることで、カバー本体30の平板部32および円筒部34を姿勢変位することなく、中間シャフト20に対するシャフト係合部70の係着および離脱が可能となっている。
【0039】
第2実施例のコラムホールカバーHC2におけるシャフト係合部70は、第1実施例のシャフト係合部60と基本的形状が同じであり、中間シャフト20の外形より狭小に形成され、係合片部48が弾性変形可能となっていることで、中間シャフト20により押し広げられて該中間シャフト20に弾性的に係合するよう構成されている。すなわちシャフト係合部70は、一端が係合片部48の端部48Aに開放すると共に中間シャフト20の外径dより狭小に形成され、弾性変形したもとで該中間シャフト20を開放端から挿脱可能なスリット部74と、スリット部74の他端に連通して設けられると共に中間シャフト20の外径dより狭小に形成されて、弾性変形したもとで中間シャフト20を挟持して該中間シャフト20に対する軸方向の移動を規制する挟持部72とを備えている。すなわち、係合片部48が弾性変形可能に形成されているので、シャフト係合部70の挟持部72およびスリット部74の周辺部位が弾性変形可能であり、挟持部72をスリット部74を介して中間シャフト20に係脱可能となっている。
【0040】
従って、第2実施例のコラムホールカバーHC2は、先ず車体Mへ装着する前のステアリング装置SUにおける中間シャフト20を、該コラムホールカバーHC2における挿通部52のシャフト挿通孔56に挿通させる。そして、係合片部48を弾性変形させてシャフト係合部70を中間シャフト20に係着させることで、コラムホールカバーHC2を中間シャフト20の所要位置に仮固定する。
【0041】
次いで、第2実施例のコラムホールカバーHC2が仮固定された中間シャフト20を、車体Mの乗員室前部102側から仕切壁104のコラムホール106へ挿通させる。そして、ステアリングギアボックス14を乗員室前部102の所定位置に位置決めすると、中間シャフト20に仮固定したコラムホールカバーHC2における平板部32がコラムホール106に整合する。従って、平板部32の外縁部分を仕切壁104側へ押すことで、係止片部38の全体がコラムホール106の開口端106Aに係止され、第2実施例のコラムホールカバーHC2が該コラムホール106に装着される。次いで、係合片部48の先端側を中間シャフト20から離間する方向へ引張り、中間シャフト20に対するシャフト係合部70の係着を解除する。
【0042】
従って、第2実施例のコラムホールカバーHC2によれば、挿通部52のシャフト挿通孔56に挿通した中間シャフト20に対して、係合片部48に設けたシャフト係合部70を利用して該中間シャフト20の軸方向の移動が規制された状態で仮固定することができる。これにより、中間シャフト20にコラムホールカバーHC2を仮固定した状態でステアリング装置SUを車体Mに装着することができ、コラムホールカバーHC2のシャフト挿通孔56より大きく開口したコラムホール106へ中間シャフト20を挿通させることになり、該中間シャフト20のコラムホール106への挿通を簡単に行なうことができる。しかも、中間シャフト20をコラムホール106に挿通させる際には、中間シャフト20に対するコラムホールカバーHC2の軸方向への移動が規制されているので、コラムホール106に対するコラムホールカバーHC2の装着作業を簡易化できる。また、シャフト係合部70が挿通部52とは別に形成されているので、該シャフト係合部70を中間シャフト20に係着しても挿通部52が変形せず、中間シャフト20の周方向の回転を許容するという該挿通部52の機能が阻害されない。
【0043】
そして、第2実施例のコラムホールカバーHC2は、中間シャフト20に装着したカバー本体30を姿勢変位させず、係合片部48を変形させるだけで該中間シャフト20に対するシャフト係合部70の係脱を簡単に行ないことができ、該コラムホールカバーHC2を該中間シャフト20へ簡単に仮固定できる。また、第2実施例のコラムホールカバーHC2は、コラムホール106への装着後にシャフト係合部70と中間シャフト20との係合を解除するので、中間シャフト20が回転することによるステアリング装置SUの作動を阻害することがない。
【0044】
また、シャフト係合部70は、中間シャフト20をスリット部74を介して挟持部72へ簡単に挿入し得ると共に、該挟持部72が弾性変形することで中間シャフト20が挟持され、中間シャフト20に対してカバー本体30を適切に仮固定できる。しかも、シャフト係合部70の挟持部72が、中間シャフト20の外径より狭小に形成された開口であるから、係合片部48の該挟持部72の周囲を大きく弾性変形させることなく該中間シャフト20を周囲から挟持し得る。また、挟持部72で挟持されている中間シャフト20は、スリット部74から離脱し難く、該挟持部72に適切に保持される。
【0045】
更に、第2実施例のコラムホールカバーHC2は、同時装着タイプであるが、ステアリングギアボックス14に固定されるものではないので、図12に例示した従来の同時装着タイプのコラムホールカバーHC20と比較するとサイズがかなり小さくなり、シャフト係合部70を設けても製造コストを抑えることができると共に、乗員室前部102内での占有スペースが小さくなるので該乗員室前部102内に配設されるエンジンや補器類の配設に支障を来たすことがない。
【0046】
(第3実施例)
図9は、第3実施例のコラムホールカバーHC3を、ステアリング装置SUの中間シャフト20に仮固定した状態で示す断面図である。第3実施例のコラムホールカバーHC3は、前記第2実施例のコラムホールカバーHC3と類似した構成であって、シャフト係合部70を設けた係合片部48のカバー本体30に対する形成位置を変更したものである。すなわち、第3実施例のコラムホールカバーHC3は、カバー本体30における平板部32の後外面32Aにおいて、該平板部32と円筒部34との境界近傍の上部分においてカバー本体30から外方へ延出形成され、平板部32から延出した舌片状を呈している。そして係合片部48は、該係合片部48を自体を平板部32に対して弾性変形させると、シャフト挿通孔56に挿通する中間シャフト20の挿通ラインLと交差する位置に先端側が到来する延出長さに設定され、該先端側に設けたシャフト係合部70を中間シャフト20に係着させ得るようになっている。また、第3実施例のシャフト係合部70は、第2実施例のシャフト係合部70と同一形状となっており、中間シャフト20に対して弾性的に係着し得る。従って、第3実施例のコラムホールカバーHC3は、第2実施例のコラムホールカバーHC2と同等の作用効果が得られる。なお、第3実施例のコラムホールカバーHC3は、コラムホール106に装着した後に、乗員室100側から係合片部48を把持して中間シャフト20に対するシャフト係合部70の係合を解除する。
【0047】
(変更例)
(1)シャフト係合部60,70は、第1〜第3実施例に示した挟持部62,72および連通部64,74から構成された形態のものに限定されず、中間シャフト20に対して適切に係着することができれば、例えば図10示す各形態であってもよい。図10(a)に示すシャフト係合部80は、カバー本体30のカバー部44の端部44Aに一端が開放すると共に中間シャフト20の外形より狭小に形成され、弾性変形したもとで中間シャフト20を開放端から挿脱可能なスリット部82Aと、このスリット部82Aの端部から該スリット部82Aと同じ幅で延長して設けられたスリットとしての挟持部82Bとで構成されている。そして、シャフト係合部80は、スリット部82Aと挟持部82Bとを合わせた長さが、中間シャフト20の外径d以上に形成されている。従ってシャフト係合部80は、スリット部82Aを介して挿入した中間シャフト20を、挟持部82Bが弾性変形することで挟持するようになる。
(2)一方、図10(b)に示すシャフト係合部84は、カバー本体30のカバー部44の端部44Aに一端が開放すると共に中間シャフト20の外形より狭小に形成され、弾性変形したもとで中間シャフト20を開放端から挿脱可能なスリット部86と、このスリット部86の端部から放射状に形成された複数のスリット89からなる挟持部88とで構成されている。挟持部88は、十字状に設けたスリット89により、各スリット89間に複数(ここでは5枚)の舌片が形成されている。従ってシャフト係合部84は、スリット部86を介して挿入した中間シャフト20を、挟持部88が弾性変形することで挟持するようになる。
(3)第1〜第3の各実施例では、ステアリングギアボックス14の連結シャフト16に連結された中間シャフト20に仮固定して、乗員室前部102側からコラムホール106に装着されるコラムホールカバーHC1,HC2,HC3を例示したが、ステアリングホイール10のステアリングシャフト18に連結された中間シャフト20に仮固定して、乗員室100側からコラムホール106に装着されるコラムホールカバーHCであってもよい。また、コラムホールカバーHC1,HC2,HC3は、ステアリングシャフト18に仮固定されるものであってもよい。
(4)第1実施例においては、シャフト係合部60を設ける位置は、カバー部44の平板部32から最も離間した部位に限らず、これ以外の位置であってもよい。
(5)第2実施例においては、シャフト係合部70を設ける係合片部48の延出位置は、円筒部34の平板部32から最も離間した部位に限らず、これ以外の位置であってもよい。
(6)第3実施例においては、シャフト係合部70を設ける係合片部48の延出位置は、平板部32の円筒部34との境界部位に限らず、これ以外の位置であってもよい。
(7)カバー本体の形状およびサイズは、第1〜第3実施例に例示のものに限定されず、例えば筒状部34は円筒形に限定されず、角筒形等であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 ステアリングホイール,14 ステアリングギアボックス(ギアボックス)
20 中間シャフト(シャフト部材),30 カバー本体,34 円筒部(筒状部)
44 カバー部,44A 端部,46 開口,48 係合片部,48A 端部,52 挿通部
60,70,80,84 シャフト係合部,64,74,82A,86 スリット部
62,72,82B,88 挟持部,100 乗員室,104 仕切壁,106 コラムホール
M 車体
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の乗員室の前側を仕切る仕切壁に形成されたコラムホールに装着されるカバー本体と、このカバー本体に設けられ、前記仕切壁の前側に配設されるギアボックスと乗員室に配設されるステアリングホイールとを接続するシャフト部材が挿通される挿通部を備えたコラムホールカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体Mに装備されたステアリング装置SUは、例えば図11および図12に示すように、運転者が操作可能なステアリングホイール10と、左右の前輪Tを連結してステアリングギアボックス14に連係されたタイロッド12と、ステアリングホイール10に固定されたステアリングシャフト18とステアリングギアボックス14に配設された連結シャフト16とをユニバーサルジョイント22,22で連結する中間シャフト20とを備えている。すなわちステアリングホイール10は、乗員室100内における運転席の前側に回転可能に配設され、タイロッド12およびステアリングギアボックス14は、車体Mにおける乗員室100の前方に位置する乗員室前部(フロントエンジン車の場合はエンジン室)102内に配設されている。そして、車体Mにおける乗員室100と乗員室前部102とを前後に仕切る仕切壁104にはコラムホール106が形成されており、前述した中間シャフト20は、該コラムホール106を介して仕切壁104を貫通した状態で配設されている。
【0003】
前述したコラムホール106には、乗員室100に対する防塵および防水を図るため、該乗員室100と乗員室前部102とを遮断すると共に中間シャフト20が挿通するコラムホールカバーHCが装着されている。このコラムホールカバーHCは、ステアリング装置SUを車体Mに装着するに先立ってコラムホール106へ装着する先装着タイプ(図11参照)と、ステアリング装置SUの車体Mへの装着と同時にコラムホール106へ装着する同時装着タイプ(図12参照)とがある。先装着タイプのコラムホールカバーHC(HC10とする)を採用した場合のステアリング装置SUの車体Mへの装着作業は、先ず図13(a)に示すように、コラムホール106に対してコラムホールカバーHC10を装着する。次いで、図13(b)に示すように、コラムホールカバーHC10に形成した挿通孔26に対して中間シャフト20を乗員室100側から挿通させ、挿通した該中間シャフト20の先端をステアリングギアボックス14の連結シャフト16に連結する。
【0004】
また、同時装着タイプのコラムホールカバーHC(HC20とする)を採用した場合のステアリング装置SUの車体Mへの装着作業は、先ず図14(a)に示すように、ステアリングギアボックス14にコラムホールカバーHC20を装着すると共に該連結シャフト16に中間シャフト20を連結したもとで、中間シャフト20をコラムホール106に対して乗員室前部102側から挿通させる。次いで、図14(b)に示すように、中間シャフト20とステアリングシャフト18とを連結すると共にステアリングギアボックス14を車体Mに固定し、更にコラムホールカバーHC20をコラムホール106へ装着する。なお、同時装着タイプのコラムホールカバーHC20は、図12に示したように、予めステアリングギアボックス14に装着するものであるから、ステアリングギアボックス14からコラムホール106まで延在する比較的大型のものになっている。このようなコラムホールカバーに関しては、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−22324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述した先装着タイプのコラムホールカバーHC10および同時装着タイプのコラムホールカバーHC20は、何れのタイプも固有の問題を内在している。すなわち、先装着タイプは、コラムホール106に装着した該コラムホールカバーHCの挿通孔26に中間シャフト20を挿通するに際し、該中間シャフト20が適切な姿勢、位置に位置決めされていないと、中間シャフト20の端部でコラムホールカバーHC10を破損させたり、該コラムホールカバーHC10をコラムホール106から脱落させるおそれがあり、車体Mに対するステアリング装置SUの装着作業を簡易に行なうことができない問題がある。しかも、図11に示すミニバン等のセミボンネットタイプの自動車AMは、仕切壁104の高い位置にコラムホール106が設けられるので、ステアリングホイール10を連結した中間シャフト20を高い位置まで持ち上げる必要があり、コラムホール106に装着したコラムホールカバーHC10に対する中間シャフト20の位置決めが一段と難しく、ステアリング装置SUの装着作業性が低下する。
【0007】
一方、同時装着タイプは、挿通孔26において当該コラムホールカバーHC20を固定できないため、前述したようにステアリングギアボックス14に固定する形態とすると、該コラムホールカバーHC20が大型になるため製造コストが嵩む問題がある。また、コラムホールカバーHC20は変形するとコラムホール106と整合し難くなるので、変形した該コラムホールカバーHC20の形状を矯正しながらコラムホール106に対して装着することになり、該コラムホールカバーHC20の装着作業に時間を要して車体Mに対するステアリング装置SUの装着作業を簡易かつ効率的に行なうことができない問題がある。更に、乗員室前部102内におけるコラムホールカバーHC20の占有スペースが大きくなり、エンジンおよび補器類の配設に支障を来たす問題もある。特に、図12に示すセミボンネットタイプの自動車に同時装着タイプのコラムホールカバーHC20を採用する場合には、ステアリングギアボックス14とコラムホール106との距離が大きいため、該コラムホールカバーHC20が長尺で大型になって前述した各問題がより一層顕著に現れる。
【0008】
従って本発明では、ステアリング装置におけるシャフト部材周りの車体への装着作業を簡易かつ効率的に行ない得るようにしたコラムホールカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、
自動車の乗員室の前側を仕切る仕切壁に形成されたコラムホールに装着されるカバー本体と、このカバー本体に設けられ、前記仕切壁の前側に配設されるギアボックスと乗員室に配設されるステアリングホイールとを接続するシャフト部材が挿通される挿通部を備えたコラムホールカバーにおいて、
前記カバー本体には、挿通した前記シャフト部材の周方向の回転を許容する前記挿通部と別に、該挿通部に挿通した該シャフト部材へ係脱可能で、該シャフト部材に係合したもとで該カバー本体の軸方向への移動を規制するシャフト係合部が設けられることを特徴とする。
【0010】
従って、請求項1に係る発明によれば、挿通部に挿通したシャフト部材に対し、シャフト係合部を利用してコラムホールカバーを仮固定することができる。すなわち、シャフト部材にコラムホールカバーを仮固定した状態でステアリング装置を車体に装着することができ、コラムホールカバーが装着されていないコラムホールへシャフト部材を挿通させることになり、該ステアリング装置の装着作業を簡易に行なうことができる。しかも、シャフト部材をコラムホールへ挿通させる際には、シャフト部材に対するコラムホールカバーの軸方向への移動が規制されているので、コラムホールに対するコラムホールカバーの装着作業を簡易化できる。また、シャフト係合部が挿通部とは別に形成されているので、該シャフト係合部をシャフト部材に係合しても挿通部の機能(シャフト部材の周方向の回転を許容する機能)が阻害されない。
【0011】
請求項2に記載の発明は、
前記シャフト係合部は、
一端が開放すると共に前記シャフト部材の外形より狭小に形成され、弾性変形したもとでシャフト部材を開放端から挿脱可能なスリット部と、
前記スリット部の他端に連通して設けられると共に前記シャフト部材の外形より狭小に形成されて、弾性変形したもとでシャフト部材を挟持して該シャフト部材に対する軸方向の移動を規制する挟持部とを備えることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、シャフト部材をスリット部を介して挟持部へ簡単に挿入し得ると共に、該挟持部が弾性変形することでシャフト部材が挟持され、シャフト部材に対してカバー本体を適切に仮固定できる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、
前記カバー本体は、内側に前記挿通部が姿勢変位可能に設けられた筒状部と、この筒体部に前記挿通部と前記シャフト部材の挿通方向で並べて設けられたカバー部とを備え、
前記カバー部は、前記挿通部に形成されたシャフト挿通孔より大径の開口が、該シャフト挿通孔と前記シャフトの挿通方向で並べて開設されていると共に、この開口に連通して前記シャフト係合部が設けられていることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、シャフト部材をコラムホールへ挿通させた該シャフト部材の挿通状態では、カバー部が該シャフト部材から離間して接触しないので、シャフト部材が回転することによるステアリング装置の作動をカバー本体で阻害することがない。そして、シャフト部材に装着したカバー本体を該シャフト部材に対して姿勢変位させると、カバー部に設けたシャフト係合部を該シャフト部材に対して係脱させ得る。
【0013】
請求項4に記載の発明は、
前記カバー本体は、内側に前記挿通部が設けられた筒状部と、この筒体部から延出して弾性変形可能な係合片部とを備え、
前記係合片部に、該係合片部の端部に連通して前記シャフト係合部が設けられたことを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、装着部のシャフト挿通孔に挿通させたシャフト部材に対して、係合片部の変形によりシャフト係合部を係合させると、該係合片部を介してカバー本体がシャフト部材に仮固定される。そして、カバー本体をコラムホールへ装着した状態では、係合片部のシャフト係合部をシャフト部材から離脱させることで、シャフト部材が回転することによるステアリング装置の作動を該係合片部で阻害することがない。
【0014】
請求項5に記載の発明は、
前記シャフト係合部の挟持部は、前記スリット部の開口幅より幅広に形成された開口であることを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、シャフト部材をシャフト係合部へ押し込むと、挟持部の僅かな弾性変形により該シャフト部材が周囲から挟持される。また、挟持部で挟持されているシャフト部材は、スリット部から離脱し難くなって該挟持部に適切に保持される。
【0015】
請求項6に記載の発明は、
前記シャフト係合部の挟持部は、前記スリット部の端部から該スリット部と同じ幅で延長して設けられたスリットからなることを要旨とする。
従って、請求項6に係る発明によれば、シャフト部材をシャフト係合部へ押し込むと、挟持部の弾性変形により該シャフト部材が両側から挟持される。また、シャフト係合部は、単なるスリットであるから、カッター等の工具を使用して後加工により形成することも可能である。
【0016】
請求項7に記載の発明は、
前記シャフト係合部の挟持部は、前記スリット部の他端から放射状に設けられた複数のスリットからなることを要旨とする。
従って、請求項7に係る発明によれば、シャフト部材をシャフト係合部へ押し込むと、挟持部が拡開的に弾性変形するので該シャフト部材が適切に挟持される。また、挟持部で挟持されているシャフト部材は、スリット部から離脱し難くなって該挟持部に適切に保持される。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るコラムホールカバーによれば、ステアリング装置のシャフト部材にコラムホールカバーを仮固定できるので、ステアリング装置におけるシャフト部材周りの車体への装着作業を簡易かつ効率的に行ない得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図2のI−I線断面図であって、第1実施例のコラムホールカバーを、シャフト係合部により中間シャフトに仮固定した状態を示している。
【図2】第1実施例のコラムホールカバーを、シャフト係合部により中間シャフトに仮固定した状態を示す正面図である。
【図3】図4のIII−III線断面図であって、第1実施例のコラムホールカバーを仕切壁のコラムホールに装着した状態を示している。
【図4】第1実施例のコラムホールカバーを仕切壁のコラムホールに装着した状態を示す正面図である。
【図5】(a)は、中間シャフトを、第1実施例のコラムホールカバーにおける挿通孔に挿通させる状態を示した説明断面図であり、(b)は、コラムホールカバーを姿勢変位させてシャフト係合部を中間シャフトに係合し、該コラムホールカバーを該中間シャフトに仮固定した状態を示す説明断面図である。
【図6】(a)は、第1実施例のコラムホールカバーを仮固定した中間シャフトを、仕切壁のコラムホールに挿通させる状態を示した説明断面図であり、(b)は、第1実施例のコラムホールカバーをコラムホールに装着した状態を示す説明断面図である。
【図7】図8のVII−VII線断面図であって、第2実施例のコラムホールカバーを、シャフト係合部により中間シャフトに仮固定した状態を示している。
【図8】第2実施例のコラムホールカバーのシャフト係合部を示す正面図である。
【図9】第3実施例のコラムホールカバーを、シャフト係合部により中間シャフトに仮固定した状態を示す説明断面図である。
【図10】シャフト係合部の別形態例を示す説明図である。
【図11】仕切壁のコラムホールに装着されてステアリング装置の中間シャフトが挿通された先装着タイプのコラムホールカバーを示した自動車の部分説明断面図である。
【図12】仕切壁のコラムホールに装着されてステアリング装置の中間シャフトが挿通された同時装着タイプのコラムホールカバーを示した自動車の部分説明断面図である。
【図13】図11に示す先装着タイプのコラムホールカバーを採用した場合の車体へのステアリング装置の装着工程を示す説明図であって、(a)は、仕切壁のコラムホールにコラムホールカバーを装着する状態を示し、(b)は、コラムホールに装着したコラムホールカバーに中間シャフトを挿通させて、ステアリング装置を装着する状態を示している。
【図14】図12に示す同時装着タイプのコラムホールカバーを採用した場合の車体へのステアリング装置の装着工程を示す説明図であって、(a)は、ステアリングギアボックスにコラムホールカバーを装着したもとで、コラムホールに中間シャフトを挿通させる状態を示し、(b)は、ステアリング装置を車体に装着すると共にコラムホールカバーをコラムホールに装着する状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係るコラムホールカバーにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお実施例では、車体Mにおける仕切壁104のコラムホール106に装着した状態において、車体前後方向をコラムホールカバーの「前後方向」、車体左右方向をコラムホールカバーの「左右方向」、車体上下方向をコラムホールカバーの「上下方向」と指称する。なお、ステアリング装置SUは、図11および図12に例示したものと同一のものを示し、その詳細な説明は省略して同一符号で指示する。
【0020】
(第1実施例)
図1および図2等に示す第1実施例のコラムホールカバーHC1は、例えばEPDM、CR、シリコーンゴム、天然ゴム等のゴム素材や、TPE、TPV、TPO等の熱可塑性エラストマ樹脂素材からインジェクション成形された成形部材であり、弾力性および柔軟性を有して弾性変形が可能となっている。第1実施例のコラムホールカバーHC1は、車体Mの仕切壁104に形成したコラムホール106に対して、乗員室前部102側から装着することを前提として形成され、図1および図2に示すように、所定の立体形状に形成されたカバー本体30を備えている。このカバー本体30は、仕切壁104に形成したコラムホール106の開口形状に合わせた外縁輪郭形状に形成された平板部32と、この平板部32に一体的に形成された円筒部(筒状部)34と、この円筒部34の内側に配設されたシール部36とを有している。なお、第1実施例のコラムホールカバーHC1は、成形型によるインジェクション成形上の都合により、平板部32と円筒部34とが一体的に形成され、シール部36は平板部32および円筒部34と別部材として構成されている。
【0021】
平板部32の後外面32Aには、該平板部32から後方へ突出する鉤状の係止片部38が、該平板部32の外周縁に沿って環状に形成されている。また、平板部32の外周縁には、該平板部32の外方へ延出する庇状のシール片40が、前記係止片部38と前後方向で対向するように形成されている。そして、前後方向で対向する係止片部38とシール片40との間には、仕切壁104におけるコラムホール106の開口端106Aが嵌合する嵌合凹部42が形成されている。なお符号90は、コラムホールカバーHC1をコラムホール106に装着した際に、係止片部38の弾性変形を規制して該係止片部38とコラムホール106の開口端106Aとの嵌合を保持する固定部材である。
【0022】
円筒部34は、コラムホール106に対して略垂直に装着される平板部32に対し、所定の傾斜角度Rで前下方へ突出して形成されている。平板部32に対する円筒部34の傾斜角度Rは、図6に示すように、車体Mに装着したステアリング装置SUにおける中間シャフト(シャフト部材)20の仕切壁104に対する傾斜角度と同じになっている。すなわち、カバー本体30をコラムホール106に装着した状態では、車体Mに装着したステアリング装置SUの中間シャフト20の延在方向と円筒部34の軸心の延在方向とが一致するようになる。
【0023】
そして円筒部34は、平板部32と反対側に、該円筒部34の内側の前記シール部36に設けた後述の挿通部52に対して中間シャフト20の挿通方向に並べて設けられたカバー部44を備えている。このカバー部44は、前下方に向かうにつれて半径方向内方へ変位して中央に円形の開口46を有した円錐台状に形成されている。開口46は、挿通される前記中間シャフト20の外径d(シャフト挿通孔56の内径)より大径に形成される。また開口46は、中間シャフト20がコラムホール106に挿通して、カバー本体30が該コラムホール106へ装着された状態で、挿通部52のシャフト挿通孔56と中間シャフト20の挿通方向に並べて開設され、該カバー部44が該中間シャフト20の外面に接触しないようになっている。
【0024】
シール部36は、環状の外縁当接部50と、中間シャフト20のシャフト挿通孔56が形成された環状の挿通部52と、外縁当接部50と挿通部52との間に設けられた蛇腹状の変形部54とを備えている。外縁当接部50は、円筒部34の内壁に対して該円筒部34の周方向に密着して当接する形状、サイズに形成されており、圧入等により該円筒部34の内壁におけるカバー部44側へ固定される。挿通部52に設けたシャフト挿通孔56は、中間シャフト20の外径dと同一の内径寸法に形成され、挿通した該中間シャフト20の外周面に摺接するようになっており、該中間シャフト20の周方向の回転を許容する。変形部54は、薄肉の蛇腹状に形成されて複数の折曲部分を有しており、この折曲部分の角度が変化することで部分的な伸張変形および圧縮変形が可能となっている。従って挿通部52は、変形部54の伸張・圧縮変形により、外縁当接部50に対して径方向および軸方向へのスライド変位や、傾斜姿勢への傾動変位が可能となっている。
【0025】
そして、第1実施例のコラムホールカバーHC1は、図1〜図4に示すように、カバー本体30に、前記挿通部52と別に、該挿通部52のシャフト挿通孔56に挿通した中間シャフト部材20へ係脱可能で、該中間シャフト20に係合したもとで該カバー本体30の軸方向への移動を規制するシャフト係合部60が設けられている。これにより、コラムホール106へ装着前のカバー本体30を、中間シャフト20の長手方向の所要位置に、該中間シャフト20の軸方向への移動が規制された状態で仮固定し得るよう構成されている。第1実施例のコラムホールカバーHC1は、図1および図2に示すように、弾性変形が可能なカバー本体30における前記カバー部44にシャフト係合部60が設けられている。従って、第1実施例のコラムホールカバーHC1は、挿通部52のシャフト挿通孔56に挿通した中間シャフト20に対してシャフト係合部60を係合して挟持させることで、カバー本体30を該中間シャフト20に仮固定し得る。
【0026】
第1実施例のコラムホールカバーHC1では、図3および図4に示すように、挿通部52のシャフト挿通孔56に挿通する中間シャフト20の挿通ラインLに隣接する前記カバー部44において、平板部32から最も前側へ離間した部位に、シャフト係合部60が設けられている。従って、コラムホール106へ挿通した中間シャフト20の挿通状態では、カバー部44が中間シャフト20の挿通ラインLから退避するので、シャフト係合部60が中間シャフト20から離間して、中間シャフト20に対してシャフト係合部60が係合されない。また、平板部32の上端側を、該平板部32の下端側に対して前方(円筒部34の突出側)へ変位させると、カバー本体30が姿勢変位してカバー部44のシャフト係合部60が設けられた部分が挿通ラインLと交差するようになり、中間シャフト20に対してシャフト係合部60が係合するようになっている。
【0027】
そしてシャフト係合部60は、中間シャフト20の外形より狭小に形成されており、弾性変形したもとで該中間シャフト20を挟持し得るよう構成されている。すなわちシャフト係合部60は、図4に示すように、一端がカバー部44の端縁44Aに開放すると共に中間シャフト20の外径dより狭小に形成され、弾性変形したもとで該中間シャフト20を開放端から挿脱可能なスリット部64と、スリット部64の他端に連通して設けられると共に中間シャフト20の外径dより狭小に形成されて、弾性変形したもとで中間シャフト20を挟持して該中間シャフト20に対する軸方向の移動を規制する挟持部62とを備えている。すなわち、カバー部44が弾性変形可能に形成されているので、シャフト係合部60の挟持部62およびスリット部64の周辺部位が弾性変形可能であり、挟持部62をスリット部64を介して中間シャフト20に係脱可能となっている。
【0028】
次に、図5および図6を引用して、前述のように構成された第1実施例のコラムホールカバーHC1を、仕切壁104のコラムホール106に装着する方法について、ステアリング装置SUを車体Mに装着する工程と合わせて説明する。第1実施例のコラムホールカバーHC1は、車体Mに装着する前のステアリング装置SUにおける中間シャフト20に予め仮固定して、該ステアリング装置SUを車体Mに装着する際にコラムホール106に装着する所謂同時装着タイプである。
【0029】
先ず、車体Mへの装着前のステアリングギアボックス14の連結シャフト16に中間シャフト20を連結し(図5(a))、車体Mへの装着前の該中間シャフト20を、第1実施例のコラムホールカバーHC1における挿通部52のシャフト挿通孔56に挿通させる。そして、図5(b)に示すように、平板部32の上端側を下端側に対して前方へ変位させて、中間シャフト20に対してカバー本体30を姿勢変位させることで、中間シャフト20に対してシャフト係合部60を係合させる。これにより、シャフト係合部60が弾性変形して中間シャフト20を係合するので、コラムホールカバーHC1は、中間シャフト20の所要位置に軸方向の移動が規制された状態で仮固定される。
【0030】
次いで、図6に示すように、第1実施例のコラムホールカバーHC1が仮固定された中間シャフト20を、車体Mの乗員室前部102側から仕切壁104のコラムホール106へ挿通させる。そして、前記ステアリングギアボックス14を乗員室前部102の所定位置に位置決めすると、図6(a)に示すように、中間シャフト20に仮固定したコラムホールカバーHC1における平板部32の下端側がコラムホール106の開口端106Aにおける下端に整合し、係止片部38の下延在部分を該開口端106Aの下端に係止する。
【0031】
次いで、図6(b)に示すように、平板部32の上端側を下端側に対して後方(仕切壁104側)へ押して、カバー本体30を、中間シャフト20に対して姿勢変位させる。これにより、シャフト係合部60が中間シャフト20から離脱して、中間シャフト20に対するシャフト係合部60の係合が解除されると共に、係止片部38の全体がコラムホール106の開口端106Aに係止され、第1実施例のコラムホールカバーHC1が該コラムホール106に装着される。
【0032】
従って、第1実施例のコラムホールカバーHC1によれば、挿通部52のシャフト挿通孔56に挿通した中間シャフト20に対し、シャフト係合部60を利用して該中間シャフト20の軸方向の移動が規制された状態で仮固定することができる。これにより、中間シャフト20にコラムホールカバーHC1を仮固定した状態でステアリング装置SUを車体Mに装着することができ、コラムホールカバーHC1のシャフト挿通孔56より大きく開口したコラムホール106へ中間シャフト20を挿通させることになり、該中間シャフト20のコラムホール106への挿通を簡単に行なうことができる。しかも、中間シャフト20をコラムホール106に挿通させる際には、中間シャフト20に対するコラムホールカバーHC1の軸方向への移動が規制されているので、コラムホール106に対するコラムホールカバーHC1の装着作業を簡易化できる。また、シャフト係合部60が挿通部52とは別に形成されているので、該シャフト係合部60を中間シャフト20に係着しても挿通部52が変形せず、中間シャフト20の周方向の回転を許容するという該挿通部52の機能が阻害されない。
【0033】
そして、第1実施例のコラムホールカバーHC1は、中間シャフト20に装着したカバー本体30を全体的に姿勢変位させるだけで該中間シャフト20に対するシャフト係合部60の係脱を簡単に行ないことができ、該コラムホールカバーHC1を該中間シャフト20へ簡単に仮固定できる。また、第1実施例のコラムホールカバーHC1は、中間シャフト20をコラムホール106へ挿通させた状態で、カバー本体30を該コラムホール106へ装着した状態では、カバー本体30のカバー部44が該中間シャフト20から離間しており、中間シャフト20が回転することによるステアリング装置SUの作動を阻害することがない。
【0034】
また、シャフト係合部60は、中間シャフト20をスリット部64を介して挟持部62へ簡単に挿入し得ると共に、該挟持部62が弾性変形することで中間シャフト20が挟持され、中間シャフト20に対してカバー本体30を適切に仮固定できる。しかも、シャフト係合部60の挟持部62が、中間シャフト20の外径より狭小に形成された開口であるから、カバー部44の該挟持部62の周囲を大きく弾性変形させることなく該中間シャフト20を周囲から挟持し得る。また、挟持部62で挟持されている中間シャフト20は、スリット部64から離脱し難く、該挟持部62に適切に保持される。
【0035】
更に、第1実施例のコラムホールカバーHC1は、同時装着タイプであるが、ステアリングギアボックス14に固定されるものではないので、図12に例示した従来の同時装着タイプのコラムホールカバーHC20と比較するとサイズがかなり小さくなり、シャフト係合部60を設けても製造コストを抑えることができると共に、乗員室前部102内での占有スペースが小さくなるので該乗員室前部102内に配設されるエンジンや補器類の配設に支障を来たすことがない。
【0036】
(第2実施例)
図7は、第2実施例のコラムホールカバーHC2を、ステアリング装置SUの中間シャフト20に仮固定した状態で示す断面図である。第2実施例のコラムホールカバーHC2は、カバー本体30における平板部32および円筒部34の構成は、第1実施例のコラムホールカバーHC2と同じである。すなわち、第2実施例のコラムホールカバーHC2は、中間シャフト20に係脱可能なシャフト係合部70の配設態様が第1実施例と異なっている。従ってここでは、第1実施例と同一部分は同一の符号を付して詳細な説明を省略し、第1実施例と異なる部分についてのみ説明する。
【0037】
第2実施例のコラムホールカバーHC2は、カバー本体30に、該カバー本体30の外面から延出して弾性変形可能な舌片形態の係合片部48を有している。すなわち係合片部48は、カバー本体30における円筒部34において、平板部32から最も離間した外面から外方へ延出形成されている。そして係合片部48は、図8に示すように、該係合片部48自体が円筒部34に対してその厚み方向で弾性変形して、シャフト挿通孔56に挿通する中間シャフト20の挿通ラインLと交差する位置に先端側が到来する延出長さに設定されている。
【0038】
そして、第2実施例のコラムホールカバーHC2では、カバー本体30の一部をなす前記係合片部48における先端側に、中間シャフト20に離脱可能に係合するシャフト係合部70が設けられている。すなわち、中間シャフト20をコラムホール106へ挿通させた状態で、カバー本体30を該コラムホール106へ装着した状態において、係合片部48の弾性変形により、シャフト挿通孔56に挿通する中間シャフト20の挿通ラインLにシャフト係合部70が到来するように設定されている。これにより、第2実施例のコラムホールカバーHC2は、中間シャフト20にカバー本体30を装着した状態で係合片部48を変形させることで、カバー本体30の平板部32および円筒部34を姿勢変位することなく、中間シャフト20に対するシャフト係合部70の係着および離脱が可能となっている。
【0039】
第2実施例のコラムホールカバーHC2におけるシャフト係合部70は、第1実施例のシャフト係合部60と基本的形状が同じであり、中間シャフト20の外形より狭小に形成され、係合片部48が弾性変形可能となっていることで、中間シャフト20により押し広げられて該中間シャフト20に弾性的に係合するよう構成されている。すなわちシャフト係合部70は、一端が係合片部48の端部48Aに開放すると共に中間シャフト20の外径dより狭小に形成され、弾性変形したもとで該中間シャフト20を開放端から挿脱可能なスリット部74と、スリット部74の他端に連通して設けられると共に中間シャフト20の外径dより狭小に形成されて、弾性変形したもとで中間シャフト20を挟持して該中間シャフト20に対する軸方向の移動を規制する挟持部72とを備えている。すなわち、係合片部48が弾性変形可能に形成されているので、シャフト係合部70の挟持部72およびスリット部74の周辺部位が弾性変形可能であり、挟持部72をスリット部74を介して中間シャフト20に係脱可能となっている。
【0040】
従って、第2実施例のコラムホールカバーHC2は、先ず車体Mへ装着する前のステアリング装置SUにおける中間シャフト20を、該コラムホールカバーHC2における挿通部52のシャフト挿通孔56に挿通させる。そして、係合片部48を弾性変形させてシャフト係合部70を中間シャフト20に係着させることで、コラムホールカバーHC2を中間シャフト20の所要位置に仮固定する。
【0041】
次いで、第2実施例のコラムホールカバーHC2が仮固定された中間シャフト20を、車体Mの乗員室前部102側から仕切壁104のコラムホール106へ挿通させる。そして、ステアリングギアボックス14を乗員室前部102の所定位置に位置決めすると、中間シャフト20に仮固定したコラムホールカバーHC2における平板部32がコラムホール106に整合する。従って、平板部32の外縁部分を仕切壁104側へ押すことで、係止片部38の全体がコラムホール106の開口端106Aに係止され、第2実施例のコラムホールカバーHC2が該コラムホール106に装着される。次いで、係合片部48の先端側を中間シャフト20から離間する方向へ引張り、中間シャフト20に対するシャフト係合部70の係着を解除する。
【0042】
従って、第2実施例のコラムホールカバーHC2によれば、挿通部52のシャフト挿通孔56に挿通した中間シャフト20に対して、係合片部48に設けたシャフト係合部70を利用して該中間シャフト20の軸方向の移動が規制された状態で仮固定することができる。これにより、中間シャフト20にコラムホールカバーHC2を仮固定した状態でステアリング装置SUを車体Mに装着することができ、コラムホールカバーHC2のシャフト挿通孔56より大きく開口したコラムホール106へ中間シャフト20を挿通させることになり、該中間シャフト20のコラムホール106への挿通を簡単に行なうことができる。しかも、中間シャフト20をコラムホール106に挿通させる際には、中間シャフト20に対するコラムホールカバーHC2の軸方向への移動が規制されているので、コラムホール106に対するコラムホールカバーHC2の装着作業を簡易化できる。また、シャフト係合部70が挿通部52とは別に形成されているので、該シャフト係合部70を中間シャフト20に係着しても挿通部52が変形せず、中間シャフト20の周方向の回転を許容するという該挿通部52の機能が阻害されない。
【0043】
そして、第2実施例のコラムホールカバーHC2は、中間シャフト20に装着したカバー本体30を姿勢変位させず、係合片部48を変形させるだけで該中間シャフト20に対するシャフト係合部70の係脱を簡単に行ないことができ、該コラムホールカバーHC2を該中間シャフト20へ簡単に仮固定できる。また、第2実施例のコラムホールカバーHC2は、コラムホール106への装着後にシャフト係合部70と中間シャフト20との係合を解除するので、中間シャフト20が回転することによるステアリング装置SUの作動を阻害することがない。
【0044】
また、シャフト係合部70は、中間シャフト20をスリット部74を介して挟持部72へ簡単に挿入し得ると共に、該挟持部72が弾性変形することで中間シャフト20が挟持され、中間シャフト20に対してカバー本体30を適切に仮固定できる。しかも、シャフト係合部70の挟持部72が、中間シャフト20の外径より狭小に形成された開口であるから、係合片部48の該挟持部72の周囲を大きく弾性変形させることなく該中間シャフト20を周囲から挟持し得る。また、挟持部72で挟持されている中間シャフト20は、スリット部74から離脱し難く、該挟持部72に適切に保持される。
【0045】
更に、第2実施例のコラムホールカバーHC2は、同時装着タイプであるが、ステアリングギアボックス14に固定されるものではないので、図12に例示した従来の同時装着タイプのコラムホールカバーHC20と比較するとサイズがかなり小さくなり、シャフト係合部70を設けても製造コストを抑えることができると共に、乗員室前部102内での占有スペースが小さくなるので該乗員室前部102内に配設されるエンジンや補器類の配設に支障を来たすことがない。
【0046】
(第3実施例)
図9は、第3実施例のコラムホールカバーHC3を、ステアリング装置SUの中間シャフト20に仮固定した状態で示す断面図である。第3実施例のコラムホールカバーHC3は、前記第2実施例のコラムホールカバーHC3と類似した構成であって、シャフト係合部70を設けた係合片部48のカバー本体30に対する形成位置を変更したものである。すなわち、第3実施例のコラムホールカバーHC3は、カバー本体30における平板部32の後外面32Aにおいて、該平板部32と円筒部34との境界近傍の上部分においてカバー本体30から外方へ延出形成され、平板部32から延出した舌片状を呈している。そして係合片部48は、該係合片部48を自体を平板部32に対して弾性変形させると、シャフト挿通孔56に挿通する中間シャフト20の挿通ラインLと交差する位置に先端側が到来する延出長さに設定され、該先端側に設けたシャフト係合部70を中間シャフト20に係着させ得るようになっている。また、第3実施例のシャフト係合部70は、第2実施例のシャフト係合部70と同一形状となっており、中間シャフト20に対して弾性的に係着し得る。従って、第3実施例のコラムホールカバーHC3は、第2実施例のコラムホールカバーHC2と同等の作用効果が得られる。なお、第3実施例のコラムホールカバーHC3は、コラムホール106に装着した後に、乗員室100側から係合片部48を把持して中間シャフト20に対するシャフト係合部70の係合を解除する。
【0047】
(変更例)
(1)シャフト係合部60,70は、第1〜第3実施例に示した挟持部62,72および連通部64,74から構成された形態のものに限定されず、中間シャフト20に対して適切に係着することができれば、例えば図10示す各形態であってもよい。図10(a)に示すシャフト係合部80は、カバー本体30のカバー部44の端部44Aに一端が開放すると共に中間シャフト20の外形より狭小に形成され、弾性変形したもとで中間シャフト20を開放端から挿脱可能なスリット部82Aと、このスリット部82Aの端部から該スリット部82Aと同じ幅で延長して設けられたスリットとしての挟持部82Bとで構成されている。そして、シャフト係合部80は、スリット部82Aと挟持部82Bとを合わせた長さが、中間シャフト20の外径d以上に形成されている。従ってシャフト係合部80は、スリット部82Aを介して挿入した中間シャフト20を、挟持部82Bが弾性変形することで挟持するようになる。
(2)一方、図10(b)に示すシャフト係合部84は、カバー本体30のカバー部44の端部44Aに一端が開放すると共に中間シャフト20の外形より狭小に形成され、弾性変形したもとで中間シャフト20を開放端から挿脱可能なスリット部86と、このスリット部86の端部から放射状に形成された複数のスリット89からなる挟持部88とで構成されている。挟持部88は、十字状に設けたスリット89により、各スリット89間に複数(ここでは5枚)の舌片が形成されている。従ってシャフト係合部84は、スリット部86を介して挿入した中間シャフト20を、挟持部88が弾性変形することで挟持するようになる。
(3)第1〜第3の各実施例では、ステアリングギアボックス14の連結シャフト16に連結された中間シャフト20に仮固定して、乗員室前部102側からコラムホール106に装着されるコラムホールカバーHC1,HC2,HC3を例示したが、ステアリングホイール10のステアリングシャフト18に連結された中間シャフト20に仮固定して、乗員室100側からコラムホール106に装着されるコラムホールカバーHCであってもよい。また、コラムホールカバーHC1,HC2,HC3は、ステアリングシャフト18に仮固定されるものであってもよい。
(4)第1実施例においては、シャフト係合部60を設ける位置は、カバー部44の平板部32から最も離間した部位に限らず、これ以外の位置であってもよい。
(5)第2実施例においては、シャフト係合部70を設ける係合片部48の延出位置は、円筒部34の平板部32から最も離間した部位に限らず、これ以外の位置であってもよい。
(6)第3実施例においては、シャフト係合部70を設ける係合片部48の延出位置は、平板部32の円筒部34との境界部位に限らず、これ以外の位置であってもよい。
(7)カバー本体の形状およびサイズは、第1〜第3実施例に例示のものに限定されず、例えば筒状部34は円筒形に限定されず、角筒形等であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 ステアリングホイール,14 ステアリングギアボックス(ギアボックス)
20 中間シャフト(シャフト部材),30 カバー本体,34 円筒部(筒状部)
44 カバー部,44A 端部,46 開口,48 係合片部,48A 端部,52 挿通部
60,70,80,84 シャフト係合部,64,74,82A,86 スリット部
62,72,82B,88 挟持部,100 乗員室,104 仕切壁,106 コラムホール
M 車体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の乗員室の前側を仕切る仕切壁に形成されたコラムホールに装着されるカバー本体と、このカバー本体に設けられ、前記仕切壁の前側に配設されるギアボックスと乗員室に配設されるステアリングホイールとを接続するシャフト部材が挿通される挿通部を備えたコラムホールカバーにおいて、
前記カバー本体には、挿通した前記シャフト部材の周方向の回転を許容する前記挿通部と別に、該挿通部に挿通した該シャフト部材へ係脱可能で、該シャフト部材に係合したもとで該カバー本体の軸方向への移動を規制するシャフト係合部が設けられる
ことを特徴とするコラムホールカバー。
【請求項2】
前記シャフト係合部は、
一端が開放すると共に前記シャフト部材の外形より狭小に形成され、弾性変形したもとでシャフト部材を開放端から挿脱可能なスリット部と、
前記スリット部の他端に連通して設けられると共に前記シャフト部材の外形より狭小に形成されて、弾性変形したもとでシャフト部材を挟持して該シャフト部材に対する軸方向の移動を規制する挟持部とを備える請求項1記載のコラムホールカバー。
【請求項3】
前記カバー本体は、内側に前記挿通部が姿勢変位可能に設けられた筒状部と、この筒体部に前記挿通部と前記シャフト部材の挿通方向で並べて設けられたカバー部とを備え、
前記カバー部は、前記挿通部に形成されたシャフト挿通孔より大径の開口が、該シャフト挿通孔と前記シャフトの挿通方向で並べて開設されていると共に、この開口に連通して前記シャフト係合部が設けられている請求項2記載のコラムホールカバー。
【請求項4】
前記カバー本体は、内側に前記挿通部が設けられた筒状部と、この筒体部から延出して弾性変形可能な係合片部とを備え、
前記係合片部に、該係合片部の端部に連通して前記シャフト係合部が設けられた請求項2記載のコラムホールカバー。
【請求項5】
前記シャフト係合部の挟持部は、前記スリット部の開口幅より幅広に形成された開口である請求項2〜4の何れか一項に記載のコラムホールカバー。
【請求項6】
前記シャフト係合部の挟持部は、前記スリット部の端部から該スリット部と同じ幅で延長して設けられたスリットからなる請求項2〜4の何れか一項に記載のコラムホールカバー。
【請求項7】
前記シャフト係合部の挟持部は、前記スリット部の他端から放射状に設けられた複数のスリットからなる請求項2〜4の何れか一項に記載のコラムホールカバー。
【請求項1】
自動車の乗員室の前側を仕切る仕切壁に形成されたコラムホールに装着されるカバー本体と、このカバー本体に設けられ、前記仕切壁の前側に配設されるギアボックスと乗員室に配設されるステアリングホイールとを接続するシャフト部材が挿通される挿通部を備えたコラムホールカバーにおいて、
前記カバー本体には、挿通した前記シャフト部材の周方向の回転を許容する前記挿通部と別に、該挿通部に挿通した該シャフト部材へ係脱可能で、該シャフト部材に係合したもとで該カバー本体の軸方向への移動を規制するシャフト係合部が設けられる
ことを特徴とするコラムホールカバー。
【請求項2】
前記シャフト係合部は、
一端が開放すると共に前記シャフト部材の外形より狭小に形成され、弾性変形したもとでシャフト部材を開放端から挿脱可能なスリット部と、
前記スリット部の他端に連通して設けられると共に前記シャフト部材の外形より狭小に形成されて、弾性変形したもとでシャフト部材を挟持して該シャフト部材に対する軸方向の移動を規制する挟持部とを備える請求項1記載のコラムホールカバー。
【請求項3】
前記カバー本体は、内側に前記挿通部が姿勢変位可能に設けられた筒状部と、この筒体部に前記挿通部と前記シャフト部材の挿通方向で並べて設けられたカバー部とを備え、
前記カバー部は、前記挿通部に形成されたシャフト挿通孔より大径の開口が、該シャフト挿通孔と前記シャフトの挿通方向で並べて開設されていると共に、この開口に連通して前記シャフト係合部が設けられている請求項2記載のコラムホールカバー。
【請求項4】
前記カバー本体は、内側に前記挿通部が設けられた筒状部と、この筒体部から延出して弾性変形可能な係合片部とを備え、
前記係合片部に、該係合片部の端部に連通して前記シャフト係合部が設けられた請求項2記載のコラムホールカバー。
【請求項5】
前記シャフト係合部の挟持部は、前記スリット部の開口幅より幅広に形成された開口である請求項2〜4の何れか一項に記載のコラムホールカバー。
【請求項6】
前記シャフト係合部の挟持部は、前記スリット部の端部から該スリット部と同じ幅で延長して設けられたスリットからなる請求項2〜4の何れか一項に記載のコラムホールカバー。
【請求項7】
前記シャフト係合部の挟持部は、前記スリット部の他端から放射状に設けられた複数のスリットからなる請求項2〜4の何れか一項に記載のコラムホールカバー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−213270(P2011−213270A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84395(P2010−84395)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
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