説明

コルゲータのシート状態情報推定装置及び方法

【課題】コルゲータのシート状態情報推定装置及び方法に関し、装置のコストやメンテナンス負担を軽減でき、かつ精度よく把握することができるようにする。
【解決手段】紙シート3,4,6から段ボールシート7,8を製造するコルゲータ1において、走行する紙シート3,4,6又は段ボールシート7,8に関する複数の状態情報(シートの温度,水分,反り,接着不良)のうちの特定の状態情報(温度)から他の情報(水分,反り,接着不良)を推定対象として推定するシート状態情報推定装置であって、特定の状態情報(温度)を検出するセンサ31a〜31k、31mと、特定の状態情報と推定対象の状態情報との相関関係である予測モデル25a〜25cを用いて、センサにより検出された情報から推定対象の状態情報を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルゲータにおいて、製造前の紙シートや、製造中又は製造後の段ボールシートに関するシート温度,シート水分,シート反り,シート接着不良といった状態情報を推定する装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
片面段ボールや両面段ボール等の各種の段ボールを製造するコルゲータ(段ボールシート製造装置)では、製造した段ボールに反りや接着不良が生じないようにすることが要求される。段ボールの反りは、段ボールを構成するシートの各製造工程での温度や水分状態等に左右され、段ボールの接着不良は、主にシートの接着工程での温度に左右される。
このため、各製造工程でのシートの反りや接着不良を直接検知したり、あるいは、これらの製品不良を左右する各製造工程での温度状態や水分状態を直接検知したりする技術が開発され、段ボールの製造に使用されている。
【0003】
コルゲータ上でのシート温度を検知する技術としては、放射温度計等により走行シートの表面温度を非接触で実計測するものが提案されている。例えば、特許文献1には、ヒータロールの出口とダブルフェーサの入口には、それぞれ裏ライナ紙、表ライナ紙および片面段ボールシートの裏ライナ紙の温度を検出する非接触型の温度計を設置することが記載されている(特許文献1の段落0031,図1−3参照)。
【0004】
また、コルゲータでのシート水分を検知する技術としては、赤外線水分計等により走行シートの表面水分を非接触で実計測するものが提案されている。例えば、特許文献1には、シングルフェーサの入口に、予熱された裏ライナ紙の含水分量を検出する非接触型の水分計を設置することが記載されている(特許文献1の段落0031,図1−3参照)。
さらに、シートの反りについては、コルゲータ上で直接計測する技術は見られず、一般には、シート製造(接着)直後にオペレータが目視チェックする程度が現状であるが、特許文献2には、コルゲータで製造された後にスタッカに積重された段ボールシートの垂直方向変位量を変位量センサ(又は、CCDカメラ)により段ボールシートの流れ方向に沿って検出し、この検出情報に基づき段ボールシートの流れ方向反り量を演算する技術、及び、コルゲータで製造された段ボールシートの四隅の垂直方向変位量を検出し、この検出情報に基づき段ボールシートのツイスト反り量を演算する技術が提案されている(特許文献2の請求項1,2,段落0040−0050,図1,図5−8参照)。
【0005】
また、特許文献1には、段ボールシートの反り高さは、ダブルフェーサでの表ライナ紙接着前の表裏ライナ紙の含水分量差に依存することが記載されている(段落0020参照)。すなわち、接着時点で表裏ライナ紙間に含水分量の差が適正範囲でないと、両ライナ紙の含水分量が等しくなる大気湿度での定常含水分状態からの伸縮量が、表ライナ紙と裏ライナ紙とで大きく異なる状態で両者が貼り合わされ、その接着点が固定される。したがって、上面側の裏ライナ紙の含水分量が表ライナ紙の含水分量よりも適正範囲を越えて多くなると、前記定常含水分状態に至るまでに、裏ライナ紙の方の含水分量が大きく減少し、この含水分量の減少による縮み量が大きくなって、上反りを生じ、逆に下面側の表ライナ紙の含水分量が裏ライナ紙の含水分量よりも適正範囲を越えて多くなると、下反りを生じるというものである。
【0006】
さらに、スタッカ前のシート反りをレーザにより計測する技術も開発されている(特許文献2,非特許文献1参照)。
また、シート接着不良検知については、コルゲータ上で直接計測する技術は見られず、一般には、シート製造(接着)直後にオペレータが目視チェックする程度が現状であるが、特許文献3には、段ボールシートの貼合工程の手前で速度センサにより表ライナ紙と片面段ボールシートの走行速度又は走行量を検出し、両者の差を求めてこれを基準値と比較し、この差が基準値を超える値となったことを検出することにより段ボールシートの接着不良を検出する技術が提案されている(特許文献3の請求項1参照)。
【0007】
また、コルゲータの制御に、マトリックス制御を用いたものも提案されている(特許文献4参照)。
つまり、図11に示すように、この技術にかかるコルゲータ1は、上流側から上(裏)ライナ用プレヒータ11,中芯用プレヒータ12,シングルフェーサ13,片段用プレヒータ14,グルーマシン15,下(表)ライナ用プレヒータ16,ダブルフェーサ17,スリッタスコアラ18,カットオフ19,スタッカ20とをそなえている。
【0008】
上(裏)ライナ3が上ライナ用プレヒータ11に導入されて加熱され、中芯4が中芯用プレヒータ12に導入されて加熱され、加熱された上ライナ3と中芯4とがシングルフェーサ13に導入されて糊付けされ、片段シート(片面段ボールシート)5が形成される。さらに、片段シート5は、片段用プレヒータ14に導入されて加熱され、グルーマシン15に導入されて糊付けされる。また、下(表)ライナ6が下ライナ用プレヒータ16に導入されて加熱され、加熱された片段シート5と下ライナ6とがダブルフェーサ17に導入されて加圧されて糊付けされ、両面シート(両面段ボールシート)7が形成される。その後、両面シート7はスリッタスコアラ18で、シート搬送方向に沿って切断(裁断)及び罫入れがされ、さらに、カットオフ19で、シート搬送方向の所定長さに切断(裁断)され、一枚シート(一枚の両面シート)8とされて、スタッカ20に積載される。その後、一枚シートの両面シート8は最終製品としてスタッカ20から搬出される。
【0009】
このようなコルゲータ1を制御する生産管理装置202には、コルゲータの生産状態情報,コルゲータのマシン状態情報,シートの状態情報から、シート加熱,糊ギャップ量,加圧力等の制御量を演算する制御量演算部221と、上記のシート加熱,糊ギャップ量,加圧力をそれぞれ制御するプロセスコントローラ222とがそなえられ、制御量演算部221及びプロセスコントローラ222では、生産状態情報及び運転状態情報に基づきシート反り,シート接着不良等を招かないように設定されたマトリックス条件表に応じてマトリックス制御を行なうようになっている。
【特許文献1】特許3629459号公報
【特許文献2】特開2003‐266566号公報
【特許文献3】特開平10‐29253号公報
【特許文献4】特開2003‐231193号公報
【非特許文献1】International Paper Board Industry March 2005、第84〜88頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の従来技術では、以下のような課題がある。
(1)コルゲータでのシート温度検知について
(a)センサ(非接触型の温度計)が高価である。
(b)紙種による校正が必要である(特に、カラープリント紙の場合、検出値を校正しても実シート温度と合わない場合が有る)。
(c)高温(50℃以上)に弱い為、エアパージ等の冷却が必要である。
(d)紙粉等がレンズ表面に付着する為、エアパージ等での紙粉等の除去が必要である。
(e)定期的なメンテナンスが必要であり、維持負担がかかる。
(f)ハード製品である為、寿命があり、劣化,破損のおそれが有る。
【0011】
(2)コルゲータでのシート水分検知について
(a)センサ(非接触型の水分計)が高価(温度計以上に高価)である。
(b)紙種による校正が必要である(特に、カラープリント紙の場合、検出値を校正しても実シート温度と合わない場合が有る)。
(c)高温(50℃以上)に弱い為、エアパージ等の冷却が必要である。
(d)紙粉等がレンズ表面に付着する為、エアパージ等での紙粉等の除去が必要である、(e)定期的なメンテナンスが必要であり、維持負担がかかる。
(f)ハード製品である為、寿命があり、劣化,破損のおそれが有る。
【0012】
(3)コルゲータでのシートの反り検知について
(a)コルゲータでの一枚シートの反り量を定量的に把握できるものではないので、例えば、コルゲータ上のシートの温度や水分量との対応が明確にならず、反りを矯正するための、シートの温度や水分量の調整を適切に行うことが困難である。この為、一枚シート(ウェブ上のシートを流れ方向に切断したシート)の反りを十分に抑制できない。
(b)シート積載後の積載経時反り量を把握する技術ではない為、シート積載後の経時的に発生する反りを抑制するように、コルゲータ上でのシートの温度,水分量を調整することは困難である。この為,積載経時反りを十分に抑制できない。
(c)レーザやCCDカメラを用いた計測システムを使用する場合は、定期的なメンテナンスが必要であり、維持負担がかかる。
【0013】
(4)コルゲータでのシートの接着不良検知について
(a)特許文献3では、上下ライナの速度差を速度センサで検知して段ボールシートの接着不良を検出しているが、誤差が大きく、シート接着不良十分な制度で検知することが困難である。
(b)速度センサのメンテナンスが必要であり、維持負担がかかる。
【0014】
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、装置のコストやメンテナンス負担を軽減でき、かつ精度よく把握することができるようにした、コルゲータのシート状態情報推定装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明のコルゲータのシート状態情報推定装置(請求項1)は、紙シートから段ボールシートを製造するコルゲータにおいて、走行する前記紙シート又は前記段ボールシートに関する複数の状態情報のうちの特定の状態情報から他の情報を推定対象として推定するシート状態情報推定装置であって、前記特定の状態情報を検出する検出手段(センサ)と、前記特定の状態情報と前記推定対象の状態情報との相関関係である予測モデルを用いて、前記検出手段により検出された前記特定の状態情報から前記推定対象の状態情報を推定する推定手段とをそなえていることを特徴としている。
【0016】
前記特定の状態情報は前記紙シート又は前記段ボールシートのシート温度計測値であり、前記検出手段は温度センサであって、前記推定対象の状態情報は、前記紙シート又は前記段ボールシートのシート水分,シート反り,シート接着不良の何れかに関する情報であることが好ましい(請求項2)。
または、前記特定の状態情報は前記紙シート又は前記段ボールシートのシート水分であり、前記検出手段は水分センサであって、前記推定対象の状態情報は、前記紙シート又は前記段ボールシートのシート反り,シート接着不良の何れかに関する情報であることが好ましい(請求項3)。
【0017】
あるいは、前記特定の状態情報は前記紙シート又は前記段ボールシートのシート温度計測値及びシート水分計測値であり、前記検出手段は温度センサ及び水分センサであって、前記推定対象の状態情報は、前記紙シート又は前記段ボールシートのシート反り,シート接着不良の何れかに関する情報であることが好ましい(請求項4)。
また、前記シート反りに関する情報には、前記コルゲータの下流端のスタッカに1枚シートとして積重された前記段ボールシートの積載経時反りの情報を含むことが好ましい(請求項5)。
【0018】
また、前記予測モデルを記憶する記憶手段(メモリ)をさらにそなえ、前記推定手段は、前記記憶手段から前記予測モデルを呼び出して前記推定対象の状態情報を推定することが好ましい(請求項6)。
また、各種の条件下における前記予測モデルを記憶した知識データベースをさらにそなえ、前記推定手段は、前記知識データベースから所定の前記予測モデルを呼び出して前記推定対象の状態情報を推定することが好ましい(請求項7)。
【0019】
或いは、前記予測モデルを構成するニューラルネットワークをそなえ、前記推定手段は、前記ニューラルネットワークを用いて前記推定対象の状態情報を推定することが好ましい(請求項8)。
または、各種の条件下における前記予測モデルを記憶した知識データベースをさらにそなえるとともに、前記予測モデルを構成するニューラルネットワークをそなえ、前記推定手段は、知識データベースから呼び出した所定の前記予測モデルと前記ニューラルネットワークとを用いて前記推定対象の状態情報を推定することが好ましい(請求項9)。
【0020】
前記ニューラルネットワークは、階層型ニューラルネットワークであることが好ましい(請求項10)。
本発明のコルゲータのシート状態情報推定方法(請求項11)は、紙シートから段ボールシートを製造するコルゲータにおいて、走行する前記紙シート又は前記段ボールシートに関する複数の状態情報のうちの特定の状態情報から他の情報を推定対象として推定するシート状態情報推定方法であって、前記特定の状態情報と前記推定対象の状態情報との相関関係である予測モデルを予め用意して、前記特定の状態情報を検出する検出ステップと、前記予測モデルを用いて、前記検出ステップで検出された前記特定の状態情報から前記推定対象の状態情報を推定する推定ステップとをそなえていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明のコルゲータのシート状態情報推定装置(請求項1)及び方法(請求項11)によれば、紙シート又は段ボールシートに関する特定の状態情報及び推定対象の状態情報との相関関係である予測モデルを用いて、検出された特定の状態情報から推定対象の状態情報を推定するので、特定の状態情報についての検出手段を設けるだけで、推定対象の状態情報についての検出手段を設けることなく、推定対象の状態情報を把握することができる。
【0022】
例えば、コルゲータ上でのシート温度と、シート水分,シート反り,シート接着不良の何れかとの相関関係についての予測モデルを用意して、特定の状態情報としてのコルゲータ上でのシート温度を検出し、予測モデルを使って、シート温度からシート水分,シート反り,シート接着不良の何れかを推定することにより、シート水分,シート反り,シート接着不良について、それぞれの検出手段を設けなくても状態を把握することができ、装置のコストを抑制することができる。シート温度の検出手段を充実させるとともに、予測モデルを高精度に作成すれば、紙シート又は段ボールシートに関する各種の状態情報を、装置コストやメンテナンス負担を軽減しながら精度よく把握することができるようになる(請求項2)。
【0023】
また、コルゲータ上でのシート水分と、シート反り,シート接着不良の何れかとの相関関係についての予測モデルを用意して、特定の状態情報としてのコルゲータ上でのシート水分を検出し、予測モデルを使って、シート水分からシート反り,シート接着不良の何れかを推定することにより、シート反り,シート接着不良について、それぞれの検出手段を設けなくても状態を把握することができ、装置のコストを抑制することができて、紙シート又は段ボールシートに関する各種の状態情報を、装置コストやメンテナンス負担を軽減しながら精度よく把握することができるようになる(請求項3)。
【0024】
また、コルゲータ上でのシート温度,シート水分と、シート反り,シート接着不良の何れかとの相関関係についての予測モデルを用意して、特定の状態情報としてのコルゲータ上でのシート温度,シート水分を検出し、予測モデルを使って、シート水分からシート反り,シート接着不良の何れかを推定することにより、シート反り,シート接着不良について、それぞれの検出手段を設けなくても状態を把握することができ、装置のコストを抑制することができて、紙シート又は段ボールシートに関する各種の状態情報を、全体として装置コストやメンテナンス負担を軽減しながら精度よく把握することができるようになる(請求項4)。
【0025】
シート反りに関する情報として、前記コルゲータの下流端のスタッカに1枚シートとして積重された前記段ボールシートの積載経時反りの情報を推定できるようにすれば、積載経時反りの生じ難い、より品質の高い段ボールシートを製造することが可能になる(請求項5)。
また、各種の条件下における予測モデルを記憶した知識データベースをそなえ、知識データベースから所定の予測モデルを呼び出して推定対象の状態情報を推定するようにすれば、特定の状態情報についての検出手段を設けるだけで、種々の条件下でも容易に推定対象の状態情報を把握することができる(請求項7,9)。
【0026】
また、予測モデルをニューラルネットワーク(特に、階層型ニューラルネットワーク)により構成することで、予測モデルを学習により更新して、より精度の高い予測モデルを構築することができ、推定精度の向上に寄与し得る(請求項8,9,10)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
[A.第1実施形態]
図1〜図5は本発明の第1実施形態にかかるコルゲータ及びそのシート状態情報推定装置を示すもので、図1はその概略構成図、図2〜図4はその詳細構成図、図5はその反り簡易モデルを示す斜視図である。
【0028】
図1に示すように、本実施形態にかかるコルゲータ1は、上流側から上(裏)ライナ用プレヒータ11,中芯用プレヒータ12,シングルフェーサ13,片段用プレヒータ(片段シート用プレヒータ)14,グルーマシン15,下(表)ライナ用プレヒータ16,ダブルフェーサ17,スリッタスコアラ18,カットオフ19,スタッカ20とをそなえている。
【0029】
上(裏)ライナ3が上ライナ用プレヒータ11に導入されて加熱され、中芯4が中芯用プレヒータ12に導入されて加熱され、加熱された上ライナ3と中芯4とがシングルフェーサ13に導入されて糊付けされ、片段シート(片面段ボールシート)5が形成される。さらに、片段シート5は、片段用プレヒータ14に導入されて加熱され、グルーマシン15に導入されて糊付けされる。また、下(表)ライナ6が下ライナ用プレヒータ16に導入されて加熱され、加熱された片段シート5と下ライナ6とがダブルフェーサ17に導入されて加圧,加熱されて接着され、両面シート(両面段ボールシート)7が形成される。その後、両面シート7はスリッタスコアラ18で、シート搬送方向に沿って切断(裁断)及び罫入れがされ、さらに、カットオフ19で、シート搬送方向の所定長さに切断(裁断)され、一枚シート(一枚の両面シート)8とされて、スタッカ20に積載される。その後、一枚シートの両面シート8は最終製品としてスタッカ20から搬出される。
【0030】
ここで、上ライナ用プレヒータ11、中芯用プレヒータ12、片段用プレヒータ14、下ライナ用プレヒータ16、シングルフェーサ13、グルーマシン15、及びダブルフェーサ17の詳細な構成について図2〜図4を用いて説明する。なお、図2は上ライナ用プレヒータ11と中芯用プレヒータ12とシングルフェーサ13の構成を示した概略図、図3は片段用プレヒータ14と下ライナ用プレヒータ16とグルーマシン15とダブルフェーサ17の一部の構成を示した概略図、図4はダブルフェーサ17の構成を示した概略図である。
【0031】
図2に示すように、下ライナ用プレヒータ11は、縦に2段に配置された裏ライナ加熱ロール111A,111Bを備えている。裏ライナ加熱ロール111A,111Bは、内部に蒸気を供給することによって所定の温度に加熱されている。裏ライナ加熱ロール111A,111Bの周面には、ガイドロール115,114A,116,114Bによって順に案内される裏ライナ3が巻き付けられ、裏ライナ加熱ロール111A,111Bによって予加熱されている。
【0032】
ガイドロール115,114A,116,114Bのうち、一方の裏ライナ加熱ロール111Aに近接して設けられたガイドロール114Aは、裏ライナ加熱ロール111Aの軸に揺動自在に取り付けられたアーム113Aの先端に支持され、他方の裏ライナ加熱ロール111Bに近接して設けられたガイドロール114Bは、裏ライナ加熱ロール111Bの軸に揺動自在に取り付けられたアーム113Bの先端に支持されている。各アーム113A,113Bは、図示しないモータによって図中に矢印で示した角度範囲内の任意の位置に移動できるようになっている。ここでは、ガイドロール114A,アーム113A及び図示しないモータ、そして、ガイドロール114B,アーム113B及び図示しないモータが、それぞれ巻き付け量調整装置112A,112Bを構成している。
【0033】
このような構成により、裏ライナ用プレヒータ11では、裏ライナ加熱ロール111A,111Bに供給する蒸気圧や、巻き付け量調整装置112A,112Bによる裏ライナ3の裏ライナ加熱ロール111A,111Bへの巻き付け量(巻き付け角)により、裏ライナ3の含有水分量を調整できるようになっている。具体的には、蒸気圧が大きい程、また、巻き付け量が大きい程、裏ライナ加熱ロール111A,111Bから裏ライナ3に与えられる加熱量が増大し、裏ライナ3の乾燥が進んで含有水分量が低下することになる。
【0034】
シングルフェーサ13は、ベルトロール131と張力ロール132とに巻回された加圧ベルト133と、表面が波状に形成されて加圧ベルト133に加圧状態で当接した上段ロール134と、同じく表面が波状に形成されて上段ロール134に噛み合う下段ロール135を備えている。裏ライナ用プレヒータ11で加熱された裏ライナ3は、途中、ライナ用予熱ロール137に巻き付けられて予熱を与えられた後、ベルトロール131により案内されて加圧ベルト133とともに加圧ベルト133と上段ロール134とのニップ部に移送される。
【0035】
一方、中芯用プレヒータ12で加熱された中芯4は、途中、中芯用予熱ロール138に巻き付けられて予熱を与えられ、上段ロール134と下段ロール135との噛み合い部で段繰りされた後、上段ロール134により案内されて加圧ベルト133と上段ロール134とのニップ部に移送される。
上段ロール134の近傍には、糊付け装置136が配置されている。この糊付け装置136は、糊30を蓄えた糊ダム136aと、上段ロール134により搬送される中芯4に糊付けする糊付けロール136bと、糊付けロール136bの周面への糊30の付着量を調整するメータロール136cと、メータロール136cから糊を掻き取る糊掻きブレード136dとから構成されている。上段ロール134と下段ロール135との噛み合い部で段繰りされた中芯4は、糊付けロール136bにより段の各頂部に糊付けされ、加圧ベルト133と上段ロール134とのニップ部において裏ライナ3に貼り合わされる。これにより、片段シート5が形成される。
【0036】
このような構成により、シングルフェーサ13では、糊付けロール136bと上段ロール134との間のギャップ量や、糊付けロール136bとメータロール136cとの間のギャップ量により、裏ライナ3の含有水分量を調整できるようになっている。具体的には、ギャップ量が大きい程、中芯4と裏ライナ3との貼り合わせ面の糊量が増大し、糊に含まれる水分により裏ライナ3の含有水分量が増大することになる。上記の各ギャップ量は、糊付けロール136bを移動させたり、メータロール136cを移動させたりすることで調整することができる。
【0037】
なお、中芯用プレヒータ12は、裏ライナ用プレヒータ11と同様の構成であり、内部に蒸気を供給することによって所定の温度に加熱された中芯加熱ロール121と、中芯加熱ロール121への中芯4の巻き付け量(巻き付け角)を調整する巻き付け量調整装置122とを備えている。巻き付け量調整装置122は、中芯4が巻き付けられたガイドロール124と、中芯加熱ロール121の軸に揺動自在に取り付けられてガイドロール124を支持するアーム123と、アーム123を回転させる図示しないモータとから構成されている。
【0038】
片段シート用プレヒータ14と表ライナ用プレヒータ16とは、図3に示すように縦に2段に配置されている。これらプレヒータ14,16は、前述の裏ライナ用プレヒータ11と同様の構成を有している。片段シート用プレヒータ14は、片段シート加熱ロール141と巻き付け量調整装置142とを備えている。片段シート加熱ロール141は、内部に蒸気を供給することによって所定の温度に加熱されている。片段シート加熱ロール141の周面には、ガイドロール145,144によって順に案内される片段シート5の裏ライナ4側が巻き付けられ片段シート加熱ロール141によって予加熱されている。
【0039】
巻き付け量調整装置142は、一方のガイドロール144と、片段シート加熱ロール141の軸に揺動自在に取り付けられてガイドロール144を支持するアーム143と、アーム143を回転させる図示しないモータとから構成されている。そして、モータの制御により図中に矢印で示した角度範囲内の任意の位置にガイドロール144を移動させ、片段シート加熱ロール141への片段シート5の巻き付け量(巻き付け角)を調整できるようになっている。
【0040】
このような構成により、片段シート用プレヒータ14では、片段シート加熱ロール141に供給する蒸気圧や、片段シート5の片段シート加熱ロール141への巻き付け量(巻き付け角)により、裏ライナ4の含有水分量を調整できるようになっている。具体的には、蒸気圧が大きい程、また、巻き付け量が大きい程、片段シート加熱ロール141から裏ライナ4に与えられる加熱量が増大し、裏ライナ4の乾燥が進んで含有水分量が低下することになる。
【0041】
表ライナ用プレヒータ16は、表ライナ加熱ロール161と巻き付け量調整装置162とを備えている。表ライナ加熱ロール161は、内部に蒸気を供給することによって所定の温度に加熱されている。表ライナ加熱ロール161の周面には、ガイドロール165,164によって順に案内される表ライナ6が巻き付けられ表ライナ加熱ロール161によって予加熱されている。
【0042】
巻き付け量調整装置162は、一方のガイドロール164と、表ライナ加熱ロール161の軸に揺動自在に取り付けられてガイドロール164を支持するアーム163と、アーム163を回転させる図示しないモータとから構成されている。そして、モータの制御により図中に矢印で示した角度範囲内の任意の位置にガイドロール164を移動させ、表ライナ加熱ロール161への表ライナ6の巻き付け量(巻き付け角)を調整できるようになっている。
【0043】
このような構成により、表ライナ用プレヒータ16では、表ライナ加熱ロール161に供給する蒸気圧や、表ライナ6の表ライナ加熱ロール161への巻き付け量(巻き付け角)により、表ライナ6の含有水分量を調整できるようになっている。具体的には、蒸気圧が大きい程、また、巻き付け量が大きい程、表ライナ加熱ロール161から表ライナ6に与えられる加熱量が増大し、表ライナ6の乾燥が進んで含有水分量が低下することになる。
【0044】
グルーマシン15は、糊付け装置151と加圧バー装置152とを備えている。片段シート用プレヒータ14で加熱された片段シート5は、途中、片段用予熱ロール155により予熱を与えられた後、グルーマシン15内をガイドロール153,154によって順に案内されていく。糊付け装置151は、ガイドロール153,154間において、片段シート5の走行ラインの下側(中芯4側)に配置され、加圧バー装置152は走行ラインの上側(裏ライナ3側)に配置されている。
【0045】
糊付け装置151は、糊31を蓄えた糊ダム151aと、片段シート5の走行ラインの近傍に配置された糊付けロール151bと、糊付けロール151bに接して糊付けロール151bと逆回転するドクタロール151cとから構成されている。一方、加圧バー装置152は、糊付けロール151bとの間で片段シート5を挟むように配置された加圧バー152aと、加圧バー152aを糊付けロール151b側に押し付けるアクチュエータ152bとから構成されている。片段シート5は加圧バー152aによって糊付けロール151b側に押し付けられており、加圧バー152aと糊付けロール151bとの間を通過する際に、糊付けロール151bによって中芯4の段の各頂部に糊付けされるようになっている。中芯4に糊付けされた片段シート5は、次工程のダブルフェーサ17により表ライナ6と貼り合わされる。
【0046】
このような構成により、グルーマシン15では、糊付けロール151bと加圧バー152aとのギャップ量(すなわち、糊付けロール151bの片段シート4の走行ラインに対するギャップ量)により、表ライナ6の含有水分量を調整できるようになっている。具体的には、ギャップ量が大きい程、中芯4と表ライナ6との貼り合わせ面の糊量が増大し、それにより表ライナ6に加わる水分が増大して表ライナ6の含有水分量が増大することになる。上記のギャップ量は、アクチュエータ152bにより加圧バー152aの位置調整を行うことで調整することができる。
【0047】
グルーマシン15により糊付けされた片段シート5は、次工程のダブルフェーサ17に移送される。また、表ライナ用プレヒータ16で加熱された表ライナ6もグルーマシン15内を通ってダブルフェーサ17に移送される。その際、表ライナ6は、グルーマシン15内に配置されたライナ用予熱ロール156により案内されながらライナ用予熱ロール156から予熱を与えられる。
【0048】
ダブルフェーサ17の入口には、片段シート5の走行ラインに沿って裏ライナ3側に湿潤化装置或いは水分付与装置としての第1シャワー装置(裏ライナ湿潤装置)171Aが配置され、表ライナ6側に湿潤化装置或いは水分付与装置としての第2シャワー装置(表ライナ湿潤装置)171Bが配置されている。これらシャワー装置171A,171Bは、裏ライナ3,表ライナ6の含有水分量を調整するためのものであり、シャワー装置171Aから裏ライナ3に向けて、また、シャワー装置171Bから表ライナ6に向けて水が噴射されるようになっている。そして、シャワー装置171Aからのシャワー量に応じて裏ライナ3の含有水分量が増大し、シャワー装置171Bからのシャワー量に応じて表ライナ6の含有水分量が増大する。なお、これらシャワー装置171A,171Bは互いに独立して制御されるようになっている。
【0049】
本実施形態では、このようにダブルフェーサの前に上下ライナのための水分付与装置がそなえられるが、この水分付与装置は、通常オプションとして装備されるものであり、必須のものではない。また、水分付与装置は、ダブルフェーサの後に上下ライナ用として装備し制御するようにしてもよい。
ダブルフェーサ17は、図4に示すように、片段シート5及び表ライナ6の走行ラインに沿って、上流側のヒーティングセクション17Aと、下流側のクーリングセクション17Bとに分かれている。このうち、ヒーティングセクション17Aには複数の熱盤172が配置されており、表ライナ6がこれら熱盤172上を通過するようになっている。熱盤172は、内部に蒸気を供給することによって所定の温度に加熱されている。
【0050】
また、熱盤172上には上記走行ラインを挟んでループ状の加圧ベルト173が片段シート5及び表ライナ6と同期して走行しており、加圧ベルト173のループ内には複数の加圧ユニット174が熱盤172に対峙するように配置されている。加圧ユニット174は、加圧ベルト173の背面に摺接する加圧バー174aと、加圧バー174aを熱盤172側に押し付けるアクチュエータ174bとから構成されている。
【0051】
グルーマシン15で糊付けされた片段シート5は、加圧ベルト173側から加圧ベルト173と熱盤172との間に搬入される。一方、表ライナ用プレヒータ16で加熱された表ライナ6は、ライナ用入口予熱ロール175によって予熱を与えられた後、熱盤172側から加圧ベルト173と熱盤172との間に搬入される。そして、片段シート5と表ライナ6は、それぞれ加圧ベルト173と熱盤172との間に搬入された後、上下に重なりあった状態で一体となってクーリングセクション17Bへ向けて移送されていく。この移送中、片段シート5と表ライナ6は、加圧ユニット174により加圧ベルト173を介して加圧されながら表ライナ6側から加熱されることにより、互いに貼り合わされて段ボールシート7となる。段ボールシート7は、クーリングセクション17Bの出口に設けられたロータリシャー176によってその全幅或いは端部が切断されて、次工程のスリッタスコアラ18に移送される。
【0052】
このような構成により、ダブルフェーサ17では、熱盤172に供給する蒸気圧や、加圧ユニット174の加圧力により、表ライナ6の含有水分量を調整できるようになっている。具体的には、蒸気圧が大きい程、また、加圧力が大きい程、熱盤172から表ライナ6に与えられる加熱量が増大し、表ライナ6の乾燥が進んで含有水分量が低下することになる。また、片段シート5及び表ライナ6がダブルフェーサ17を通過する速度によっても、表ライナ6の含有水分量を調整することができる。この場合は、通過速度が遅いほど、表ライナ6が熱盤172に接している時間が長くなるために表ライナ6の乾燥が進んで含有水分量が低下することになる。
【0053】
このようなコルゲータ1では、上(裏)ライナ用プレヒータ11,中芯用プレヒータ12,片段用プレヒータ14,下(表)ライナ用プレヒータ16の各プレヒータによるシートへの加熱状態と、シングルフェーサ13及びグルーマシン15における糊ギャップ量と、ダブルフェーサ17における加圧力とを生産管理装置(コントローラ)2を通じて制御するように構成されている。
【0054】
なお、各プレヒータによるシートへの加熱状態は、各プレヒータの各加熱ロールへのシートの巻き付け量や各加熱ロールへの蒸気圧を調整することにより制御することができる。また、糊ギャップ量は、糊付けロールとシートの走行ラインとのギャップ量であり、上述のように、シングルフェーサ13では、糊付けロールと上段ロールとの間のギャップ量調整により制御することができ、グルーマシン15では、糊付けロールと加圧バーとのギャップ量調整により制御することができる。
【0055】
なお、制御対象要素としては、この他、ダブルフェーサ17の入口或いは出口に配置され、裏ライナ3を加湿するシャワー装置や表ライナを加湿するシャワー装置によるシャワー量や、さらに、表ライナ6の走行ラインに沿って配置され表ライナ6を加熱する熱盤の加熱状態(内部に供給される蒸気量)を加えても良い。
生産管理装置2には、コルゲータの生産状態情報,コルゲータのマシン状態情報,シートの状態情報から、上記のシート加熱,糊ギャップ量,加圧力といった制御量を演算する制御量演算部21と、上記のシート加熱,糊ギャップ量,加圧力をそれぞれ制御するプロセスコントローラ22と、上記のシート加熱,糊ギャップ量,加圧力の最適な状態を記憶する最適状態記憶部23と、上記のシート状態情報を取得及び推定するシート状態情報推定部(本発明のシート状態情報推定装置)24Aとがそなえられている。
【0056】
なお、シート状態情報推定装置24Aについては、シート状態情報をハードウェア(物理的なセンサ)にて取得するのではなく、ソフトウェア(コンピュータの論理)によって取得するので、ソフトセンサ24Aともいう。
コルゲータの生産状態情報には、原紙(上ライナ3,中芯4,下ライナ6の材料)の紙幅,フルート,構成(原紙構成),坪量(原紙坪量)といった種々のデータが含まれ、上位の図示しない生産管理システムから入力される。
【0057】
コルゲータのマシン状態(運転状態)情報には、運転速度(各シートの搬送速度)と、上(裏)ライナ用,中芯用,片段用,下(表)ライナ用の各プレヒータ11,12,14,16におけるシートの巻き付け量と、シングルフェーサ13,グルーマシン15のギャップ量と、ダブルフェーサ17における加圧力といった種々のデータが含まれ、生産管理装置2では、これらのマシン状態に関して制御量を設定して制御する。
【0058】
制御量演算部21は、図示しない生産管理システムから上記の生産状態情報を取得し、ソフトセンサ24Aからシート温度,シート水分,シート反り,シート接着不良等のシート状態情報を取得するとともに、プロセスコントローラ22を介してコルゲータ1のシート加熱,糊ギャップ量,加圧力等のマシン状態情報を取得し、これらの取得情報に応じてシート反り,シート接着不良等を招かないようにシート加熱,糊ギャップ量,加圧力等の各制御量を演算し、この演算結果を制御指令としてプロセスコントローラ22に出力するようになっている。
【0059】
また、プロセスコントローラ22は、制御量演算部21からの制御指令に基づいて各プレヒータ11,12,14,16,シングルフェーサ13,グルーマシン15のギャップ調整要素,ダブルフェーサ17の加圧力調整要素といった各制御要素を制御するようになっている。そして、制御量演算部21及びプロセスコントローラ22では、このような生産状態情報及び運転状態情報に基づきシート反り,シート接着不良等を招かないように設定されたマトリックス条件表に応じてマトリックス制御を行なうようになっている。
【0060】
なお、マトリックス制御とは、予め作成されたマトリックス条件表に記載された運転条件を選定して、選定した運転条件となるように調整する制御であり、コルゲータの制御においても例えば特許文献4に記載されている公知の技術である。
ここでは、上記の各生産状態下における、シート状態情報及び運転状態情報についてのマトリックス条件表が作成されており、各生産状態(原紙構成,原紙坪量,紙幅,フルート等)の下で、シート状態に対応して運転状態(運転速度,各プレヒータ11,12,14,16のシートの巻き付け量,各ギャップ量,加圧力等)を制御する。
【0061】
最適状態記憶部23では、ソフトセンサ24Aから上記のシート加熱,糊ギャップ量,加圧力の最適な状態が出力された時の種々の生産状態情報と種々の運転状態情報とが制御量演算部21から入力されるようになっており、この最適な状態が出力された時とは、制御量演算部21において、ソフトセンサ24Aからシート加熱,糊ギャップ量,加圧力の推定値を基準値と比較して、推定値がいずれも基準値以内であれば最適な状態である旨と判断し、最適状態記憶部23に、その時の種々の生産状態情報と種々の運転状態情報とを出力するようになっている。なお、これに代えて、或いは、これと併設して、オペレータが操作するOK釦(図示略)をそなえ、オペレータがシート加熱,糊ギャップ量,加圧力が最適で、反り,接着不良が無い状態を確認した時点でこのOK釦を押すことにより、この時の種々の生産状態情報と種々の運転状態情報とが制御量演算部21から最適状態記憶部23に入力されるようにしてもよい。
【0062】
また、プロセスコントローラ22は、上述したとおり常に各生産状態情報を把握しており、例えば段ボールシートのオーダが切り換えられて生産状態が変更された場合には、現状の生産状態と生産状態が一致する〔ここでは、紙幅,フルート,原紙構成及び原紙坪量がそれぞれ一致する(完全に一致するだけでなく略一致するのも含む)〕データ組がないか最適運転状態記憶部23内を検索し、所望のデータ組が見つかれば、このデータ組の運転状態情報を最適運転状態情報として読み出して、対応する制御要素をそれぞれこの最適運転状態になるように制御する。これは、最適運転状態記憶部23から最適運転状態情報が教示されると見ることができるので、この制御をティーチング制御ともいう。一方、最適運転状態記憶部23に現状の生産状態に対応する最適運転状態情報が見つからなければ、プロセスコントローラ22は通常のマトリックス制御を行なう。
【0063】
ところで、本実施形態にかかるソフトセンサ(シート状態情報推定装置)24Aでは、図1に示すように、コルゲータ1の各部(スタッカ18の出口部も含む)のシート温度の検出情報を各部に設置した温度センサ(非接触式センサ)31a〜31m(個々のセンサを区別しない場合は、符号31)から得て、これらの各シート温度から各部のシート水分を予測し、さらに、予測した各部のシート水分からシート反りを予測すると共に、各部のシート温度から各部のシート接着不良を予測するようになっている。特に、これらの予測は、予め構築された予測モデルをメモリ25に取り込んでこれを用いて行うようになっている。
【0064】
なお、温度センサ31aは、上ライナ用プレヒータ11の上流部及び下流部、中芯用プレヒータ12の上流部及び下流部、シングルフェーサ13の下流部、片段用プレヒータ14の上流部及び下流部、グルーマシン15の下流部、下ライナ用プレヒータ16の上流部及び下流部、ダブルフェーサ17の下流部、ススタッカ20の下流部とにそれぞれそなえられている。
【0065】
ここで、予測モデルについて説明する。
まず、シート温度からシート水分を予測する原理について説明する。温度センサ31a〜31mを設置した各部のシート温度がそれぞれの基準温度状態の場合に、各部のシート水分量は基準水分量となるが、各部のシート水分量は基準水分量と異なれば、これに対応する各部のシート温度も基準温度とは異なるものになる。また、各部のシート水分量の変化は、各部のシート温度自体だけでなく、各部間におけるシート温度の変化としても現れる。そこで、各部のシート温度、及び/又は、各部間におけるシート温度変化に対する各部のシート水分量を、実験又はシミュレーションを利用して予め求めておくことができ、想定される各部の温度範囲を十分にカバーするように、各部のシート温度、及び/又は、各部間におけるシート温度変化に対する各部のシート水分量の対応関係を求めて、これを予測モデル25aに設定する。
【0066】
次に、シート水分からシート反りを予測する原理について説明すると、シートはシート水分量と加わる張力とに応じて伸び又は縮みを生じ、表ライナ6と裏ライナ1との伸び又は縮みの差に応じて反りが生じる。この反りは、図5に示すように、シートの走行方向をMD方向とし、シートの幅方向をCD方向とすると、MD方向とCD方向とで異なる。
例えば、シートに基準的な張力を加えて、シート水分を1パーセント変化させると、水分によるMD方向伸び又は縮み及びCD方向伸び又は縮みは以下のようになる。
・MD方向水分伸び又は縮み:0.03%/[1%水分変化]
・CD方向水分伸び又は縮み:0.1%/[1%水分変化]
なお、シート水分を1%上昇させると上記の数値分だけ伸びと、シート水分を1%下降させると上記の数値分だけ縮むことになる。
【0067】
また、張力が水分によるMD方向伸び又は縮みは以下のようになる。
・MD方向張力伸び又は縮み:0.07%/[張力1kgf/cm変化]
なお、張力を1kg上昇させると上記の数値分だけ伸びと、張力を1kg減少させると上記の数値分だけ縮むことになる。
これにより、定常状態(シート水分:8〜10%,シート張力:0〜0.2kgf/cm)からシート水分,シート張力が変化したときのシートの各方向への伸び又は縮みを予測することができる。
【0068】
シートの反りは、上下の各ライナのMD方向,CD方向のシート伸縮の差(伸縮差,歪み差)を求めて、下式により、MD方向,CD方向の反り状態を示すWF(ワープ・ファクタ)を求めることができる。
WF=δ(610/W)2・(1/254)
=(6102/254)・(ε/8t)
ただし、δ=W2ε/8t,ε:上下ライナ歪み差,t:段ボール厚み,W:段ボール幅
したがって、シート張力を基準状態とすれば、各部のシート水分状態と、MD方向,CD方向の反り状態との対応関係を求めて、これを予測モデル25bに設定することができる。
【0069】
また、シート接着不良は、接着個所における温度状態が適切な範囲内にあればシート接着良であり、そうでなければシート接着不良とすることができ、各部の温度状態とシート接着不良との対応関係を求めて、これを予測モデル25cに設定することができる。
本実施形態では、このような、シート温度にシート水分を対応させた予測モデル25a、シート温度にシート接着不良を対応させた予測モデル25c、及び、シート水分にシート反りを対応させた予測モデル25bを、各種の生産状態(例えば、紙幅,フルート,原紙構成及び原紙坪量)に応じて、実験又はシミュレーションを利用して構築して、知識データベース26として、データベース化して使用している。
【0070】
なお、この知識データベース26は、必要に応じて、更新又は増強させることができるものとする。つまり、ソフトセンサ24Aによるシート水分,シート接着不良,シート反りの予測結果に誤差があると判断された場合(例えば、知識データベース26に基づく制御結果が適切でなかった場合)には、その生産状態における実験又はシミュレーションを再度実施して該当する予測モデルを再構築して、知識データベース26の所要箇所を更新することができる。また、知識データベース26に格納されていない生産状態について、実験又はシミュレーションを実施して該当する予測モデルを構築することで、知識データベース26に新たな生産状態下での予測モデルを増強させることができる。
【0071】
本発明の第1実施形態にかかるコルゲータのシート状態情報推定装置(ソフトセンサ)は上述のように構成されているので、以下のように、本ソフトセンサが動作して、コルゲータの作動が制御される。
つまり、コルゲータを始動させると、プロセスコントローラ22は、コルゲータ1のマシン状態を常に把握して、定期的に或いは制御量演算部21らの要求に応じて現在のマシン状態を制御量演算部21に出力する。
【0072】
また、本ソフトセンサ24Aでは、度センサ31a〜31mからコルゲータ1の各部のシート温度の検出情報を得て、知識データベース26から呼び出した対応する予測モデルを用いて、各シート温度から各部のシート水分を予測し、さらに、予測した各部のシート水分からシート反りを予測すると共に、各部のシート温度から各部のシート接着不良を予測し、これらの予測結果を、制御量演算部21に出力する。
【0073】
制御量演算部21では、図示しない生産管理システムからの生産状態情報と、ソフトセンサ24Aからのシート温度,シート水分,シート反り,シート接着不良といったシート状態情報と、プロセスコントローラ22からのコルゲータ1のシート加熱,糊ギャップ量,加圧力といったマシン状態情報とに応じて、予め作成されたマトリックス条件表から、シート加熱,糊ギャップ量,加圧力といった各制御量を演算し、この演算結果を制御指令としてプロセスコントローラ22に出力する。そして、プロセスコントローラ22では、制御量演算部21から出力された各制御量に基づいて、マトリックス制御によって、シート加熱,糊ギャップ量,加圧力等を制御する。
【0074】
なお、プロセスコントローラ22は、例えば段ボールシートのオーダが切り換えられて生産状態が変更された場合には、現状の生産状態と生産状態が一致する〔ここでは、紙幅,フルート,原紙構成及び原紙坪量がそれぞれ一致する(完全に一致するだけでなく略一致するのも含む)〕データ組がないか最適運転状態記憶部23内を検索し、所望のデータ組が見つかれば、このデータ組の運転状態情報を最適運転状態情報として読み出して、対応する制御要素をそれぞれこの最適運転状態になるように制御する。一方、最適運転状態記憶部23に現状の生産状態に対応する最適運転状態情報が見つからなければ、プロセスコントローラ22は通常のマトリックス制御を行なう。
【0075】
このようにして、シート温度,シート水分,シート反り,シート接着不良の各情報を把握することができるので、シート反りやシート接着不良が発生しないようにコルゲータの運転を行うことができる。
特に、本装置によれば、シート温度センサのみ必要であるが、シート水分センサ,シート反りセンサ,シート接着不良検知センサは不要なため、装置コストや装置のメンテナンス負担が大幅に軽減される効果がある。
【0076】
また、種々の予測モデルを格納した知識データベース26を用いて、シート水分,シート反り,シート接着不良を推定する方式なので、知識データベース26に格納させる予測モデルの形態の自由度が高く、予測モデルを各条件領域毎に部分的な線形モデルとして構成することができるので、生産状態の領域全体としては、非線形性な予測モデルであっても、部分的な線形モデルの集合として作ることができ、簡単な線形モデルで高精度の予測が可能となる。
【0077】
また、ノウハウや知識が全て予測モデルという形で知識データベース内に格納されている為、データの欠落,紛失等は無く、安全性に優れている。
特に、ソフトセンサがうまく働かなかった場合など、推定値がずれていた場合にも、再学習により再度データを与えて知識データベース26を更新すれば、ソフトセンサを修正することができ、実用性が高い。
【0078】
[B.第2実施形態]
図6は本発明の第2実施形態にかかるコルゲータ及びそのシート状態情報推定装置を示す概略構成図である。
図6に示すように、本実施形態にかかるコルゲータ1は、第1実施形態のものにシート水分センサ(非接触式センサ)32a〜32m(個々に区別しない場合は符号32)を追加したものである。なお、各水分センサ32a〜32mは温度センサ31a〜31mと同様の箇所に設置されている。
また、生産管理装置2のソフトセンサ(シート状態情報推定装置)24Bが第1実施形態のものと異なっている。
【0079】
つまり、本実施形態のソフトセンサ24Bは、各温度センサ31からコルゲータ1各部のシート温度情報を取得するとともに、各水分センサ32からコルゲータ1各部のシート水分情報を取得するので、シート反りと、シート接着不良のみを推定する。なお、第1実施形態で説明したのと同様に、シート反りはシート水分から予測し、シート接着不良はシート温度から予測する。
【0080】
したがって、本実施形態の予測モデルは、シート温度状態と水分状態との対応関係にかかる予測モデル25a(図1参照)はそなえないがと、シート水分状態と反り状態との対応関係にかかる予測モデル25bと、シート温度状態とシート接着不良との対応関係にかかる予測モデル25cとをそなえている。したがって、知識データベース26には、予測モデル25b,25cに関する予測モデルデータが格納されている。
【0081】
このほかの構成は、第1実施形態と同様である。
本発明の第2実施形態にかかるコルゲータのシート状態情報推定装置(ソフトセンサ)は上述のように構成されているので、第1実施形態と略同様に動作して略同様の効果を得ることができる。
本実施形態では、シート温度センサとシート水分センサとを設置するため、第1実施形態に比べて装置コストや装置のメンテナンス負担が軽減される効果は低下するが、しかし、シート反りセンサ,シート接着不良検知センサは不要なため、装置コストや装置のメンテナンス負担が軽減される効果がある。しかし、第1実施形態では、予測したシート水分に基づいてシート反りを予測する(予測に基づく予測)ため、シート反りを予測精度の確保が難しいが、本実施例では、実測したシート水分値に基づきシート反りを予測するため、予測精度を確保し易い利点がある。また、第1実施形態に比べてシート水分の予測のためのモデル化が不要になるため、その分の準備負担は減少する。
【0082】
[C.第3実施形態]
図7は本発明の第3実施形態にかかるコルゲータ及びそのシート状態情報推定装置を示す概略構成図である。
図7に示すように、本実施形態にかかるソフトセンサ(シート状態情報推定装置)24Cは、第1実施形態の知識データベース26に代えて、ニューラルネットワーク(特に、階層型ニューラルネットワーク)27をそなえている。
【0083】
このニューラルネットワーク27は、図7,図8に示すように、入力層27a,中間層27b,出力層27cからなり、入力層27aに温度センサ31a〜31mからのコルゲータ1各部のシート温度検出データが入力され、中間層27bを介して、出力層27cからシート水分,シート反り,シート接着不良の各情報が出力されるようになっている。このニューラルネットワーク27は、シミュレーション或いは試験によって、入力に対して適切な出力が得られるように予め学習して中間層27bを構築しており、シート温度からシート水分を予測する予測モデル25a、シート水分からシート反りを予測する予測モデル25b、シート温度からシート接着不良を予測する予測モデル25cに相当する機能を有している。
【0084】
このほかの構成は、第1実施形態と同様である。
本発明の第3実施形態にかかるコルゲータのシート状態情報推定装置(ソフトセンサ)は上述のように構成されているので、第1実施形態と略同様に動作して略同様の効果を得ることができる。
本実施形態では、知識データベースのように、大量のデータベースを作成、保持する必要が無いため、データ管理の面では容易になる。また、ニューラルネットワーク27は、学習更新に適しているので、機械を使用しながら、ニューラルネットワーク27を学習更新して、より高精度のニューラルネットワークを構築できるようになる。
【0085】
[D.第4実施形態]
図9は本発明の第4実施形態にかかるコルゲータ及びそのシート状態情報推定装置を示す概略構成図である。
図9に示すように、本実施形態にかかる本実施形態にかかるソフトセンサ(シート状態情報推定装置)24Dは、第2実施形態の知識データベース26に代えて、ニューラルネットワーク(特に、階層型ニューラルネットワーク)27をそなえている。
【0086】
このニューラルネットワーク27は、入力層27a,中間層27b,出力層27cからなり、入力層27aに温度センサ31a〜31mからのコルゲータ1各部のシート温度検出データ及び水分センサ32a〜32mからのコルゲータ1各部のシー水分検出データが入力され、中間層27bを介して、出力層27cからシート反り,シート接着不良の各情報が出力されるようになっている。このニューラルネットワーク27は、シミュレーション或いは試験によって、入力に対して適切な出力が得られるように予め学習して中間層27bを構築しており、シート水分からシート反りを予測する予測モデル25b、シート温度からシート接着不良を予測する予測モデル25cに相当する機能を有している。
【0087】
このほかの構成は、第2実施形態と同様である。
本発明の第4実施形態にかかるコルゲータのシート状態情報推定装置(ソフトセンサ)は上述のように構成されているので、第2実施形態と略同様に動作して略同様の効果を得ることができる。
本実施形態では、知識データベースのように、大量のデータベースを作成、保持する必要が無いため、データ管理の面では容易になる。また、ニューラルネットワーク27は、学習更新に適しているので、機械を使用しながら、ニューラルネットワーク27を学習更新して、より高精度のニューラルネットワークを構築できるようになる。
【0088】
[E.第5実施形態]
図10は本発明の第5実施形態にかかるコルゲータ及びそのシート状態情報推定装置を示す概略構成図である。
図10に示すように、本実施形態にかかる本実施形態にかかるソフトセンサ(シート状態情報推定装置)24Eは、第1実施形態の知識データベース26に加えて、ニューラルネットワーク(階層型ニューラルネットワーク)27をそなえている。
このニューラルネットワーク27は、第3実施形態のものと同様である。
【0089】
本実施形態では、シート状態情報の推定にあたり、知識データベース26とニューラルネットワーク27とを選択して使用できるようになっている。特に、コルゲータの生産状態情報に応じて、或いは、シート状態情報に応じて、知識データベース26とニューラルネットワーク27とを選択することができるようになっている。
【0090】
このほかの構成は、第1,3実施形態と同様である。
本発明の第5実施形態にかかるコルゲータのシート状態情報推定装置(ソフトセンサ)は上述のように構成されているので、第1,3実施形態と略同様に動作して略同様の効果を得ることができる。
特に、コルゲータの生産状態によって、知識データベース26が適したものとニューラルネットワーク27が適したものとがある。例えば、予測モデルの入出力間の相関関係が比較的線形なものにはニューラルネットワーク27を適用するようにすれば、知識データベース26の情報量を節約しながら、全体として効率的に、ソフトセンサ24Eを構成することができる。
【0091】
[F.その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、各実施形態では、温度センサ31或いは水分センサ32をコルゲータ1の各箇所に設置しているが、この中の一部の箇所のみに設けるようにしてもよい。特に、シート反りを推定するのに重要なのは、ダブルフェーサ17の上下流の部分、例えば、温度センサ31i,31j,31k或いは水分センサ32i,32j,32kであり、これらを含むように、検出箇所を選定することが好ましい。
【0092】
また、温度センサ31或いは水分センサ32は、もっともシンプルには各地点のシート幅方向の中央に設けることになるが、シート水分からC方向(幅方向)のシート反りを推定する場合には、温度センサ31或いは水分センサ32を、シート進行方向の同一地点においてシート幅方向に複数設けることが必用になる。この場合、シート幅方向に左右に対をなすように2箇所に、或いは、シート幅方向の中央及び左右一対の合計3箇所に設けるようにすることになる。
【0093】
また、上記実施形態ではあげていないが、ソフトセンサに用いる予測モデルとして、遺伝的アルゴリズム、線型回帰、主成分回帰、重回帰、演算による厳密モデル等を利用することも考えられ、これらと、知識データベース26やニューラルネットワーク27を適宜組み合わせて予測モデルに適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるコルゲータ及びそのシート状態情報推定装置を示す構成図である。
【図2】本発明の各実施形態にかかるコルゲータの上ライナ用プレヒータとシングルフェーサと中芯プレヒータの構成を示した概略図である。
【図3】本発明の各実施形態にかかるコルゲータの片段シート用プレヒータと表ライナ用プレヒータとグルーマシンとダブルフェーサの一部の構成を示した概略図である。
【図4】本発明の各実施形態にかかるコルゲータのダブルフェーサの構成を示した概略図である。
【図5】本発明の各実施形態にかかる反り簡易モデルを示す斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかるコルゲータ及びそのシート状態情報推定装置を示す構成図である。
【図7】本発明の第3実施形態にかかるコルゲータ及びそのシート状態情報推定装置を示す構成図である。
【図8】本発明の第3,4実施形態にかかるニューラルネットワークを示す模式図である。
【図9】本発明の第4実施形態にかかるコルゲータ及びそのシート状態情報推定装置を示す構成図である。
【図10】本発明の第5実施形態にかかるコルゲータ及びそのシート状態情報推定装置を示す構成図である。
【図11】従来のコルゲータの管理構成を示す構成図である。
【符号の説明】
【0095】
1 コルゲータ
2 生産管理装置
3 上(裏)ライナ
4 中芯
5 片段シート(片面段ボールシート)
6 下(表)ライナ
7 両面シート(両面段ボールシート)
8 一枚シートの両面シート
11 上(裏)ライナ用プレヒータ
12 中芯用プレヒータ
13 シングルフェーサ
14 片段用プレヒータ
15 グルーマシン
16 下(表)ライナ用プレヒータ
17 ダブルフェーサ
17A 上流側のヒーティングセクション
17B 下流側のクーリングセクション
18 スリッタスコアラ
19 カットオフ
20 スタッカ
21 制御量演算部
22 プロセスコントローラ
23 最適状態記憶部
24A〜24E シート状態情報推定部(シート状態情報推定装置)としてのソフトセンサ
25 メモリ
25a,25b,25c 予測モデル
26 知識データベース
27 ニューラルネットワーク
31,31a〜31m 温度センサ
32,32a〜32m 水分センサ
30,31 糊
111A,111B 裏ライナ加熱ロール
112A,112B 巻き付け量調整装置
113A,113B アーム
114A,114B,115,116 ガイドロール
121 中芯加熱ロール
122 巻き付け量調整装置
123 アーム
124 ガイドロール
131 ベルトロール
132 張力ロール
133 加圧ベルト
134 上段ロール
135 下段ロール
136 糊付け装置
136a 糊ダム
136b 糊付けロール
136c メータロール
136d 糊掻きブレード
137 ライナ用予熱ロール
138 中芯用予熱ロール
141 片段シート加熱ロール
142 巻き付け量調整装置
143 アーム
145,144 ガイドロール
151 糊付け装置
151a 糊ダム
151b 糊付けロール
151c ドクタロール
152 加圧バー装置
152a 加圧バー
152b アクチュエータ
153,154 ガイドロール
155 片段用予熱ロール
161 表ライナ加熱ロール
162 巻き付け量調整装置
163 アーム
164,165 ガイドロール
171A 第1シャワー装置(裏ライナ湿潤装置)
171B 第2シャワー装置(表ライナ湿潤装置)
172 熱盤
173 加圧ベルト
174 加圧ユニット
174a 加圧バー
174b アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙シートから段ボールシートを製造するコルゲータにおいて、走行する前記紙シート又は前記段ボールシートに関する複数の状態情報のうちの特定の状態情報から他の情報を推定対象として推定するシート状態情報推定装置であって、
前記特定の状態情報を検出する検出手段と、
前記特定の状態情報と前記推定対象の状態情報との相関関係である予測モデルを用いて、前記検出手段により検出された前記特定の状態情報から前記推定対象の状態情報を推定する推定手段とをそなえている
ことを特徴とする、コルゲータのシート状態情報推定装置。
【請求項2】
前記特定の状態情報は前記紙シート又は前記段ボールシートのシート温度計測値であり、前記検出手段は温度センサであって、
前記推定対象の状態情報は、前記紙シート又は前記段ボールシートのシート水分,シート反り,シート接着不良の何れかに関する情報である
ことを特徴とする、請求項1記載のコルゲータのシート状態情報推定装置。
【請求項3】
前記特定の状態情報は前記紙シート又は前記段ボールシートのシート水分であり、前記検出手段は水分センサであって、
前記推定対象の状態情報は、前記紙シート又は前記段ボールシートのシート反り,シート接着不良の何れかに関する情報である
ことを特徴とする、請求項1記載のコルゲータのシート状態情報推定装置。
【請求項4】
前記特定の状態情報は前記紙シート又は前記段ボールシートのシート温度計測値及びシート水分計測値であり、前記検出手段は温度センサ及び水分センサであって、
前記推定対象の状態情報は、前記紙シート又は前記段ボールシートのシート反り,シート接着不良の何れかに関する情報である
ことを特徴とする、請求項1記載のコルゲータのシート状態情報推定装置。
【請求項5】
前記シート反りに関する情報には、前記コルゲータの下流端のスタッカに1枚シートとして積重された前記段ボールシートの積載経時反りの情報を含む
ことを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載のコルゲータのシート状態情報推定装置。
【請求項6】
前記予測モデルを記憶する記憶手段をさらにそなえ、
前記推定手段は、前記記憶手段から前記予測モデルを呼び出して前記推定対象の状態情報を推定する
ことをコルゲータ、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコルゲータのシート状態情報推定装置。
【請求項7】
各種の条件下における前記予測モデルを記憶した知識データベースをさらにそなえ、
前記推定手段は、前記知識データベースから所定の前記予測モデルを呼び出して前記推定対象の状態情報を推定する
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコルゲータのシート状態情報推定装置。
【請求項8】
前記予測モデルを構成するニューラルネットワークをそなえ、
前記推定手段は、前記ニューラルネットワークを用いて前記推定対象の状態情報を推定する
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコルゲータのシート状態情報推定装置。
【請求項9】
各種の条件化における前記予測モデルを記憶した知識データベースをさらにそなえるとともに、
前記予測モデルを構成するニューラルネットワークをそなえ、
前記推定手段は、知識データベースから呼び出した所定の前記予測モデルと前記ニューラルネットワークとを用いて前記推定対象の状態情報を推定する
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコルゲータのシート状態情報推定装置。
【請求項10】
前記ニューラルネットワークは、階層型ニューラルネットワークである
ことを特徴とする、請求項8又は9記載のコルゲータのシート状態情報推定装置。
【請求項11】
紙シートから段ボールシートを製造するコルゲータにおいて、走行する前記紙シート又は前記段ボールシートに関する複数の状態情報のうちの特定の状態情報から他の情報を推定対象として推定するシート状態情報推定方法であって、
前記特定の状態情報と前記推定対象の状態情報との相関関係である予測モデルを予め用意して、
前記特定の状態情報を検出する検出ステップと、
前記予測モデルを用いて、前記検出ステップで検出された前記特定の状態情報から前記推定対象の状態情報を推定する推定ステップとをそなえている
ことを特徴とする、コルゲータのシート状態情報推定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−112023(P2007−112023A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306395(P2005−306395)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【Fターム(参考)】