コルゲートチューブ、コルゲートチューブ中間製造物及びコルゲートチューブ付ワイヤーハーネス
【課題】スリットを挟む両端縁部のずれを抑制しつつスリットを閉じる作業をなるべく容易に行えるようにすることを目的とする。
【解決手段】コルゲートチューブ20は、筒状に形成され、その長手方向に沿って環状凸部22と環状凹部24とが交互に形成されると共に、その長手方向に沿ってスリットSが形成されたコルゲートチューブ本体部21と、コルゲートチューブ本体部21のうちスリットSを挟む両側縁部の一方側に設けられた複数の第1延出片30と、両側縁部の他方側に設けられた複数の第2延出片40とを備える。複数の第1延出片30と複数の第2延出片40とが、コルゲートチューブ本体部21の長手方向において互いに異なる箇所でコルゲートチューブ本体部21の内周側に配設された状態で、スリットSが閉じられる。また、複数の第1延出片30と複数の第2延出片40とのうちの少なくとも1つは、平らな形状のフラット片30Aに形成されている。
【解決手段】コルゲートチューブ20は、筒状に形成され、その長手方向に沿って環状凸部22と環状凹部24とが交互に形成されると共に、その長手方向に沿ってスリットSが形成されたコルゲートチューブ本体部21と、コルゲートチューブ本体部21のうちスリットSを挟む両側縁部の一方側に設けられた複数の第1延出片30と、両側縁部の他方側に設けられた複数の第2延出片40とを備える。複数の第1延出片30と複数の第2延出片40とが、コルゲートチューブ本体部21の長手方向において互いに異なる箇所でコルゲートチューブ本体部21の内周側に配設された状態で、スリットSが閉じられる。また、複数の第1延出片30と複数の第2延出片40とのうちの少なくとも1つは、平らな形状のフラット片30Aに形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線を保護するコルゲートチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コルゲートチューブとして、特許文献1及び特許文献2のように、ロック構造を形成したコルゲートチューブが提案されている。
【0003】
特許文献1に開示のコルゲートでは、スリットを挟む両端部の一方側にロック突起が形成されている。そして、スリットを閉じると、前記ロック突起と前記両端部の他方側の閉壁とが係合して、スリットが閉鎖状態にロックされる。
【0004】
特許文献2に開示のコルゲートチューブでは、スリットを挟む両端部に対して、閉壁とこの閉壁に係止するロック部が、軸方向に交互に並んで配されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−38964号公報
【特許文献2】特開2009−142100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、ロック突起は閉壁の内周側から閉壁に係合している。このため、スリットを挟む両端部がコルゲートチューブの径方向にずれてしまう恐れがある。これにより、例えば、スリットを挟む一方側の端部が他方側の端部の内周側に入り込んでしまう恐れがある。
【0007】
また、特許文献2に開示の技術では、スリットを閉じるために多数箇所でロック部と閉壁とを係止する必要があり、スリットを閉じる作業に大きな力が必要となり、作業性に難がある。
【0008】
そこで、本発明は、スリットを挟む両端縁部のずれを抑制しつつ、スリットを閉じる作業をなるべく容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の態様は、筒状に形成され、その長手方向に沿って環状凸部と環状凹部とが交互に形成されると共に、その長手方向に沿ってスリットが形成されたコルゲートチューブ本体部と、前記コルゲートチューブ本体部のうち前記スリットを挟む両側縁部の一方側に設けられた複数の第1延出片と、前記両側縁部の他方側に設けられた複数の第2延出片と、を備え、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とが、前記コルゲートチューブ本体部の長手方向において互いに異なる箇所で前記コルゲートチューブ本体部の内周側に配設された状態で、前記スリットが閉じられると共に、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とのうちの少なくとも1つは、平らな形状のフラット片に形成されている。
【0010】
第2の態様は、第1の態様に係るコルゲートチューブであって、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とが、前記コルゲートチューブ本体部の長手方向において互いに当接するように噛合った状態で、前記スリットが閉じられるものである。
【0011】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るコルゲートチューブであって、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とのうち前記フラット片に形成されたもの以外の少なくとも一つは、ロック突部を有するロック片に形成され、前記両側縁部のうち前記ロック片に対向する部分が、前記ロック片を係止可能な被係止部に形成されているものである。
【0012】
第4の態様は、第3の態様に係るコルゲートチューブであって、前記ロック突部は、前記コルゲートチューブ本体部の前記環状凸部に対応する位置に形成され、前記ロック突部は、前記コルゲートチューブ本体部の内周側から前記被係止部に係止するものである。
【0013】
第5の態様は、第3又は第4の態様に係るコルゲートチューブであって、前記ロック片は、前記両側縁部のうちの一方にのみに形成されている。
【0014】
第6の態様は、第1〜第5のいずれか1つの態様に係るコルゲートチューブであって、前記コルゲートチューブ本体部のうち前記両側縁部の内周側部分であって前記複数の第1延出片及び前記複数の第2延出片が配設される部分に、逃げ凹部が形成されているものである。
【0015】
第7の態様に係るコルゲートチューブ中間製造物は、横断面C字状をなす筒状に形成され、その長手方向に沿って環状凸部と環状凹部とが交互に形成されたコルゲートチューブ本体部と、ロック突部を有し、前記コルゲートチューブ本体部の両側縁部間に前記コルゲートチューブ本体部の長手方向において間隔をあけて設けられた複数のロック片形成部と、平らな形状に形成され、前記コルゲートチューブ本体部の両側縁部間であって前記複数のロック片形成部の間に前記複数のロック片形成部と一体化された状態で設けられた複数のフラット片形成部とを備える。
【0016】
第8の態様に係るコルゲートチューブ付ワイヤーハーネスは、少なくとも1本の電線を含むワイヤーハーネスと、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とが、前記コルゲートチューブ本体内に入り込んだ状態で、前記ワイヤーハーネスを覆う、請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のコルゲートチューブとを備える。
【発明の効果】
【0017】
第1の態様に係るコルゲートチューブによると、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とが、前記コルゲートチューブ本体部の長手方向において互いに異なる箇所で前記コルゲートチューブ本体部の内周側に配設された状態で、前記スリットが閉じられるため、前記両側縁部がコルゲートチューブ本体部の径方向にずれることが抑制される。また、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片のうちの少なくとも1つは、平らな形状のフラット片に形成されているため、スリットを閉じる作業をなるべく容易に行える。
【0018】
第2の態様によると、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とが、前記コルゲートチューブ本体部の長手方向において互いに当接するように噛合った状態で前記スリットが閉じられるため、両側縁部がコルゲートチューブ本体部の長手方向においてもずれ難い。
【0019】
第3の態様によると、ロック片が被係止部に係止することで、スリットの開きが抑制される。この際、第1延出片と第2延出片とによって両側縁部のずれが抑制されているため、ロック片と被係止部との係止解除が抑制され、スリットの開きがより確実に抑制される。
【0020】
第4の態様によると、前記ロック突部は、前記コルゲートチューブ本体部の前記環状凸部に対応する位置に形成され、前記ロック突部は、前記コルゲートチューブ本体部の内周側から前記被係止部に係止するため、コルゲートチューブ本体部の内径になるべく影響を与えないようにしつつ、環状凸部の形成部分で、ロック突部を被係止部に係止させることができる。
【0021】
第5の態様によると、前記ロック片は、前記両側縁部のうちの一方にのみに形成されているため、ロック片を被係止部に係止させつつ、スリットを閉じる作業を容易に行える。
【0022】
第6の態様によると、前記コルゲートチューブ本体部のうち前記両側縁部の内周側部分であって前記複数の第1延出片及び前記複数の第2延出片が配設される部分に、逃げ凹部が形成されているため、コルゲートチューブ本体部の内周側への前記第1延出片及び前記第2延出片の突出が抑制される。
【0023】
第7の態様によると、複数のロック片形成部と複数のフラット片形成部との一側とコルゲートチューブ本体部との間で直線状に切離すことで、スリットの両側縁部が直線状であるコルゲートチューブを製造することができる。また、複数のロック片形成部と複数のフラット片形成部とを切離すようにジグザグに切離すことで、コルゲートチューブ本体部のうちスリットの挟む両側縁部の一方側にロック片が設けられ、他方側にフラット片が形成されたコルゲートチューブを製造することができる。
【0024】
第8の態様に係るコルゲートチューブ付ワイヤーハーネスによると、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とが、前記コルゲートチューブ本体部の長手方向において互いに異なる箇所で前記コルゲートチューブ本体部の内周側に配設された状態で、前記スリットが閉じられているため、前記両側縁部がコルゲートチューブ本体部の径方向にずれることが抑制される。また、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片のうちの少なくとも1つは、平らな形状のフラット片に形成されているため、スリットを閉じる作業をなるべく容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係るコルゲートチューブの部分斜視図である。
【図2】同上のコルゲートチューブの部分正面図である。
【図3】同上のコルゲートチューブを示す部分平面図である。
【図4】同上のコルゲートチューブを内周側から見た部分説明図である。
【図5】ロック片と被係止部との係止途中状態を示す部分断面図である。
【図6】ロック片と被係止部との係止途中状態を示す部分断面図である。
【図7】ロック片と被係止部との係止部分を示す部分斜視図である。
【図8】ロック片と被係止部との係止部分を示す部分正面図である。
【図9】ロック片と被係止部との係止部分を示す部分平面図である。
【図10】ロック片と被係止部との係止部分をコルゲートチューブの内周側から見た部分説明図である。
【図11】ロック片と被係止部との係止部分を示す部分断面図である。
【図12】ロック片と被係止部との係止部分を示す部分断面図である。
【図13】コルゲートチューブ中間生成物を示す部分平面図である。
【図14】変形例に係るコルゲートチューブを示す部分平面図である。
【図15】変形例に係るコルゲートチューブを示す部分平面図である。
【図16】変形例に係るコルゲートチューブを示す部分平面図である。
【図17】変形例に係るコルゲートチューブを示す部分平面図である。
【図18】変形例に係るコルゲートチューブを示す部分平面図である。
【図19】変形例に係るコルゲートチューブを示す部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施形態に係るコルゲートチューブ及びコルゲートチューブ付ワイヤーハーネスについて説明する。図1は実施形態に係るコルゲートチューブ20が取付けられたワイヤーハーネス10の部分斜視図であり、図2は同コルゲートチューブ20の部分正面図であり、図3はコルゲートチューブ20の部分平面図であり、図4はコルゲートチューブ20のスリット部分を内周側から見た部分説明図である。
【0027】
このコルゲートチューブ20は、車両等に配設されるワイヤーハーネス10を覆って保護する部材である。
【0028】
ここで、ワイヤーハーネス10は、複数の電線が結束された構成とされている。より具体的には、ワイヤーハーネス10は、複数の電線が配設対象となる車両への配線形態に応じて分岐しつつ結束された構成とされている。ワイヤーハーネス10は、必ずしも分岐している必要はないし、また、単一の電線によって構成されていてもよい。また、ワイヤーハーネス10に、他の光ケーブル等が結束されていてもよい。ワイヤーハーネス10に対して本コルゲートチューブ20が装着される部分は、ワイヤーハーネス10の少なくとも一部であればよく、ワイヤーハーネス10の部であっても、ほぼ全体であってもよい。
【0029】
このコルゲートチューブ20は、コルゲートチューブ本体部21と、複数の第1延出片30と、複数の第2延出片40とを備えており、全体としてスリットSを有する筒状に形成されている。このコルゲートチューブ20は、例えば、溶融した樹脂を筒状に押出し、これをバキューム成形或はブロー成形等によって所定の金型に押付けることによって形成される。このため、コルゲートチューブ20は、後述する環状凸部22及び環状凹部22を含むコルゲートチューブ20、数の第1延出片30及び複数の第2延出片40を形成する各部分において同一厚みに形成されている。
【0030】
コルゲートチューブ本体部21は、筒状に形成されており、その長手方向に沿ってスリットSが形成されている。換言すれば、コルゲートチューブ本体部21は、横断面C字状をなす筒状に形成されている。また、コルゲートチューブ本体部21は、その長手方向に沿って環状凸部22及び環状凹部24が交互に形成された構成とされている。環状凸部22は、コルゲートチューブ本体部21の外周面においてその周方向に突出する部分である。環状凹部24は、コルゲートチューブ本体部21の外周面においてその周方向に凹む部分である。これら環状凸部22及び環状凹部24は、上記したように、同一厚みに形成されている。
【0031】
このコルゲートチューブ本体部21は、環状凸部22と環状凹部24との間の段部等で容易に弾性変形するため、全体としてみると曲げ変形容易な性質を有している。また、上記環状凹部24の内径は、装着対象となるワイヤーハーネス10の外径よりも大きい(通常は多少大きい程度)に設定されている。
【0032】
複数の第1延出片30は、コルゲートチューブ本体部21のうちスリットSを挟む両側縁部の一方側に間隔をあけて形成されている。また、複数の第2延出片40は両側縁部の他方側に間隔をあけて形成されている。
【0033】
また、複数の第1延出片30と複数の第2延出片40とは、コルゲートチューブ本体部21の長手方向において、互いに異なる位置に形成されている。これにより、複数の第1延出片30と前記複数の第2延出片40とが、コルゲートチューブ本体部21の長手方向において互いに異なる箇所でコルゲートチューブ本体部21の内周側に配設された状態で、スリットSが閉じられるようになっている(図11参照)。
【0034】
ここでは、コルゲートチューブ本体部21の長手方向において複数の第1延出片30と複数の第2延出片40とが交互に位置するように形成されている。隣合う第1延出片30と第2延出片40とは、後述する僅かな隙間である切断線を介して隣合っている。そして、複数の第1延出片30と複数の第2延出片40とがコルゲートチューブ本体部21の長手方向において互いに当接するように噛合った状態で、スリットSが閉じられるようになっている。
【0035】
特に、特に本実施形態においては、複数の第1延出片30及び複数の第2延出片40は、複数の環状凸部22と対応する位置及びピッチで形成されている。換言すれば、隣合う第1延出片30と第2延出片40とは、環状凹部24の幅方向中央部に沿ったラインで分離されている。そして、スリットSを閉じると、複数の第1延出片30及び複数の第2延出片40は、それぞれ対応する環状凸部22の内周側に入り込むように配設される。
【0036】
なお、隣合う第1延出片30と第2延出片40とを分離する切断線は、各環状凹部24の幅方向中央部に沿った線以外の位置に設定されていてもよい。また、隣合う第1延出片30と第2延出片40との間により大きな間隔が設けられており、スリットSが閉じられた状態で、第1延出片30と第2延出片40とが当接しない、即ち、噛合わなくてもよい。
【0037】
また、上記複数の第1延出片30及び複数の第2延出片40のうち少なくとも1つは、平らな形状のフラット片30Aに形成されている(本実施形態では、第1延出片30とフラット片30Aとは同一箇所を示すことになる)。ここでは、スリットSを挟む一方側の側縁部に形成された複数の第1延出片30の全てがフラット片30Aに形成されている。ここで、平らな形状のフラット片30Aとは、コルゲートチューブ本体部21のうちスリットSを挟む側縁部に係止せずに、当該側縁部の下方に入り込める程度にフラットに形成されていることをいう。従って、フラット片30Aには、多少の凹凸が形成されていてもよく、また、フラット片30Aは多少湾曲していてもよい。ここでも、フラット片30Aは、環状凹部24の内周形状に合わせて僅かに湾曲する方形平板状に形成されている。
【0038】
また、複数の第1延出片30と複数の第2延出片40のうち上記フラット片30Aに形成されたもの以外の少なくとも一つ、即ち、ここでは、第2延出片40の全ては、ロック突部42Bを有するロック片40Bに形成されている(本実施形態では、第1延出片30とフラット片30Aとは同一箇所を示すことになる)。また、上記スリットSを挟む両側縁部のうち上記各ロック片40Bに対向する部分は、当該ロック片40Bを係止可能な被係止部46Bに形成されている。
【0039】
より具体的には、ロック片40Bは、板状部41Bとロック突部42Bとを有している。板状部41Bは、上記フラット片30Aと同様に、環状凹部24の内周形状に合わせて僅かに湾曲する方形平板状に形成されており、コルゲートチューブ本体部21の側縁部の内周側に入り込めるようになっている。ここでは、板状部41Bは、フラット片30Aと同厚み、同幅、同長さであるが、必ずしもこれらが同じである必要はない。また、ロック突部42Bは、板状部41Bの外周面であって環状凸部22に対応する位置(ここでは板状部41Bの外周面の中央部)に突設されている。ロック突部42Bのうち板状部41Bの先端側の面42Bfは、当該板状部41Bの先端側に向けて内周側に傾斜するガイド面42Bfに形成されている。
【0040】
ロック突部42Bの高さ寸法は、環状凸部22の内周側に形成される内周側凹部22gの深さ寸法よりも小さく設定され、また、ロック突部42Bの幅寸法は前記内周側凹部22gの幅寸法よりも小さく設定されている。
【0041】
また、上記被係止部46Bは、スリットSを挟む側縁部において、環状凸部22の周方向の一端部を閉塞する壁部によって形成されている(図12参照)。そして、ロック片40BがスリットSを介して対向する側縁部において、環状凸部22の内周側に入り込むと、ロック突部42Bが内周側凹部22g内に嵌り込んで、前記被係止部46Bに対して、スリットSを開かない方向に抜け止係止する。これにより、ロック突部42Bは、コルゲートチューブ本体部21の内周側から被係止部46Bに係止することとなる。
【0042】
なお、複数の第1延出片30及び複数の第2延出片40に対して、どれをフラット片30Aに形成し、どれをロック片40Bに形成するかについては、多様な組合わせが考えられる。その各種例については後の変形例で説明する。
【0043】
また、上記コルゲートチューブ本体部21のうちスリットSを挟む両側縁部の内周側部分であって、複数の第1延出片30であるフラット片30A及び第2延出片40であるロック片40Bが配設される部分に、逃げ凹部26が形成されている。
【0044】
すなわち、複数のフラット片30Aは、それに対向する、コルゲートチューブ本体部21の側縁部の内周側に配設されるので、特に対策を施さないと、コルゲートチューブ本体部21の内周部において複数のフラット片30Aがその厚み分突出してしまう。そこで、複数の第1延出片30に対向する、コルゲートチューブ本体部21の側縁部の内周部に、フラット片30Aの厚み及び長さに応じた凹みを形成し、これを逃げ凹部26としている。
【0045】
同様に、複数のロック片40Bは、それに対向する、コルゲートチューブ本体部21の側縁部の内周側に配設されるので、特に対策を施さないと、コルゲートチューブ本体部21の内周部において複数のロック片40Bの板状部41Bがその厚み分突出してしまう。そこで、ロック片40Bに対向する、コルゲートチューブ本体部21の側縁部の内周部に、板状部41Bの厚み及び長さに応じた凹みを形成し、これを逃げ凹部26としている。
【0046】
本実施形態では、結局、コルゲートチューブ本体部21のうちスリットSを挟む両側縁部の内周側部分(つまり、各環状凹部24の内周側部分)に、コルゲートチューブ本体部21の長手方向において連続的に凹む逃げ凹部26を形成している。
【0047】
このように構成されたコルゲートチューブ20をワイヤーハーネス10に装着する際の動作について説明する。
【0048】
すなわち、コルゲートチューブ20内にワイヤーハーネス10を配設した状態で、図5及び図6に示すように、複数のフラット片30Aと複数のロック片40Bとを相互間に配設するようにした状態で、コルゲートチューブ本体部21の両側縁部を近づけて、複数のフラット片30Aを対向する側縁部の内周側に滑り込ませると共に、複数のロック片40Bを対向する側縁部の内周側に滑り込ませるようにする。そして、各ロック片40Bのロック突部42Bのガイド面42Bfが被係止部46Bに当接すると、被係止部46Bがガイド面42Bfに沿って移動し、各ロック片40Bが内周側に弾性変形する。そして、ロック突部42Bが被係止部46Bを乗越えると、図7〜12に示すように、ロック突部42Bが環状凸部22の内周側凹部22gに嵌り込む。これにより、ロック片40Bは、スリットSを開く方向への移動を抑制された状態で、被係止部46Bに係止する。この状態では、ロック片40Bは、対向する側縁部の内周側に位置しているため、ロック片40Bと対向する側縁部は、ロック片40Bが形成された側縁部に対して内周側に移動し難い。また、フラット片30Aは、対向する側縁部の内周側に位置しているため、フラット片30Aと対向する側縁部は、フラット片30Aが形成された側縁部に対して内周側に移動し難い。このため、コルゲートチューブ本体部21においてスリットSを挟んで対向する両側縁部は、その径方向に位置ずれし難い。
【0049】
以上のように構成されたコルゲートチューブ20によると、複数の第1延出片30としての複数のフラット片30Aと、複数の第2延出片40としての複数のロック片40Bとが、コルゲートチューブ本体部21の長手方向において互いに異なる箇所でコルゲートチューブ本体部21の内周側に配設された状態で、スリットSが閉じられるため、両側縁部がコルゲートチューブ本体部21の径方向に位置ずれすることが抑制される。
【0050】
特に、ここでは、第2延出片40がロック片40Bに形成され、当該ロック片40Bが被係止部46Bに係止することで、スリットSの開きが抑制されている。この際、第1延出片30と第2延出片40とによって両側縁部の径方向のずれが抑制されているため、それらの係止解除が抑制され、スリットSの開きがより確実に抑制されることとなる。
【0051】
また、複数の第1延出片30及び複数の第2延出片40のうちの少なくとも1つ、ここでは、複数の第1延出片30としての複数のフラット片30Aは、平らな形状に形成されているところ、当該フラット片30Aについては、それを対向する側縁部の内周部に円滑かつ比較的小さい力で入り込ませることができる。このため、スリットSを閉じる作業を比較的容易に行える。
【0052】
また、複数の第1延出片30としての複数のフラット片30Aと、複数の第2延出片40としての複数のロック片40Bとが、コルゲートチューブ本体部21の長手方向において互いに当接するように噛合った状態でスリットSが閉じられるため、両側縁部がコルゲートチューブ本体部21の長手方向においても位置ずれし難い。このため、スリットSを挟む両側縁部のずれに起因するスリットSの開きを有効に抑制できる。
【0053】
また、ロック突部42Bは、コルゲートチューブ本体部21の環状凸部22に対応する位置に形成され、ロック突部42Bは、コルゲートチューブ本体部21の内周側から前記環状凸部22の内周部に形成された被係止部46Bに係止するため、コルゲートチューブ本体部21の内径になるべく影響を与えないようにしつつ、ロック突部42Bを被係止部46Bに係止させることができる。
【0054】
また、複数のロック片40Bは、両側縁部のうちの一方のみ、即ち、第2延出片40のみとして形成されている。このため、主として、一方側の側縁部に形成されたロック片40Bを他方側の側縁部の被係止部46Bに係止させるように力の加え方を加減してスリットSを閉じる作業を行えばよいため、当該スリットSを閉じる作業を容易に行える。
【0055】
また、コルゲートチューブ本体部21のうち両側縁部の内周側部分であって複数の第1延出片30及び前記複数の第2延出片40が配設される部分に、逃げ凹部26が形成されているため、コルゲートチューブ本体部21の内周側への第1延出片30及び第2延出片40の突出が抑制される。
【0056】
上記のようなコルゲートチューブ20は、図13に示すようなコルゲートチューブ中間生成物50を経て製造するとよい。
【0057】
すなわち、コルゲートチューブ中間生成物50は、溶融した樹脂を筒状に押出し、これをバキューム成形或はブロー成形等によって所定の金型に押付けることによって形成される、中間的な製造物である。
【0058】
このコルゲートチューブ中間生成物50は、横断面C字状の上記コルゲートチューブ本体部21の両側縁部間に、複数の第1延出片30としての複数のフラット片30Aを形成するためのフラット片形成部52と、複数の第2延出片40としての複数のロック片40Bを形成するためのロック片形成部54とが、コルゲートチューブ本体部21の長手方向において交互かつ一体化した形態で形成され、全体として筒状をなすように形成されている。換言すれば、複数のロック片形成部54は、コルゲートチューブ本体部21の両側縁部間にその長手方向において間隔をあけて設けられ、フラット片形成部52は、複数のロック片形成部54間において当該複数のロック片形成部54と一体連結されている。
【0059】
このコルゲートチューブ中間生成物50は、その分割位置によって、上記実施形態に係るコルゲートチューブ20として用いることができる他、図14に示すように、上記第1延出片30及び第2延出片40が互違いに配設されないタイプのコルゲートチューブ120としても用いることができる。
【0060】
すなわち、図13の一点鎖線に示すように、複数のフラット片形成部52の先端部、フラット片形成部52及びロック片形成部54間、複数のロック片形成部54の先端部を通るように、矩形波状に切断することで、上記実施形態に係るコルゲートチューブ20として用いることができる。なお、切断は、レーザー加工等により行うことができる。
【0061】
また、図13の2点鎖線に示すように、ロック片形成部54の先端部及びフラット片形成部52の基端部を通るように直線状に切断すると、図14に示すように、直線状のスリットS1を挟む両側縁部の一方側にロック突部42Bが形成されたタイプ、即ち、コルゲートチューブ120全体としてみても、スリットS1を挟む両側縁部が直線状であるタイプのコルゲートチューブ120が製造される。かかるコルゲートチューブ120は、ロック突部42Bが対向する側縁部に係止した状態でも、当該ロック突部42Bを有する側の側縁部を内周側に変形させることで、ロック突部42Bの係止を容易に解除できる。
【0062】
従って、上記コルゲートチューブ中間生成物50は、ロック突部42Bの係止を解除し難い目的での使用(つまり、スリットSを一旦閉じた後は開かない前提での使用)に適したコルゲートチューブ20と、ロック突部42Bの係止を解除し易い状況での使用(つまり、スリットSを一旦閉じた後も開く可能性がある前提での使用)に適したコルゲートチューブ120とに作分けることができるというメリットがある。
【0063】
{変形例}
上記実施形態において、第2延出片40の全てがロック片40Bに形成されている必要はなく、第2延出片の一部がロック片に形成されていてもよい。
【0064】
例えば、図15に示すコルゲートチューブ220では、第2延出片40に相当する第2延出片240において、1つおきの1つがロック片40Bに相当するロック片240Bに形成され、残りはフラット片30Aに相当するフラット片240Aに形成されている。
【0065】
例えば、図16に示すコルゲートチューブ320では、第2延出片40に相当する第2延出片340において、1つおきに2つがロック片40Bに相当するロック片340Bに形成され、残りはフラット片30Aに相当するフラット片340Aに形成されている。
【0066】
これらの場合でも上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0067】
また、上記実施形態において、スリットSを挟む両側縁部の一方側にのみロック片40Bが形成されている必要はなく、ロック片が両側縁部に形成されていてもよい。
【0068】
例えば、図17に示すコルゲートチューブ420では、第1延出片30に相当する第1延出片430の一部がロック片40Bに相当するロック片430Bに形成され、第2延出片40に相当する第2延出片440の一部がロック片40Bに相当するロック片440Bに形成され、これらのロック片430Bとロック片440Bとの間に、それぞれフラット片30Aに相当する一方側縁部側のフラット片430A及び他方側縁部側のフラット片440Aが介在している。
【0069】
また、例えば、図18に示すコルゲートチューブ520では、第1延出片30に相当する第1延出片530の一部がロック片40Bに相当するロック片530Bに形成され、第2延出片40に相当する第2延出片540の一部がロック片40Bに相当するロック片540Bに形成され、これらのロック片530Bと540Bとが隣合っている。また、これらの隣合うロック片530Bとロック片540Bとの組合わせ間に、それぞれフラット片30Aに相当する一方側縁部側のフラット片530A及び他方側縁部側のフラット片540Aが介在している。
【0070】
これらの場合でも、ロック片40Bが一方側の側縁部にあることによる作用効果を除いて、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0071】
また、図19に示すコルゲートチューブ620のように、第1延出片30に相当する第1延出片630及び第2延出片40に相当する第2延出片640の全てが、フラット片30Aと同様のフラット片630A或はフラット片640Aに形成されていてもよい。
【0072】
この場合でも、上記ロック突部42Bによる作用効果を除いて、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0073】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0074】
10 ワイヤーハーネス
20 コルゲートチューブ
21 コルゲートチューブ本体部
22 環状凸部
24 環状凹部
26 逃げ凹部
30 第1延出片
30A フラット片
40 第2延出片
40B ロック片
42B ロック突部
46B 被係止部
50 コルゲートチューブ中間生成物
52 フラット片形成部
54 ロック片形成部
S スリット
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線を保護するコルゲートチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コルゲートチューブとして、特許文献1及び特許文献2のように、ロック構造を形成したコルゲートチューブが提案されている。
【0003】
特許文献1に開示のコルゲートでは、スリットを挟む両端部の一方側にロック突起が形成されている。そして、スリットを閉じると、前記ロック突起と前記両端部の他方側の閉壁とが係合して、スリットが閉鎖状態にロックされる。
【0004】
特許文献2に開示のコルゲートチューブでは、スリットを挟む両端部に対して、閉壁とこの閉壁に係止するロック部が、軸方向に交互に並んで配されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−38964号公報
【特許文献2】特開2009−142100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、ロック突起は閉壁の内周側から閉壁に係合している。このため、スリットを挟む両端部がコルゲートチューブの径方向にずれてしまう恐れがある。これにより、例えば、スリットを挟む一方側の端部が他方側の端部の内周側に入り込んでしまう恐れがある。
【0007】
また、特許文献2に開示の技術では、スリットを閉じるために多数箇所でロック部と閉壁とを係止する必要があり、スリットを閉じる作業に大きな力が必要となり、作業性に難がある。
【0008】
そこで、本発明は、スリットを挟む両端縁部のずれを抑制しつつ、スリットを閉じる作業をなるべく容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、第1の態様は、筒状に形成され、その長手方向に沿って環状凸部と環状凹部とが交互に形成されると共に、その長手方向に沿ってスリットが形成されたコルゲートチューブ本体部と、前記コルゲートチューブ本体部のうち前記スリットを挟む両側縁部の一方側に設けられた複数の第1延出片と、前記両側縁部の他方側に設けられた複数の第2延出片と、を備え、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とが、前記コルゲートチューブ本体部の長手方向において互いに異なる箇所で前記コルゲートチューブ本体部の内周側に配設された状態で、前記スリットが閉じられると共に、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とのうちの少なくとも1つは、平らな形状のフラット片に形成されている。
【0010】
第2の態様は、第1の態様に係るコルゲートチューブであって、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とが、前記コルゲートチューブ本体部の長手方向において互いに当接するように噛合った状態で、前記スリットが閉じられるものである。
【0011】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るコルゲートチューブであって、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とのうち前記フラット片に形成されたもの以外の少なくとも一つは、ロック突部を有するロック片に形成され、前記両側縁部のうち前記ロック片に対向する部分が、前記ロック片を係止可能な被係止部に形成されているものである。
【0012】
第4の態様は、第3の態様に係るコルゲートチューブであって、前記ロック突部は、前記コルゲートチューブ本体部の前記環状凸部に対応する位置に形成され、前記ロック突部は、前記コルゲートチューブ本体部の内周側から前記被係止部に係止するものである。
【0013】
第5の態様は、第3又は第4の態様に係るコルゲートチューブであって、前記ロック片は、前記両側縁部のうちの一方にのみに形成されている。
【0014】
第6の態様は、第1〜第5のいずれか1つの態様に係るコルゲートチューブであって、前記コルゲートチューブ本体部のうち前記両側縁部の内周側部分であって前記複数の第1延出片及び前記複数の第2延出片が配設される部分に、逃げ凹部が形成されているものである。
【0015】
第7の態様に係るコルゲートチューブ中間製造物は、横断面C字状をなす筒状に形成され、その長手方向に沿って環状凸部と環状凹部とが交互に形成されたコルゲートチューブ本体部と、ロック突部を有し、前記コルゲートチューブ本体部の両側縁部間に前記コルゲートチューブ本体部の長手方向において間隔をあけて設けられた複数のロック片形成部と、平らな形状に形成され、前記コルゲートチューブ本体部の両側縁部間であって前記複数のロック片形成部の間に前記複数のロック片形成部と一体化された状態で設けられた複数のフラット片形成部とを備える。
【0016】
第8の態様に係るコルゲートチューブ付ワイヤーハーネスは、少なくとも1本の電線を含むワイヤーハーネスと、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とが、前記コルゲートチューブ本体内に入り込んだ状態で、前記ワイヤーハーネスを覆う、請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のコルゲートチューブとを備える。
【発明の効果】
【0017】
第1の態様に係るコルゲートチューブによると、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とが、前記コルゲートチューブ本体部の長手方向において互いに異なる箇所で前記コルゲートチューブ本体部の内周側に配設された状態で、前記スリットが閉じられるため、前記両側縁部がコルゲートチューブ本体部の径方向にずれることが抑制される。また、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片のうちの少なくとも1つは、平らな形状のフラット片に形成されているため、スリットを閉じる作業をなるべく容易に行える。
【0018】
第2の態様によると、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とが、前記コルゲートチューブ本体部の長手方向において互いに当接するように噛合った状態で前記スリットが閉じられるため、両側縁部がコルゲートチューブ本体部の長手方向においてもずれ難い。
【0019】
第3の態様によると、ロック片が被係止部に係止することで、スリットの開きが抑制される。この際、第1延出片と第2延出片とによって両側縁部のずれが抑制されているため、ロック片と被係止部との係止解除が抑制され、スリットの開きがより確実に抑制される。
【0020】
第4の態様によると、前記ロック突部は、前記コルゲートチューブ本体部の前記環状凸部に対応する位置に形成され、前記ロック突部は、前記コルゲートチューブ本体部の内周側から前記被係止部に係止するため、コルゲートチューブ本体部の内径になるべく影響を与えないようにしつつ、環状凸部の形成部分で、ロック突部を被係止部に係止させることができる。
【0021】
第5の態様によると、前記ロック片は、前記両側縁部のうちの一方にのみに形成されているため、ロック片を被係止部に係止させつつ、スリットを閉じる作業を容易に行える。
【0022】
第6の態様によると、前記コルゲートチューブ本体部のうち前記両側縁部の内周側部分であって前記複数の第1延出片及び前記複数の第2延出片が配設される部分に、逃げ凹部が形成されているため、コルゲートチューブ本体部の内周側への前記第1延出片及び前記第2延出片の突出が抑制される。
【0023】
第7の態様によると、複数のロック片形成部と複数のフラット片形成部との一側とコルゲートチューブ本体部との間で直線状に切離すことで、スリットの両側縁部が直線状であるコルゲートチューブを製造することができる。また、複数のロック片形成部と複数のフラット片形成部とを切離すようにジグザグに切離すことで、コルゲートチューブ本体部のうちスリットの挟む両側縁部の一方側にロック片が設けられ、他方側にフラット片が形成されたコルゲートチューブを製造することができる。
【0024】
第8の態様に係るコルゲートチューブ付ワイヤーハーネスによると、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とが、前記コルゲートチューブ本体部の長手方向において互いに異なる箇所で前記コルゲートチューブ本体部の内周側に配設された状態で、前記スリットが閉じられているため、前記両側縁部がコルゲートチューブ本体部の径方向にずれることが抑制される。また、前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片のうちの少なくとも1つは、平らな形状のフラット片に形成されているため、スリットを閉じる作業をなるべく容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係るコルゲートチューブの部分斜視図である。
【図2】同上のコルゲートチューブの部分正面図である。
【図3】同上のコルゲートチューブを示す部分平面図である。
【図4】同上のコルゲートチューブを内周側から見た部分説明図である。
【図5】ロック片と被係止部との係止途中状態を示す部分断面図である。
【図6】ロック片と被係止部との係止途中状態を示す部分断面図である。
【図7】ロック片と被係止部との係止部分を示す部分斜視図である。
【図8】ロック片と被係止部との係止部分を示す部分正面図である。
【図9】ロック片と被係止部との係止部分を示す部分平面図である。
【図10】ロック片と被係止部との係止部分をコルゲートチューブの内周側から見た部分説明図である。
【図11】ロック片と被係止部との係止部分を示す部分断面図である。
【図12】ロック片と被係止部との係止部分を示す部分断面図である。
【図13】コルゲートチューブ中間生成物を示す部分平面図である。
【図14】変形例に係るコルゲートチューブを示す部分平面図である。
【図15】変形例に係るコルゲートチューブを示す部分平面図である。
【図16】変形例に係るコルゲートチューブを示す部分平面図である。
【図17】変形例に係るコルゲートチューブを示す部分平面図である。
【図18】変形例に係るコルゲートチューブを示す部分平面図である。
【図19】変形例に係るコルゲートチューブを示す部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施形態に係るコルゲートチューブ及びコルゲートチューブ付ワイヤーハーネスについて説明する。図1は実施形態に係るコルゲートチューブ20が取付けられたワイヤーハーネス10の部分斜視図であり、図2は同コルゲートチューブ20の部分正面図であり、図3はコルゲートチューブ20の部分平面図であり、図4はコルゲートチューブ20のスリット部分を内周側から見た部分説明図である。
【0027】
このコルゲートチューブ20は、車両等に配設されるワイヤーハーネス10を覆って保護する部材である。
【0028】
ここで、ワイヤーハーネス10は、複数の電線が結束された構成とされている。より具体的には、ワイヤーハーネス10は、複数の電線が配設対象となる車両への配線形態に応じて分岐しつつ結束された構成とされている。ワイヤーハーネス10は、必ずしも分岐している必要はないし、また、単一の電線によって構成されていてもよい。また、ワイヤーハーネス10に、他の光ケーブル等が結束されていてもよい。ワイヤーハーネス10に対して本コルゲートチューブ20が装着される部分は、ワイヤーハーネス10の少なくとも一部であればよく、ワイヤーハーネス10の部であっても、ほぼ全体であってもよい。
【0029】
このコルゲートチューブ20は、コルゲートチューブ本体部21と、複数の第1延出片30と、複数の第2延出片40とを備えており、全体としてスリットSを有する筒状に形成されている。このコルゲートチューブ20は、例えば、溶融した樹脂を筒状に押出し、これをバキューム成形或はブロー成形等によって所定の金型に押付けることによって形成される。このため、コルゲートチューブ20は、後述する環状凸部22及び環状凹部22を含むコルゲートチューブ20、数の第1延出片30及び複数の第2延出片40を形成する各部分において同一厚みに形成されている。
【0030】
コルゲートチューブ本体部21は、筒状に形成されており、その長手方向に沿ってスリットSが形成されている。換言すれば、コルゲートチューブ本体部21は、横断面C字状をなす筒状に形成されている。また、コルゲートチューブ本体部21は、その長手方向に沿って環状凸部22及び環状凹部24が交互に形成された構成とされている。環状凸部22は、コルゲートチューブ本体部21の外周面においてその周方向に突出する部分である。環状凹部24は、コルゲートチューブ本体部21の外周面においてその周方向に凹む部分である。これら環状凸部22及び環状凹部24は、上記したように、同一厚みに形成されている。
【0031】
このコルゲートチューブ本体部21は、環状凸部22と環状凹部24との間の段部等で容易に弾性変形するため、全体としてみると曲げ変形容易な性質を有している。また、上記環状凹部24の内径は、装着対象となるワイヤーハーネス10の外径よりも大きい(通常は多少大きい程度)に設定されている。
【0032】
複数の第1延出片30は、コルゲートチューブ本体部21のうちスリットSを挟む両側縁部の一方側に間隔をあけて形成されている。また、複数の第2延出片40は両側縁部の他方側に間隔をあけて形成されている。
【0033】
また、複数の第1延出片30と複数の第2延出片40とは、コルゲートチューブ本体部21の長手方向において、互いに異なる位置に形成されている。これにより、複数の第1延出片30と前記複数の第2延出片40とが、コルゲートチューブ本体部21の長手方向において互いに異なる箇所でコルゲートチューブ本体部21の内周側に配設された状態で、スリットSが閉じられるようになっている(図11参照)。
【0034】
ここでは、コルゲートチューブ本体部21の長手方向において複数の第1延出片30と複数の第2延出片40とが交互に位置するように形成されている。隣合う第1延出片30と第2延出片40とは、後述する僅かな隙間である切断線を介して隣合っている。そして、複数の第1延出片30と複数の第2延出片40とがコルゲートチューブ本体部21の長手方向において互いに当接するように噛合った状態で、スリットSが閉じられるようになっている。
【0035】
特に、特に本実施形態においては、複数の第1延出片30及び複数の第2延出片40は、複数の環状凸部22と対応する位置及びピッチで形成されている。換言すれば、隣合う第1延出片30と第2延出片40とは、環状凹部24の幅方向中央部に沿ったラインで分離されている。そして、スリットSを閉じると、複数の第1延出片30及び複数の第2延出片40は、それぞれ対応する環状凸部22の内周側に入り込むように配設される。
【0036】
なお、隣合う第1延出片30と第2延出片40とを分離する切断線は、各環状凹部24の幅方向中央部に沿った線以外の位置に設定されていてもよい。また、隣合う第1延出片30と第2延出片40との間により大きな間隔が設けられており、スリットSが閉じられた状態で、第1延出片30と第2延出片40とが当接しない、即ち、噛合わなくてもよい。
【0037】
また、上記複数の第1延出片30及び複数の第2延出片40のうち少なくとも1つは、平らな形状のフラット片30Aに形成されている(本実施形態では、第1延出片30とフラット片30Aとは同一箇所を示すことになる)。ここでは、スリットSを挟む一方側の側縁部に形成された複数の第1延出片30の全てがフラット片30Aに形成されている。ここで、平らな形状のフラット片30Aとは、コルゲートチューブ本体部21のうちスリットSを挟む側縁部に係止せずに、当該側縁部の下方に入り込める程度にフラットに形成されていることをいう。従って、フラット片30Aには、多少の凹凸が形成されていてもよく、また、フラット片30Aは多少湾曲していてもよい。ここでも、フラット片30Aは、環状凹部24の内周形状に合わせて僅かに湾曲する方形平板状に形成されている。
【0038】
また、複数の第1延出片30と複数の第2延出片40のうち上記フラット片30Aに形成されたもの以外の少なくとも一つ、即ち、ここでは、第2延出片40の全ては、ロック突部42Bを有するロック片40Bに形成されている(本実施形態では、第1延出片30とフラット片30Aとは同一箇所を示すことになる)。また、上記スリットSを挟む両側縁部のうち上記各ロック片40Bに対向する部分は、当該ロック片40Bを係止可能な被係止部46Bに形成されている。
【0039】
より具体的には、ロック片40Bは、板状部41Bとロック突部42Bとを有している。板状部41Bは、上記フラット片30Aと同様に、環状凹部24の内周形状に合わせて僅かに湾曲する方形平板状に形成されており、コルゲートチューブ本体部21の側縁部の内周側に入り込めるようになっている。ここでは、板状部41Bは、フラット片30Aと同厚み、同幅、同長さであるが、必ずしもこれらが同じである必要はない。また、ロック突部42Bは、板状部41Bの外周面であって環状凸部22に対応する位置(ここでは板状部41Bの外周面の中央部)に突設されている。ロック突部42Bのうち板状部41Bの先端側の面42Bfは、当該板状部41Bの先端側に向けて内周側に傾斜するガイド面42Bfに形成されている。
【0040】
ロック突部42Bの高さ寸法は、環状凸部22の内周側に形成される内周側凹部22gの深さ寸法よりも小さく設定され、また、ロック突部42Bの幅寸法は前記内周側凹部22gの幅寸法よりも小さく設定されている。
【0041】
また、上記被係止部46Bは、スリットSを挟む側縁部において、環状凸部22の周方向の一端部を閉塞する壁部によって形成されている(図12参照)。そして、ロック片40BがスリットSを介して対向する側縁部において、環状凸部22の内周側に入り込むと、ロック突部42Bが内周側凹部22g内に嵌り込んで、前記被係止部46Bに対して、スリットSを開かない方向に抜け止係止する。これにより、ロック突部42Bは、コルゲートチューブ本体部21の内周側から被係止部46Bに係止することとなる。
【0042】
なお、複数の第1延出片30及び複数の第2延出片40に対して、どれをフラット片30Aに形成し、どれをロック片40Bに形成するかについては、多様な組合わせが考えられる。その各種例については後の変形例で説明する。
【0043】
また、上記コルゲートチューブ本体部21のうちスリットSを挟む両側縁部の内周側部分であって、複数の第1延出片30であるフラット片30A及び第2延出片40であるロック片40Bが配設される部分に、逃げ凹部26が形成されている。
【0044】
すなわち、複数のフラット片30Aは、それに対向する、コルゲートチューブ本体部21の側縁部の内周側に配設されるので、特に対策を施さないと、コルゲートチューブ本体部21の内周部において複数のフラット片30Aがその厚み分突出してしまう。そこで、複数の第1延出片30に対向する、コルゲートチューブ本体部21の側縁部の内周部に、フラット片30Aの厚み及び長さに応じた凹みを形成し、これを逃げ凹部26としている。
【0045】
同様に、複数のロック片40Bは、それに対向する、コルゲートチューブ本体部21の側縁部の内周側に配設されるので、特に対策を施さないと、コルゲートチューブ本体部21の内周部において複数のロック片40Bの板状部41Bがその厚み分突出してしまう。そこで、ロック片40Bに対向する、コルゲートチューブ本体部21の側縁部の内周部に、板状部41Bの厚み及び長さに応じた凹みを形成し、これを逃げ凹部26としている。
【0046】
本実施形態では、結局、コルゲートチューブ本体部21のうちスリットSを挟む両側縁部の内周側部分(つまり、各環状凹部24の内周側部分)に、コルゲートチューブ本体部21の長手方向において連続的に凹む逃げ凹部26を形成している。
【0047】
このように構成されたコルゲートチューブ20をワイヤーハーネス10に装着する際の動作について説明する。
【0048】
すなわち、コルゲートチューブ20内にワイヤーハーネス10を配設した状態で、図5及び図6に示すように、複数のフラット片30Aと複数のロック片40Bとを相互間に配設するようにした状態で、コルゲートチューブ本体部21の両側縁部を近づけて、複数のフラット片30Aを対向する側縁部の内周側に滑り込ませると共に、複数のロック片40Bを対向する側縁部の内周側に滑り込ませるようにする。そして、各ロック片40Bのロック突部42Bのガイド面42Bfが被係止部46Bに当接すると、被係止部46Bがガイド面42Bfに沿って移動し、各ロック片40Bが内周側に弾性変形する。そして、ロック突部42Bが被係止部46Bを乗越えると、図7〜12に示すように、ロック突部42Bが環状凸部22の内周側凹部22gに嵌り込む。これにより、ロック片40Bは、スリットSを開く方向への移動を抑制された状態で、被係止部46Bに係止する。この状態では、ロック片40Bは、対向する側縁部の内周側に位置しているため、ロック片40Bと対向する側縁部は、ロック片40Bが形成された側縁部に対して内周側に移動し難い。また、フラット片30Aは、対向する側縁部の内周側に位置しているため、フラット片30Aと対向する側縁部は、フラット片30Aが形成された側縁部に対して内周側に移動し難い。このため、コルゲートチューブ本体部21においてスリットSを挟んで対向する両側縁部は、その径方向に位置ずれし難い。
【0049】
以上のように構成されたコルゲートチューブ20によると、複数の第1延出片30としての複数のフラット片30Aと、複数の第2延出片40としての複数のロック片40Bとが、コルゲートチューブ本体部21の長手方向において互いに異なる箇所でコルゲートチューブ本体部21の内周側に配設された状態で、スリットSが閉じられるため、両側縁部がコルゲートチューブ本体部21の径方向に位置ずれすることが抑制される。
【0050】
特に、ここでは、第2延出片40がロック片40Bに形成され、当該ロック片40Bが被係止部46Bに係止することで、スリットSの開きが抑制されている。この際、第1延出片30と第2延出片40とによって両側縁部の径方向のずれが抑制されているため、それらの係止解除が抑制され、スリットSの開きがより確実に抑制されることとなる。
【0051】
また、複数の第1延出片30及び複数の第2延出片40のうちの少なくとも1つ、ここでは、複数の第1延出片30としての複数のフラット片30Aは、平らな形状に形成されているところ、当該フラット片30Aについては、それを対向する側縁部の内周部に円滑かつ比較的小さい力で入り込ませることができる。このため、スリットSを閉じる作業を比較的容易に行える。
【0052】
また、複数の第1延出片30としての複数のフラット片30Aと、複数の第2延出片40としての複数のロック片40Bとが、コルゲートチューブ本体部21の長手方向において互いに当接するように噛合った状態でスリットSが閉じられるため、両側縁部がコルゲートチューブ本体部21の長手方向においても位置ずれし難い。このため、スリットSを挟む両側縁部のずれに起因するスリットSの開きを有効に抑制できる。
【0053】
また、ロック突部42Bは、コルゲートチューブ本体部21の環状凸部22に対応する位置に形成され、ロック突部42Bは、コルゲートチューブ本体部21の内周側から前記環状凸部22の内周部に形成された被係止部46Bに係止するため、コルゲートチューブ本体部21の内径になるべく影響を与えないようにしつつ、ロック突部42Bを被係止部46Bに係止させることができる。
【0054】
また、複数のロック片40Bは、両側縁部のうちの一方のみ、即ち、第2延出片40のみとして形成されている。このため、主として、一方側の側縁部に形成されたロック片40Bを他方側の側縁部の被係止部46Bに係止させるように力の加え方を加減してスリットSを閉じる作業を行えばよいため、当該スリットSを閉じる作業を容易に行える。
【0055】
また、コルゲートチューブ本体部21のうち両側縁部の内周側部分であって複数の第1延出片30及び前記複数の第2延出片40が配設される部分に、逃げ凹部26が形成されているため、コルゲートチューブ本体部21の内周側への第1延出片30及び第2延出片40の突出が抑制される。
【0056】
上記のようなコルゲートチューブ20は、図13に示すようなコルゲートチューブ中間生成物50を経て製造するとよい。
【0057】
すなわち、コルゲートチューブ中間生成物50は、溶融した樹脂を筒状に押出し、これをバキューム成形或はブロー成形等によって所定の金型に押付けることによって形成される、中間的な製造物である。
【0058】
このコルゲートチューブ中間生成物50は、横断面C字状の上記コルゲートチューブ本体部21の両側縁部間に、複数の第1延出片30としての複数のフラット片30Aを形成するためのフラット片形成部52と、複数の第2延出片40としての複数のロック片40Bを形成するためのロック片形成部54とが、コルゲートチューブ本体部21の長手方向において交互かつ一体化した形態で形成され、全体として筒状をなすように形成されている。換言すれば、複数のロック片形成部54は、コルゲートチューブ本体部21の両側縁部間にその長手方向において間隔をあけて設けられ、フラット片形成部52は、複数のロック片形成部54間において当該複数のロック片形成部54と一体連結されている。
【0059】
このコルゲートチューブ中間生成物50は、その分割位置によって、上記実施形態に係るコルゲートチューブ20として用いることができる他、図14に示すように、上記第1延出片30及び第2延出片40が互違いに配設されないタイプのコルゲートチューブ120としても用いることができる。
【0060】
すなわち、図13の一点鎖線に示すように、複数のフラット片形成部52の先端部、フラット片形成部52及びロック片形成部54間、複数のロック片形成部54の先端部を通るように、矩形波状に切断することで、上記実施形態に係るコルゲートチューブ20として用いることができる。なお、切断は、レーザー加工等により行うことができる。
【0061】
また、図13の2点鎖線に示すように、ロック片形成部54の先端部及びフラット片形成部52の基端部を通るように直線状に切断すると、図14に示すように、直線状のスリットS1を挟む両側縁部の一方側にロック突部42Bが形成されたタイプ、即ち、コルゲートチューブ120全体としてみても、スリットS1を挟む両側縁部が直線状であるタイプのコルゲートチューブ120が製造される。かかるコルゲートチューブ120は、ロック突部42Bが対向する側縁部に係止した状態でも、当該ロック突部42Bを有する側の側縁部を内周側に変形させることで、ロック突部42Bの係止を容易に解除できる。
【0062】
従って、上記コルゲートチューブ中間生成物50は、ロック突部42Bの係止を解除し難い目的での使用(つまり、スリットSを一旦閉じた後は開かない前提での使用)に適したコルゲートチューブ20と、ロック突部42Bの係止を解除し易い状況での使用(つまり、スリットSを一旦閉じた後も開く可能性がある前提での使用)に適したコルゲートチューブ120とに作分けることができるというメリットがある。
【0063】
{変形例}
上記実施形態において、第2延出片40の全てがロック片40Bに形成されている必要はなく、第2延出片の一部がロック片に形成されていてもよい。
【0064】
例えば、図15に示すコルゲートチューブ220では、第2延出片40に相当する第2延出片240において、1つおきの1つがロック片40Bに相当するロック片240Bに形成され、残りはフラット片30Aに相当するフラット片240Aに形成されている。
【0065】
例えば、図16に示すコルゲートチューブ320では、第2延出片40に相当する第2延出片340において、1つおきに2つがロック片40Bに相当するロック片340Bに形成され、残りはフラット片30Aに相当するフラット片340Aに形成されている。
【0066】
これらの場合でも上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0067】
また、上記実施形態において、スリットSを挟む両側縁部の一方側にのみロック片40Bが形成されている必要はなく、ロック片が両側縁部に形成されていてもよい。
【0068】
例えば、図17に示すコルゲートチューブ420では、第1延出片30に相当する第1延出片430の一部がロック片40Bに相当するロック片430Bに形成され、第2延出片40に相当する第2延出片440の一部がロック片40Bに相当するロック片440Bに形成され、これらのロック片430Bとロック片440Bとの間に、それぞれフラット片30Aに相当する一方側縁部側のフラット片430A及び他方側縁部側のフラット片440Aが介在している。
【0069】
また、例えば、図18に示すコルゲートチューブ520では、第1延出片30に相当する第1延出片530の一部がロック片40Bに相当するロック片530Bに形成され、第2延出片40に相当する第2延出片540の一部がロック片40Bに相当するロック片540Bに形成され、これらのロック片530Bと540Bとが隣合っている。また、これらの隣合うロック片530Bとロック片540Bとの組合わせ間に、それぞれフラット片30Aに相当する一方側縁部側のフラット片530A及び他方側縁部側のフラット片540Aが介在している。
【0070】
これらの場合でも、ロック片40Bが一方側の側縁部にあることによる作用効果を除いて、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0071】
また、図19に示すコルゲートチューブ620のように、第1延出片30に相当する第1延出片630及び第2延出片40に相当する第2延出片640の全てが、フラット片30Aと同様のフラット片630A或はフラット片640Aに形成されていてもよい。
【0072】
この場合でも、上記ロック突部42Bによる作用効果を除いて、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0073】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0074】
10 ワイヤーハーネス
20 コルゲートチューブ
21 コルゲートチューブ本体部
22 環状凸部
24 環状凹部
26 逃げ凹部
30 第1延出片
30A フラット片
40 第2延出片
40B ロック片
42B ロック突部
46B 被係止部
50 コルゲートチューブ中間生成物
52 フラット片形成部
54 ロック片形成部
S スリット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成され、その長手方向に沿って環状凸部と環状凹部とが交互に形成されると共に、その長手方向に沿ってスリットが形成されたコルゲートチューブ本体部と、
前記コルゲートチューブ本体部のうち前記スリットを挟む両側縁部の一方側に設けられた複数の第1延出片と、
前記両側縁部の他方側に設けられた複数の第2延出片と、
を備え、
前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とが、前記コルゲートチューブ本体部の長手方向において互いに異なる箇所で前記コルゲートチューブ本体部の内周側に配設された状態で、前記スリットが閉じられると共に、
前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とのうちの少なくとも1つは、平らな形状のフラット片に形成されている、コルゲートチューブ。
【請求項2】
請求項1記載のコルゲートチューブであって、
前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とが、前記コルゲートチューブ本体部の長手方向において互いに当接するように噛合った状態で、前記スリットが閉じられる、コルゲートチューブ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のコルゲートチューブであって、
前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とのうち前記フラット片に形成されたもの以外の少なくとも一つは、ロック突部を有するロック片に形成され、
前記両側縁部のうち前記ロック片に対向する部分が、前記ロック片を係止可能な被係止部に形成されている、コルゲートチューブ。
【請求項4】
請求項3記載のコルゲートチューブであって、
前記ロック突部は、前記コルゲートチューブ本体部の前記環状凸部に対応する位置に形成され、前記ロック突部は、前記コルゲートチューブ本体部の内周側から前記被係止部に係止する、コルゲートチューブ。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載のコルゲートチューブであって、
前記ロック片は、前記両側縁部のうちの一方にのみに形成されている、コルゲートチューブ。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のコルゲートチューブであって、
前記コルゲートチューブ本体部のうち前記両側縁部の内周側部分であって前記複数の第1延出片及び前記複数の第2延出片が配設される部分に、逃げ凹部が形成されている、コルゲートチューブ。
【請求項7】
横断面C字状をなす筒状に形成され、その長手方向に沿って環状凸部と環状凹部とが交互に形成されたコルゲートチューブ本体部と、
ロック突部を有し、前記コルゲートチューブ本体部の両側縁部間に前記コルゲートチューブ本体部の長手方向において間隔をあけて設けられた複数のロック片形成部と、
平らな形状に形成され、前記コルゲートチューブ本体部の両側縁部間であって前記複数のロック片形成部の間に前記複数のロック片形成部と一体化された状態で設けられた複数のフラット片形成部と、
を備えるコルゲートチューブ中間製造物。
【請求項8】
少なくとも1本の電線を含むワイヤーハーネスと、
前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とが、前記コルゲートチューブ本体内に入り込んだ状態で、前記ワイヤーハーネスを覆う、請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のコルゲートチューブと、
を備えるコルゲートチューブ付ワイヤーハーネス。
【請求項1】
筒状に形成され、その長手方向に沿って環状凸部と環状凹部とが交互に形成されると共に、その長手方向に沿ってスリットが形成されたコルゲートチューブ本体部と、
前記コルゲートチューブ本体部のうち前記スリットを挟む両側縁部の一方側に設けられた複数の第1延出片と、
前記両側縁部の他方側に設けられた複数の第2延出片と、
を備え、
前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とが、前記コルゲートチューブ本体部の長手方向において互いに異なる箇所で前記コルゲートチューブ本体部の内周側に配設された状態で、前記スリットが閉じられると共に、
前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とのうちの少なくとも1つは、平らな形状のフラット片に形成されている、コルゲートチューブ。
【請求項2】
請求項1記載のコルゲートチューブであって、
前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とが、前記コルゲートチューブ本体部の長手方向において互いに当接するように噛合った状態で、前記スリットが閉じられる、コルゲートチューブ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のコルゲートチューブであって、
前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とのうち前記フラット片に形成されたもの以外の少なくとも一つは、ロック突部を有するロック片に形成され、
前記両側縁部のうち前記ロック片に対向する部分が、前記ロック片を係止可能な被係止部に形成されている、コルゲートチューブ。
【請求項4】
請求項3記載のコルゲートチューブであって、
前記ロック突部は、前記コルゲートチューブ本体部の前記環状凸部に対応する位置に形成され、前記ロック突部は、前記コルゲートチューブ本体部の内周側から前記被係止部に係止する、コルゲートチューブ。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載のコルゲートチューブであって、
前記ロック片は、前記両側縁部のうちの一方にのみに形成されている、コルゲートチューブ。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のコルゲートチューブであって、
前記コルゲートチューブ本体部のうち前記両側縁部の内周側部分であって前記複数の第1延出片及び前記複数の第2延出片が配設される部分に、逃げ凹部が形成されている、コルゲートチューブ。
【請求項7】
横断面C字状をなす筒状に形成され、その長手方向に沿って環状凸部と環状凹部とが交互に形成されたコルゲートチューブ本体部と、
ロック突部を有し、前記コルゲートチューブ本体部の両側縁部間に前記コルゲートチューブ本体部の長手方向において間隔をあけて設けられた複数のロック片形成部と、
平らな形状に形成され、前記コルゲートチューブ本体部の両側縁部間であって前記複数のロック片形成部の間に前記複数のロック片形成部と一体化された状態で設けられた複数のフラット片形成部と、
を備えるコルゲートチューブ中間製造物。
【請求項8】
少なくとも1本の電線を含むワイヤーハーネスと、
前記複数の第1延出片と前記複数の第2延出片とが、前記コルゲートチューブ本体内に入り込んだ状態で、前記ワイヤーハーネスを覆う、請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のコルゲートチューブと、
を備えるコルゲートチューブ付ワイヤーハーネス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−90508(P2013−90508A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230950(P2011−230950)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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