説明

コロイド状ホウケイ酸塩の調整方法

【課題】ホウケイ酸塩保持助剤組成物、及びホウケイ酸塩を添加することによって紙の製造を改善するための方法の提供。
【解決手段】このホウケイ酸塩は高分子量合成凝集剤及び/又はデンプンと共に、カチオン性凝固剤を添加して、又は添加せずに用いることができる。このホウケイ酸塩物質は好ましくはコロイド状ホウケイ酸塩であり、ホウケイ酸塩物質の調製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホウケイ酸塩保持助剤組成物及び紙の製造におけるそのホウケイ酸塩保持助剤組成物の使用方法に関する。そのようなホウケイ酸塩保持助剤組成物の作製方法も開示される。このホウケイ酸塩物質は、好ましくは、コロイド状ホウケイ酸塩の水性懸濁液である。
【背景技術】
【0002】
紙の製造においては、水性セルロース懸濁液又は完成紙料が紙シートに形成される。セルロース繊維のスラリーは、一般には、製紙器機に先だって約4重量パーセント以下の繊維、一般には約1.5%以下、しばしば1.0%未満の繊維含有率を有する濃度(完成紙料中の固体の乾燥重量パーセント)に希釈され、これに対して完成したシートは典型的には6重量パーセント未満の水を含む。したがって、製紙の脱水及び保持の局面が製造の効率及び経費にとって非常に重要である。
【0003】
重力脱水がその比較的低い経費から好ましい排水方法である。重力排水の後に、より経費のかさむ方法、例えば、真空、圧縮、フェルトブランケット吸い取り及び圧縮、蒸発等を排水に用いる。実際の作業ではそのような方法の組み合わせを用い、シートを所望の含水量まで脱水、又は乾燥させる。重力排水は利用される最初の脱水方法で最も経費がかからないものであるため、この排水プロセスの効率を改善することで他の方法によって除去することが必要な水の量が減少し、したがって脱水の全体的な効率が改善されてそれらの経費が減少する。
【0004】
効率及び経費にとって非常に重要である製紙の他の局面は、繊維マット上及びその内部での完成紙料成分の保持である。製紙用完成紙料はコロイド力によって安定化される小粒子をかなりの量含むシステムを表す。製紙用完成紙料は、一般には、セルロース繊維に加えて、サイズが約5ないし約1000nmの範囲の粒子を含み、この粒子は、例えば、セルロース細粒、無機充填材(不透明性、明度及び他の紙の特性を改善するのに用いられる)及び、一般には、1種類以上の保持助剤を含むことなしにその大部分が製紙器機でセルロース繊維によって形成されるマットの間の空間(細孔)を通過する他の小粒子からなる。
【0005】
完成紙料の細粒、充填材、及び他の成分のより高い保持は、所定の等級の紙に対して、そのような紙のセルロース繊維含量の減少を可能にする。製紙の経費を削減するのには低品質のパルプが用いられるため、そのような低品質パルプの細粒含量が一般に高まることから製紙の保持の局面はより重要となる。また、より高い保持により白色水中に失われる物質の量が減少し、したがって、廃棄物質の量、廃棄物処理の経費及びそれらから生じる有害な環境効果が減少する。一般には、求める結果を損なうことなく、所定の目的で製紙プロセスにおいて用いられる物質の量を減少することが望ましい。そのような追加の減少は材料経費の節約並びに取り扱い及び処理の利点の両者を実現し得る。
【0006】
所定の製紙プロセスの他の重要な特徴は製造される紙シートの形成である。形成は紙シート内での光透過の変動によって決定され、大きな変動は粗末な形成を示すものである。保持が高レベルまで、例えば、80又は90%の保持レベルまで増加するに従って形成パラメータは一般に低下する。
【0007】
形成されたシートから水を排水する速度を増加させ、かつシートに保持される細粒及び充填材の量を増加させる試みにおいて、様々な化学添加物が利用されている。高分子量水溶性ポリマーの使用は紙の製造において非常に重要である。これらの高分子量ポリマーは凝集剤として作用し、シート上に堆積する大きな綿状沈殿を形成する。また、これらはシートの排水も補助する。有効であるために、従来の単一及び二重ポリマー保持及び排水プログラムは高分子量成分をそのプログラムの一部として取り込むことを必要とする。これらの従来のプログラムにおいては、高分子量成分は、製紙器機のヘッドボックスに繋がる貯蔵物流動システムにおける高剪断点の後で添加される。これは、綿状沈殿が主として架橋機構によって形成され、かつそれらの破壊がほとんど非可逆的であって意味を持つ程度まで再形成されることがないために必要である。このため、凝集剤の保持及び排水性能の大部分はそれを高剪断点の前に供給することによって失われる。それらの損失のため、高分子量ポリマーを高剪断点の後に供給することはしばしば形成の問題に繋がる。この保持を改善する高分子量ポリマー及びコポリマーの供給要件は、しばしば保持と形成との妥協に繋がる。
【0008】
いわゆる無機「微粒子」を添加することにより高分子量凝集体プログラムが改善され、その間はうまくいっていた。
【0009】
ポリマー/微粒子プログラムは多くのミルにおけるポリマーのみを用いる保持及び排水プログラムに置き換わる商業上の成功を収めている。微粒子を含むプログラムは微粒子成分の使用だけではなくしばしば剪断に対する化学物質の添加時点によっても定義される。微粒子を含む大部分の保持プログラムにおいては、高分子量ポリマーを少なくとも1つの高剪断点の前又は後のいずれかに添加する。その後、通常貯蔵物が高分子量成分で凝集し、剪断を受けてそれらの綿状沈殿が破壊された後、無機微粒子材料を完成紙料に添加する。この微粒子の添加により完成紙料が再凝集し、形成に悪影響を及ぼすことなく、少なくとも従来の方法(剪断後)で高分子量成分を用いて達成されるものと同程度に良好な保持及び排水が行われる。
【0010】
保持及び脱水の改善された組み合わせをもたらすのに用いられるそのようなプログラムの1つがLangleyらの米国特許第4,753,710号及び第4,913,775号に記載されており、これらは参照することにより本明細書に組み込まれる。Langleyらに開示される方法においては、高分子量直鎖状カチオン性ポリマーを水性セルロース製紙懸濁液に、その懸濁液に剪断を加える前に添加し、次いで剪断を加えた後にベントナイトを添加する。剪断は一般には製紙プロセスの洗浄、混合及び揚水段階の1つ以上によって行い、その剪断は高分子量ポリマーによって形成される大きな綿状沈殿を微小綿状沈殿に破壊する。次に、ベントナイト粘土粒子を添加することでさらなる凝集を確実なものとする。
【0011】
他のそのような微粒子プログラムは、米国特許第4,388,150号及び第4,385,961号(これらの開示は参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されるもののような微粒子としてのコロイド状シリカをカチオン性デンプンと組み合わせて用いること、又は米国特許第5,098,520号及び第5,185,062号の両者(これらの開示も参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されるもののようなカチオン性デンプン、凝集剤、及びシリカゾルの組み合わせを用いることに基づく。米国特許第4,643,801号は、高分子量アニオン性水溶性ポリマー、分散シリカ、及びカチオン性デンプンを用いる紙の調製方法を請求する。
【0012】
上述のように微粒子は典型的には凝集剤の後及び少なくとも1つの剪断帯の後に完成紙料に添加されるが、微粒子を凝集体及び剪断帯の前に添加しても(例えば、剪断帯の後の篩い分け及び凝集剤の前に微粒子を添加する)微粒子効果を観察することができる。
【0013】
単一ポリマー/微粒子保持及び排水助剤プログラムにおいては、凝集剤、典型的にはカチオン性ポリマーが微粒子と共に添加される唯一のポリマー材料である。微粒子を用いて繊維マット上でのセルロース細粒、無機充填材及び他の完成紙料成分の凝集を改善する別の方法は、微粒子に加えて凝固剤及び凝集剤システムを用いる二重ポリマープログラムとの組み合わせである。このようなシステムにおいては、凝固剤、例えば、低分子量合成カチオン性ポリマー又はカチオン性デンプンを最初に添加する。凝固剤は無機凝固剤、例えば、ミョウバン又はポリ塩化アルミニウムであってもよい。この添加は完成紙料作製システムの1つもしくは幾つかの時点で行うことができ、これにはマシーンの濃厚貯蔵物、白色水システム、又は希薄貯蔵物が含まれるがこれらに限定されるものではない。この凝固剤は、一般には、完成紙料中の粒子、特にはセルロース細粒及び無機充填材に存在する負の表面電荷を減少させ、それによりそのような粒子のある程度の凝集を達成する。この凝固剤処理の後に凝集剤を添加する。このような凝集剤は、一般には、粒子及び/又は凝集塊を一方の表面から他方に向けて架橋し、それらの粒子を結合してより大きな凝集塊とする高分子量合成ポリマーである。完成紙料中でのそのような大きな凝集塊の存在は、紙シートの繊維マットが形成されるとき、保持を高める。これらの凝集塊は濾過されて水から繊維織物上に移り、これに対して非凝集粒子は大部分がそのような紙織物を通過する。このようなプログラムにおいては、微粒子及び凝集剤を添加する順序を反対にしてもうまく行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明はこれらの特許の開示とは異なり、ホウケイ酸塩、好ましくはコロイド状ホウケイ酸塩を微粒子として用いる。驚くべきことに、ホウケイ酸塩が他の微粒子プログラム、特にはコロイド状シリカゾルを微粒子として用いるものを上回る性能の改善をもたらすことが見出されている。本発明のホウケイ酸塩微粒子は、保持、形成、均一な空隙率、及び全体的な脱水のレベルが改善された紙及び厚紙の製造を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一局面はホウケイ酸塩保持助剤組成物を含む。本発明において有用なホウケイ酸塩、好ましくはホウケイ酸塩のコロイド状粒子の水溶液は1:1000ないし100:1、一般には1:100ないし2:5のホウ素対ケイ素モル比を有する。好ましくは、本発明のホウケイ酸塩材料におけるナトリウム対ケイ素モル比は0.006ないし1.04の範囲であり、さらにより好ましくは0.01ないし0.7の範囲である。本発明のさらなる局面は、製紙用完成紙料に、完成紙料中の乾燥繊維の重量を基準にして約0.00005ないし約1.25重量%のホウケイ酸塩を添加する工程を包含する製紙システムを含む。他の実施形態においては、非イオン性、カチオン性又はアニオン性ポリマー凝集剤を、ホウケイ酸塩を添加する前又は後のいずれかに、完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.001ないし約0.50重量%の量を完成紙料に添加する。他のものとしては、ポリマー凝集剤の代わりに、又はそれに加えて、カチオン性デンプン又はグアールガムを完成紙料に、ホウケイ酸塩の添加の前又は後のいずれかに、完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.005ないし約5.0重量%の量添加することである。その他のものとしては、凝固剤を完成紙料に、完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして0.005ないし約1.25重量%の範囲の量添加することである。製紙用完成紙料の成分の凝集は、ホウケイ酸塩を単独で、又は単独もしくは凝固剤と組み合わせた通常のポリマー凝集剤と組み合わせて添加したときに増加する。
【0016】
本発明のホウケイ酸塩粒子をシート形成に先立って製紙用完成紙料又はスラリーに添加することにより、改善されたシート特性を得ることができる。ここで用いられる場合、完成紙料又はスラリーという用語はセルロースシートを形成するのに用いられるセルロース繊維の懸濁液を意味する。このシートは上質紙(ここで用いられる場合、バージン繊維ベースのものはもちろん再生繊維ベースの材質も含む)、厚紙(ここで用いられる場合、再生繊維ベースのテストライナー及び波形成形媒体はもちろんバージン繊維ベースの材質も含む)、及び新聞用紙(ここで用いられる場合、雑誌用完成紙料はもちろんバージン繊維及び再生繊維の両者をベースとするものを含む)、又は他のセルロース材料であり得る。最終シートは、セルロース繊維マットに加えて、充填材、顔料、増白剤、サイズ剤、及び通常紙又は厚紙と呼ばれる多くの等級のセルロースマットの製造において用いられる他の物質を含んでいてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、約1:100ないし約2:5の範囲のホウ素対ケイ素モル比を有するホウケイ酸塩(好ましくは、コロイド状ホウケイ酸塩)を含む保持及び排水助剤組成物を含む。本発明の好ましい実施形態においては、ホウケイ酸塩は約6:1000ないし1.04:1の範囲のナトリウム対ケイ素モル比を有することを特徴とする。この微粒子保持助剤は、好ましくは、ホウケイ酸ガラスに類似する化学的性質を有するホウケイ酸塩のコロイドである。ホウケイ酸塩は、好ましくは、水性コロイドの形態で用いられる。このコロイドは、一般には、ホウ素含有化合物のアルカリ金属塩をコロイドの形成を生じる条件下でケイ酸と反応させることによって調製する。本発明において有用なホウケイ酸粒子は広範囲にわたる粒径、例えば1nm(ナノメートル)ないし2ミクロン(2000nm)、好ましくは1nmないし1ミクロンを有する。コロイド状ホウケイ酸塩を用いる場合、その粒径は一般には1nmないし200nm、好ましくは1ないし80nm、最も好ましくは20〜80nmの範囲にある。本発明において有用なホウケイ酸粒子の表面積も同様に広範囲にわたって変化し得る。一般には、粒径が減少するに従って表面積が増加する。表面積は15ないし3000m2/g、好ましくは50ないし3000m2/gの範囲にあるべきである。本発明の好ましいコロイド状ホウケイ酸粒子が用いられる場合、その表面積は一般には250ないし3000m2/g、好ましくは700ないし3000m2/gの範囲にある。
【0018】
本発明において有用である好ましいコロイド状ホウケイ酸物質は、一般には、まずケイ酸を調製することによって調製する。これは、アルカリ金属ケイ酸塩溶液、好ましくはアルカリ金属ケイ酸塩の希溶液を水素形態にある市販のカチオン交換樹脂、好ましくはいわゆる強酸樹脂と接触させ、ケイ酸の希溶液を回収することによって有利に達成される。次に、このケイ酸を6〜14のpHでアルカリ金属ホウ酸塩の希溶液に攪拌しながら添加し、水中に懸濁したコロイド状ホウケイ酸塩生成物を回収することができる。他としては、アルカリ金属ホウ酸塩及びケイ酸を同時に添加して適切な物質を調製することができる。本発明の通常の実施においては、用いられるケイ酸溶液の濃度は一般にはSiO2の重量を基準にして3ないし8パーセント、好ましくはSiO2の重量を基準にして5ないし7パーセントである。用いられるホウ酸塩溶液の重量パーセントは、B23として一般には0.01ないし30、好ましくは0.4ないし20重量パーセントである。用いられるホウ酸塩は広く様々な化合物に及び得る。市販のホウ砂、四ホウ酸ナトリウム10水和物、又は四ホウ酸ナトリウム5水和物が、これらの化合物の即時入手可能性及びそれらの低価格のため、本発明の実施において好ましい物質である。他の水溶性ホウ酸塩物質を用いることができる。あらゆる可溶性アルカリ金属ホウ酸塩が本発明の実施において用いることができるものと信じられる。本発明のコロイド状ホウケイ酸塩物質の調製はpH調整を用いて、又は用いずに達成することができる。時には、適切なアルカリ金属水酸化物、好ましくは水酸化ナトリウムを反応混合物に添加することによって7.5ないし10.5のpHで反応を行うことが望ましいことがある。理解されるであろうように、本発明のホウケイ酸塩組成物の合成手順は今なお最適化されつつあるものの、8ないし9.5のpH範囲で最良の結果が得られている。攪拌、添加速度、及び他のパラメータは本発明のコロイド状ホウケイ酸塩組成物の形成に対して決定的なものではないものと信じられる。本発明のコロイド状ホウケイ酸塩を調製する他の方法も用いることができる。これらの方法は、上述の通りにコロイド状ホウケイ酸塩を調製し、それらの粒子を噴霧乾燥した後に破砕すること、又は上に記載されるパラメータを満たすホウケイ酸物質を生じる他の方法を包含する。
【0019】
本発明は、紙の製造を改善する方法であって、製紙用完成紙料にそのスラリー又は完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.00005ないし約1.25重量%のホウケイ酸塩、好ましくはコロイド状ホウケイ酸塩を添加する工程を包含する方法をさらに含む。他の実施形態においては、完成紙料に非イオン性、カチオン性又はアニオン性ポリマー凝集剤を、ホウケイ酸塩を添加する前又は後のいずれかに、完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.001ないし約0.5重量%の量を完成紙料に添加することができる。また、カチオン性デンプンを完成紙料に、合成ポリマー凝集剤の代わりに、又はそれに加えて、完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.005ないし約5.0重量%の量添加することができる。より好ましくは、デンプンは完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.05ないし約1.5重量%の量添加する。さらに別の実施形態においては、凝固剤を完成紙料に、凝集剤及び/又はデンプンの代わりに、又はそれらに加えて、製紙用完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.005ないし約1.25重量%の量添加することができる。好ましくは、凝固剤は完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.025ないし約0.5重量%の量添加する。
【0020】
また、本発明は、製紙器機での製紙用完成紙料の保持及び排水を高めるための方法であって、製紙用完成紙料に完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.00005ないし約1.25重量%のホウケイ酸塩粒子、好ましくはコロイド状ホウケイ酸塩を添加する工程を包含する方法にも向けられている。ホウケイ酸塩は非イオン性、カチオン性又はアニオン性ポリマー凝集剤と共に製紙用完成紙料に添加することができる。この凝集剤は、ホウケイ酸塩の前又は後のいずれかに、完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.001ないし約0.5重量%の量添加することができる。また、デンプンを完成紙料に、凝集剤の代わりに、又はそれに加えて、完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.005ないし約5.0重量%の量添加することができる。デンプンが用いられる場合、好ましくはカチオン性デンプンが用いられる。用いる場合には、デンプンは好ましくは完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.05ないし約1.5重量%の量添加する。さらに別の代替法においては、凝固剤を完成紙料に、凝集剤及び/又はデンプンの代わりに、又はそれらに加えて、完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.005ないし約1.25重量%の量添加することができる。好ましくは、凝固剤は完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.025ないし約0.5重量%の量添加する。
【0021】
上記実施形態のいずれにおいても、ポリマー凝集剤の添加量は、好ましくは、完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.005ないし約0.2重量パーセントである。ホウケイ酸塩の添加量は、好ましくは、完成紙料中の乾燥繊維の重量を基準にして約0.005ないし約0.25重量パーセントであり、最も好ましくは完成紙料中の繊維の重量を基準にして約0.005ないし約0.15重量%である。
【0022】
本発明は広範囲の紙格及び完成紙料に適用可能であるため、上に示されるパーセンテージは時折変化する。本発明から逸脱することなく上に示されるパーセンテージから変化させることができることは本発明の精神及び意図するところの範囲内にあり、これらのパーセンテージ値は当該技術分野における熟練者に対する手引きとしてのみ示されている。
【0023】
また、上記実施形態のいずれにおいても、ベントナイト、タルク、合成粘土、ヘクトライト、カオリン、又はそれらの混合物をシート形成に先立つ製紙システムのどこででも添加することができる。好ましい添加時点は、白色水で希釈する前の濃厚貯蔵パルプである。この適用は製紙作業の清浄性を高め、これがなければ紙の生産性及び品質の両者に影響を及ぼす疎水性堆積を生じる。
【0024】
さらに、上記実施形態のいずれもが上質紙(ここで用いられる場合、バージン繊維ベースのものはもちろん再生繊維ベースの材質も含む)、厚紙(ここで用いられる場合、再生繊維ベースのテストライナー及び波形成形媒体はもちろんバージン繊維ベースの材質も含む)、及び新聞用紙(ここで用いられる場合、雑誌用完成紙料はもちろんバージン繊維及び再生繊維の両者をベースとするものを含む)、又は他のセルロース材料からなる群より選択される製紙用完成紙料に適用することができる。これらの完成紙料には木質含有、木質非含有、バージン、漂白再生、非漂白再生、及びそれらの混合物が含まれる。
【0025】
紙又は厚紙は、一般には、水性媒体中のセルロース材料の懸濁液又は完成紙料から作製されるが、この完成紙料は1つ以上の剪断段階を受け、このような段階は一般には洗浄段階、混合段階及び揚水段階であり、その後懸濁液を排水してシートを形成し、次にそのシートを所望の、一般には低い水濃度まで乾燥させる。本発明のホウケイ酸塩物質は剪断段階の前又は後に完成紙料に添加することができる。
【0026】
上述の保持及び排水助剤用途に加えて、ホウケイ酸塩物質を標準カチオン性湿潤強度樹脂と共に用いてそのように処理したセルロースシートの湿潤強度を改善することができる。このように用いられる場合、ホウケイ酸塩は、湿潤強度樹脂を含む完成紙料を製紙器機に入れる前に完成紙料に添加する。ホウケイ酸塩は、一般には、上述の濃度で用いる。
【0027】
本発明のホウケイ酸塩は製紙プロセスにおいて合成ポリマー凝集剤及び保持助剤、並びにデンプンの性能を大きく強化することが見出されている。さらに、これらのホウケイ酸塩物質は、水予備処理のような固体/液体分離プロセス、および排水処理用途における添加物としての有用性を有するものと信じられる。ホウケイ酸塩では、新聞用紙、上質紙、厚紙及び他の紙格における排水及び保持の強化に加えて、製紙におけるピッチ及び粘着性の制御、乾燥ラップパルプの製造におけるパルプの脱水、パルプ及び製紙工場における節約及び清澄用途、水の清澄化、溶解空気の浮揚及び汚泥の脱水において有用性を見出すこともできる。また、本発明の組成物では固体/液体分離又はエマルジョン破壊において有用性を見出すこともできる。そのような用途の例は、局所的(municipal)な汚泥の脱水、水性無機スラリーの清澄化及び脱水、精製エマルジョン破壊等である。本発明のホウケイ酸塩粒子を、合成ポリマー及び、又はデンプンと組み合わせて用いることにより見出される性能の強化には、高保持、改善された排水及び改善された固体/液体分離、並びに、しばしば、所望の効果を達成するのに用いられるポリマー又はデンプンの量の減少が含まれる。
【0028】
微粒子保持プログラムは、剪断によって破壊された、本来形成された綿状沈殿の回復に基づく。そのような適用においては、凝集剤を少なくとも1つの高剪断時点の前に添加し、次いで微粒子をヘッドボックスの直前に添加する。典型的には、凝集剤を圧力遮蔽板の前で添加し、次いで微粒子をそれらの遮蔽板の後で添加する。しかしながら、ここではこの順番を反対にしてもよい方法が考慮される。微粒子を添加することによって形成された二次綿状沈殿はシートの形成に有害な影響を及ぼすことなく保持及び排水を高める。これは、シート中の充填材含有量を高め、シートの両面性を排除し、製紙における器機の排水及び速度を増加させる。
【0029】
僅かに過剰のポリマー凝集剤及び/又は凝固剤を用いることが、引き続く剪断によって微小綿状沈殿の形成が生じ、その微小綿状沈殿が、完成紙料全体が正に帯電する必要はないものの、それらの表面の少なくとも一部を正に帯電させるのに十分なポリマーを含み、又は担持することを確実なものとするのに必要であるものと信じられる。したがって、完成紙料のゼータ電位は、ポリマーの添加の後及び剪断段階の後には、カチオン性又はアニオン性であり得る。
【0030】
剪断は、他の目的で用いられる装置内の機器、例えば、混合ポンプ、ファンポンプもしくは中心遮蔽板(centriscreen)によって加えられてもよい。また、装置内に剪断ミキサや、ポリマーの添加後に、剪断、好ましくは高程度の剪断を付与するための他の剪断ステージを導入してもよい。
【0031】
本発明の適用において用いられる凝集剤は、カチオン性又はアニオン性電荷を有し得る高分子量水溶性又は水分散性ポリマーである。非イオン性高分子量ポリマーも用いることができる。これらのポリマーは製紙システムにおいて完全に可溶性であっても、また、容易に分散し得るものであってもよい。これらは、好ましくない「フィッシュアイ」、いわゆる完成した紙上の溶解しないポリマーの塊を形成しない限り、分岐構造又は架橋構造を有することができる。これらのタイプのポリマーは様々な商業的源から容易に入手することができる。これらは乾燥固体、水溶液、水に添加したときにそれらに含まれるポリマーを迅速に可溶化できる油中水型エマルジョン、又は水性ブライン水溶液中の水溶性もしくは水分散性ポリマーの分散液として入手可能である。ここで用いられる高分子量凝集剤の形態は、そのポリマーが完成紙料中に可溶性又は分散性である限り重要なものとは思われない。
【0032】
上述のように、これらのポリマーはカチオン性、アニオン性、又は非イオン性であり得る。ここで有用なカチオン性ポリマー凝集剤は、一般には、カチオン性官能基を組み込んだ高分子ビニル付加ポリマーである。これらのポリマーは一般には水溶性カチオン性ビニルモノマーのホモポリマーであり、又は水溶性カチオン性ビニルモノマーと非イオン性モノマー、例えば、アクリルアミドもしくはメタクリルアミドとのコポリマーであり得る。これらのポリマーは一つだけのカチオン性ビニルモノマーを含んでいても、1つを上回るカチオン性ビニルモノマーを含んでいてもよい。また、特定のポリマーを重合の後に、例えばポリアクリルアミドをマニッヒ(mannich)反応により、修飾又は誘導体化して本発明において有用なカチオン性ビニルポリマーを生成することができる。これらのポリマーは、僅か1モルパーセントのカチオン性モノマーから、100モルパーセントのカチオン性モノマーまで調製されたものであってもよく、また、重合後の修飾ポリマーのカチオン的に修飾された官能基から調製されたものであってもよい。最も頻繁には、カチオン性凝集剤が少なくとも5モルパーセントのカチオン性ビニルモノマー又は官能基を有し、最も好ましくは少なくとも10重量パーセントのカチオン性ビニルモノマー又は官能基を有する。
【0033】
本発明のカチオン的に帯電したビニル付加コポリマー及びホモポリマーの製造において有用な、適切なカチオン性ビニルモノマーは、当該技術分野における熟練者に公知である。これらの物質には、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEM)、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、ジエチルアミノエチルアクリレート(DEAEA)、ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAEM)又は硫酸ジメチルもしくは塩化メチルで作製されたそれらの四級アンモニウム形態、マニッヒ反応修飾ポリアクリルアミド、ジアリルシクロヘキシルアミン塩酸塩(DACHA HCl)、ジアリルジメチルアンモニウム塩化物(DADMAC)、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩化物(MAPTAC)及びアリルアミン(ALA)が含まれる。カチオン化デンプンもここでの凝集剤として用いることができる。選択される凝集剤は上述のものの混合物であっても、上述のものとカチオン性デンプンとの混合物であってもよい。カチオン性ポリマーベースの保持プログラムの技術分野における熟練者は、特定のポリマーの選択が完成紙料、等級、及び水の質に依存することを容易に理解するであろう。
【0034】
本発明において有用であり得る高分子量アニオン性凝集剤は、好ましくは、アニオン電荷を有するモノマーを1モルパーセント以上含む水溶性又は水分散性ビニルポリマーである。したがって、これらのポリマーは水溶性のアニオン的に荷電したビニルモノマーのホモポリマーであっても、これらのモノマーと、例えば、アクリルアミドもしくはメタクリルアミドのような非イオン性モノマーとのコポリマーであってもよい。適切なアニオン性モノマーの例にはアクリル酸、メタクリルアミド2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート(AMPS)及びそれらの混合物に加えて、それらの対応する水溶性又は水分散性アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が含まれる。本発明において有用なアニオン性高分子量ポリマーは、加水分解したアクリルアミドポリマー、または例えばメタクリルアミドといったアクリルアミドもしくはその相同体と、例えばメタクリル酸などのアクリル酸もしくはその相同体、もしくはマレイン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、もしくは他のスルホネート含有モノマーのようなビニルモノマーのポリマーとのコポリマーであってもよい。アニオン性ポリマーはスルホネートもしくはホスホネート官能基又はそれらの混合物を含むことができ、ポリアクリルアミドもしくはポリメタクリルアミドポリマー又はコポリマーを誘導体化することによって調製することができる。最も好ましい高分子量アニオン性凝集剤はアクリル酸/アクリルアミドコポリマー、並びにスルホネート含有ポリマー、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、アクリルアミドメタンスルホネート、アクリルアミドエタンスルホネート及び2−ヒドロキシ−3−アクリルアミドプロパンスルホネートのようなモノマーとアクリルアミドもしくは他の非イオン性ビニルモノマーとを重合させることによって調製されるものである。ここで用いられる場合、アニオン性ビニルモノマーのポリマー及びコポリマーは僅かに1モルパーセントのアニオン的に帯電したモノマー、好ましくは少なくとも10モルパーセントのアニオン性モノマーを含むことができる。ここでもやはり、特定のアニオン性ポリマーの使用の選択は完成紙料、充填材、水の質、紙格等に依存する。
【0035】
ほとんどの微粒子プログラムが高分子量カチオン性凝集剤のみでうまく働くが、我々は、本発明のホウケイ酸塩粒子を、カチオン性凝固剤を加えて高分子量アニオン性水溶性凝集剤と共に用いて驚くべき効果を見出した。
【0036】
本発明において有用な非イオン性凝集剤はポリエチレン酸化物及びポリ(メタ)アクリルアミドからなる群より選択することができる。上記に加えて、特定の場合にはいわゆる両性水溶性ポリマーを用いることが有利であることがある。これらのポリマーは同じポリマー鎖にカチオン性及びアニオン性の両者の電荷を担持する。
【0037】
ここで有用な非イオン性、カチオン性及びアニオン性ビニルポリマー凝集剤は、一般には、少なくとも500,000ダルトンの分子量、好ましくは1,000,000ダルトン以上の分子量を有する。ここで有用な水溶性及び/又は水分散性凝集剤は5,000,000又はそれを上回る分子量、例えば、1000ないし3000万以上の範囲の分子量を有し得る。本発明のポリマーはこのシステムに適用したときに完全に水溶性であってもよく、又はそれらのポリマーが水中に分散し得る限り僅かに分岐し(二次元)、もしくは僅かに架橋(三次元)していてもよい。完全に水溶性であるポリマーを用いることが好ましいが、WO97/16598に記載されるもののような分散性ポリマーを用いることもできる。有用なポリマーは実質的に直鎖であり得、この用語はLangleyら、米国特許第4,753,710号において定義される通りのものとしてである。分子量の上限は製紙用完成紙料中に生じる生成物の溶解度又は分散性によって支配される。
【0038】
本発明の適用において有用なカチオン性又は両性デンプンは一般には米国特許第4,385,961号に記載されており、その開示は参照することにより本明細書に組み込まれている。カチオン性デンプン材料は、一般には、例えば、グアールガム及びデンプンなどの炭水化物をベースとする天然ポリマーからなる群より選択される。本発明の実施において最も有用であるものと信じられるカチオン性デンプン材料にはコムギ、ジャガイモ及びコメから誘導されるデンプン材料が含まれる。次にこれらの材料を反応させてデンプン主鎖にアンモニウム基を置換し、又はWO96/30591においてDondeyneらによって示唆される方法に従ってカチオン化することができる。一般には、本発明において有用なデンプンは約0.01ないし0.05のデンプン分子内でのアンモニウム基の置換度(d.s.)を有する。このd.s.は塩基デンプンを3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−トリメチルアンモニウム塩化物又は2,3−エポキシプロピル−トリメチルアンモニウム塩化物のいずれかと反応させてカチオン化デンプンを得ることによって得る。理解されるように、デンプン材料をカチオン化するための手段を記載することは本発明の範囲及び意図を超越するものであり、これらの修飾デンプン材料は公知であって様々な商業源から容易に入手可能である。
【0039】
セルロース完成紙料の様々な特徴、例えば、pH、硬度、イオン強度及びカチオン性の要求が所定の用途における凝集剤の性能に影響を及ぼし得る。凝集剤の選択には電荷のタイプ、電荷密度、分子量及びモノマーのタイプの考慮が関与し、特には処理されるべき完成紙料の水の化学的性質に依存する。
【0040】
本発明の作用を実質的に妨げることなく他の添加物をセルロース完成紙料に添加することができる。このような他の添加物には、例えば、ミョウバン及びロジンのようなサイズ剤、ピッチ制御剤、増量剤、殺傷剤等が含まれる。本発明の保持補助プログラムを加えるセルロース完成紙料は顔料及び、又は充填材、例えば、二酸化チタン、沈殿及び/又は粉砕炭酸カルシウム、又は他の無機もしくは有機充填材を含んでいてもよい。本発明を他のいわゆる微粒子プログラム、例えば、ベントナイト、カオリン、及びシリカゾルと組み合わせることが可能であり、それは本発明の精神の内にある。しかしながら、ここに示されるデータは主題発明の粒子がこれらの材料に勝ることを示し、それらの組み合わせは性能のレベルがこれらの材料のいずれかの単独よりも劣る可能性がある。それにも関わらず、製紙業者が等級又は完成紙料を変更する場合、特定の状況においては本発明のホウケイ酸塩材料と他の微粒子との組み合わせが実用的で望ましいものである可能性がある。
【0041】
本発明のホウケイ酸塩微粒子はSofiaら、米国特許第4,795,531号の教示による凝固剤と組み合わせて用いることもでき、この特許の開示は参照することにより以下本明細書に組み込まれる。Sofiaは、カチオン性凝固剤及び高分子量荷電凝集剤の存在下において微粒子を用いる微粒子プログラムを教示する。
【0042】
本発明のこの局面において用途を見出すことができるカチオン性凝固剤物質には公知の商業的に入手可能な低−中分子量可溶性ポリアルキレンポリアミンが含まれ、これにはアルキレンポリアミンを二官能性アルキルハロゲン化物と反応させることによって調製されるものが含まれる。このタイプの物質には、エチレン二塩化物及びアンモニア、エチレン二塩化物、アンモニア及び二級アミン、例えば、ジメチルアミン、エピクロロヒドリン−ジメチルアミン、エピクロロヒドリン−ジメチルアミン−アンモニア、ポリエチレンイミン等の反応から調製される縮合ポリマーが含まれる。低分子量溶液ポリマー及びビニルモノマーのコポリマー、例えばジアリルジメチルアンモニウムハロゲン化物、特にはジアリルジメチルアンモニウム塩化物、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキル−アミノアルキルアクリレート四級物等も有用であり、ここで「アルキル」は1〜4、好ましくは1〜2炭素原子を有する基を示す。好ましくは、「アルキル」はメチルである。これらのモノマーはジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチル−アミノエチルメタクリレート及びそれらの水溶性四級アンモニウム塩のような物質で例示される。特定の場合においては、カチオン性デンプンを凝固剤として用いることができる。無機凝固剤、例えば、ミョウバン及びポリアルミニウム塩化物を本発明において用いることもできる。無機凝固剤の使用率は、典型的には、完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして0.05ないし2重量パーセントである。凝固剤を本発明のホウケイ酸塩微粒子と共に用いることは任意である。
【0043】
本発明の方法は、ここに記載される充填材を含む全ての等級及びタイプの紙製品に適用することができ、さらに、硬材及び軟材の両者からの硫酸及び亜硫酸パルプを含む化学パルプ、熱砕木パルプ(thermo-mechanical pulps)、砕木パルプ(mechanical pulps)及び砕木パルプ(groundwood pulps)を限定することなく含む全てのタイプのパルプに対して用いるのに適用することができる。
【0044】
製紙プロセスにおいて用いられ、一般には製紙用貯蔵物において用いられるあらゆる無機充填材の量は完成紙料中の乾燥繊維の100重量部当たりに充填材約10ないし約30重量部であるが、そのような充填材の量は時には同じ基準で僅かに約5重量部であることも0重量部であることさえあり、かつ約40重量部という多さであることも50重量部であることさえある。
【0045】
以下の例は本発明の好ましい実施形態及び有用性を説明するために示されるものであり、添付される請求の範囲において別に記されない限り本発明を制限しようとするものではない。
【0046】
実施例1〜23
下記表Iに示される実施例の各々は、下記一般手順を用い、それぞれの試薬の量を変化させて調製した。
【0047】
ケイ酸はBechtoldら、U.S. 2,574,902の一般的な教示に従って調製した。テキサス州ダラスのOxyChemから入手可能な、約29重量%の二酸化ケイ素含有率及び9重量%の酸化ナトリウム含有率を有する商業的に入手可能なケイ酸ナトリウムを脱イオン水で8〜9重量%の二酸化ケイ素含有率に希釈した。カチオン性交換樹脂、例えば、Dowex HGR-W2H又はMonosphere 650C(両者共にミシガン州ミッドランドのDow Chemical Companyから入手可能)を、十分に確立された手順に従って無機酸で処理することによってH形態に再生した。この樹脂を再生後に脱イオン水ですすぎ、過剰の再生剤の完全な除去を保証した。次に、希釈ケイ酸塩溶液をこの再生洗浄樹脂のカラムに通した。生じたケイ酸を集めた。
【0048】
同時に、適量のホウ砂溶液(試薬級四ホウ酸ナトリウム10水和物)を適量の水酸化ナトリウム水溶液と組み合わせて反応用の「ヒール」を形成した。任意に、水をこのヒールに添加して形成の初期段階の間の適切な体積を保証することができる。
【0049】
次に、新たに調製したケイ酸を攪拌しながら室温で「ヒール」に添加した。ケイ酸を完全に添加した後60分間攪拌を継続した。生じたコロイド状ホウケイ酸塩は直ちに用いることも、後に使用するために保存することもできる。以下の表にはケイ酸、水酸化ナトリウム、及び四ホウ酸ナトリウム10水和物(ホウ砂)の量に加えてpHが示されている。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
下記表IIに定義される商業的に入手可能な化合物を以下の実施例を通して用いる。他に指示されない限り、全て60563-1198イリノイ州ネーパーヴィル、ワン・ナルコ・センター(One Nalco Center)のNalco Chemical Companyから入手可能である。
【0053】
【表3】

【0054】
以下に、表Iに示される実施例9の調製を説明する。比較のために対照を調製した。これは、ヒール中にホウ砂を含めることなく合成を実施したことに相当する。コロイド状シリカを、9.68gの商業的に入手可能なケイ酸ナトリウムを取って22gの水で希釈することによって調製した。この混合物を磁気攪拌棒で攪拌し、室温、すなわち25℃にした。その後直ちに、比重1.047のケイ酸249gを40分にわたって添加した。全てのケイ酸を反応混合物に添加したら、攪拌をさらに1時間継続した。形成されたコロイド状シリカは8.26重量%のSiO2を含んでいた。
【0055】
【表4】

【0056】
実施例24(コロイド状シリカゾル及びホウ砂の配合物)
「単純配合」対照を、商業的に入手可能なコロイド状シリカ及びホウ砂を混合することによって調製した。50gの0.1Mホウ砂溶液、92.3gの水、及び82gのNalco 8671からなる混合物を室温で調製した。この溶液のpHを濃塩酸で9.5に調整した。ホウ素対ケイ素モル比は0.098であり、これに対してナトリウム対ケイ素モル比は0.049であった。
【0057】
実施例25(米国特許第4,954,220号の実施例3)
Rushmereによる米国特許第4,954,220号、実施例3に記載されるもののようなアニオン性ポリケイ酸マイクロゲルを試験した。対象特許内でのこの例の目的は、特定のイオン塩がポリケイ酸マイクロゲルの形成を誘発することを示すことであった。これらの塩はケイ酸ナトリウム溶液のpHが不安定なpH範囲に調整されるように選択する。5重量%のホウ砂溶液を5gのオルトホウ酸ナトリウム10水和物及び95gの水から調製した。3.75%のケイ酸ナトリウム溶液を、29.3%を二酸化ケイ素として、かつ9.0%を酸化ナトリウムとして含む商業的に入手可能なケイ酸ナトリウム12.5g及び水87.5gから調製した。対象特許の指示に従い、60gの5%ホウ砂溶液を40gの希釈ケイ酸ナトリウム溶液と混合した。この混合液を8分間静置し、その後、二酸化ケイ素として0.125重量%までさらに希釈した。ポリケイ酸マイクロゲルの1.5%二酸化ケイ素溶液が静置することで23分でゲル化することが我々の研究室において繰り返し確認された。ホウ素対ケイ素モル比は1.24であった。同様に、ナトリウム対ケイ素モル比は1.2であった。最終生成物固体は0.125重量%活性であった。
【0058】
実施例26(ホウ砂溶液)
シリカを欠くブランクを、研究用に、100mLの0.1Mホウ砂溶液、48.6mLの1M NaOH溶液及び300mLの水を用いて調製した。溶液のpHは13であった。
【0059】
以下に示される実験の実施において以下の試験プロトコルを用いた。
【0060】
合成標準完成紙料の調製
・アルカリ性完成紙料
アルカリ性完成紙料は、8.1のpHを有し、70重量パーセントのセルロース繊維及び30重量%の充填材を含んでなるもので、合成配合用水で0.5重量%の全体濃度まで希釈されている。セルロース繊維は60重量%の漂白硬材クラフト及び40重量%の漂白軟材クラフトからなる。これらは、340ないし380CSFの範囲のカナディアン・スタンダード・フリーネス(Canadian Standard Freeness)(CSF)値まで別々に叩いた乾燥ラップから調製する。充填材は乾燥形態で供給される市販の粉砕炭酸カルシウムであった。配合用水は200ppmのカルシウム硬度(CaCl2として添加)、152ppmのマグネシウム硬度(MgSO4として添加)、及び110ppmの重炭酸塩アルカリ度(NaHCO3として添加)を含んでいた。
【0061】
・酸性完成紙料
酸性完成紙料は、同じ漂白クラフト硬材/軟材重量比、すなわち、60/40からなるものであった。この完成紙料の総固体は92.5重量%のセルロース繊維及び7.5重量%の充填材を含んでなるものであった。充填材は2.5重量%の二酸化チタン及び5.0重量%のカオリン粘土の組み合わせであった。他の添加物には乾燥固体1トン当たり20ポンド活性で添加されるミョウバンが含まれていた。完成紙料のpHは、ミョウバン添加後に完成紙料のpHが4.8となるように50%硫酸で調整した。
【0062】
ブリット・ジャー試験
ブリット・ジャー試験(Britt Jar Test)ではニューヨーク大学のK.W.Brittが開発したブリットCF動的排水ジャー(Britt CF Dynamic Drainage Jar)を用いた。これは、一般には、容量約1リットルの上部チャンバ及び底部排水チャンバからなり、これらのチャンバは支持遮蔽板及び排水遮蔽板で分離されている。排水チャンバの下には閉鎖用のクランプを備える柔軟な管が下方に延びている。上部チャンバには、上部チャンバ内に制御された剪断状態を作り出すため、2インチの3枚羽根プロペラが設けられている。試験は以下の順序に従って行った。
【0063】
【表5】

【0064】
【表6】

【0065】
上記の全ての場合において、用いられるデンプンはNalcoから商業的に入手可能なSolvitose N、カチオン性ジャガイモデンプンであった。アルカリ性完成紙料の場合、カチオン性デンプンは10ポンド/(完成紙料固体の乾燥重量トン)、すなわち乾燥貯蔵物固体100部当たり0.50重量部導入し、これに対して凝集剤は6ポンド/(完成紙料固体の乾燥重量トン)、すなわち乾燥貯蔵物固体の100部当たり0.30重量部添加した。酸性完成紙料の場合、添加物の投与量は:20ポンド/(完成紙料乾燥重量トンの活性ミョウバン)(すなわち、乾燥貯蔵物固体100部当たり1.00重量部)、10ポンド/(完成紙料の乾燥重量トン)、すなわち乾燥貯蔵物固体100部当たり0.50重量部のカチオン性デンプンであり、凝集剤は6ポンド/(完成紙料固体の乾燥重量トン)、すなわち乾燥貯蔵物固体100部当たり0.30重量部添加した。
【0066】
そのようにしてブリット・ジャーから排水された物質(「濾液」)を集め、水で希釈して都合よく測定することができる濁度を得る。このように希釈された濾液の濁度は、比濁分析濁度ユニット(Nephelometric Turbidity Units)、すなわちNTUで測定され、そして決定される。そのような濾液の濁度は製紙保持性能に逆比例する。濁度値が低下するに従って充填材及び/又は細粒の保持が高まる。濁度値はハック濁度計(Hach Turbidimeter)を用いて決定した。幾つかの場合においては、濁度を測定する代わりに、デジディスク光度計(DigiDisc Photometer)を用いて試料の透過%(%T)を決定した。この透過率は製紙保持性能に直接比例する。透過率値が高まるに従って保持値が高まる。
【0067】
SLM(走査レーザー顕微鏡)
以下の例において用いられる走査レーザー顕微鏡はPreikschat, F. K.及びE.に発行された米国特許第4,871,251号(1989)に概述されており、一般にはレーザー源、完成紙料に入射光を搬送し、かつそこからの散乱光を回収する光学系、フォトダイオード、及び信号解析ハードウェアからなる。市販の器機はワシントン州レッドモンドのLasentecTMから入手可能である。
【0068】
この実験は300mLのセルロース繊維含有スラリーを取り、これを適切な混合ビーカー内に入れることからなる。剪断は可変速度モーター及びプロペラによって完成紙料に付与する。プロペラは探索窓から一定の距離に設置し、その窓を横切るスラリーの運動を確実なものとする。典型的な投与順序を以下に示す。
【0069】
【表7】

【0070】
完成紙料中に存在する綿状沈殿の平均弦長さの変化は製紙保持性能に関係する。処理によって誘発される変化が大きいほど保持値が高い。
【0071】
表面積測定
ここで報告される表面積はゾル粒子表面の塩基の吸着を測定することによって得られる。この方法はSearsによってAnalytical Chemistry,28(12),1981-1983(1956)に記載されている。Iler("The Chemistry of Silica", John Wiley & Sons,
1979 353)によって指摘されるように、これは「標準化することができる、所定のシステムにおいて粒径の相対表面積を比較するための値」である。簡単に述べると、この方法は飽和塩化ナトリウム溶液中で既知量のシリカ(すなわち、グラム)の表面シラノール基を水酸化ナトリウムの標準溶液で滴定することを含む。得られた滴定剤の体積を表面積に変換する。
【0072】
S値の決定
コロイドの他の特徴は、一般には、分散相によって占められる空間の量である。これを決定するための方法の1つがR. Iler及びR. Daltonによって最初に開発され、J. Phys. Chem.,60(1956), 955-957に報告された。コロイド状シリカ系においては、S値が生成物内で形成される凝集の程度に関係することが示された。より低いS値はより大きい容積が同じ重量のコロイド状シリカによって占められていることを示す。
【0073】
DLS粒径の測定
1984年という早期から、動的光散乱(DLS)又は光子相関分光法(PCS)がサブミクロンの範囲の粒径を測定するのに用いられている。主題となるものの早期の処理は"Modern Methods of Particle Size Analysis", H. Barth編,Wiley, New York, 1984に見出される。この方法は小容積の試料を0.45ミクロン膜フィルターを通して濾過し、粉塵又は汚物のような目的から逸脱する汚染を除去することからなる。次に、試料をキュベットに入れ、次いでそのキュベットを合焦レーザービームの光路に配置する。散乱光を入射ビームに対して90°で集め、解析して平均粒径を得る。この研究では、Coulter Corporation, Scientific Instrumentsから商業的に入手可能なCulterRN4ユニットを用いた。
【0074】
以下の例は幾つかの製紙用完成紙料における本発明のコロイド状ホウケイ酸塩組成物と従来技術との比較の結果を示す。
【0075】
【表8】

【0076】
【表9】

【0077】
【表10】

【0078】
【表11】

【0079】
【表12】

【0080】
【表13】

【0081】
【表14】

【0082】
【表15】

【0083】
【表16】

【0084】
実施例27
100%漂白硬材バージン繊維を含んでなる市販のアルカリ性上質紙に対して以下の研究を行った。灰分含有率は沈殿炭酸カルシウムにより8%であった。濃度は1%に目標設定された。この完成紙料は再生コート損紙も含んでいた。
【0085】
【表17】

【0086】
【表18】

【0087】
【表19】

【0088】
実施例28
以下のデータは欧州産硬材及び軟材乾燥ラップを用いて調製したアルカリ性完成紙料を使用して集めた。その調製は「標準」アルカリ性完成紙料について上に概述されるものに従う。このアルカリ性完成紙料は8.1のpHを有し、70重量パーセントのセルロース繊維及び30重量パーセントの充填材を含んでなるもので、合成配合用水を用いて0.5重量%の全体濃度に希釈されている。セルロース繊維は60重量%の欧州産漂白硬材クラフト及び40重量%の欧州産漂白軟材クラフトからなる。これらは340ないし380CSFの範囲のカナディアン・スタンダード・フリーネス値まで別々に叩かれた乾燥ラップから調製する。充填材は乾燥形態で供給される市販の粉砕炭酸カルシウムであった。配合用水は200ppmのカルシウム硬度(CaCl2として添加)、152ppmのマグネシウム硬度(MgSO4として添加)、及び110ppmの重炭酸塩アルカリ度(NaHCO3として添加)を含んでいた。
【0089】
【表20】

【0090】
【表21】

【0091】
【表22】

【0092】
実施例29
次の完成紙料、市販の欧州産完成紙料を、コートしたアルカリ性上質紙の調製に用いた。この完成紙料は50%のセルロース繊維、すなわち100%漂白クラフト繊維、及び50%の充填材からなる。充填材は粉砕炭酸カルシウムである。この完成紙料は7.4のpH及び1.5%の全体濃度を有する。ブリット・ジャー及びSLM試験プロトコルは以下の順序からなるものであった。
【0093】
【表23】

【0094】
【表24】

【0095】
【表25】

【0096】
実施例30
次の完成紙料、市販の欧州産完成紙料は、40%の、亜硫酸漂白及び非漂白物からなるTMP繊維を含んでなり、40%がクラフト繊維であり、かつ残部がコート損紙である酸性紙料である。充填材はカオリン粘土である。最終製品はLWC(すなわち、軽量コート(Light Weight Coated))級である。特に、この完成紙料のpHは4.8であり、濃度は0.71%であった。ブリット・ジャー及びSLM試験プロトコルは以下の順序からなるものであった。
【0097】
【表26】

【0098】
【表27】

【0099】
【表28】

【0100】
順序は同じであるが、ポリマーの添加量を変更した。ミョウバンを6.7kg/tで添加し、カチオン性デンプンは5.0kg/tで添加し、凝固剤は5.0kg/tで添加し、凝集剤は、微粒子を2.0kg/tで添加する前に0.66kg/tで添加した。
【0101】
実施例31
次の完成紙料、市販の欧州産完成紙料はアルカリ性完成紙料である。このアルカリ性完成紙料は32%のクラフト繊維、48%の損紙、及び20%の灰分からなる。クラフト繊維は63%の硬材及び37%の軟材クラフトパルプからなる。20%の灰分は沈殿及び粉砕炭酸カルシウムの等しい成分を含んでなる。この完成紙料のpHは8.25であり、濃度は1.2%であった。SLM試験プロトコルは以下の順序からなるものであった。30秒で凝固剤を、ポリマー“C”を1.0kg/tで添加し、その30秒後に凝集剤、ポリマー“F”が0.5kg/tで続き、及び最後の添加物は90秒に1.0kg/tでの微粒子であった。
【0102】
【表29】

【0103】
実施例32
次の完成紙料、市販の欧州製完成紙料は中性コート木質含有シートの作製に用いる。この完成紙料はCTMP、コート損紙及び幾らかのクラフトパルプからなる。この完成紙料のpHは7.5であり、濃度は0.7%であった。このうち約20%は灰分であった。SLM試験プロトコルは以下の順序からなるものであった:カチオン性デンプン8kg/tで開始し、60秒で凝固剤、ポリマー“C”を4.8kg/tで添加し、その30秒後に凝集剤、ポリマー“E”が0.9kg/tで続き、及び最後の添加物は120秒に2.0kg/tでの微粒子であった。
【0104】
【表30】

【0105】
ここに記載される本発明の方法の組成物、操作及び配列において、以下の請求の範囲において定義される本発明の概念及び範囲から逸脱することなく、変更をなすことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.アルカリ金属ケイ酸塩の希溶水溶液をカチオン交換樹脂と接触させて、ケイ酸を生成する工程と、
b.アルカリ金属ホウ酸塩の希溶水溶液をアルカリ金属水酸化物と一緒に混合して、0.01ないし30重量パーセントのB23を含み、7ないし10.5のpHを有する水溶液を形成することによってヒールを形成する工程と、
c.前記ケイ酸を前記水溶液に攪拌しながら添加する工程と、そして、次いで、
d.水性コロイド状ホウケイ酸塩を回収する工程と
を含むことを特徴とする、コロイド状ホウケイ酸塩を調製するための方法。
【請求項2】
製紙用完成紙料に
(i)前記完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.00005ないし約1.25重量%のホウケイ酸塩を添加する工程であって、前記ホウケイ酸塩は、約1:1000ないし約100:1のホウ素対ケイ素モル比と、約6:1000ないし約1.04:1のケイ素対アルカリ金属モル比と、約1ないし2000nmの粒径と、約15ないし3000m2/gの表面積とを有しているところの工程と、そして次いで、
前記完成紙料を凝集する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
前記製紙用完成紙料に
(ii)前記完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.001ないし約0.50重量%の量の実質的に水溶性の高分子凝集剤を添加する工程であって、前記凝集剤が少なくとも500,000ダルトンの分子量を有しているところの工程
を更に含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記製紙用完成紙料に、前記完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.005ないし5.0重量%のカチオン性デンプンを添加し、これによって、製紙における機器からの排水速度を増加させる工程を
更に含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記完成紙料を製紙器機に供給するに先立って、前記添加を行い、前記方法は、
前記完成紙料を製紙器機に供給し、そして次いで、前記完成紙料を製紙条件下に置き、これによって、製紙器機における前記完成紙料からの排水速度を増加させる工程を
更に含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記完成紙料を製紙条件下に置き、そして、セルロースシートを回収する工程を
更に含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
次いで、前記完成紙料を製紙条件下に置き、そして、セルロースシートを回収し、これによって、前記シート上における細粒及び充填材の保持率を高め、そして、前記シートからの液体の排水速度を増加させる工程を
更に含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記製紙用完成紙料が、上質紙、厚紙、波形紙、テストライナー、再生紙及び新聞用紙のための紙料を調製するために使用される紙料からなる群より選択されることを特徴とする、請求項4から7の何れか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記凝集剤の添加の後に、前記ホウケイ酸塩を前記完成紙料に添加することを特徴とする、請求項5から8の何れか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記凝集剤の添加に先立って、1つの時点で、カチオン性凝固剤を前記完成紙料に添加する添加工程を
更に含むことを特徴とする、請求項5から9の何れか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記凝固剤を、前記完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.005ないし約1.25重量%の量で添加することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ベントナイト、タルク、ヘクトライト、カオリン、及びそれらの混合物からなる群より選択された成分を、前記完成紙料に添加する添加工程を
更に含むことを特徴とする、請求項4から11の何れか1つに記載の方法。
【請求項13】
前記凝集剤が、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、またはそれらの四級アンモニウム塩、ジアリルシクロヘキシルアミン塩酸塩、ジアリルジメチルアンモニウム塩化物、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、アリルアミン、マニッヒ反応修飾ポリアクリルアミド、及び、カチオン性デンプンのポリマーからなる群より選択されたカチオン性凝集剤であり、前記ポリマーが10,000,000ダルトン以上の分子量を有していることを特徴とする、請求項5から12の何れか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記凝集剤が、アクリル酸、メタクリルアミド2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、マレイン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−アクリルアミドプロパンスルホネート、それらの水溶性アルカリ金属塩、及び、加水分解したアクリルアミドポリマーからなる群より選択されたアニオン性凝集剤であり、前記ポリマーが10,000,000ダルトン以上の分子量を有していることを特徴とする、請求項5から12の何れか1つに記載の方法。
【請求項15】
前記凝集剤が、ポリエチレン酸化物及びポリアクリルアミドからなる群より選択された非イオン性凝集剤であることを特徴とする、請求項5から12の何れか1つに記載の方法。
【請求項16】
前記凝集剤が、約500,000から約30,000,000ダルトンの分子量を有していることを特徴とする、請求項5から15の何れか1つに記載の方法。
【請求項17】
前記凝集剤を、前記完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.005ないし約0.2重量%の量で添加することを特徴とする、請求項5から16の何れか1つに記載の方法。
【請求項18】
前記ホウケイ酸塩を、前記完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.005ないし約0.25重量%の量で添加することを特徴とする、請求項4から17の何れか1つに記載の方法。
【請求項19】
前記完成紙料を、凝集剤の添加後で、ホウケイ酸塩の添加前に、剪断段階に供することを特徴とする、請求項4から18の何れか1つに記載の方法。
【請求項20】
前記ホウケイ酸塩はコロイド状ホウケイ酸塩である、請求項4から19の何れか1つに記載の方法。
【請求項21】
前記コロイド状ホウケイ酸塩を、前記完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.005ないし約0.15重量%の量で添加することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ホウケイ酸塩が、
a.約1:100ないし2:5のホウ素対ケイ素モル比;
b.約6:1000ないし1.04:1のアルカリ金属対ケイ素モル比;
c.約1nmないし約200nmの粒径;及び、
d.約250ないし3000m2/gの表面積
を有していることを特徴とする、請求項4から21の何れか1つに記載の方法。
【請求項23】
前記ホウケイ酸塩が、
a.約1:100ないし2:5のホウ素対ケイ素モル比;
b.約6:1000ないし1.04:1のアルカリ金属対ケイ素モル比;
c.約20nmないし80nmの粒径;及び、
d.約700ないし3000m2/gの表面積
を有していることを特徴とする、請求項4から21の何れか1つに記載の方法。
【請求項24】
製紙における機器からの排水速度が増加されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項25】
前記カチオン性デンプンを添加した後に、前記ホウケイ酸塩を添加することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項26】
前記カチオン性デンプンを前記完成紙料に添加する前に、カチオン性凝固剤を前記完成紙料に添加する工程を更に含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項27】
前記凝固剤を、前記完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.005ないし約1.25重量%の量で添加することを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記カチオン性デンプンが、約500,000から約30,000,000ダルトンの分子量を有していることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項29】
前記カチオン性デンプンを、前記完成紙料中の繊維の乾燥重量を基準にして約0.05ないし約1.5重量%の量で添加することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項30】
前記添加に先立って、0.01ないし1.5重量%のセルロース繊維を含むセルロース完成紙料を形成する工程、及び、
前記添加後に、前記完成紙料を脱水して、セルロースシートを得る工程と
を更に含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。

【公開番号】特開2010−229027(P2010−229027A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76982(P2010−76982)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【分割の表示】特願2000−513798(P2000−513798)の分割
【原出願日】平成10年9月17日(1998.9.17)
【出願人】(599109663)ナルコ ケミカル カンパニー (8)
【氏名又は名称原語表記】NALCO CHEMICAL COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Nalco Center,Naperville,Illinois 60563−1198,United States of America
【Fターム(参考)】