説明

コンクリートの圧縮強度試験管理方法

【課題】コンクリートの圧縮強度試験において、試験中の偏心載荷を感知して修正することにより精度向上に寄与する管理方法を提供する。
【解決手段】コンクリートの圧縮強度試験において、載荷時の供試体における複数箇所の縦ひずみを測定し、測定した複数箇所の縦ひずみの差により偏心載荷を感知して修正する。すなわち、偏心載荷を試験中における複数箇所の縦ひずみの差により感知し、修正する。具体的には、圧縮強度試験時に二点以上の縦ひずみ(例えば、縦ひずみを供試体の軸に平行、かつ、対称な二つの線上で、供試体の高さの1/2の位置において測定する)の差を確認しながら載荷を行い、縦ひずみの差が大きくなった場合は載荷を中断し、供試体の設置状況等を確認して、再度試験を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートの圧縮強度試験の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートの形成物等に対する非破壊圧縮強度試験が各種方法により行われている(例えば特許文献1参照)。
コンクリートの圧縮強度試験(JIS A 1108)において、試験中の供試体に対する偏心載荷を防ぐために、「供試体の上下端面及び上下の加圧板の圧縮面を清掃する」や「供試体を供試体直径の1%以内の誤差で、その中心軸が加圧板の中心と一致するように置く」などの規定がある。これらの方法は試験前に試験中の偏心載荷の可能性を低くするものであって、試験開始後の偏心載荷を感知するものではない。
【特許文献1】特開2002−181677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンクリートの圧縮強度試験において、供試体に載荷した際、供試体の上下端面及び加圧板の圧縮面に微小な物質が存在する場合や供試体の中心軸が加圧板の中心と僅かにずれている場合、偏心して荷重がかかり、実際の強度より低い強度結果となることがある。
【0004】
本発明の課題は、コンクリートの圧縮強度試験において、試験中の偏心載荷を感知して修正することにより精度向上に寄与する管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、本発明は、コンクリートの圧縮強度試験において、載荷時の供試体における複数箇所の縦ひずみを測定し、測定した複数箇所の縦ひずみの差により偏心載荷を感知して修正することを特徴とする。
【0006】
すなわち、偏心載荷を試験中における複数箇所の縦ひずみの差により感知し、修正する。
具体的には、圧縮強度試験時に二点以上の縦ひずみ(例えば、縦ひずみを供試体の軸に平行、かつ、対称な二つの線上で、供試体の高さの1/2の位置において測定する)の差を確認しながら載荷を行い、縦ひずみの差が大きくなった場合は載荷を中断し、供試体の設置状況等を確認して、再度試験を実施する。
なお、載荷の中断は、設計基準強度の約1/3の時点までに縦ひずみの差が大きくなったときに実施する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コンクリートの圧縮強度試験において、試験中の偏心載荷を縦ひずみの差により感知して修正するため、精度向上を達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、表及び図を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0009】
【表1】

【0010】
表1及び図1〜3に超高強度コンクリートの圧縮強度試験結果を示す。表1は材齢及び供試体の相違に対応した圧縮強度試験結果を示したものである。図1〜3は材齢毎の供試体の相違に対応した圧縮強度試験結果(応力―ひずみ曲線)を示したものである。なお、JIS A 1149に規定されているコンクリートの静弾性係数試験方法に準拠して行った場合の応力―ひずみ曲線を使用している。
【0011】
表1及び図1〜3に示したとおり、材齢182日の圧縮強度は、材齢91日の圧縮強度より低い結果であった。材齢182日の縦ひずみの測定結果を見ると、何れの供試体も縦ひずみの差が大きく、これが圧縮強度試験結果に影響を与えたものと思われる。
【0012】
材齢365日の圧縮強度試験では、縦ひずみの差を確認しながら載荷を行い、応力40N/mm2 以下で縦ひずみの差が300μを超えた場合は載荷を中断し、供試体の設置状況等を確認して再度試験を行った。その結果、縦ひずみの差は材齢182日よりも小さくなり、圧縮強度は材齢91日、182日よりも高く、良好な試験結果が得られたものと判断できる。
【0013】
以上のことから、超高強度コンクリートの圧縮強度試験時に縦ひずみを測定し、管理することは有効であると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】材齢91日の供試体の相違に対応した圧縮強度試験結果(応力―ひずみ曲線)を示した図(a〜c)である。
【図2】材齢182日の供試体の相違に対応した圧縮強度試験結果(応力―ひずみ曲線)を示した図(a〜c)である。
【図3】材齢365日の供試体の相違に対応した圧縮強度試験結果(応力―ひずみ曲線)を示した図(a〜c)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートの圧縮強度試験において、
載荷時の供試体における複数箇所の縦ひずみを測定し、測定した複数箇所の縦ひずみの差により偏心載荷を感知して修正することを特徴とするコンクリートの圧縮強度試験管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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