説明

コンクリートの立ち上がり面に化粧凹凸模様を形成する化粧型枠

【課題】軽量にして強度的に優れ、しかも、コンクリートの立ち上がり面に彫りの深い凹凸模様を形成することができる、化粧型枠を提供する。
【解決手段】化粧型枠1のせき板5が、その内面部6に転写用の凹凸7を備えると共に、外面部8に前記転写用の凹凸7に対応して、凸部7aを凹部9b、凹部7bを凸部9aとする態様の凹凸9を備えた樹脂板からなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎等のコンクリートの立ち上がり面に化粧凹凸模様を形成する化粧型枠に関する。
【背景技術】
【0002】
基礎等のコンクリートの立ち上がり面に化粧凹凸模様を形成する方法として、図3(イ)〜(ニ)に示すように、転写用凹凸52を内面部に備えたウレタン樹脂シート51や真空成形樹脂シートを、コンクリート型枠の金属製せき板53の内面部に後付けで取り付け、型枠内にコンクリート54を打設し、ウレタン樹脂シート51や真空成形樹脂シートの凹凸52をコンクリート54の立ち上がり面に転写して化粧用凹凸55を形成する方法は、従来より提供されている。
【特許文献1】特開平8−218625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような、ウレタン樹脂シート51や真空成形樹脂シートを用いた形成方法では、ウレタン樹脂シート51や真空成形樹脂シートの後付けが厄介で手間を要すると共に、コストも高くついてしまうという問題がある。
【0004】
そこで、図4(イ)(ロ)に示すように、せき板56として、内面部に転写用の凹凸52を形成した樹脂板を用いることが考えられるが、樹脂板の肉厚寸法が小さいと、転写用の凹凸52の凹部52aの部分の肉厚寸法が小さくなり、コンクリート54の打設時にせき板56に曲がりを生じやすくなるという問題がある。
【0005】
そのため、せき板56として、図4(ハ)(ニ)に示すように、肉厚寸法の大きい樹脂板を用いる必要があるが、そうすると、せき板56の重量が大きくなってしまい、運搬や施工が容易でなくなるという問題を生じる。
【0006】
また、外面部が平滑で内面部に転写用の凹凸52を形成した樹脂板では、凹部52aと凸部52bの高さ寸法の差を大きくするのに限界があり、コンクリート54に彫りの深い凹凸模様55を形成するのが難しいという問題もある。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、軽量にして強度的に優れ、しかも、コンクリートの立ち上がり面に彫りの深い凹凸模様を形成することができる、化粧型枠を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、コンクリートの立ち上がり面に化粧凹凸模様を形成する化粧型枠であって、
せき板が、その内面部に転写用の凹凸を備えると共に、外面部に前記転写用の凹凸に対応して、凸部を凹部、凹部を凸部とする態様の凹凸を備えた樹脂板からなっていることを特徴とする化粧型枠によって解決される。
【0009】
この化粧型枠では、せき板が、その外面部に、内面部の転写用の凹凸に対応して、凸部を凹部、凹部を凸部とする態様の凹凸を備えた樹脂板からなっているので、軽量にして強度的に優れたせき板を実現することができ、運搬や施工が容易であると共に、コンクリートの打設時も曲がることなくコンクリートをしっかりと支えることができる。しかも、内面側の凹凸の高さ寸法の差を大きくすることができて、コンクリートの立ち上がり面に彫りの深い凹凸模様を形成することができる。
【0010】
もちろん、凹凸模様を転写する転写ウレタン樹脂シートや真空成形樹脂シートをせき板の内面部に後付けするものではなく、せき板そのものの内面部に凹凸模様転写用の凹凸を備えさせているものであるから、施工が容易であると共に、コストも低く抑えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の化粧型枠は、以上のとおりのものであるから、軽量にして強度的に優れ、しかも、コンクリートの立ち上がり面に彫りの深い凹凸模様を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施最良形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1及び図2に示す実施形態の化粧型枠1は、コンクリート布基礎2の屋外側の立ち上がり面部3に化粧凹凸模様4を形成するもので、該化粧型枠1のせき板5は、図1(ロ)(ハ)に示すように、その内面部6に転写用の凹凸7を備えると共に、外面部8に前記転写用の凹凸7に対応して、凸部7aを凹部9b、凹部7bを凸部9aとする態様の凹凸9を備えた硬質の樹脂板からなっている。
【0014】
施工は、図2(イ)(ロ)に示すように、上記の化粧型枠1と、床下側の型枠10とを設置した後、これら型枠1,10間にコンクリート11を打ち込み、養生、硬化後、図2(ハ)に示すように、脱型するというようにして行われる。凹凸模様を転写する転写ウレタン樹脂シートや真空成形樹脂シートをせき板の内面部に後付けするものではないから、施工が容易であると共に、コストも低く抑えられる。
【0015】
上記の化粧型枠1では、せき板5が、その外面部8に、内面部6の転写用の凹凸7に対応して、凸部7aを凹部9b、凹部7bを凸部9aとする態様の凹凸9を備えた樹脂板からなっているので、軽量にして強度的に優れ、そのため、運搬や施工が容易であり、コンクリート11の打設時も曲がることはなく、コンクリート11をしっかりと支えることができる。そして、内面6側の凹部7bと凸部7aの高さ寸法の差を大きくすることができて、コンクリート基礎2の屋外側の立ち上がり面3に彫りの深い凹凸模様4を形成することができる。
【0016】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、特定形態の凹凸模様をコンクリート布基礎の屋外側の立ち上がり面に形成する場合を示したが、凹凸模様の形態に制限はないし、また、基礎用に限らず、その他のコンクリート立ち上がり面に凹凸模様を形成する化粧型枠として構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態の化粧型枠を示すもので、図(イ)はせき板の正面図、図(ロ)は図(イ)のI−I線矢視断面図、図(ハ)は図(ロ)の部分拡大図である。
【図2】図(イ)〜図(ハ)は、施工方法を順次に示す断面図である。
【図3】従来例を示すもので、図(イ)〜図(ニ)は施工方法を順次に示す断面図である。
【図4】図(イ)は他の従来例を示すもので、図(ロ)はその施工過程の一つを示す断面図、図(ハ)は更に他の従来例を示すもので、図(ニ)はその施工過程の一つを示す断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1…化粧型枠
3…立ち上がり面部
4…化粧凹凸模様
5…せき板
6…内面部
7…転写用凹凸
7a…凸部
7b…凹部
8…外面部
9…凹凸
9a…凸部
9b…凹部
11…コンクリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートの立ち上がり面に化粧凹凸模様を形成する化粧型枠であって、
せき板が、その内面部に転写用の凹凸を備えると共に、外面部に前記転写用の凹凸に対応して、凸部を凹部、凹部を凸部とする態様の凹凸を備えた樹脂板からなっていることを特徴とする化粧型枠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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