説明

コンクリートブロック及びその結合構造

【課題】 作業時に衣服破損や怪我を生じる頻度を低減して所期の作業を安全に行うことができるコンクリートブロックを提供する。
【解決手段】 側壁ブロック11の補強鉄筋12として湾曲部分12aと該湾曲部分12aと連続する2つの直線部分12bとを有する形状のものを採用し、該補強鉄筋12の湾曲部分12a及び湾曲部分12a近傍の2つの直線部分12bの一部を被接触面11cから突出させてあるので、側壁ブロック11を現場に搬入する際や搬入場所から目的場所に移動して載置する際や載置後に連結鉄筋14等を連結する際に補強鉄筋12の突出端に作業者の衣服が引っ掛かって衣服に破損を生じる頻度を低減でき、また、補強鉄筋12の突出端に作業者の手足等が接触して作業者が怪我をする頻度を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、場所打ちコンクリート部を介して相互結合されるコンクリートブロックと、該コンクリートブロックの結合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
断面矩形状或いは断面U字状の水路または通路,擁壁,貯水槽等の比較的大型のコンクリート構造物には、コスト削減を目的として底版部分に場所打ちコンクリートが採用されている。
【0003】
図1は場所打ちコンクリートを採用した水路または通路の一例を示すもので、符号1はプレキャストの側壁ブロック、符号2は場所打ちコンクリート部である。側壁ブロック1は所定の幅W及び高さHを有しており、側版部1aの下端に底版部1bを備える。側壁ブロック1はその幅方向と直交する方向に間隔を置いて向き合うように配置され、対向する底版部1b間に場所打ちコンクリート部2が形成されている。
【0004】
図2に示すように、側壁ブロック1は場所打ちコンクリート部2と接触する底版部1bの端面(被接触面)1cから補強鉄筋3の一部を突出している。詳しくは、補強鉄筋3は上下2列で且つ幅方向に間隔をおいて複数設けられており、各補強鉄筋3は直線状でその一部を被接触面1cから突出し且つ残部を側壁ブロック1に埋設されている。各補強鉄筋3の突出部分には後述の連結鉄筋4との連結の的確性を高めるためにかなりの長さが確保されている。
【0005】
図1に示したコンクリート構造物を構築するに際して側壁ブロック1を場所打ちコンクリート部2を介して相互結合するときには、図2に示すように側壁ブロック1を互いの被接触面1cが向き合うように基準面RPに載置する。そして、図3に示すように側壁ブロック1の相対する補強鉄筋3の突出部分それぞれに直線状の連結鉄筋4の両端部を重ね合わせて結束或いは溶着によって連結する。そして、補強鉄筋3の突出部分及び連結鉄筋4が埋設するように側壁ブロック1の被接触面1c間にコンクリートを打設して場所打ちコンクリート部2を形成する。
【特許文献1】特開平4−293830号公報
【特許文献2】特開2000−204643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記側壁ブロック1の補強鉄筋3の突出部分はかなりの長さを有しているため、側壁ブロック1を現場に搬入する際や搬入場所から目的場所に移動して載置する際や載置後に連結鉄筋4を連結する際に補強鉄筋3の突出端に作業者の衣服が引っ掛かって衣服に破損を生じる頻度、並びに、補強鉄筋3の突出端に作業者の手足等が接触して作業者が怪我をする頻度が高い。これら衣服破損や怪我が発生したときには当然ながら作業が一時的に中断してしまうため、本来の作業に遅延が生じてしまう。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みて創作されたもので、作業時に衣服破損や怪我を生じる頻度を低減して所期の作業を安全に行うことができるコンクリートブロックと該コンクリートブロックの結合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、場所打ちコンクリート部と接触する被接触面から補強鉄筋の一部を突出したコンクリートブロックであって、前記補強鉄筋は湾曲部分と該湾曲部分と連続する2つの直線部分とを有する形状を成し、湾曲部分及び湾曲部分近傍の2つの直線部分の一部を被接触面から突出し且つ2つの直線部分の残部をコンクリートブロックに埋設されている、ことをその特徴とする。
【0009】
また、本発明は、場所打ちコンクリート部と接触する被接触面から補強鉄筋の一部を突出したコンクリートブロックと、コンクリートブロックの相対する補強鉄筋の突出部分それぞれに両端部を重ね合わせて連結された連結鉄筋と、補強鉄筋の突出部分及び連結鉄筋が埋設するようにコンクリートブロックの被接触面間に形成された場所打ちコンクリート部とを備えたコンクリートブロックの結合構造であって、前記コンクリートブロックの補強鉄筋は湾曲部分と該湾曲部分と連続する2つの直線部分とを有する形状を成し、湾曲部分及び湾曲部分近傍の2つの直線部分の一部を被接触面から突出し且つ2つの直線部分の残部をコンクリートブロックに埋設されており、前記連結鉄筋は両端の湾曲部分と該各湾曲部分と連続する2つの直線部分とを有する形状を成し、コンクリートブロックの相対する補強鉄筋の突出部分それぞれに両端部を重ね合わせて連結されている、ことをその特徴とする
前記のコンクリートブロックによれば、側壁ブロックの補強鉄筋として湾曲部分と該湾曲部分と連続する2つの直線部分とを有する形状のものを採用し、該補強鉄筋の湾曲部分及び湾曲部分近傍の2つの直線部分の一部を被接触面から突出させてあるので、側壁ブロックを現場に搬入する際や搬入場所から目的場所に移動して載置する際や載置後に連結鉄筋を連結する際に補強鉄筋の突出端に作業者の衣服が引っ掛かって衣服に破損を生じる頻度を低減でき、また、補強鉄筋の突出端に作業者の手足等が接触して作業者が怪我をする頻度を低減できる。
【0010】
また、前記の側壁ブロックの結合構造によれば、連結鉄筋として両端の湾曲部分と該各湾曲部分と連続する2つの直線部分とを有する形状のものを採用しているので、側壁ブロック載置後に連結鉄筋を連結する際に連結鉄筋の両端に作業者の衣服が引っ掛かって衣服に破損を生じる頻度、並びに、連結鉄筋の両端に作業者の手足等が接触して作業者が怪我をする頻度を低減できる。
【0011】
つまり、前述の側壁ブロック及びその結合構造によれば、作業時に衣服破損や怪我を生じる頻度を低減して所期の作業を安全に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作業時に衣服破損や怪我を生じる頻度を低減して所期の作業を安全に行うことができるコンクリートブロックと該コンクリートブロックの結合構造を提供できる。
【0013】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1実施形態]
図4〜図8は、本発明を水路または通路用の側壁ブロックに適用した第1実施形態を示す。
【0015】
まず、図4を参照してプレキャストの側壁ブロック11の構造について説明する。図4(A)は側壁ブロックの一部破断斜視図、図4(B)は図4(A)の部分縦断面図である。
【0016】
側壁ブロック11は所定の幅W及び高さHを有しており、側版部11aの下端に底版部11bを備える。この側壁ブロック11は場所打ちコンクリート部(図8の符号16参照)と接触する底版部11bの端面(被接触面)11cから補強鉄筋12の一部を突出している。
【0017】
詳しくは、補強鉄筋12は幅方向に間隔をおいて複数設けられている。各補強鉄筋12は略半円形の湾曲部分12aと該湾曲部分12aと連続する上下2つの直線部分12bとを有する形状を成し、湾曲部分12a及び湾曲部分12a近傍の2つの直線部分12bの一部を被接触面11cから突出し且つ2つの直線部分12bの残部を側壁ブロック11に埋設されている。補強鉄筋12の下側の直線部分12bの長さは上側の直線部分12bの長さよりも長い。また、側壁ブロック11には直線状の第2の補強鉄筋13が埋設されており、該第2の補強鉄筋13の一端部は補強鉄筋12の上側の直線部分12bの端部と重ね合わせて結束或いは溶着によって連結されている。
【0018】
次に、図5〜図8を参照して図4に示した側壁ブロック11の結合手順についてその結合構造を交えて説明する。
【0019】
前記側壁ブロック11を場所打ちコンクリート部(図8の符号16参照)を介して相互結合するときには、図5に示すように側壁ブロック11を互いの被接触面11cが向き合うように基準面RPに載置する。
【0020】
そして、図6に示すように側壁ブロック11の相対する補強鉄筋12の突出部分(湾曲部分12a及び湾曲部分12a近傍の2つの直線部分12bの一部)それぞれに同図に示す連結鉄筋14の両端部を重ね合わせて結束或いは溶着によって連結する。この連結鉄筋14は両端の略半円形の湾曲部分14aと該各湾曲部分14aと連続する上下2つの直線部分14b,14cとを有する形状を成し、下側の直線部分14bは両端の湾曲部分14aに及ぶ長さを有し、上側の直線部分14cは両端の湾曲部分14aから内側に向けて所定の長さを有する。
【0021】
図6から分かるように、連結鉄筋14の重ね合わせは、連結鉄筋14の湾曲部分14a近傍の2つの直線部分14b,14cの一部を、側壁ブロック11の補強鉄筋12の湾曲部分12a近傍の2つの直線部分12bの一部に重ね合わせることにより実施される。また、連結鉄筋14の連結は、連結鉄筋14の湾曲部分14a近傍の2つの直線部分14b,14cの一部と側壁ブロック11の補強鉄筋12の湾曲部分12a近傍の2つの直線部分12bの一部との重なり箇所をそれぞれ結束或いは溶着することにより実施される。
【0022】
そして、図7に示すように連結鉄筋14の上側の直線部分14cそれぞれに同図に示す直線状の第2の連結鉄筋15の両端部を重ね合わせて結束或いは溶着によって連結する。
【0023】
そして、図8に示すように補強鉄筋12の突出部分,連結鉄筋14及び第2の連結鉄筋15が埋設するように側壁ブロック11の被接触面11c間にコンクリートを打設して場所打ちコンクリート部16を形成する。
【0024】
前述の側壁ブロック11によれば、側壁ブロック11の補強鉄筋12として湾曲部分12aと該湾曲部分12aと連続する2つの直線部分12bとを有する形状のものを採用し、該補強鉄筋12の湾曲部分12a及び湾曲部分12a近傍の2つの直線部分12bの一部を被接触面11cから突出させてあるので、側壁ブロック11を現場に搬入する際や搬入場所から目的場所に移動して載置する際や載置後に連結鉄筋14等を連結する際に補強鉄筋12の突出端に作業者の衣服が引っ掛かって衣服に破損を生じる頻度を低減でき、また、補強鉄筋12の突出端に作業者の手足等が接触して作業者が怪我をする頻度を低減できる。
【0025】
また、前述の側壁ブロック11の結合構造によれば、連結鉄筋14として両端の湾曲部分14aと該各湾曲部分14aと連続する2つの直線部分14b,14cとを有する形状のものを採用しているので、側壁ブロック11載置後に連結鉄筋14を連結する際に連結鉄筋14の両端に作業者の衣服が引っ掛かって衣服に破損を生じる頻度、並びに、連結鉄筋14の両端に作業者の手足等が接触して作業者が怪我をする頻度を低減できる。
【0026】
つまり、前述の側壁ブロック11及びその結合構造によれば、作業時に衣服破損や怪我を生じる頻度を低減して所期の作業を安全に行うことができる。
【0027】
また、前述の側壁ブロック11によれば、補強鉄筋12の湾曲部分12a及び湾曲部分12a近傍の2つの直線部分12bの一部を被接触面11cから突出し、該突出部分に同様の湾曲部分14aを有する連結鉄筋14の端部を重ね合わせて連結するようにしているので、補強鉄筋12の突出部分の長さを短くしても連結鉄筋14との連結を的確に行うことができる。換言すれば、補強鉄筋12の突出部分の長さを短くできるので補強鉄筋12に係る材料費を低減することができ、また、補強鉄筋12の突出部分の長さを短くすることによって作業時に衣服破損や怪我を生じる頻度をより低減して所期の作業をより安全に行うことができる。
【0028】
さらに、前述の側壁ブロック11の結合構造によれば、連結鉄筋14の湾曲部分14a近傍の2つの直線部分14b,14cの一部と側壁ブロック11の補強鉄筋12の湾曲部分12a近傍の2つの直線部分12bの一部との重なり箇所をそれぞれ連結しているので、施工後の場所打ちコンクリート部16の主に下面側に作用する外力に対抗する力(耐荷力)を確実に得ることができる。しかも、側壁ブロック補強鉄筋12に第2の補強鉄筋13を設けると共に連結鉄筋14の上側の直線部分14cそれぞれに第2の連結鉄筋15の両端部を重ね合わせて連結しているので、施工後の場所打ちコンクリート部16の主に上面側に作用する外力に対抗する力(耐荷力)を確実に得ることができる。
【0029】
前記の補強鉄筋12と第2の補強鉄筋13と連結鉄筋14と第2の連結鉄筋15のそれぞれの太さは、施工後の場所打ちコンクリート部16及び側壁ブロック11の底版部11bに作用する外力に応じて適宜選択される。例えば、施工後の場所打ちコンクリート部16及び側壁ブロック11の底版部11bの下面側と上面側に作用する外力が異なる場合には、下面側に作用する外力に応じた太さのものが補強鉄筋12及び連結鉄筋14に用いられ、上面側に作用する外力に応じた異なる太さのものが第2の補強鉄筋13及び第2の連結鉄筋15に用いられる。
【0030】
尚、図1〜図8に示した第1実施形態では、連結鉄筋14の上側の直線部分14cそれぞれに第2の連結鉄筋15の両端部を重ね合わせて連結したものを結合構造として示したが、図9に示すように第2の連結鉄筋15よりも長さの長いものを第2の連結鉄筋15’として用いて、該第2の連結鉄筋15’の端部を連結鉄筋14の上側の直線部分14cと補強鉄筋12の上側の直線部分12bの両方に重ね合わせて結束或いは溶着によって連結してもよい。
【0031】
また、図1〜図8に示した第1実施形態では、補強鉄筋12の突出部分と連結鉄筋14と第2の連結鉄筋15を場所打ちコンクリート部16に埋設したものを結合構造として示したが、図10に示すように複数の配力筋17を補強鉄筋12の突出部分と連結鉄筋14と第2の連結鉄筋15とそれぞれ交差する向きで配して連結し、これらを場所打ちコンクリート部16に併せて埋設してもよい。
【0032】
さらに、図1〜図8に示した第1実施形態では、本発明を水路または通路用の側壁ブロック11に適用したものを示したが、擁壁,貯水槽等の他のコンクリート構造物に用いられるコンクリートブロックに本発明を適用しても、つまり、場所打ちコンクリート部を介して相互結合されるコンクリートブロックであれば本発明を適宜適用して前記同様の効果を得ることができる。
【0033】
[第2実施形態]
図11〜図15は、本発明を水路または通路用の側壁ブロックに適用した第2実施形態を示す。
【0034】
まず、図11を参照して側壁ブロック21の構造について説明する。図11(A)は側壁ブロックの一部破断斜視図、図11(B)と図11(C)は図11(A)の部分縦断面図である。
【0035】
側壁ブロック21は所定の幅W及び高さを有しており、側版部21aの下端に底版部21bを備える。この側壁ブロック21は場所打ちコンクリート部(図15の符号26参照)と接触する底版部21bの端面(被接触面)21cから補強鉄筋22,23の一部を突出している。
【0036】
詳しくは、補強鉄筋22,23は2つ1組で用いられており、各組は幅方向に間隔をおいて複数設けられている。各組を成す一方の補強鉄筋22は、図11(B)に示すように略半円形の湾曲部分22aと該湾曲部分22aと連続する上下2つの直線部分22bとを有する形状を成し、湾曲部分22a及び湾曲部分22a近傍の2つの直線部分22bの一部を被接触面21cから突出し且つ2つの直線部分22bの残部を側壁ブロック21に埋設されている。この補強鉄筋22の下側の直線部分22bの長さは上側の直線部分22bの長さよりも長い。また、各組を成す他方の補強鉄筋23は、図11(C)に示すように略半円形の湾曲部分23aと該湾曲部分23aと連続する上下2つの直線部分23bとを有する形状を成し、湾曲部分23a及び湾曲部分23a近傍の2つの直線部分23bの一部を被接触面21cから突出し且つ2つの直線部分23bの残部を側壁ブロック21に埋設されている。この補強鉄筋23の下側の直線部分23bの長さは上側の直線部分23bの長さよりも短い。ここでの補強鉄筋23は先に述べた補強鉄筋22を上下反転して用いている。
【0037】
次に、図12〜図15を参照して図11に示した側壁ブロック21の結合手順についてその結合構造を交えて説明する。
【0038】
前記側壁ブロック21を場所打ちコンクリート部(図15の符号26参照)を介して相互結合するときには、図12(A)及び図12(B)に示すように側壁ブロック21を互いの被接触面21cが向き合うように基準面RPに載置する。
【0039】
そして、図13(A)に示すように側壁ブロック11の相対する一方の補強鉄筋22の突出部分(湾曲部分22a及び湾曲部分22a近傍の2つの直線部分22bの一部)それぞれに同図に示す連結鉄筋24の両端部を重ね合わせて結束或いは溶着によって連結する。この連結鉄筋24は両端の略半円形の湾曲部分24aと該各湾曲部分24aと連続する上下2つの直線部分24b,24cとを有する形状を成し、下側の直線部分24bは両端の湾曲部分24aに及ぶ長さを有し、上側の直線部分24cは両端の湾曲部分24aから内側に向けて所定の長さを有する。
【0040】
図13(A)から分かるように、連結鉄筋24の重ね合わせは、連結鉄筋24の湾曲部分24a近傍の2つの直線部分24b,24cの一部を、側壁ブロック21の一方の補強鉄筋22の湾曲部分22a近傍の2つの直線部分22bの一部に重ね合わせることにより実施される。この連結鉄筋24の重ね合わせ位置は図14に示すように補強鉄筋22の突出部分の外側である。また、連結鉄筋24の連結は、連結鉄筋24の湾曲部分24a近傍の2つの直線部分24b,24cの一部と側壁ブロック21の補強鉄筋22の湾曲部分22a近傍の2つの直線部分22bの一部との重なり箇所をそれぞれ結束或いは溶着することにより実施される。
【0041】
また、図13(B)に示すように側壁ブロック11の相対する他方の補強鉄筋23の突出部分(湾曲部分23a及び湾曲部分23a近傍の2つの直線部分23bの一部)それぞれに同図に示す連結鉄筋25の両端部を重ね合わせて結束或いは溶着によって連結する。この連結鉄筋25は両端の略半円形の湾曲部分25aと該各湾曲部分25aと連続する上下2つの直線部分25b,25cとを有する形状を成し、上側の直線部分25bは両端の湾曲部分25aに及ぶ長さを有し、下側の直線部分25cは両端の湾曲部分25aから内側に向けて所定の長さを有する。ここでの連結鉄筋25は先に述べた連結鉄筋24を上下反転して用いている。
【0042】
図13(B)から分かるように、連結鉄筋25の重ね合わせは、連結鉄筋25の湾曲部分25a近傍の2つの直線部分25b,25cの一部を、側壁ブロック21の他方の補強鉄筋23の湾曲部分23a近傍の2つの直線部分23bの一部に重ね合わせることにより実施される。この連結鉄筋25の重ね合わせ位置は図14に示すように補強鉄筋23の突出部分の外側である。また、連結鉄筋24の連結は、連結鉄筋24の湾曲部分24a近傍の2つの直線部分24b,24cの一部と側壁ブロック21の補強鉄筋22の湾曲部分22a近傍の2つの直線部分22bの一部との重なり箇所をそれぞれ結束或いは溶着することにより実施される。
【0043】
そして、図15に示すように補強鉄筋22,23の突出部分及び連結鉄筋24,25が埋設するように側壁ブロック21の被接触面21c間にコンクリートを打設して場所打ちコンクリート部26を形成する。
【0044】
前述の側壁ブロック21によれば、側壁ブロック21の補強鉄筋22,23として湾曲部分22a,23aと該湾曲部分22a,23aと連続する2つの直線部分22b,23bとを有する形状のものを採用し、該各補強鉄筋22,23の湾曲部分22a,23a及び湾曲部分22a,23a近傍の2つの直線部分22b,23bの一部を被接触面21cから突出させてあるので、側壁ブロック21を現場に搬入する際や搬入場所から目的場所に移動して載置する際や載置後に連結鉄筋24,25を連結する際に補強鉄筋22,23の突出端に作業者の衣服が引っ掛かって衣服に破損を生じる頻度を低減でき、また、補強鉄筋22,23の突出端に作業者の手足等が接触して作業者が怪我をする頻度を低減できる。
【0045】
また、前述の側壁ブロック21の結合構造によれば、連結鉄筋24,25として両端の湾曲部分24a,25aと該各湾曲部分24a,25aと連続する2つの直線部分24b,24c,25b,25cとを有する形状のものを採用しているので、側壁ブロック21載置後に連結鉄筋24,25を連結する際に連結鉄筋24,25の両端に作業者の衣服が引っ掛かって衣服に破損を生じる頻度、並びに、連結鉄筋24,25の両端に作業者の手足等が接触して作業者が怪我をする頻度を低減できる。
【0046】
つまり、前述の側壁ブロック21及びその結合構造によれば、作業時に衣服破損や怪我を生じる頻度を低減して所期の作業を安全に行うことができる。
【0047】
また、前述の側壁ブロック21によれば、補強鉄筋22,23の湾曲部分22a,23a及び湾曲部分22a,23a近傍の2つの直線部分22b,23bの一部を被接触面21cから突出し、該突出部分に同様の湾曲部分24a,25aを有する連結鉄筋24,25の端部を重ね合わせて連結するようにしているので、補強鉄筋22,23の突出部分の長さを短くしても連結鉄筋24,25との連結を的確に行うことができる。換言すれば、補強鉄筋22,23の突出部分の長さを短くできるので補強鉄筋22,23に係る材料費を低減することができ、また、補強鉄筋22,23の突出部分の長さを短くすることによって作業時に衣服破損や怪我を生じる頻度をより低減して所期の作業をより安全に行うことができる。
【0048】
さらに、前述の側壁ブロック21の結合構造によれば、連結鉄筋24,25の湾曲部分24a,25a近傍の2つの直線部分24b,24c,25b,25cの一部と側壁ブロック21の補強鉄筋22,23の湾曲部分22a,23a近傍の2つの直線部分22b,23bの一部との重なり箇所をそれぞれ連結しているので、施工後の場所打ちコンクリート部26の主に下面側に作用する外力に対抗する力(耐荷力)及び主に上面側に作用する外力に対抗する力(耐荷力)を確実に得ることができる。
【0049】
前記の補強鉄筋22,23と連結鉄筋24,25のそれぞれの太さは、施工後の場所打ちコンクリート部26及び側壁ブロック21の底版部21bに作用する外力に応じて適宜選択される。例えば、施工後の場所打ちコンクリート部26及び側壁ブロック21の底版部21bの下面側と上面側に作用する外力が異なる場合には、下面側に作用する外力に応じた太さのものが補強鉄筋22及び連結鉄筋24に用いられ、上面側に作用する外力に応じた異なる太さのものが補強鉄筋23及び連結鉄筋25に用いられる。
【0050】
尚、図11〜図15に示した第2実施形態では、一方の連結鉄筋24の端部を一方の補強鉄筋22の突出部分の外側に重ね合わせ、他方の連結鉄筋25の端部を他方の補強鉄筋23の突出部分の外側に重ね合わせたものを結合構造として示したが、図16に示すように一方の連結鉄筋24の端部を一方の補強鉄筋22の突出部分の内側に重ね合わせ、他方の連結鉄筋25の端部を他方の補強鉄筋23の突出部分の内側に重ね合わせてもよい。勿論、一方の連結鉄筋24の端部を一方の補強鉄筋22の突出部分の外側に重ね合わせ、他方の連結鉄筋25の端部を他方の補強鉄筋23の突出部分の内側に重ね合わせてもよい。
【0051】
また、図11〜図15に示した第2実施形態では、補強鉄筋22,23の突出部分と連結鉄筋24,25を場所打ちコンクリート部26に埋設したものを結合構造として示したが、図17に示すように複数の配力筋27を補強鉄筋22,23の突出部分と連結鉄筋24,25とそれぞれ交差する向きで配して連結し、これらを場所打ちコンクリート部26に併せて埋設してもよい。
【0052】
さらに、図11〜図15に示した第2実施形態では、本発明を水路または通路用の側壁ブロック21に適用したものを示したが、擁壁,貯水槽等の他のコンクリート構造物に用いられるコンクリートブロックに本発明を適用しても、つまり、場所打ちコンクリート部を介して相互結合されるコンクリートブロックであれば本発明を適宜適用して前記同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】従来例を示すコンクリート構造物の一部破断斜視図である。
【図2】図1に示した側壁ブロックの結合手順を示す図である。
【図3】図1に示した側壁ブロックの結合手順を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る側壁ブロックの一部破断斜視図とその部分縦断面図である。
【図5】図4に示した側壁ブロックの結合手順を示す図である。
【図6】図4に示した側壁ブロックの結合手順を示す図である。
【図7】図4に示した側壁ブロックの結合手順を示す図である。
【図8】図4に示した側壁ブロックの結合手順を示す図である。
【図9】第1実施形態の変形例を示す部分縦断面図である。
【図10】第1実施形態の他の変形例を示す部分縦断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る側壁ブロックの一部破断斜視図とその部分縦断面図である。
【図12】図11に示した側壁ブロックの結合手順を示す図である。
【図13】図11に示した側壁ブロックの結合手順を示す図である。
【図14】図11に示した側壁ブロックの結合手順を示す図である。
【図15】図11に示した側壁ブロックの結合手順を示す図である。
【図16】第2実施形態の変形例を示す部分上面図である。
【図17】第2実施形態の他の変形例を示す部分縦断面図である。
【符号の説明】
【0054】
11…側壁ブロック、11c…被接触面、12…補強鉄筋、12a…湾曲部分、12b…直線部分、14…連結鉄筋、14a…湾曲部分、14b…直線部分、14c…直線部分、16…場所打ちコンクリート部、21…側壁ブロック、21c…被接触面、22…補強鉄筋、22a…湾曲部分、22b…直線部分、23…補強鉄筋、23a…湾曲部分、23b…直線部分、24…連結鉄筋、24a…湾曲部分、24b…直線部分、24c…直線部分、25…連結鉄筋、25a…湾曲部分、25b…直線部分、25c…直線部分、26…場所打ちコンクリート部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
場所打ちコンクリート部と接触する被接触面から補強鉄筋の一部を突出したコンクリートブロックであって、
前記補強鉄筋は湾曲部分と該湾曲部分と連続する2つの直線部分とを有する形状を成し、湾曲部分及び湾曲部分近傍の2つの直線部分の一部を被接触面から突出し且つ2つの直線部分の残部をコンクリートブロックに埋設されている、
ことを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項2】
場所打ちコンクリート部と接触する被接触面から補強鉄筋の一部を突出したコンクリートブロックと、コンクリートブロックの相対する補強鉄筋の突出部分それぞれに両端部を重ね合わせて連結された連結鉄筋と、補強鉄筋の突出部分及び連結鉄筋が埋設するようにコンクリートブロックの被接触面間に形成された場所打ちコンクリート部とを備えたコンクリートブロックの結合構造であって、
前記コンクリートブロックの補強鉄筋は湾曲部分と該湾曲部分と連続する2つの直線部分とを有する形状を成し、湾曲部分及び湾曲部分近傍の2つの直線部分の一部を被接触面から突出し且つ2つの直線部分の残部をコンクリートブロックに埋設されており、
前記連結鉄筋は両端の湾曲部分と該各湾曲部分と連続する2つの直線部分とを有する形状を成し、コンクリートブロックの相対する補強鉄筋の突出部分それぞれに両端部を重ね合わせて連結されている、
ことを特徴とするコンクリートブロックの結合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−255057(P2007−255057A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80783(P2006−80783)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(390027568)株式会社カイエーテクノ (12)
【Fターム(参考)】